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技術 内燃機関用潤滑油組成物

出願人 東燃ゼネラル石油株式会社
発明者 小金井克也小鹿野哲栗林利明
出願日 1999年4月1日 (20年11ヶ月経過) 出願番号 1999-095030
公開日 2000年10月10日 (19年5ヶ月経過) 公開番号 2000-282075
状態 特許登録済
技術分野 内燃機関潤滑の細部、換気 潤滑剤
主要キーワード ガス含有空気 駆動系機器 シリンダー間 上下死点 摩擦部分 エンジンメーカ 極性添加剤 持続性能
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課題

自動車内燃機関摩擦損失低減性に優れ、かつその性能を長期間にわたって持続する、特にEGRを装着した、蓄圧コモンレール)式ディーゼルエンジン用として好適な内燃機関用潤滑油組成物を提供する。

解決手段

鉱油及び/又は合成潤滑油からなる基油に、組成物全量基準で、少なくとも(A)硫化オキシモリブデンジチオカルバメート硫化オキシモリブデンジチオホスフェートモリブデンホスフェート、及びモリブデンアミン錯体からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機モリブデン化合物をMo濃度で0.01〜0.20重量%、(B)ジアルキルジチオリン酸亜鉛をP濃度で0.01〜0.50重量%、(C)アルキルサリチル酸のCa塩又はMg塩をCa又はMg濃度で0.05〜1.0重量%、及び(D)アルキルサリチル酸のZn塩をZn濃度で0.005〜0.2重量%含有することを特徴とする内燃機関、特に排気ガス還流装置(EGR)を装着した、蓄圧(コモンレール)式ディーゼルエンジン用潤滑油組成物を提供した。

概要

背景

一般に、摺動部位を有する機関である、内燃機関や、自動変速機緩衝器パワーステアリングなどの駆動系機器や、ギヤなどには、その作動を円滑にするために潤滑油が用いられている。特に内燃機関用潤滑油は、主としてピストンリングシリンダライナクランク軸コネクティングロッド軸受カムバルブリフタを含む動弁系機構など、各種摺動部分の潤滑のほか、エンジン内の冷却や燃焼生成物清浄分散、さらには錆や腐食を防止するなどの作用を果たす。このように、内燃機関用潤滑油には、多様な性能が要求され、しかも近年、内燃機関の高性能化、高出力化運転条件苛酷化などに伴い、高度な性能が要求されてきている。このため、内燃機関用潤滑油には、このような要求性能を満たすための各種添加剤、例えば耐摩耗剤金属清浄剤無灰分散剤酸化防止剤などが配合されている。内燃機関用潤滑油の基本的機能として、特にあらゆる条件下で機関を円滑に作用させ、摩耗焼付き防止を行うことが重要である。エンジン潤滑部は、大部分が流体潤滑状態にあるが、動弁系やピストン上下死点などでは境界潤滑状態となりやすく、このような境界潤滑下における摩耗防止性は、一般にジチオリン酸亜鉛などの添加によって付与されている。ところで、近年、地球温暖化防止の観点からCO2の排出量を削減させる取り組みが活発化している。日本国内においては、2005年よりディーゼル乗用車燃費を平均14.9%(1995年度比)向上することが求められており、ディーゼルエンジン油での燃費低減技術に対する期待が高まっている。

内燃機関では、潤滑油が関与する摩擦部分でのエネルギー損失が大きいために、摩擦損失低減や燃費低減対策として、例えば、特公平3−23595号公報等に示すように、摩擦低減剤を始め、各種の添加剤を組み合わせた潤滑油が使用されている。自動車の内燃機関は、広範囲油温度回転数負荷運転されており、したがって、さらに燃費を向上させるためには、内燃機関用潤滑油は、広範囲の使用条件下での摩擦特性に優れる必要がある。従来、潤滑油の摩擦係数を低くするために、有機モリブデン化合物の添加、有機モリブデン化合物と金属系清浄剤組合せ配合(例えば特公平6−62983号公報)、有機モリブデン化合物と硫黄系化合物の組合せ配合(例えば特公平5−83599号公報)、又は有機モリブデン化合物とジチオリン酸亜鉛と硫黄系化合物との組合せ配合(例えば特開平8−73878号公報)などが行われている。また、有機モリブデン化合物以外の摩擦低減剤の配合例としては、脂肪酸グリセロール部分エステル有機銅化合物の組合せ配合(例えば特公平3−77837号公報)や、ペンタエリスリトールエステルコハク酸イミド又はジチオリン酸亜鉛との組合せ配合(例えば特開昭55−80494号公報、特開昭55−82195号公報)などが提案されている。ところが、ディーゼルエンジンにおいては、ガソリンエンジンと異なり、軽油不完全燃焼により生成するすすが多量にエンジン油中に混入する。このすすは、表面活性を有するために、油中極性添加剤吸着したり、また、摩擦面に生成した被膜を削りとる作用を示すと言われている。したがって、こうような油中にすすが混入するという苛酷な摩擦条件下では、摩擦低減剤としての作用形態は、ガソリンエンジンとは大きく異なり、従来の摩擦低減剤、すなわち有機モリブデン化合物、アミンアミドリン酸エステル等は、ディーゼルエンジンの燃費低減に対して十分な効果を示さないと言われている。そのために、ディーゼルエンジンの省燃費性能の向上のため、アルカリ金属ホウ酸塩水和物の配合(例えば特公平1−48319号公報)などが若干提案されているにすぎない。また、ディーゼルエンジンの排気ガス汚染、特にNOxなどによる大気汚染が世界的に深刻化している。そこで、ディーゼル車の排出NOxとパティキュレート粒子状物質)について、新たに規制を追加し、排出量を削減しようとしている。これらの排気ガス規制に対して、エンジンメーカーでは、NOx低減策としては、ガソリンエンジンに採用されているEGRでの対応を採用するとされている。EGRの影響としては、油中スーツ(すす)が増加し、スーツによる動弁系やピストン/シリンダー間の摩耗が多くなることや、摩擦低減剤による燃費低減効果が十分に発揮しなくなることなどが挙げられている。そして、このEGRによるNOx低減は、パティキュレートを増やすというトレードオフ相反する)の関係でもある。また、EGRによって増加したパティキュレートの低減策としては、コモンレールと称される蓄圧配管に、燃料供給ポンプからの高圧燃料蓄圧し、これをインジェクタ開弁によりエンジンの各気筒高圧噴射する、蓄圧式燃料噴射装置による燃焼改善策等が採用されようとしている。それで、ディーゼル車の排気ガス規制強化のため、今後、EGRと共に、蓄圧式燃料噴射装置の装着が必至であるとされている。この蓄圧式燃料噴射装置により燃焼が大幅に改善され、油中に混入するスーツ(すす)の量も減少する。このようなエンジンの改善にも拘わらず、従来の摩擦低減剤の配合技術では、ディーゼルエンジンの燃費を向上し、それを持続させる有効なものが、未だ見出されていない。また一方、潤滑油の低粘度化も、燃費を向上する手段として有効であることが知られており、低粘度潤滑油にポリメタクリレートエチレン−プロピレン共重合体等の粘度指数向上剤を添加したマルチグレードディーゼルエンジン油が一般に用いられている。しかしながら、これらの粘度指数向上剤のみを添加したマルチグレードディーゼルエンジン油の燃費低減効果は、微々たるものであるため、決して十分とは言えなかった。そのために、ガソリンエンジンは勿論のこと、ディーゼルエンジンにおいて、十分な燃費低減効果を発揮し、かつ長期間にわたり燃費低減効果を持続する内燃機関用潤滑油組成物技術開発が強く望まれている。

