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技術 光学記録媒体

出願人 ソニー株式会社株式会社フルヤ金属株式会社ソニーDADC
発明者 上野崇地主啓一郎荒谷勝久岩崎眞明三宅了平
出願日 1999年3月30日 (21年1ヶ月経過) 出願番号 1999-089071
公開日 2000年10月13日 (19年6ヶ月経過) 公開番号 2000-285517
状態 特許登録済
技術分野 光学的記録担体およびその製造
主要キーワード 耐水素性 スパッタリング室内 耐酸素性 Cu合金薄膜 他カード Pd含有量 外挿値 スパッタリングターゲット材料
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図面 (5)

課題

半透明反射膜耐候性が改善され、かつ半透明反射膜と基板との接合性強化され、より高い信頼性が得られる光学記録媒体を提供する。

解決手段

光学記録媒体6において、再生光8が入射する側には第1の情報層9が配され、さらに再生光8が入射する側とは反対側には第2の情報層10が配されている。第1の情報層9の半透明反射膜3は、0.5〜3.0wt%のPdおよび0.1〜3.0wt%のCuを含有するAgPdCu合金薄膜、または、0.5〜3.0wt%のPdおよび0.1〜3.0wt%のTiを含有するAgPdTi合金薄膜からなる。波長650nmにおいては、AgPdCu合金薄膜の最適な膜厚は5〜18nmとなる。また、AgPdTi合金薄膜の最適な膜厚は5〜18nmとなる。波長400nmにおいては、AgPdCu合金薄膜の最適な膜厚は10〜25nmとなる。また、AgPdTi合金薄膜の最適な膜厚は15〜25nmとなる。

概要

背景

DVD(Digital Versatile Disc)などに見られる光ディスクは、厚さが0.6mmの透明プラスティック基板2枚を、これら基板に形成された凹凸ピットからなる情報層がその接着面となるように貼り合わされることにより作製されている。いくつかの種類がある再生専用DVDの中には、上記2枚の基板にそれぞれ異なる情報があらかじめ記憶されている、いわゆる2層ディスクと呼ばれるタイプのディスクがある。

この2層ディスクの再生を行うときは、いずれか一方のディスク表面から再生光入射させて行うので、2つの異なる情報層を短時間にアクセスできるという利点がある。再生光入射側の第1の情報層の反射膜は、入射光のうち、その一部を反射し、他の一部を透過させるように設計されている。そのため、光入射側から見て奥に位置する第2の情報層にも再生光が到達でき、そこでの反射光が再び第1の情報層の反射膜を透過できて、第2の情報層の再生を可能としている。

第1の情報層と第2の情報層とは、透明なスペーサーと呼ばれる接着材料により、お互いの再生信号干渉しない距離だけ離されているため、対物レンズフォーカス位置をおのおのの情報層に対応した位置に合わせることにより、それぞれの層の情報を高品質に再生することが可能である。このような再生方式を実現する上では第1の情報層の反射膜設計が極めて重要となる。この反射膜を、以降、一部の光を透過させるという意味から半透明反射膜と呼ぶことにする。

従来、半透明反射膜の材料としてAuあるいはSiが、所望の反射率透過率などの光学特性満足するうえ、スパッタリング法などにより容易に薄膜を形成できるということから一般に用いられていた。また、情報層に形成される微細凹凸ピットに対し、安定した被覆性が得られ、さらに光学記録媒体としての耐候性にも優れているという長所をも有している。

しかしながら、Auは材料コストが高いという問題がある。一方、Siは相対的に安価な材料であるが、透明接着剤あるいはプラスティック基板との接着力が弱いため、曲げ、反り、あるいは吸湿などに対する信頼性が十分ではない。さらに、Si膜は、金属に比較して、スパッタリング室内に付着した膜がはがれ易いため、スパッタリングプロセス装置内で発生するパーティクルが多く、エラーレートの悪化を招くという問題もある。

これらの問題を解決するために、最近ではAuやSiの代替材料としてAgが検討されている。しかしながら、Agは塩素硫黄、およびそれらの化合物イオンとの反応性富むため、たとえば海水などが基板を通して侵入することによって容易に腐食されるという問題を有している。

これらに対し、特開昭57−186244号公報、特開平7−3363号公報、および特開平9−156224号公報には、Agに所定の不純物を添加することにより、耐候性を向上させる技術が開示されている。

すなわち、特開昭57−186244号公報にはAgCu合金(Agの含有量が40原子%以上)について、特開平7−3363号公報にはAgMg合金(Mgの含有量が1〜10原子%以上)について、特開平9−156224号公報にはAgOM(MはSb、Pd、Pt)合金(Oの含有量は10〜40原子%、Mの含有量は0.1〜10原子%)についての技術が開示されている。

