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技術 電力ケーブルの活線下絶縁抵抗測定値の処理方法

出願人 住友電気工業株式会社
発明者 中山忠晴
出願日 1999年5月27日 (22年2ヶ月経過) 出願番号 1999-148515
公開日 2000年12月8日 (20年8ヶ月経過) 公開番号 2000-338153
状態 未査定
技術分野 抵抗、インピーダンスの測定
主要キーワード 正弦変化 直流信号電圧 不合理性 局部電圧 非科学的 プラス誤差 劣化箇所 しゃへい
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題

雑音電圧混入により絶縁抵抗真値から外れて処理されていた測定絶縁抵抗値を、絶縁抵抗真値に近い値へと処理できる、電力ケーブル活線絶縁抵抗測定値の新規処理方法を提供する。

解決する手段

測定対象ケーブルに対して絶縁抵抗測定を、時間間隔を経て実行して該測定対象ケーブルに関する一群の絶縁抵抗測定値〔RI〕を得る段階と、一群の絶縁抵抗測定値のうちマイナス極性の絶縁抵抗測定値を得た絶縁抵抗測定に対して再測定を行なう段階と、再測定にかかわらずマイナス極性の絶縁抵抗測定値を得る場合は、そのデータは棄却する段階と、測定対象ケーブルに対してプラス極性のみからなる前記一群の絶縁抵抗測定値から該一群の絶縁抵抗測定値を代表する代表絶縁抵抗値を決定する段階と、を含む。

概要

背景

活線下で電力ケーブル絶縁抵抗を測定する実用的な方法として、交流使用電圧重畳して直流の低信号電圧印加し、対象ケーブルしゃへい端と大地間に流れる直流漏洩電流を測定して絶縁抵抗を算出する技術が知られている。また、この技術において絶縁抵抗測定中に時として大きな測定誤差が導入されることが知られている。その原因は次の二つに要約される。

(イ)測定対象ケーブル防食層絶縁抵抗値が低い。
(ロ)不定雑音電圧Enが測定系に侵入する。
その理由について説明を加える(詳しくは文献、電学論B,116巻9号、平成8年P1074〜1082参照)。防食層絶縁抵抗Rsは一般に1MΩ以下を不良としているが、ポリエチレン防食層を持つケーブルでは10MΩ以下でも既に不良であり、防食層にピンホール又は局部劣化箇所を有するとみてよい。この様な場合その箇所には、しゃへい銅テープと大地間に局部電圧Esが発生している。この局部電圧Esは一般に1V以下であり、その値が安定しているのなら、活線下絶縁抵抗測定装置は積極的に対抗電圧を作成してその電圧を打消したり、或は計算処理でその影響を打消したりすることで測定誤差を招来しないようにすることができる。しかし局部電圧Esが不安定な様相を示して完全な打消しが不可能な場合は、その残留変動分Enが雑音電圧として測定回路に侵入して来て測定誤差の原因となるのである。雑音電圧Enの発生源は局部電圧Esのみにとどまらず他にも存在するが、どの場合でも測定誤差に及ぼす影響は防食層絶縁抵抗Rsが小さいほど大きい。さらに正確には、主たる測定対象である絶縁層絶縁抵抗RIのRsに対する比 K=RI/Rsと、雑音電圧Enとの積、KEnが大きいほど測定誤差は大きくなる。これを数式で表すと次の如くである。

β=[RI]/RI=E/(E+KEn)
ここで RI :絶縁抵抗真値
〔RI〕:誤差を含んで測定された絶縁抵抗値
K :RI/Rs Rs:防食層絶縁抵抗値
E:直流信号電圧、一般に50V
βを90%程度に留めようとすると、KEnはEの10%以下に収めなければならない。即ち5V以下が望ましい。絶縁抵抗真値RIが大きくなるほど、防食層絶縁抵抗値Rsが小さくなるほど、雑音電圧Enが大きくなるほどこの条件の達成は難しくなる。

