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技術 極薄帯板の熱間圧延方法および圧延装置

出願人 ダニエリユナイティド、アディビジョンオブダニエリコーポレイションインターナショナルローリングミルコンサルタンツインコーポレイテッド
発明者 ブラディミアービーギンズバーグフェリードゥーンエイバクターエストーレアデリーノドニニ
出願日 2000年3月16日 (21年9ヶ月経過) 出願番号 2000-073849
公開日 2000年10月3日 (21年3ヶ月経過) 公開番号 2000-271603
状態 拒絶査定
技術分野 金属圧延一般
主要キーワード 金属スラブ 中間生産物 寸法諸元 粗加工後 エントリガイド トンネル式 展開式 可逆式
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (8)

課題

厚さ約0.4mm〜約1.2mmの鋼帯、とくにステンレス鋼の鋼帯を、熱間圧延によって製造する方法および製造装置を提供する。

解決手段

初期厚さの金属スラブ粗加工用圧延装置での圧延に適した第1の温度に加熱し、加熱された前記初期厚さの金属スラブを、第1の直径を有するワークロールを備えた少なくとも1台の粗加工用可逆圧延機で圧延して、中間厚さの鋼帯を製造し、前記中間厚さの鋼帯を、前記第1の温度よりも低い、仕上げ加工用圧延装置での加工に適した第2の温度に再加熱し、前記中間厚さの鋼帯を、前記少なくとも1台の粗加工用可逆圧延機の前記ワークロールの第1の直径よりも小さい第2の直径を有するワークロールを備えた少なくとも1台の仕上げ加工用可逆圧延機を有する仕上げ加工用圧延装置で圧延して、最終厚さ約0.4mm〜約1.2mmの鋼帯を製造する。

概要

背景

本発明は、熱間圧延による鋼帯の製造に関する。本発明は、とくに、熱間圧延によるステンレス鋼の鋼帯の製造に適している。1950年以降、西側社会でのステンレス鋼の生産は、約20年ごとに倍になっている。ステンレス鋼の生産量の約50パーセントは、オーステナイト系冷間圧延鋼帯である。オーステナイト系の冷間圧延鋼帯の大部分は、AISI 304のステンレス鋼である。さらに、厚さについては、生産される製品の多くが、0.7〜2.5mmの範囲にある。そこで、最終製品として、厚さがおよそ0.7〜2.5mmのオーステナイト系ステンレス鋼帯の、効率的な生産が望まれる。本発明は、そのような製品の製造装置ならびに製造方法に関する。

炭素鋼とステンレス鋼は機械的性質が異なるので、炭素鋼の圧延工程とステンレス鋼の圧延工程も異なる。ステンレス鋼の熱伝導度は、約815℃よりも低い温度下で、炭素鋼や低合金鋼よりも低い。したがって、815℃よりも低い温度でのステンレス鋼の加熱は注意深くおこなわれねばならず、さもないと表面の焼けが生じる。しかし、815℃よりも高温の場合には、ステンレス鋼を炭素鋼と同様に加熱することが可能である。各種ステンレス鋼の多くは、炭素鋼に比べ、熱間加工に適した温度の範囲が狭い。したがって、ステンレス鋼の熱間加工時には、きめの細かい温度管理が必要である。

フェライト系のステンレス鋼(鉄とクロムを主成分とするステンレス鋼)は、たいていのものが、高温で非常に柔らかく、ガイドロールの痕が容易についてしまう。さらに、フェライト系のステンレス鋼は熱間圧延によりかなりよく延びる。これらのステンレス鋼を加熱しすぎると、金属の結晶粒子過度成長を招き、亀裂や割れへの感受性を高めてしまう。

オーステナイト系のステンレス鋼(鉄とクロム、ニッケルを主成分とするステンレス鋼)は、たいていのものが、圧延時の温度条件下で、フェライト系のステンレス鋼よりも強く、変形により大きな力を必要とする。オーステナイト系のステンレス鋼において、仕上げ加工時の温度が低すぎると、変形させるために必要な力が大きくなり実用的でない。オーステナイト系のステンレス鋼は強いため、これらの種類のステンレス鋼の1回の圧延あたりの厚さの減少(圧下率)は小さいものとなってしまう。これらの種類の鋼は、一般の鋼に比べて延びにくい。

ステンレス鋼の加工時の温度は、最終の製品にたいへん大きな影響をあたえる。たとえばフェライト系のステンレス鋼は、熱間圧延加工において重要な、2つの温度に依存した現象を特徴として有する。1つは、ローピング(roping)あるいはリッジング(ridging)と呼ばれる現象である。この名前は、フェライト系ステンレス鋼を加工することによって生じるうね(ridges)や表面の不規則性由来している。この表面のうねは、製品の最後の冷間圧延の方向に現れる。リッジングは、冷間絞り(cold-reduction)と焼きなましにともなって、材料中にある組織が形成されることにより生じることが知られている。リッジングは、金属を加工する際の温度を高温、たとえば870℃かそれ以上、にすることにより減少させることができる。

