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技術 ピリチアミン耐性マーカー遺伝子および形質転換体

出願人 白鶴酒造株式会社
発明者 窪寺隆文山下伸雄元吉徹西村顕
出願日 2000年2月7日 (20年5ヶ月経過) 出願番号 2000-029332
公開日 2000年11月7日 (19年8ヶ月経過) 公開番号 2000-308491
状態 特許登録済
技術分野 突然変異または遺伝子工学 微生物、その培養処理
主要キーワード アスペルギルス属糸状菌 源物質 オリーゼ 加えよ ピリチアミン 属糸状菌 完全分解 PD液
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2000年11月7日)のものです。
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図面 (1)

課題

アスペルギルス属糸状菌遺伝子工学において使用可能な選択マーカーとして機能するピリチアミン耐性マーカー遺伝子を提供し、また、遺伝学解析に役立つ表現型形質転換された形質転換体を提供することである。

解決手段

以下の(a)または(b)のDNAからなるピリチアミン耐性マーカー遺伝子とする。

(a)配列表の配列番号1で表される塩基配列からなるDNA。

(b)塩基配列(a)において1もしくは数個塩基置換欠失または付加された塩基配列からなり、かつDNA(a)と同様のピリチアミン耐性発現するピリチアミン耐性マーカー遺伝子。

上記のピリチアミン耐性マーカー遺伝子で形質転換され、ピリチアミン耐性を発現するアスペルギルス(aspergillus )属糸状菌などの形質転換体とする。

概要

背景

アスペルギルス属糸状菌を主とする麹菌清酒焼酎醤油生産等の発酵食品または各種有用物質の生産等に広範に利用されている。これらの工業用に使用されるアスペルギルス属糸状菌の育種において、望ましい形質を付与するために遺伝子工学的手法はきわめて有効であり、形質転換体を効率よく選択するために使用可能な選択マーカーが必要である。

糸状菌において形質転換体の優性マーカーとなりえる薬剤耐性遺伝子としては、ペニシリウムロックフォルテイー(Penicillium roqueforti)のphelomycin耐性遺伝子(J. Biotccol 1996 0ct.18;51(1):97−105 )、ペニシリウムアイスランジユーム(Penicillium islandicum)のbenomyl 耐性遺伝子(curr.Genet. 1995 Nov.;28(6)580-4 )、アスペルギルスニガー(Aspergillusniger 以下 A.ニガーと略記する。)のhygromycin B 耐性遺伝子(Gene.1987;56(1):117-24)やoligomycin耐性遺伝子(Curr.Genet.1988 Jul;14(1):37-42)、アスペルギルス ニドランス(Aspergillus nidulans 以下 A. ニドランスと略記する。)のオーレオバシジンA 耐性遺伝子(特開平9-98784 号公報)または、アスペルギルスフラバス(Aspergillus flavus)のベノミル耐性遺伝子(Appl.Environ Microbiol 1990 Dec;56(12):3686-92)等が挙げられる。

現在、麹菌A.オリーゼにおける遺伝子組み換えにおいては栄養要求性を相補する遺伝子を選択マーカーとして利用しており、例としてはargB(Agric. Biol.Chem. 51(9),2549−2555,1987)、またはniaD(Gene 111(2),149−55,1992Feb 15)が挙げられる。

概要

アスペルギルス属糸状菌の遺伝子工学において使用可能な選択マーカーとして機能するピリチアミン耐性マーカー遺伝子を提供し、また、遺伝学解析に役立つ表現型に形質が転換された形質転換体を提供することである。

以下の(a)または(b)のDNAからなるピリチアミン耐性マーカー遺伝子とする。

(a)配列表の配列番号1で表される塩基配列からなるDNA。

(b)塩基配列(a)において1もしくは数個塩基置換欠失または付加された塩基配列からなり、かつDNA(a)と同様のピリチアミン耐性発現するピリチアミン耐性マーカー遺伝子。

上記のピリチアミン耐性マーカー遺伝子で形質転換され、ピリチアミン耐性を発現するアスペルギルス(aspergillus )属糸状菌などの形質転換体とする。

目的

そこで、この発明の課題は、アスペルギルス属糸状菌の遺伝子工学的使用において選択マーカーとして適用できるピリチアミン耐性遺伝子を提供する事である。また、この発明は、このような薬剤耐性遺伝子を含有するベクターによって遺伝学的解析に役立つ表現型に形質が転換された形質転換体を提供することをも課題としている。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