概要

雑音電圧の混入により絶縁抵抗真値から外れて処理されていた測定絶縁抵抗値を、絶縁抵抗真値に近い値へと処理できる、電力ケーブルの活線下絶縁抵抗測定値の新規処理方法を提供する。

測定対象ケーブルに対して絶縁抵抗測定を、時間間隔を経て実行して該測定対象ケーブルに関する一群の絶縁抵抗測定値〔RI〕を得る段階と、一群の絶縁抵抗測定値のうちマイナス極性の絶縁抵抗測定値を得た絶縁抵抗測定に対して再測定を行なう段階と、再測定にかかわらずマイナス極性の絶縁抵抗測定値を得る場合は、そのデータは棄却する段階と、測定対象ケーブルに対してプラス極性のみからなる前記一群の絶縁抵抗測定値から該一群の絶縁抵抗測定値を代表する代表絶縁抵抗値を決定する段階と、を含む。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

交流使用電圧重畳して直流の低信号電圧印加し、測定対象ケーブルしゃへい端と大地間に流れる直流漏洩電流を測定して計算により絶縁抵抗測定値を得る、活線下で電力ケーブル絶縁抵抗を測定する方法において、測定対象ケーブルに対して絶縁抵抗測定を、時間間隔を経て実行して該測定対象ケーブルに関する一群の絶縁抵抗測定値を得る段階と、前記一群の絶縁抵抗測定値のうちマイナス極性の絶縁抵抗測定値を得た絶縁抵抗測定に対して再測定を行なう段階と、前記再測定にかかわらずマイナス極性の絶縁抵抗測定値を得る場合は、そのデータは棄却する段階と、前記測定対象ケーブルに対してプラス極性のみからなる前記一群の絶縁抵抗測定値から該一群の絶縁抵抗測定値を代表する代表絶縁抵抗値を決定する段階と、を含む、電力ケーブルの活線下絶縁抵抗測定値の処理方法

請求項2

前記代表絶縁抵抗値を決定する段階は、仮想雑音電圧をそれぞれの絶縁抵抗測定値毎に計算し、仮想雑音電圧対絶縁抵抗測定値の関係曲線最小自乗法により求める段階と、前記曲線で求められるそれぞれの仮想雑音電圧に対応する較正絶縁抵抗値と、測定絶縁抵抗値の大小関係を比較し、小なる方の値をもってその仮想雑音電圧での仮想代表絶縁抵抗値とする段階と、前記一群の絶縁抵抗測定値に関係する平均防食層絶縁抵抗下による値に前記仮想雑音電圧を較正し、前記一群に関して決定される所定限度値以下の較正仮想雑音電圧に対応する前記仮想代表絶縁抵抗値を棄却する段階と、残留した前記仮想代表絶縁抵抗値の内最大の値を前記一群の絶縁抵抗測定値を代表する代表絶縁抵抗測定値と決定する段階と、を含む、請求項1に記載の処理方法

技術分野

0001

この発明は高圧及び特別高圧分野で使用する電力ケーブル絶縁劣化診断係り活線下において直流の低信号電圧印加して電力ケーブルの絶縁抵抗を測定して真値に近い絶縁抵抗測定値を得る方法に関する。

背景技術

0002

活線下で電力ケーブルの絶縁抵抗を測定する実用的な方法として、交流使用電圧重畳して直流の低信号電圧を印加し、対象ケーブルしゃへい端と大地間に流れる直流漏洩電流を測定して絶縁抵抗を算出する技術が知られている。また、この技術において絶縁抵抗測定中に時として大きな測定誤差が導入されることが知られている。その原因は次の二つに要約される。

