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課題
解決手段
概要
背景
通常、炭化水素含有フィードを接触的に水素化処理する目的は、不純物の完全又は部分的な除去である。通常の不純物は、硫黄化合物及び窒素化合物である。フィードからのそのような不純物の少なくとも部分的な除去は、最終製品が燃焼されるとき、環境に有害な硫黄酸化物及び/又は窒素酸化物がより少ない量で放出されるであろうことを確保するであろう。加えて、不純物の減じられた含有量は、最終製品の色、臭い、及び安定性の改善をもたらす。更に、硫黄化合物及び窒素化合物は、フィードを直ぐに使用できる製品に転換するための石油工業において使用される触媒の多くに対して有毒である。そのような触媒の例は、分解触媒、水素化分解触媒、及び改質触媒を含む。それ故、フィードは、それらが例えばクラッキング工程において処理されるに先立って、接触水素化処理を施されることが慣例となっている。接触水素化処理は、水素化処理触媒の存在下に高められた温度及び圧力においてフィードを水素と接触させること意味する。このプロセスにおいて、フィード中に存在する硫黄化合物及び窒素化合物の少なくとも一部分は、容易に除去し得る硫化水素及びアンモニアに転換される。これは通常、夫々、水素化脱硫及び水素化脱窒素と言われる。
通常、水素化処理触媒は、第VIB族金属成分及び第VIII族非貴金属成分を担体上にデポジットされた担体から成る。最も一般的に使用される第VIB族金属はモリブデン及びタングステンであり、一方、コバルト及びニッケルは慣用的な第VIII族非貴金属である。リンがまた該触媒中に存在してよい。これらの触媒を調製するための先行技術のプロセスは、担体が、例えば、含浸により水素化金属成分と組成化され、その後、該組成化物が、金属成分をそれらの酸化物に転換するために焼成されることを特徴とする。続いて、該焼成された触媒は通常硫化処理を施される。
燃料中に法律的に許容される硫黄及び窒素含有量に関する要求が常により厳しくなりつつある故に、改善された活性を持つ水素化処理触媒のための絶え間のない要求がある。更に、燃料の所定の最終硫黄含有量において、より活性な触媒は、よりマイルドなプロセス条件(エネルギーの節約)下において操作すること又は再生と再生との間の触媒寿命(周期長)を増大させることを可能にして、より高い処理量を達成するであろう。
種々の努力が、改善された活性を持つ水素化処理触媒を提供するために従来技術においてなされている。この分野における比較的に新しい方向は有機化合物の使用である。例えば、国際特許出願公開第95/31280号公報は、(i)水素化金属を含む触媒組成物を、有機化合物、例えばEDTAと接触させることにより湿潤化すること、(ii)湿潤化された基材を湿っている間にエージングすること、(iii) エージングされた基材を乾燥すること、そして(iv)乾燥された基材を焼成することを含むところの方法を開示している。乾燥及び焼成段階は、水素化処理触媒中に元々存在する有機化合物の全体量を除去又は分解するような方法で実行されることが、国際特許出願公開第95/31280号公報に明確に開示されている。何らの有機化合物をも結果として含まないところの得られた水素化処理触媒は続いて、水素化脱硫されるためにフィードと接触され、そして該プロセスにおいて硫化される。欧州特許第0164162号公報はまた、触媒製造における有機化合物の使用を取り扱っている。しかし、国際特許出願公開第95/31280号公報の場合におけるように、担体への有機化合物の組込みに続く焼成段階は必須として開示されている。
概要
本発明は、耐被害性に優れた硫化された水素化処理触媒を製造する方法、及び炭化水素フィードの水素化処理において該触媒を使用する方法を提供する。
水素化処理触媒が少なくとも50重量%のアルミナを含む担体を含み、該触媒は少なくとも一つの水素化金属成分、並びに少なくとも一つの共有結合された窒素原子及び少なくとも一つのカルボニル部分を含む有機化合物を含み、かつ該有機化合物と水素化金属合計含有量との間のモル比が、少なくとも0.01:1である硫化された水素化処理触媒を製造する方法。上記有機化合物は、エチレンジアミン(四)酢酸(EDTA)。ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸等の、(R1R2)N−R3−N(R1′R2′)で表される化合物である。
目的
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 8件
