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技術 ブラシレスDCモータ

出願人 YKK株式会社マイテック株式会社
発明者 勝見徹也竹田英樹三浦由則
出願日 1999年4月21日 (21年8ヶ月経過) 出願番号 1999-113190
公開日 2000年11月2日 (20年2ヶ月経過) 公開番号 2000-308321
状態 特許登録済
技術分野 ブラシレスモータ
主要キーワード 小型ブラシ センサリード ボロン磁石 メルトスピン法 磁界バイアス スペーサー部材 磁界変動 高周波応答性
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図面 (6)

課題

ブラシレスDCモータ磁気センサとして、巨大磁気抵抗素子、特に磁性粒子分散型巨大磁気抵抗素子をバイアス磁界印加用磁石と組み合わせて用いることにより、耐熱性高周波応答性、高磁界までの感度を兼ね備えた交流磁界感度が広い磁気センサとし、モータ使用温度引き上げ回転力を大きくでき、ブラシレスDCモータの使用範囲の拡大を実現する。

解決手段

複数のコイルを設けたステータと、該ステータのコイルと対向するように回転自在に配設され、かつ多極着磁されたロータマグネットを有し、該ロータマグネットの磁極を検出する磁気センサの検出信号に基づいて各相コイル通電制御し、ロータマグネットを回転駆動させるブラシレスDCモータにおいて、上記磁気センサ1aが、上記ロータマグネットに面するように配置された巨大磁気抵抗素子2aとスペーサー部材3aを介してその背面側に配置された磁石8の組合せからなる。

概要

背景

近年、ブラシレスDCモータビデオテープレコーダVTR)やオーディオテープテープ送りキャプスタンモータや、フロッピー登録商標ディスクコンパクトディスクディスクドライブ用のスピンドルモータ等に非常に多く用いられている。また、FAファクトリーオートメーション)やロボットなどの用途でも、より小型でトルクの大きなブラシレスDCモータが使用されている。従来のブラシレスDCモータは、図4に示すように、ハウジング内に回転自在に収容された永久磁石よりなる磁気回転子(以下、ロータマグネットという)10、該ロータマグネット10の周囲に所定の隙間を開けて配設された励磁用コイル11、該励磁用コイル11間に設置された回転角検出磁気センサ12等で構成され、ロータマグネット10の磁極位置に応じて励磁用コイル11を外部から順序よく励磁することによりロータマグネット10は回転駆動され、励磁の信号により回転速度を制御できる。従来、ロータマグネット10のN−S極を判別するための上記磁気センサとしてはホール素子が用いられている。

このようなブラシレスDCモータの従来の一例を図5に示す。図5において、円筒状に形成されたフレーム13の下部には鍔部14が一体形成され、この鍔部14にはステータコア15がスペーサ16を介して載置されている。さらに、鍔部14には駆動回路等を構成した回路基板17が載置され、上記ステータコア15及びスペーサ16と共にビス18によって取り付けられている。また、ステータコア15は外周側に複数の突極が形成されていて、これら突極には各相励磁コイル11が各々巻回されている。さらに、ステータコア15の外周面にはロータマグネット10aの内周面が適宜の間隙をもって対向している。ロータマグネット10aは略皿状に形成されたロータケース19の内周面に配設され、複数の磁極着磁されている。また、ロータケース19の中心部は回転軸20に嵌着されたボス21に固着されている。回転軸20は上記フレーム13の内部に配設された上下一対ボールベアリング22、22に回転自在に支持されている。

一方、ロータマグネット10aの下方近傍には回路基板17に接続された3個のホール素子12が対向している(図4参照)。そして、ホール素子12によってロータマグネット10aの磁極を検出し、この検出出力を上記駆動回路に入力して各相の励磁コイル11にタイミングよく通電するようにしている。このようにロータマグネット10aの磁極位置に応じて励磁コイル11に通電することによって、周知のようにロータマグネット10aが回転付勢される。これらの3個のホール素子12には電流入力端子2本と、出力端子2本の計4本の配線が接続され、ステータコア15の励磁コイル11を介してモータ駆動回路に接続されている。

