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図面 (19)

課題

周波数領域で等化を行う場合の時間方向の補間方式として回路規模を増大させる乗算器が不要で、伝送路応答推定に優れた補間方式を提供する。

解決手段

パイロット信号伝送路応答推定値H~(l,kp,l)とH~(l+4,kp,l+4)を加算器21で加算し、ビットシフト回路22で1ビットシフトしてH~(l+2,kp,l+2)を得る。また、H~(l,kp,l)とビットシフト回路22の出力を加算器23で加算し、ビットシフト回路25でビットシフトしてH~(l+1,kp,l+1)を得る。同様に、H~(l+4,kp,l+4)とビットシフト回路22の出力を加算器24で加算し、ビットシフト回路26でビットシフトしてH~(l+3,kp,l+3)を得る。これによって乗算器が不要となり、ハードウエア規模の削減が図れる。また、パイロット信号が伝送される各キャリアに対して時間方向に2つのパイロット信号を記憶するだけでよく、メモリ規模も削減することができる。

概要

背景

地上デジタル放送方式として、OFDM直交周波数分割多重方式Orthogonal Frequency Division Multiplex)方式が欧州、国内で検討されている。このOFDM方式は、1チャンネル帯域内に多数のキャリア多重伝送する(欧州DVB−Tシステムでは2Kモードで1705本、文献1:EBU/ETSI JTC :Digital Broadcasting system for television, sound and data services; Framing structure, channel coding modulation for digital terrestrial television,ETS 300 744,Mar. 1996)方式であり、DVB−Tシステムでは、このサブキャリアの中に、振幅位相既知パイロット信号伝送している。

動体OFDM信号を受信する場合、受信信号は振幅がレイリー分布、位相が一様分布するレイリーフェージングを受ける。この影響を補償する技術として、上記したパイロット信号を時間方向に補間し、各パイロット信号間の変動を観測することで、受信信号の振幅、位相の時間的な変動による伝送路応答推定し、その推定結果に基づいて周波数領域で等化する手法がある。この手法は既に学会等で報告されている(例えば、文献2:映情学誌Vol.52, No.11 1998, 高田他"地上デジタル放送におけるOFDMシンボル長とスキャッタードパイロットによる伝送特性"、文献3:Wireless personal Communications 2: 335-356, 1996, Hara "Transmission Performance Analysis of Multi-Carrier Modulationin Frequency Selective Fast Rayleigh Fading Channel" )。

一方、フェージング高速になるに従い、キャリアのドップラー拡がりが無視できなくなり、キャリア間干渉(ICI)が発生する。これは、言い換えれば、1OFDMシンボル内で伝送路応答が変動することと等しい。この1OFDMシンボル内での伝送路応答変動を補償する技術としては、時間領域の等化による手法が学会で報告されている(文献4:1997年信学総大, B5-282, 橋爪他 "直交マルチキャリア変調におけるガード区間を用いた高速フェージング補償方式" )。

まず、周波数領域での等化について説明する。

図13に、欧州DVB−Tシステムのパイロット信号配置を示す。kはキャリア番号(carrier index)であり、lはシンボル番号(symbol index)である。パイロット信号としては、伝送シンボル番号によらず同一のキャリアで連続して伝送されるCP(連続パイロットcontinual pilot)と、伝送シンボルごとに異なったキャリアで伝送されるSP(分散パイロットscattered pilot)がある。図20において、SPは黒丸記号で示すように、12本ごとのキャリア位置kp,l=12p+3*(l mod 4),p=0,…,142、l=0,…,67(1フレームシンボル数) のキャリアに伝送されており、4シンボルごとに同一のキャリア配置となるように巡回的に挿入されている(但し、kp,lの最大値は1704)。また、データ信号はCP及びSPを除いた1512本のキャリアで伝送され、そのキャリア配置はkd,l、d=0,…,1511、l=0,…,67で与えられる(但し、kd,l≠kp,l)。

一方、シンボル方向(時間方向)で観察すると、SPはキャリア番号で3の倍数の位置に4シンボルごとに伝送されていることがわかる。したがって、周波数領域の等化を行う際には、パイロット信号間の3つのデータ信号に対して伝送路応答を補間する必要がある。

周波数領域における等化について、図14を参照して説明する。図14は周波数領域の等化器を含むベースバンド復調部の構成を示すもので、FFT高速フーリエ変換回路11で周波数領域の信号に変換された受信OFDM信号Y(l,k)は、受信データ信号Y(l,kd,l)とCPを除いた受信パイロット信号Y(l,kp,l)に分解される。パイロット信号は、既知の複素振幅X(l,kp,l)を持ち、メモリ12に予め格納されている。そこで、伝送路において雑音加算されない場合には、除算回路13にて受信パイロット信号Y(l,kp,l)をメモリ12に格納されている複素振幅X(l,kp,l)で除算することで、受信パイロット信号を伝送するサブキャリアk=kp,lの伝送路応答H(l,kp,l)=Y(l,kp,l)/X(l,kp,l)を求めることができる。しかし、一般的には伝送路で雑音が加算されるため、パイロット信号を伝送するキャリアの伝送路応答は推定値H~(l,kp,l)となる。

伝送路応答の推定値H~(l,kp,l)は、時間方向(シンボル方向)に伝送路応答を補間するシンボルフィルタ14を介した後、キャリアフィルタ15において各受信データ信号の伝送路応答H~(l,kd,l)をキャリア方向に補間し、データ信号を伝送するキャリアにおける伝送路応答を推定する。このようにして得られた推定伝送路応答H~(l,kd,l)で受信データ信号Y(l,kd,l)を除算回路16にて除算することで、等化後のデータX(l,kd,l)=Y(l,kd,l)/H~(l,kd,l)を得ることができる。

図15(a)にパイロット信号が伝送されるキャリア位置での伝送路応答の例を示し、同図(b)にパイロット及びデータ信号配置の模式図を示す。いずれも横軸に時間(シンボル方向)をとっており、パイロット信号は4キャリアごとに伝送される。最大ドップラー周波数fdのレイリーフェージング伝送路では、各伝送キャリアが±fdの拡がりを生じ、受信信号は同図(a)に示すように時間的に変動する。

パイロット信号間の受信データ信号における伝送路応答の推定手法に関して報告されている例としては、パイロット信号の伝送路応答を次のパイロット信号が伝送されるまでホールドする手法(文献2)と、パイロット信号間を直線補間する手法(文献3)がある。