以下の(a)または(b)のDNAからなるピリチアミン耐性マーカー遺伝子。(a)配列表の配列番号1で表される塩基配列からなるDNA。(b)塩基配列(a)において1もしくは数個塩基置換欠失または付加された塩基配列からなり、かつDNA(a)と同様のピリチアミン耐性発現するピリチアミン耐性マーカー遺伝子。

請求項2

請求項1記載のピリチアミン耐性マーカー遺伝子で形質転換され、ピリチアミン耐性を発現する形質転換体

請求項3

ピリチアミン耐性マーカー遺伝子を導入して形質転換される宿主が、アスペルギルス(Aspergillus )属糸状菌である請求項2記載の形質転換体。

請求項4

下記工程を包含することを特徴とするピリチアミン耐性形質転換体の創製方法。(1)請求項1記載のピリチアミン耐性マーカー遺伝子を含有するべクターを複製する工程、(2)上記工程で得られた複製ベクターを宿主の染色体に組み込む工程、(3)上記工程でピリチアミン耐性に形質転換された宿主をピリチアミン存在下で選択する工程。

請求項5

複製ベクターが、請求項1記載のピリチアミン耐性マーカー遺伝子以外の異種の遺伝子を含有する複製べクターである請求項4記載の形質転換体の創製方法。

技術分野

ataatacaaa caaagatgca agagcggctc atcgtcaccc catgatag 2028

背景技術

0001

この発明は新規薬剤耐性遺伝子からなるピリチアミン耐性マーカー遺伝子およびこの遺伝子を用いたアスペルギルス属糸状菌などを宿主とする形質転換体およびその創製方法に関する。

0002

アスペルギルス属糸状菌を主とする麹菌清酒焼酎醤油生産等の発酵食品または各種有用物質の生産等に広範に利用されている。これらの工業用に使用されるアスペルギルス属糸状菌の育種において、望ましい形質を付与するために遺伝子工学的手法はきわめて有効であり、形質転換体を効率よく選択するために使用可能な選択マーカーが必要である。

0003

糸状菌において形質転換体の優性マーカーとなりえる薬剤耐性遺伝子としては、ペニシリウムロックフォルテイー(Penicillium roqueforti)のphelomycin耐性遺伝子(J. Biotccol 1996 0ct.18;51(1):97−105 )、ペニシリウムアイスランジユーム(Penicillium islandicum)のbenomyl 耐性遺伝子(curr.Genet. 1995 Nov.;28(6)580-4 )、アスペルギルスニガー(Aspergillusniger 以下 A.ニガーと略記する。)のhygromycin B 耐性遺伝子(Gene.1987;56(1):117-24)やoligomycin耐性遺伝子(Curr.Genet.1988 Jul;14(1):37-42)、アスペルギルス ニドランス(Aspergillus nidulans 以下 A. ニドランスと略記する。)のオーレオバシジンA 耐性遺伝子(特開平9-98784 号公報)または、アスペルギルスフラバス(Aspergillus flavus)のベノミル耐性遺伝子(Appl.Environ Microbiol 1990 Dec;56(12):3686-92)等が挙げられる。

発明が解決しようとする課題

0004

現在、麹菌A.オリーゼにおける遺伝子組み換えにおいては栄養要求性を相補する遺伝子を選択マーカーとして利用しており、例としてはargB(Agric. Biol.Chem. 51(9),2549−2555,1987)、またはniaD(Gene 111(2),149−55,1992Feb 15)が挙げられる。

0005

しかし、栄養要求性を相補する選択マーカーを用いるためには、紫外線照射、変異源物質等による突然変異誘導により栄養要求性株を作製する必要がある。そして、この無作為な突然変異誘導によれば、宿主株の性質に何らかの影響を及ぼす可能性が高い。

0006

また、清酒、醤油、みそ、又はみりん等の各醸造産業で利用される重要な麹菌、アスペルギルスオリーゼ(Aspergillus oryzae 以下A.オリーゼと略記する。)は広範な薬剤に対して強い抵抗性を示すことから優性マーカーとして有効な薬剤耐性遺伝子は未だ発見されていない。

