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技術 正極活物質と該正極活物質を用いたリチウム二次電池

出願人 DOWAホールディングス株式会社
発明者 飯川明伸尾本義和仁科正行
出願日 1999年4月30日 (20年5ヶ月経過) 出願番号 2000-128857
公開日 2000年11月24日 (18年10ヶ月経過) 公開番号 2000-323143
状態 特許登録済
技術分野 二次電池(その他の蓄電池) 電池の電極及び活物質
主要キーワード 高導電性物質 イオン半径差 導電率上昇 直流抵抗測定 半導性物質 圧縮加重 導電率測定装置 導電率低減
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2000年11月24日)のものです。
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図面 (3)

課題

製造コストの増大や電池性能の低下を招くことなしに、電池破裂発火惹起する内部短絡電流による発熱を抑制できる正極活物質およびそれを使用するLiNiO2 系二次電池の提供。

解決手段

層状結晶構造を有するLiとNiを主成分とする複合酸化物において、Niの一部を所定割合のAl、B、Y、Ce、Ti、Sn等異種元素さらにはCo、Mn等元素置換して正極活物質の熱安定性を向上させると共に、圧縮密度が4.0g/cm3における圧粉体の25℃における導電率を1×10-2〜5×10-4S/cmの範囲内に低減して内部短絡時の安全性を図った正極活物質とする。また、この活物質による正極を用いたリチウム二次電池とする。

概要

背景

近年、電子機器の小型化、高性能化および携帯化が進み、これら携帯用電子機器に使用される高エネルギー密度電池の要求が高まっている。これらの要求を満たす電池システムとして、リチウム二次電池は軽量で、高エネルギー密度の条件を満たすものとして期待が大きい。

このような電池の正極活物質としては、リチウムを挿入・脱離し得ることが可能な層状化合物、例えばLiCoO2やLiNiO2、あるいはトンネル構造を有する化合物、例えばLiMn2O4等、リチウムと遷移金属主体とする複合酸化物が知られている。このようなリチウム含有複合酸化物のうち、LiCoO2 は既に実用化されているが、資源的に希少で高価なコバルトを用いていることから、より安価で高エネルギー密度化が可能なLiNiO2 において、材料開発が精力的に行われている。

LiNiO2 の実用化には、LiNiO2 は結晶構造に起因すると考えられているサイクル劣化や、充電状態での安全性、信頼性の確保に問題があった。サイクル劣化については、Niの一部をCoやMn等の異種金属置換してサイクル劣化を抑制することや、また高温保存性加熱試験に関しては、Niの一部をAl等の他元素で置換して、熱安定性を向上させることなどが提案され、実用化にむけての改良がなされてきた。

しかしながら現時点では、LiNiO2 系の正極活物質材料は、実用化されるに至っていない。その理由は、電池の安全性評価機械誤用試験のうち、釘刺し試験および圧壊試験において、これまで提案されてきた正極活物質の熱安定性の改良手段をもってしても、安全性の確保と高性能電池との両立が困難なことにある。ここで釘刺し試験および圧壊試験とは、日本蓄電池工業会指針リチウム2次電池の安全性評価基準ガイドラインSBAG1101」に規定された試験方法で、電池の破損による内部短絡状況を想定している。このような内部短絡の場合には、PTC素子の作動やセパレーター溶融によるシャットダウンといった保護回路が機能しない状況下であり、短絡電流に伴う急激な電池内部での発熱が、電池の破裂発火の原因になると指摘されている。

このような観点から内部短絡に対する安全性対策として、電池設計上からの安全性対策が、種々提案がなされてきた。例えば、特開平10−116619には、内部短絡時のジュール熱の発生を抑制するため、負極活物質として体積抵抗率が5×10-3Ω・cm以下である黒鉛を使用することが開示されている。また、特開平10−199574には、導電性基体表面に、導電性基体よりも高い抵抗値を有する抵抗体層を形成することにより、短絡時の大電流放電を抑制することが開示されている。さらに、特開平10−116633においては、正極に電気的に接続した金属部分と負極に電気的に接続した金属部分をセパレーターを介して対向させ、前記金属部分のいずれか一方に導電性粉末塗着することにより、電池の変形による内部短絡時に、金属部分間に短絡電流を導通することで、発熱が抑制されることが開示されている。

概要

製造コストの増大や電池性能の低下を招くことなしに、電池の破裂や発火を惹起する内部短絡電流による発熱を抑制できる正極活物質およびそれを使用するLiNiO2 系二次電池の提供。

層状結晶構造を有するLiとNiを主成分とする複合酸化物において、Niの一部を所定割合のAl、B、Y、Ce、Ti、Sn等異種元素さらにはCo、Mn等元素で置換して正極活物質の熱安定性を向上させると共に、圧縮密度が4.0g/cm3における圧粉体の25℃における導電率を1×10-2〜5×10-4S/cmの範囲内に低減して内部短絡時の安全性を図った正極活物質とする。また、この活物質による正極を用いたリチウム二次電池とする。

目的

従って本発明の目的は、内部短絡試験における安全性の改良されたLiNiO2 系正極活物質粉末およびそれを用いた高性能なリチウム二次電池を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
7件
牽制数
6件