- 牽制数
- 5件
この技術が所属する分野
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請求項1
水素化処理触媒が硫化段階に付されるところの、硫化された水素化処理触媒を製造する方法において、水素化処理触媒が少なくとも50重量%のアルミナを含む担体を含み、該触媒は少なくとも一つの水素化金属成分、並びに少なくとも一つの共有結合された窒素原子及び少なくとも一つのカルボニル部分を含む有機化合物を含み、かつ該有機化合物と水素化金属合計含有量との間のモル比が、少なくとも0.01:1であるところの方法(但し、該水素化処理触媒は、三酸化物として計算された22重量%のモリブデン、酸化物として計算された4重量%のコバルト、P2O5として計算された3重量%のリンを含むアルミナ水和物担体、並びに第VI族及び第VIII族金属の合計モル量の0.6倍のモル量のEDTAから成る触媒ではない)。
請求項2
有機化合物が、少なくとも二つの窒素原子及び少なくとも二つのカルボニル部分を含むところの請求項1記載の方法。
請求項3
少なくとも一つのカルボニル部分が、カルボキシル基に存在するところの請求項1又は2記載の方法。
請求項4
少なくとも一つの窒素原子が、少なくとも二つの炭素原子に共有結合されているところの請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
請求項5
有機化合物が、式(I)ID=000002HE=005 WI=103 LX=0535 LY=0950(ここで、R1、R2、R1’及びR2’は独立して、カルボニル、カルボキシル、エステル、エーテル、アミノ、又はアミドから選ばれる一つ又はそれ以上の基により置換されていてもよいところの最大10個の炭素原子を持つアルキル、アルケニル、及びアリルから選ばれ、かつR3は、‐O‐又は‐NR4‐により分断されていてよいところの最大10個の炭素原子を持つアルキレン基であり、R4は、R1について上に示されたと同じ基から選ばれ、ここで、R3アルキレン基は、カルボニル、カルボキシル、エステル、エーテル、アミノ、又はアミドから選ばれる一つ又はそれ以上の基により置換されていてよく、但し、式(I)の有機化合物は、少なくとも一つのカルボニル部分を含む)の化合物であるところの請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
請求項6
R1、R2、R1’及びR2’の少なくとも二つが、式‐R5‐COOX(ここで、R5は、1〜4個の炭素原子を持つアルキレン基であり、かつXは、水素又は他のカチオンであり、ここで、Xが多価のカチオンであるなら、一つのXは、二つ又はそれ以上の‐R5‐COO基に結合されることができる)を有するところの請求項5記載の方法。
請求項7
硫化が別の場で実行されるところの請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
請求項8
請求項9
水素化処理触媒が、1.少なくとも50重量%のアルミナを含む触媒担体を少なくとも一つの水素化金属成分と組成すること、2.水素化金属成分による該組成化に先立って、同時に、又は続いて、該触媒担体を該有機化合物と組成すること、3.少なくとも0.01:1の有機化合物対水素化金属合計含有量のモル比を維持するべく、十分に低い温度で水素化金属成分及び有機化合物を含む該担体を任意的に乾燥すること、の段階を含む方法により製造されるところの請求項1〜8のいずれか一つに記載の方法。
請求項10
アルミナが転移アルミナを含むところの請求項1〜9のいずれか一つに記載の方法。
請求項11
請求項12
炭化水素フィードが、Sとして計算された少なくとも0.2重量%の硫黄を含むところの請求項11記載の方法。
技術分野
背景技術
0002
通常、炭化水素含有フィードを接触的に水素化処理する目的は、不純物の完全又は部分的な除去である。通常の不純物は、硫黄化合物及び窒素化合物である。フィードからのそのような不純物の少なくとも部分的な除去は、最終製品が燃焼されるとき、環境に有害な硫黄酸化物及び/又は窒素酸化物がより少ない量で放出されるであろうことを確保するであろう。加えて、不純物の減じられた含有量は、最終製品の色、臭い、及び安定性の改善をもたらす。更に、硫黄化合物及び窒素化合物は、フィードを直ぐに使用できる製品に転換するための石油工業において使用される触媒の多くに対して有毒である。そのような触媒の例は、分解触媒、水素化分解触媒、及び改質触媒を含む。それ故、フィードは、それらが例えばクラッキング工程において処理されるに先立って、接触水素化処理を施されることが慣例となっている。接触水素化処理は、水素化処理触媒の存在下に高められた温度及び圧力においてフィードを水素と接触させること意味する。このプロセスにおいて、フィード中に存在する硫黄化合物及び窒素化合物の少なくとも一部分は、容易に除去し得る硫化水素及びアンモニアに転換される。これは通常、夫々、水素化脱硫及び水素化脱窒素と言われる。
