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技術 可燃性溶剤を用いた真空洗浄・乾燥方法

出願人 日本化工機工業株式会社
発明者 竹内一竹内節三坂東勝雄勝行雄
出願日 1999年4月2日 (21年2ヶ月経過) 出願番号 1999-096896
公開日 2000年10月17日 (19年8ヶ月経過) 公開番号 2000-288492
状態 未査定
技術分野 液体または蒸気による洗浄
主要キーワード 真空度制御 薄物ワーク 付着膜厚 真空洗浄 液状溶剤 大気導入バルブ 洗浄圧力 沸騰蒸発
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この項目の情報は公開日時点(2000年10月17日)のものです。
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図面 (3)

課題

小さく薄い洗浄対象物であっても、短時間の内に乾燥を終えることのできる技術を提供する。

解決手段

図のST04にて、ヒータ溶剤を加熱し、洗浄室の温度を130〜150℃、圧力を300〜400mmHgに保つ。

効果

従来は100℃未満の温度でワークを蒸発移行させていたため、ワークが小物薄物であれば蓄熱不足して、ワークの蒸発を完了させることができなかった。この点、本発明では従来より30〜50%高い温度までワークを暖めた後に蒸発に移行させるため、蓄熱量が十分に大きくなり、蒸発を良好に完了させることができる。従って、小型、軽量、薄物ワークにおいても、洗浄後の乾燥を良好に実行でき、洗浄・乾燥を効率よく、短時間のうちに実行することができる。

概要

背景

真空雰囲気では溶剤液状溶剤)は常圧より低い温度で蒸発することから、真空槽洗浄室)に溶剤及び洗浄対象物を入れ、真空槽内の真空度を高めることにより、溶剤を蒸気化し、この溶剤蒸気で洗浄対象物の洗浄を実行することを原理とした真空洗浄装置は知られている。

例えば、特許第2535466号公報「可燃性溶剤を用いた被洗浄物洗浄装置」は上述の真空洗浄装置に係る発明であり、請求項1の記載「沸点100℃〜200℃の高沸点溶剤を用いる。」、同公報の段落番号[0006]第3行〜第5行「高沸点溶剤を、常圧下に於けるよりも低い温度で沸騰蒸発させ、蒸気洗浄用の溶剤として使用する事を可能にする。」、同公報の段落番号[0013]「また、蒸気発生槽洗浄槽等の内部が連続的に減圧され、内部の空気が希薄なものとなるため、溶剤に可燃性のものを選択しても、引火の危険を大幅に減少することができたものである。」ことを特徴とする。沸点100℃〜200℃の高沸点溶剤を、常圧下に於けるよりも低い温度で沸騰蒸発させるとは、真空雰囲気で100℃未満の温度で蒸発させることであると考えられる。

また、文献「可燃物対応洗浄装置の安全について」(平成9年9月、日本産業洗浄協議発行)第8頁第18行〜第20行に「(例えば、図2に示した炭化水素洗浄剤は、この値は約100mmHgである)。従って乾燥室内の圧力を、この燃焼限界圧力以上にならないようにすることが不可欠であり、この条件を満たすため装置上の対応が必要である。」の記載があり、可燃性溶剤のうちの炭化水素系洗浄剤を用いた洗浄装置及び乾燥装置取扱う団体(協議会)において、室内の圧力を100mm未満の真空度を保たなければならないと規定している。

このため従来は、可燃性溶剤を用いた洗浄・乾燥装置を、100℃未満の温度で且つ100mmHg未満の真空度で運転することとしていた。このことは、100℃未満の温度で溶剤を蒸発させるには100mmHg未満の真空度が必要であることを意味する。

概要

小さく薄い洗浄対象物であっても、短時間の内に乾燥を終えることのできる技術を提供する。

図のST04にて、ヒータで溶剤を加熱し、洗浄室の温度を130〜150℃、圧力を300〜400mmHgに保つ。

従来は100℃未満の温度でワークを蒸発に移行させていたため、ワークが小物薄物であれば蓄熱不足して、ワークの蒸発を完了させることができなかった。この点、本発明では従来より30〜50%高い温度までワークを暖めた後に蒸発に移行させるため、蓄熱量が十分に大きくなり、蒸発を良好に完了させることができる。従って、小型、軽量、薄物ワークにおいても、洗浄後の乾燥を良好に実行でき、洗浄・乾燥を効率よく、短時間のうちに実行することができる。