概要

自動車の内燃機関の摩擦損失低減性に優れ、かつその性能を長期間にわたって持続する、特にEGRを装着した、蓄圧(コモンレール)式ディーゼルエンジン用として好適な内燃機関用潤滑油組成物を提供する。

鉱油及び/又は合成潤滑油からなる基油に、組成物全量基準で、少なくとも(A)硫化オキシモリブデンジチオカルバメート硫化オキシモリブデンジチオホスフェートモリブデンホスフェート、及びモリブデンアミン錯体からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機モリブデン化合物をMo濃度で0.01〜0.20重量%、(B)ジアルキルジチオリン酸亜鉛をP濃度で0.01〜0.50重量%、(C)アルキルサリチル酸のCa塩又はMg塩をCa又はMg濃度で0.05〜1.0重量%、及び(D)アルキルサリチル酸のZn塩をZn濃度で0.005〜0.2重量%含有することを特徴とする内燃機関、特に排気ガス還流装置(EGR)を装着した、蓄圧(コモンレール)式ディーゼルエンジン用潤滑油組成物を提供した。

目的

本発明の目的は、自動車の内燃機関の摩擦損失低減性に優れ、かつその性能を長期間にわたって持続する、特にEGRを装着した、蓄圧(コモンレール)式ディーゼルエンジン用として好適な内燃機関用潤滑油組成物を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
4件

この技術が所属する分野

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請求項1

鉱油及び/又は合成潤滑油からなる基油に、組成物全量基準で、少なくとも(A)硫化オキシモリブデンジチオカルバメート硫化オキシモリブデンジチオホスフェートモリブデンホスフェート、及びモリブデンアミン錯体からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機モリブデン化合物をMo濃度で0.01〜0.20重量%、(B)ジアルキルジチオリン酸亜鉛をP濃度で0.01〜0.50重量%、(C)アルキルサリチル酸のCa塩又はMg塩をCa又はMg濃度で0.05〜1.0重量%、及び(D)アルキルサリチル酸のZn塩をZn濃度で0.005〜0.2重量%含有することを特徴とする内燃機関用潤滑油組成物

請求項2

排気ガス還流装置EGR)を装着した、蓄圧コモンレール)式ディーゼルエンジンに使用される請求項1記載の潤滑油組成物

技術分野

0001

本発明は、内燃機関用潤滑油組成物に関し、さらに詳しくは、自動車内燃機関に対する摩擦損失低減性に優れ、かつその性能を長期間にわたって持続する、特に排気ガス還流装置(以下、EGR略称することもある。)を装着した、蓄圧コモンレール)式ディーゼルエンジン用として好適な内燃機関用省燃費潤滑油組成物に関する。

背景技術

0002

一般に、摺動部位を有する機関である、内燃機関や、自動変速機緩衝器パワーステアリングなどの駆動系機器や、ギヤなどには、その作動を円滑にするために潤滑油が用いられている。特に内燃機関用潤滑油は、主としてピストンリングシリンダライナクランク軸コネクティングロッド軸受カムバルブリフタを含む動弁系機構など、各種摺動部分の潤滑のほか、エンジン内の冷却や燃焼生成物清浄分散、さらには錆や腐食を防止するなどの作用を果たす。このように、内燃機関用潤滑油には、多様な性能が要求され、しかも近年、内燃機関の高性能化、高出力化運転条件苛酷化などに伴い、高度な性能が要求されてきている。このため、内燃機関用潤滑油には、このような要求性能を満たすための各種添加剤、例えば耐摩耗剤金属清浄剤無灰分散剤酸化防止剤などが配合されている。内燃機関用潤滑油の基本的機能として、特にあらゆる条件下で機関を円滑に作用させ、摩耗焼付き防止を行うことが重要である。エンジン潤滑部は、大部分が流体潤滑状態にあるが、動弁系やピストン上下死点などでは境界潤滑状態となりやすく、このような境界潤滑下における摩耗防止性は、一般にジチオリン酸亜鉛などの添加によって付与されている。ところで、近年、地球温暖化防止の観点からCO2の排出量を削減させる取り組みが活発化している。日本国内においては、2005年よりディーゼル乗用車燃費を平均14.9%(1995年度比)向上することが求められており、ディーゼルエンジン油での燃費低減技術に対する期待が高まっている。

