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技術 MRSAが産生する毒素タンパクの検出方法およびモノクローナル抗体とその断片およびMRSAが産生する毒素タンパク検出用キットおよびモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ

出願人 パナソニックエコシステムズ株式会社大阪府
発明者 中野長久鎌田洋一神尾好是丹羽和裕小野内徹後藤裕一
出願日 2000年3月6日 (20年1ヶ月経過) 出願番号 2000-059946
公開日 2000年11月21日 (19年5ヶ月経過) 公開番号 2000-316574
状態 拒絶査定
技術分野 生物学的材料の調査,分析 突然変異または遺伝子工学 微生物による化合物の製造 微生物、その培養処理 ペプチド又は蛋白質
主要キーワード 合成樹脂片 固体片 電気的処理 ディスク拡散法 ニトロセルローズ 白血球溶解 検体分 mecA遺伝子
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重要な関連分野

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図面 (2)

課題

従来困難であった院内感染起因菌MRSAが産生する毒素タンパクの迅速・確実な検出を可能とする方法を開発すること。

解決手段

MRSAが産生する毒素タンパク、ロイコシジンFに対するモノクローナル抗体および酵素蛍光色素ビオチン等で標識化した該モノクローナル抗体を提供する。また、該モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを提供する。さらに該モノクローナル抗体、該標識化モノクローナル抗体を使用するMRSAの産生する毒素タンパクの簡易迅速な検出法を提供するとともに該検出法に使用するキットを提供する。

概要

背景

一般に細菌、特に病原性細菌の検出は困難であり、しかも時間がかかる厄介な課題である。従来、多くの方法が提案されているが、迅速かつ簡便に細菌、特に病原性細菌を検出する方法は確立されているとは言い難い。

中でも、MRSA、すなわち、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌は、院内感染の起因菌として1980年代から注目されだし、今日に至るも全世界的にその対策に苦慮している最重要な病原菌である。1940年代にペニシリンが開発されて以来、病原菌と抗生物質の開発との間には熾烈な闘いが繰り広げられてきたことは周知のことである。すなわち、抗生物質が頻用されるにつれ、その抗生物質に対する耐性菌が現れるようになり、ついには多種類の抗生物質、例えば、ペニシリン系抗生物質のみでなく、クロラムフェニコールテトラサイクリンアミノ糖抗生物質、サルファ剤などに対して種々の組み合わせで多剤耐性の病原菌が現れるに至ったのである。その代表的な病原菌がMRSAである。これらの多剤耐性病原菌のほとんどは抗生物質が多用される病院内で発生し他の患者医師看護婦にも感染し、しかもその治療が困難であるため、世界的に大きな問題となっている。

現在行われている対策としては、MRSAの発生をいちはやく発見してその感染を防ぐことに主眼が置かれており、そのためには、MRSAの信頼できかつ迅速な検出法が不可欠である。しかしながら、信頼できかつ迅速に結果を出せるMRSA検出法はこれまで開発に成功していないといわなければならない。

例えば、MRSAの検出法として最も信頼性の高いPCR法、すなわち、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌MSSA)には存在せず、MRSAに存在してβ−ラクタム系抗生物質に対する耐性化に関与している、mecA遺伝子増幅して検出する方法は、設備熟練した技術者を必要とするうえ、結果がでるまで時間がかかり迅速性に欠けるという問題点を含んでいる。

また、現在一般に使用されているWHOや米国NCCLS推奨の「ディスク拡散法」、日本化学療法学抗菌薬感受性測定検討委員会設定の「MIC測定法」、NCCLS推奨の「MRSAスクリーン寒天培地法」はいずれもPCR法に比べ信頼性に乏しく、しかも通常の黄色ブドウ球菌同定プロセスとMRSAの検出プロセスという2段階のプロセスを経るため、結果がでるまで2日以上を要し迅速性に欠けるという問題点を含んでいる。

従って、患者検体等からMRSAを検出するための信頼できる迅速なMRSA検出法の開発が強く望まれている。

概要

従来困難であった院内感染起因菌MRSAが産生する毒素タンパクの迅速・確実な検出を可能とする方法を開発すること。

MRSAが産生する毒素タンパク、ロイコシジンFに対するモノクローナル抗体および酵素蛍光色素ビオチン等で標識化した該モノクローナル抗体を提供する。また、該モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを提供する。さらに該モノクローナル抗体、該標識化モノクローナル抗体を使用するMRSAの産生する毒素タンパクの簡易迅速な検出法を提供するとともに該検出法に使用するキットを提供する。

目的

本発明の第1の目的は、MRSAの検出に使用できるモノクローナル抗体、すなわち、MRSAまたはその産生物に特異的なモノクローナル抗体および抗体活性を有するそのFabフラグメントを提供することにある。本発明の第2の目的は、上記モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを提供することにある。本発明の第3の目的は上記モノクローナル抗体を用いる迅速かつ簡易でしかも信頼性の高いMRSAが産生する毒素タンパクの検出法を提供することにある。本発明の第4の目的は上記MRSAが産生する毒素タンパクの検出法に使用するための患者検体に直接適用できるMRSAが産生する毒素タンパク検出キットを提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
1件

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請求項1

MRSAが産生する毒素タンパクに特異的に結合する能力を有する抗体を使用するMRSAが産生する毒素タンパクの検出方法

請求項2

MRSAが産生する毒素タンパクに特異的なモノクローナル抗体

請求項3

MRSAが産生する毒素タンパク、ロイコシジンFに特異的なモノクローナル抗体。

請求項4

MRSAが産生する毒素タンパク、ロイコシジンFで免疫した動物細胞と該動物ミエローマ細胞との細胞融合により作成されたハイブリドーマによって産生され、ロイコシジンFに特異的に結合する能力を有するモノクローナル抗体。

請求項5

上記ハイブリドーマが受託番号FERM BP−6669として工業技術院生命工学工業技術研究所寄託されたハイブリドーマである請求項4記載のモノクローナル抗体。

請求項6

請求項2〜請求項5いずれか1項に記載のモノクローナル抗体から得られる断片であって、ロイコシジンFと結合する活性を有する断片。

請求項7

標識化された、請求項2〜請求項5いずれか1項に記載のモノクローナル抗体。

請求項8

酵素放射性同位元素蛍光色素ビオチン染料ゾル金コロイドおよび着色ラテックスからなる群より選択される少なくとも一つにより標識化された、請求項2〜請求項5いずれか1項に記載のモノクローナル抗体。