0003
通常、水素化処理触媒は、第VIB族金属成分及び第VIII族非貴金属成分を担体上にデポジットされた担体から成る。最も一般的に使用される第VIB族金属はモリブデン及びタングステンであり、一方、コバルト及びニッケルは慣用的な第VIII族非貴金属である。リンがまた該触媒中に存在してよい。これらの触媒を調製するための先行技術のプロセスは、担体が、例えば、含浸により水素化金属成分と組成化され、その後、該組成化物が、金属成分をそれらの酸化物に転換するために焼成されることを特徴とする。続いて、該焼成された触媒は通常硫化処理を施される。
0004
燃料中に法律的に許容される硫黄及び窒素含有量に関する要求が常により厳しくなりつつある故に、改善された活性を持つ水素化処理触媒のための絶え間のない要求がある。更に、燃料の所定の最終硫黄含有量において、より活性な触媒は、よりマイルドなプロセス条件(エネルギーの節約)下において操作すること又は再生と再生との間の触媒寿命(周期長)を増大させることを可能にして、より高い処理量を達成するであろう。
0005
種々の努力が、改善された活性を持つ水素化処理触媒を提供するために従来技術においてなされている。この分野における比較的に新しい方向は有機化合物の使用である。例えば、国際特許出願公開第95/31280号公報は、(i)水素化金属を含む触媒組成物を、有機化合物、例えばEDTAと接触させることにより湿潤化すること、(ii)湿潤化された基材を湿っている間にエージングすること、(iii) エージングされた基材を乾燥すること、そして(iv)乾燥された基材を焼成することを含むところの方法を開示している。乾燥及び焼成段階は、水素化処理触媒中に元々存在する有機化合物の全体量を除去又は分解するような方法で実行されることが、国際特許出願公開第95/31280号公報に明確に開示されている。何らの有機化合物をも結果として含まないところの得られた水素化処理触媒は続いて、水素化脱硫されるためにフィードと接触され、そして該プロセスにおいて硫化される。欧州特許第0164162号公報はまた、触媒製造における有機化合物の使用を取り扱っている。しかし、国際特許出願公開第95/31280号公報の場合におけるように、担体への有機化合物の組込みに続く焼成段階は必須として開示されている。
発明が解決しようとする課題
0006
本発明は、水素化処理触媒が硫化段階に付されるところの、硫化された水素化処理触媒を製造する方法に関し、ここで、水素化処理触媒が少なくとも50重量%のアルミナを含む担体を含み、該触媒は少なくとも一つの水素化金属成分、並びに少なくとも一つの共有結合された窒素原子及び少なくとも一つのカルボニル部分を含む有機化合物を含み、かつ該有機化合物と水素化金属合計含有量との間のモル比が、少なくとも0.01:1である。
0007
本発明の方法と国際特許出願公開第95/31280号公報又は欧州特許第0164162号公報の方法との間の相違は、これらの二つの引用文献において有機化合物が、硫化に先立って乾燥及び焼成により水素化処理触媒から除去されるのに対して、本発明のプロセスにおいて硫化されるべき水素化処理触媒は、上記の量において有機化合物を含むと言う事実に帰する。驚くべきことに、本発明の硫化された触媒は、国際特許出願公開第95/31280号公報又は欧州特許第0164162号公報の触媒の水素化処理における活性と等しいか又はより一層高いところの水素化処理における活性を有し、同時に、焼成段階の省略がより簡単かつ安価な方法にすることが分かった。
0008
付随的に国際特許出願公開第96/41848号公報又は欧州特許第0601722号公報は、有機化合物を含んでいる間に使用され、そして従って硫化されるところの有機化合物含有水素化処理触媒の製造方法を開示している。しかし、両者の引用文献は、本発明のプロセスにおいて使用される窒素及びカルボニル含有化合物とは全く異なるところの有機化合物を開示している。有機化合物含有水素化処理触媒の硫化が開示されているところの更なる引用文献は、欧州特許第0181035号公報である。しかし、この引用文献はシリカ担体を含む触媒に完全に向けられている。これらの触媒は、担体が少なくとも50重量%のアルミナを含むところの本発明の触媒とは完全に相違する。