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請求項1

層状結晶構造を有するリチウムニッケルを主成分とする複合酸化物において、一般式:LiaNi1-b-cM1bM2cO20.95≦a≦1.05、0.01≦b≦0.10、0.10≦c≦0.20(但し、M1はAl、B、Y、Ce、Ti、Sn、V、Ta、Nb、W、Moから選ばれる1種以上の元素、M2はCo、Mn、Feから選ばれる1種以上の元素)で表される元素組成を有する粉末であり、かつ、該粉末を加圧成形した時の圧縮密度が4.0g/cm3における圧粉体の25℃における導電率:σが5×10-2≧σ≧5×10-4 [S/cm] の範囲内であることを特徴とする正極活物質

請求項2

請求項1記載の正極活物質を用いたことを特徴とするリチウム二次電池

技術分野

0001

本発明は、非水系二次電池用正極活物質および該正極活物質を用いた非水系二次電池に関する。

背景技術

0002

近年、電子機器の小型化、高性能化および携帯化が進み、これら携帯用電子機器に使用される高エネルギー密度電池の要求が高まっている。これらの要求を満たす電池システムとして、リチウム二次電池は軽量で、高エネルギー密度の条件を満たすものとして期待が大きい。

0003

このような電池の正極活物質としては、リチウムを挿入・脱離し得ることが可能な層状化合物、例えばLiCoO2やLiNiO2、あるいはトンネル構造を有する化合物、例えばLiMn2O4等、リチウムと遷移金属主体とする複合酸化物が知られている。このようなリチウム含有複合酸化物のうち、LiCoO2 は既に実用化されているが、資源的に希少で高価なコバルトを用いていることから、より安価で高エネルギー密度化が可能なLiNiO2 において、材料開発が精力的に行われている。

0004

LiNiO2 の実用化には、LiNiO2 は結晶構造に起因すると考えられているサイクル劣化や、充電状態での安全性、信頼性の確保に問題があった。サイクル劣化については、Niの一部をCoやMn等の異種金属置換してサイクル劣化を抑制することや、また高温保存性加熱試験に関しては、Niの一部をAl等の他元素で置換して、熱安定性を向上させることなどが提案され、実用化にむけての改良がなされてきた。

0005

しかしながら現時点では、LiNiO2 系の正極活物質材料は、実用化されるに至っていない。その理由は、電池の安全性評価機械誤用試験のうち、釘刺し試験および圧壊試験において、これまで提案されてきた正極活物質の熱安定性の改良手段をもってしても、安全性の確保と高性能電池との両立が困難なことにある。ここで釘刺し試験および圧壊試験とは、日本蓄電池工業会指針リチウム2次電池の安全性評価基準ガイドラインSBAG1101」に規定された試験方法で、電池の破損による内部短絡状況を想定している。このような内部短絡の場合には、PTC素子の作動やセパレーター溶融によるシャットダウンといった保護回路が機能しない状況下であり、短絡電流に伴う急激な電池内部での発熱が、電池の破裂発火の原因になると指摘されている。

0006

このような観点から内部短絡に対する安全性対策として、電池設計上からの安全性対策が、種々提案がなされてきた。例えば、特開平10−116619には、内部短絡時のジュール熱の発生を抑制するため、負極活物質として体積抵抗率が5×10-3Ω・cm以下である黒鉛を使用することが開示されている。また、特開平10−199574には、導電性基体表面に、導電性基体よりも高い抵抗値を有する抵抗体層を形成することにより、短絡時の大電流放電を抑制することが開示されている。さらに、特開平10−116633においては、正極に電気的に接続した金属部分と負極に電気的に接続した金属部分をセパレーターを介して対向させ、前記金属部分のいずれか一方に導電性粉末塗着することにより、電池の変形による内部短絡時に、金属部分間に短絡電流を導通することで、発熱が抑制されることが開示されている。

発明が解決しようとする課題

0007

しかしながら、これら内部短絡に対する電池設計上の安全性対策は、製造コストの増大や、活物質充填量の低下・負荷率特性の低下を伴い、LiNiO2 系の正極活物質に本来期待されている安価で高性能な電池の実現には最適ではなかった。すなわち、層状結晶構造を有するリチウムとニッケルを主体とする元素との複合酸化物粉末を正極活物質として用いた高容量の非水系二次電池においては、内部短絡時における安全性の向上が課題であり、製造コストや電池性能犠牲となる電池設計上の安全性対策によらない正極活物質としての改良が求められている状況にある。

0008

従って本発明の目的は、内部短絡試験における安全性の改良されたLiNiO2 系正極活物質粉末およびそれを用いた高性能なリチウム二次電池を提供することにある。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らは上記課題に対し鋭意検討を重ねた結果、LiNiO2 系の正極活物質を用いた非水系二次電池における釘刺し試験や圧壊試験においてみられるような内部短絡状況での安全性の確保には、Niの一部を異種元素で置換して充電時における熱的な安定性の向上を図ると同時に、粉体物性としての電気伝導度の低減を図ることが必要であるとの知見を得た。

0010

これまで正極活物質として用いられてきた層状結晶構造化合物のLiCoO2は不定比組成化合物であり、P型半導体であることが知られている。そのため、酸化物としては比較的高い10-2〜10-3(S/cm)程度の電子伝導度を有している。また、充電状態ではLiが結晶構造から脱離することにより、格子内のCoが酸化されて平均価数が+3価以上となることから、電子伝導度は未充電状態よりさらに1桁程度高くなることが報告されている。