0007

以上の理由から A.オリーゼに対し、その性質に影響を及ぼすことなく遺伝子組み換えを行うことができる薬剤耐性優性選択マーカーが要望されていた。

課題を解決するための手段

0008

そこで、この発明の課題は、アスペルギルス属糸状菌の遺伝子工学的使用において選択マーカーとして適用できるピリチアミン耐性遺伝子を提供する事である。また、この発明は、このような薬剤耐性遺伝子を含有するベクターによって遺伝学解析に役立つ表現型に形質が転換された形質転換体を提供することをも課題としている。

0009

本願の発明者らは、所定のアスペルギルス属糸状菌が、チアミンの代謝括抗アナログであるピリチアミンに対して鋭敏感受性を示すことを見いだし、その感受性細胞変異処理を施すことにより耐性細胞に変え、その耐性細胞よりA.オリーゼに対してピリチアミン耐性を付与する遺伝子(耐性遺伝子)を単離することに成功し、この発明を完成した。

0010

すなわち、本願の第1の発明においては、以下の(a)または(b)のDNAからなるピリチアミン耐性マーカー遺伝子とする手段を採用することにより、前述の課題を解決したのである。
(a)配列表の配列番号1で表される塩基配列からなるDNA。
(b)塩基配列(a)において1もしくは数個塩基置換欠失または付加された塩基配列からなり、かつDNA(a)と同様のピリチアミン耐性を発現するピリチアミン耐性マーカー遺伝子。

0011

また、本願の第2の発明では、上記の第1の発明のピリチアミン耐性マーカー遺伝子で形質転換され、ピリチアミン耐性を発現する形質転換体とすることにより、前述の課題を解決したのである。また、上記の発明において、ピリチアミン耐性マーカー遺伝子を導入して形質転換される宿主が、アスペルギルス(Aspergillus )属糸状菌である形質転換体とした場合にも前述の課題を解決することができる。

0012

また、本願の第3の発明においては、下記の工程を包含することを特徴とするピリチアミン耐性形質転換体の創製方法としたのである。
(1)請求項1記載のピリチアミン耐性マーカー遺伝子を含有するべクターを複製する工程、(2)上記工程で得られた複製ベクターを宿主の染色体に組み込む工程、(3)上記工程でピリチアミン耐性に形質転換された宿主をピリチアミン存在下で選択する工程。

0013

このピリチアミン耐性形質転換体の創製方法において複製ベクターは、配列番号1に記載されたピリチアミン耐性マーカー遺伝子以外の異種の遺伝子を含有する複製べクターであってもよい。

0014

この発明のピリチアミン耐性を付与する遺伝子、すなわちピリチアミン耐性マーカー遺伝子は、アスペルギルス属糸状菌の細胞の染色体に組み込まれた際にピリチアミン耐性を発現する。また、ピリチアミン耐性マーカー遺伝子を組み込まれたアスペルギルス属糸状菌を特異的培地内に置くことによって、これらの細胞の中からピリチアミン耐性のある形質転換体を容易に検出することができる。

発明を実施するための最良の形態

0015

このようなピリチアミン耐性マーカー遺伝子は、遺伝学的解析に役立つ表現型のはっきりした遺伝子であり、ピリチアミン耐性のある形質転換体についても遺伝学的解析に役立つものである。

0016

この発明のピリチアミン耐性マーカー遺伝子は、前述のようにチアミンの代謝括抗アナログであるピリチアミンに対して鋭敏な感受性を示すピリチアミン感受性細胞に対して、変異処理を施すことによりこれを耐性細胞に変え、その耐性細胞よりA.オリーゼに対してピリチアミン耐性を付与する遺伝子(耐性遺伝子)を単離して得る。

0017

ピリチアミンに対して鋭敏な感受性を示すアスペルギルス属糸状菌としては、表1に示すように、 A.オリーゼ、A.ニガー、アスペルギルスカワチ(Aspergillus lutiensis mut.kawachi 以下 A.カワチと略記する。)、アスペルギルスアワモリ(Aspergillus awamori 以下 A.アワモリと略記する。)、アスペルギルス ソーヤ(Aspergillus sojae 以下 A.ソーヤと略記する。)、アスペルギルスシロウサミ(Aspergillus usami mut. Shiro−usami 以下 A.シロウサミと略記する。)又は A.ニドランスが挙げられる。