0009
最後に、欧州特許第0482818号公報の比較例1は、三酸化物として計算された22重量%のモリブデン、酸化物として計算された4重量%のコバルト、P2O5として計算された3重量%のリンを含むアルミナ水和物担体、並びに第VI族及び第VIII族金属の合計モル量の0.6倍のモル量のEDTAから成る触媒を開示している。この引用文献は全体として、本発明の触媒組成物と完全に異なる触媒組成物、即ち、アルミナ水和物、第VI族金属、第VIII族金属、及びオキシ酸を含む触媒組成物を取り扱っており、かつ上記の比較例は単に比較に過ぎない故に、この引用文献は、偶発的な発見と見なされるべきである。それ故、上記組成を持つ触媒は権利請求されない。
課題を解決するための手段
0010
本発明は、下記に更に詳細に述べられるであろう。本発明は、水素化処理触媒が硫化段階に付されるところの、硫化された水素化処理触媒を製造する方法に関し、ここで、水素化処理触媒が少なくとも50重量%のアルミナを含む担体を含み、該触媒は少なくとも一つの水素化金属成分、並びに少なくとも一つの共有結合された窒素原子及び少なくとも一つのカルボニル部分を含む有機化合物を含み、かつ該有機化合物と水素化金属合計含有量との間のモル比が、少なくとも0.01:1である。
0011
本明細書の文脈において、術語「硫化段階」は、触媒に存在する水素化金属成分の少なくとも一部分が硫化形態に転換されるところのいずれのプロセス段階をも含むことを意味する。適切な硫化プロセスは当業者に公知である。通常公知の硫化プロセスは別の場で(ex-situ)及びその場で(in-situ)の硫化である。別の場での硫化プロセスは、触媒が炭化水素フィードを水素化処理するのに使用されるべきであるところの反応器の外側において行う。そのようなプロセスにおいて、触媒は、反応器の外側で硫黄化合物、例えば、ポリスルフィド又は元素硫黄と接触され、かつ必要なら、乾燥される。第二段階において、該物質は、触媒を活性化するため、即ち、それを硫化された状態にするために任意的にフィードの存在下に反応器において高められた温度で水素ガスにより処理される。
0012
その場での硫化プロセスは、触媒が、炭化水素フィードを水素化処理するのに使用されるべきであるところの反応器において行う。ここで、触媒は、硫化剤、例えば、硫化水素又は広く行われている条件下において硫化水素に分解し得るところの化合物と混合された水素ガス流と高められた温度において反応器中で接触される。広く行われている条件下に硫化水素に分解し得るところの硫黄化合物を含む炭化水素フィードと組合された水素ガス流を使用することがまた可能である。後者の場合に、添加された硫化剤を含む炭化水素フィード(いわゆるスパイクトフィード(spiked feed))を使用することができ、しかし、また、フィード中に存在する硫黄成分が触媒の存在下に硫化水素に転換されるであろう故に、任意の添加された硫化剤を含まない硫黄含有炭化水素フィードを使用することもできる。炭化水素フィードは水素化脱硫に付されるべきフィードであるが、それはまた、水素化脱硫に付されるべきフィードにより後で置き換えられるところの別のフィードであり得る。種々の硫化技術の組合せがまた適用され得る。上記の全ては当業者に公知である。結局この点において、任意的にスパイクされた炭化水素フィードによるその場での硫化が好ましいと考えられる。
発明を実施するための最良の形態
0013
本発明の水素化処理触媒中に存在する有機化合物は、少なくとも一つの共有結合された窒素原子及び少なくとも一つのカルボニル部分を含む。例は、アミノポリカルボン酸、例えば、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン(四)酢酸(EDTA)、及びジエチレントリアミン五酢酸を含む。有機化合物は、好ましくは少なくとも二つの窒素原子及び好ましくは少なくとも二つのカルボニル部分を含む。少なくとも一つのカルボニル部分がカルボキシル基に存在することが更に好ましい。少なくとも一つの窒素原子が、少なくとも二つの炭素原子に共有結合されていることがより一層好ましい。好ましい有機化合物は、式(I)
ID=000003HE=005 WI=102 LX=0540 LY=1600