0011

しかしながら、これら層状化合物の電気伝導度の絶対値は集電剤や負極活物質と較べれば低く、また粉末状であることから粒子間の導通を確保するために、実用電池においては導電助剤として黒鉛、或いはアセチレンブラックのような炭素材に代表される高導電性物質正極合材中に添加されている。このような導電助剤の添加量は一般的に3重量%程度で、体積分率換算したとしても5%程度であり、正極合剤層内でのパーコレーションモデルによる導電回路の形成には不十分な量である。さらに正極活物質が半導性物質である場合、粒子の空隙・或いは接点に存在する少量の導電助剤によっても粒子内を貫通する導電経路成立し、電気抵抗が著しく低減することが知られている。したがって、正極合剤層内には、集電体基体から活物質粒子を貫通して電子が流れる経路が存在していると考えられる。

0012

一方、P型半導体であるLiNiO2 の電子伝導度は、同じ層状結晶構造を有しているLiCoO2 よりも1桁以上高く、またスピネル構造のLiMn2O4より3桁程度高いことが知られている。本発明者等は、LiNiO2 のように電気伝導度がLiCoO2 やLiMn2O4より桁違いに高い活物質を用いた場合には、電池の短絡時に活物質粒子内を貫通して大電流が流れ、この貫通電流ジュール発熱によって活物質自身が急速に自己加熱されて熱分解を生じることがLiNiO2 系正極活物質の安全性上の問題点であるとの知見を得た。

0013

短絡時に発生するこのような活物質の自己発熱の問題は、LiNiO2 系化合物の抵抗温度特性NTC(Negative Temperature Coefficient)であることにより一層加速される。また、電気化学反応における活物質界面でのLiイオン反応抵抗に起因する発熱速度も、短絡電流の大きさ、すなわち活物質の導電率に比例する。従って、正極活物質の導電率に関連する電池の内部発熱因子複合的であり、導電性低減による安全性の改良効果は、非常に大きいといえる。

0014

また、従来技術にみられるように、Niの一部を他元素で置換して、充電時の熱的安定性を向上させることも電池の安全性を確保するため不可欠である。これら置換元素は添加量に比例して活物質の放電容量を低下させるため、少量の置換量で改良効果を発揮する元素を選定することが好ましい。

0015

このように正極活物質の熱安定性を向上させると共に、導電率を低減して内部短絡時の安全性の向上を図るという本発明の技術思想は、従来にない新規発想である。従来技術においては、正極活物質の導電率はむしろ増加させることが望まれてきた。例えば、特開平10−241691においてはLiMeO2 構造におけるLi位置にMgを存在させることにより、正極活物質の電子伝導率を増大させている。導電性を低減するという技術思想がなされなかった理由として、LiNiO2 系活物質の負荷率特性が、従来材料であるLiCoO2 より劣ることがあげられる。そのため負荷率特性に関連する電子伝導性は高い方が有利であると一般的に考えられてきたためである。

0016

しかしながら、本発明者等は、LiNiO2 系活物質の負荷率特性の問題は電気化学反応における電子伝導性が律速ではなく、活物質表面と有機電解液との界面反応活性化分極)に起因しているとの知見を得ている。従って、活物質を多孔質構造としてその細孔分布を最適化すること、すなわち固液界面面積を増大させ、かつ、イオン拡散経路を十分確保することにより改善することが可能であることを見出だした。 。

0017

一方、Proc.2nd Japan-France Joint Seminar on Lithium Batteries,P.38では、LixNi0.8Co0.2O2組成で、電子伝導率と充電状態および温度との依存性が報告されており、X=1すなわち未充電状態の室温における電子導電率が約1×10-3 S/cmと従来の報告例より約一桁以上電子伝導性の低い正極活物質が例示されているが、電子伝導性と内部短絡時の安全性に関する何らの技術思想を開示するものでなく、さらに短絡時の安全性確保の観点からみれば、Niサイトの20mol%をCoで置換しただけでは熱的安定性の改良が不十分であり 、本発明の要件を満たすものではない。

0018

すなわち、本発明は、第1に、層状結晶構造を有するリチウムとニッケルを主成分とする複合酸化物において、一般式
LiaNi1-b-cM1bM2cO2 (1)
0.95≦a≦1.05、0.01≦b≦0.10、0.10≦c≦0.20
(但し、M1 はAl、B、Y、Ce、Ti、Sn、V、Ta、Nb、W、Moから選ばれる1種以上の元素、M2 はCo、Mn、Feから選ばれる1種以上の元素)で表される元素組成を有する粉末であり、かつ、該粉末を加圧成形した時の圧縮密度が4.0g/cm3における圧粉体の25℃における導電率:σが、5×10-2≧σ≧5×10-4 [S/cm]の範囲内であることを特徴とする正極活物質であり、第2に、前記第1に記載の正極活物質を用いたことを特徴とするリチウム二次電池である。

発明を実施するための最良の形態

0019

本発明の正極活物質は、層状構造を有するリチウムとニッケルを主成分とする複合酸化物において、前記(1)式 LiaNi1-b-cM1bM2cO2で表される一般式中のLiは電池中で電荷の移動を担うために必要な元素であり、 aは0.95〜1.05の範囲内にあることが必要である。aが0.95未満では放電容量の低下が顕著である。また aが1.05を超えると過剰のLiが残留して、電極作製時にペーストゲル化を生じやすく弊害を生ずる。また、Niは層状結晶構造をとるために必要であり、Liの添加量はNiをほぼ基準として決定される。