0018

0019

具体的には、ピリチアミンに感受性である A.オリーゼを、ニトロソグアニジン(nitrosoguanidine以下NTGと略記する。)により変異処理し、得られた耐性株についてゲノムライブラリーを作成し、そのライブラリーから優性変異であるピリチアミン耐性遺伝子(以下、ptrAと略記する。)を含有する図1制限酵素地図で表されるDNA断片を単離する。

0020

この発明のピリチアミン耐性遺伝子(ptrA)をコードするDNAとしては、配列表の配列番号1で表されるDNAがある。

0021

そして、この発明のptrAをコードするDNAは、適当なベクターに組み込んで複製べクターを作成し、宿主を形質転換すれば、宿主にピリチアミン耐性を選択マーカーとして付与することができ、ピリチアミンを用いた薬剤耐性により容易に形質転換体を選択することができる。この複製べクターのアスペルギルス属糸状菌用ベクターとしては、pDG3、pkBY2、pSa123、pTAex3が使用できる。

0022

また、ptrAをコードするDNAを組み込んだ複製べクターは、大腸菌などに対して安定に保持させることが可能である。その際に、べクターとして使用可能なものとして、PUC 系べクター、大腸菌−アスペルギルス属糸状菌シャトルベクターなどがある。

0023

この発明のptrAは、単核多核のアスペルギルス属糸状菌、特に、実用麹菌にもピリチアミン耐性を付与することができるマーカー遺伝子であり、清酒、焼酎、醤油、有用物質の工業的生産等に広範に利用されているA.オリーゼの育種にきわめて有用である。

0024

更にこの発明のptrAは、A.オリーゼ以外の麹菌にも適用が可能であり、他のアスペルギルス属糸状菌の育種、遺伝子工学的利用においても有用である。また、この発明のptrAはA.オリーゼにピリチアミン耐性を付与することができ、ptrAをコードするDNAを有するべクターは、A.オリーゼへの薬剤耐性付与ベクターとして初めて提供される物である。

0025

〔実施例1〕以下の工程で、A.オリーゼ由来のピリチアミン感受性関連遺伝子(ptrA)のクローニングを行なった。

0026

1−a) A.オリーゼのピリチアミン耐性変異株の分離
ピリチアミンに0.1ppm で感受性を示すA.オリーゼ HL-1034株をチアミンを含まないCDプレート(ツアペックドック培地、1%グルコース、2%アガー)へ植菌し、30℃で5日間培養した。着生した分生子を0.1%ツイーン80(tween 80)溶液に懸濁後、ガラスフィルター(3G3 タイプ)で濾過し、ろ液を8000rpm で5分間遠心し、分生子を回収した。

0027

この分生子を2.4×107spores /mlとなるようにNTG溶液(4000 ppm NTG)に懸濁し、30℃で10分間、50rpm で往復振とうさせることによって突然変異を誘導した。このときの生存率は約2.2%であった。

0028

突然変異誘導処理後、洗浄液(0.1% tween 80 、0.01M燐酸緩衝液(pH7.0))で3回分生子を洗浄し、1.0×107spores/plate となるようにスクリーニング用プレート(ツァペックドックス培地、1%グルコース、1ppmピリチアミン)上に接種し、30℃、4日間培養した。これにより、ピリチアミン耐性株6株を得た。

0029

この耐性株は1000ppm のピリチアミンに対しても耐性を示したが、オリゴマイシンシクロへキシミド、アンホテリシンBクロトリマゾールに対しては親株と同様に感受性を持つことから多剤耐性ではなく、ピリチアミンに特異的な耐性であると推定された。