0003

(イ)測定対象ケーブル防食層絶縁抵抗値が低い。
(ロ)不定雑音電圧Enが測定系に侵入する。
その理由について説明を加える(詳しくは文献、電学論B,116巻9号、平成8年P1074〜1082参照)。防食層絶縁抵抗Rsは一般に1MΩ以下を不良としているが、ポリエチレン防食層を持つケーブルでは10MΩ以下でも既に不良であり、防食層にピンホール又は局部劣化箇所を有するとみてよい。この様な場合その箇所には、しゃへい銅テープと大地間に局部電圧Esが発生している。この局部電圧Esは一般に1V以下であり、その値が安定しているのなら、活線下絶縁抵抗測定装置は積極的に対抗電圧を作成してその電圧を打消したり、或は計算処理でその影響を打消したりすることで測定誤差を招来しないようにすることができる。しかし局部電圧Esが不安定な様相を示して完全な打消しが不可能な場合は、その残留変動分Enが雑音電圧として測定回路に侵入して来て測定誤差の原因となるのである。雑音電圧Enの発生源は局部電圧Esのみにとどまらず他にも存在するが、どの場合でも測定誤差に及ぼす影響は防食層絶縁抵抗Rsが小さいほど大きい。さらに正確には、主たる測定対象である絶縁層絶縁抵抗RIのRsに対する比 K=RI/Rsと、雑音電圧Enとの積、KEnが大きいほど測定誤差は大きくなる。これを数式で表すと次の如くである。

0004

β=[RI]/RI=E/(E+KEn)
ここで RI :絶縁抵抗真値
〔RI〕:誤差を含んで測定された絶縁抵抗値
K :RI/Rs Rs:防食層絶縁抵抗値
E:直流信号電圧、一般に50V
βを90%程度に留めようとすると、KEnはEの10%以下に収めなければならない。即ち5V以下が望ましい。絶縁抵抗真値RIが大きくなるほど、防食層絶縁抵抗値Rsが小さくなるほど、雑音電圧Enが大きくなるほどこの条件の達成は難しくなる。

0005

0006

表1及び図1はRI=100,000MΩ、10,000MΩ、1,000MΩの3ケースにつき、雑音電圧Enをパラメータとして測定絶縁抵抗値〔RI〕と防食層絶縁抵抗値Rsとの関係を計算、図示したものである。表1には、仮想雑音電圧En!=ERs/〔RI〕の値も示している。図1において雑音電圧Enは主としてプラス極性、従ってβが1より小さい場合を示しているが、雑音電圧Enはプラス極性のみに限られるものでなく、マイナス極性であらわれる場合もある。その場合βは1より大きい数字となり、KEnがマイナス50Vよりさらにマイナス方向に大きくなるとβは∽通過してマイナス極性に転ずる。即ち測定絶縁抵抗値〔RI〕は絶縁抵抗真値RIより小さくなるとは限らず、絶縁抵抗真値RIより大きく誤測定される場合もあれば、中にはマイナス極性の測定絶縁抵抗値〔RI〕として計算される場合もある。雑音電圧Enそのものは0を中心として正規分布するような性格のものではないが、プラス極性となる確率とマイナス極性となる確率は共に等しいと見てよい。しかし測定絶縁抵抗値〔RI〕がプラス極性となる確率とマイナス極性となる確率は上記説明により判るように明らかに前者の方が高い。実際に測定された結果としてマイナス極性の測定絶縁抵抗値〔RI〕が得られた場合にそれをどのようにう取扱うかが問題となる。この問題を従来の技術では次の様に処理されていた。
(イ) マイナス極性の測定絶縁抵抗値〔RI〕が得られた時は、測定絶縁抵抗値〔RI〕≒∞として測定されたものと考え、無限大のままでは後々の処理ができないので、測定装置分解能で定まる読取可能最大絶縁抵抗値、例えば20万MΩ、のプラス極性の測定絶縁抵抗値〔RI〕が測定されたものとする。
(ロ) このような限界高絶縁抵抗値を含む一群のプラス極性ばかりの測定絶縁抵抗値〔RI〕の幾何平均値を求め、それをもってその一群の代表絶縁抵抗とする。
(ハ) 一群の測定は通常1ヶ月を3等分した上旬、中旬、下旬といった約10日から成る1旬内で、毎日1回宛測定したデータで構成されている。即ちその旬の日数分のデータが集積された後、これらの幾何平均値を求めてその群の代表絶縁抵抗値とする。