を満たす化合物である。ここで、R1、R2、R1’及びR2’は独立して、カルボニル、カルボキシル、エステル、エーテル、アミノ、又はアミドから選ばれる一つ又はそれ以上の基により任意的に置換されていてもよいところの最大10個の炭素原子を持つアルキル、アルケニル、及びアリルから選ばれる。R3は、‐O‐又は‐NR4‐により分断されていてよいところの最大10個の炭素原子を持つアルキレン基である。R4は、R1について上に示されたと同じ基から選ばれる。R3アルキレン基は、カルボニル、カルボキシル、エステル、エーテル、アミノ、又はアミドから選ばれる一つ又はそれ以上の基により置換されていてよい。上で詳しく述べたように、式(I)の有機化合物は少なくとも一つのカルボニル部分を含むことが必須である。好ましくは、R1、R2、R1’及びR2’の少なくとも二つは式‐R5‐COOXを有し、ここで、R5は、1〜4個の炭素原子を持つアルキレン基であり、そしてXは、水素又は他のカチオン、例えば、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、及び/又はリチウムカチオンである。もし、Xが多価のカチオンであるなら、一つのXは、二つ又はそれ以上の‐R5‐COO基に結合されることができる。そのような化合物の典型的な例は、エチレンジアミン(四)酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、及びジエチレントリアミン五酢酸である。本発明の水素化処理触媒は、単一の有機化合物並びに異なる有機化合物の組合せを含み得ることは明らかであろう。
0014
水素化処理触媒の担体は、少なくとも50重量%のアルミナを含む。アルミナは好ましくは、転移アルミナ、例えば、η‐、θ‐、又はγ‐アルミナを含み、ここで、γ‐アルミナが最も好ましい。担体はその上、更なる成分、例えば、慣用の酸化物、例えば、シリカ、シリカ‐アルミナ、シリカ‐アルミナが分散されたアルミナ、シリカ被覆されたアルミナ、マグネシア、ジルコニア、ボリア、及びチタニア、並びにこれらの酸化物の混合物を含み得る。アルミナは、担体の合計重量に基いて、好ましくは80重量%より多くの量で、そしてより好ましくは85重量%より多くの量で、そして更により好ましくは88重量%より多くの量で担体中に存在する。95重量%より多くのアルミナを含む担体が更により好ましい。担体は実質的にアルミナ、好ましくは転移アルミナを含むことが最も好ましい。
0015
担体は、当業者に公知のプロセス、例えば、下記の手順に従って製造され得る。
0016
アルミナ担体のための前駆体は、例えば、アルミナヒドロゲル(ベーマイト)の形態において選ばれる。前駆体が、例えば、スプレードライイングにより乾燥され又は乾燥されなかった後に、担体は通常、例えば押出しにより粒子状に成形される。成形された粒子は通常、400〜850℃の範囲の温度で焼成され、結果として、転移アルミナ、例えば、γ‐、θ‐、又はη‐アルミナを含む担体を生ずる。
0017
水素化処理触媒中に含まれる水素化金属は好ましくは、第VIB族金属及び第VIII族非貴金属の組み合わせである。適切な第VIB族金属は、例えば、モリブデン、タングステン、及びクロムである。適切な第VIII族非貴金属は、例えば、ニッケル、コバルト、及び鉄を含む。モリブデン及び/又はタングステンとニッケル及び/又はコバルトとの組み合わせが特に好ましい。もし、触媒の水素化脱硫の活性がより重要であるなら、モリブデンとコバルトの組合せが有利である。もし、触媒の水素化脱窒素の活性がより重要であるなら、モリブデン又はタングステンとニッケルの組合せが有利である。
0019
本発明の水素化処理触媒は、
1.少なくとも50重量%のアルミナを含む触媒担体を少なくとも一つの水素化金属成分と組成すること、
2.水素化金属成分による該組成化に先立って、同時に、又は続いて、該触媒担体を該有機化合物と組成すること、
3.少なくとも0.01:1の有機化合物対水素化金属合計含有量のモル比を維持するべく、十分に低い温度で水素化金属成分及び有機化合物を含む該担体を任意的に乾燥すること、の段階を含むプロセスにより製造され得る。
0020
上記のように、担体は、水素化金属成分に先立って、続いて又は同時に有機化合物と組成化される。これらの三つの選択は、下記において代替法(a)、(b)及び(c)としてより詳細に述べられるであろう。
0021
代替法(a)