パイロット信号の伝送路応答を次のパイロット信号が伝送されるまでホールドし、パイロット信号間のデータ信号の伝送路応答とする方式は、ハードウエア的には非常に簡単であり、時間的に伝送路応答が変動しない伝送路においては有効である。しかしながら、フェージング伝送路のように時間的に伝送路応答が変動する場合には、逆に特性劣化が生じてしまう。一方、パイロット信号間を直線補間する手法は、時間的に伝送路応答が変動する伝送路に有効であるが、乗算器加算器が必要となり、ハードウエア規模が大きくなってしまう。

次に時間領域での等化について説明する。

OFDM信号は、図16に示すように、有効シンボル期間末尾ガードインタバルとして有効シンボルの先頭に付加する構成となっている。このOFDM信号の特徴を用いて、AFCタイミング再生モード判定等の信号処理が行われている。また、デジタル放送に比較して、キャリア数は少ないが、フェージング妨害を受けた信号の等化に応用する例も報告されている(文献3)。

図17にOFDMシンボル構成とフェージング歪みを受けた場合の伝送路応答例を示す。OFDMシンボルはIFFT(逆高速フーリエ変換)のタイミングTでサンプリングされ、有効シンボル期間はN点サンプルされる。有効シンボル期間のN+1からNg+Nのサンプル点は、ガードインタバルとして0からNg−1のサンプル点に複写される。

不変で雑音のない伝送路を仮定すると、有効シンボル期間の末尾部分とガードインタバル期間は同一の信号として受信される。しかしながら、一般の受信装置では雑音が加算されると共に、フェージング伝送路を仮定すると、伝送路応答例に示すように、各受信サンプル点は振幅、位相に歪みを受け、有効シンボル期間の末尾部分とガードインタバル期間は異なった信号として受信される。

時間領域の等化は、有効シンボル期間の末尾部分とガードインタバル期間の受信信号の差から伝送路応答を推定し、信号の等化を行う手法である。いま、各サンプル点の受信信号を次式で与える。

概要

周波数領域で等化を行う場合の時間方向の補間方式として回路規模を増大させる乗算器が不要で、伝送路応答の推定に優れた補間方式を提供する。

パイロット信号の伝送路応答推定値H~(l,kp,l)とH~(l+4,kp,l+4)を加算器21で加算し、ビットシフト回路22で1ビットシフトしてH~(l+2,kp,l+2)を得る。また、H~(l,kp,l)とビットシフト回路22の出力を加算器23で加算し、ビットシフト回路25でビットシフトしてH~(l+1,kp,l+1)を得る。同様に、H~(l+4,kp,l+4)とビットシフト回路22の出力を加算器24で加算し、ビットシフト回路26でビットシフトしてH~(l+3,kp,l+3)を得る。これによって乗算器が不要となり、ハードウエア規模の削減が図れる。また、パイロット信号が伝送される各キャリアに対して時間方向に2つのパイロット信号を記憶するだけでよく、メモリ規模も削減することができる。

目的

そこで、本発明では、上記した課題を解決するため、周波数領域で等化を行う場合の時間方向の補間方式として回路規模を増大させる乗算器が不要で、伝送路応答の推定に優れた補間方式によるOFDM用受信装置を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
6件
牽制数
8件

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請求項1

振幅位相既知パイロット信号周波数軸上及び時間軸上にほぼ等間隔で配置してなるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex :直交周波数分割多重)信号を受信し、前記パイロット信号の伝送路応答2値デジタル信号として処理、推定して受信データ信号の伝送路応答を補間して周波数領域の等化を行うOFDM用受信装置であって、前記OFDM信号受信出力から時間軸上に連続する第1及び第2のパイロット信号を順次取り出し、前記第1及び第2のパイロット信号の第1及び第2の伝送路応答を加算する加算手段と、この加算手段の加算結果ビットシフトすることで第3の推定伝送路応答を求め、少なくとも第3の推定伝送路応答を用いて時間軸上に連続する第1及び第2のパイロット信号間のデータ信号の伝送路応答を補間する補間処理手段とを具備することを特徴とするOFDM用受信装置。

請求項2

振幅、位相が既知のパイロット信号を周波数軸上及び時間軸上にほぼ等間隔で配置してなるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex :直交周波数分割多重)信号を受信し、前記パイロット信号を用いて受信データ信号の伝送路応答を補間して周波数領域の等化を行うOFDM用受信装置であって、前記OFDM信号の受信出力から時間軸上に連続するパイロット信号を順次取り出し、各パイロット信号間のデータ信号配列位置に0を挿入して時系列に並べる信号配列手段と、この手段で時系列に並べられた信号を畳み込み演算することにより伝送路応答を補間する補間処理手段とを具備することを特徴とするOFDM用受信装置。

請求項3

有効シンボル期間末尾区間を有効シンボル期間の先頭複写してガード期間を形成してなるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex :直交周波数分割多重)信号を受信し、受信したOFDM信号のガード期間の末尾と有効シンボル期間の末尾から伝送路応答の変化分を計算し、この伝送路応答の変化分を用いて時間軸上の等化を行うOFDM用受信装置であって、前記前記有効シンボル内複数ブロックに分割し、伝送路応答の変化分から各ブロックの伝送路応答を推定する伝送路応答推定手段と、この手段で得られた複数の伝送路応答に基づいて前記有効シンボル期間の時間領域の等化を行う時間領域等化手段とを具備することを特徴とするOFDM用受信装置。

請求項4

前記伝送路応答検出手段は、伝送路応答の変化分から前記有効シンボル内に存在する複数の伝送路応答を求める演算として、加算器ビットシフト回路装置を用いることを特徴とする請求項3記載のOFDM用受信装置。

請求項5

有効シンボル期間の末尾区間を有効シンボル期間の先頭に複写してガード期間を形成し、振幅、位相が既知のパイロット信号を周波数軸上及び時間軸上にほぼ等間隔で配置してなるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex :直交周波数分割多重)信号を受信するOFDM用受信装置であって、受信したOFDM信号のガード期間の末尾と有効シンボル期間の末尾から伝送路応答の変化分を計算し、前記有効シンボル内を複数ブロックに分割し、前記伝送路応答の変化分から各ブロックの伝送路応答を推定し、これら複数の伝送路応答に基づいて前記有効シンボル期間の時間領域の等化を行う時間領域等化手段と、前記パイロット信号の伝送路応答を2値デジタル信号として処理、推定して受信データ信号の伝送路応答を補間して周波数領域の等化を行う周波数領域等化手段とを具備することを特徴とするOFDM用受信装置。