発明が解決しようとする課題

0007

前述のような絶縁抵抗測定値の処理方法により、特に問題を生ずることなく、大概の高電圧ケーブルの活線下絶縁監視の目的は充分に果して来た。しかし測定対象ケーブルの使用電圧領域が特別高圧領域に及ぶようになると、測定すべき絶縁抵抗の値も高域に及ぶようになる。次表は本発明者が用いている、各種電圧領域における架橋ポリエチレン絶縁電力ケーブルの良、不良を別ける絶縁抵抗しきい値を示すものである。

0008

電力ケーブル絶縁特性の良、不良を別ける絶縁抵抗しきい値
公称使用電圧しきい値
(高圧域)
3KV 1,000MΩ
6KV 3,000MΩ
(特別高圧域)
10KV 10,000MΩ
20KV 30,000MΩ
表に示すように高圧域ケーブルと特別高圧域ケーブルでは、測定すべき絶縁抵抗値に1桁の差があるので、次のような問題が生じて来た。従来と同じ測定環境、即ち同等の雑音電圧発生、同等の防食層絶縁抵抗のもとで、直流信号電圧Eを50Vに維持し、しきい値付近の高絶縁抵抗を監視すると、K値が1桁増加するので測定誤差が著しく増加する。現実には夏季の測定で防食層絶縁抵抗が1MΩ以下に低下しているような場合、冬季の測定では10,000MΩ以下の値を示していたケーブルの絶縁抵抗が、しばしば1,000MΩ以下の値を示し、真に絶縁性能が低下しているのか、或は単なる誤差測定結果なのかの区別がつかず疑心暗鬼を生ずる。場合によっては実際よりも逆に高い絶縁抵抗値を示していたと見られる例も現われた。上述の状況をSimulation(シミュレーション)により解明した結果を以下に示す。

0009

Simulationの条件
対象ケーブル:10KVCVケーブル
絶縁抵抗劣化特性 :原点絶縁抵抗10万MΩ
劣化状況1旬(10日)毎に新たに10万MΩの
faultが1ヶ所加わる。

0010

ID=000008HE=010 WI=067 LX=0265 LY=2150
この間を対数的正弦変化するものを標準とし、それにさらに倍、半分の振幅変化を重畳する。

0011

雑音電圧:+10mV、+3mV、+1mV、+0.3mV

:−0.3mV、−1mV、−3mV、−10mV
重み付け無しで9種の雑音電圧をアトランダム取り入れる。

0012

期間 :第1年度冬季第1旬より始まり、第3年度季第3旬に終る、全3年、全108旬
Simulation結果
代表としてしきい値10,000MΩ近辺に絶縁抵抗RI値が低下している第1年度冬季第9旬から季第2旬にわたる期間での毎日の測定環境と測定絶縁抵抗値〔RI〕を表2及び図2に示す。

0013

0014

測定絶縁抵抗値〔RI〕がマイナス値で得られた場合は〔RI〕=20万MΩとして図2上に示している。しかし表2に見られる如く、毎日の測定がマイナスとなっていなくても、実はマイナスの雑音電圧が侵入していて、真値より高い値がプラスの有効測定値として採上げられることがしばしばあることが判る。このようなわりの高絶縁抵抗値も含んで計算した各旬の平均絶縁抵抗図2上では二重丸の点で示した)が比較的絶縁抵抗真値に近く示されたとしても、それは偶然の産物にすぎない。図3には全Simulation期間での各旬平均絶縁抵抗値の変化を、絶縁抵抗真値の変化曲線と共に示した。本Simulation例では測定絶縁抵抗値〔RI〕が真値より高く示される場合が多いことが判る。防食層絶縁抵抗の低くなる夏期にはプラス誤差が増大している。もちろんこのような状況は本Simulationの場合に限定されることで、すべてのケーブルの劣化に当てはまるわけではないが、マイナスの雑音電圧の侵入結果の測定値に及ぼす影響に対して、従来技術による測定値処理方法は如何にも無策で、偶然の成行きに任せすぎであり不合理であることは明らかである。この発明は、雑音電圧の混入等により絶縁抵抗真値から外れて処理されていた測定絶縁抵抗値を、絶縁抵抗真値に近い値へ処理できる、電力ケーブルの活線下絶縁抵抗測定値の新規な処理方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0015