0020

組成式中のM1 は、Al、B、Y、Ce、Ti、Sn、V、Ta、Nb、W、Moから選ばれる1種以上からなる元素であり、充電状態での結晶の熱的安定性を向上させ、かつ、導電率を低減するために、0.01〜0.10の範囲で添加する。0.01未満では熱的安定性の向上および導電率低減の効果が不充分であり、0.10を超えると容量の低下が著しくなる。Al、B、Yは熱的安定性の改良効果が大きく、Ni(+3価)とのイオン半径差に比例してAl>B>Yの順でLiNiO2 への固溶範囲が広い。AlとBは導電率を低減する効果もある。Yはb=0.005前後の少量添加でも熱的安定性の改良効果が高い。また、酸化物としてn型半導性を示し、+4価以上の原子価で安定な元素群:Ce、Ti、Sn、V、Ta、Nb、W、Moを添加すると、熱的安定性の向上と導電率の低減が図れる。組成式中のM2 はCo、Mn、Feから選ばれる1種以上の元素であり、充放電サイクルの経時に伴う容量劣化を抑制する効果があり、0.10〜0.20の範囲で添加する。0.10未満では効果が不充分であり、0.20を超えると初期容量が低下する。

0021

これら元素は組み合わせて添加することにより、熱的安定性や導電率の低減効果が向上する場合があり、そのより好ましい発明の形態としての複合酸化物は、
次式:LiaNi1-x-y-cN1xN2yM2cO2
0.95≦a≦1.05、0.01≦x+y≦0.10、0.10≦c≦0.20
(但し、N1はAl、B、Yより選ばれる1種以上の元素、N2はCe、Ti、Sn、V、Ta、Nb、W、Moから選ばれる1種以上の元素、M2はCo、Mn、Feから選ばれる1種以上の元素)で表される組成のものである。添加元素の熱的安定性や導電率に対する効果は、活物質の合成条件合成方法出発原料等によっても大きく異なり、組成式による規定は必要条件であっても十分条件でないことに留意が必要である。

0022

本発明の正極活物質の導電率:σは、5×10-2〜5×10-4(S/cm)の範囲内であることが必要である。より好ましくは、1×10-2〜5×10-4(S/cm)の範囲内である。以下にその理由を詳細に述べる。当然のことながら、本発明の組成的な要件を満たしていても、導電率範囲外であれば、内部短絡時の安全性確保は困難である。

0023

まず、本発明における導電率の測定方法を説明する。図1導電率測定装置を図示した。すなわち、油圧プレス機1の固定盤2にPVC等絶縁板3と金属板4を取り付け、Al箔等集電体5を介してダイスを兼ねる試料収納用の絶縁性耐圧容器6をセットすると共に、可動盤7にも絶縁板8と金属板9とさらに金型10を取り付けてあり、金型10と集電体5間の導電率を抵抗測定器11によって計測できるようにしてある。

0024

試料Sとして正極活物質粉末約5gを量し、PVC製の絶縁性耐圧容器(内径17.6mm)6に収納し、この試料粉末Sに、一定の圧縮加重(P)を加えながら圧粉体の厚み(t)と直流抵抗値(r)を測定し、導電率:σ(P)および圧縮密度:ρ(P)を算出した。さらに圧縮加重を0.8〜3.2 ton/cm2の範囲で変化させ多点測定を行って、得られたσ(P)とρ(P)の関係より、加圧した成形体の圧縮密度が4.0g/cm3における導電率に換算して充填状態の変動による誤差補正した。この導電率測定は、室温25℃、相対湿度40±10%の環境下で実施した。

0025

LiNiO2 のような半導体物質の粒子においては、粒子固有抵抗(Rs)、接触抵抗(Rc)、表面吸着抵抗(Rs)の関係は一般的に、Rs>Rb>Rcであり、圧粉体抵抗RはほぼRbに等しいことが知られている。従って測定誤差として、充填状態(接触抵抗)や水分吸着量等の影響を受けにくいと考えられるが、測定条件妥当性を確認するため、LiNi0.8Co0.2O2粉末を用いて、加湿操作により水分吸着量を0.05wt%〜1wt%の範囲で、また解粒操作により平均粒子径を5〜15μmの範囲で変化させて導電率への影響を確認した結果、何れもσ=(9±1)×10-2 (S/cm)であり、再現誤差の程度であった。

0026

上記測定方法により、現在実用化されている市販のLiCoO2 を3種類評価した結果を表1に示す。導電率は1×10-2から1×10-4(S/cm)の範囲内であった。LiNi0.8Co0.2O2と比較すると、約10〜1000倍程度、導電率が低い結果であった。また、導電率と負荷率特性に相関は認められるものの、その影響はあまり大きくないことが確認された。

0027

0028

次に導電率が、3×10-1〜5×10-3(S/cm)の各種活物質粉末を用い、図1の導電率測定装置を用い、圧粉体に直流を4V定電圧印加して電流値を測定し、導電率を求めた。この試験は電池の内部短絡状態を想定し、活物質の導電率と短絡電流によるジュール加熱の関係を確認する目的で行った。導電率が3×10-1(S/cm)の活物質試料Dを測定したところ、4V印加直後に電流測定レンジを逸脱して導電率は測定不能(導電率>1×10+0 S/cm)となった。4V印加後わずか数秒で、PVC製の絶縁容器内壁が熱により焼損した。この現象はジュール加熱により活物質の温度が上昇して電気抵抗が低下(導電率が上昇)することにより、更に大電流が導通して加熱が促進される、という連鎖反応が生じて熱暴走状態になったものと判断される。