概要

ブラシレスDCモータの磁気センサとして、巨大磁気抵抗素子、特に磁性粒子分散型巨大磁気抵抗素子をバイアス磁界印加用磁石と組み合わせて用いることにより、耐熱性高周波応答性、高磁界までの感度を兼ね備えた交流磁界感度が広い磁気センサとし、モータ使用温度引き上げ回転力を大きくでき、ブラシレスDCモータの使用範囲の拡大を実現する。

複数のコイルを設けたステータと、該ステータのコイルと対向するように回転自在に配設され、かつ多極着磁されたロータマグネットを有し、該ロータマグネットの磁極を検出する磁気センサの検出信号に基づいて各相コイル通電制御し、ロータマグネットを回転駆動させるブラシレスDCモータにおいて、上記磁気センサ1aが、上記ロータマグネットに面するように配置された巨大磁気抵抗素子2aとスペーサー部材3aを介してその背面側に配置された磁石8の組合せからなる。

目的

効果

実績

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請求項1

複数のコイルを設けたステータと、該ステータのコイルと対向するように回転自在に配設され、かつ多極着磁されたロータマグネットを有し、該ロータマグネットの磁極を検出する磁気センサ検出信号に基づいて各相コイル通電制御し、ロータマグネットを回転駆動させるブラシレスDCモータにおいて、上記磁気センサが、上記ロータマグネットに面するように配置された巨大磁気抵抗素子とその背面側に配置された磁石組合せからなることを特徴とするブラシレスDCモータ。

請求項2

前記巨大磁気抵抗素子が、一般式:NM1-XTMX(但し、NMはAg、Au、Cu、Ptのうち少なくとも1種の元素であり、TMはCo、Fe、Niのうち少なくとも1種の元素であり、xは原子比で0.05≦x<0.4の範囲内にある)で示される組成合金を主成分とする磁性粒子分散型巨大磁気抵抗素子であることを特徴とする請求項1に記載のブラシレスDCモータ。

請求項3

前記巨大磁気抵抗素子が、一般式:A1-yCoy(但し、AはMgO、Al2O3のうち少なくとも1種で構成される化合物であり、yは容積比で0.05≦y<0.35の範囲内にある)で示される組成の合金を主成分とする磁性粒子分散型巨大磁気抵抗素子であることを特徴とする請求項1に記載のブラシレスDCモータ。

請求項4

前記磁性粒子分散型巨大磁気抵抗素子が、前記NM元素を主成分とした非磁性金属又は前記A化合物を主成分とした非磁性化合物中に、前記TM元素又はCoを主成分とした強磁性粒子が互いに接触することなく磁性粒子間距離が0.5nm以上離れて分散している磁性粒子分散型巨大磁気抵抗素子であることを特徴とする請求項2又は3に記載のブラシレスDCモータ。

請求項5

前記強磁性粒子のサイズ(長径)が1〜100nmであることを特徴とする請求項4に記載のブラシレスDCモータ。

請求項6

前記磁性粒子分散型巨大磁気抵抗素子が作製後に200℃以上で熱処理したものであるか、又は200℃以上で作製したものであることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一項に記載のブラシレスDCモータ。

請求項7

前記磁性粒子分散型巨大磁気抵抗素子が、膜厚が10nm以上、1μm以下の薄膜状素子であることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか一項に記載のブラシレスDCモータ。

請求項8

前記磁性粒子分散型巨大磁気抵抗素子が、液体急冷法によって作製された厚さもしくは直径が50μm以下の薄帯もしくは細線状素子であることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか一項に記載のブラシレスDCモータ。

請求項9

前記磁石が、モータに使用されている磁石よりも強い磁界バイアス印加できる電磁石もしくは強力永久磁石であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のブラシレスDCモータ。