本発明の電力ケーブルの活線下絶縁抵抗測定値の処理方法は、測定対象ケーブルに対して絶縁抵抗測定を、時間間隔を経て実行して該測定対象ケーブルに関する一群の絶縁抵抗測定値を得る段階と、一群の絶縁抵抗測定値のうちマイナス極性の絶縁抵抗測定値を得た絶縁抵抗測定に対して再測定を行なう段階と、再測定にかかわらずマイナス極性の絶縁抵抗測定値を得る場合は、そのデータは棄却する段階と、測定対象ケーブルに対してプラス極性のみからなる前記一群の絶縁抵抗測定値から該一群の絶縁抵抗測定値を代表する代表絶縁抵抗値を決定する段階と、を含む。さらに、前記代表絶縁抵抗値を決定する段階は、仮想雑音電圧をそれぞれの絶縁抵抗測定値毎に計算し、仮想雑音電圧対絶縁抵抗測定値の関係曲線最小自乗法により求める段階と、曲線で求められるそれぞれの仮想雑音電圧に対応する較正絶縁抵抗値と、測定絶縁抵抗値の大小関係を比較し、小なる方の値をもってその仮想雑音電圧での仮想代表絶縁抵抗値とする段階と、一群の絶縁抵抗測定値に関係する平均防食層絶縁抵抗下による値に前記仮想雑音電圧を較正し、前記一群に関して決定される所定限度値以下の較正仮想雑音電圧に対応する前記仮想代表絶縁抵抗値を棄却する段階と、残留した前記仮想代表絶縁抵抗値の内最大の値を前記一群の絶縁抵抗測定値を代表する代表絶縁抵抗測定値と決定する段階と、を含む。

発明を実施するための最良の形態

0016

従釆技術で不合理と認められるのは、マイナスの測定絶縁抵抗値〔RI〕が得られた時に、これをプラス限界高絶縁抵抗値、例えば20万MΩ,に置換して平均値算出に用いていることである。これは、プラスの雑音電圧が侵入したために真値より極めて低く測定されている他のデータとつり合って平均値を真値に近づける効果はあるが、その結果の程度、即ち行き過ぎか或は不足かは全くの偶然性に左右され、結果がどの様になるか予測することは出来ない。そこでこの不合理性を排除し、真値に近付くための第1歩として、再測定という手段を採用する。即ちマイナスの測定絶縁抵抗値〔RI〕が測定されたケーブルはマークしておき、ケーブル群一巡の測定が終った後当該ケーブルに立返り測定を繰返すこととする。再測定によりプラス極性の測定絶縁抵抗値〔RI〕を得ることを期待している。再度の測定でもマイナス極性の測定絶縁抵抗値〔RI〕が得られる確率は依然として存在するが、Simulation結果ではプラスに転換する確率の方が高かった。それでも再度マイナス測定絶縁抵抗値〔RI〕を得た場合どうするかには二つの考え方がある。一つは三度目の測定に挑戦すること。もう一つはそのケーブルの測定データを棄却することである。前者は測定対象ケーブルの数量と残存する測定余裕時間とで実施の可否が決まる。後者は、実用的な対処法といえよう。再々度の測定で又もマイナス極性の結果が得られた時は一連のデータは棄却する。前述のように処理を施したSimulation結果を図4に示す。予測されたように、プラス極性の測定絶縁抵抗値〔RI〕ばかりの再平均値は図3の場合よりも低下している。しかし全プロット点がRIの真値変化曲線より下方に位置するのではなく、依然として測定絶縁抵抗値〔RI〕の再平均値が絶縁抵抗真値R1より高く示されているケースが多数存在することも判る。皮肉にもこのような状況故に図4図3よりも真値の劣化特性に近い変化曲線を示しているように見える。これも既に行った解析で示しているように、測定絶縁抵抗値〔RI〕がプラス極性で得られていても実はマイナス極性の雑音電圧Enが侵入していて、絶縁抵抗真値RIより高い測定絶縁抵抗値〔RI〕がプラス極性で示されるばかりにそれを排除することが出来ず、平均値計算折込まれてしまったためである。従って単純に、プラス極性ばかりの測定絶縁抵抗値〔RI〕の集積を一群として得て、その中での最高の測定絶縁抵抗値〔RI〕をもってその群の代表絶縁抵抗として採上げれば良いというような考えは成立しない。絶縁抵抗真値RIより高い測定絶縁抵抗値〔RI〕をどのようにして見つけ、排除するかということが次の課題となる。前述の再測定の実施はハードによる手段であったが、次の手段はソフトによる処理方法で、必要な基礎データは既に手許に揃っている。これを次の如く処理する。
(1)仮想雑音電圧En! を各測定絶縁抵抗値〔RI〕毎に求める。計算式は次の通りである。