0003

内燃機関では、潤滑油が関与する摩擦部分でのエネルギー損失が大きいために、摩擦損失低減や燃費低減対策として、例えば、特公平3−23595号公報等に示すように、摩擦低減剤を始め、各種の添加剤を組み合わせた潤滑油が使用されている。自動車の内燃機関は、広範囲油温度回転数負荷運転されており、したがって、さらに燃費を向上させるためには、内燃機関用潤滑油は、広範囲の使用条件下での摩擦特性に優れる必要がある。従来、潤滑油の摩擦係数を低くするために、有機モリブデン化合物の添加、有機モリブデン化合物と金属系清浄剤組合せ配合(例えば特公平6−62983号公報)、有機モリブデン化合物と硫黄系化合物の組合せ配合(例えば特公平5−83599号公報)、又は有機モリブデン化合物とジチオリン酸亜鉛と硫黄系化合物との組合せ配合(例えば特開平8−73878号公報)などが行われている。また、有機モリブデン化合物以外の摩擦低減剤の配合例としては、脂肪酸グリセロール部分エステル有機銅化合物の組合せ配合(例えば特公平3−77837号公報)や、ペンタエリスリトールエステルコハク酸イミド又はジチオリン酸亜鉛との組合せ配合(例えば特開昭55−80494号公報、特開昭55−82195号公報)などが提案されている。ところが、ディーゼルエンジンにおいては、ガソリンエンジンと異なり、軽油不完全燃焼により生成するすすが多量にエンジン油中に混入する。このすすは、表面活性を有するために、油中極性添加剤吸着したり、また、摩擦面に生成した被膜を削りとる作用を示すと言われている。したがって、こうような油中にすすが混入するという苛酷な摩擦条件下では、摩擦低減剤としての作用形態は、ガソリンエンジンとは大きく異なり、従来の摩擦低減剤、すなわち有機モリブデン化合物、アミンアミドリン酸エステル等は、ディーゼルエンジンの燃費低減に対して十分な効果を示さないと言われている。そのために、ディーゼルエンジンの省燃費性能の向上のため、アルカリ金属ホウ酸塩水和物の配合(例えば特公平1−48319号公報)などが若干提案されているにすぎない。また、ディーゼルエンジンの排気ガス汚染、特にNOxなどによる大気汚染が世界的に深刻化している。そこで、ディーゼル車の排出NOxとパティキュレート粒子状物質)について、新たに規制を追加し、排出量を削減しようとしている。これらの排気ガス規制に対して、エンジンメーカーでは、NOx低減策としては、ガソリンエンジンに採用されているEGRでの対応を採用するとされている。EGRの影響としては、油中スーツ(すす)が増加し、スーツによる動弁系やピストン/シリンダー間の摩耗が多くなることや、摩擦低減剤による燃費低減効果が十分に発揮しなくなることなどが挙げられている。そして、このEGRによるNOx低減は、パティキュレートを増やすというトレードオフ相反する)の関係でもある。また、EGRによって増加したパティキュレートの低減策としては、コモンレールと称される蓄圧配管に、燃料供給ポンプからの高圧燃料を蓄圧し、これをインジェクタ開弁によりエンジンの各気筒高圧噴射する、蓄圧式燃料噴射装置による燃焼改善策等が採用されようとしている。それで、ディーゼル車の排気ガス規制強化のため、今後、EGRと共に、蓄圧式燃料噴射装置の装着が必至であるとされている。この蓄圧式燃料噴射装置により燃焼が大幅に改善され、油中に混入するスーツ(すす)の量も減少する。このようなエンジンの改善にも拘わらず、従来の摩擦低減剤の配合技術では、ディーゼルエンジンの燃費を向上し、それを持続させる有効なものが、未だ見出されていない。また一方、潤滑油の低粘度化も、燃費を向上する手段として有効であることが知られており、低粘度潤滑油にポリメタクリレートエチレン−プロピレン共重合体等の粘度指数向上剤を添加したマルチグレードディーゼルエンジン油が一般に用いられている。しかしながら、これらの粘度指数向上剤のみを添加したマルチグレードディーゼルエンジン油の燃費低減効果は、微々たるものであるため、決して十分とは言えなかった。そのために、ガソリンエンジンは勿論のこと、ディーゼルエンジンにおいて、十分な燃費低減効果を発揮し、かつ長期間にわたり燃費低減効果を持続する内燃機関用潤滑油組成物の技術開発が強く望まれている。

発明が解決しようとする課題

0004

本発明の目的は、自動車の内燃機関の摩擦損失低減性に優れ、かつその性能を長期間にわたって持続する、特にEGRを装着した、蓄圧(コモンレール)式ディーゼルエンジン用として好適な内燃機関用潤滑油組成物を提供することにある。

課題を解決するための手段

0005

本発明者らは、前記従来技術の問題点を克服するために鋭意研究した結果、特定の有機モリブデン化合物、ジチオリン酸亜鉛及び2種類のアルキルサリチル酸金属塩(以下、サリシレートと称することもある)を特定量含有した潤滑油組成物を調製したところ、驚くべきことに、スーツが混入した潤滑条件下でも、低い摩擦係数が得られることを見い出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。

0006

すなわち、本発明によれば、鉱油及び/又は合成潤滑油からなる基油に、組成物全量基準で、少なくとも(A)硫化オキシモリブデンジチオカルバメート硫化オキシモリブデンジチオホスフェートモリブデンホスフェート、及びモリブデンアミン錯体からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機モリブデン化合物をMo濃度で0.01〜0.20重量%、(B)ジアルキルジチオリン酸亜鉛をP濃度で0.01〜0.50重量%、(C)アルキルサリチル酸のCa塩又はMg塩をCa又はMg濃度で0.05〜1.0重量%、及び(D)アルキルサリチル酸のZn塩をZn濃度で0.005〜0.2重量%含有することを特徴とする内燃機関用潤滑油組成物が提供される。さらに、本発明によれば、排気ガス還流装置(EGR)を装着した、蓄圧(コモンレール)式ディーゼルエンジンに使用される上記の潤滑油組成物が提供される。