技術分野

0001

本発明は、マグネットロータ磁極を検出する磁電変換素子として巨大磁気抵抗効果素子を用いたブラシレスDCモータに関するものである。

背景技術

0002

近年、ブラシレスDCモータはビデオテープレコーダVTR)やオーディオテープテープ送りキャプスタンモータや、フロッピー登録商標ディスクコンパクトディスクディスクドライブ用のスピンドルモータ等に非常に多く用いられている。また、FAファクトリーオートメーション)やロボットなどの用途でも、より小型でトルクの大きなブラシレスDCモータが使用されている。従来のブラシレスDCモータは、図4に示すように、ハウジング内に回転自在に収容された永久磁石よりなる磁気回転子(以下、ロータマグネットという)10、該ロータマグネット10の周囲に所定の隙間を開けて配設された励磁用コイル11、該励磁用コイル11間に設置された回転角検出磁気センサ12等で構成され、ロータマグネット10の磁極位置に応じて励磁用コイル11を外部から順序よく励磁することによりロータマグネット10は回転駆動され、励磁の信号により回転速度を制御できる。従来、ロータマグネット10のN−S極を判別するための上記磁気センサとしてはホール素子が用いられている。

0003

このようなブラシレスDCモータの従来の一例を図5に示す。図5において、円筒状に形成されたフレーム13の下部には鍔部14が一体形成され、この鍔部14にはステータコア15がスペーサ16を介して載置されている。さらに、鍔部14には駆動回路等を構成した回路基板17が載置され、上記ステータコア15及びスペーサ16と共にビス18によって取り付けられている。また、ステータコア15は外周側に複数の突極が形成されていて、これら突極には各相励磁コイル11が各々巻回されている。さらに、ステータコア15の外周面にはロータマグネット10aの内周面が適宜の間隙をもって対向している。ロータマグネット10aは略皿状に形成されたロータケース19の内周面に配設され、複数の磁極が着磁されている。また、ロータケース19の中心部は回転軸20に嵌着されたボス21に固着されている。回転軸20は上記フレーム13の内部に配設された上下一対ボールベアリング22、22に回転自在に支持されている。

0004

一方、ロータマグネット10aの下方近傍には回路基板17に接続された3個のホール素子12が対向している(図4参照)。そして、ホール素子12によってロータマグネット10aの磁極を検出し、この検出出力を上記駆動回路に入力して各相の励磁コイル11にタイミングよく通電するようにしている。このようにロータマグネット10aの磁極位置に応じて励磁コイル11に通電することによって、周知のようにロータマグネット10aが回転付勢される。これらの3個のホール素子12には電流入力端子2本と、出力端子2本の計4本の配線が接続され、ステータコア15の励磁コイル11を介してモータ駆動回路に接続されている。

発明が解決しようとする課題

0005

ブラシレスDCモータでは、モータの回転を制御するために、ロータを構成している磁石の回転を検知し、回転信号としている。そのために数kOeの磁界応答と、極性(NS)を判別する必要がある。また、高速で回転するロータマグネットのNS極を検出するために高周波特性が必要である。これらを満足する磁気センサとして、従来はホール素子が用いられてきた。しかし出力を上げるために励磁コイルに流す電流を大きくすると、モータ内の温度が高温になるため、高温で不安定なInSb等の半導体を用いるホール素子では感度が低下し、高温下で使用できないといった問題があり、センサモータ出力律速となっていた。また、ホール素子は入力用2本と出力用2本の4本の配線が必要であり、一つのモータに3個の素子が用いられる場合が多いので合計12本の配線が必要となり、引きまわしが繁雑になり、モータの小型化を妨げる大きな要因になっている。

0006

上記のような問題を解決するために、ホール素子に代えて磁気抵抗効果素子を用いることが提案されている(例えば、特開平5−207721号、特開平6−245464号)。ここで、磁気抵抗( Magnetoresistance,MR)効果とは、磁界を印加することで材料の電気抵抗が変化する現象であり、MR素子としては一般に強磁性体が用いられ、磁気抵抗の変化率が約5%のCoFe合金、約2%のパーマロイなどがある。ここで、磁気抵抗効果の変化率(磁気抵抗比MR比)は、以下の式(1)で表わされる。
磁気抵抗比(%)=(R(0)−R(H))/R(0)×100・・・(1)
R(0):磁界がない場合の電気抵抗
R(H):磁界が印加された場合の電気抵抗