請求項9

酵素、放射性同位元素、蛍光色素、ビオチン、染料ゾル、金コロイドおよび着色ラテックスからなる群より選択される少なくとも一つにより標識化された、請求項6記載のモノクローナル抗体の断片。

請求項10

酵素により標識化された、請求項2〜請求項5いずれか1項に記載のモノクローナル抗体。

請求項11

蛍光色素により標識化された、請求項2〜請求項5いずれか1項に記載のモノクローナル抗体。

請求項12

ビオチンにより標識化された、請求項2〜請求項5いずれか1項に記載のモノクローナル抗体。

請求項13

請求項2〜請求項5いずれか1項に記載のモノクローナル抗体および/または請求項7、請求項8、請求項10〜請求項12いずれか1項に記載の標識化モノクローナル抗体を使用するMRSAが産生する毒素の検出方法。

請求項14

請求項3〜請求項5いずれか1項に記載のモノクローナル抗体および/または請求項10〜請求項12いずれか1項に記載の標識化モノクローナル抗体を使用するMRSAが産生する毒素の検出方法。

請求項15

請求項6記載のモノクローナル抗体断片および/または請求項9記載の標識化モノクローナル抗体断片を使用するMRSAが産生する毒素の検出方法。

請求項16

請求項2〜請求項5いずれか1項に記載のモノクローナル抗体および/または請求項7、請求項8、請求項10〜請求項12いずれか1項に記載の標識化モノクローナル抗体を含むMRSAが産生する毒素の検出用キット

請求項17

請求項3〜請求項5いずれか1項に記載のモノクローナル抗体および/または請求項10〜請求項12いずれか1項に記載の標識化モノクローナル抗体を含むMRSAが産生する毒素の検出用キット。

請求項18

請求項2〜請求項5いずれか1項に記載のモノクローナル抗体、請求項7、請求項8、請求項10〜請求項12いずれか1項に記載の標識化モノクローナル抗体、ニトロセルローズ膜片および緩衝液を含むMRSAが産生する毒素の検出用キット。

請求項19

請求項3〜請求項5いずれか1項に記載のモノクローナル抗体、請求項10〜請求項12いずれか1項に記載の標識化モノクローナル抗体、ニトロセルローズ膜片および緩衝液を含むMRSAが産生する毒素の検出用キット。

請求項20

MRSAが産生する毒素タンパク、ロイコシジンFに特異的なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ。

技術分野

0001

本発明は、細菌が産生する抗原性物質、特にタンパクまたはペプチドあるいはタンパク性毒素などに特異的な抗体およびこれを使用する該細菌の検出方法に関する。より具体的には、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌MRSA)が産生する抗原性物質、タンパクまたはペプチド、タンパク性毒素に対する抗体に関する。さらに具体的には本発明はMRSAが産生する毒素タンパクであるロイコシジンFに特異的なモノクローナル抗体とその断片、およびそれを産生するハイブリドーマに関する。さらに該モノクローナル抗体を使用するMRSAが産生する毒素タンパクの検出方法並びにMRSAが産生する毒素タンパク検出用キットに関する。

背景技術

0002

一般に細菌、特に病原性細菌の検出は困難であり、しかも時間がかかる厄介な課題である。従来、多くの方法が提案されているが、迅速かつ簡便に細菌、特に病原性細菌を検出する方法は確立されているとは言い難い。

0003

中でも、MRSA、すなわち、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌は、院内感染の起因菌として1980年代から注目されだし、今日に至るも全世界的にその対策に苦慮している最重要な病原菌である。1940年代にペニシリンが開発されて以来、病原菌と抗生物質の開発との間には熾烈な闘いが繰り広げられてきたことは周知のことである。すなわち、抗生物質が頻用されるにつれ、その抗生物質に対する耐性菌が現れるようになり、ついには多種類の抗生物質、例えば、ペニシリン系抗生物質のみでなく、クロラムフェニコールテトラサイクリンアミノ糖抗生物質、サルファ剤などに対して種々の組み合わせで多剤耐性の病原菌が現れるに至ったのである。その代表的な病原菌がMRSAである。これらの多剤耐性病原菌のほとんどは抗生物質が多用される病院内で発生し他の患者医師看護婦にも感染し、しかもその治療が困難であるため、世界的に大きな問題となっている。

0004

現在行われている対策としては、MRSAの発生をいちはやく発見してその感染を防ぐことに主眼が置かれており、そのためには、MRSAの信頼できかつ迅速な検出法が不可欠である。しかしながら、信頼できかつ迅速に結果を出せるMRSA検出法はこれまで開発に成功していないといわなければならない。

0005

例えば、MRSAの検出法として最も信頼性の高いPCR法、すなわち、メチシリン感受性黄色ブドウ球菌MSSA)には存在せず、MRSAに存在してβ−ラクタム系抗生物質に対する耐性化に関与している、mecA遺伝子増幅して検出する方法は、設備熟練した技術者を必要とするうえ、結果がでるまで時間がかかり迅速性に欠けるという問題点を含んでいる。

0006

また、現在一般に使用されているWHOや米国NCCLS推奨の「ディスク拡散法」、日本化学療法学抗菌薬感受性測定検討委員会設定の「MIC測定法」、NCCLS推奨の「MRSAスクリーン寒天培地法」はいずれもPCR法に比べ信頼性に乏しく、しかも通常の黄色ブドウ球菌同定プロセスとMRSAの検出プロセスという2段階のプロセスを経るため、結果がでるまで2日以上を要し迅速性に欠けるという問題点を含んでいる。