0030

1−b)ピリチアミン耐性株のゲノムライブラリーの作成
ピリチアミン耐性株の中で特に生育の良い株PTR-26からゲノムDNAを以下の方法により抽出して精製した。すなわち、YPD液体培地(0.5%yeast ext.,1.0% bact pepton,2%dextrin)で30℃で1晩培養した菌糸をガラスフィルター(3G1 タイプ)により集菌し、蒸留水で洗浄した。菌体脱水し、液体窒素により凍結させ、乳鉢を用いて粉砕した。粉砕した菌体をTE溶液(10mM Tris-HCl(pH8.0) ,1mMEDTA)に懸濁後、等量の溶菌溶液(2% SDS, 0.1M NaCl, 10 mM EDTA, 50 mM Tris−HCl(pH7.5))を加えた。室温で1時間静置後、3000 rpmで10分間遠心し、上清を回収した。フェノールクロロフォルムイソアミルアルコール(25/24/1)を等量加え、ゆっくりチューブを上下に攪拌した後、3000 rpm、5分間遠心して上層を回収した。−20℃エタノールを2.5倍量加えて、−80℃に10分間放置した後、3500 rpm、15分間遠心し、沈殿したDNAを乾燥させた。RNase溶液( 1μ/ ml RNaseGS (宝酒造社製),TE溶液)を加え、37℃、1時間保温した。等量のフェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールを加え、ゆっくり攪拌し、15000rpm で5分間遠心し、上層を回収した。1/10量の3M酢酸ナトリウム(pH5.2)と2.5倍量の−80℃エタノールを加え、−80℃に10分間放置後、15000rpm、15分間の遠心によりDNAを回収した。

0031

精製したゲノムDNA10μg を制限酵素Sau3A I の0.156Uで37℃、1時間部分分解処理後、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコールにより除蛋白し、エタノール沈殿した。部分分解DNAを0.8%アガロース電気泳動にかけ、4〜10kb領域のDNAを抽出、精製した。得られたDNAとBamHIで完全分解したpDHG25べクター〔gene,第98巻,第61頁〜67頁(1991)〕をDNAライゲーションキット(宝酒造社製)により連結させた後、大腸菌DH5を形質転換し、耐性株のゲノムライブラリーを作成した。

0032

このゲノムライブラリーを含有させた大腸菌を100 ppmアンピシリンを含むLB培地(1%バクトリプトン、0.5%バクトイーストエキス、0.5%塩化ナトリウム、PH7.2)50ml中で37℃、一晩培養後、大腸菌からプラスミドを回収し精製した。

0033

1−c)ピリチアミン耐性遺伝子(ptrA)の発現及びクローニング
上記のようにして調整したピリチアミン耐性株のゲノムライブラリー由来のプラスミドを以下の方法によりA.ニドランスFGSC A89株に形質転換した。

0034

すなわち、A.ニドランスをチアミンを含まないCD培地等で30℃、2日間振とう培養後、菌糸をガラスフィルター(3Glタイプ)で濾過することにより回収し、滅菌水で洗浄した。十分に脱水後、菌体を10mlのプロトプラスト化溶液〔20mg/mlヤタラーゼ(大関酒造社製)、0.8M NaCl 、10mM燐酸ナトリウム緩衝液、pH6.0〕に懸濁した。30℃でゆっくり振とうしながら約3時間反応させた。ガラスフィルター 3G3で濾過した濾液中のプロトプラストを2000 rpm、5分間の遠心により回収し、0.8M NaClで2回洗浄した。プロトプラストを2×108 /mlとなるようにSol 1(0.8M NaCl、10mM CaCl2 、10mM Tris −HCl 、pH8.0)に懸濁した後、0.2容量のSo1 2 (40%(w /v )PEG4000 、50mM CaC12、50mM Tris-HCl 、pH8.0)を加えよく混合した。0.2mlのプロトプラスト懸濁液を分注し、10μg のゲノムライブラリー由来のプラスミドを加え、良く混合した。温で30分間放置後、1mlのSo12を加えよく混合した。室温で15分間放置し、8.5mlのSollを加え、よく混合後、2000rpm で5分間の遠心によりプロトプラストを回収した。0.2mlのSollを加え、2 ppmのピリチアミンを含む最小培地(ツァペックドックス培地、1%グルコース、0.8 M NaCl 、20ppbビオチン、2%アガー)の中央にのせた後、45℃に保温した軟寒天培地(ツァペックドックス培地、1%グルコース、0.8M NaCl、20 ppbビオチン、2ppm ピリチアミン、0.5%アガー)5 mlを重層した。30℃、5〜7日間培養した。