概要

半透明反射膜の耐候性が改善され、かつ半透明反射膜と基板との接合性強化され、より高い信頼性が得られる光学記録媒体を提供する。

光学記録媒体6において、再生光8が入射する側には第1の情報層9が配され、さらに再生光8が入射する側とは反対側には第2の情報層10が配されている。第1の情報層9の半透明反射膜3は、0.5〜3.0wt%のPdおよび0.1〜3.0wt%のCuを含有するAgPdCu合金薄膜、または、0.5〜3.0wt%のPdおよび0.1〜3.0wt%のTiを含有するAgPdTi合金薄膜からなる。波長650nmにおいては、AgPdCu合金薄膜の最適な膜厚は5〜18nmとなる。また、AgPdTi合金薄膜の最適な膜厚は5〜18nmとなる。波長400nmにおいては、AgPdCu合金薄膜の最適な膜厚は10〜25nmとなる。また、AgPdTi合金薄膜の最適な膜厚は15〜25nmとなる。

目的

本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、半透明反射膜の耐候性が改善され、かつ半透明反射膜と基板との接合性が強化され、より高い信頼性が得られる光学記録媒体を提供することを目的とする。さらに、本発明は安定した再生が可能な光学記録媒体を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

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請求項1

半透明反射膜を有する情報層と反射膜を有する情報層が合わせて2層以上積層され、共通の方向からの光照射によって、情報の記録若しくは再生の少なくとも一方がなされる光学記録媒体であって、上記半透明反射膜は、0.5〜3.0wt%のPd、および0.1〜3.0wt%のCuを含有するAgPdCu合金薄膜からなることを特徴とする光学記録媒体。

請求項2

半透明反射膜は、厚さが10〜25nmであることを特徴とする請求項1記載の光学記録媒体。

請求項3

半透明反射膜は、厚さが5〜18nmであることを特徴とする請求項1記載の光学記録媒体。

請求項4

半透明反射膜を有する情報層と反射膜を有する情報層が合わせて2層以上積層され、共通の方向からの光照射によって、情報の記録若しくは再生の少なくとも一方がなされる光学記録媒体であって、上記半透明反射膜は、0.5〜3.0wt%のPd、および0.1〜3.0wt%のTiを含有するAgPdTi合金薄膜からなることを特徴とする光学記録媒体。

請求項5

半透明反射膜は、厚さが15〜25nmであることを特徴とする請求項4記載の光学記録媒体。

請求項6

半透明反射膜は、厚さが5〜18nmであることを特徴とする請求項4記載の光学記録媒体。

技術分野

0001

本発明は、光学記録媒体、特にその少なくとも1つの情報層半透明反射膜を有する光学記録媒体に関する。

背景技術

0002

DVD(Digital Versatile Disc)などに見られる光ディスクは、厚さが0.6mmの透明プラスティック基板2枚を、これら基板に形成された凹凸ピットからなる情報層がその接着面となるように貼り合わされることにより作製されている。いくつかの種類がある再生専用DVDの中には、上記2枚の基板にそれぞれ異なる情報があらかじめ記憶されている、いわゆる2層ディスクと呼ばれるタイプのディスクがある。

0003

この2層ディスクの再生を行うときは、いずれか一方のディスク表面から再生光入射させて行うので、2つの異なる情報層を短時間にアクセスできるという利点がある。再生光入射側の第1の情報層の反射膜は、入射光のうち、その一部を反射し、他の一部を透過させるように設計されている。そのため、光入射側から見て奥に位置する第2の情報層にも再生光が到達でき、そこでの反射光が再び第1の情報層の反射膜を透過できて、第2の情報層の再生を可能としている。

0004

第1の情報層と第2の情報層とは、透明なスペーサーと呼ばれる接着材料により、お互いの再生信号干渉しない距離だけ離されているため、対物レンズフォーカス位置をおのおのの情報層に対応した位置に合わせることにより、それぞれの層の情報を高品質に再生することが可能である。このような再生方式を実現する上では第1の情報層の反射膜設計が極めて重要となる。この反射膜を、以降、一部の光を透過させるという意味から半透明反射膜と呼ぶことにする。

0005

従来、半透明反射膜の材料としてAuあるいはSiが、所望の反射率透過率などの光学特性満足するうえ、スパッタリング法などにより容易に薄膜を形成できるということから一般に用いられていた。また、情報層に形成される微細凹凸ピットに対し、安定した被覆性が得られ、さらに光学記録媒体としての耐候性にも優れているという長所をも有している。

0006

しかしながら、Auは材料コストが高いという問題がある。一方、Siは相対的に安価な材料であるが、透明接着剤あるいはプラスティック基板との接着力が弱いため、曲げ、反り、あるいは吸湿などに対する信頼性が十分ではない。さらに、Si膜は、金属に比較して、スパッタリング室内に付着した膜がはがれ易いため、スパッタリングプロセス装置内で発生するパーティクルが多く、エラーレートの悪化を招くという問題もある。

0007

これらの問題を解決するために、最近ではAuやSiの代替材料としてAgが検討されている。しかしながら、Agは塩素硫黄、およびそれらの化合物イオンとの反応性富むため、たとえば海水などが基板を通して侵入することによって容易に腐食されるという問題を有している。

0008

これらに対し、特開昭57−186244号公報、特開平7−3363号公報、および特開平9−156224号公報には、Agに所定の不純物を添加することにより、耐候性を向上させる技術が開示されている。