0007

従って、患者検体等からMRSAを検出するための信頼できる迅速なMRSA検出法の開発が強く望まれている。

発明が解決しようとする課題

0008

本発明の第1の目的は、MRSAの検出に使用できるモノクローナル抗体、すなわち、MRSAまたはその産生物に特異的なモノクローナル抗体および抗体活性を有するそのFabフラグメントを提供することにある。本発明の第2の目的は、上記モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを提供することにある。本発明の第3の目的は上記モノクローナル抗体を用いる迅速かつ簡易でしかも信頼性の高いMRSAが産生する毒素タンパクの検出法を提供することにある。本発明の第4の目的は上記MRSAが産生する毒素タンパクの検出法に使用するための患者検体に直接適用できるMRSAが産生する毒素タンパク検出キットを提供することにある。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らはMRSAを迅速に検出するため、MRSAが産生するタンパクを標的とするモノクローナル抗体の作成を試みた。このようなMRSAが産生するタンパクとしては、例えば、mecA遺伝子の発現タンパクであるPBP−2’やMRSAに起因する病態を誘発する直接の原因物質であるタンパク性毒素、ロイコシジンFを挙げることができる。

0010

ロイコシジンFはヒトの多核および単核白血球崩壊させる白血球溶解毒であって、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が産生するアミノ酸約300個からなるタンパクである。MRSA培養液からロイコシジンFを精製する方法は神尾らにより確立されている(Biosci.Biotech.Biochem.57,2198−2199(1993))。

0011

本発明者らはロイコシジンFを標的タンパクとして選び、この毒素タンパクに対する抗体を産生する細胞ミエローマ細胞からこの毒素タンパクに対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを作成し、選別し、培養することにより、ロイコシジンFに特異的なモノクローナル抗体を取得することに成功した。さらに、上記モノクローナル抗体を標識化し、標識イムノアッセイによりロイコシジンFの検出を行ったところ簡易かつ迅速にロイコシジンFを検出することが可能であること、すなわち、MRSAが産生する毒素の検出が可能であることを発見した。本発明は以上の事実に基づいて完成するに至ったものである。

0012

即ち、本発明の要旨は、(1)MRSAが産生する毒素に特異的に結合する能力を有する抗体を使用するMRSAが産生する毒素タンパクの検出方法、(2) MRSAが産生する毒素タンパクに特異的なモノクローナル抗体、(3) MRSAが産生する毒素タンパク、ロイコシジンFに特異的なモノクローナル抗体、(4) MRSAが産生する毒素タンパク、ロイコシジンFで免疫した動物細胞と該動物のミエローマ細胞との細胞融合により作成されたハイブリドーマによって産生され、ロイコシジンFに特異的に結合する能力を有するモノクローナル抗体、(5) 上記ハイブリドーマが受託番号FERM BP−6669として工業技術院生命工学工業技術研究所寄託されたハイブリドーマである前記(4)記載のモノクローナル抗体、(6) 前記(2)〜(5)いずれかに記載のモノクローナル抗体から得られる断片であって、ロイコシジンFと結合する活性を有する断片、(7)標識化された、前記(2)〜(5)いずれかに記載のモノクローナル抗体、(8)酵素放射性同位元素蛍光色素ビオチン染料ゾル金コロイドおよび着色ラテックスからなる群より選択される少なくとも一つにより標識化された、前記(2)〜(5)いずれかに記載のモノクローナル抗体、(9) 酵素、放射性同位元素、蛍光色素、ビオチン、染料ゾル、金コロイドおよび着色ラテックスからなる群より選択される少なくとも一つにより標識化された、前記(6)記載のモノクローナル抗体の断片、(10) 酵素により標識化された、前記(2)〜(5)いずれかに記載のモノクローナル抗体、(11) 蛍光色素により標識化された、前記(2)〜(5)いずれかに記載のモノクローナル抗体、(12) ビオチンにより標識化された、前記(2)〜(5)いずれかに記載のモノクローナル抗体、(13) 前記(2)〜(5)いずれかに記載のモノクローナル抗体および/または前記(7)、(8)、(10)〜(12)いずれかに記載の標識化モノクローナル抗体を使用するMRSAが産生する毒素の検出方法、(14) 前記(3)〜(5)いずれかに記載のモノクローナル抗体および/または前記(10)〜(12)いずれかに記載の標識化モノクローナル抗体を使用するMRSAが産生する毒素の検出方法、(15) 前記(6)記載のモノクローナル抗体断片および/または前記(9)記載の標識化モノクローナル抗体断片を使用するMRSAが産生する毒素の検出方法、(16) 前記(2)〜(5)いずれかに記載のモノクローナル抗体および/または前記(7)、(8)、(10)〜(12)いずれかに記載の標識化モノクローナル抗体を含むMRSAが産生する毒素の検出用キット、(17) 前記(3)〜(5)いずれかに記載のモノクローナル抗体および/または前記(10)〜(12)いずれかに記載の標識化モノクローナル抗体を含むMRSAが産生する毒素の検出用キット、(18) 前記(2)〜(5)いずれかに記載のモノクローナル抗体、前記(7)、(8)、(10)〜(12)いずれかに記載の標識化モノクローナル抗体、ニトロセルローズ膜片および緩衝液を含むMRSAが産生する毒素の検出用キット、(19) 前記(3)〜(5)いずれかに記載のモノクローナル抗体、前記(10)〜(12)いずれかに記載の標識化モノクローナル抗体、ニトロセルローズ膜片および緩衝液を含むMRSAが産生する毒素の検出用キット、並びに(20) MRSAが産生する毒素タンパク、ロイコシジンFに特異的なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ、に関する。

発明を実施するための最良の形態

0013

以下に本発明についてMRSAを具体的に取り上げ、詳細に説明する。

0014

本発明の第1の目的であるMRSAまたはその生産物に特異的なモノクローナル抗体は、MRSAが産生する毒素タンパク、ロイコシジンFに対して特異的な抗体を産生するハイブリドーマを適当な条件の下で培養し、得られる培養液から分離・精製して得ることができる。また、ハイブリドーマをマウス腹腔内に移植して得られる腹水からも分離・精製することができる。

