図面 (/)

技術 錫−銀系合金電気めっき浴

出願人 ユケン工業株式会社
発明者 伊藤和生大楠哲司千田数久
出願日 1999年5月19日 (21年1ヶ月経過) 出願番号 1999-138903
公開日 2000年11月28日 (19年7ヶ月経過) 公開番号 2000-328286
状態 特許登録済
技術分野 電気鍍金;そのための鍍金浴 電気メッキ方法,物品
主要キーワード 全金属濃度 無鉛ハンダ 銀合金めっき浴 キレート剤濃度 フタ付き バレル法 硫酸単独 可溶性銅
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2000年11月28日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (0)

図面はありません

課題

第一錫化合物銀化合物キレート剤光沢剤(好ましくは非イオン界面活性剤) 、酸化防止剤を含有する酸性の錫−銀系合金電気めっき浴において、硫酸を用いて建浴した場合にも安定に長期保存でき、BiまたはCuを含有する三元合金めっき皮膜の形成も可能な錫−銀系合金電気めっき浴を得る。

解決手段

キレート剤として、一般式: R1-S(CH2CH2S)n-R2 (式中、R1およびR2は同じでも異なっていてもよく、それぞれ−CH2OH 、−C2H4OH、−C3H6OH、−CH2NH2、−C2H4NH2 、−C3H6NH2 から選ばれ、nは1〜3の整数である) で示されるチオエタン化合物を使用する。

概要

背景

鉛による地下水汚染等の環境汚染が問題となり、鉛含有製品に対する規制強化されつつある。そのため、従来より各種製品においてハンダ付けに使用されてきた錫−鉛合金(ハンダ合金) を無鉛ハンダに変更する動きが強まっている。無鉛ハンダとしては、融点が比較的低く、かつ耐熱疲労特性のよい錫−銀系合金が主流となっている。低融点化の目的で錫−銀合金ビスマスまたは銅といった第三元素を添加した錫−銀系三元合金も知られている。

電子部品プリント基板等のハンダ付けにおいては、良好なハンダ付け性を保持するためにハンダ付け部位にハンダめっきを施すことがあり、高温さらすことができない場合には電気めっきが利用される。このハンダめっきも、従来は錫−鉛合金めっきが主に利用されてきたが、鉛化合物を含有する電気めっき浴を使用することから、ハンダめっきについても無鉛めっきに切り換えることが望まれるようになってきた。

無鉛ハンダめっきとしては、ハンダ付け用合金と同様に、錫−銀系合金めっきが有望であり、特にハンダ付けを銀−錫系合金で行う場合には、ハンダめっきも同じ合金とすることが好ましい。銀−錫系合金電気めっきは、ハンダ付け用以外に、電気接点などの用途にも利用されている。

従来の銀−錫系合金電気めっきは、ピロリン酸シアン浴シアンアンモニア浴等のシアン浴を用いて一般に行われてきた。これは、銀イオン(Ag+ ) にシアン化物イオン(CN- ) を配位させてシア銀錯体[Ag(CN)]- を形成し、銀イオンを浴中で安定化させて、銀と錫を一緒共析させるためである。浴中の銀イオンを安定化させておかないと、めっき浴中でAgイオンSnイオン(Sn2+) との間の酸化還元反応が起こり、Agが析出すると共に、Snイオンは不安定なSn+4イオンになって沈殿し易くなるため、めっき浴の安定性が著しく損なわれる。また、銀と錫は析出電位が著しく異なるため、Agイオンが安定化していないと、銀が優先的に最初に析出し、銀と錫を一緒に共析させることができない。

しかし、周知のように、シアン化合物は猛毒であるので、シアン浴を用いない銀−錫系合金電気めっき浴が望まれており、非シアン浴に関してこれまでに多くの提案がなされている。例えば、ピロリン酸−ヨウ素型のめっき浴が特開平9−296274号、同10−36995 号、同10−102277号、および同10−102283号各公報に提案されている。