0007

磁気抵抗効果を利用する場合、センサリードは2本で済み、配線の取りまわしが簡単になるなど、モータを小型化するには有効である。しかし、ブラシレスDCモータの場合、ロータに磁石(表面の磁界は100[Oe]以上)が使用され、またロータ回転のための励磁用コイルの磁界が強く(数百Oe)、パーマロイに代表される軟磁性材料を用いた磁気抵抗効果型素子を用いたセンサでは、検出可能な磁界(数十Oe以下)を越えるため、回転角度を検出できないという問題があった。また、合金系の磁気抵抗効果素子では、応答できる磁界範囲が狭く、磁界変動が大きい環境では使用できないという問題がある。

0008

以上のように、小型ブラシレスDCモータ用の磁気センサには以下の4つの特性が要求されるが、従来のセンサで全てを満たすものはないという問題がある。
(1)小型化し易いセンサであること。(小型化)
(2)磁界の検出感度が温度により大きく変化しないこと。(温度特性
(3)数kOeまでの磁界を検出できること。(磁界特性
(4)数kHzまでの交流磁界を検出できること。(周波数特性

課題を解決するための手段

0009

これらの課題を解決するために、本発明によれば、複数のコイルを設けたステータと、該ステータのコイルと対向するように回転自在に配設され、かつ多極着磁されたロータマグネットを有し、該ロータマグネットの磁極を検出する磁気センサの検出信号に基づいて各相コイル通電制御し、ロータマグネットを回転駆動させるブラシレスDCモータにおいて、上記磁気センサが、上記ロータマグネットに面するように配置された巨大磁気抵抗素子とその背面側に配置された磁石の組合せからなることを特徴とするブラシレスDCモータが提供される。

0010

前記巨大磁気抵抗素子は、磁性粒子分散型巨大磁気抵抗効果材料、人工格子型巨大磁気抵抗効果材料又は超巨大磁気抵抗効果材料からなり、少なくとも5kHz以上の交流磁界を信号として読み取ることができる。好適には、前記巨大磁気抵抗素子は、磁性粒子分散型巨大磁気抵抗素子であって、モータ内の高磁界(50[Oe]以上)で磁界感度を持たせ、かつモータ内の磁界変動が少なくとも10kHzまでの変化に応答させるために、非磁性常磁性反磁性)材料中に最大長径が1〜500nm、好ましくは1〜100nmの強磁性粒子が分散した材料、好ましくは磁性粒子間距離が0.5nm以上離れて互いに接触することなく分散している材料からなる。又は、人工格子型巨大磁気抵抗素子であって、非磁性(常磁性、反磁性)材料と強磁性材料とを周期的に、例えば約1〜10nmのものを周期的に積層した材料からなる。

0011

磁性粒子分散型巨大磁気抵抗素子の材料は、好ましくは、一般式:NM1-xTMx(但し、NMはAg、Au、Cu、Ptのうち少なくとも1種の元素であり、TMはCo、Fe、Niのうち少なくとも1種の元素であり、xは原子比で0.05≦x<0.4、好ましくは0.1≦x≦0.35の範囲内にある)で示される組成を有する。他の好適な磁性粒子分散型巨大磁気抵抗素子は、一般式:A1-yCoy(但し、AはMgO、Al2O3のうち少なくとも1種で構成される化合物であり、yは容積比で0.05≦y<0.35の範囲内にある)で示される組成の合金を主成分とする磁性粒子分散型巨大磁気抵抗素子である。一方、人工格子型巨大磁気抵抗素子の材料は、好ましくは、Ag、Cu、Auのうち少なくとも1種の元素からなる非磁性材料(NM)と、Fe、Co、Niのうち少なくとも1種の元素からなる強磁性材料(TM)とからなる。

0012

磁性粒子分散型巨大磁気抵抗素子の前記一般式で示される組成、又は前記人工格子型巨大磁気抵抗素子の材料において、NMは最大20at%まで、好ましくは10at%以下の範囲内でAl、Ti、Pd、Pt、Rhなど他の元素の1種以上を含むことができる。これらの元素は、磁気抵抗効果を低下させ、感度を低くするが、反面、Al、Tiは磁気抵抗効果の温度依存性を小さくし、一方、Pd、Pt、Rhは電気抵抗を増大させることで、配線を含むセンサ全体の磁気抵抗効果を大きくする効果がある。また、TMはFe、Co、Ni以外にCr、Mnなどの元素を最大5at%までの範囲内で含むことができる。特にCr、Mnは磁気抵抗効果を減少させるが、磁性粒子の粗大化を防ぎ、耐熱性を上げることができる。