0015

上記のハイブリドーマは、ロイコシジンFに対する抗体を産生する細胞とミエローマ細胞とを融合させることにより得ることができる。

0016

ロイコシジンFに対する抗体を産生する細胞の取得は、例えば、ロイコシジンFの精製標品または部分精製標品を適当なアジュバント、例えばRIBIアジュバントと共に適当なマウス、例えば、BALB/cマウスに適当な間隔で複数回腹腔内注射し、好ましくは、さらにミエローマ細胞との融合の3日前に、ロイコシジンFのみを静脈内に注射し、ついで常法に従って、脾臓摘出し、そこから脾臓細胞を単離し、ロイコシジンFに対して抗体を産生する細胞を取得することにより行うことができる。

0017

ミエローマ細胞は、8−アザグアニン耐性の株を大阪大微生物病研究所、本 央博士より分与を受けた。

0018

細胞融合はポリエチレングリコール(PEG)法やセンダイウイルス法などが普通に用いられる。ポリエチレングリコール法の場合は、常法に従って、例えば、ミエローマ細胞と脾臓細胞を適当な割合で混合した後、ポリエチレングリコール(例えば、メルク社製、重合度4000)で処理することにより行うことができる。

0019

また、常法に従って、電気的処理により細胞融合を行わせることもできる。

0020

上記のようにして細胞融合処理により得られた細胞群からハイブリドーマを選別するには、常法に従って、HAT培地を使用し生育する細胞を選択する。

0021

HAT培地とは、一般に、ヒポキサンチン(H)、アミノプテリン(A)およびチミジン(T)を含む細胞培養培地をいうが、市販品(例えば、ベーリンガーマンハイム社製)を使用することもできる。例えば、市販のHAT培地と牛胎児血清を添加したダルベッコ変法イーグル培地を混合してHAT培地として使用することができる。PEG処理後の細胞をHAT培地に懸濁し、96穴プレートを用いて培養し、3〜4日毎に半量の培地交換し、生育する細胞を取得する。

0022

HAT培地に生育しうる細胞の中から目的のロイコシジンFに特異的なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを選別するには、常法に従って、標識免疫検定法、例えば、ELISA酵素免疫検定法)やRIAラジオイムノアッセイ法)を利用することができる。例えば、ELISAプレートにロイコシジンFを吸着させ、ブロックして非特異的吸着を防止した後、ハイブリドーマ培養上清を添加し、排液洗浄した後、標識化抗マウス抗体を含む溶液を添加し、排液・洗浄した後、標識の検出を行い、陽性のハイブリドーマを選別する。

0023

このようにして選別されたハイブリドーマの中から、例えば限界希釈法によってクローニングすることにより、MRSAの産生する毒素タンパクに特異的なモノクローナル抗体を産生する単一のハイブリドーマを取得することができる。

0024

上記のようにして得られた本発明のMRSAの産生する毒素タンパクに特異的なモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ株としては、具体的には、ALukF3−1、ALukF4−2、ALukF5−1およびALukF6−1が挙げられ、そのうちALukF3−1については、通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に受託番号、FERM BP−6669として寄託されている。

0025

上記のようにして得られたハイブリドーマは次のようにしてインビトロまたはイン・ビボで培養して目的のモノクローナル抗体を産生させることができる。

0026

イン・ビトロでの培養法。例えば、約5%の二酸化炭素を含む空気中で、適当な動物細胞用培地に牛胎児血清を約10〜15容量%の濃度となるように添加して調製した培地中で約37℃で培養することにより、そのハイブリドーマの増殖に伴い目的のモノクローナル抗体が産生される。

0027

イン・ビボでの培養法。ハイブリドーマ株をマウスの体内、例えば腹腔内に移植し、そのマウスを飼育することにより、そのハイブリドーマの増殖に伴いそのマウスの体内に目的のモノクローナル抗体が産生される。

0028

上記のイン・ビトロ培養で得られた培養上清またはイン・ビボ培養で得られたマウスの腹水、血清などの体液から目的のモノクローナル抗体を分離・精製するには通常のタンパクの分離精製法に従って次のような処理を行う。

0029

例えば、硫酸アンモニウムなどの塩を用いる塩析限外濾過セファクリルS−300HRなどによるゲル濾過ゲル浸透クロマトグラフィーアフィニティクロマトグラフィーイオン交換クロマトグラフィーなどを適宜組み合わせて精製を行う。ただし、抗体の精製には、抗体に特異的に結合するプロテインAによるアフィニティクロマトグラフィーが特に有用である。

0030

上記の方法で得られたモノクローナル抗体は、常法に従って、パパイン等で消化して、FabフラグメントとFcフラグメントに分離し、ロイコシジンF結合活性を有するFabフラグメントを単離することができる。Fabフラグメントの精製には未反応のモノクローナルおよびFcとは強く結合するが、Fabには結合しないプロテインAによるアフィニティクロマトグラフィーを用いるのが便利である。

0031

上記の方法で得られたモノクローナル抗体およびそのFabフラグメントは、抗体の標識化に通常使用される種々の方法で標識化することができる。例えば、酵素、放射性同位元素、蛍光物質、ビオチン等で標識化することができ、あるいは染料ゾル、金コロイド、着色ラテックスなどで可視的に標識することも可能である。

0032

酵素標識に使用し得る酵素の例としては、ペルオキシダーゼグルコースオキシダーゼチロシナーゼ酸性ホスファターゼアルカリ性ホスファターゼなどを挙げることができる。これらの酵素はいずれも酵素標識検定法によく使用されており、常法に従ってモノクローナル抗体の酵素標識を行うことができる。

0033

また、放射標識に使用する放射性同位元素としては、125I、14C、3Hなどを挙げることができる。

0034

蛍光標識に使用する蛍光色素としては、フルオレシンイソチオシアネートFITC)、テトラメチルローダミン・イソ・チオシアネート(RITC)などを挙げることができる。

0035

上記のようにして得られた本発明のモノクローナル抗体は患者検体中のロイコシジンFの存在の迅速検出に極めて便利に使用することが可能となる。

0036

例えば、適当な固体に結合させた本発明のモノクローナル抗体を患者検体に接触させ、ついで本発明の標識化モノクローナル抗体と接触させた後、適当な方法でその標識を検出することにより、陽性の患者検体はMRSAが産生する毒素タンパクを含む検体であると判定することができる。