0009

すなわち、特開昭57−186244号公報にはAgCu合金(Agの含有量が40原子%以上)について、特開平7−3363号公報にはAgMg合金(Mgの含有量が1〜10原子%以上)について、特開平9−156224号公報にはAgOM(MはSb、Pd、Pt)合金(Oの含有量は10〜40原子%、Mの含有量は0.1〜10原子%)についての技術が開示されている。

発明が解決しようとする課題

0010

しかしながら、これらの合金材料においても、耐候性や、薄膜を形成した場合の反射率、透過率についての究明は必ずしも十分になされていない。特に、半透明反射膜として用いられる膜厚の薄い領域についての検討は未だなされていない。

0011

本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、半透明反射膜の耐候性が改善され、かつ半透明反射膜と基板との接合性強化され、より高い信頼性が得られる光学記録媒体を提供することを目的とする。さらに、本発明は安定した再生が可能な光学記録媒体を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0012

本発明の光学記録媒体は、半透明反射膜を有する情報層と反射膜を有する情報層が合わせて2層以上積層され、共通の方向からの光照射によって、情報の記録若しくは再生の少なくとも一方がなされる光学記録媒体であって、半透明反射膜が、0.5〜3.0wt%のPd、および0.1〜3.0wt%のCuを含有するAgPdCu合金薄膜からなるものである。

0013

また、本発明の光学記録媒体は、半透明反射膜を有する情報層と反射膜を有する情報層が合わせて2層以上積層され、共通の方向からの光照射によって、情報の記録若しくは再生の少なくとも一方がなされる光学記録媒体であって、半透明反射膜が、0.5〜3.0wt%のPd、および0.1〜3.0wt%のTiを含有するAgPdTi合金薄膜からなるものである。

0014

本発明の光学記録媒体によれば、半透明反射膜を、0.5〜3.0wt%のPd、および0.1〜3.0wt%のCuを含有するAgPdCu合金薄膜、または、0.5〜3.0wt%のPd、および0.1〜3.0wt%のTiを含有するAgPdTi合金薄膜にすることにより、高温高湿の雰囲気においても透過率の増加といった光学特性が変化すること、または黒いシミが発生することを防止でき、さらに、塩水に浸漬された場合においても膜が白濁化すること、またはAg薄膜と基板の間に塩水が浸透しAg薄膜が基板から部分的に浮くことを防止できる。

発明を実施するための最良の形態

0015

以下、本発明の実施の形態について図1〜4、および表1〜3を参照しながら説明する。まず、本発明に係る光学記録媒体の構成について説明する。図1は、本発明に係る光学記録媒体の一例を示した側面図である。この例による光学記録媒体6はDVDとよばれている高密度の光学記録媒体である。光学記録媒体6は、図面上で上方に透明な基板1を有し、また下方に透明ないし不透明な基板2を有している。これら基板1および2は、たとえばポリカーボネート等のプラスチックにより作られている。

0016

基板1の片面には、第1の情報層9が設けられている。この第1の情報層9は、情報ピットと半透明反射膜3とにより構成されている。この情報ピットは、たとえば情報に応じて凹凸パターンが形成されている。

0017

また、基板2の片面には、基板1と同様に、第2の情報層10が設けられている。この第2の情報層10は、情報ピットと反射膜4とにより構成されている。

0018

基板1の第1の情報層9が形成された面と、基板2の第2の情報層10が形成された面とは、所定の厚さの透明接着剤5により貼り合わされている。これによって、2つの情報層9および10を有する、一体の光学記録媒体が形成されることになる。この結果、再生光8が入射する側には第1の情報層9が配されることになり、さらに再生光8が入射する側とは反対側には第2の情報層10が配されることになる。

0019

つぎに、図1の光学記録媒体6についての、信号の再生方法について説明する。図1の光学記録媒体6において、第一の情報層9の信号の再生は、基板1側から入射する再生光8を第1の情報層9に集光させることにより行う。一方、第2の情報層10の信号の再生は、対物レンズ7の焦点位置を第2の情報層10に移動させ、第2の情報層10に再生光8を集光することにより行う。

0020

ここで、第2の情報層10の信号の再生にあたっては、再生光8が第1の情報層9を透過する必要がある。このため、第1の情報層9には、いわゆる半透明反射膜が用いられる。この半透明反射膜は、入射光のうち一部の光を反射させ、また他の一部の光を透過させる性質を持っている。

0021

第1の情報層9の半透明反射膜3は、作製の容易さ等からスパッタリング法、一般には、マグネトロンスパッタリング法により形成される。また、第2の情報層10の反射膜4は、従来の反射膜と同様に高反射率を有するAl,Au,Agあるいはそれらの合金により、上述のスパッタリング法により形成される。

0022

つぎに、第1の情報層9の半透明反射膜3について詳細に説明する。半透明反射膜3を形成する場合、一般にその膜厚の増加とともに反射率R1(%)は高くなり、逆に透過率T1(%)は減少する。また、反射する光、および透過する光の他に、膜に吸収される光がある。この吸収される光の割合を吸収率A1という。ここで、半透明反射膜3に入射する光量を100(%)とすると、つぎの式が成立する。
R1+T1+A1=100(%) (1)