目的

地球環境破壊する可能性の高い塩素系有機溶剤フッ素系有機溶剤を、安全性の高い炭化水素系溶剤代替できる様になったことは、望ましいことである。しかし、小さな洗浄対象物や薄い洗浄対象物を、100℃未満且つ100mmHg未満の真空度で可燃性溶剤を用いて洗浄すると、溶剤蒸気が付着物とともに流れ去るものの外、溶剤蒸気の一部が液状溶剤となって洗浄対象物に付着し、この付着溶剤がなかなか乾燥しないという現象が起こる。この結果、洗浄(含む乾燥)工程が長くなり、生産性を著しく阻害するという新たな問題が発生した。そこで、本発明の目的は、小さく薄い洗浄対象物であっても、短時間の内に乾燥を終えることのできる技術を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
0件

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請求項1

洗浄室にワークを投入し、減圧して空気を除去し、その後に洗浄室に、危険物第4類第2石油類及び第3石油類に属する可燃性洗浄剤液状溶剤として適量供給する準備工程と、前記洗浄室の温度を130℃〜150℃の範囲に保ち、圧力を300〜400mmHgの範囲に保ちつつ、液状溶剤を暖めて蒸発させ、この溶剤蒸気でワークを洗浄する洗浄工程と、前記液状溶剤の残量を洗浄室から排出し、減圧下でワークの蓄熱熱源としてワーク表面の液状溶剤を蒸発させることにより、ワークを乾燥させる乾燥工程と、からなる可燃性溶剤を用いた真空洗浄乾燥方法

請求項2

前記準備工程において、ワークを投入した後の減圧は少なくとも40mmHgまで真空引きすることを特徴とした請求項1記載の可燃性溶剤を用いた真空洗浄・乾燥方法。

請求項3

前記乾燥工程における減圧は洗浄工程で設定した真空度と同一にすることを特徴とした請求項1記載の可燃性溶剤を用いた真空洗浄・乾燥方法。

技術分野

0001

本発明は可燃性溶剤を用いた真空洗浄乾燥方法の改良技術に関する。なお、本書において、溶剤気体であれば「溶剤蒸気」と記載するが、液体であれば「液状溶剤」又は単に「溶剤」と記載する。また、圧力の単位は便宜上、mmHg(水銀柱圧力)を採用した。1mmHg=133Paに基づいてSI単位のPa(パスカル)に換算することができる。

背景技術

0002

真空雰囲気では溶剤(液状溶剤)は常圧より低い温度で蒸発することから、真空槽洗浄室)に溶剤及び洗浄対象物を入れ、真空槽内の真空度を高めることにより、溶剤を蒸気化し、この溶剤蒸気で洗浄対象物の洗浄を実行することを原理とした真空洗浄装置は知られている。

0003

例えば、特許第2535466号公報「可燃性溶剤を用いた被洗浄物洗浄装置」は上述の真空洗浄装置に係る発明であり、請求項1の記載「沸点100℃〜200℃の高沸点溶剤を用いる。」、同公報の段落番号[0006]第3行〜第5行「高沸点溶剤を、常圧下に於けるよりも低い温度で沸騰蒸発させ、蒸気洗浄用の溶剤として使用する事を可能にする。」、同公報の段落番号[0013]「また、蒸気発生槽洗浄槽等の内部が連続的に減圧され、内部の空気が希薄なものとなるため、溶剤に可燃性のものを選択しても、引火の危険を大幅に減少することができたものである。」ことを特徴とする。沸点100℃〜200℃の高沸点溶剤を、常圧下に於けるよりも低い温度で沸騰蒸発させるとは、真空雰囲気で100℃未満の温度で蒸発させることであると考えられる。

0004

また、文献「可燃物対応洗浄装置の安全について」(平成9年9月、日本産業洗浄協議発行)第8頁第18行〜第20行に「(例えば、図2に示した炭化水素洗浄剤は、この値は約100mmHgである)。従って乾燥室内の圧力を、この燃焼限界圧力以上にならないようにすることが不可欠であり、この条件を満たすため装置上の対応が必要である。」の記載があり、可燃性溶剤のうちの炭化水素系洗浄剤を用いた洗浄装置及び乾燥装置取扱う団体(協議会)において、室内の圧力を100mm未満の真空度を保たなければならないと規定している。