0007

本発明は、上記した如く、基油に、有機モリブデン化合物、ジアルキルジチオリン酸亜鉛、アルキルサリチル酸のCa塩又はMg塩、及びアルキルサリチル酸のZn塩とを特定量配合した、内燃機関用、特にEGRを装着した、蓄圧(コモンレール)式ディーゼルエンジン用潤滑油組成物に係るものであるが、その好ましい態様としては、次のものが包含される。
(1)有機モリブデン化合物として、硫化オキシモリブデンジチオカルバメートをMo濃度で0.05〜0.20重量%(500〜2000ppm)含有することを特徴とする上記の潤滑油組成物。
(2)ジアルキルジチオリン酸亜鉛をP濃度で0.06〜0.20重量%(600〜2000ppm)含有することを特徴とする上記のいずれかに記載の潤滑油組成物。
(3)さらに、硫化オレフィン硫化エステル、及びポリサルファイドよりなる群の中から選ばれた少なくとも1種の硫黄系化合物を硫黄濃度で0.02〜0.30重量%含有することを特徴とする上記のいずれかに記載の潤滑油組成物。
(4)油中スーツ量が0.2〜5.0重量%である状態で使用されることを特徴とする上記のいずれかに記載の潤滑油組成物。
(5)ジアルキルジチオリン酸亜鉛は、アルキル基が第1級と第2級の混合アルキル基であることを特徴とする上記のいずれかに記載の潤滑油組成物。
(6)アルキルサリチル酸のCa塩又はMg塩は、全塩基価が50〜400mgKOH/gであることを特徴とする上記のいずれかに記載の潤滑油組成物。
(7)アルキルサリチル酸のZn塩は、全塩基価が50〜300mgKOH/gであることを特徴とする上記のいずれかに記載の潤滑油組成物。

発明を実施するための最良の形態

0008

以下、本発明について詳細に説明する。
1.潤滑油基油
本発明の潤滑油組成物に用いられる基油は、特に限定されるものではなく、一般に潤滑油基油として用いられているものならば何でも使用することができる。すなわち、これらに該当するものとしては、鉱油、合成潤滑油、或いはそれらの混合油がある。

0009

鉱油としては、原油の常圧又は減圧蒸留により誘導される潤滑油原料フェノールフルフラール、N−メチルピロリドンの如き芳香族抽出溶剤で処理して得られる溶剤精製ラフィネート、潤滑油原料を水素化処理用触媒の存在下において水素化処理条件下で水素と接触させて得られる水素化処理油ワックス異性化用触媒の存在下において異性化条件下で水素と接触させて得られる異性化油、あるいは溶剤精製工程と水素化処理工程及び異性化工程等を組み合わせて得られる潤滑油留分などを挙げることができる。いずれの製造法においても、脱蝋工程、水素化仕上げ工程、白土処理工程等の工程は、常法により、任意に採用することができる。鉱油の具体例としては、軽質ニュートラル油、中質ニュートラル油、重質ニュートラル油及びブライトストック等が挙げられ、要求性状を満たすように適宜混合することにより基油を調整することができる。

0011

これらの基油は、それぞれ単独で、あるいは二種以上を組み合わせて使用することができ、鉱油と合成油を組み合わせて使用してもよい。本発明で使用する基油は、100℃において、通常、2〜20mm2/sの動粘度を有し、好適な動粘度は3〜15mm2/sの範囲である。潤滑油基油の動粘度が高すぎると、攪拌抵抗が大になり、また流体潤滑域での摩擦係数が高くなり、省燃費特性が悪化し、逆に動粘度が低すぎると、エンジンの動弁系、ピストン、リングや軸受等の摺動部において摩耗が増加するという難点が生じる。

0012

2.有機モリブデン化合物
本発明の潤滑油組成物において、必須の(A)成分として用いられる有機モリブデン化合物は、硫化オキシモリブデンジチオカルバメート(MoDTC)、硫化オキシモリブデンジチオホスフェート(MoDTP)、モリブデンホスフェート、又はモリブデンアミン錯体などの少なくとも1種の有機モリブデン化合物である。本発明の潤滑油組成物で、有機モリブデン化合物として用いられる硫化オキシモリブデンジチオカルバメート(MoDTC)は、次の一般式[1]

0013

0014

(ただし、式中、Rl及びR2は、それぞれ炭素数4〜18の炭化水素基であり、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、m及びnは、それぞれそれらの和が4となるような正の整数である。)で表される化合物を用いることができる。前記一般式[1]におけるRl及びR2により表される炭素数4〜18の炭化水素基としては、例えば、炭素数4〜18のアルキル基、炭素数4〜18のアルケニル基、炭素数4〜18のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基アルキルアリール基アリールアルキル基などの炭化水素基を挙げることができる。前記アルキル基やアルケニル基は、直鎖状であってもよいし、分枝鎖状であってもよい。本発明の潤滑油組成物においては、Rl及びR2により表される炭化水素基の炭素数が4〜13であることが特に好ましい。Rl及びR2で表される炭化水素基の具体例としては、ブチルペンチル、ヘキシルヘプチル、2−エチルヘキシルオクチル、ノニルデシルウンデシルドデシルトリデシルオクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、へキサデセニル、オクタデセニル、ジメチルシクロキシルエチルシクロへキシル、メチルシクロへキシルメチル、シクロへキシルエチル、プロピルシクロへキシル、ブチルシクロへキシル、へプチルシクロへキシル、ジメチルフェニル、メチルべンジル、フェネチルナフチル、ジメチルナフチル基などを挙げることができる。