0017

En!=ERs/〔RI〕
仮想雑音電圧En!は侵入雑音電圧Enそのものではない。雑音電圧Enが判明すれば測定絶縁抵抗値〔RI〕から絶縁抵抗真値R1を計算で求めることができるが、雑音電圧Enは如何にしても求めることは不可能であるので、これに代わるものとして現実に取り扱える数値として仮想雑音電圧En!を用い、これをさらに次のステップで役立てようとするのである。雑音電圧Enと仮想雑音電圧En!との間には次の関係がある。(誘導は省略)
En=En!(RI−〔RI〕)/RI
故に測定絶縁抵抗値〔RI〕が絶縁抵抗真値RIに比して極めて小さく測定されたような場合は仮想雑音電圧En!は雑音電圧Enに極めて近い。或いは測定絶縁抵抗値〔RI〕が絶縁抵抗真値R1に極めて近く測定された場合は、仮想雑音電圧En!はそこそこの値で計算されていても、雑音電圧Enは0に近い。ここで表1に戻って雑音電圧Enと仮想雑音電圧En!との関係の実数を調べると、或る防食層絶縁抵抗のもとで、任意の二つの測定絶縁抵抗値〔RI〕では仮想雑音電圧En!同士の差電圧は雑音電圧En同士の差電圧に等しい。故に一方の測定絶縁抵抗値〔RI〕が絶縁抵抗真値RIに等しいか近似である時は、他方の測定絶縁抵抗値〔R1〕を生ずるに至った雑音電圧Enは二者の仮想雑音電圧En!同士の差電圧に等しいか近似であることが判る。上述したような雑音電圧Enと仮想雑音電圧En!との関係から、仮想雑音電圧En!を求めることで雑音電圧Enの実数を推測することができそうには見えるが、Simulationだから判ることであって、現実には測定絶縁抵抗値〔RI〕と絶縁抵抗真値R1の大小関係は簡単に判らない。よって仮想雑音電圧En!と雑音電圧Enとの定性的な関係を承知しておくことのみにとどめて、雑音電圧Enに代り以後の取扱をすすめる際の唯一指標電圧として仮想雑音電圧En!を用いる。
(2)仮想雑音電圧En!対絶縁抵抗測定値〔RI〕の関係曲線を作成する。これからのステップはすべて絶縁抵抗真値RIより高い絶縁抵抗測定値〔RI〕を排除することを目指すものである。先ず仮想雑音電圧En!と測定絶縁抵抗値〔RI〕との関係を最小自乗法により求める。各仮想雑音電圧En!及びそれに対応する測定絶縁抵抗値〔RI〕はすべてそれらの自然対数を求め仮想雑音電圧En!の平均値及び測定絶縁抵抗値〔RI〕の平均値を得ると共にこれら平均値を通り、両対数方眼上で通常右下りの直線となる曲線を画く。測定絶縁抵抗値〔RI〕自体もプロットすると曲線の上下に散らばる。この曲線はそのグループの幾何平均防食層絶縁抵抗値(Rs平均)下における、仮想雑音電圧En!と測定絶縁抵抗値〔RI〕との関係を示すものと見てよい。
(3)前記関係曲線より上方にプロットされた測定絶縁抵抗値〔RI〕は誤差含みの疑が濃いものとしてこれを棄却する。仮想雑音電圧En!対測定絶縁抵抗値〔RI〕関係曲線より上方にプロットされている測定絶縁抵抗値〔RI〕は、雑音電圧Enがマイナス値で侵入した結果の産物である疑いが濃厚である。全体として右下がりであるのは、防食層絶縁抵抗Rsが低下する影響を強く受ける結果であって、プロット点が曲線より上部にあるのは防食層絶縁抵抗Rsが平均値より高いことを原因とする場合も含むが、今はマイナス雑音電圧Enの侵入により生じた絶縁抵抗真値RIより高い測定絶縁抵抗値〔RI〕を発見し排除することを目指しているので、その疑いのある曲線より上部に存在する測定絶縁抵抗値〔R1〕はすべて棄却する。棄却した測定絶縁抵抗値〔RI〕に代りその仮想雑音電圧En!に対応する関係曲線上の較正測定絶縁抵抗値〔RI〕を代表としてあてる。次に関係曲線より下方に存在する測定絶縁抵抗値〔RI〕はすべて、代表として有効する。以上を言葉を変えて表すと、同一仮想雑音電圧En!軸上で仮想雑音電圧En!対測定絶縁抵抗値〔RI〕関係曲線上で求められる較正測定絶縁抵抗値〔RI〕と、もとの絶縁抵抗真値RIとの大小関係を比較し、小さい値をもってその仮想雑音電圧での代表絶縁抵抗値とする。以後の取扱いのためにはここで残留した測定絶縁抵抗値〔RI〕を大きい値から小さい値へ並べ直しておけば良いであろう。最も大きい値を示している測定絶縁抵抗値〔RI〕をもってその群(旬)の代表絶縁抵抗とするのはまだ早すぎる。偽わりの高絶縁抵抗(RIより高い〔RI〕)がまだまだ残留しているであろうからである。
(4)較正仮想雑音電圧しきい値を一群毎に設定し、測定絶縁抵抗値〔RI〕棄却のための検定を行う。