0029

一方、導電率が各々1×10-2(S/cm)、5×10-3(S/cm)である活物質試料AとBを、同様に4Vの定電圧印加して導電率測定したところ、その値は直流抵抗測定から得られた導電率とほぼ一致した。また4Vの定電圧印加状態を30秒以以上継続しても、導電率の顕著な上昇は認められず、試料Dで生じたようなジュール加熱による熱暴走は生じなかった。

0030

以上の結果から活物質の導電率は内部短絡時の加熱因子として重要であり、ある導電率値以上を境にジュール熱による熱暴走状態を引き起こすことが想定される。表2は圧粉体密度が4g/cm3で、活物質層厚を50μm、活物質の比熱を0.2cal/gと想定した場合での活物質の導電率と、4V印加時のジュール熱による自己昇温速度の関係を算出したシュミレーション結果である。

0031

0032

LiNiO2系材料の一般的な導電率は1×10-1(S/cm)前後であり、充電状態での加熱による熱分解温度は2百数十度Cであること、またLiNiO2 の電気抵抗(NTC)特性に起因する導電率上昇による連鎖反応を考慮すると、内部短絡時にLiNiO2 系活物質はジュール加熱によって、ほぼ瞬間的に熱分解温度に到達するものと考えられる。

0033

従って本発明の要件である導電率の範囲としては、従来技術による電池処方での安全性対策を併用する場合でも、5×10-2(S/cm)以下であることが最低でも必要であり、更にはLiCoO2 同等の導電率とすることで電池処方が不要となる 1×10-2(S/cm)以下であることがより望ましい。また短絡時の安全性確保が困難な薄膜・大面積電極や、過充電試験という過酷な状況を想定した場合でも、5×10-4(S/cm)の導電率であればジュール発熱による問題はないと考えられ、これを導電率の下限値とする。

0034

活物質の電気化学特性および熱的安定性の評価方法について説明する。
正極活物質の電気化学特性の評価法
正極板の作製は、正極活物質とアセチレンブラックとPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を、重量比で87:8:5の割合で乳鉢混合後、ロール圧延機混練シート上に成形した。負極には金属Li、セパレーターにはポリプロピレンフィルム電解液炭酸エチレン炭酸エチレン体積比で1:1に混合した溶媒に、電解質としてLiPF6を1 mol/Lで溶解したものを用いて、図2に示したような試験電池を作製した。この試験電池12では、正極13と負極14はセパレータ15を介在してステンレスケース16に収納され、封口板17とガスケット18が施されている。充放電試験は、電流密度が0.53mA/cm2で4.2Vまで定電流充電した後、電流密度が0.13mA/cm2になるまで定電圧充電を行った。その後、0.53mA/cm2で2.7Vまで定電流放電を行い、活物質の重量当たりの放電容量を求めた。負荷率特性の評価は、前述の試作電池を用いて放電電流を5mA/cm2で測定し、0.53mA/cm2放電時の放電容量に対する維持率(%)で表した。

0035

正極活物質の熱安定性の評価法
Ar雰囲気グローブボックス内で、4.2Vで充電後の試験電池から正極板を取り出し、電解液を含有した状態で約20mgの試料をアルミニューム製の密閉容器封入後、5℃/minで300℃まで昇温して示差熱量分析(TG-DTA)を行った。この時に試料が急発熱を開始する温度を熱暴走温度として、活物質の熱的安定性の指標とした。熱安定性の高い活物質は、熱暴走温度が高温側にシフトする。以下に、実施例をもって本発明の正極活物質について詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらによって限定されるものではない。

0036

ニッケル、コバルト、アルミニウムの各硝酸塩モル比でNi:Co:Al=70:20:10で混合した溶液を、液温を80゜Cに制御した反応容器内に連続的に投入し、48重量%濃度の水酸化ナトリウム溶液中和して、PHを10.0±0.2に制御することにより共沈水酸化物沈殿を得た。この水酸化物を、Li/(Ni+Co+Al)=1.05となるように水酸化リチウムと混合し、1トン/cm2で加圧して成形体を得た。この成形体を酸素気流中で800゜Cで10時間焼成し、臼式解砕機で解粒してLi1.04Ni0.70Co0.20Al0.10O2組成の層状結晶構造化合物の粉末を得た。

0037

この粉末は平均粒子径が約8μmの不定形二次粒子であり、BET法による比表面積は2.3m2/g、導電率は2.2×10-2(S/cm)であった。この粉末を活物質として用いた場合の電気化学特性は、放電容量が150mAh/g、初期効率が86%、負荷率特性は56%であった。活物質の熱的安定性は、熱暴走温度:274℃であった。なお、成形体のLi/(Ni+Co+Al)と焼成後の層状結晶構造化合物のLi含有組成が一致しないのは、焼成時にLiが揮発することに起因すると考えられる。

0038

実施例1で用いた水酸化物をLi/(Ni+Co+Al)=1.05となるように水酸化リチウムと混合し、1トン/cm2で加圧して成形体を得た。この成形体を酸素気流中で700゜Cで10時間焼成し、臼式解砕機で解粒してLi1.04Ni0.70Co0.20Al0.10O2組成の層状結晶構造化合物の粉末を得た。この焼成物固形分濃度が50重量%となるように、1重量%濃度の硝酸リチウム溶液中に懸濁し、湿式ビーズミルで平均粒子径が1μm以下になるまで湿式粉砕して分散スラリーを得た。このスラリー噴霧乾燥して球状に造粒した。これを酸素気流中で800゜Cで2時間焼成後、臼式解砕機で解粒してLi1.04Ni0.70Co0.20Al0.10O2組成の層状結晶化合物粉末を得た。