特開平9−296289号公報には、ビスマスおよび/または銅を含有する錫−銀系合金めっき用のピロリン酸−ヨウ素型のめっき浴が開示されている。しかし、ピロリン酸−ヨウ素型の電気めっき浴は、一般に浴管理が難しく、生産性が低いという問題点がある。

特開平9−143786号公報には、チオ尿素系化合物チアゾール系化合物スルフェンアミド化合物チウラム系化合物ジチオカルバミン酸系化合物、ビスフェノール系化合物ベンゾイミダゾール系化合物有機チオ酸系化合物から選んだ含イオウ化合物をAg+イオンの置換防止剤として配合し、アルカンスルホン酸もしくはアルカノールスルホン酸で浴を酸性にした、シアン化物を含有しない銀または銀合金の酸性電気めっき浴が開示されている。

特開平9−170094号公報には、チオアミド化合物(チオ尿素化合物) およびチオール化合物から選ばれた含イオウ化合物を含有し、アルカンスルホン酸および/またはスルファミン酸で酸性にした、シアン化物を含有しない錫−銀合金酸性めっき浴が開示され、特開平10−204675号公報には、芳香族チオール化合物および芳香族スルフィド化合物から選ばれた含イオウ化合物を含有する同様の酸性めっき浴が開示されている。

特開平10−204676号公報には、硫酸リン酸ホスホン酸ヒドロキシカルボン酸、アルカンスルホン酸およびアルカノールスルホン酸から選ばれた酸と、チオ尿素と、非イオン界面活性剤と、メルカプト基含有芳香族化合物ジオキシ芳香族化合物および不飽和カルボン酸から選ばれた添加剤とを含有する、銀−錫合金電気めっき浴が開示されている。

概要

第一錫化合物銀化合物キレート剤光沢剤(好ましくは非イオン界面活性剤) 、酸化防止剤を含有する酸性の錫−銀系合金電気めっき浴において、硫酸を用いて建浴した場合にも安定に長期保存でき、BiまたはCuを含有する三元合金めっき皮膜の形成も可能な錫−銀系合金電気めっき浴を得る。

キレート剤として、一般式: R1-S(CH2CH2S)n-R2 (式中、R1およびR2は同じでも異なっていてもよく、それぞれ−CH2OH 、−C2H4OH、−C3H6OH、−CH2NH2、−C2H4NH2 、−C3H6NH2 から選ばれ、nは1〜3の整数である) で示されるチオエタン化合物を使用する。

目的

本発明は、硫酸を用いて建浴した場合にもめっき浴が安定で、浴管理が容易であり、かつビスマスまたは銅といった第三金属を含有する銀−錫系三元合金めっき皮膜の形成も可能な、錫−銀系合金めっき浴を提供することを課題とするものである。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
13件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

(1) 可溶性第一錫化合物、(2)可溶性銀化合物、(3)一般式: R1-S(CH2CH2S)n-R2 (式中、R1およびR2は同じでも異なっていてもよく、それぞれ−CH2OH 、−C2H4OH、−C3H6OH、−CH2NH2、−C2H4NH2 、−C3H6NH2 から選ばれ、nは1〜3の整数である) で示されるチオエタン化合物、ならびに(4)硫酸およびスルホン酸から選ばれた少なくとも1種の酸、を含有することを特徴とする、錫−銀系合金電気めっき浴

請求項2

さらに、(5)非イオン界面活性剤と、(6)酸化防止剤、を含有する、請求項1記載の錫−銀系合金電気めっき浴。

請求項3

さらに可溶性銅化合物または可溶性ビスマス化合物を含有する、請求項1または2記載の錫−銀系合金電気めっき浴。

技術分野

0001

本発明は、錫−鉛合金ハンダの代わりに使用可能な錫−銀系合金めっき皮膜を形成するための錫−銀系合金電気めっき浴に関し、シアン化合物を使用しなくても、浴中の金属の析出を防止して浴を安定に保持でき、かつ硫酸を用いて建浴できる、酸性の錫−銀系合金電気めっき浴に関する。