請求項6

前記周波数領域等化手段は、前記OFDM信号の受信出力から時間軸上に連続する第1及び第2のパイロット信号を順次取り出し、前記第1及び第2のパイロット信号の第1及び第2の伝送路応答を加算し、この加算結果をビットシフトすることで第3の推定伝送路応答を求め、少なくとも第3の推定伝送路応答を用いて時間軸上に連続する第1及び第2のパイロット信号間のデータ信号の伝送路応答を補間し、この補間された推定伝送路応答に基づいて周波数領域の等化を行うことを特徴とする請求項5記載のOFDM受信装置

請求項7

前記周波数領域等化手段は、前記OFDM信号の受信出力から時間軸上に連続するパイロット信号を順次取り出し、各パイロット信号間のデータ信号配列位置に0を挿入して時系列に並べ、畳み込み演算することにより伝送路応答を補間し、この補間された推定伝送路応答に基づいて周波数領域の等化を行うことを特徴とする請求項5記載のOFDM受信装置。

請求項8

前記時間領域等化手段は、前記伝送路応答の変化分から前記有効シンボル内に存在する複数の伝送路応答を求める演算として、加算器とビットシフト回路装置を用いることを特徴とする請求項5記載のOFDM用受信装置。

技術分野

0001

本発明は、OFDM直交分多重方式Orthogonal Frequency Division Multiplex)信号を受信するOFDM用受信装置に関する。

背景技術

0002

地上デジタル放送方式として、OFDM(直交周波数分割多重方式Orthogonal Frequency Division Multiplex)方式が欧州、国内で検討されている。このOFDM方式は、1チャンネル帯域内に多数のキャリア多重伝送する(欧州DVB−Tシステムでは2Kモードで1705本、文献1:EBU/ETSI JTC :Digital Broadcasting system for television, sound and data services; Framing structure, channel coding modulation for digital terrestrial television,ETS 300 744,Mar. 1996)方式であり、DVB−Tシステムでは、このサブキャリアの中に、振幅位相既知パイロット信号伝送している。

0003

動体OFDM信号を受信する場合、受信信号は振幅がレイリー分布、位相が一様分布するレイリーフェージングを受ける。この影響を補償する技術として、上記したパイロット信号を時間方向に補間し、各パイロット信号間の変動を観測することで、受信信号の振幅、位相の時間的な変動による伝送路応答推定し、その推定結果に基づいて周波数領域で等化する手法がある。この手法は既に学会等で報告されている(例えば、文献2:映情学誌Vol.52, No.11 1998, 高田他"地上デジタル放送におけるOFDMシンボル長とスキャッタードパイロットによる伝送特性"、文献3:Wireless personal Communications 2: 335-356, 1996, Hara "Transmission Performance Analysis of Multi-Carrier Modulationin Frequency Selective Fast Rayleigh Fading Channel" )。

0004

一方、フェージング高速になるに従い、キャリアのドップラー拡がりが無視できなくなり、キャリア間干渉(ICI)が発生する。これは、言い換えれば、1OFDMシンボル内で伝送路応答が変動することと等しい。この1OFDMシンボル内での伝送路応答変動を補償する技術としては、時間領域の等化による手法が学会で報告されている(文献4:1997年信学総大, B5-282, 橋爪他 "直交マルチキャリア変調におけるガード区間を用いた高速フェージング補償方式" )。

0005

まず、周波数領域での等化について説明する。

0006

図13に、欧州DVB−Tシステムのパイロット信号配置を示す。kはキャリア番号(carrier index)であり、lはシンボル番号(symbol index)である。パイロット信号としては、伝送シンボル番号によらず同一のキャリアで連続して伝送されるCP(連続パイロットcontinual pilot)と、伝送シンボルごとに異なったキャリアで伝送されるSP(分散パイロットscattered pilot)がある。図20において、SPは黒丸記号で示すように、12本ごとのキャリア位置kp,l=12p+3*(l mod 4),p=0,…,142、l=0,…,67(1フレームシンボル数) のキャリアに伝送されており、4シンボルごとに同一のキャリア配置となるように巡回的に挿入されている(但し、kp,lの最大値は1704)。また、データ信号はCP及びSPを除いた1512本のキャリアで伝送され、そのキャリア配置はkd,l、d=0,…,1511、l=0,…,67で与えられる(但し、kd,l≠kp,l)。

0007

一方、シンボル方向(時間方向)で観察すると、SPはキャリア番号で3の倍数の位置に4シンボルごとに伝送されていることがわかる。したがって、周波数領域の等化を行う際には、パイロット信号間の3つのデータ信号に対して伝送路応答を補間する必要がある。

0008

周波数領域における等化について、図14を参照して説明する。図14は周波数領域の等化器を含むベースバンド復調部の構成を示すもので、FFT高速フーリエ変換回路11で周波数領域の信号に変換された受信OFDM信号Y(l,k)は、受信データ信号Y(l,kd,l)とCPを除いた受信パイロット信号Y(l,kp,l)に分解される。パイロット信号は、既知の複素振幅X(l,kp,l)を持ち、メモリ12に予め格納されている。そこで、伝送路において雑音加算されない場合には、除算回路13にて受信パイロット信号Y(l,kp,l)をメモリ12に格納されている複素振幅X(l,kp,l)で除算することで、受信パイロット信号を伝送するサブキャリアk=kp,lの伝送路応答H(l,kp,l)=Y(l,kp,l)/X(l,kp,l)を求めることができる。しかし、一般的には伝送路で雑音が加算されるため、パイロット信号を伝送するキャリアの伝送路応答は推定値H~(l,kp,l)となる。

0009

伝送路応答の推定値H~(l,kp,l)は、時間方向(シンボル方向)に伝送路応答を補間するシンボルフィルタ14を介した後、キャリアフィルタ15において各受信データ信号の伝送路応答H~(l,kd,l)をキャリア方向に補間し、データ信号を伝送するキャリアにおける伝送路応答を推定する。このようにして得られた推定伝送路応答H~(l,kd,l)で受信データ信号Y(l,kd,l)を除算回路16にて除算することで、等化後のデータX(l,kd,l)=Y(l,kd,l)/H~(l,kd,l)を得ることができる。