0037

上記の適当な固体とは、通常、患者検体または患者検体を含む液体または懸濁液に浸漬したときに溶解せず、そして容易にこれらの液体または懸濁液から分離し、洗浄することができる固形物を指し、紙片布片合成樹脂片、またはこれらの粒子などであって、適当な方法でモノクローナル抗体を結合させることができるものであれば本発明に使用することができる。

0038

本発明のモノクローナル抗体を固体に結合させる方法としては、水溶液中で容易に脱離しない程度に結合させうる方法であれば特に制限なく使用でき、抗体と担体とを結合させるために通常使用される方法、例えば、モノクローナル抗体含有液をニトロセルローズ膜片に滴下し乾燥させたる方法、モノクローナル抗体と固体を構成する化合物とを直接または二官能性スペーサー(例えば、グルタルアルデヒドなど)などを介して共有結合させる方法などが好ましい。

0039

上記の標識を検出する適当な方法とは、標識が酵素標識の場合はその酵素の適当な発色性基質を含む溶液と接触させる方法、放射標識の場合は放射能カウントする方法、蛍光標識の場合は蛍光を測定する方法、ビオチンの場合は標識化アビジン誘導体と結合させた後標識を検出する方法など、通常標識免疫検定法において常用されている方法を指している。

0040

さらに、本発明は上記のロイコシジンFに特異的な標識化モノクローナル抗体および/またはその未標識モノクローナル抗体を用いる本発明のMRSAが産生する毒素タンパクの検出法に使用できる簡便なキットを提供することができる。

0041

このキットは、上記の本発明のMRSAが産生する毒素タンパクの検出法に使用される試薬類および反応溶液をすべて含み、MRSAが産生する毒素タンパクを含むと思われる検体さえあれば、直ちにMRSAが産生する毒素タンパクの検出を行うことができるキットである。

0042

例えば、本発明のロイコシジンFに特異的な標識化モノクローナル抗体および例えば紙片、布片、合成樹脂片または粒子などの固体片に結合させて固定化した本発明のモノクローナル抗体、またはニトロセルローズ膜片と標識化モノクローナル抗体との組み合わせのように容易に固定化モノクローナル抗体を調製できる組み合わせ並びに反応用緩衝液からなるキットがその1例である。

0043

このキットを使用するには、まず、患者検体を反応用緩衝液と適当に混ぜ、この溶液中に、本発明のモノクローナル抗体を結合させた固体片、例えば予めCNBrで活性化されたセルローズに常法に従って本発明のモノクローナル抗体を結合させて調製した固定化モノクローナル抗体またはニトロセルローズ膜片に本発明のモノクローナル抗体を固定化したもの、を浸漬して検体中のロイコシジンFとモノクローナル抗体との複合体を形成させた後、この固体片(固定化モノクローナル抗体)を溶液から分離し、ついで緩衝液中で洗浄した後、標識化モノクローナル抗体を含む反応用緩衝液中に浸漬して標識化モノクローナル抗体−ロイコシジンF−固定化モノクローナル抗体複合体を形成させる。得られた固体片を適当な標識検出法を用いて固体片にロイコシジンFを介して結合している標識化モノクローナル抗体の標識を検出する。

0044

また、実施例4に示すMRSAの産生する毒素タンパクの検出法に使用するMRSAの産生する毒素タンパク検出用キットの場合、キットは未標識モノクローナル抗体、ペルオキシダーゼ標識モノクローナル抗体、15%希釈牛胎児血清、PBS、0.05%トゥイーン20添加PBS、過酸化水素とo−フェニレンジアミンを含む溶液、1N−硫酸から構成される。この検出法では、キットの他に、ELISAプレートと比色計が必要となる。

0045

本発明のMRSAの産生する毒素タンパクの検出法または本発明のMRSAの毒素タンパクの検出キットを使用することにより、今日まで困難であった院内感染の起因菌であるMRSAの毒素タンパクの迅速な検出が極めて容易になる。本発明の方法の信頼性は実施例に示すように、極めて高いものである。

0046

以下、実施例、参考例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限定されるものではない。

0047

(参考例1)
ロイコシジンFの採取
MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)RIMD310925株をハートインフュージョン培地(1000ml)中、酸素:二酸化炭素(80:20)の気流曝気しつつ、37℃で20時間培養した。培養液の遠心上清に、ヒドロキシアパタイトを加えてタンパク質を吸着させ、洗浄した後、0.8Mリン酸緩衝液(pH8.0)で溶出した。溶出画分について、TSKゲルSP−5PW(トーソー社製)を用いてクロマトグラフィーを行い、精製ロイコシジンF(3.6mg)を得た。

0048

(実施例1)
本発明のハイブリドーマの取得
(1) 抗体を産生する細胞の取得
ロイコシジンFによるマウスの免疫化
BALB/c雄マウスに精製ロイコシジンF10μgをRIBIアジュバント0.2mlと共に腹腔内に14日間隔で2回注射した。14日後(ミエローマ細胞との融合実験の3日前)にロイコシジンFのみを10μg尾静脈内に注射してマウスをロイコシジンFで免疫した。

0049

ついで、エーテル死亡させた免疫マウスから脾臓を摘出した。21Gの注射針で10ヵ所程度脾臓を刺し、注射針をセットした注射器でダルベッコ変法イーグル培地40mlを脾臓に注入し、脾臓細胞を遊出させ、回収して、ロイコシジンFに対する抗体を産生する細胞を取得した。

0050

(2)ロイコシジンFに特異的なモノクローナルを産生するハイブリドーマの取得
使用したミエローマ細胞(X63−Ag8−6.5.3)は大阪大学微生物病研究所、杉本 央博士より分与を受けた8−アザグアニン耐性の株であった。

0051

ミエローマ細胞を1、免疫マウスの脾臓細胞を5の割合で混合した後、ペレットにし、これに40%のPEG(メルク社製、重合度4000)および10%のDMSOを含む血清なしのダルベッコ変法イーグル培地を加えて1分間混和した。ついで、血清なしのダルベッコ変法イーグル培地で細胞を洗浄した後、HAT培地(牛胎児血清を15%添加したダルベッコ変法イーグル培地に50倍濃縮HAT溶液(ベーリンガー・マンハイム社製)を1/50量加えたもの)に細胞を懸濁した。96穴プレートに1穴当たり4×104個/200μlの細胞を加え、5%CO2下で培養した。3〜4日毎に半量のHAT培地を交換し、この条件下で生育する細胞を取得した。