背景技術

0002

鉛による地下水汚染等の環境汚染が問題となり、鉛含有製品に対する規制強化されつつある。そのため、従来より各種製品においてハンダ付けに使用されてきた錫−鉛合金(ハンダ合金) を無鉛ハンダに変更する動きが強まっている。無鉛ハンダとしては、融点が比較的低く、かつ耐熱疲労特性のよい錫−銀系合金が主流となっている。低融点化の目的で錫−銀合金ビスマスまたは銅といった第三元素を添加した錫−銀系三元合金も知られている。

0003

電子部品プリント基板等のハンダ付けにおいては、良好なハンダ付け性を保持するためにハンダ付け部位にハンダめっきを施すことがあり、高温さらすことができない場合には電気めっきが利用される。このハンダめっきも、従来は錫−鉛合金めっきが主に利用されてきたが、鉛化合物を含有する電気めっき浴を使用することから、ハンダめっきについても無鉛めっきに切り換えることが望まれるようになってきた。

0004

無鉛ハンダめっきとしては、ハンダ付け用合金と同様に、錫−銀系合金めっきが有望であり、特にハンダ付けを銀−錫系合金で行う場合には、ハンダめっきも同じ合金とすることが好ましい。銀−錫系合金電気めっきは、ハンダ付け用以外に、電気接点などの用途にも利用されている。

0005

従来の銀−錫系合金電気めっきは、ピロリン酸シアン浴シアンアンモニア浴等のシアン浴を用いて一般に行われてきた。これは、銀イオン(Ag+ ) にシアン化物イオン(CN- ) を配位させてシア銀錯体[Ag(CN)]- を形成し、銀イオンを浴中で安定化させて、銀と錫を一緒共析させるためである。浴中の銀イオンを安定化させておかないと、めっき浴中でAgイオンSnイオン(Sn2+) との間の酸化還元反応が起こり、Agが析出すると共に、Snイオンは不安定なSn+4イオンになって沈殿し易くなるため、めっき浴の安定性が著しく損なわれる。また、銀と錫は析出電位が著しく異なるため、Agイオンが安定化していないと、銀が優先的に最初に析出し、銀と錫を一緒に共析させることができない。

0006

しかし、周知のように、シアン化合物は猛毒であるので、シアン浴を用いない銀−錫系合金電気めっき浴が望まれており、非シアン浴に関してこれまでに多くの提案がなされている。例えば、ピロリン酸−ヨウ素型のめっき浴が特開平9−296274号、同10−36995 号、同10−102277号、および同10−102283号各公報に提案されている。

0007

特開平9−296289号公報には、ビスマスおよび/または銅を含有する錫−銀系合金めっき用のピロリン酸−ヨウ素型のめっき浴が開示されている。しかし、ピロリン酸−ヨウ素型の電気めっき浴は、一般に浴管理が難しく、生産性が低いという問題点がある。

0008

特開平9−143786号公報には、チオ尿素系化合物チアゾール系化合物スルフェンアミド化合物チウラム系化合物ジチオカルバミン酸系化合物、ビスフェノール系化合物ベンゾイミダゾール系化合物有機チオ酸系化合物から選んだ含イオウ化合物をAg+イオンの置換防止剤として配合し、アルカンスルホン酸もしくはアルカノールスルホン酸で浴を酸性にした、シアン化物を含有しない銀または銀合金の酸性電気めっき浴が開示されている。

0009

特開平9−170094号公報には、チオアミド化合物(チオ尿素化合物) およびチオール化合物から選ばれた含イオウ化合物を含有し、アルカンスルホン酸および/またはスルファミン酸で酸性にした、シアン化物を含有しない錫−銀合金酸性めっき浴が開示され、特開平10−204675号公報には、芳香族チオール化合物および芳香族スルフィド化合物から選ばれた含イオウ化合物を含有する同様の酸性めっき浴が開示されている。