0013

一方、前記超巨大磁気抵抗素子は、好ましくは、一般式:Ln1-zAEzMnO3-p(但し、Lnは希土類元素のうち少なくとも1種の元素であり、AEはCa、Sr、Baのうち少なくとも1種の元素であり、z、pはそれぞれ原子比で0.2≦z≦0.4、−0.1≦p≦0.3の範囲内にある)で示される組成を有する材料を主成分として用いる(材料の95at%以上が上記組成を有する)。特に好ましいのは前記AE元素がSrである材料である。また、希土類元素としては主にLaを用いることが好ましい。

発明を実施するための最良の形態

0014

本発明は、ブラシレスDCモータの磁気センサとして、巨大磁気抵抗効果型センサを利用したことを特徴としている。すなわち、巨大磁気抵抗素子を高磁界(数百Oe〜数kOe)のロータマグネットに近接してモータハウジング内に内蔵し、さらに適切な磁石をセンサ近傍に配置することにより、ロータマグネットの磁極の極性を判別できるようにしたものである。ここで巨大磁気抵抗(Giant Magnetoresistance,GMR)効果とは、エイ.イー.ベルウィッツ(A.E. Berkowitz)ら、Phys. Rev. Lett. 68 (1992), 3745頁やジェイ.キュー.ズィエ(J.Q. Xiao )ら、Phys. Rev. Lett. 68 (1992),3749頁に報告されている磁性粒子分散型磁気抵抗効果、又はエム.エヌ.バイビッチ(M.N. Baibich)ら、Phys. Rev. Lett. 61 (1988), 2473頁やエス.エス.ピィー.パーキン(S.S.P. Parkin )ら、Appl. Phys. Lett. 58 (1991), 2710頁に報告されている人工格子型巨大磁気抵抗効果を指す。これらの材料の磁気抵抗効果は、岡ら「まてりあ」第33巻第2号、1994年、165頁に解説されているように、磁性体(析出粒子もしくは多層膜)の磁化伝導を担う電子スピン依存散乱によるとされている。従って、磁性体としてCo、Ni、Feやそれらの合金を用いているので、少なくとも300℃まで磁化変化が無く、大きな磁気抵抗効果が得られる。

0015

また、超巨大磁気抵抗(Colossal Magnetoresistance,CMR)効果を示す材料は、La(AE)MnO3(AE:アルカリ土類金属Ca、Sr又はBa)で示されるMn系ペロブスカイト構造を持つ酸化物などで、これは、1950年代から研究が行われ(Landolt-Bornstein New Series III/4a(1970), III/12a(1978)参照)、近年、低温で磁界により絶縁体から金属に変わる電気抵抗変化を示す材料として注目されている(「まてりあ」第35巻第11号、1996年、1217頁参照)。

0016

これらの材料の特徴として、高温下においても大きな感度変化が無く、また、数kOe以上の磁界においても、磁気抵抗変化があるため、モータ内にセンサを配してもロータマグネットの回転に伴う磁界変化を測定することができる。それに加えて、これらの材料は配線がホール素子の半分の2本で済むために、配線が簡単で小型化が容易である。また、300[Oe]での磁界変化も5kHzまで応答する。つまり、小型ブラシレスDCモータ用の磁気センサに要求される前記した「小型化」、「温度特性」、「磁界特性」及び「高周波特性」を満足する。前記3種の材料のうちでも、ブラシレスDCモータに利用するためには、磁性粒子分散型巨大磁気抵抗材料、人工格子型巨大磁気抵抗材料を用いることが好ましい。これは、超巨大磁気抵抗効果の場合、温度特性をよくするために高温(700〜900℃)で熱処理を必要とするため、作製プロセスが難しいこと、また電気抵抗が数kΩと高いため電気を流しにくいためである。