0023

上述のような2つの情報層9および10を有する光学記録媒体において、再生が良好であるための条件としては、第1の情報層9からの戻り光量S1(%)と、第2の情報層10からの戻り光量S2(%)とが十分に大きいことが必要である。これらの値S1およびS2は、それぞれの情報層9および10での反射率R1およびR2に比例する。

0024

再生専用のいわゆるROM(read only memory)記録媒体の場合、反射率が約10%以上であれば再生が可能である。これは反射率が約10%以下になると、ディスク表面と空気との界面で生じる反射光と、情報層からの反射光とを識別することが困難となり、フォーカス制御ができなくなるからである。

0025

半透明反射膜3は、再生光8の入射側に配置されるため、戻り光量S1はそのまま半透明反射膜3の反射率R1に比例した量だけの信号となる。ここで、基板1での光の吸収は極めて小さいので、戻り光量S1=反射率R1としてよい。

0026

一方、戻り光量S2は、光路の途中に半透明反射膜3が存在するので、その影響のため多少複雑になる。そこで、戻り光量S2に対する、半透明反射膜3の影響を計算により求めてみる。まず、半透明反射膜3に入射する光量のうち、半透明反射膜3を透過して第2の情報層10に到達する光量の割合は、半透明反射膜3の透過率T1(=100−R1−A1)で表される。ついで、第2の情報層10に到達した光量のうち、第2の情報層10の反射膜4で反射される光量の割合は、反射膜4の反射率R2で表される。また、第2の情報層10の反射膜4で反射される光量のうち、半透明反射膜3を透過する光量の割合は、半透明反射膜3の透過率T1で表される。この第1の情報層9の半透明反射膜3を透過したものが戻り光量となる。

0027

したがって、戻り光量は(T1×R2×T1)/10000、あるいは(100−R1−A1)2 ×R2/10000で表される。したがって、第2の情報層10からの戻り光量S2は、次式で表すことができる。
S2=(100−R1−A1)2 ×R2/10000 (2)

0028

ここで、Agからなる半透明反射膜3を例として、上式について検討してみる。測定波長を650nmとし、半透明反射膜3の膜厚を10nmとすると、反射率R1=26%となり、吸収率Al=13%となる。また、第2の情報層10の反射膜4の反射率R2=80%とすると、戻り光量S2=30%となる。これらのことから、戻り光量S1=26%、戻り光量S2=30%となる。これにより戻り光量S1およびS2ともに10%以上となるので、十分な信号を得ることが可能となる。

0029

つぎに、光学記録媒体の半透明反射膜3について行った、耐候性の検討結果を説明する。半透明反射膜3の膜厚は、従来の反射膜の膜厚と比較すると、極めて薄い領域にある。したがって、半透明反射膜3は十分な耐候性を有することが必要である。

0030

本発明においては、まず、PdおよびCuをAgに固溶させたAgPdCu合金のスパッタリングターゲットを作製した。また、PdおよびTiをAgに固溶させたAgPdTi合金のスパッタリングターゲットを作製した。つぎに、これらいずれかのスパッタリングターゲットを用いて、スパッタリング法により、それらの合金薄膜の半透明反射膜を形成し、光学記録媒体を得た。

0031

ここで、Ag合金からなるスパッタリングターゲット材料として、Pdを特に選択した理由は、まず、Pdの比重が12.0(g/cm3 )であり、Agの比重10.5(g/cm3 )と比較すると、両者の比重差が小さいということがあげられる。このように比重差が小さいと、合金を作製する際の溶融工程から冷却固化工程において、添加元素であるPdの合金全体に対しての偏析が抑制でき、均一な組成のスパッタリングターゲットが容易に作製できる。さらに、合金を作製する工程中で、金属間化合物が形成されないという利点もある。

0032

また、Agは、硫黄と反応しやすいので大気中に長時間放置されると、硫化銀(Ag2 S)となり黒色化する。この結果、Ag薄膜の光学特性が劣化する。また、Agは、塩素とも激しく反応して塩化銀(AgCl)となり白濁化する。この結果、Ag薄膜の光学特性が劣化する。しかし、Agは、酸素水素、あるいは水に対しては比較的安定な物質である。一方、Pdは、高温に達しない限り硫黄や塩素と反応しにくい。したがって、Pdは、硫黄や塩素に対して化学的に安定な物質である。

0033

また、AgにPdを一定量添加して溶融することにより、冷却後のAg結晶粒界にPdを均一に分散侵入させることができる。この結果、AgPd合金とした場合、Agの耐酸素性耐水素性と、Pdの耐塩素性耐硫黄性との相互作用により、塩素、水素、酸素、硫黄という、大気中、あるいは特殊環境中で検討される非金属元素による汚染や光学記録媒体に採用される際に要求される環境や雰囲気下での高い耐候性の向上の実現が可能になる。

0034

つぎに、耐候性の試験方法について説明する。ここでは、高温高湿試験と塩素試験を行った。高温高湿試験のサンプルは、平滑な表面を有するガラス基板上に、半透明反射膜として厚さ10nmのAgPdCu合金薄膜、またはAgPdTi合金薄膜をスパッタリング法により形成したものを用いた。高温高湿試験は、沸騰水から発生する水蒸気にこのサンプルを1時間暴露することにより行った。