0005

このため従来は、可燃性溶剤を用いた洗浄・乾燥装置を、100℃未満の温度で且つ100mmHg未満の真空度で運転することとしていた。このことは、100℃未満の温度で溶剤を蒸発させるには100mmHg未満の真空度が必要であることを意味する。

発明が解決しようとする課題

0006

地球環境破壊する可能性の高い塩素系有機溶剤フッ素系有機溶剤を、安全性の高い炭化水素系溶剤代替できる様になったことは、望ましいことである。しかし、小さな洗浄対象物や薄い洗浄対象物を、100℃未満且つ100mmHg未満の真空度で可燃性溶剤を用いて洗浄すると、溶剤蒸気が付着物とともに流れ去るものの外、溶剤蒸気の一部が液状溶剤となって洗浄対象物に付着し、この付着溶剤がなかなか乾燥しないという現象が起こる。この結果、洗浄(含む乾燥)工程が長くなり、生産性を著しく阻害するという新たな問題が発生した。そこで、本発明の目的は、小さく薄い洗浄対象物であっても、短時間の内に乾燥を終えることのできる技術を提供することにある。

課題を解決するための手段

0007

上記目的を達成するために請求項1は、洗浄室にワークを投入し、減圧して空気を除去し、その後に洗浄室に、危険物第4類第2石油類及び第3石油類に属する可燃性洗浄剤を液状溶剤として適量供給する準備工程と、前記洗浄室の温度を130℃〜150℃の範囲に保ち、圧力を300〜400mmHgの範囲に保ちつつ、液状溶剤を暖めて蒸発させ、この溶剤蒸気でワークを洗浄する洗浄工程と、前記液状溶剤の残量を洗浄室から排出し、減圧下でワークの蓄熱熱源としてワーク表面の液状溶剤を蒸発させることにより、ワークを乾燥させる乾燥工程と、からなる可燃性溶剤を用いた真空洗浄・乾燥方法である。

0008

従来は100℃未満の温度でワークを蒸発に移行させていたため、ワークが小物薄物であれば蓄熱が不足して、ワークの蒸発を完了させることができなかった。この点、請求項1によれば、従来より30〜50%高い温度までワークを暖めた後に蒸発に移行させるため、蓄熱量が十分に大きくなり、蒸発を良好に完了させることができる。なお、この温度は溶剤蒸気の引火点大気圧)を超えているが、準備工程で空気即ち酸素真空排気してあるので、酸素が洗浄室に実質的に存在せず、危険性は殆どない。

0009

請求項2では、準備工程において、ワークを投入した後の減圧は少なくとも40mmHgまで真空引きすることを特徴とする。ワーク投入の際に洗浄室内空気雰囲気となるが、40mmHgに減圧すれば、残存空気の量をほぼ1/20に減少させることができるので、溶剤蒸気に着火することを防止することができる。残存空気は少ないほどよいから、20mmHg若しくはそれ以上の真空度まで減圧することは差しつかない。

0010

請求項3では、乾燥工程における減圧は洗浄工程で設定した真空度と同一にすることを特徴とする。洗浄工程と乾燥工程の真空度を同一にすれば、真空度制御部の設定を変更する必要が無く、洗浄・乾燥作業が容易となる。

発明を実施するための最良の形態

0011

本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。図1本発明方法を実施するための真空洗浄・乾燥装置の原理図であり、真空洗浄・乾燥装置10は、蓋11を備えた洗浄室12と、この洗浄室12の途中に渡した格子13と、洗浄室12の下部から液状溶剤14を出し入れする管15及びこの管15に介設した溶剤バルブ16と、管15の先(下端)の溶剤タンク17と、この溶剤タンク17から管15及び溶剤バルブ16を介して洗浄室12の下部へ送り込み蓄えた液状溶剤14を所定の温度に暖めるヒータ18、下部温度計19、上部温度計20及び温度制御部21と、洗浄室12内を真空引きする真空ポンプ22、真空計23及び真空度制御部24と、洗浄室12へ窒素ガス吹込むN2供給源25と、洗浄室12へ大気を導入する大気導入バルブ26とからなる。28はミスト回収機である。前記溶剤タンク17は、蒸気発生槽であってよい。