0018

群の幾何平均防食層絶縁抵抗Rs平均値を次式で求める。(別にそれぞれのRsから求めても同じである)
Rs平均値=(En!平均値×〔RI〕平均値)/E
較正仮想雑音電圧En!を各測定絶縁抵抗値〔RI〕及びそれに対応する仮想雑音電圧En!毎に次式で求める。

0019

較正仮想雑音電圧En!=En!/(Rs平均値/Rs)
ここでRsはその測定絶縁抵抗値〔RI〕を測定した時の実測防食層絶縁抵抗Rsである。較正仮想雑音電圧En!を次式で示す群毎の仮想雑音電圧En!しきい値と比較し、較正仮想雑音電圧En!がしきい値より小さければ、これに対応する測定絶縁抵抗値〔RI〕は棄却する。

0020

En!しきい値=En!平均値/log〔RI〕平均値
本式の分母となるlog〔RI〕平均値はSimulationから得られた全くの経験式で、物理的な意味は無い。Simulationにより、絶縁抵抗真値RIより高い測定絶縁抵抗値〔RI〕を発見するのに適当な分母数は10〜2で、しかも固定数では成績不良で不可であること、測定絶縁抵抗値〔RI〕が大きい程大きくなる値であることが好ましいことが判明した。log〔RI〕平均値はこの要請にもっとも簡単に応えられる関数として採用したもので、今後の実施使用の経験から或は改められることがあろう。かくして残留した測定絶縁抵抗値〔RI〕の中で最も高い値をもって、その群(旬)を代表する絶縁抵抗処理値と決定する。

0021

実施例
表3〜表5に、RI=100,000MΩ、10,000MΩ、1,000MΩの近辺において実施した、絶縁抵抗処理値決定のためのSimulationの具体例を示す。

0022

0023

0024

0025

図5図7は表3〜表5に対応する仮想雑音電圧En!対絶縁抵抗測定値〔RI〕の関係を示す。図上で二重丸で示した測定絶縁抵抗値〔RI〕が本法を適用して決定されたそのグループを代表する絶縁抵抗処理値である。

