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技術 高温における強度−延性バランスに優れるCr基合金

出願人 安彦兼次科学技術振興事業団
発明者 安彦兼次
出願日 1999年5月27日 (20年5ヶ月経過) 出願番号 1999-148326
公開日 2000年12月5日 (18年11ヶ月経過) 公開番号 2000-336449
状態 特許登録済
技術分野
  • -
主要キーワード 超高温域 グリーブル試験 コロージョン性 直接通電方式 Cr基合金 微量金属元素 高温材料 限界量
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2000年12月5日)のものです。
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図面 (2)

課題

1000℃以上の高温、とくに1050℃以上の高温において、従来合金では達成しえなかった優れた強度−延性バランスを具えたCr基合金を提供する。

解決手段

Cr:60 mass %以上、C+N:20 mass ppm 以下、S:20 mass ppm 以下、O:100 mass ppm以下、かつ酸化物としてのO:50 massppm以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物とする。

概要

背景

最近の産業・工業の分野における技術進歩、また環境問題に対する関心の高まりなどから、高温、特に1000℃以上の高温域において、高強度でしかも高延性を具えた金属材料出現が強く要請されるようになってきた。ところで、従来から用いられてきた高温材料は、主としてNi基、Cr基、Co基合金であった。例えば、特開昭55−154542号公報には、Cr:20〜35wt%、Si:1〜8wt%、C:1.7 〜3.5 wt%を含み、M7 C3 型の炭化物を形成させたNi基合金が、また特開昭55−154542号公報には、Ni:20〜47wt%、Co:6〜35wt%、Cr:18〜36wt%、C:0.6 〜2.5 wt%、Si:0.5 〜2.5 wt%を含むNi−Co−Cr系合金がそれぞれ提案されている。しかしながら、これらの合金はいずれも実用的には 500℃程度の温度までしか使用できなかった。また、これらNiやCoを多量に含む合金は材料の価格自体が非常に高価になり、さらに熱膨張係数が大きいといった多くの問題も抱えていた。

Ni基やCo基の合金より安価で、熱膨張係数の小さい高温材料としては、Cr系の合金が有望である。例えば、特開平11−80902 号公報には、C:0.5 〜1.5 wt%、Si:1.0 〜4.0 wt%、Mn:0.5 〜2.0 wt%、Cr:35〜60wt%を含有する、高温でのエロージョンコロージョン性を高めた高Cr合金が提案されている。しかし、この高Cr合金も、高温域とくに1000℃以上では、十分な強度を得ることは難しい。このようなCr系合金の強度をさらに高めるには、Cr量の一層の増加が必要である。ところが、従来の技術でCr量を60mass%以上にすると、延性がほとんどなくなってしまうために、溶製後の加工が不可能になるという問題があった。このため、60mass%以上のCr基合金は実用化されるまでには至っていなかった。

概要

1000℃以上の高温、とくに1050℃以上の高温において、従来合金では達成しえなかった優れた強度−延性バランスを具えたCr基合金を提供する。

Cr:60 mass %以上、C+N:20 mass ppm 以下、S:20 mass ppm 以下、O:100 mass ppm以下、かつ酸化物としてのO:50 massppm以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物とする。

目的

上述したように、超高温環境での使用に耐えうる材料への要請が益々高まりつつある状況にもかかわらず、高温で十分な強度を有し、加工性(延性)を具えた実用的な材料がこれまでには存在しなかった。そこで、本発明の目的は、従来技術が抱えている上記問題を解消することにあり、1000℃以上の高温、とりわけ1050℃以上の高温において、従来合金では達成しえなかった優れた強度−延性バランスを具えたCr基合金を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

Cr:60 mass %以上、C+N:20 mass ppm 以下、S:20 mass ppm 以下、O:100 mass ppm以下、かつ酸化物としてのO:50 massppm以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする高温における強度−延性バランスに優れるCr基合金