0052

(3)ロイコシジンFに特異的なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの選別
96穴ELISAプレート(イワキ社製)に1μg/mlのロイコシジンFのPBS(0.15MのNaCl添加0.15Mリン酸バッファー、pH7.4)溶液をそれぞれの穴に0.1mlずつ入れ、4℃、1晩の処理を行ってロイコシジンFを穴に吸着させた。PBSで15%に希釈した牛胎児血清を穴に添加してプレートへの非特異的結合を防止した後、各穴にハイブリドーマ培養上清100μlを加え、37℃で120分間インキュベートし、排液し、0.05%トゥイーン20を含むPBSで洗浄した後、ペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG抗体(H+L)(バイオラド社製)を加えて37℃で60分間インキュベートし、排液した。0.05%トゥイーン20を含むPBSで洗浄した後、過酸化水素(0.006%)とo−フェニレンジアミン(0.4mg/ml)を含む50mMクエン酸・リン酸バッファーを1穴当たり0.15ml加えてインキュベートし、発色反応をさせた。1N硫酸を添加して反応を止め、490nmの吸光度読み取り抗体産生が陽性のハイブリドーマを選別した。

0053

(4)限界希釈法による上記ハイブリドーマのクローニング
5%Briclone 、15%牛胎児血清添加ダルベッコ変法イーグル培地を用いて上記のようにして得られたロイコシジンFに対する抗体を産生するハイブリドーマを希釈し、96穴プレートに1穴当たり1個以下になるように分注した。5%CO2下、37℃で約10日間培養し、顕微鏡下でシングルクローンとして増殖することが確認されたコロニーを選別した。

0054

このようにして得られた本発明の、ロイコシジンFに特異的なモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ株は、ALukF3−1、ALukF4−2、ALukF5−1およびALukF6−1と命名され、その中の一株ALukF3−1については、通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に受託番号、FERMBP−6669として寄託されている。

0055

(実施例2)
本発明のロイコシジンFに特異的なモノクローナル抗体の取得
(1) 上記のハイブリドーマ株は、15%牛胎児血清添加ダルベッコ変法イーグル培地中で、5%CO2下、37℃の条件下で培養した。プリステイン0.5mlを2回腹腔内注射したBALB/cマウスに1×107個の抗体産生ハイブリドーマを腹腔内移植した。約10日後、抗体を含む腹水を回収した。

0056

(2)バイオラド社製MAPIIキットを用いてモノクローナル抗体を精製した。キット中の結合バッファーで腹水を3倍に希釈した後、キット中のプロテインAカラムにかけ、溶出バッファーで抗体を溶出させて精製モノクローナル抗体を得た。1mlの腹水から本発明のモノクローナル抗体が約5mg得られた。

0057

(実施例3)
本発明の標識化モノクローナル抗体の調製
(1)ペルオキシダーゼ標識化モノクローナル抗体の調製
ペルオキシダーゼ50mgを蒸留水7mlに溶解した後、0.1MのNaIO4水溶液3mlに溶解して添加し、室温で20分間反応させた。ゲル濾過によりNaIO4の除去と1mM酢酸バッファー2mlへの置換を行った。ついで、本発明のモノクローナル抗体(ALukF3−1)6mgを10mM炭酸バッファーに溶解し、直ちにNaIO4処理ペルオキシダーゼと反応させた。室温に2時間放置した後、4mg/mlのNaBH4 水溶液0.2mlを添加して標識化反応を停止させた。

0058

(2)蛍光標識化モノクローナル抗体の調製
蛍光色素としてフルオレッセインイソチオシアネート(FITC)を使用した。テトラメチルローダミン・イソ・チオシアネート(RITC)を使用しても同様に蛍光標識が可能である。

0059

本発明のモノクローナル抗体(ALukF3−1)を0.1M炭酸バッファーpH8.0に2mg/mlの濃度で溶解した。ついで、FITCを1mg/mlになるようにDMSOに溶解し、その0.05mlを抗体溶液に加え、4℃で8時間、遮光して反応させた。セファデックスG−50によるゲル濾過を行い、結合しなかったFITCを除去した後、抗体溶液に安定剤として牛血清アルブミン最終濃度1%になるように添加してFITC標識化モノクローナル抗体(ALukF3−1)とした。

0060

(3)ビオチン標識化モノクローナル抗体の調製
5mgのモノクローナル抗体(ALukF3−1)を0.5mlの0.1M炭酸バッファー(pH9.0)に溶解し、1mg/ml濃度のビオチン−N−ヒドロキシスクシンイミド(アメリカン・クワクス社製)水溶液を0.5ml添加し、室温で1時間穏和に撹拌して標識化反応を行った。反応物をPBSに対して一晩透析して未反応のビオチン−N−ヒドロキシスクシンイミドを除去し、安定剤として牛血清アルブミンを最終濃度1%になるように加えてビオチン標識化モノクローナル抗体(ALukF3−1)とした。

0061

(実施例4)
本発明のペルオキシダーゼ標識化モノクローナル抗体を使用するロイコシジンFの検出
PBS(0.15MのNaCl添加0.15Mリン酸バッファー、pH7.4)で1、2、5または10μg/mlに希釈したロイコシジンF溶液をELISAプレート(イワキ社製)に1穴当たり0.1mlずつ加え、4℃で一晩吸着させた。ついで、0.05%トゥイーン20を添加したPBSで洗浄した後、15%に希釈した牛胎児血清で処理してプレート表面の非特異的吸着を防止した。バイオラド社のイムノウォッシュモデル1575を用いてプレートを洗浄した後、抗体換算で2μg/mlの本発明のペルオキシダーゼ標識化モノクローナル抗体(ALukF3−1)を1穴当たり0.1ml添加した。37℃で2時間インキュベートした後、0.05%トゥイーン20を添加したPBSで洗浄し、過酸化水素(0.006%)とo−フェニレンジアミン(0.4mg/ml)を含む50mMクエン酸・リン酸バッファーを1穴当たり0.15ml添加し、37℃で30分間インキュベートして発色反応させた。1N硫酸を1穴当たり0.05ml添加して反応を停止させた後バイオラド社のマイクロプレートリーダー・モデル550を用いて490nmの吸光度を測定した。ブランクとしてはロイコシジンFを加えていない穴の吸光度を使用した。