0026

図8は全Simulation結果を示す測定絶縁抵抗値〔RI〕処理値の変化曲線である。これは既にプラス極性の〔RI〕値のみで構成された図4と全く同じ測定結果に基き、本発明による処理法を適用した成果を示すものである。夏期に測定誤差が大きく出る現象消滅している。

0027

図4と比較して、絶縁抵抗真値の変化曲線より測定絶縁抵抗値〔RI〕が下まわることが極めて少くなっていることが明らかである。逆に上まわることが多いことも見てとれる。これは表3〜表5でも見られるように雑音電圧Enがマイナス極性の0.3mV、lmVといったところで現れた絶縁抵抗真値RIより高い測定絶縁抵抗値〔RI〕を完全に排除し切っていないことがあるということである。しかし現在技術による図3と比較すれば全般的に大いに改善されていることも明らかである。大きいマイナス極性雑音電圧が侵入していてしかもプラス極性の測定絶縁抵抗値〔RI〕を示している場合は的確に排除されていることも表3〜表5が一例として示している。

0028

本Simulation例で示されている絶縁抵抗真値R1より高い測定絶縁抵抗値〔RI〕をなおシャープに排除しようとして仮想雑音電圧En!しきい値を決める式の分母を小さくする即ちしきい値を大きく探ると、絶縁抵抗真値RIの高い領域で〔RI〕処理値が絶縁抵抗真値RIより低くなってしまうことが別途判明している。絶縁抵抗真値RIにできるだけ近い測定絶縁抵抗値〔RI〕を得たいのは3,000MΩ以上のRIの領域であるから、このあたりの処理成績を重視すれば良いであろう。本Simulationはその意味でかなり良好な成績を示しているといって良い。3,000MΩ未満の絶縁抵抗真値RIの領域では、既に絶縁不良であることがそれ迄の測定結果の集積で確定しているのであるから、測定誤差をそれほど問題にする必要は無い。Simulationは絶縁抵抗変化を長期間、時系列的に追う例を示したが、本発明は或る測定対象ケーブル1条をとらえて、例えば15分毎に1回の測定を繰返すことで、極めて不安定な雑音電圧侵入環境下でそのケーブルの絶縁抵抗真値の近似値を得ることにも応用できる。

発明の効果

0029

本発明は、今まで偶然性に依存していた非科学的データ処理方法と異なり、合理的かつSimulationに裏付けられたハード及びソフト面での改良の結果、今までより高域の活線下の電力ケーブル絶縁抵抗を、防食層絶縁抵抗が低く、かつ侵入雑音電圧が高い悪測定環境下で、充分真値に近い値で示すことができるので、高圧電力ケーブルの活線下絶縁監視はもとより、特別高圧電力ケーブルの活線下絶縁監視に適用するのに最適である。

図面の簡単な説明

0030

図1雑音電圧Enをパラメータとして測定絶縁抵抗値〔RI〕、絶縁抵抗真値RI、防食層絶縁抵抗Rsの関係を示す図である。
図2測定期間と測定絶縁抵抗値〔RI〕の関係を示す図である。
図3シミュレーション期間における各旬平均測定絶縁抵抗値の変化を絶縁抵抗真値の変化曲線と共に示す図である。
図4再測定の結果、マイナス極性の測定絶縁抵抗値を破棄した後の全シミュレーション期間における各旬平均測定絶縁抵抗値の変化を絶縁抵抗真値の変化曲線と共に示す図である。
図5表3に対応して仮想雑音電圧En!対測定絶縁抵抗値〔RI〕の変化曲線を表す図である。
図6表4に対応して仮想雑音電圧En!対測定絶縁抵抗値〔RI〕の変化曲線を表す図である。
図7表5に対応して仮想雑音電圧En!対測定絶縁抵抗値〔RI〕の変化曲線を表す図である。
図8全シミュレーション期間における測定絶縁抵抗値〔RI〕の処理値を絶縁抵抗真値の変化曲線と共に示す図である。

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