0012

以上の構成からなる真空洗浄・乾燥装置10の作用を次に述べる。図2は本発明に係る真空洗浄・乾燥装置の作動フロー図であり、ST××はステップ番号を示す。
ST01:ワーク(洗浄対象物)を洗浄室に投入する。具体的には、図1において、蓋11を開け、ワーク30を格子13上に置いたのちに、蓋11を閉める。
ST02:洗浄室を20mmHgまで真空引きする。具体的には、図1において、真空ポンプ22を運転し、真空計23の指示値が20mmHgになるまで待つ。
ST03:タンクから液状溶剤を洗浄室へ移す。又は別に設けた蒸気発生槽から溶剤蒸気を送り込む。溶剤は次の表に示すとおり、危険物第4類第2石油類洗浄剤又は、同類第3石油類洗浄剤を使用する。

0013

0014

具体的には、図1において、溶剤バルブ16を開くと、洗浄室12が負圧であるため、液状溶剤が溶剤タンク17から洗浄室12へ移動する。以上のST01〜04が準備工程である。

0015

ST04:洗浄室下部の液状溶剤をヒータで暖める。そして洗浄室の温度を130〜150℃、圧力を300〜400mmHgに保つ。具体的には、図1において、真空ポンプ22、真空計23及び真空度制御部24で、洗浄室12の内部圧力を所定の初期真空度まで引く。次に、真空ポンプ22を止め、洗浄室12を密封状態にし、溶剤蒸気を洗浄室12へ投入する。この溶剤蒸気の温度と初期真空度との相関関係により、洗浄室12は物理的に決まる温度及び圧力に落ち着く。この温度が130〜150℃、圧力が300〜400mmHgになるように、初期真空度並びに溶剤蒸気の温度を予め決めればよいことになる。

0016

又は、上部温度計20及び温度制御部21で温度をコントロールし、真空度制御部24で真空度をコントロールすることで、洗浄室の温度を130〜150℃、圧力を300〜400mmHgに保つようにすることは設備的に可能である。

0017

上記処理により、大気圧の約1/2の圧力になるため、液状溶剤は130〜150℃で盛んに蒸発する。この溶剤蒸気がワークに付着している付着物(例えば圧延油)をワークから分離し落下する。一部の溶剤蒸気は真空ポンプ22で引かれるが、ミスト回収機28で液状溶剤と気体とに分離し、液状溶剤を回収し、気体を真空ポンプ22に向わせる。

0018

ここで重要なことは、上記の表で示したとおりに、溶剤を引火点(大気圧)を超えた温度に加熱することである。ST01で洗浄室は大気雰囲気(760mmHg)であったが、ST02で洗浄室内を20mmHgまで引いたので、洗浄室内の残存空気は20/760、即ち1/38に減った。この程度の微量な空気であれば、溶剤を150℃まで暖めても引火する虞れはない。以上のST04が洗浄工程であり、この洗浄を数分程度実行する。

0019

ST05:次に洗浄室から液状溶剤を溶剤タンクへ戻すが、このときに洗浄室へN2を吹込んで、洗浄室を復圧することで、液状溶剤を溶剤タンクへ戻す。具体的には、図1において、溶剤バルブ16を開き、N2供給源25からN2を洗浄室12へ吹込めば、管15を通じて液状溶剤は速かに溶剤タンク17に戻る。N2ガス不活性ガスであるから、洗浄室12の圧力が高まっても爆発や引火を招く心配はない。

0020

ST06:洗浄室を5〜40mmHgに真空引きする。具体的には、図1において、溶剤バルブ16を閉じ、真空ポンプ22で洗浄室12を負圧にする。ワークは130〜150℃に対応する蓄熱を有しているので、この熱を蒸発熱充当すること及び5〜40mmHgの真空度によって、ワークに付着している液状溶剤は蒸発する。この蒸発に伴なってワークは温度低下するが、液状溶剤の付着膜厚はそれほど大きくなく、付着量は小さいので、数十℃の温度降下で、付着溶剤を十分に蒸発させることができる。以上のST06は乾燥工程である。ただし、液状溶剤並びに溶剤蒸気が洗浄室12に残っている間は次のステップへ進めないので、ST06を数分間実施し、安全を期す。

0021

ST07:洗浄室へ大気を導入する。具体的には、図1において、大気導入バルブ26を開けて、洗浄室12へ外の空気を導入する。
ST08:ワークを取出す。具体的には、図1において、蓋11を開けて、格子13上のワーク30を取出す。