0035

塩素試験のサンプルは、図1に示した光学記録媒体の構造において、基板2のない状態のものを用いた。すなわち、データに対応した凹凸ピットの形成されたポリカーボネート基板上に半透明反射膜であるAgPdCu合金薄膜、またはAgPdTi合金薄膜を10nmスパッタリング法により形成し、その後に透明接着剤であるアクリル系紫外線硬化樹脂により上記の半透明反射膜を被覆した構造のものを用いた。塩素試験は、常温で、5%濃度の塩水にこのサンプルを240時間浸漬して行った。

0036

表1は、AgPdCu合金薄膜およびAgPdTi合金薄膜についてした、高温高湿試験結果および塩化試験結果を示したものである。

0037

0038

まず、高温高湿試験から得られた知見について説明する。Ag薄膜では、光学特性の変化、詳しくは透過率の増加が認められた。また、AgPd合金薄膜では、Pdが2.5〜4.5wt%の場合に、黒いシミの発生が認められた。この黒いシミの発生は、顕微鏡による観察の結果、微小領域で隆起が生じていることが原因であると判明した。この微小領域の隆起は、データ再生時のエラーレートの増加の原因となるため実用上問題となる。

0039

また、AgPdCu合金薄膜では、0.1〜3.0wt%Pdおよび0.1〜3.0wt%Cuの場合に、変化は認められなかった。しかし、3.5wt%PdとPd含有量が多い場合には黒いシミが認められた。同様に、AgPdTi合金薄膜では、0.1〜3.0wt%Pdおよび0.1〜3.0wt%Tiの場合に、変化は認められなかった。また、3.5wt%PdとPd含有量が多い場合には黒いシミが認められた。このように、第三の元素としてCuやTiを添加することにより、耐候性の改善が認められ、より高い信頼性が得られた。

0040

つぎに、塩化試験から得られた知見について説明する。Ag薄膜では、塩化によるものと思われる膜の白濁化が認められた。また、Ag薄膜と基板の間に塩水が浸透し、Ag薄膜が基板から部分的に浮いている現象が認められた。これは、Ag薄膜とプラスティック基板との密着力が弱いことに起因するものと考えられる。

0041

また、AgPd合金薄膜、すなわちCuあるいはTiの添加されていないAgPd合金薄膜では、Pdの含有量によらず、AgPd合金薄膜と基板との間に塩水が浸透し、薄膜が基板から部分的に浮いている現象が認められた。これは、AgPd合金薄膜とプラスティック基板との密着力が弱いことに起因するものと考えられる。

0042

また、AgPdCu合金またはAgPdTi合金では、Pd含有量が0.1wt%以下と少ない場合に、薄膜が部分的に腐食され白濁化する現象が観察された。上述の白濁化、および基板からの膜剥がれは、いずれもデータ再生時のエラーレートの増加の原因となるため実用上問題となる。

0043

これらに対し、AgPdCu合金薄膜またはAgPdTi合金薄膜では、0.1〜3.0wt%Pd、および0.1〜3.0wt%のCuあるいはTiが添加された場合に、基板からの膜剥がれは観察されなかった。このように、第三の元素としてCuやTiを添加することにより、耐候性が改善され、かつ基板との接合性が強化され、より高い信頼性が得られた。

0044

上述した高温高湿試験結果および塩化試験結果から、両試験をともにクリアする組成として、半透明反射膜は、0.5〜3.0wt%のPdおよび0.1〜3.0wt%のCuを含有するAgPdCu合金からなるもの、並びに、0.5〜3.0wt%のPdおよび0.1〜3.0wt%のTiを含有するAgPdTi合金薄膜からなるものが有効である。

0045

つぎに、スパッタリングターゲット材料について説明する。スパッタリングターゲット材料としてCuやTiをAgに添加する場合には、CuやTiをAgに完全に固溶させることが困難である。したがって、部分的にCuあるいはTiの組成が変動するため、そのスパッタリングターゲットを用いて形成されたAgCu合金薄膜、あるいはAgTi合金薄膜においても、CuあるいはTiの組成が変動し、安定した耐候性あるいは光学特性を得ることができない。

0046

これに対し、AgPd合金に対してCuあるいはTiを添加すると、CuあるいはTiは比較的容易に固溶することがわかった。これは、PdがAg,Cu,Tiのそれぞれの原子と固溶することが確認されている。したがって、Pdが、固溶助剤としての作用を起こして、固溶し難いAgとCuあるいはTiに対してそれぞれの元素と1次固溶反応を起こしその後に残りの1元素と2次固溶反応を起こして結合させることで、三元素間で完全固溶体をつくることが可能になったものと考えられる。

0047

つぎに、光学記録媒体6の半透明反射膜3について行った、光学特性の評価結果について説明する。最初に、半透明反射膜の光学特性の評価方法について説明する。まず、平滑な表面を有するガラス基板上に、半透明反射膜であるAgPdCu合金薄膜またはAgPdTi合金薄膜をスパッタリング法により形成した。

0048

その後、半透明反射膜の表面側から平行光を入射させ、反射率、透過率、および吸収率の測定を行なった。なお、本測定法により得られた反射率などの光学特性は、図1のような形態を有する光学記録媒体を用いてレーザー光を情報層に集光させて測定した反射率などの光学特性と異なった値を示す。このことについては後に詳述する。