技術分野

0001

本発明は、高温(1000℃以上、とりわけ1050℃以上の超高温域)で優れた強度−延性バランスを有するCr基合金に関するものである。

背景技術

0002

最近の産業・工業の分野における技術進歩、また環境問題に対する関心の高まりなどから、高温、特に1000℃以上の高温域において、高強度でしかも高延性を具えた金属材料出現が強く要請されるようになってきた。ところで、従来から用いられてきた高温材料は、主としてNi基、Cr基、Co基合金であった。例えば、特開昭55−154542号公報には、Cr:20〜35wt%、Si:1〜8wt%、C:1.7 〜3.5 wt%を含み、M7 C3 型の炭化物を形成させたNi基合金が、また特開昭55−154542号公報には、Ni:20〜47wt%、Co:6〜35wt%、Cr:18〜36wt%、C:0.6 〜2.5 wt%、Si:0.5 〜2.5 wt%を含むNi−Co−Cr系合金がそれぞれ提案されている。しかしながら、これらの合金はいずれも実用的には 500℃程度の温度までしか使用できなかった。また、これらNiやCoを多量に含む合金は材料の価格自体が非常に高価になり、さらに熱膨張係数が大きいといった多くの問題も抱えていた。

0003

Ni基やCo基の合金より安価で、熱膨張係数の小さい高温材料としては、Cr系の合金が有望である。例えば、特開平11−80902 号公報には、C:0.5 〜1.5 wt%、Si:1.0 〜4.0 wt%、Mn:0.5 〜2.0 wt%、Cr:35〜60wt%を含有する、高温でのエロージョンコロージョン性を高めた高Cr合金が提案されている。しかし、この高Cr合金も、高温域とくに1000℃以上では、十分な強度を得ることは難しい。このようなCr系合金の強度をさらに高めるには、Cr量の一層の増加が必要である。ところが、従来の技術でCr量を60mass%以上にすると、延性がほとんどなくなってしまうために、溶製後の加工が不可能になるという問題があった。このため、60mass%以上のCr基合金は実用化されるまでには至っていなかった。

発明が解決しようとする課題

0004

上述したように、超高温環境での使用に耐えうる材料への要請が益々高まりつつある状況にもかかわらず、高温で十分な強度を有し、加工性(延性)を具えた実用的な材料がこれまでには存在しなかった。そこで、本発明の目的は、従来技術が抱えている上記問題を解消することにあり、1000℃以上の高温、とりわけ1050℃以上の高温において、従来合金では達成しえなかった優れた強度−延性バランスを具えたCr基合金を提供することにある。

課題を解決するための手段

0005

発明者らは、経済性や熱膨張係数の上から有利なCr基合金を対象にして、上記課題の解決に向けて鋭意研究した。その結果、60mass%以上のCrを含有するCr基合金であっても、合金中のC+N、S、Oの含有量および酸化物量限界量以下に制御すれば、延性を付与することができ、高温強度と延性とを両立させうることを見いだし、本発明を完成するにいたった。

0006

このようにして完成した本発明は、Cr:60 mass %以上、C+N:20 mass ppm 以下、S:20 mass ppm 以下、O:100 mass ppm以下、かつ酸化物としてのO:50 massppm以下を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする高温における強度−延性バランスに優れるCr基合金である。

発明を実施するための最良の形態

0007

まず、本発明を想到する契機となった実験について説明する。原料純度および溶解条件を変化させることにより、65mass%Crを含有するCr基合金を種々溶製し、熱間鍛造により25mmの棒状試片とした。ここで、加工性が劣り棒状への加工が困難な合金については、熱間鍛造→手入れ再加熱→熱間鍛造を繰り返して加工した。これら棒状試片を1250℃に加熱後水冷し、直径6.5 mm、長さ120 mmの丸棒試験片切り出した。この丸棒試験片を用いて、直接通電方式の高温引張り試験機グリーブル試験機)により、1100℃における強度(引張強さ)と延性(断面積減少率)を測定した。

0008

図1に、高温での強度−延性バランス(断面積の減少率RAと引張強さTSとの積)におよぼすC+N量の影響を示す。図1から、高温域における強度−延性バランスの良好域であるといえるRA×TS≧10000 (%・MPa)とするためには、単にC+N量を低減するだけでなく、S量およびO量をも制御することが必要であることがわかった。本発明はかかる知見をベースにして完成したものである。

0009

次に、本発明の成分を上記範囲に限定した理由について説明する。
・Cr:60mass%以上
Crは、高温域における強度を確保するために必要な元素であり、その量が60mass%未満では、1000℃以上での強度確保が困難となるので、60mass%以上含有させることが必要である。なお、十分な特性を発揮させるには65mass%以上含有させることが好ましい。また、Cr量の上限はとくに定める必要がないが、溶製上の理由から99.99 mass%が限界である。