0017

以下、本発明のブラシレスDCモータ用の磁気センサについて添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の磁気センサ1の検知部の平面図であり、図2はそのII−II線断面図である。図1及び図2において、符号2は前記したような巨大磁気抵抗材料よりなる薄膜状の巨大磁気抵抗素子(センサ素子)を示している。基板3の上には、成膜された細長い銅製の第1センサリード4が形成され、該第1センサリード4の一端部には同様に銅製の突出部5が一体的に立設されている。上記第1センサリード4の上にはこれを覆うようにAl2O3製の絶縁層6が積層され、該絶縁層6の上には、上記巨大磁気抵抗素子2が形成され、また、該巨大磁気抵抗素子2の一方の端部を覆うように成膜された細長い銅製の第2センサリード7が形成されている。巨大磁気抵抗素子2の一端部は、上記第1センサリード4の突出部5の上端の折り曲げ部により固定されている。また、基板3の背面には、永久磁石8が固定されている。これは、高磁界のモータ内部において、ロータマグネットの回転方向を決定するためにはそのN−S極を判定する必要があり、そのためモータに使用している磁石よりも強いバイアス磁界を印加する必要があるためである。センサにバイアス磁界用の磁石を配設することで、ホール素子の機能を代替できる。ここで用いる磁石としては電磁石や永久磁石が使用できるが、サマリウムコバルト磁石ネオジウムボロン磁石等の強力磁石を用いることが好ましい。

0018

薄膜状の巨大磁気抵抗素子2は、膜厚は10nm以上、1μm以下、長さは5mm以下、幅は0.5mm以下が適当である。前記センサリードは、Al、Cu、Cr、TaもしくはMo又はそれらの合金等の導電性材料から作製できるが、これらの中でもCuが好ましい。また、前記絶縁層としては、Al2O3、SiO2、MgO等を用いることができる。なお、実際に前記巨大磁気抵抗効果型センサをブラシレスDCモータ用の磁気センサとして用いる場合、急激な磁界変化によるリード線からの誘導起電力を避けることが望ましいが、原因となる配線のループを小さくなるように配線を積層することで、センサ部分の磁界のみを検出する構造とすることができる。そのために、巨大磁気抵抗素子2の両端に接続された2本の電極(センサリード4,5と7)の間にAl2O3、MgO等からなる絶縁層6を介した積層構造とする。このとき、絶縁層の厚さは0.5nm以上、1,000nm以下が適当であり、好ましくは10nm以上、100nm以下がよい。

0019

図3は、本発明のブラシレスDCモータ用の磁気センサの他の実施例を示している。図3に示す磁気センサ1aおいて、符号2aは前記したような巨大磁気抵抗材料よりなるワイヤー状の巨大磁気抵抗素子(センサ素子)を示している。このセンサ素子2aは、ガラスアルミニウム等の適当な材料からなる板状のスペーサー部材3aを介して、バイアス磁界印加用の永久磁石8に固着されている。符号9は、センサ素子2aの両端部に固着されたリード線である。

0020

なお、前記したセンサ素子2,2aの製造には、液中紡糸法、メルトスピン法等の液体急冷法や、スパッタ法など、適当な種々の方法を採用できるが、生産性製造コストの点からは、液中紡糸法やメルトスピン法などの液体急冷法を用いて、直径もしくは厚さが50μm以下の細線状薄帯状のセンサ素子を製造することが好ましい。また、モータ内が200℃でも磁界感度があり、その感度に経時変化が無いようにするために、センサ作製後に200℃以上で熱処理を行なったり、あるいは200℃以上でセンサを作製することが好ましい。例えば、溶体処理後水焼き入れ過飽和固溶体を作製し、これを熱処理して作製する。

0021

以下、本発明の効果を具体的に確認した実施例を示す。磁気センサは、以下のようにスパッタ法で作製した。

0022

磁性粒子分散型巨大磁気抵抗材料は、AgターゲットもしくはCuターゲット上にCoチップもしくはNi0.66Co0.18Fe0.16合金チップを均等に配した複合ターゲットを用いた。成膜条件及び熱処理条件は以下のとおりである。
成膜方法:RFマグネトロンスパッタ
基板:Siウェーハ
基板温度:100℃
雰囲気:Ar0.6Pa
スパッタ電力:100W
薄膜組成:Ag70Co30、Ag75(Ni0.66Co0.18Fe0.16)25の2種
膜厚:10nm
熱処理:
温度:200℃
時間:0.5時間
雰囲気:真空
磁気抵抗効果:10kOeの磁界で約10%の磁気抵抗比(前記式(1)で求められた値)