0010

特開平10−204676号公報には、硫酸、リン酸ホスホン酸ヒドロキシカルボン酸、アルカンスルホン酸およびアルカノールスルホン酸から選ばれた酸と、チオ尿素と、非イオン界面活性剤と、メルカプト基含有芳香族化合物ジオキシ芳香族化合物および不飽和カルボン酸から選ばれた添加剤とを含有する、銀−錫合金電気めっき浴が開示されている。

発明が解決しようとする課題

0011

含イオウ化合物で銀イオンを安定化させた錫−銀合金酸性めっき浴では、前述したピロリン酸−ヨウ素型めっき浴に伴う問題点は解消されるが、従来のこの種のめっき浴にはなお次のような問題点が残っていた。

0012

まず、上記の含イオウ化合物を含有する浴は酸性浴であって、pH調整用の酸を含有する。酸としては、アルカンスルホン酸、アルカノールスルホン酸、スルファミン酸等の有機酸が使用されている。特開平10−204676号公報には、酸として硫酸も挙げられているが、酸が硫酸単独である実施例はなく、硫酸を有機酸(例、グルコン酸)と併用して建浴した実施例しかない。この種の浴において酸は非常に多量に使用される(例、有機酸の場合 100〜500 g/L)ため、硫酸に比べて高価で、かつ酸性度の低い (使用量が多くなる) 有機酸を使用すると、めっき浴のコストがかなり高くなる。

0013

電気錫めっき用の酸性めっき浴は、通常は硫酸を用いて建浴されている。錫−銀合金電気めっき用の酸性めっき浴も、同様に硫酸を用いて建浴できれば、めっき浴コストがかなり低下する。しかし、従来の錫−銀合金酸性めっき浴は、硫酸を用いて建浴すると浴が不安定になるため、アルカンスルホン酸等の有機酸を使用せざるを得ず、コスト高になっていた。

0014

前述したように、ピロリン酸−ヨウ素型の錫−銀合金めっき浴については、ビスマスまたは銅を含有するめっき浴を用いて、三元合金化しためっき皮膜を形成することが知られている (特開平9−296289号公報) 。錫−銀合金めっきに少量のビスマスまたは銅を添加して三元合金めっきにすると、錫−銀二元合金よりも融点が下がり、ハンダ付け性が向上する。しかし、含イオウ化合物を含有する錫−銀合金めっき浴については、このような三元合金化が可能な錫−銀系合金めっき浴はこれまで知られていなかった。

0015

本発明は、硫酸を用いて建浴した場合にもめっき浴が安定で、浴管理が容易であり、かつビスマスまたは銅といった第三金属を含有する銀−錫系三元合金めっき皮膜の形成も可能な、錫−銀系合金めっき浴を提供することを課題とするものである。

課題を解決するための手段

0016

本発明によれば、下記 (1)〜(4) を含有し、好ましくはさらに下記(5) および(6) も含有する錫−銀系合金電気めっき浴により、上記課題が解決される。

0017

(1) 可溶性第一錫化合物、(2)可溶性銀化合物、(3)一般式: R1-S(CH2CH2S)n-R2 (式中、R1およびR2は同じでも異なっていてもよく、それぞれ−CH2OH 、−C2H4OH、−C3H6OH、−CH2NH2、−C2H4NH2 、−C3H6NH2 から選ばれ、nは1〜3の整数である) で示されるチオエタン化合物、(4)硫酸およびスルホン酸から選ばれた少なくとも1種の酸、(5)非イオン界面活性剤、(6)酸化防止剤

0018

このめっき浴は、さらに可溶性銅化合物または可溶性ビスマス化合物を含有させることができ、それにより錫と銀に加え、銅またはビスマスを含有する三元合金のめっき皮膜を形成することができる。

0019

本発明に係る酸性の錫−銀合金電気めっき浴は、安定性に優れ、少なくとも一ヶ月は金属成分の沈殿を生ずることなく保存できる。このめっき浴を用いて電気めっきを行うと、銀の優先析出を生ずることなく、錫−銀系合金めっき皮膜が形成され、めっき皮膜の合金組成はめっき浴中の錫イオンと銀イオンにより制御することができる。また、めっき皮膜は、針状、樹枝状、粉状、粒状等の析出物ヤケコゲ等のない、緻密で白色無光沢の好ましい外観を有する。