0010

図15(a)にパイロット信号が伝送されるキャリア位置での伝送路応答の例を示し、同図(b)にパイロット及びデータ信号配置の模式図を示す。いずれも横軸に時間(シンボル方向)をとっており、パイロット信号は4キャリアごとに伝送される。最大ドップラー周波数fdのレイリーフェージング伝送路では、各伝送キャリアが±fdの拡がりを生じ、受信信号は同図(a)に示すように時間的に変動する。

0011

パイロット信号間の受信データ信号における伝送路応答の推定手法に関して報告されている例としては、パイロット信号の伝送路応答を次のパイロット信号が伝送されるまでホールドする手法(文献2)と、パイロット信号間を直線補間する手法(文献3)がある。

0012

パイロット信号の伝送路応答を次のパイロット信号が伝送されるまでホールドし、パイロット信号間のデータ信号の伝送路応答とする方式は、ハードウエア的には非常に簡単であり、時間的に伝送路応答が変動しない伝送路においては有効である。しかしながら、フェージング伝送路のように時間的に伝送路応答が変動する場合には、逆に特性劣化が生じてしまう。一方、パイロット信号間を直線補間する手法は、時間的に伝送路応答が変動する伝送路に有効であるが、乗算器加算器が必要となり、ハードウエア規模が大きくなってしまう。

0013

次に時間領域での等化について説明する。

0014

OFDM信号は、図16に示すように、有効シンボル期間末尾ガードインタバルとして有効シンボルの先頭に付加する構成となっている。このOFDM信号の特徴を用いて、AFCタイミング再生モード判定等の信号処理が行われている。また、デジタル放送に比較して、キャリア数は少ないが、フェージング妨害を受けた信号の等化に応用する例も報告されている(文献3)。

0015

図17にOFDMシンボル構成とフェージング歪みを受けた場合の伝送路応答例を示す。OFDMシンボルはIFFT(逆高速フーリエ変換)のタイミングTでサンプリングされ、有効シンボル期間はN点サンプルされる。有効シンボル期間のN+1からNg+Nのサンプル点は、ガードインタバルとして0からNg−1のサンプル点に複写される。

0016

不変で雑音のない伝送路を仮定すると、有効シンボル期間の末尾部分とガードインタバル期間は同一の信号として受信される。しかしながら、一般の受信装置では雑音が加算されると共に、フェージング伝送路を仮定すると、伝送路応答例に示すように、各受信サンプル点は振幅、位相に歪みを受け、有効シンボル期間の末尾部分とガードインタバル期間は異なった信号として受信される。

0017

時間領域の等化は、有効シンボル期間の末尾部分とガードインタバル期間の受信信号の差から伝送路応答を推定し、信号の等化を行う手法である。いま、各サンプル点の受信信号を次式で与える。

0018

また、有効シンボル期間の末尾部分とガードインタバル期間の信号の変化分は次式で計算される。

0019

上式で、Σ内の分母は、ガードインタバル内の最終のサンプル点からk個前までの受信サンプル点を表し、分子は有効シンボルの最終サンプル点からk個前までの受信サンプル点を表す。このように、複数個の受信サンプル点の比を平均して信号の変化分を求めることにより、各サンプル点に独立に加算されているガウス雑音の影響を軽減することが可能である。

0020

信号の変化分hから有効シンボル内受信点における伝送路応答を推定する手法として、直線補間について説明する。図18に模式図を示す。

0021

直線補間は、サンプル番号Ng−1の伝送路応答を1、Ng+Nの伝送路応答をhとして、サンプル番号NgからNg+Nの伝送路応答を直線で補間するものである。この場合、各サンプルに対する推定伝送路応答は次式で与えられる。

0022

この得られた伝送路応答h~nで受信信号x~nを除算することで、等化後の受信信号x~n′が得られる。

0023

直線補間は、式(3)に示すように各サンプル点に対して伝送路応答を計算するため、ハードウエア化を考慮した場合に複雑になる。

0024

上記したように、OFDM方式では、パイロット信号を用いて伝送路応答を補間し、受信データを推定伝送路応答で除算することで等化を行う。また、ガードインタバルの相関を用いることで時間領域での等化も可能となる。いま、受信OFDM信号を周波数領域で等化した後の信号のS/I比(signal to interference)を次のように定義する。

0025

すなわち、NをFFTのポイント数、ynを受信OFDM信号の有効シンボル期間におけるn番目のサンプル点、xk、x~kをそれぞれk番目のサブキャリアの送信点と受信点とすると、S/Iは以下の式で与えられる。

0026

発明が解決しようとする課題

0027

以上述べたように従来の受信装置にあっては、周波数領域における時間方向の伝送路応答を推定するための補間方法として、パイロット信号の伝送路応答を次のパイロット信号が伝送されるまでホールドし、パイロット信号間のデータ信号の伝送路応答とする方式(文献2)は、ハードウエア的には非常に簡単であり、時間的に伝送路応答が変動しない伝送路においては有効であるが、フェージング伝送路のように時間的に伝送路応答が変動する場合には上記したS/I特性に劣化が生じる。

0028

また、パイロット信号間を直線補間する手法(文献3)は、時間的に伝送路応答が変動する伝送路に有効であるが、乗算器、加算器が必要となりハードウエア規模が大きくなるという課題がある。

0029

一方、時間領域の等化に関しては、文献4に示されるように有効シンボル内の信号に対して直線補間を行うと、各サンプル点に対して伝送路応答を計算するため、乗算器等が必要となり、ハードウエア化を考慮した場合複雑になるといった課題がある。

0030

そこで、本発明では、上記した課題を解決するため、周波数領域で等化を行う場合の時間方向の補間方式として回路規模を増大させる乗算器が不要で、伝送路応答の推定に優れた補間方式によるOFDM用受信装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0031

上記の課題を解決するために本発明は以下のような特徴的構成を有する。

0032

(1)振幅、位相が既知のパイロット信号を周波数軸上及び時間軸上にほぼ等間隔で配置してなるOFDM信号を受信し、前記パイロット信号の伝送路応答を2値デジタル信号として処理、推定して受信データ信号の伝送路応答を補間して周波数領域の等化を行うOFDM用受信装置であって、前記OFDM信号の受信出力から時間軸上に連続する第1及び第2のパイロット信号を順次取り出し、前記第1及び第2のパイロット信号の第1及び第2の伝送路応答を加算する加算手段と、この加算手段の加算結果ビットシフトすることで第3の推定伝送路応答を求め、少なくとも第3の推定伝送路応答を用いて時間軸上に連続する第1及び第2のパイロット信号間のデータ信号の伝送路応答を補間する補間処理手段とを具備することを特徴とする。