0010

・C+N:20 mass ppm 以下
CおよびNは、1000℃以下でCr炭・窒化物を形成して、Cr基合金の脆化および耐食性の低下を招く。また、このCおよびNは、1000℃以上の高温域では固溶状態で存在し延性を低下させる。これらの特性低下を招かないためには、C+Nとして20mass ppm以下とする必要がある。なお、延性の低下をより少なくするためにはC+Nを10mass ppm以下にすることが好ましい。また、下限値は特に規定しないが、工業的には、溶製時間を考慮して、0.1mass ppm までとするのが望ましい。

0011

・S:20 mass ppm 以下
Sは、Cr基合金中にわずかに含まれる、Ti、Cu、Mnなどの微量金属元素硫化物を形成して存在するか、固溶状態で粒界偏析して存在し、いずれの場合とも延性の低下を招く。このような延性の低下は、S量が20 mass ppm を超えると著しくなるので、その上限を20 mass ppm とする。なお、延性低下をより少なくするためには、S量を10 mass ppm 以下に抑制するのが望ましい。また、Sの下限量については特に定めないが、溶製コストを考えると0.1 mass ppmまでとするのが望ましい。

0012

・O(全O):100 mass ppm以下、かつ酸化物としてのO:50 mass ppm 以下
Oは、Cr基合金中にわずかに含まれる、Al、Siなどの微量金属元素と酸化物を形成し、延性の低下を招く。このような悪影響を避けるには、O量(全O量)を100 mass ppm以下、かつ酸化物として存在するO量を50 mass ppm 以下に制限する必要がある。なお、より高い延性を維持するためには、O量を50 mass ppm 以下、かつ酸化物としてのO量を30 mass ppm 以下とするのが好ましい。O量および酸化物としてのO量の下限は定めないが、溶製コストを考えて、それぞれ5 mass ppm、3 mass ppmとするのが好ましい。

0013

以上述べた成分元素以外は、Feおよび不可避的不純物とする。なお、残余の元素をFeとしたのは、Cr−Fe合金が延性とコストの点からもっとも有利であるからである。本発明合金は、1000℃以上の高温域において優れた強度と延性を有しているが、かかる合金は、とくに高純度の原料を用いることと、溶解条件について留意する以外は常法にしたがって製造することができる。これらのうち、例えば、原料は99.9mass%以上のクロムを使用すること、溶解条件はルツボからの不純物混入が少ないスカル溶解法を用い真空度を10-5 Torr 以上とすることなどが望ましい。

0014

表1に示す成分からなる各種Cr基合金を溶製した。溶製には高純度クロム(純度99.95 mass%)、超高純度電解鉄(純度99.998mass%)を使用し、水冷銅るつぼを用いスカル溶解法を採用した。このインゴットを 950〜1200℃で熱間鍛造(加工性が劣る合金については、もっとも延性のある温度域で、熱間鍛造→手入れ→再加熱→熱間鍛造を繰り返して鍛造)して25mmの棒状試片とした。これら棒状試片を1250℃に加熱後水冷してから、直径6.5 mm、長さ120 mmの丸棒試験片を切り出した。この試験片を用いて、直接通電方式の高温引張り試験機(グリーブル試験機)により高温での延性(断面積の減少率)を測定した。比較のために、同様の試験を商用の耐熱材料である54Ni−18Cr−3Mo合金インコネル718)についても実施した。

0015

0016

得られた高温引張り試験測定結果を表2に示す。Cr量が60mass%未満の合金AおよびBは高温での強度が低下している。また、従来から耐熱材料として用いられている54Ni−18Cr−3Mo 合金は、1000℃を超えると急激に延性が低下し、1200℃でのRAは0%となる。これに対して、発明合金は1000℃以上の高温でいずれも強度−延性バランスを表すRA×TS≧10000 (%・MPa)を示し、きわめて優れた強度−延性バランスを有していることが分かる。

0017

発明の効果

0018

以上説明したように、本発明によれば、1000℃以上、とりわけ1050℃以上の高温域における強度−延性バランスに優れたCr基合金を提供することが可能になる。従って、本発明は、高温材料が必要とされる各種の産業分野で貢献するとともに地球環境の改善にも寄与するところ大である。

図面の簡単な説明

0019

図11100℃における強度−延性バランスとC+N量との関係を示すグラフである。

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