発明を実施するための最良の形態

0020

本発明のめっき浴は、可溶性第一錫化合物、可溶性銀化合物、チオエタン化合物、ならびに硫酸およびスルホン酸から選ばれた少なくとも1種の酸を含有し、好ましくはさらに非イオン界面活性剤や酸化防止剤を含有する。チオエタン化合物は、Agイオンと錫イオンを安定化させるキレート剤として作用する。また、めっき皮膜を三元合金化する場合には、ビスマス化合物または銅化合物を含有させる。

0021

チオエタン化合物以外のめっき浴の成分については、従来の錫−銀合金めっき浴、または錫めっき浴もしくは銀めっき浴において使用されてきたものでよい。いずれの成分も、1種または2種以上の化合物を使用することができる。以下に、これらの成分についても簡単に説明するが、この説明で例示した化合物に限られるものではない。

0022

可溶性第一錫化合物と可溶性銀化合物は、硫酸および/またはスルホン酸の水溶液中に溶解するものであればよい。第一錫化合物の例としては、メタンスルホン酸第一錫等のスルホン酸塩硫酸第一錫塩化第一錫等の無機酸塩、グルコン酸第一錫、クエン酸第一錫、乳酸第一錫等の有機酸塩が挙げられる。可溶性銀化合物は通常は第一銀化合物であり、具体例としては、酸化第一銀、メタンスルホン酸銀などのスルホン酸塩、硫酸銀塩化銀等の無機酸塩、グルコン酸銀、クエン酸銀乳酸銀等の有機酸塩が挙げられる。

0023

同様に、ビスマス化合物または銅化合物をめっき浴に含有させる場合も、上記の酸水溶液に溶解する化合物であれば特に制限されない。使用できるビスマス化合物の例は、塩化ビスマスヨウ化ビスマス硫酸ビスマスクエン酸ビスマス、グルコン酸ビスマス、メタンスルホン酸ビスマス等が挙げられる。銅化合物の例としては、塩化第一銅塩化第二銅硫酸銅メタンスルホン酸銅クエン酸銅グルコン酸銅等が挙げられる。

0024

めっき浴を安定化させるためのキレート剤として用いるチオエタン化合物は、一般式: R1-S(CH2CH2S)n-R2で示される化合物である。式中、R1およびR2は同じでも異なっていてもよく、それぞれ−CH2OH 、−C2H4OH、−C3H6OH、−CH2NH2、−C2H4NH2 、−C3H6NH2 から選ばれ、nは1〜3の整数である。

0025

酸としては、硫酸および/またはスルホン酸を使用する。即ち、硫酸だけを使用して建浴も、安定なめっき浴が得られる。スルホン酸としては、アルカンスルホン酸やアルカノールスルホン酸が好ましいが、ベンゼンスルホン酸類(例、トルエンスルホン酸) やフェノールスルホン酸類 (例、クレゾールスルホン酸) も使用できる。アルカンスルホン酸およびアルカノールスルホン酸は非置換でも適当な置換基で置換されたものでもよい。これらのスルホン酸の例としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸イセチオン酸プロパンスルホン酸ブタンスルホン酸ペンタンスルホン酸、クロロプロパンスルホン酸、2−ヒドロキシエタン−1−スルホン酸、2−ヒドロキシペンタンスルホン酸、2−スルホ酢酸、2−スルホプロピオン酸スルホコハク酸などが例示される。