0049

上述の光学特性の測定において、用いた波長は400nmおよび650nmである。ここで、これらの波長を選んだのは、650nmが通常の光ディスクシステムに用いられている波長であり、また400nmが高密度記録化のための青色半導体レーザーの波長だからである。これらの波長で十分な光学特性を有することは重要なことである。

0050

また、双方の波長に満足する光学特性を有することも実用上おおきなメリットを有する。例えば、650nmと400nmの双方の波長において、第1の情報層9と第2の情報層10の再生を安定に行なうことが可能な膜設計を行なっておくと、将来400nmの青色レーザー光源とする光ディスクシステムが開発された場合に、650nmの赤色レーザーを用いた光ディスクシステムで再生が可能だったディスク媒体を、そのまま青色レーザーのシステムで再生することが可能となるからである。

0051

表2は、波長650nmの条件で、代表的な組成を有する半透明反射膜について、反射率、透過率、および吸収率を測定した結果を示したものである。

0052

0053

表2に見られるように、各組成とも膜厚の増加とともに反射率は増加し、逆に透過率は減少し、また吸収率は増加する。各材料間の同じ膜厚に対する反射率を見ると、膜厚により僅かに異なる値を示しており、PdCuあるいはPdTiの添加により概ね僅かではあるが反射率が低下し、吸収率が増加するという傾向が見られる。しかし、これらはごく僅かの違いであり、膜厚に換算すると1nm程度、あるいはそれ以下の差として見積もられるため、波長650nmでのこれらの材料間での光学特性はほぼ同等と考えられる。

0054

なお、戻り光量の算出にあたり上記の光学特性実験方法で用いたサンプルと実際の光学記録媒体との膜の境界条件が異なるため、以下のような手法により補正を行なった。上記の実験結果から複素屈折率を求め、その値から図1に示されるような構造の光学記録媒体、すなわち再生光の入射側の媒体を空気からプラスチック基板に変更し、第1の情報層からの戻り光量S1、および第2の情報層からの戻り光量S2を算出した。

0055

図2は、波長650nmにおけるAg薄膜について、戻り光量S1と膜厚との関係、並びに、戻り光量S2と膜厚との関係を示した図である。また図3は、波長400nmにおけるAg薄膜について、戻り光量S1と膜厚との関係、並びに、戻り光量S2と膜厚との関係を示した図である。図2から、安定したデータの再生を行なうための条件、すなわちS1≧10%、およびS2≧10%を同時に満足する膜厚を求めると、5nm以上、かつ18nm以下の範囲となる。また、図3からも同様に膜厚を求めると、10nm以上となる。上限の値は、S2の曲線外挿により26nmと推定される。

0056

したがって、Ag薄膜については、波長650nmにおいて安定した再生を行なうための半透明反射膜の膜厚範囲は5nm以上、18nm以下であり、400nmでは10nm以上、26nm以下となる。さらに、波長650nmおよび波長400nmの双方において、安定した再生を行なうために適した膜厚範囲は10nm以上、18nm以下となる。

0057

表3は、波長400nmまたは650nmの条件で、膜厚10nmの各種組成のAgPdCu薄膜およびAgPdTi合金薄膜について、光学特性を測定した結果を示すものである。測定方法は前述のガラスサンプルを用いた方法と同じである。

0058

0059

表3に示された種々の組成の中で、Ag薄膜の特性に近い光学特性を有するものは前述の有効膜厚範囲が、ほぼそのまま適用できる。しかし、Ti添加量の多いAgPdTi合金薄膜の波長400nmにおける測定結果ではAg膜との差は顕著である。反射率が最大5%低下し、吸収率は8%増加する。このように、光学特性がAgからずれる場合は、その膜厚範囲を補正する必要がある。

0060

図4は、表2に示したAg、Ag−1.2wt%Pd−1.3wt%Cu、およびAg−1.2wt%Pd−1.3wt%Tiにおける反射率(%)と膜圧(nm)の関係を示した図である。この図4からわかるように、この膜厚範囲において、膜厚と反射率の間にはほぼ比例関係が成立する。

0061

一方、図2で説明したように、波長650nmにおいては膜厚が5nmあれば、戻り光量S1は10%を確保できる。他方、表3からわかるように、波長650nmにおいてはAg薄膜の反射率が35.5%であるに対して、0.5〜3.0wt%Pdおよび0.1〜3.0wt%Cuを含有するAgPdCu合金のうち最も反射率が小さいものは34.2%である。この34.2%の反射率を35.5%にするためには、膜厚をその分厚くすればよいのであるから、必要な膜厚は次式のようになる。すなわち35.5/34.2×5=5.2となる。ここで、少数第1位を四捨五入すると5nmになる。このことから0.5〜3.0wt%Pdおよび0.1〜3.0wt%Cuを含有するAgPdCu合金において必要な最小の膜厚は5nmとなる。

0062

同様な計算を0.5〜3.0wt%Pdおよび0.1〜3.0wt%Tiを含有するAgPdTi合金についてもすると35.5/32.7×5=5.4となる。少数第1位を四捨五入すると5nmとなる。このことから0.5〜3.0wt%Pdおよび0.1〜3.0wt%Tiを含有するAgPdTi合金において必要な最小の膜厚は5nmとなる。