0039

この粉末は平均粒子径が約12μmの球状二次粒子であり、粒子表面から粒子内部に貫通するポアーが多数認められた。BET法による比表面積は2.1m2/g、導電率は3.2×10-2(S/cm)であった。この粉末を活物質として用いた場合の電気化学特性は、放電容量が173mAh/g、初期効率が91%、負荷率特性は69%であった。活物質の熱的安定性は、熱暴走温度:257℃であった。

0040

成形体のLi/(Ni+Co+Al)組成比を0.95、1.00、1.10に変えた以外は、実施例2と同様にして層状結晶構造化合物を作製・評価した。結果を表3に示す。

0041

共沈水酸化物のNi:Co:Alが80:20:0であり、成形体のLi/(Ni+Co+Al)組成比が1.01、1.10に変更した以外は、実施例2と同様にして層状結晶構造化合物を作製・評価した。結果を表3に示す。

0042

0043

実施例1〜2と比較例1〜5の結果よりわかるように、層状結晶構造化合物が化学量論組成比(LiMO2 )に対し、Li含有量が多いほど導電率が低減するが、熱的安定性は不安定となる。また、Alのように安定性を改良する置換元素がない場合は、熱安定性は著しく悪化することは明らかである。逆にLi含有量が少ない場合は、熱的安定性には優れるものの、導電率の上昇や放電容量の著しい低下が認められる。従って望ましいLi/M組成比の範囲は0.95〜1.05の範囲である。

0044

共沈水酸化物のNi:Co:Alが、79:20:1、77:20:3、74:20:6、68:20:12 であり、成形体のLi/(Ni+Co+Al)組成比が1.03である事を除けば、実施例2と同様の同様にして層状結晶構造化合物を作製・評価した。評価結果を表4に示す。表4に記載の如く、Al添加により導電性の低減と熱安定性の改良が図れるものの、放電容量低下の影響が著しい。

0045

0046

ニッケル、コバルト、アルミニウムの各硝酸塩を,モル比でNi:Co:Al=77:20:3で混合した溶液を、液温を80゜Cに制御した反応容器内に連続的に投入し、48重量%濃度の水酸化ナトリウム溶液で中和して、PHを10.0±0.2に制御することにより共沈水酸化物の沈殿を得た。この水酸化物を、Li/(Ni+Co+Al)=1.03となるように水酸化リチウムと混合し、1トン/cm2で加圧して成形体を得た。この成形体を酸素気流中で700℃で10時間焼成し、臼式解砕機で解粒して層状結晶構造化合物の粉末を得た。

0047

この焼成物と、Nb/Li1.03Ni0.77Co0.20Al0.03O2=0.01の量に相当するNb2O5を、固形分濃度が50重量%となるように、1重量%濃度の硝酸リチウム溶液中に懸濁し、湿式ビーズミルで平均粒子径が1μm以下になるまで湿式粉砕して分散スラリーを得た。このスラリーを噴霧乾燥して球状に造粒した。これを酸素気流中で800゜Cで2時間焼成後、臼式解砕機で解粒してLi1.02Ni0.76Co0.20Al0.03Nb0.01O2組成の層状結晶化合物粉末を得た。この粉末は平均粒子径が約9μmの球状二次粒子であった。BET法による比表面積は3.3m2/g、導電率は2.0×10-2(S/cm)であった。この粉末を活物質として用いた場合の電気化学特性は、放電容量が189mAh/g、初期効率が92%、負荷率特性は57%であった。 活物質の熱的安定性は、熱暴走温度:257゜Cであった。

0048

Nb2O5の代わりに、WO3、MoO3、Ta2O5、V2O5、SnO4、TiO4、CeO2 を用いた以外は、実施例3と同様にして、層状結晶構造化合物を作製・評価した。表5にその結果を示す。実施例3〜10で添加した元素群の特徴は酸化物としてN型半導体であり、かつ酸化物として+4価以上で安定である。比較例7との対比において、Al単独添加の場合と異なり1at%という少量で熱安定性の改良効果があると同時に、導電率を約1/2〜1/10に低減する効果がある。熱安定性の改良効果は、酸化物で安定な原子価が+5価である場合に著しい。このような効果が何故生じるかは不明であるが、ESCA分析によれば、酸素結合エネルギーがシフトしており、層状結晶構造の酸素サイトに何らかの影響を及ぼしていると考えられる。また、EPMAではこれら元素の分布状態を観察したが、偏析状態は認められなかった。

0049

0050

Nb2O5の代わりに、Co3O4、Mn2O3、Fe2O3、BaO、CaO、MgO、Al2O3を用いた以外は、実施例3と同様にして、層状結晶構造化合物を作製・評価した。表6にその結果を示す。これら元素は、酸化物単体としての導電性は低いが、層状結晶構造化合物に添加しても導電率を下げる効果は期待できず、熱的安定性も改善しない。