0035

このプレート上で増殖したコロニーは、ピリチアミン耐性遺伝子を含むプラスミドを持っていると考えられ、約6個のコロニーがピリチアミン含有培地上に生じた。このコロニーを2 ppmピリチアミンを含むCD+bi培地(ツァペックドックス培地、1%グルコース、20ppbビオチン)へ植菌し、30℃、2日間培養し、増殖した菌体より、実施例1−b)に述べたDNA抽出精製法に従って、全DNAを回収精製した。このDNAで大腸菌DH5 を形質転換し、100 ppmアンピシリンを含むLB培地へ塗布した。生じた大腸菌コロニーからプラスミドDNAを調整した。

0036

このプラスミドは2kbのDNAを含んでおり、p142−13と命名した。このピリチアミン耐性遺伝子ptrAを含有するDNA断片の制限酵素地図は図1に示すとおりである。この断片をpBIISK+ベクターへサブクローニングし、pptrAEH と命名した。その塩基配列は配列番号1に示す通りである。

0037

ここで、ptrAと、その配列を基にPTR-26の親株であるピリチアミン感受性株HL-1034 からクローニングしたptrAの野生型遺伝子の塩基配列を比較した結果、ptrAでは配列番号1における670番目アデニングアニンに置換していることが確認された。このことにより、この一塩基置換がピリチアミンに対する耐性化の原因であると推定された。

0038

〔実施例2〕アスペルギルス属糸状菌を宿主に用いた形質転換
2−a)遊離型プラスミドを用いたアスペルギルス属糸状菌の形質転換
実施例1−c)で取得したプラスミドp142−13またはpDHG25ベクターを実施例1−c)で示した形質転換方法によりA.オリーゼまたはA.ニドランスへ導入した。各濃度ピリチアミンを含む最小培地(ツァペックドックス培地、1%グルコース、0.8M NaCl、2%アガー)の中央にのせた後、45℃に保温した各濃度のピリチアミンを含む軟寒天培地(ツァペックドックス培地、1%グルコース、0.8 M NaCl 、0.5%アガー)5 mlを重層した。30℃、5〜7日間培養後、ピリチアミン耐性株を得た。

0039

表2が示すようにA.オリーゼ、A.ニドランス共にp142−13による形質転換体はすべてのピリチアミン濃度において生育可能である。これに対してpDHG25ベクターによる形質転換体は、0.1ppm のピリチアミンに対しても感受性を示していた。従って、ptrAは麹菌に対する有効な選択マーカーとして利用できることが確認された。

0040

0041

2−b)染色体組込型プラスミドを用いたアスペルギルス属糸状菌の形質転換
実施例1−c)で取得したプラスミドpptrAEH またはpBIISK+を用いてA.オリーゼ、A.ニドランスまたはA.ニガーを実施例1−c)で述べた方法によって形質転換した。形質転換処理したプロトプラストを実施例2−a)で述べた各濃度のピリチアミン添加最小培地で、30℃、5〜7日間培養し、ピリチアミン耐性株を得た。

0042

発明の効果

0043

表3が示すようにpptrAEH によるA.オリーゼ、A.ニドランスまたはA.ニガーの形質転換体はすべてのピリチアミン濃度において生育可能であった。これに対してpBIISK+による形質転換体は0.1ppm のピリチアミンに対しても感受性を示した。従って、ptrAはアスペルギルス属糸状菌に対する有効な選択マーカーとして利用できることが確認された。

0044

本願の発明は、配列番号1で表される塩基配列のDNAからなるピリチアミン耐性マーカー遺伝子としたので、ピリチアミンに対して感受性を示す生物に耐性を付与し、遺伝子工学的育種、遺伝情報解析などの遺伝子工学的使用の際に選択マーカーとして適用できるピリチアミン耐性遺伝子を提供できるという利点がある。

0045

また、この発明のピリチアミン耐性マーカー遺伝子は、実用麹菌などの宿主株に対して突然変異誘導された場合のような影響を与えることがなく、マーカーとしての薬剤耐性という形質を付与できる。

0046

本願の発明により、アスペルギルス属、特に工業用麹菌の遺伝子組み換えにおいて有用なピリチアミン耐性を選択マーカーとした染色体組み換え用べクターを導入された形質転換体、その創製方法、およびその方法で得られる形質転換体が提供される。これらは、有用蛋白質製造用形質転換体の創製、育種などに有効に利用できる。

0047

特にA.オリーゼは、工業用麹菌として広く使用されているのみならず、遺伝子組み換えにおいても安全性の高い麹菌である。したがって、A.オリーゼ由来のピリチアミン耐性遺伝子はA.オリーゼの育種、有用蛋白質製造のための形質転換体作成のために非常に有用である。