0022

本発明に係る実験例を次に説明する。ただし、本発明は実験例に限定するものではない。実験1〜4を次の表にまとめた。

0023

0024

○実験1:コップ状のAl(アルミ)製角筒を臥せた状態で実験を実施した。このワーク(以下、洗浄対象物と言う)は4.6867gの自重があり、これに付着物として圧延油を0.0279gを付着させた。上記洗浄対象物を、第2石油類洗浄剤で、150℃、300mmHgの条件で洗浄し、その後、40mmHgの条件で乾燥を実施した。洗浄・乾燥時間を5分としたが、目視結果は良好であり、乾燥重量が4.6867gであったから圧延油は残らず除去できたことになる。従って、評価は○である。

0025

○実験2:コップ状のFe(鉄)製円筒を臥せた状態で実験を実施した。この洗浄対象物は8.1230gの自重があり、これに付着物として圧延油を0.0965gを付着させた。上記洗浄対象物を、第2石油類洗浄剤で、150℃、300mmHgの条件で洗浄し、その後、30mmHgの条件で乾燥を実施した。洗浄・乾燥時間を5分としたが、目視結果は良好であり、乾燥重量が8.1231gであったから圧延油は殆ど除去できたことになる。従って、評価は○である。

0026

○実験3:ガラス円筒、具体的にはビーカを臥せた状態で実験を実施した。この洗浄対象物は63.325gの自重があり、これに付着物としてグリースを5.183gを付着させた。上記洗浄対象物を、第2石油類洗浄剤で、150℃、300mmHgの条件で洗浄し、その後、30mmHgの条件で乾燥を実施した。洗浄・乾燥時間を4分としたが、目視結果は良好であり、乾燥重量が63.825gであったからグリースは殆ど除去できたことになる。従って、評価は○である。

0027

○実験4:SUSの薄板を対象に実験を実施した。この洗浄対象物は312.4gの自重があり、これに付着物として圧延油を1.05gを付着させた。上記洗浄対象物を、第2石油類洗浄剤で、150℃、300mmHgの条件で洗浄し、その後、30mmHgの条件で乾燥を実施した。洗浄・乾燥時間を4分としたが、目視結果は良好であり、乾燥重量が312.4gであったから圧延油は除去できたことになる。従って、評価は○である。

0028

実験1〜4の結果から、洗浄対象物を150℃まで暖めておいてため、洗浄対象物がごく軽量であるにも拘らず、その蓄熱で残存溶剤を蒸発させることに成功したこと、コップ状を臥せたため内周面に付着した液状溶剤は除去しにくいにも拘らず、残存溶剤を効果的に除去できたことが分かる。

0029

引き続き、実験5〜9を実施したので、その結果を次の表に示す。

0030

0031

○実験5〜9の共通条件:洗浄対象物は、4.6867gのコップ状のAl(アルミ)製角筒、付着物は0.0279gの圧延油とし、溶剤を第3石油類洗浄剤とした。

0032

○実験5:上記洗浄対象物を、第3石油類洗浄剤で、100℃、100mmHgの条件で洗浄し、その後、5mmHgの条件で乾燥を実施した。洗浄・乾燥時間を16分としたが、目視で油の残存が認められたため評価は×である。

0033

○実験6:上記洗浄対象物を、第3石油類洗浄剤で、130℃、300mmHgの条件で洗浄し、その後、5mmHgの条件で乾燥を実施した。洗浄・乾燥時間を7分としたが、目視結果は良好であり、評価は○である。

0034

○実験7:上記洗浄対象物を、第3石油類洗浄剤で、140℃、350mmHgの条件で洗浄し、その後、10mmHgの条件で乾燥を実施した。洗浄・乾燥時間を5分としたが、目視結果は良好であり、評価は○である。

0035

○実験8:上記洗浄対象物を、第3石油類洗浄剤で、150℃、400mmHgの条件で洗浄し、その後、20mmHgの条件で乾燥を実施した。洗浄・乾燥時間を6分としたが、目視結果は良好であり、評価は○である。

0036

○実験9:上記洗浄対象物を、第3石油類洗浄剤で、150℃、450mmHgの条件で洗浄し、その後、30mmHgの条件で乾燥を実施した。洗浄・乾燥時間は9分を要した。目視結果は良好であったが時間が長いので、評価は△である。