0033

(2)振幅、位相が既知のパイロット信号を周波数軸上及び時間軸上にほぼ等間隔で配置してなるOFDM信号を受信し、前記パイロット信号を用いて受信データ信号の伝送路応答を補間して周波数領域の等化を行うOFDM用受信装置であって、前記OFDM信号の受信出力から時間軸上に連続するパイロット信号を順次取り出し、各パイロット信号間のデータ信号配列位置に0を挿入して時系列に並べる信号配列手段と、この手段で時系列に並べられた信号を畳み込み演算することにより伝送路応答を補間する補間処理手段とを具備することを特徴とする。

0034

(3)有効シンボル期間の末尾区間を有効シンボル期間の先頭に複写してガード期間を形成してなるOFDM信号を受信し、受信したOFDM信号のガード期間の末尾と有効シンボル期間の末尾から伝送路応答の変化分を計算し、この伝送路応答の変化分を用いて時間軸上の等化を行うOFDM用受信装置であって、前記前記有効シンボル内を複数ブロックに分割し、伝送路応答の変化分から各ブロックの伝送路応答を推定する伝送路応答推定手段と、この手段で得られた複数の伝送路応答に基づいて前記有効シンボル期間の時間領域の等化を行う時間領域等化手段とを具備することを特徴とする。

0035

(4)(3)の構成において、前記伝送路応答検出手段は、伝送路応答の変化分から前記有効シンボル内に存在する複数の伝送路応答を求める演算として、加算器とビットシフト回路装置を用いることを特徴とする。

0036

(5)有効シンボル期間の末尾区間を有効シンボル期間の先頭に複写してガード期間を形成し、振幅、位相が既知のパイロット信号を周波数軸上及び時間軸上にほぼ等間隔で配置してなるOFDM信号を受信するOFDM用受信装置であって、受信したOFDM信号のガード期間の末尾と有効シンボル期間の末尾から伝送路応答の変化分を計算し、前記有効シンボル内を複数ブロックに分割し、前記伝送路応答の変化分から各ブロックの伝送路応答を推定し、これら複数の伝送路応答に基づいて前記有効シンボル期間の時間領域の等化を行う時間領域等化手段と、前記パイロット信号の伝送路応答を2値デジタル信号として処理、推定して受信データ信号の伝送路応答を補間して周波数領域の等化を行う周波数領域等化手段とを具備することを特徴とする。

0037

(6)(5)の構成において、前記周波数領域等化手段は、前記OFDM信号の受信出力から時間軸上に連続する第1及び第2のパイロット信号を順次取り出し、前記第1及び第2のパイロット信号の第1及び第2の伝送路応答を加算し、この加算結果をビットシフトすることで第3の推定伝送路応答を求め、少なくとも第3の推定伝送路応答を用いて時間軸上に連続する第1及び第2のパイロット信号間のデータ信号の伝送路応答を補間し、この補間された推定伝送路応答に基づいて周波数領域の等化を行うことを特徴とする。

0038

(7)(5)の構成において、前記周波数領域等化手段は、前記OFDM信号の受信出力から時間軸上に連続するパイロット信号を順次取り出し、各パイロット信号間のデータ信号配列位置に0を挿入して時系列に並べ、畳み込み演算することにより伝送路応答を補間し、この補間された推定伝送路応答に基づいて周波数領域の等化を行うことを特徴とする。

0039

(8)(5)の構成において、前記時間領域等化手段は、前記伝送路応答の変化分から前記有効シンボル内に存在する複数の伝送路応答を求める演算として、加算器とビットシフト回路装置を用いることを特徴とする。

0040

すなわち、本発明による補間方式は、パイロット信号間(時間方向)のデータ信号の伝送路応答を推定するため、パイロット信号を加算して1/2で乗算し、その結果をさらにパイロット信号と加算して1/2で乗算することにより、データ信号の伝送路応答を補間推定する。補間回路は、パイロット信号を加算する加算器と加算結果に係数を乗算する乗算器から構成されるが、2値デジタル信号で信号処理を行う受信装置においては、乗算器を簡単な構成のビットシフト回路で構成することで、ハードウエア規模を縮小することが可能である。

0041

一方、時間領域の等化に関しては、有効シンボル期間を複数のブロックに分割し、ブロックごとに一定の伝送路応答を割り当てることでハードウエア規模の削減を図る。また、ブロックごとに割り当てる伝送路応答を求めるため、乗算器のかわりにビットシフト回路を用いることで、ハードウエア規模の削減をはかる。

0042

さらに、時間領域と周波数領域の等化を組み合わせて用いることで、フェージング伝送路においても良好な等化特性を得る。

発明を実施するための最良の形態

0043

以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。

0044

図1は本発明の第1の実施形態とするOFDM用受信装置に用いる伝送路応答補間回路の構成を示すブロック図である。本実施形態の補間回路は、パイロット信号の伝送路応答をほぼ直線補間してパイロット信号間のデータ信号の伝送路応答を推定する手法を用いたものであり、ここでは、その手法を簡易形直線補間と呼ぶことにする。

0045

まず、例として、図15(a)におけるシンボルl、キャリア番号pのパイロット信号の推定伝送路応答H~(l,kp,l)とシンボル番号l+4、キャリア番号pのパイロット信号の伝送路応答H~(l+4,kp,l+4)間のデータ信号の伝送路応答の推定について説明する。各々の推定伝送路応答は次式で与えられる。

0046

上式は、パイロット信号間の中央のデータ信号kd,l+2に対しては、パイロット信号kp,lとkp,l+4の伝送路応答の平均値を推定伝送路応答とし、データ信号kd,l+1に対してはデータ信号kd,l+2の推定伝送路応答とパイロット信号kp,lの推定伝送路応答の平均値を推定伝送路応答とする。また、データ信号kd,l+3に対してはデータ信号kd,l+2の推定伝送路応答とパイロット信号kp,l+4の推定伝送路応答の平均値を推定伝送路応答とするものである。本補間方式を用いることで、パイロット信号kp,lとkp,l+4の間の伝送路応答をほぼ直線で補間することが可能である。