0062

得られた結果を図1に示す。490nmの吸光度はロイコシジンFの濃度に比例して増加し、吸着時のロイコシジンFの濃度が1μg/ml以上であれば、本発明のペルオキシダーゼ標識化モノクローナル抗体(ALukF3−1)を用いてロイコシジンFの、ほぼ定量的な検出が可能であることが明らかとなった。

0063

(実施例5)
未標識モノクローナル抗体(ALukF5−1)とペルオキシダーゼ標識化モノクローナル抗体(ALukF3−1)を用いるサンドイッチ法によるロイコシジンFの検出
10μg/mlになるようにPBSで希釈した未標識モノクローナル抗体(ALukF5−1)の0.1mlをELISAプレート(イワキ社製)の各穴に加え、4℃で一晩吸着させた。ついで、0.05%トゥイーン20を添加したPBSで洗浄した後、15%に希釈した牛胎児血清で処理してプレート表面の非特異的吸着を防止した。次に、バイオラド社のイムノウォッシュ・モデル1575を用いてプレートを洗浄した後、0.01、0.1、1および10μg/mlの精製ロイコシジンFの1%牛胎児血清添加PBS溶液をプレートの各穴に0.1mlずつ添加し、37℃で2時間インキュベートした。ついで、排液し、0.05%トゥイーン20を添加したPBSで洗浄した後、抗体換算で2μg/mlのペルオキシダーゼ標識化ALukF3−1を1穴当たり0.1ml添加し、37℃で2時間インキュベートし、排液した。ついで、0.05%トゥイーン20を添加したPBSで洗浄した後、過酸化水素(0.006%)とo−フェニレンジアミン(0.4mg/ml)を含む50mMクエン酸・リン酸バッファーを1穴当たり0.15ml添加し、37℃で30分間インキュベートして発色反応させた。1N硫酸を1穴当たり0.05ml添加して反応を停止させた後バイオラド社のマイクロプレート・リーダー・モデル550を用いて490nmの吸光度を測定した。ブランクとしてはロイコシジンFを加えていない穴の吸光度を使用した。

0064

得られた結果を図2に示す。ロイコシジンFは本発明の未標識モノクローナル抗体と本発明のペルオキシダーゼ標識化モノクローナル抗体を用いるサンドイッチELISA法により検出可能であることが明らかとなった。図2から明らかなように、ロイコシジンFの濃度が高くなるにつれ吸光度が高くなり、0.1μg/ml以上のロイコシジンFの検出が可能であることがわかる。従って、本発明の方法により、MRSAの産生する毒素タンパク、ロイコシジンFを検出することが可能であることが明らかである。

0065

(実施例6)
本発明の蛍光標識化モノクローナル抗体を用いるロイコシジンFの検出
実施例4または実施例5で使用したペルオキシダーゼ標識化モノクローナル抗体の代わりに本発明の蛍光標識化モノクローナル抗体を用いて実施例4および実施例5と同様な実験を行った。標識の検出には96穴プレート用フルオロメーター(テカン社、フロースター)を使用し、吸収波長492nm、蛍光波長520nmで測定した。

0066

その結果、ペルオキシダーゼ標識化モノクローナル抗体の場合の約10倍の検出感度でロイコシジンFの検出が可能であることが明らかとなった。

0067

(実施例7)
本発明のビオチン標識化モノクローナル抗体を用いるロイコシジンFの検出
実施例4または実施例5において使用したペルオキシダーゼ標識化モノクローナル抗体の代わりに本発明のビオチン標識化モノクローナル抗体を用いて実施例4および実施例5と同様な実験を行った。

0068

ペルオキシダーゼ標識化モノクローナル抗体の代わりに本発明のビオチン標識化モノクローナル抗体を添加して37℃で2時間インキュベートした後、トゥイーン20を添加したPBSで洗浄した。ついでペルオキシダーゼ標識化ストレプトアビジンシグマ社製)を添加し、37℃で1時間インキュベートした。標識の検出は実施例4および実施例5と全く同様に行った。本発明に使用するペルオキシダーゼ標識化ストレプトアビジンのペルオキシダーゼ活性が高いためか、複数のビオチンがモノクローナル抗体に結合しているためペルオキシダーゼの数の増幅があるためか、本方法の検出感度はペルオキシダーゼ標識化モノクローナル抗体を用いた場合に比べて約10倍増加した。

0069

(実施例8)
ニトロセルロース膜固定化モノクローナル抗体を用いるロイコシジンFの検出
100ngの未標識の抗ロイコシジンFモノクローナル抗体(ALukF5−1)(10μg/ml濃度のPBS溶液の10μl)をニトロセルロース膜片に滴下し、風乾して固定化した。非特異的吸着を抑制するため、PBSに溶解した3%牛血清アルブミンで上記ニトロセルロース膜片を4℃で一晩処理した。ついで、0.05%トゥイーン20を添加したPBSで膜片を洗浄した後、膜片を短冊状に切り、0.3%牛血清アルブミンで希釈した各種濃度のロイコシジンF溶液に浸漬し、室温で2時間インキュベートした。0.05%トゥイーン20を添加したPBSで膜を洗浄した後、抗体換算で2μg/mlのペルオキシダーゼ標識化モノクローナル抗体(ALukF3−1)PBS溶液に浸漬し、室温で1時間インキュベートした。0.05%トゥイーン20を添加したPBSで膜片を洗浄した後、0.0003%の過酸化水素を含んだ0.5mg/mlの3,3’−ジアミノベンジチン(同仁社製)PBS溶液に膜片を浸漬して発色反応をさせた。