0015

本発明の潤滑油組成物で、有機モリブデン化合物として用いられる硫化オキシモリブデンジチオホスフェート(MoDTP)は、次の一般式[2]

0016

0017

(ただし、式中、R3及びR4は、それぞれ炭素数4〜18の炭化水素基であり、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、m及びnは、それぞれそれらの和が4となるような正の整数である。)で表される化合物を用いることができる。前記一般式[2]におけるR3及びR4により表される炭素数4〜18の炭化水素基としては、例えば、炭素数4〜18のアルキル基、炭素数4〜18のアルケニル基、炭素数4〜18のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基などの炭化水素基を挙げることができる。前記アルキル基やアルケニル基は、直鎖状であってもよいし、分枝鎖状であってもよい。本発明の潤滑油組成物においては、R3及びR4により表される炭化水素基の炭素数が4〜13であることが特に好ましい。R3及びR4で表される炭化水素基の具体例としては、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、2−エチルヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、へキサデセニル、オクタデセニル、ジメチルシクロへキシル、エチルシクロへキシル、メチルシクロへキシルメチル、シクロへキシルエチル、プロピルシクロへキシル、ブチルシクロへキシル、へプチルシクロへキシル、ジメチルフェニル、メチルべンジル、フェネチル、ナフチル、ジメチルナフチル基などを挙げることができる。

0018

本発明の潤滑油組成物で、有機モリブデン化合物として用いられるモリブデンホスフェートは、次の一般式[3]

0019

0020

(ただし、式中、R5及びR6は、それぞれ炭素数4〜18の炭化水素基であり、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、x、y、zは、3以下である。)で表される化合物を用いることができる。前記一般式[3]におけるR5及びR6により表される炭素数4〜18の炭化水素基としては、例えば、炭素数4〜18のアルキル基、炭素数4〜18のアルケニル基、炭素数4〜18のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基などの炭化水素基を挙げることができる。前記アルキル基やアルケニル基は、直鎖状であってもよいし、分枝鎖状であってもよい。本発明の潤滑油組成物においては、R5及びR6により表される炭化水素基の炭素数が4〜13であることが特に好ましい。R5及びR6で表される炭化水素基の具体例としては、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、2−エチルヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、へキサデセニル、オクタデセニル、ジメチルシクロへキシル、エチルシクロへキシル、メチルシクロへキシルメチル、シクロへキシルエチル、プロピルシクロへキシル、ブチルシクロへキシル、へプチルシクロへキシル、ジメチルフェニル、メチルべンジル、フェネチル、ナフチル、ジメチルナフチル基などを挙げることができる。

0021

本発明の潤滑油組成物で、有機モリブデン化合物として用いられるモリブデンアミン錯体は、次の一般式[4]

0022

0023

(ただし、式中、R7及びR8は、それぞれ炭素数4〜18の炭化水素基であり、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、x、y、zは、3以下である。)で表される化合物を用いることができる。前記一般式[4]におけるR7及びR8により表される炭素数4〜18の炭化水素基としては、例えば、炭素数4〜18のアルキル基、炭素数4〜18のアルケニル基、炭素数4〜18のシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基などの炭化水素基を挙げることができる。前記アルキル基やアルケニル基は、直鎖状であってもよいし、分枝鎖状であってもよい。本発明の潤滑油組成物においては、R7及びR8により表される炭化水素基の炭素数が4〜13であることが特に好ましい。R7及びR8で表される炭化水素基の具体例としては、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、2−エチルヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、へキサデセニル、オクタデセニル、ジメチルシクロへキシル、エチルシクロへキシル、メチルシクロへキシルメチル、シクロへキシルエチル、プロピルシクロへキシル、ブチルシクロへキシル、へプチルシクロへキシル、ジメチルフェニル、メチルべンジル、フェネチル、ナフチル、ジメチルナフチル基などを挙げることができる。

0024

本発明の潤滑油組成物においては、上記の有機モリブデン化合物を、1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また有機モリブデン化合物は、組成物全量に基づき、有機モリブデン化合物に由来するモリブテン(Mo)の濃度が0.01〜0.20重量%(100〜2000ppm)となるよう、好ましくは0.04〜0.20重量%(400〜2000ppm)、特に好ましくは0.05〜0.2重量%(500〜2000ppm)となるよう配合する。有機モリブデン化合物の配合量が、組成物全量に基づき、有機モリブデン化合物に由来するモリブテンの量が0.01重量%未満となる量であると、摩擦低減効果が十分に発揮されないし、有機モリブデン化合物の配合量が、組成物全量に基づき、有機モリブデン化合物に由来するモリブテンの濃度が0.20重量%を超える量であると、その量の割には、効果の向上が認められず、またスラッジなどの原因となりやすい。

0025

3.ジアルキルジチオリン酸亜鉛
本発明の潤滑油組成物において、必須の(B)成分として用いられるジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZnDTP)は、一般式[5]

0026

0027

(ただし、式中、R9及びR10は、炭素数1〜18の第1級又は第2級アルキル基であり、それらはたがいに同一でも異なっていてもよい。)で表される化合物を用いることができる。前記一般式[5]におけるR9及びR10で表される第1級又は第2級アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、へプチル、2−エチルヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシルペンタデシル、ヘキサデシル、へプタデシル、オクタデシル基などであるが、本発明の潤滑油組成物には、炭素数3〜12の第1級アルキル基と第2級アルキル基の混合アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛を用いることが好ましい。これは、熱・酸化安定性重視すれば、第1級アルキル基型が主として使用されるが、排気ガス対策として用いられるEGRによって、スーツが増えると動弁系摩耗等が増大するので、その摩耗を防止するために、第2級アルキル基型を混合して用いるのである。本発明の潤滑油組成物において、第1級アルキル基又は第2級アルキル基を有するジアルキルジチオリン酸を1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。またジアルキルジチオリン酸亜鉛は、組成物全量に基づき、ジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリン(P)の濃度が0.01〜0.50重量%となるよう、好ましくは0.06〜0.20重量%となるよう配合する。ジアルキルジチオリン酸亜鉛の配合量が、組成物全量に基づき、ジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリンの濃度が0.01重量%未満となる量であると、スーツが混入した潤滑条件下において、摩耗が増加し、摩擦低減効果が得られなくなる。一方、ジアルキルジチオリン酸亜鉛の配合量が、組成物全量に基づき、ジアルキルジチオリン酸亜鉛に由来するリンの量が0.50重量%を超えると、その量の割には、摩擦低減摩耗防止効果の向上が認められない。