代替法(a)は、担体がまず、水素化金属成分と組成化され、そして続いて、得られた担体が、有機化合物と組成化されるところの場合を言う。これは、例えば、担体を、第一のプロセス段階において一つ又はそれ以上の水素化金属成分を含む溶液により含浸すること、そして、安定な酸化物に水素化金属成分を転換するために十分な温度でこのようにして得られた生成物を任意的に乾燥及び/又は焼成することによりなされ得る。第二のプロセス段階において、このようにして得られた生成物は次いで、有機化合物と組成化される。例えば、有機化合物により、上記で定義したような担体上に水素化金属成分を含む慣用の水素化処理触媒を組成化することが可能である。このプロセスにおいて使用される慣用の水素化処理触媒は、新しく製造された水素化処理触媒又は再生されたところの使用済みの水素化処理触媒のいずれであってもよい。
0022
あるいは、一つ又はそれ以上の水素化金属成分が、例えば、成形段階が実行されるに先立って、担体と全体的に又は部分的に混合され得る。そのような実施態様において、水素化金属成分、又はその一部分が、例えば、含浸により又は固体の形状でそれを混合することにより、例えば、未だ成形されていない担体、例えば、粉末又は(ヒドロ)ゲル上に析出されることができて、その後、成形段階が、例えば、いわゆる(共)ペレット化又は(共)押出しにより実行される。もし、水素化金属成分が、成形段階の前に担体と組成化されるべきなら、このプロセスにおいて採用される第VIB族金属成分が三酸化モリブデンであることが推奨される。任意の焼成段階が成形された粒子に適用された後に、それらは、有機化合物と組成化される。下記においてより詳細に説明されるであろうように、アルミナの少なくとも一部分を転移アルミナに転換するために、焼成段階を実行することが通常好ましい。
0023
有機化合物による組成化は、例えば、適切な溶媒中に有機化合物を含む含浸溶液の適切な量により担体を含浸することにより実行され得る。これは、例えば、当業者に周知の、平衡/浸漬含浸により又は細孔体積含浸により行われ得る。この技術において、含浸溶液の合計体積は、含浸されるべき担体の合計細孔体積の範囲にあるために選ばれる。担体及び含浸溶液の適切な量が、含浸溶液の実質的に全てが担体に吸収されるまで、混合される。
0024
他の化合物、例えば、メタノール、エタノール及び他のアルコールがまた、有機化合物の性質に依存して適切であり得るけれども、有機化合物を含む含浸溶液を製造するために使用される溶媒は通常水である。もし、有機化合物の性質が自体これを与えるなら、溶媒の使用は原則として必要がない。これは、例えば、室温で液体であるところの化合物にあてはまる。
0025
代替法(b)
代替法(b)は、担体がまず、有機化合物と組成化され、そして続いて、有機化合物を含む担体が、上記の技術により水素化金属成分と組成化されるところの場合を言う。任意的に、有機化合物が、成形段階が実行されるに先立って、上で定義しような担体と組成化され得る。得られた生成物は成形され、そして続いて、上記の技術により水素化金属成分と組成化される。この点において結局、成形された転移アルミナ含有担体を、有機化合物とそして続いて水素化金属と組成することがこの実施態様において好ましいと考えられる。
0026
代替法(c)
代替法(c)は、担体が有機化合物及び水素化金属成分と同時に組成化されるところの場合を言う。これは、例えば、水素化金属成分及び有機化合物の適切な量を含む水性溶液により担体を組成化することにより行われ得る。しかし、この点において結局余り好ましくないけれども、例えば、水素化金属成分及び有機化合物の適切な量を含む水性溶液又は固体の形状における全ての化合物と、例えば、成形段階が実行されるに先立って上で定義したような担体を組成化することがまた可能である。
0027
上記のように触媒担体が、転移アルミナ、例えば、η‐、θ‐、又はγ‐アルミナを含むことが好ましく、ここで、γ‐アルミナが最も好ましいことが注目される。これは、もし、アルミナ水和物、例えばベーマイトが出発物質として使用されるなら、担体は好ましくは、アルミナ水和物の少なくとも一部分を転移アルミナに転換するために焼成段階に付される。焼成段階は通常、0.5〜6時間、400〜850℃の温度で実行される。この焼成段階は任意の添加物を取除くであろう故に、この場合に、添加物が、転移アルミナが形成された後にのみ、触媒組成物中に組込まれるべきであることは明白であろう。従って、第一段階において、転移アルミナを含む担体が、通常、成形された粒状物の形態で製造され、その後、第二段階において、添加物が担体と組成化されるところのプロセスにより触媒を製造することが好ましい。水素化金属は、転移アルミナを製造するために成形しかつ焼成する前にアルミナ前駆体を通して混合すこと、そして、添加物の組込みに先立って、同時に又は続いて転移アルミナを含む担体の含浸を含む任意の方法において触媒中に組込まれ得る。