0051

0052

Nb2O5の代わりに、B2O3、P2O5、Si2O3を用いた以外は、実施例3と同様にして、層状結晶構造化合物を作製・評価した。表7にその結果を示す。

0053

0054

実施例3で用いた水酸化物と、Nb/Li1.03Ni0.77Co0.20Al0.03O2=0.01の量に相当するNb2O5を、Li/(Ni+Co+Al+Nb)=1.03となるように水酸化リチウムと混合し、1トン/cm2で加圧して成形体を得た。この成形体を酸素気流中で700゜Cで10時間焼成し、臼式解砕機で解粒して層状結晶構造化合物の粉末を得た。この焼成物を、固形分濃度が50重量%となるように、1重量%濃度の硝酸リチウム溶液中に懸濁し、湿式ビーズミルで平均粒子径が1μm以下になるまで湿式粉砕して分散スラリーを得た。このスラリーを噴霧乾燥して球状に造粒した。これを酸素気流中で800゜Cで2時間焼成後、臼式解砕機で解粒してLi1.03Ni0.77Co0.20Al0.03Nb0.01O2組成の層状結晶化合物粉末を得た。この粉末は平均粒子径が約10μmの球状二次粒子であった。BET法による比表面積は2.6m2/g、導電率は5.8×10-2(S/cm)であった。この粉末を活物質として用いた場合の電気化学特性は、放電容量が191mAh/g、初期効率が93%であった。活物質の熱的安定性は、熱暴走温度:227゜Cであった。実施例3に対し導電率の低減効果や、熱安定性の改良効果が劣るものであった。

0055

ニッケル、コバルト、アルミニウムの各硝酸塩を、モル比でNi:Co:Al=77:20:3で混合した溶液を、液温を80゜Cに制御した反応容器内に連続的に投入し、48重量%濃度の水酸化ナトリウム溶液で中和して、PHを10.0±0.2に制御することにより共沈水酸化物の沈殿を得た。この水酸化物を、Li/(Ni+Co+Al)=1.03となるように水酸化リチウムと混合し、1ton/cm2で加圧して成形体を得た。この成形体を酸素気流中で700゜Cで10時間焼成し、臼式解砕機で解粒して層状結晶構造化合物の粉末を得た。

0056

この焼成物と、Nb/Li1.03Ni0.77Co0.20Al0.03O2=0.01の量に相当するNb2O5と、Li/Li1.03Ni0.77Co0.20Al0.03O2=0.01の量に相当する硝酸リチウムを混合し、石川式ライカイ機で30分間混合後、この粉末を酸素気流中で800゜Cで2時間焼成して、Li1.02Ni0.77Co0.20Al0.03Nb0.01O2組成の層状結晶化合物粉末を得た。この粉末の平均粒子径は約5μmの不定形二次粒子であった。BET法による比表面積は4.2m2/g、導電率は9.8×10-2(S/cm)であった。この粉末を活物質として用いた場合の電気化学特性は、放電容量が179mAh/g、初期効率が84%で、活物質の熱的安定性は、熱暴走温度:232゜Cであった。

0057

ニッケル、コバルト、アルミニウムの各硝酸塩と、ホウ酸をモル比でNi:Co:Al:B=76:20:3:1で混合した溶液を、液温を80゜Cに制御した反応容器内に連続的に投入し、48重量%濃度の水酸化ナトリウム溶液で中和して、PHを10.0±0.2に制御することにより共沈水酸化物の沈殿を得た。この水酸化物を、Li/(Ni+Co+Al+B)=1.03となるように水酸化リチウムと混合し、1トン/cm2で加圧して成形体を得た。この成形体を酸素気流中で700゜Cで10時間焼成し、臼式解砕機で解粒して層状結晶構造化合物の粉末を得た。

0058

この焼成物を、固形分濃度が50重量%となるように、1重量%濃度の硝酸リチウム溶液中に懸濁し、湿式ビーズミルで平均粒子径が1μm以下になるまで湿式粉砕して分散スラリーを得た。このスラリーを噴霧乾燥して球状に造粒した。これを酸素気流中で800゜Cで2時間焼成後、臼式解砕機で解粒してLi1.02Ni0.76Co0.20Al0.03B0.01O2組成の層状結晶化合物粉末を得た。この粉末は平均粒子径が約13μmの球状二次粒子であった。BET法による比表面積はは2.6m2/g、導電率は6.9×10-3(S/cm)であった。この粉末を活物質として用いた場合の電気化学特性は、放電容量が180mAh/g、初期効率が90%、負荷率特性は75%であった。活物質の熱的安定性は、熱暴走温度:257゜Cであった。

0059

水酸化物と水酸化リチウムの混合をLi/(Ni+Co+Al+B)=0.95とした以外は実施例12と同様にして層状結晶構造化合物を作製・評価した。この粉末の組成は、Li0.96Ni0.76Co0.20Al0.03B0.01O2で、平均粒子径が約11μmの球状二次粒子であった。BET法による比表面積はは2.2m2/g、導電率は7.2×10-2(S/cm)であった。この粉末を活物質として用いた場合の電気化学特性は、放電容量が192mAh/g、初期効率が90%であった。活物質の熱的安定性は、熱暴走温度:245゜Cであった。