0028

4.アルキルサリチル酸の金属塩
本発明の潤滑油組成物において、必須の(C)成分又は(D)成分として用いられるアルキルサリチル酸の金属塩(Ca、Mg又はZn塩)は、次の一般式[6]及び[7]

0029

0030

0031

で表される化合物を用いることができる。上記一般式[7]は、アルキルサリチル酸の金属塩の硫化物を示す。

0032

上記一般式[6]及び[7]において、R11は、炭素数が1〜18のアルキル基であり、Mは、アルカリ土類金属カルシウムマグネシウム又は2B族の亜鉛であり、また、xは、1〜4の整数である。前記一般式[6]及び[7]におけるR11で表されるアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、へプチル、2−エチルヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、へプタデシル、オクタデシル基などであるが、本発明の潤滑油組成物には、特に炭素数4〜20の直鎖状又は分岐状アルキル基が好ましい。また、これらアルキルサリチル酸の金属塩のホウ素誘導体も用いることができる。

0033

本発明において、(C)成分として用いられるアルキルサリチル酸のCa塩又はMg塩は、その全塩基価が任意のものを使用できるが、酸中和作用入手性の点から、好ましくは50〜400mgKOH/gの範囲であり、特に好ましくは、100〜200mgKOH/gの範囲である。なお、全塩基価は、JIS K2501過塩素酸法により測定した値である。

0034

アルキルサリチル酸のCa塩又はMg塩の配合量は、組成物全量に基づき、Ca又はMg濃度で0.05〜1.0重量%、好ましくは0.1〜0.7重量%である。アルキルサリチル酸のCa塩又はMg塩の配合量が、組成物全量に基づき、Ca又はMg濃度で0.05重量%未満であると、スーツが混入した潤滑条件下において、摩擦低減効果が得られなくなる。一方、アルキルサリチル酸のCa塩又はMg塩の配合量が、組成物全量に基づき、Ca又はMg濃度で1.0重量%を超えると、その量の割には、摩擦低減効果の向上が認められない。

0035

本発明において、(D)成分として用いられるアルキルサリチル酸のZn塩も、その全塩基価が任意のものを使用できるが、酸中和作用や入手性の点から、好ましくは50〜300mgKOH/gの範囲であり、特に好ましくは、100〜200mgKOH/gの範囲である。

0036

アルキルサリチル酸のZn塩の配合量は、組成物全量に基づき、Zn濃度で0.005〜0.2重量%、好ましくは0.01〜0.1重量%である。アルキルサリチル酸のZn塩の配合量が、組成物全量に基づき、Zn濃度で0.005重量%未満であると、スーツが混入した潤滑条件下において、摩擦低減効果が得られなくなり、かつその持続性も無くなる。一方、アルキルサリチル酸のZn塩の配合量が、組成物全量に基づき、Zn濃度で0.2重量%を超えると、その量の割には、摩擦低減効果の向上が認められない。

0037

5.硫黄系化合物
本発明の潤滑油組成物においては、基油に、必須成分として上記の有機モリブデン化合物とジアルキルジチオリン酸亜鉛及び2種類のアルキルサリチル酸の金属塩とを特定量配合するものであるが、省燃費性能の観点から、さらに、硫黄供給成分としての硫黄系化合物を添加することが望ましい。すなわち、上記の(A)成分である有機モリブデン化合物の効果を最大限に発揮するために、硫黄分を必要とするものである。硫黄分としては、潤滑油基油に含有されるもの、有機モリブデン化合物分子内に含まれるもの、又は添加剤として配合された硫黄系化合物からのものがある。好ましいのは、有機モリブデン化合物分子内に含まれた硫黄分又は添加剤として配合された硫黄系化合物からの硫黄分である。硫黄供給成分として、有効なのは、上記の必須(B)成分であるジチオリン酸亜鉛以外に、ジブチルサルファイドジベンジルジサルファイドとポリサルファイド等の無灰系サルファイド化合物、硫化オレフィン、硫化油脂、硫化エステル、テトラアルキルチオパーオキシホスフェートジチオカルバミン酸亜鉛ジチオカルバミン酸ビスマス等のジチオカルバミン酸金属塩等が挙げられる。中でも特に好ましいのは、硫化オレフィン、硫化エステル、及びポリサルファイドである。これらを有機モリブデン化合物と併用すると、摩擦低減性能に優れたものになる。

0038

本発明の潤滑油組成物においては、必須成分以外に、上記の硫黄供給成分としての硫黄系化合物を、1種用いてもよいし、又は2種以上を組み合わせて用いてもよく、組成物全重量基準で、硫黄系化合物に由来する硫黄の量として0.02〜0.3重量%、好ましくは0.1〜0.3重量%となるように配合する。硫黄の量が0.02重量%未満では、目的の効果が得られず、0.3重量%を越えると腐食摩耗が増大する恐れがある。