0028
上記の代替法における含浸技術に代って、たとえば、浸漬法、スプレー法等が使用されることができ、ここで、含浸、例えば、細孔体積含浸が好ましい。更に、上記のように、有機化合物の性質に依存して、水素化金属成分及び有機化合物そのままと、即ち、溶媒を使用することなしに担体を組成化することが可能である。
0029
上記の代替法の全てにおいて、水素化金属成分は好ましくは、それらの夫々の酸化物として計算して、0.1〜50重量%の量で施与される。もし、水素化金属成分が、第VIB族及び第VIII族非貴金属成分を含むなら、それらは好ましくは、三酸化物及び一酸化物として計算されて、夫々、5〜50重量%、好ましくは5〜30重量%の量及び1〜15重量%、好ましくは1〜10重量%の量で施与される。金属含有量は、ドライベースとして、即ち、空気中で600℃において1時間からの加熱後の触媒に基いて計算される。
0030
上記に示したように、含浸技術により有機化合物を担体中に組込むことが好ましい。この場合において、水素化処理触媒の製造に使用されるべき有機化合物の適切な量の適切な選択は、下記のようにして調節される。即ち、使用されるべき有機化合物そのままの適合性及び有機化合物の量の両者を決定する重要な因子は、有機化合物を含む含浸溶液の粘度である。高触媒活性を得るために、有機化合物は、触媒上に均一に分散されなければならない。含浸溶液が余りにも粘性であり過ぎるなら、含浸段階は、触媒上に有機化合物の均一な分散をもたらさないであろう。有機化合物の性質に依存して、有機化合物の適切な量は好ましくは、触媒中に存在する合計水素化金属の1モル当り有機化合物の0.05〜2.5モルの範囲にある。加えられた有機化合物の量が余りに低すぎるなら、本発明の有利な効果が得られないであろう。一方、有機化合物の非常に多い量の添加は発明の効果を改善しないであろう。それどころか、金属の浪費の他に、必要な量より多い量の有機化合物の添加は、大量の有機物質が触媒中に存在することをもたらし、それは、触媒が硫化され及び/又は使用されるときに有害なコークス形成及び所望されない分解生成物をもたらし得る。更に、前に説明したように、多量の有機化合物の使用は、許容し得ない値に含浸溶液の粘度を上昇し得る。当業者に明らかであるように、特定の状況において使用されるべき有機化合物の正確な量、及びこれらの範囲のための上下限は、触媒の金属含有量、触媒の細孔体積及び細孔寸法分布、有機化合物の性質、含浸溶液に使用されるべき溶媒、含浸条件等を含む種々のパラメータに依存するであろう。上記変数を計算して、各々の特定の状況において使用されるべき有機化合物の最適な量を決定することは当業者の範囲内において十分であろう。
0031
上記のプロセスにおいて担体中に組込まれるべき適切な他の化合物は、例えば、リン、ホウ素、又はハロゲンを含む化合物である。特に、触媒の脱窒素活性を改善するために、触媒の重量に基いてP2O5として計算された0.1〜10重量%の量におけるリンの組込みが好ましい。適切なリン化合物は、リン酸及び種々のアンモニウムハイドロジェンホスフェートを含む。リン含有化合物は、例えば、リン含有化合物を更に含むところの含浸溶液を含浸段階において施与することにより、例えば、担体中に組込まれ得る。
0032
担体、有機化合物、及び水素化金属成分を含む触媒は、もし乾燥が必要なら乾燥段階の前に、担体が有機化合物及び水素化金属成分と組成化された後に、エージングされることが可能である。しかし、エージングは、より複雑なプロセスを形成し、同時にそれが活性の増加をもたらさないと思われる故に、結局この点においてエージングは好ましくない。
0033
エージング段階において適用されるエージング時間は、もし採用されるなら、温度の関数である。通常、エージング時間は、エージング温度の上昇に伴って減少する。好ましくは、担体、水素化金属成分、及び有機化合物を含むところの得られた触媒のエージングが、4時間に亘る時間のために0〜50℃の温度、又は3時間に亘る時間のために50℃を超える温度において実行される。替りの実施態様において、担体、水素化金属成分、及び有機化合物を含むところの得られた触媒が、15分間に亘る時間、水熱条件下(即ち、水がなお液相であるような圧力で)100℃を超える温度においてエージングされる。あるいは、担体、水素化金属成分、及び有機化合物を含む得られた触媒をエージングする段階は、マイクロ波での加熱によりもたらされる。他方、例えば、誘導加熱を使用する加熱による、担体、水素化金属成分、及び有機化合物を含むところの得られた触媒をエージングする段階をもたらすことがまた可能である。