0023

また、人工格子型巨大磁気抵抗効果を示すCu/Co薄膜は、RFスパッタ法で、CuとCoの2つのターゲットを交互に積層した。成膜条件は以下の通りである。
成膜方法:RFスパッタ
基板:Siウェーハ
基板温度:100℃
雰囲気:Ar0.6Pa
スパッタ電力:100W(Co)、100W(Cu)
積層回数:20(CuとCoの2つの積層を交互に20回)
層厚:Co(各1.0nm)、Cu(各1.0nm)
熱処理:なし
磁気抵抗効果:10kOeの磁界で約15%の磁気抵抗比(前記式(1)で求められた値)

0024

さらに、超巨大磁気抵抗効果を示すLa0.67Sr0.33MnO3薄膜は、RFスパッタ法で作製した。ターゲットは固相反応法でLa0.67Sr0.33MnO3化合物を焼結したものを用いた。
成膜方法:RFスパッタ
基板:Siウェーハ
基板温度:500℃
雰囲気:Ar2.4Pa+O20.6Pa
スパッタ電力:100W
膜厚:0.5μm
熱処理:
温度:500〜900℃
時間:0.5時間
雰囲気:大気
磁気抵抗効果:10kOeの磁界で約5%の磁気抵抗比(前記式(1)で求められた値)

0025

以上の薄膜をそれぞれ長さ0.5mm、幅0.1mmの矩形状に成膜し、厚さを0.01μmから0.5μmまで調整し、センサの抵抗として2Ωから50Ωまで変えた。永久磁石としてはSmCo5、フェライト磁石を用い、バイアス磁界として100[Oe]から2.5[kOe]まで変えた。上記薄帯状の巨大磁気抵抗素子を、ガラスやアルミニウムの板状のスペーサー部材(厚さ0.2〜1mm)を介して上記永久磁石上に固着した。この磁気センサをブラシレスDCモータのステータの隙間に3個配置し、ロータマグネットの永久磁石のNS極の変化を読み取ると、ホールセンサと同様の信号が得られ、なおかつ、ステータのコイルへの電流を大きくし、モータ内の温度が約150℃以上となっても、信号が室温に比べ30%低下したが、充分回転位置を検出できることを確認し、またトルクが20%以上大きくなった。なお、ロータマグネットの回転方向を検出するためには、少なくとも2個の磁気センサが必要である。

発明の効果

0026

以上のように、本発明によれば、ブラシレスDCモータの磁気センサとして、巨大磁気抵抗素子、特に磁性粒子分散型巨大磁気抵抗素子をバイアス磁界印加用の磁石と組み合わせて用いることにより、耐熱性や高周波応答性、高磁界(少なくとも1kOe以上)までの感度を兼ね備えた交流磁界感度が広い磁気センサが得られ、強い磁界中でも磁界検出が可能となり、またセンサの小型化が可能となる。また、このような巨大磁気抵抗素子は、300℃の高温においても磁気抵抗効果をもつことから、高温下での使用が可能となる。従って、最高使用温度を少なくとも200℃まで上げられるので、励磁コイルに流す電流を大幅に大きくでき、回転力を上げることができる。すなわち、モータの使用温度引き上げ、回転力を大きくできることによって、ブラシレスDCモータの使用範囲が広がることが期待できる。

図面の簡単な説明

0027

図1本発明のブラシレスDCモータに用いる磁気センサの部分概略平面図である。
図2図1のII−II線断面図である。
図3本発明のブラシレスDCモータに用いる磁気センサの他の実施例の概略側面図である。
図4従来のブラシレスDCモータの概念図である。
図5従来のブラシレスDCモータの構造の一例を示す概略断面図である。

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0028

1,1a磁気センサ
2,2a巨大磁気抵抗素子(センサ素子)
3基板
3aスペーサー部材
4 第1センサリード(電極)
5 突出部
6絶縁層
7 第2センサリード(電極)
8永久磁石
10,10a磁気回転子(ロータマグネット)
11励磁用コイル
12 ホール素子

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