0039

本発明の潤滑油組成物は、基油に、上記の硫化オキシモリブデンジチオカルバメートとジアルキルジチオリン酸亜鉛及び2種類のアルキルサリチル酸の金属塩を必須成分として含有させることにより、又は、さらに任意の硫黄供給成分としての硫黄系化合物を含有させることにより、自動車のエンジンなどの内燃機関の潤滑油として用いられた場合、潤滑油が関与する種々の摩擦部分で、低摩擦特性の顕著な効果を奏する。特に、スーツが混入した潤滑条件下においても、摩擦低減効果が得られ、かつその持続性も良好である。本発明の潤滑油組成物は、油中スーツ量が比較的多い状態のディーゼルエンジン用として用いられる。油中スーツ量としては、0.2〜5.0重量%、好ましくは、0.2〜3.0重量%の範囲である。なお、本明細書中に示した油中スーツ量(重量%)は、超遠心分離法(遠心力:36,790G、回転数:17,500rpm、時間:30分、回数:3回、温度:0℃)により得られたn−ヘキサン不溶解分量を示している。

0040

6.その他の添加剤成分
本発明の潤滑油組成物には、潤滑油基油に必須成分として上記の有機モリブデン化合物とジアルキルジチオリン酸亜鉛及び2種類のアルキルサリチル酸の金属塩とを特定量配合するものであるが、ディーゼルエンジン用潤滑油には、多様な性能が要求されており、それらに適応した性能を確保するため、さらに必要に応じて、各種添加剤、即ち粘度指数向上剤、流動点降下剤、無灰分散剤、金属系清浄剤、酸化防止剤、摩擦低減剤、耐摩耗剤、極圧剤金属不活性化剤防錆剤消泡剤腐食防止剤着色剤などを本発明の目的を損なわない範囲で適宜添加することができる。

0041

粘度指数向上剤としては、一般にポリメタクリレート系、オレフィンコポリマー系(ポリイソブチレン系、エチレン−プロピレン共重合体系)、ポリアルキルスチレン系、スチレン−ブタジエン水添共重合体系、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体系等が挙げられ、これらは、通常1〜30重量%の割合で使用される。

0042

流動点降下剤としては、一般にエチレン酢酸ビニル共重合体塩素化パラフィンナフタレンとの縮合物、塩素化パラフィンとフェノールとの縮合物、ポリメタクリレート、ポリアルキルスチレン等が挙げられ、中でも、ポリメタクリレートが好ましく用いられる。これらは、通常0.01〜5重量%の割合で使用される。

0043

無灰分散剤としては、ポリアルケニルコハク酸イミド系、ポリアルケニルコハク酸アミド系、ベンジルアミン系コハク酸エステル系、コハク酸エステル−アミド系及びホウ素含有無灰分散剤等が挙げられる。これらの中でもポリアルケニルコハク酸イミド(ポリブテニルコハク酸イミド)系が好ましく用いられる。これらは、通常0.1〜15重量%の割合で使用される。

0044

金属系清浄剤としては、上記の必須成分であるCaサリシレート又はMgサリシレート、及びZnサリシレート以外に、Ca、Mg、Ba、Na等のスルホネート系、フェネート系、ホスホネート系のものがあり、これらは、通常0.05〜5重量%の割合で使用される。

0045

酸化防止剤としては、一般にアルキル化ジフェニルアミンフェニル−α−ナフチルアミンアルキル化フェニル−α−ナフチルアミン等のアミン系酸化防止剤、2,6−ジターシャリブチルフェノール、4,4’−メチレンビス−(2,6−ジターシャリ−ブチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネイト等の硫黄系酸化防止剤ホスファイト等のリン系酸化防止剤更に、ジチオリン酸亜鉛等が挙げられ、中でも、アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤が好ましく用いられる。これらは、通常0.05〜5重量%の割合で使用される。

0046

摩擦低減剤としては、上記の必須成分である有機モリブデン化合物以外に、例えば、脂肪酸、高級アルコール多価アルコール部分エステル脂肪酸エステル油脂類、アミン、アミド、硫化エステル、リン酸エステル、亜リン酸エステルリン酸エステルアミン塩などが挙げられる。これらは、通常0.05〜3重量%の割合で使用される。

0047

耐摩耗剤としては、上記の必須成分であるジチオリン酸亜鉛以外に、例えば、ジチオリン酸金属塩(Pb、Sb、Moなど)、ジチオカルバミン酸金属塩(Zn、Pb、Sb、Moなど)、ナフテン酸金属塩(Pbなど)、脂肪酸金属塩(Pbなど)、ホウ素化合物、リン酸エステル、亜リン酸エステル、リン酸エステルアミン塩等が挙げられる。これらは、通常0.1〜5重量%の割合で使用される。

0048

極圧剤としては、一般に無灰系サルファイド化合物、硫化油脂、リン酸エステル、亜リン酸エステル、リン酸エステルアミン塩等が挙げられ、これらは、通常0.05〜3重量%の割合で使用される。

0049

金属不活性化剤としては、ベンゾトリアゾールトリアゾール誘導体ベンゾトリアゾール誘導体チアジアゾール誘導体等が挙げられ、これらは、通常0.001〜3重量%の割合で使用される。

0050

防錆剤としては、例えば、脂肪酸、アルケニルコハク酸ハーフエステル脂肪酸セッケンアルキルスルホン酸塩多価アルコール脂肪酸エステル脂肪酸アミン酸化パラフィンアルキルポリオキシエチレンエーテル等が挙げられ、これらは、通常0.01〜3重量%の割合で使用される。

0051

消泡剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサンポリアクリレート等が挙げられ、通常、ごく少量、例えば0.002重量%程度添加される。更に、本発明の潤滑油組成物には、腐蝕防止剤、着色剤等その他の添加剤も所望に応じて使用することができる。

0052

次に、本発明について実施例及び比較例を挙げてさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に特に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例等における摩擦低減効果及びその持続性能は、往復動型(SRV摩擦摩耗試験と耐NOx酸化安定性試験により、次のようにして評価した。