図面の簡単な説明

0048

EQUENCE LISTING
<110> Hakutsuru Shuzou Kabushiki kaisha
<120> Pyrithiamine resistance marker gene and transformed cell
<130> KPO5407-14
<160> 1
<210> 1
<211> 2028
<212> DNA
<213> Aspergillus oryzae
<400> 1
ggggatctga cagacgggca attgattacg ggatcccatt ggtaacgaaa tgtaaaagct 60
aggagatcgt ccgccgatgt caggatgatt tcacttgttt cttgtccggc tcaccggtca 120
aagctaaaga ggagcaaaag gaacggatag aatcgggtgc cgctgatcta tacggtatag 180
tgcccttatc acgttgactc aacccatgct atttaactca acccctcctt ctgaacccca 240
ccatcttctt ccttttcctc tcatcccaca caattctcta tctcagattt gaattccaaa 300
agtcctcgga cgaaactgaa caagtcttcc tcccttcgat aaacctttgg tgattggaat 360
aactgaccat cttctatagt tcccaaacca accgacaatg taaatacact cctcgattag 420
ccctctagag ggcatacgat ggaagtcatg gaatactttt ggctggactc tcacaatgat 480
caaggtatct taggtaacgt ctttggcgtg ggccggtgtt cgttcccagt catcgatgca 540
ttcacatgcc ctccctaagc tgggccctag actctaggat cctagtctag aaggacatgg 600
catcgatgga ctgggttcgt tctgagatta tacggctaaa acttgatctg gataatacca 660
gcgaaaaggg tcatgccttc tctcgttctt cctgttgatg gaatggctaa cagatgatag 720
tcattgcaac ttgaaacatg tctcctccag ctgccatcta cgaacccact gtggccgcta 780
ccggcctcaa gggtaaggtc gtggtttctg agaccgtccc cgttgaggga gcttctcaga 840
ccaagctgtt ggaccatttc ggtggcaagt gggacgagtt caagttcgcc cctatccgcg 900
aaagccaggt ctctcgtgcc atgaccagac gttactttga ggacctggac aagtacgctg 960
aaagtgacgt tgtcattgtt ggtgctggtt cctgcggtct gagcactgcg tacgtcttgg 1O20
ccaaggctcg tccggacctg aagattgcta tcgtcgaggc cagcgtctct cctggtcagt 1080
agtccatgat ggattgcctt gcactcagct ttccggaact aacgtgcaat aggtggcggt 1140
gcctggttgg gtggccaact cttttctgct atggtcatgc gccgtcccgc ggaagtcttc 1200
ctgaacgagc tgggtgttcc ttacgaagag gacgcaaacc ccaactacgt tgtcgtcaag 1260
cacgcctccc tgtttacctc gacactcatg tcgaaggttc tctccttccc caatgtcaag 1320
ctcttcaatg ctaccgctgt tgaggacttg atcacccgtc cgaccgagaa cggcaacccc 1380
cagattgctg gtgttgtcgt caactggacg ctggtcaccc ttcaccacga tgatcactcc 1440
tgcatggacc ccaacactat caacgctcct gtcatcatca gtaccactgg tcacgatggg I5OO
ccattcggcg ccttctgtgc gaagcgcttg gtgtccatgg gcagcgtcga caagctaggt 1560
ggcatgcgtg gtctcgacat gaactcggcc gaggatgcca tcgtcaagaa cacccgcgag 1620
gttactaagg gcttgataat cggcggtatg gagctgtctg aaattgatgg ctttaaccgc 1680
atgggcccta ccttcggtgc catggttctc agtggtgtca aggctgccga ggaggcattg 1740
aaggtgttcg acgagcgtca gcgcgagtgt gctgagtaaa tgactcacta cccgaatggg 1800
ttcagtgcat gaaccggatt tgtcttacgg tctttgacga taggggaatg atgattatgt 1860
gatagttctg agatttgaat gaactcgtta gctcgtaatc cacatgcata tgtaaatggc 1920
tgtgtcccgt atgtaacggt ggggcattct agaataatta tgtgtaacaa gaaagacagt 1980

0049

図1ピリチアミン耐性マーカー遺伝子の制限酵素地図

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