0026

以上の成分の好ましい浴中濃度は次の通りである:
・第1錫化合物:Sn濃度として1〜100 g/L 、特に10〜60 g/L;
・銀化合物:Ag濃度として0.01〜80 g/L、特に 0.1〜10 g/L;
・銅またはビスマス化合物(使用する場合) :CuまたはBi濃度として0.01〜50 g/L、特に 0.1〜10 g/L;
全金属濃度:5〜100 g/L 、特に10〜80 g/L;
・キレート剤(チオエタン化合物) : 0.1〜200 g/L 、特に 0.5〜80 g/L;
・酸 (硫酸および/またはスルホン酸) :50〜400 g/L 、特に80〜300 g/L 。

0027

本発明のめっき浴のpHは通常は1より低い強酸性である。酸が硫酸である場合には、スルホン酸を使用する場合に比べて、酸濃度が低くてよい。例えば、スルホン酸を使用する場合の濃度の60〜80%程度の濃度で十分である。酸濃度またはキレート剤の濃度が低すぎると、浴が不安定となって、沈殿が発生し易くなる。キレート剤濃度が高すぎると、析出めっき皮膜の外観が悪化することがある。

0028

本発明のめっき浴には、従来より錫−銀合金電気めっき浴、或いは銀電気めっき浴もしくは錫電気めっき浴に添加されてきた各種添加剤の1種もしくは2種以上を所望により添加することができる。この種の添加剤の例として、光沢剤、酸化防止剤等がある。

0029

光沢剤としては、錫めっきまたは銀めっきの光沢剤として使用されてきたものが使用できる。例えば、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤水溶性高分子(例、ポリエチレングリコールポリビニルアルコールポリビニルピロリドン等) 、ケトン類(例、ベンザールアセトンアセトフェノン) 、アルデヒド類(例、ホルマリンバレルアルデヒドサリチルアルデヒドバニリン等) 等が挙げられる。

0030

好ましい光沢剤は非イオン界面活性剤である。非イオン界面活性剤としては次のものが例示される:
一般式:R−O−(A)n−H (式中、Rはアルキル基もしくはアルケニル基、Aは-CH2CH2O- (=エチレンオキシ基) 、-CH2-CH(CH3)O- (=プロピレンオキシ基) 、およびそれらの組合わせ、nは1〜40の整数) で示される、飽和もしくは不飽和アルコールアルキレンオキサイド付加物
一般式:R'−Ar−O−(A)n−H (式中、R'は水素またはアルキルもしくはアルケニル基、Arはフェニルナフチル等の芳香族炭化水素基、Aおよびnは上記と同じ) で示される、フェノールもしくはナフトールまたはアルキルもしくはアルケニルフェノールもしくはナフトールのアルキレンオキサイド付加物;
一般式:R−COO−(A)n−H (式中、R、Aおよびnは上記と同じ) で示される、飽和もしくは不飽和脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物;
一般式:R−N[(A)n−H]2 (式中、R、Aおよびnは上記と同じ) で示される、飽和もしくは不飽和脂肪族アミンのアルキレンオキサイド付加物。

0031

上記の各非イオン界面活性剤の具体例を例示すると次の通りである:
メタノールエタノールイソプロパノールブタノールヘキサノール、2−エチルヘキサノールアリルアルコール等の飽和または不飽和アルコールのエチレンオキサイド(EO)付加物またはエチレンオキサイド/プロピレンオキサイド(EO/PO) 付加物;
オクチルフェノールノニルフェノールα−ナフトールβ−ナフトール等のEO付加物またはEO/PO付加物
オレイン酸ラウリル酸ステアリン酸などの飽和または不飽和脂肪酸のポリオキシエチレンエステル
ラウリルアミンステアリルアミンヤシ油アミン等の飽和もしくは不飽和脂肪族アミンのEO付加物またはEO/PO付加物。

0032

光沢剤、特に非イオン界面活性剤のめっき浴中の濃度は従来と同様でよく、好ましくは 0.1〜50 g/L、特に1〜30 g/Lである。

0033

第1錫イオン(Sn2+ ) のめっき浴中での酸化を防止するため、錫めっき浴に一般に添加される酸化防止剤を本発明のめっき浴にも含有させることが好ましい。このような酸化防止剤の例としては、フェノール、カテコールレゾルシノールヒドロキノンピロガロール等のヒドロキシ芳香族化合物や、L−アスコルビン酸ソルビトール等が挙げられる。酸化防止剤の浴中濃度は一般に 0.5〜10 g/L程度である。