0047

伝送路応答は、2値デジタル信号で処理するため、上式に含まれる1/2の演算には簡単なビットシフトを用いることができる。

0048

図1は式(6)を実現するための構成図であり、パイロット信号の伝送路応答の推定値H~(l,kp,l)とH~(l+4,kp,l+4)を加算器21で加算し、その結果をビットシフト回路22で1ビットシフトすることで1/2倍する。このビットシフト回路22の出力をH~(l+2,kp,l+2)とする。また、H~(l,kp,l)とビットシフト回路22の出力を加算器23で加算し、この加算器23の出力をビットシフト回路25でビットシフトし、この値をH~(l+1,kp,l+1)とする。同様に、H~(l+4,kp,l+4)とビットシフト回路22の出力を加算器24で加算し、この加算器24の出力をビットシフト回路26でビットシフトし、この値をH~(l+3,kp,l+3)とするものである。

0049

本実施形態の構成によれば、補間回路に乗算器が不要となり、ハードウエア規模の削減が図れる。また、本方式は、パイロット信号が伝送される各キャリアに対して時間方向に2つのパイロット信号を記憶するだけでよく、メモリ規模も削減することができる。

0050

図2は本発明の第2の実施形態とするOFDM用受信装置に用いる伝送路応答補間回路の構成を示すブロック図である。この補間回路は、シンボル方向の補間フィルタとして、FIRフィルタを用いたものである。図2タップ数NtapのFIRフィルタであり、遅延器271〜27N、入力及び遅延器281〜28Nの出力に係数A0〜ANをそれぞれ乗算する乗算器280〜28N、乗算器280〜28Nの出力を加算する加算器12より構成される。

0051

パイロット信号は、遅延器271の入力に…,H~(l,kp,l),0,0,0,H~(l+4,kp,l+4),…のようにシンボルごとに入力され、データ信号が伝送されている場合は0が入力される。加算器12の出力からは、…,H~(l+1,kp,l+1),H~(l+2,kp,l+2),H~(l+3,kp,l+3),…のように、補間後の推定伝送路応答を得ることができる。

0052

本実施形態の構成によれば、複数の乗算器が必要となるため、回路規模は大きくなるが、伝送路応答の推定精度が第1の実施形態のビットシフトを用いた方式よりも良くなる。

0053

パイロット信号を時間方向に補間する手法として、FIRフィルタを用いた補間と簡易形直線補間について実施形態に取り上げて説明したが、これらの補間方式を用いてデータ信号位置に対する伝送路応答の推定を行い、等化後のS/Iのシミュレーションを比較した。

0054

伝送路モデルとしては、1波レイリーフェージング伝送路を仮定し、平均受信C/N=30dBとした。図3に伝送路モデルを示す。

0055

レイリーフェージングの係数anとして、Jakesによって検討された以下の値を用いた。

0056

この場合、αnの実数部虚数部は、それぞれガウスランダム過程に従うため、伝送路出力のxn・anは振幅がレイリー分布、位相が一様分布するレイリーフェージングを受ける。

0057

シミュレーションモデルは、以下の表1に示すようにDVB−Tの6MHz版にほぼ準拠している。

0058

0059

図4にシミュレーション結果を示す。時間方向の補間手法として、先に実施形態で述べた簡易形直線補間、FIRフィルタを用いた補間についてシミュレーションすると共に、比較のため、従来の技術で述べた4シンボル期間パイロット信号をホールドする手法に関するシミュレーションも行った。横軸に最大ドップラー周波数、縦軸に等化器出力のS/Iをとっている。

0060

ホールドタイプでは、ドップラー周波数が高くなるにつれて急激に等化器出力のS/Iが劣化するが、時間方向に補間を行うことで、最大ドップラー周波数50Hzの場合でも20dB近いS/I比が得られることがわかった。尚、ドップラー周波数が高くなると、FIRフィルタを用いた特性が良くなるが、ドップラー周波数50Hzでは、簡易形直線補間とFIRフィルタではほとんど特性に差のない結果が得られ、ハードウエア規模の点から考えて簡易形直線補間方式が有効であることが明らかとなった。

0061

尚、時間方向に補間を行っても特性劣化が生じる原因としては、次の2点が考えられる。

0062

第1に、本シミュレーションでは、実際の移動体受信条件に近づけるため、サンプル点ごとに振幅及び位相が変動する方式を用いている。したがって、1OFDMシンボル内でも位相と振幅が変化し、各キャリア間直交性がくずれてICI(inter-carrier interference)を生じ、特性劣化する。

0063

第2に、レイリーフェージング伝送路では、信号振幅が0附近落ち込み、受信C/Nが極端に低下する期間が発生する。この期間では、パイロット信号も雑音レベルまで低下するため、正確な伝送路応答の推定が困難となり、特性劣化する。

0064

一般にOFDMシステムでは、上記した2番目の特性劣化に対するため、時間インターリーブによりデータを分散させ、ある伝送シンボルが雑音レベルに落ち込んでも他のシンボルのデータによりそれを復元させるという手法を用いている。

0065

また、2kFFTモードの場合のように、1OFDMシンボル長が比較的短い場合は、上記した1番目の特性劣化はそれほど大きな問題とはならないが、4kあるいは8kモードで移動受信を行う場合には、1番目の特性劣化についても何らかの対策をとる必要がある。そこで、以下では、ICIを除去可能な時間領域の等化に関する実施形態について説明する。

0066

時間領域の等化手法としては、従来の技術で述べたように、図17で示したサンプル番号Ng−1の伝送路応答を1、Ng+Nの伝送路応答をhとして、OFDMシンボルの有効シンボル期間に相当するサンプル番号NgからNg+Nの伝送路応答を直線補間する手法がある。

0067

これに対し、図5に、直線補間の簡略化実現法として、ステップ状に伝送路応答を補間するステップ補間の実施形態(第3の実施形態)について示す。図7(a)は有効シンボル期間を3分割、(b)は5分割、(c)は9分割して各サンプルにステップ状に推定伝送路応答を割り当てるものであり、それぞれステップ3、ステップ5、ステップ9と呼ぶ。例として(b)のステップ5について説明する。