0037

上記実験5では温度が100℃であり蓄熱が小さ過ぎて、残存溶剤を完全に蒸発させるに至らなかったことが確認できた。また、上記実験9では温度は150℃であったので、蓄熱は大きく残存溶剤を完全に蒸発させることはできた。しかし、洗浄圧力が大気圧(760mmHg)に近い450mmHgであり、差圧が310mmであったため、溶剤の昇温に時間が掛り、洗浄工程の時間が長くなり、洗浄・乾燥時間が9分にもなった。

0038

実験7では温度が140℃で、圧力が10mmHgであり、差圧が750mmHgであったため、洗浄工程時間、乾燥時間ともに短くなり洗浄・乾燥時間が5分で収まった。以上のことから、溶剤が炭化水素系溶剤であり、洗浄対象物が小物、薄物であるときには、130℃〜150℃、300〜400mmHgの条件で洗浄することが望ましいことが確認できた。

0039

すなわち、従来は溶剤蒸気並びに溶剤対象物の温度を100℃未満としていたが、本発明では、溶剤蒸気並びに溶剤対象物の温度を130℃〜150℃まで高めたことにより、溶剤蒸気並びに溶剤対象物の蓄熱量が増し、この増加熱量を乾燥工程における残存溶剤の蒸発に充てることができるので、小物、薄物についても短時間で乾燥を完了することができたものである。

0040

加えて、処理温度を少なくとも30℃高めたことにより、付着物(油脂)をより軟らかくすることができ、流動性を高めることができるから、洗浄工程で油脂等を溶剤とともに効率よくワークから落とすことができる。更に、溶剤の温度を高めることで溶剤の活性化を図り、微細な隙間へも進入させることができ、重ね部分や隙間をも良好に洗浄することができる。このように、処理温度を数十度単位で上げたため、乾燥時間の短縮のみならず、洗浄性の向上、特に微細な隙間や重ね部分での従来得られなかったような良好な洗浄性が得られるようになった。

0041

尚、請求項1では準備工程での減圧は高真空である程残存空気が少なくなるので好ましい。しかし、真空引き時間が長くなるので、実用的には大気圧の1/20に相等する40mmHgまで真空引きする。また、請求項1の乾燥工程での減圧は真空乾燥の観点から高真空である程望ましい。しかし、真空引き時間が長くなるので、実用的には40mmHg程度まで真空度を高めればよい。従って、請求項1では、準備工程及び乾燥工程の真空度はワークの形状、洗浄室の容積、真空ポンプの能力を考慮して決定すればよい。

発明の効果

0042

本発明は上記構成により次の効果を発揮する。請求項1は、洗浄室の温度を130℃〜150℃の範囲に保ち、圧力を300〜400mmHgの範囲に保ちつつ、溶剤蒸気でワークを洗浄することを特徴とする。従来は100℃未満の温度でワークを蒸発に移行させていたため、ワークが小物や薄物であれば蓄熱が不足して、ワークの蒸発を完了させることができなかった。この点、請求項1によれば、従来より30〜50%高い温度までワークを暖めた後に蒸発に移行させるため、蓄熱量が十分に大きくなり、蒸発を良好に完了させることができる。従って、小型、軽量、薄物ワークにおいても、洗浄後の乾燥を良好に実行でき、洗浄・乾燥を効率よく、短時間のうちに実行することができる。

0043

請求項2では、準備工程において、ワークを投入した後の減圧は少なくとも40mmHgまで真空引きすることを特徴とする。ワーク投入の際に洗浄室内は空気雰囲気となるが、40mmHgに減圧すれば、残存空気の量をほぼ1/20に減少させることができるので、溶剤蒸気に着火することを防止することができる。真空度がそれ程高くないので、安価な真空ポンプの採用が可能であるから設備費用を抑えることができ、且つ真空排気時間が短いので洗浄作業時間を短縮することが可能となる。

0044

請求項3では、乾燥工程における減圧は洗浄工程で設定した真空度と同一にすることを特徴とする。洗浄工程と乾燥工程の真空度を同一にすれば、真空度制御部の設定を変更する必要が無く、洗浄・乾燥作業が容易となる。

図面の簡単な説明

0045

図1本発明方法を実施するための真空洗浄・乾燥装置の原理図
図2本発明に係る真空洗浄・乾燥装置の作動フロー図

--

0046

10…真空洗浄・乾燥装置、12…洗浄室、14…溶剤(液状溶剤)、17・・・溶剤タンク又は蒸気発生槽、19,20…温度計、21…温度制御部、22…真空ポンプ、23…真空計、24…真空度制御部、30…ワーク(洗浄対象物)。

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