0034

本発明のめっき浴の残部は水である。本発明の錫−銀系合金電気めっき浴のめっき条件は特に制限されないが、好ましいめっき条件は次の通りである。

0035

陰極電流密度: 0.1〜50 A/dm2、
温度:15〜40℃ (室温でよい) 、
陽極:錫、銀、錫−銀合金等の可溶性陽極、または白金白金めっきチタン材カーボン等の不溶性陽極

0036

被めっき基体は、電気めっき可能な導電性を有するものであれば、特に制限はない。絶縁性の基体の場合には、例えば、無電解めっき等により表面を金属で被覆して導電性を付与することにより、電気めっきを施すことができる。本発明のめっき浴は、特にチップ部品フープ材リードフレーム半導体パッケージバンプ、プリント基板等のハンダ付けを要求される電子部品の錫−銀系合金めっきに好適である。

0037

めっき方法は、ラック法でもバレル法でもよく、またフープ噴流等による高速めっき法を採用してもよい。陰極電流密度は、めっき方法に応じて上記範囲内で適宜設定することが好ましい。

0038

以下に、実施例および比較例の錫−銀系合金電気めっき浴を示す。いずれのめっき浴もpHは1未満であった。なお、以下に示すめっき浴組成において、硫酸は98%硫酸を使用し、その添加量をH2SO4 濃度に換算して示す。

0039

下記組成(残部は水) の酸性錫−銀合金電気めっき浴を調製した。このめっき浴にキレート剤として使用した 3,6−ジチアオクタン−1,8 −ジオールは、上記一般式においてR1=R2=−C2H4OH、n=1の化合物である。

0040

0041

下記組成(残部は水) の酸性錫−銀合金電気めっき浴を調製した。

0042

0043

下記組成(残部は水) の酸性錫−銀合金電気めっき浴を調製した。本例では、酸としてメタンスルホン酸を使用したため、酸の濃度が実施例1、2より高い。このめっき浴にキレート剤として使用した 3,6−ジチアオクタン−1,8 −ジアミンは、上記一般式においてR1=R2=−C2H4NH2、n=1の化合物である。

0044

成 分 濃度 (g/L)
Sn2+ (メタンスルホン酸第一錫として供給) 40.0
Ag+ (メタンスルホン酸銀として供給) 2.5
メタンスルホン酸 140.0
3,6-ジチアオクタン-1,8-ジアミン10.0
β−ナフトールのEO(20モル)付加物10.0
カテコール2.0

0045

下記組成(残部は水) の酸性錫−銀−ビスマス合金電気めっき浴を調製した。

0046

0047

下記組成(残部は水) の酸性錫−銀−銅合金電気めっき浴を調製した。

0048

成 分 濃度 (g/L)
Sn2+ (メタンスルホン酸第一錫として供給) 40.0
Ag+ (メタンスルホン酸銀として供給) 2.5
Cu2+ (メタンスルホン酸銅として供給) 0.3
メタンスルホン酸 140.0
3,6-ジチアオクタン-1,8-ジオール10.0
ヤシ油アミンのEO(15モル)付加物15.0
レゾルシノール2.0

0049

キレート剤(3,6-ジチアオクタン-1,8-ジオール) を添加しなかった以外は実施例1と同じである、下記組成(残部は水) の酸性錫−銀合金電気めっき浴を調製した。

0050

0051

キレート剤を従来品であるトリメチルチオ尿素に変更した以外は実施例2と同じである、下記組成の酸性錫−銀合金電気めっき浴(残部は水) を調製した。

0052

0053

キレート剤を従来品であるチオ尿素に変更した以外は実施例3と同じである、下記組成の酸性錫−銀合金電気めっき浴(残部は水) を調製した。

0054

成 分 濃度 (g/L)
Sn2+ (メタンスルホン酸第一錫として供給) 40.0
Ag+ (メタンスルホン酸銀として供給) 2.5
メタンスルホン酸 140.0
チオ尿素4.0
β−ナフトールのEO(20モル)付加物10.0
カテコール2.0