0068

まず、サンプル番号Ng−1の伝送路応答1(C1)とサンプル番号Ng+Nの伝送路応答h(C5)を加算して2で割ることで(1+h)/2を求め、サンプル番号(2Ng+N)/2の位置の推定伝送路応答(C3)とする。次に、求めたサンプル番号(2Ng+N)/2の位置の推定伝送路応答(C3)とサンプル番号Ng−1の伝送路応答1(C1)を加算して2で割ることで(3+h)/4を求め、サンプル番号(4Ng+N)/4の位置の推定伝送路応答(C2)とすると共に、サンプル番号(2Ng+N)/2の位置の推定伝送路応答(C3)とサンプル番号Ng+Nの伝送路応答h(C5)を加算して2で割ることで(1+3h)/4を求め、サンプル番号(4Ng+N)/4の位置の推定伝送路応答(C4)とする。以上求めた伝送路応答を、次に示すように各サンプル信号に割り当てる。

0069

0070

尚、推定値h~nを求めるときの演算として、2で割る演算については、第1の実施形態で述べたように簡単なビットシフト演算を用いることができるため、ハードウエア規模を低減することができる。

0071

図6図5(b)をハードウエア化する場合のブロック構成図を示す。

0072

まず、サンプル番号Ng−1の伝送路応答1(図中の番号C1)とサンプル番号Ng+Nの伝送路応答h(図中の番号C5)を加算器32で加算してビットシフト回路33でビットシフトすることで推定伝送路応答(1+h)/2を求め、サンプル番号(2Ng+N)/2の位置の推定伝送路応答(C3)とする。次に、求めたサンプル番号(2Ng+N)/2の位置の推定伝送路応答(C3)とサンプル番号Ng−1の伝送路応答1(図中の番号C1)を加算器30で加算してビットシフト回路31でビットシフトすることで(3+h)/4を求め、サンプル番号(4Ng+N)/4の位置の推定伝送路応答(C2)とする。同時に、サンプル番号(2Ng+N)/2の位置の推定伝送路応答(C3)とサンプル番号Ng+Nの伝送路応答h(図中の番号C5)を加算器34で加算してビットシフト回路35でビットシフトすることで(1+3h)/4を求め、サンプル番号(4Ng+N)/4の位置の推定伝送路応答(C4)とする。

0073

以上述べたように、本実施形態の構成によれば、加算器30、32、34及びビットシフト回路31、33、35の簡単な構成でハードウエアを実現することができる。

0074

尚、上記説明は、図5(b)について行ったが、図5(c)についても同様の考えで補間が可能である。この場合を第4の実施形態とし、そのブロック構成を図7に示す。これは、図6の構成に加え、サンプル番号Ng−1の伝送路応答1(図中の番号C1)とサンプル番号(4Ng+N)/4の位置の推定伝送路応答C2を加算器36で加算してビットシフト回路37でビットシフトすることで(7+h)/8を求め、サンプル番号(8Ng+N)/8の位置の推定伝送路応答C6とし、推定伝送路応答C2とC3を加算器38で加算し、ビットシフト回路39でビットシフトすることで(5+3h)/8を求め、サンプル番号(8Ng+3N)/8の位置の推定伝送路応答C7とし、推定伝送路応答C3とC4を加算器40で加算し、ビットシフト回路41でビットシフトすることで(3+5h)/8を求め、サンプル番号(8Ng+5N)/8の位置の推定伝送路応答C8とし、推定伝送路応答C4とC5を加算器42で加算し、ビットシフト回路43でビットシフトし、(1+7h)/8を求め、サンプル番号(8Ng+7N)/8の位置の推定伝送路応答C9とするものである。これら求めた伝送路応答は、有効シンボル期間の各サンプルに対して次のように分配する。

0075

0076

本実施形態は、隣り合った伝送路応答を加算して2で割るという演算を繰り返すことによって推定伝送路応答の数(言い換えれば有効シンボル期間の分割数)を増やしていくことが可能であり、その数を一般的に表すと、1+2n(但しnは正の整数)となる。この場合、上記したように簡単なビットシフト演算を用いることが可能であり、ハードウエア規模の低減に効果がある。

0077

図8は本発明の第5の実施形態とするOFDM受信装置のブロック図である。図8において、アンテナ44で受信されたOFDM信号は、アナログ信号処理部45、同期復調部46を介して時間領域等化部47で時間領域の等化を受ける。等化された信号は、ガード除去部48でガードインタバルが除去され、FFT49で周波数領域の信号に変換され、周波数領域等化部50で周波数領域の等化を受ける。本実施形態の構成によれば、時間領域及び周波数領域の等化を組み合わせて行うようにしているので、良好な等化性能を得ることができる。

0078

以上説明した補間手法を用いた時間領域の等化を用いた場合の1波レイリーフェージング伝送路におけるシミュレーションを行った。

0079

まず、シミュレーション系統図を図9に示して簡単に説明する。図9において、送信系51は、ランダムデータ発生部511から発生されるランダムデータをマッピング部512で互いに直交する複数のキャリアに割り当て(Xk)、IFFT部513で時間軸データに変換して(xn)、ガード付加部514にてガードインタバルを付加して送信出力する。この送信出力は伝送路53を介し、さらにAWGN(加法的ガウス雑音)を付加する付加装置54を介して受信系52に送出される。

0080

受信系53は、受信信号を量子化(A/D)ピーク電力制限回路521でピークが一定となるように電力制限を受けてデジタル信号に変換され(x~n)、時間領域等化部522で時間領域の等化を受けた後(x~n′)、ガード除去部523でガードインタバルの信号が除去され、FFT部524で周波数領域の信号に変換され、周波数領域等化部525で周波数領域の等化を受けて出力される。この出力XkはS/I演算器55に送られる。このS/I演算器55は、送信系51のマッピング出力Xkと受信系52の周波数領域等化部525の出力XkとからS/I演算を行うことでシミュレーション結果を得るものである。

0081

すなわち、ここでは上記受信系52の周波数領域等化部525の出力S/Iをシミュレーションにより計算した。シミュレーションモデルを表2に示す。FFTサイズ4k及び8kモードについてシミュレーションを行った。また、レイリーフェージングはjakesのモデルを用いて生成した。

0082

0083

まず、hを導出する式(2)で述べたサンプル点の平均個数相関演算を行うサンプルポイント数)について比較検討した。図10にシミュレーション結果を示す。平均受信C/N=30dB、最大ドップラー周波数50Hz時の結果であり、時間領域の等化に用いる補間手法としては、図5の(c)に示した有効シンボル期間を9つに分割する補間手法(ステップ9)を用いている。また、周波数領域の等化に使用するキャリア方向の補間には71タップFIRフィルタを、シンボル方向の補間には第1の実施形態で示した簡易形直線補間を用いている。