0063

また、図2からわかるように、波長650nmにおけるAgの膜厚の最大値は18nmである。この場合、戻り光量S2を10%以上にすることが条件となる。また、戻り光量S2は、半透明反射膜の透過率の2乗に比例する。

0064

一方、表3からAg薄膜の透過率が51.2%であるのに対して、0.5〜3.0wt%Pdおよび0.1〜3.0wt%Cuを含有するAgPdCu合金、および0.5〜3.0wt%Pdおよび0.1〜3.0wt%Tiを含有するAgPdTi合金の透過率は、この値よりも大きい。したがって、Ag以外の合金の戻り光量S2は、Agの戻り光量S2よりも大きな値であることがわかる。したがって、膜厚の最大値は18nmと見ておけば十分であることがわかる。

0065

このことから、0.5〜3.0wt%Pdおよび0.1〜3.0wt%Cuを含有するAgPdCu合金において必要な最大の膜厚は18mとする。また、0.5〜3.0wt%Pdおよび0.1〜3.0wt%Tiを含有するAgPdTi合金において必要な最大の膜厚は18nmとする。

0066

これらをまとめると、波長650nmにおいて、0.5〜3.0wt%Pdおよび0.1〜3.0wt%Cuを含有するAgPdCu合金において最適な膜厚は5〜18nmとなる。また、波長650nmにおいて、0.5〜3.0wt%Pdおよび0.1〜3.0wt%Tiを含有するAgPdTi合金において最適な膜厚は5〜18nmとなる。

0067

つぎに、波長が400nmの場合についてみてみる。図3で説明したように、波長400nmにおいて膜厚が10nmあれば、戻り光量S1は10%を確保できる。一方、表3において、Agの膜厚が10nmであるときその反射率は15.4%となっている。この場合に戻り光量S1は10%となっている。

0068

ここで、0.5〜3.0wt%Pdおよび0.1〜3.0wt%Cuを含有するAgPdCu合金のうち最も小さい反射率は14.9%であるから、膜厚は次式となる。すなわち15.4/14.9×10=10.3となる。少数第1位を四捨五入すると10nmとなる。このことから、波長400nmにおける0.5〜3.0wt%Pdおよび0.1〜3.0wt%Cuを含有するAgPdCu合金において必要な最小の膜厚は10nmとなる。

0069

つぎに、0.5〜3.0wt%Pdおよび0.1〜3.0wt%Tiを含有するAgPdTi合金についてみてみる。0.5wt%Pdおよび0.1wtTi%を含有するAgPdTi合金において同様に計算すると最小の膜厚は11nmになる。また、0.5〜2.0wt%Pdおよび0.1wtTi%を含有するAgPdTi合金の最小の膜厚は12nmになる。また、0.5〜3.0wt%Pdおよび0.1wtTi%を含有するAgPdTi合金の最小の膜厚は13nmになる。また、0.5〜3.0wt%Pdおよび0.1〜1.5wtTi%を含有するAgPdTi合金の最小の膜厚は14nmになる。また、0.5〜3.0wt%Pdおよび0.1〜3.0wtTi%を含有するAgPdTi合金の最小の膜厚は15nmになる。

0070

一方、図3において戻り光量S2の曲線の外挿値から、波長400nmのAgにおける最大膜厚は26nmであった。このときAgの透過率は75.8%である。これに対して、0.5〜3.0wt%Pdおよび0.1〜3.0wt%Cuを含有するAgPdCu合金の最も小さい透過率は72.9%となっている。ここで、膜厚と透過率が反比例すると仮定すると必要な最大膜厚は次式となる。すなわち72.9/75.8×26=25.0となる。このことから、0.5〜3.0wt%Pdおよび0.1〜3.0wt%Cuを含有するAgPdCu合金において必要な最大の膜厚は25nmとなる。

0071

同様に0.5〜3.0wt%Pdおよび0.1〜3.0wt%Tiを含有するAgPdTi合金について計算した。この結果、0.5〜3.0wt%Pdおよび0.1〜3.0wt%Tiを含有するAgPdTi合金において必要な最大の膜厚は25nmとなる。

0072

これらのことをまとめると、波長400nmにおける0.5〜3.0wt%Pdおよび0.1〜3.0wt%Cuを含有するAgPdCu合金において最適な膜厚は10〜25nmとなる。また、波長400nmにおける0.5wt%Pdおよび0.1wtTi%を含有するAgPdTi合金において最適な膜厚は11〜25nmになる。また、波長400nmにおける0.5〜2.0wt%Pdおよび0.1wtTi%を含有するAgPdTi合金の最適な膜厚は12〜25nmになる。また、波長400nmにおける0.5〜3.0wt%Pdおよび0.1wtTi%を含有するAgPdTi合金の最適な膜厚は13〜25nmになる。また、波長400nmにおける0.5〜3.0wt%Pdおよび0.1〜1.5wtTi%を含有するAgPdTi合金の最適な膜厚は14〜25nmになる。また、波長400nmにおける0.5〜3.0wt%Pdおよび0.1〜3.0wtTi%を含有するAgPdTi合金の最適な膜厚は15〜25nmになる。