0034
もし必要なら、任意的にエージングされた触媒が溶媒を取除くために乾燥される。もし乾燥段階が実行されるなら、それは、得られた水素化処理触媒において、少なくとも0.01:1、好ましくは少なくとも0.05:1、そしてより好ましくは少なくとも0.1:1の有機化合物合計含有量対水素化金属合計含有量のモル比を維持するために十分に低い温度においてもなされなければならない。モル比は、とりわけ、0.65ミリリットル/グラム未満の細孔体積を持つ触媒のために、最大0.55:1であることが好ましくあり得る。結果として、採用されるべき乾燥条件は、触媒中に存在する有機化合物が沸騰し又は分解するところの温度に大きく依存する。乾燥段階の間に触媒にできるだけ多くの有機化合物を保持することが好ましいが、より揮発性の有機化合物で、乾燥段階の間のこれらの有機化合物の蒸発は常には回避されることができない。従って、乾燥段階は、減圧下に空気中で、又は不活性ガス中で実行され得る。通常、より低い温度が、触媒中に存在する有機化合物の性質に依存して必要であり得るけれども、220℃未満の乾燥温度を有することが有利である。80〜150℃の温度範囲が通常好ましいであろう。
0035
もし、製造プロセスが上記の段階とは別に更なるプロセス段階を含むなら、上記の値未満に、得られた水素化処理触媒中の有機化合物と水素化金属合計含有量との間のモル比を減じるところのプロセス段階が採用されないことが注意さなければならない。例えば、有機化合物と担体を組成化した後及び得られた水素化処理触媒の硫化に先立って、慣用の焼成が、有機化合物の全量を取除くであろう故に、国際特許出願公開第95/31280号公報又は欧州特許第0164162号公報のプロセスにおける場合のように、慣用の焼成は実行されてはならない。これらの引用文献の焼成段階は本発明の方法において不要にされることができ、そしてそれは経済的に非常に有利である。
0036
水素化処理プロセス
本発明はまた、炭化水素フィードを水素化処理するためのプロセスに関し、炭化水素フィードが水素化処理条件下に上記の水素化処理触媒と接触される。水素化処理は通常、250〜450℃の範囲の温度、5〜250バールの範囲の圧力、0.1〜10時間−1の範囲の空間速度、及び50〜2000Nリットル/リットルの範囲のH2/油比のような慣用の水素化処理条件下に行う。適切なフィードの例は、中間留出物、灯油、ナフサ、減圧ガス油、及び重質ガス油を含む。好ましくは、炭化水素フィードは、原子硫黄Sとして計算されて少なくとも0.2重量%の硫黄を含む。好ましい水素化処理反応は、(高度な)水素化脱硫、水素化脱窒素、及び水素化脱芳香族である。本発明は、下記の実施例により説明される。
0037
本発明に従う触媒1は次のようにして製造された。γ‐アルミナ担体上の、三酸化物として計算された26重量%のモリブデン、酸化物として計算された4.7重量%のニッケル、及びP2O5として計算された6.7重量%のリンを含む慣用の水素化処理触媒が、モリブデン及びニッケルの合計の1モル当り0.11モルのEDTAを含むところのジアンモニウムEDTA溶液での細孔体積含浸により含浸された。該触媒は、閉じられた容器中で75℃で3日間エージングされた。エージング後、該触媒は130℃の生成物温度に熱風で循環しながら乾燥される。
0038
本発明に従う触媒2は、それが、EDTA含浸後にエージングされず、1.5時間乾燥されたことを除いて、触媒1と同じ方法で製造された。比較触媒1は、エージング段階後に触媒が454℃の温度において2時間焼成されたことを除いて、触媒1と同じ方法で製造された。この触媒は、国際特許出願公開第95/31280号公報の教示に従う。
0039
触媒は、アップフローの管型反応器において試験された。各々の反応器チューブは、70ミリリットルのカーボランダム粒子により均一に混合された75ミリリットルの触媒を含んでいた。触媒は、ジメチルジスルフィドが2.5重量%の合計のS含有量まで溶解されているところのSRGOを使用して硫化された(LHSV=4.0、H2/油=120Nリットル/リットル、P=30バール、T=320℃)。
0041
0042
ID=000005HE=025 WI=076 LX=1120 LY=0400
反応器からの油生成物が分析され、そして、水素化脱窒素のための触媒の比体積活性が計算された。ここで、比較触媒1の活性は100に設定された。結果は下記の表3に与えられている。
0043
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