0053

(1)往復動型(SRV)摩擦摩耗試験による評価
摩擦係数は、往復動型(SRV)摩擦試験機を用いて測定し、以下に示す試験条件摩擦試験を行った。
試験条件
試験片摩擦材):SUJ−2
プレート:24mm径×7mm
シリンダー:15mm径×22mm
・温度 :80℃
荷重:400N
振幅:1.5mm
振動数:50Hz
・試験時間 :5分

0054

(2)耐NOx酸化安定性試験による摩擦低減効果の持続性評価
EGRによる、高温窒素酸化物(NOx)ガスを含むブローバイガスに晒されるエンジンをシミュレートして、窒素酸化物(NOx)ガス含有空気による酸化試験を行う。試験方法は、試験油150mlについて、窒素酸化物(NO2)濃度1容量%、流速リットル/時の窒素酸化物ガス含有空気(すなわち、NO2 0.02L/h,空気1.98L/h)を吹き込み、温度130℃、試験時間6又は12時間で行う。評価は、酸化油の摩擦係数を測定し、未酸化油の摩擦係数と比較して摩擦低減効果の持続性を評価する。

0055

実施例1
潤滑油基油として、溶剤精製パラフィン系鉱油(100℃における粘度4.3mm2/s)を使用し、これに組成物全量基準で、アルキル基が第1級C8と第2級C3/C6の混合物重量比が1級/2級=10/9)であるジアルキルジチオリン酸亜鉛をリン量として0.09重量%と、有機モリブデン化合物である硫化オキシモリブデンジチオカルバメート(MoDTC)をモリブデン量として0.07重量%(700ppm)と、全塩基価が170mgKOH/gであるアルキルサリチル酸のカルシウム塩(Caサリシレート)を3.2重量%(Ca濃度で0.2重量%)と、全塩基価が130mgKOH/gであるアルキルサリチル酸の亜鉛塩(Znサリシレート)を0.3重量%(Zn濃度で0.03重量%)、及びその他の添加剤成分として無灰分散剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、酸化防止剤、消泡剤をその他の添加剤成分合計18.1重量%配合した潤滑油組成物に、さらに、予め実機ディーゼルエンジンを潤滑油基油のみで運転して、濃縮採取したスーツを1.0重量%配合する潤滑油組成物を調製し、SRV摩擦摩耗試験での摩擦係数と、耐NOx酸化安定性試験での酸化油についてSRV摩擦摩耗試験での摩擦係数を測定した。結果を表1に示す。

0056

実施例2〜6
上記実施例1と同様にして、表1に示す潤滑油基油成分、添加剤成分及びスーツを同表に示す割合で配合し、潤滑油組成物を調製した。特に、実施例2では、アルキルサリチル酸の亜鉛塩(Znサリシレート)を0.9重量%(Zn濃度で0.10重量%)と増量し、実施例3〜6では、さらに、硫黄系化合物として、硫化エステルを1.0重量%(S濃度で0.1重量%)を配合している。これらの潤滑油組成物について、実施例1と同様に、SRV摩擦摩耗試験での摩擦係数と、耐NOx酸化安定性試験での酸化油の摩擦係数をSRV摩擦摩耗試験により測定した。結果を表1に示す。

0057

0058

比較例1〜6
表2に示す潤滑油基油成分と添加剤成分及びスーツを同表に示す割合で配合し、潤滑油組成物を調製した。実施例1〜6と同様に、SRV摩擦摩耗試験での摩擦係数と、耐NOx酸化安定性試験での酸化油についてSRV摩擦摩耗試験での摩擦係数を測定した結果を表2に示す。

0059

0060

上記の実施例と比較例の結果から、潤滑油基油に、本発明において必須成分である(A)有機モリブデン化合物、(B)ジアルキルジチオリン酸亜鉛、(C)アルキルサリチル酸のCa塩及び(D)アルキルサリチル酸のZn塩を特定量配合した潤滑油組成物は、スーツが混入した潤滑条件下において、摩擦係数が低く、摩擦低減性能に優れ、かつ耐NOx酸化安定性試験での酸化油についても摩擦係数が低く、摩擦低減性能の持続性にも優れていることが明らかになった。これらから、潤滑油基油に、本発明の必須成分である(A)有機モリブデン化合物、(B)ジアルキルジチオリン酸亜鉛、(C)アルキルサリチル酸の金属(Ca又はMg)塩、及び(D)アルキルサリチル酸のZn塩を、特定量配合しないと、油中にスーツが混入した潤滑条件下において、摩擦低減性能やその持続性能に効果を発揮せず、そのために、ディーゼルエンジン用潤滑油、特にEGRを装着した、蓄圧式ディーゼルエンジン用潤滑油として高品質のものが得られないことが明らかである。すなわち、潤滑油基油に、(A)有機モリブデン化合物、(B)ジアルキルジチオリン酸亜鉛、(C)アルキルサリチル酸の金属(Ca又はMg)塩、及び(D)アルキルサリチル酸のZn塩とを、特定量配合することにより、油中に不溶解なスーツが混入した潤滑条件下において、摩擦損失低減性に優れ、かつその性能を長期間にわたって持続するという優れた効果を発揮するディーゼルエンジン用潤滑油組成物が得られることが明らかになった。

発明の効果

0061

本発明の潤滑油組成物は、潤滑油基油に、必須成分として、(A)有機モリブデン化合物、(B)ジアルキルジチオリン酸亜鉛、(C)アルキルサリチル酸の金属(Ca又はMg)塩、及び(D)アルキルサリチル酸のZn塩とを、特定量配合することにより、油中に不溶解なスーツが混入した潤滑条件下において、摩擦損失低減性に優れ、かつその性能を長期間にわたって持続するという優れた効果を発揮する。そのために、油中スーツ量が多い状態のディーゼルエンジン、特に排気ガス還流装置(EGR)を装着した、蓄圧式ディーゼルエンジン用潤滑油組成物として好適に用いることができる。

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