0073

さらに、0.5〜3.0wt%Pdおよび0.1〜3.0wt%Cuを含有するAgPdCu合金において、波長400nmおよび650nmの双方を同時に満足する最適な膜厚は10〜18nmである。

0074

また、0.5wt%Pdおよび0.1wtTi%を含有するAgPdTi合金において、波長400nmおよび650nmの双方を同時に満足する最適な膜厚は11〜18nmになる。また、0.5〜2.0wt%Pdおよび0.1wtTi%を含有するAgPdTi合金において、波長400nmおよび650nmの双方を同時に満足する最適な膜厚は12〜18nmになる。また、0.5〜3.0wt%Pdおよび0.1wtTi%を含有するAgPdTi合金において、波長400nmおよび650nmの双方を同時に満足する最適な膜厚は13〜18nmになる。また、0.5〜3.0wt%Pdおよび0.1〜1.5wtTi%を含有するAgPdTi合金において、波長400nmおよび650nmの双方を同時に満足する最適な膜厚は14〜18nmになる。また、0.5〜3.0wt%Pdおよび0.1〜3.0wtTi%を含有するAgPdTi合金において、波長400nmおよび650nmの双方を同時に満足する最適な膜厚は15〜18nmになる。

0075

以上のことから、本発明の実施の形態によれば、耐候性試験および光学特性測定の結果より、Agをベース材料として、Pdを0.5〜3.0wt%、さらに第三元素としてCuを0.1〜3.0wt%、あるいはTiを0.1〜3.0wt%のいずれかが添加されたAgPdCu合金薄膜、あるいはAgPdTi合金薄膜を半透明反射膜に用いることにより、耐候性が改善され、かつ基板との接合性が強化され、より高い信頼性が得られる。

0076

また、半透明反射膜を所定の膜厚にすることにより、波長が650nmまたは400nmのいずれかの条件のときに、並びに、650nmおよび400nmの双方を同時に満足する条件のときに、安定した再生が可能な光学記録媒体を得ることができる。なお、650nmと400nmの波長の間の波長においても安定な再生が可能なことは言うまでもない。

0077

また、上述の組成範囲の合金は容易に固溶するため、微小な領域にまでわたり均一な組成のスパッタリングターゲットを作製することが可能であり、そのスパッタリングターゲットを用いることによって微小領域での組成が均一である薄膜を作製することができる。

0078

なお、上述の発明の実施の形態においては、Agをベース材料として、Pdを0.5〜3.0wt%、さらに第三元素としてCuを0.1〜3.0wt%、あるいはTiを0.1〜3.0wt%のいずれかが添加されたAgPdCu合金薄膜、あるいはAgPdTi合金薄膜を半透明反射膜に用いることについて説明したが、第三元素はCu、Tiに限定されるわけではない。すなわち、このほかの金属、例えば、Cr,Au,Al,Rhなども採用することができることはもちろんである。

0079

また、発明の実施の形態においては、2つの情報層を有する構造のディスク状、いわゆる円盤状の光ディスクについて説明したが、本発明はこのような光ディスクや形状に限られるものではなく、単層または3層以上の情報層を有する光ディスク、光磁気ディスク相変化型光ディスク、その他カード状またはシート状の記録媒体等、情報層に金属薄膜を有する各種の光学記録媒体に適用することができる。

0080

また、例えば2枚の透明基板上にそれぞれ2層以上の情報層を形成し、これら透明基板をその情報層を有する面をつき合わせ接合して形成し、両透明基板側から光照射を行うようにした構成とすることもできるなど種々の構造とすることができる。

0081

また、本発明は上述の実施の形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。

発明の効果

0082

本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。半透明反射膜が、0.5〜3.0wt%のPd、および0.1〜3.0wt%のCuを含有するAgPdCu合金薄膜、または0.5〜3.0wt%のPd、および0.1〜3.0wt%のTiを含有するAgPdTi合金薄膜からなるので、半透明反射膜の耐候性が改善され、かつ半透明反射膜と基板との接合性が強化され、より高い信頼性が得られる。また、半透明反射膜を所定の膜厚にすることにより、安定した再生が可能な光学記録媒体を得ることができる。

図面の簡単な説明

0083

図1本発明に係る光学記録媒体の一例を示した側面図である。
図2波長650nmにおけるAg薄膜について、戻り光量S1と膜厚との関係、並びに、戻り光量S2と膜厚との関係を示した図である。
図3波長400nmにおけるAg薄膜について、戻り光量S1と膜厚との関係、並びに、戻り光量S2と膜厚との関係を示した図である。
図4表2に示したAg、Ag−1.2wt%Pd−1.3wt%Cu、およびAg−1.2wt%Pd−1.3wt%Tiにおける反射率(%)と膜圧(nm)の関係を示した図である。

--

0084

1,2‥‥基板、3‥‥半透明反射膜、4‥‥反射膜、5‥‥透明接着剤、6‥‥光学記録媒体、7‥‥対物レンズ、8‥‥再生光、9‥‥第1の情報層、10‥‥第2の情報層

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