0055

1.めっき浴の安定性
上記実施例および比較例の各酸性めっき浴をフタ付きガラスビンに入れて室温で静置し、1時間、1週間および1カ月後の沈殿の有無を目視で判断した。結果(○:沈殿なし、×:沈殿あり) を次の表9に示す。

0056

0057

表1からわかるように、キレート剤としてチオエタン化合物を用いた本発明の錫−銀系合金酸性めっき浴は、硫酸を用いて建浴しても、メタンスルホン酸を使用した場合と同様に優れた安定性を示し、沈殿を生ずることなく1カ月以上保存することができた。これに対し、キレート剤が存在しない比較例1では、1時間以内に沈殿が生成した。キレート剤がメチルチオ尿素で、硫酸を使用して建浴した比較例2では1カ月で沈殿を生じ、めっき浴が使用不能になった。キレート剤がチオ尿素である比較例3では、メタンスルホン酸を使用して建浴しても、1週間でめっき浴に沈殿が発生した。

0058

2.ハルセル試験
上記実施例のめっき浴を用いて、ハルセル内で、基板銅板または42アロイ(42%Ni−Fe合金) 板に錫−銀系合金電気めっきを下記条件で行った。

0059

通電:3A×3分
温度:25℃
陽極:錫板
得られたハルセルパターンの5A/dm2の位置での錫−銀系合金めっき皮膜の各金属の析出比率原子吸光光度法により分析した結果を次の表10に示す (残部は錫) 。いずれのめっき皮膜も、ハルセルパターンの白色無光沢部分では緻密で良好な外観を示すものであった。

0060

0061

表10からわかるように、本発明の錫−銀系合金めっき浴により、錫−銀二元合金めっき皮膜のみならず、錫−銀−銅または錫−銀−ビスマス三元合金めっき皮膜も形成することができ、めっき皮膜中合金元素含有量をめっき浴中の組成によって制御することができる。

発明の効果

0062

本発明により、硫酸を用いて建浴した場合にも安定で、沈殿を生ずることなく長期保存が可能で、浴管理が容易な酸性の錫−銀系合金電気めっき浴が実現できる。それにより、錫−銀系合金電気めっきコストの低下が可能となる。本発明の電気めっき浴は、銀の優先析出を押さえて、錫−銀二元合金のみならず、錫−銀−銅または錫−銀−ビスマスといった三元合金のめっき皮膜も形成することができ、形成されためっき皮膜は緻密な白色無光沢の好ましい外観を呈する。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

該当するデータがありません

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 住友金属鉱山株式会社の「 金属膜付き樹脂フィルムの製造装置と製造方法」が 公開されました。( 2020/04/30)

    【課題】湿式メッキ法で金属シード層上に形成される金属膜にピンホールが生じ難い金属膜付き樹脂フィルムの製造装置と製造方法を提供する。【解決手段】真空成膜法で金属シード層を成膜した長尺樹脂フィルム601が... 詳細

  • 矢崎総業株式会社の「 端子嵌合構造」が 公開されました。( 2020/04/30)

    【課題】端子同士が嵌合するにあたり銀系めっきが施された端子にインデントが摺動する構成において、嵌合時の挿入力の低減を図ることが可能な端子嵌合構造を提供する。【解決手段】端子嵌合構造1は、突起状のインデ... 詳細

  • 株式会社三井ハイテックの「 リードフレーム、及びリードフレームパッケージ」が 公開されました。( 2020/04/30)

    【課題】樹脂との密着性に優れるリードフレームを提供すること。【解決手段】リードフレーム100は、基材10と、基材10を覆う表面層12と、を備える。表面層12は、主成分としてCuOを含有する針状酸化物1... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

該当するデータがありません

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