0070

ロイコシジンFを含まない検体では膜片上には発色は見られなかったが、0.1μg/ml以上の濃度のロイコシジンFを含む検体では発色反応は陽性であり、その色調も検体中のロイコシジンFの濃度が増加するにつれ濃くなった。

0071

また、この方法により、MRSA培養液中のロイコシジンFの産生が確認された。

0072

以上の結果から、この方法によっても、ロイコシジンFの簡易、迅速な検出が可能であることが明らかである。

0073

(実施例9)
本発明のモノクローナル抗体のFabフラグメントの単離
本発明のモノクローナル抗体(ALukF3−1)を0.1M酢酸バッファー(pH5.5)に溶解し、タンパク分解酵素であるパパイン(シグマ社製)を抗体の1/100(重量比)加え、37℃で2時間インキュベートした。パパイン処理によりFabフラグメントとFcフラグメントに分離された反応産物をプロテインAカラム(バイオラド社製)にかけ、プロテインAに結合する未反応のモノクローナル抗体およびFcを除去してFabフラグメントを回収した。得られたFabフラグメントはPBSに対して透析し、凍結して保存した。10mgのALukF3−1抗体から2mgのFabフラグメントが得られた。

0074

得られたFabフラグメントの一部は、実施例2に示した方法と同様の方法により標識化した。

0075

(実施例10)
MRSAの産生する毒素タンパクの検出用キット
(1) 実施例4の方法を実施するためのキット
下記の成分を含むキット(約10検体分)。
10mlのPBS(0.15MのNaCl添加0.15Mリン酸バッファー、pH7.4)溶液、
10mlの0.05%トゥイーン20を添加したPBS、
4mlの15%牛胎児血清PBS溶液、
1.2mlの抗体換算で2μg/mlの本発明のペルオキシダーゼ標識化モノクローナル抗体(ALukF3−1)、
2mlの過酸化水素(0.006%)とo−フェニレンジアミン(0.4mg/ml)を含む50mMクエン酸・リン酸バッファー、
1mlの1N硫酸。

0076

上記のキットを使用する場合は、ELISAプレートおよび分光光度計が必要である。

0077

(2) 実施例5の方法を実施するためのキット
下記の成分を含むキット(約10検体分)。
10mlのPBS、
12μgの未標識モノクローナル抗体、
10mlの0.05%トゥイーン20を添加したPBS、
4mlの15%牛胎児血清PBS溶液、
10mlの0.05%トゥイーン20を添加したPBS、
1.2mlの抗体換算で2μg/mlのペルオキシダーゼ標識化モノクローナル抗体、
2mlの過酸化水素(0.006%)とo−フェニレンジアミン(0.4mg/ml)を含む50mMクエン酸・リン酸バッファー、
1mlの1N硫酸。

0078

(3) 実施例7の方法を実施するためのキット
本発明のビオチン標識化モノクローナル抗体を用いるロイコシジンFの検出下記の成分を含むキット(約10検体分)。
10mlのPBS、
12μgの未標識モノクローナル抗体、
10mlの0.05%トゥイーン20を添加したPBS、
4mlの15%牛胎児血清PBS溶液、
15mlの0.05%トゥイーン20を添加したPBS、
1.2mlの抗体換算で2μg/mlのビオチン標識化モノクローナル抗体、
1.2mlのストレプトアビジン換算で1μg/mlのペルオキシダーゼ標識化ストレプトアビジン、
2mlの過酸化水素(0.006%)とo−フェニレンジアミン(0.4mg/ml)を含む50mMクエン酸・リン酸バッファー、
1mlの1N硫酸。

0079

(4) 実施例8の方法を実施するためのキット
ニトロセルロース膜固定化モノクローナル抗体を用いるロイコシジンFの検出下記の成分を含むキット(約10検体分)。
ニトロセルロース膜の切片
12μgの未標識モノクローナル抗体、
10mlの0.05%トゥイーン20を添加したPBS、
5mlの3%牛胎児血清アルブミンPBS溶液、
10mlの0.05%トゥイーン20を添加したPBS、
1.2mlの抗体換算で2μg/mlのペルオキシダーゼ標識化モノクローナル抗体、
2mlの過酸化水素(0.003%)と3,3’−ジアミノベンジチン(0.5mg/ml)を含むPBS溶液、
1mlの1N硫酸。

発明の効果

0080

本発明は、これまで検出が極めて困難であり、しかも結果がでるまでかなりの時間を必要とした院内感染の起因菌であるMRSAの産生する毒素タンパクを、迅速かつ簡便にしかも高い信頼度で検出し得る方法を提供する。さらに本発明はMRSAの産生する毒素タンパクの検出用キットを提供し、特別な設備を必要としない簡便で迅速なMRSAの産生する毒素タンパクの検出を可能とする。

0081

本発明が提供する方法は、他の検出困難な細菌であって、その菌に特有の抗原性物質、特にタンパク質またはペプチド、あるいはタンパク性の毒素などを産生する細菌一般の検出にも便利に使用可能である。

図面の簡単な説明

0082

図1図1は本発明の方法によるロイコシジンFの検出の1例を示すグラフである。実験はロイコシジンFをELISAプレートに吸着させた後、ペルオキシダーゼ標識化抗ロイコシジンFモノクローナル抗体と結合させ、ロイコシジンFに結合した標識酵素ペルオキシダーゼの存在を過酸化水素とo−フェニレンジアミンの存在下に発色反応により検出することにより行った。標識化モノクローナル抗体の量はロイコシジンFの吸着量に比例して増加していることがわかる。従って、本発明の方法により、ロイコシジンFをほぼ定量的に検出することができることが明らかである。
図2図2は本発明のELISAサンドイッチ法によるロイコシジンFの検出の1例を示すグラフである。実験は、未標識ロイコシジンFモノクローナル抗体をELISAプレートに吸着させ、ついでロイコシジンFを含む検体液を添加し、さらにペルオキシダーゼ標識化モノクローナル抗体を添加した後、プレートに残存する標識化モノクローナル抗体の量を標識酵素ペルオキシダーゼの活性を利用して検出することにより行った。この方法により、0.1μg/ml以上のロイコシジンFをほぼ定量的に検出できることがわかる。

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