0060

実施例12で用いた水酸化物を、Li/(Ni+Co+Al+B)=0.95となるように水酸化リチウムと混合し、1トン/cm2で加圧して成形体を得た。この成形体を酸素気流中で700゜Cで10時間焼成し、臼式解砕機で解粒して層状結晶構造化合物の粉末を得た。この焼成物を、固形分濃度が50重量%となるように、3重量%濃度の硝酸リチウム溶液中に懸濁し、湿式ビーズミルで平均粒子径が1μm以下になるまで湿式粉砕して分散スラリーを得た。このスラリーを噴霧乾燥して球状に造粒した。これを酸素気流中で800゜Cで2時間焼成後、臼式解砕機で解粒してLi1.03Ni0.76Co0.20Al0.03B0.01O2組成の層状結晶化合物粉末を得た。この粉末は平均粒子径が約12μmの球状二次粒子であった。BET法による比表面積は3.0m2/g、導電率は3.8×10-2(S/cm)であった。この粉末を活物質として用いた場合の電気化学特性は、放電容量が190mAh/g、初期効率が89%であった。活物質の熱的安定性は、熱暴走温度:247゜Cであった。実施例12〜13と比較例21の結果よりホウ素添加による導電率の低減は、Al添加と同様にLi含有量の影響を受けていることがわかる。

0061

実施例12で用いた水酸化物を、Li/(Ni+Co+Al+B)=0.95となるように水酸化リチウムと混合し、1トン/cm2で加圧して成形体を得た。この成形体を酸素気流中で700゜Cで10時間焼成し、臼式解砕機で解粒して層状結晶構造化合物の粉末を得た。この焼成物と、Nb/Li1.03Ni0.76Co0.20Al0.03B0.01O2=0.01の量に相当するNb2O5を、固形分濃度が50重量%となるように、3重量%濃度の硝酸リチウム溶液中に懸濁し、湿式ビーズミルで平均粒子径が1μm以下になるまで湿式粉砕して分散スラリーを得た。このスラリーを噴霧乾燥して球状に造粒した。これを酸素気流中で800゜Cで2時間焼成後、臼式解砕機で解粒して Li1.03Ni0.76Co0.20Al0.03B0.01O2組成の層状結晶化合物粉末を得た。この粉末は平均粒子径が約10μmの球状二次粒子であった。BET法による比表面積は4.6m2/g、導電率は6.8×10-3(S/cm)であった。この粉末を活物質として用いた場合の電気化学特性は、放電容量が186mAh/g、初期効率が87%であった。活物質の熱的安定性は、熱暴走温度:271゜Cであった。

0062

焼成時の雰囲気を空気とした以外は実施例と同様にして Li1.03Ni0.76Co0.20Al0.03B0.01O2組成の層状結晶化合物粉末を得た。この粉末は平均粒子径が約11μmの球状二次粒子であった。BET法による比表面積は2.4m2/g、導電率は9.4×10-4(S/cm)であった。この粉末を活物質として用いた場合の電気化学特性は、放電容量が189mAh/g、初期効率が91%であった。活物質の熱的安定性は、熱暴走温度:258゜Cであった。

0063

ニッケル、コバルト、アルミニウム、イットリウムの各硝酸塩と、ホウ酸を、モル比でNi:Co:Al:B:Y=75.5:20:3:1:0.5で混合した溶液を、液温を80゜Cに制御した反応容器内に連続的に投入し、48重量%濃度の水酸化ナトリウム溶液で中和して、PHを10.0±0.2に制御することにより共沈水酸化物の沈殿を得た。この水酸化物を、Li/(Ni+Co+Al+B+Y)=0.95となるように水酸化リチウムと混合し、1トン/cm2で加圧して成形体を得た。この成形体を酸素気流中で700゜Cで10時間焼成し、臼式解砕機で解粒して層状結晶構造化合物の粉末を得た。

0064

この焼成物を、固形分濃度が50重量%となるように、3重量%濃度の硝酸リチウム溶液中に懸濁し、湿式ビーズミルで平均粒子径が1μm以下になるまで湿式粉砕して分散スラリーを得た。このスラリーを噴霧乾燥して球状に造粒した。これを酸素気流中で800゜Cで2時間焼成後、臼式解砕機で解粒してLi1.02Ni0.755Co0.20Al0.03B0.01Y0.005O2組成の層状結晶化合物粉末を得た。この粉末は平均粒子径が約14μmの球状二次粒子であった。BET法による比表面積は0.3m2/g、導電率は3.2×10-2(S/cm)であった。この粉末を活物質として用いた場合の電気化学特性は、放電容量が180mAh/g、初期効率が89%であった。活物質の熱的安定性は、熱暴走温度:244゜Cであった。

発明の効果

0065

以上述べたように、本発明の正極活物質によれば、層状結晶構造を有するリチウムとニッケルを主成分とする複合酸化物において、ニッケルを他の遷移金属、および少なくともAl、B、Y、Ce、Ti、Sn、V、Ta、Nb、W、Moから選ばれる1種以上の元素を含有することで、充電状態における熱的安定性が向上し、かつ、圧縮密度が4.0Kg/cm2における圧粉体の25゜Cにおける導電率を5×10-2(S/cm)以下に、より好ましくは1×10-2(S/cm)以下にすることで、電池が内部短絡を生じた状況下においても短絡電流によるジュール発熱が抑制され、安全性の確保が容易になるという効果を奏する。

図面の簡単な説明

0066

図1本発明の正極活物質の導電率測定に用いた導電率測定装置の断面図である。
図2本発明の正極活物質による正極を組み込んだ試験電池の断面図である。

--

0067

プレス機
2固定盤
3,8絶縁板
4,9金属板
5集電体
6耐圧容器
7可動盤
12電池
13 正極
14 負極
16ステンレスケース
17 封口板

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