0084

シミュレーションの結果、最も良い出力S/Iが得られる平均ポイント数としては、100〜300ポイントであることがわかった。

0085

次に、前述の補間手法のうちの差による等化出力のS/Iについて比較検討した。図11にシミュレーション結果を示す。平均受信C/N=30dB、最大ドップラー周波数fd=50Hz時の結果であり、時間領域の等化に用いる補間手法としては直線補間、ステップ3、ステップ5、ステップ9を用いている。また、周波数領域の等化に使用するキャリア方向の補間には71タップFIRフィルタを、シンボル方向の補間には簡易形直線補間を用いている。

0086

シミュレーションの結果、有効シンボル期間を9に分割してステップ状に補間するステップ9の場合は、直線補間に対してほとんど特性劣化がないが、それ以下の分割数となると特性劣化することが明らかとなった。

0087

次に、時間領域等化の効果について比較検討を行った。図12(a),(b)にシミュレーション結果を示す。(a)は平均受信C/N=30dB、FFT4kモード時、(b)は平均受信C/N=30dB、FFT8kモード時の結果であり、横軸に最大ドップラー周波数を、縦軸に等化器出力のS/Iをとっている。

0088

ここで、図12(a),(b)に○□△で示した特性は、周波数領域の等化に用いる補間手法として、シンボル方向は簡易形直線補間、キャリア方向はFIRフィルタによる補間を行って求めている。一方、×で示す特性は、シンボル方向には補間は行わず、キャリア方向にのみFIRフィルタを用いた補間を行って求めている。また、時間領域の等化については、○は時間領域の等化は行っておらず、□×は直線補間、△はステップ9補間を行った結果である。以上各等化器に用いる補間手法についてまとめたものを表3に示す。

0089

0090

この結果より、周波数領域の等化でシンボル方向に補間を行わない場合は、時間領域の等化を行っても効果がなく、特性劣化することがわかった。一方、時間領域と周波数領域で等化を行うことにより、FFT8kモードを用いた場合、最大ドップラー周波数50Hzでは周波数領域のみの等化に比較して2dBのS/I向上が得られることがわかった。

0091

以上の検討より、図8で示した実施形態のように、時間領域の等化は、周波数領域のシンボル方向への補間を用いた等化と併用することに効果が得られることが明らかとなった。

0092

本発明では、周波数領域の等化の場合、時間方向の補間方式として回路規模を増大させる乗算器が不要で、伝送路応答の推定に優れた補間方式を提供する。この方式は、時間方向に並ぶパイロット信号間のデータ信号の伝送路応答を推定するため、パイロット信号を加算して1/2で乗算し、その結果をさらにパイロット信号と加算して1/2で乗算することにより、データ信号の伝送路応答を補間推定する。補間回路は、パイロット信号を加算する加算器と加算結果に係数を乗算する乗算器から構成されるが、2値デジタル信号で信号処理を行う受信装置においては、乗算器を簡単な構成のビットシフト回路で構成することができるので、ハードウエア規模を縮小することが可能である。

0093

一方、時間領域の等化に関しては、有効シンボル期間を複数のブロックに分割し、ブロックごとに一定の伝送路応答を割り当てることでハードウエア規模の削減を図ることができる。また、ブロックごとに割り当てる伝送路応答を求めるため、乗算器の代わりにビットシフト回路を用いることで、ハードウエア規模の削減を図ることができる。

0094

さらに、時間領域と周波数領域の等化を組み合わせて用いることで、フェージング伝送路においても良好な等化特性が得られる効果がある。

発明の効果

0095

以上のように本発明によれば、周波数領域で等化を行う場合の時間方向の補間方式として、回路規模を増大させる乗算器が不要で、伝送路応答の推定に優れた補間方式によるOFDM用受信装置を提供することができる。

図面の簡単な説明

0096

図1本発明の第1の実施形態とするOFDM用受信装置に用いる伝送路応答補間回路の構成を示すブロック図。
図2本発明の第2の実施形態とするOFDM用受信装置に用いる伝送路応答補間回路の構成を示すブロック図。
図3上記第1及び第2の実施形態において、それぞれの伝送路応答推定結果を比較するための伝送路モデルの構成を示すブロック図。
図4上記第1及び第2の実施形態の効果を説明するための特性図。
図5本発明の第3及び第4の実施形態に用いるステップ補間処理を説明するためのタイミング図。
図6本発明の第3の実施形態とするOFDM用受信装置に用いる伝送路応答補間回路の構成を示すブロック図。
図7本発明の第4の実施形態とするOFDM用受信装置に用いる伝送路応答補間回路の構成を示すブロック図。
図8本発明の第5の実施形態とするOFDM受信装置の構成を示すブロック図。
図9上記各実施形態の効果を示すためのシミュレーションに用いた系統構成を示すブロック図。
図10上記第4及び第5の実施形態のパラメータ依存性について平均ポイント数とS/Iとの関係から説明するための特性図。
図11上記第4及び第5の実施形態のパラメータ依存性について補間分割数とS/Iとの関係から説明するための特性図。
図12上記第4及び第5の実施形態の効果を説明するための特性図。
図13DVB−T仕様のサブキャリア伝送フォーマットを示す図。
図14周波数領域の等化器の構成を示すブロック図。
図15伝送路応答例とパイロット信号配置例を示す図。
図16OFDMシンボルの構成を示す図。
図17OFDMシンボルと伝送路応答例を示す図
図18時間領域の補間として、直線補間を説明するための図。

--

0097

11…FFT回路
12…メモリ
13、16…除算回路
14…シンボルフィルタ
15…キャリアフィルタ
21、23、24…加算器
22、25、26…ビットシフト回路
271〜27n…遅延器
280〜28n…乗算器
29…加算器
30、32、34、36、38、40、42…加算器
31、33、35、37、39、41、43…ビットシフト
44…アンテナ
45…アナログ信号処理部
46…同期復調部
47…時間領域等化部
48…ガード除去部
49…FFT
50…周波数領域等化部
51…送信系
511…ランダムデータ発生部
512…マッピング部
513…IFFT部
514…ガード付加部
52…受信系
521…量子化(A/D)ピーク電力制限回路
522…時間領域等化部
523…ガード除去部
524…FFT部
525…周波数領域等化部
53…伝送路
54…付加装置
55…S/I演算器

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