フェライト系のステンレス鋼を特徴づける第2の現象は、475℃脆性である。これは、フェライト系ステンレス鋼が約370℃〜540℃の範囲に加熱されたときに生じる析出硬化現象である。この析出硬化は、材料の延性靭性の低下を招く。この脆化現象を避けるため、フェライト系ステンレス鋼を熱間圧延によって鋼帯へと加工する工程は、約370℃〜540℃の範囲よりも高温で実施されることが望ましい。

オーステナイト系のステンレス鋼も、温度に依存した加工特性を示す。オーステナイト系ステンレス鋼の加工時の温度は、熱間圧延された製品の特性に影響をあたえる。しかし、熱間圧延において、オーステナイト系のステンレス鋼はフェライト系のステンレス鋼よりも安定しており、明確な脆化温度やリッジング温度といったものはない。けれども、高温で加工したほうが最終製品の延性や靭性は向上する。

本発明は、従来の熱間圧延による鋼帯の製造方法を改善するものである。従来の製造方法では、所望の冶金学的特性を備えた厚さ0.4〜1.2mmの鋼帯を製造することはできなかった。たとえば、米国特許第4,580,428号明細書(1986)には、それぞれ異なったワークロール径を有する粗加工用圧延機仕上げ加工用の圧延機とを備える熱間圧延装置が開示されている。この圧延機のくし形(tandem)配置では、粗加工と仕上げ加工の温度を独立に制御するように設計されてはいない。粗加工用の圧延機と仕上げ加工用の圧延機は互いに近接して配置され、くし形圧延装置として動作するため、製造される製品の種類は限られたものとなってしまう。

別の構成の熱間圧延装置が、米国特許第5,329,688号明細書(1994)に開示されているが、この例でもさまざまな種類の鋼帯を製造することはできない。この製造法は、鋳造によって形成されたスラブを1100℃よりも高い温度で熱間圧延し、250℃から260℃の範囲に冷え帯板をさらに精密に圧延し、最後に250℃より低い温度で仕上げの冷間圧延をおこなうものである。このタイプの製造方法は、異なる温度での圧延の連続からなり、さまざまな種類のステンレス鋼の製造方法としては望ましくない。

熱間圧延による鋼帯の製造工程についての先行技術は、米国特許第5,689,991号明細書(1997)にも開示がある。この製造方法では、くし形の熱間圧延装置に加え、可逆式の熱間圧延装置を組み合わせることにより、薄板(thin gauge)を熱間圧延している。しかし、この構成でも、所望の厚さ0.4〜1.2mmの鋼帯を、熱間圧延の温度を独立に制御して製造することはできない。

本発明は、従来の熱間圧延による薄い鋼帯の製造法の欠点を克服する。

概要

厚さ約0.4mm〜約1.2mmの鋼帯、とくにステンレス鋼の鋼帯を、熱間圧延によって製造する方法および製造装置を提供する。

初期厚さの金属スラブを粗加工用圧延装置での圧延に適した第1の温度に加熱し、加熱された前記初期厚さの金属スラブを、第1の直径を有するワークロールを備えた少なくとも1台の粗加工用可逆圧延機で圧延して、中間厚さの鋼帯を製造し、前記中間厚さの鋼帯を、前記第1の温度よりも低い、仕上げ加工用圧延装置での加工に適した第2の温度に再加熱し、前記中間厚さの鋼帯を、前記少なくとも1台の粗加工用可逆圧延機の前記ワークロールの第1の直径よりも小さい第2の直径を有するワークロールを備えた少なくとも1台の仕上げ加工用可逆圧延機を有する仕上げ加工用圧延装置で圧延して、最終厚さ約0.4mm〜約1.2mmの鋼帯を製造する。

目的

本発明の主な目的は、厚さ約0.4mm〜約1.2mmの鋼帯を、熱間圧延によって製造する方法および製造装置を提供することにある。

さらに、本発明の目的は、厚さ約0.4mm〜約1.2mmのステンレス鋼の鋼帯を、熱間圧延によって製造する方法および製造装置を提供することにある。

本発明のさらに他の目的は、2台の圧延機を使用して、鋼帯を熱間圧延によって製造する方法および製造装置を提供することにある。

本発明のまた別の目的は、仕上げ用の圧延機での圧延に先立ち、約850℃〜1000℃の範囲の温度に第2の再加熱をおこなう製造方法および製造装置を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

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請求項1

薄い鋼帯を製造するための熱間圧延方法であって、初期厚さの金属スラブ粗加工用圧延装置での圧延に適した第1の温度に加熱し、中間厚さの鋼帯を製造するために、加熱された前記初期厚さの金属スラブを、第1の直径を有するワークロールを備えた少なくとも1台の粗加工用可逆圧延機によって圧延し、前記中間厚さの鋼帯を、前記第1の温度よりも低い、仕上げ加工用圧延装置での加工に適した第2の温度に再加熱し、最終厚さ約0.4mm〜約1.2mmの鋼帯を製造するために、前記中間厚さの鋼帯を、前記少なくとも1台の粗加工用可逆圧延機の前記ワークロールの第1の直径よりも小さい第2の直径を有するワークロールを備えた少なくとも1台の仕上げ加工用可逆圧延機を有する仕上げ加工用圧延装置で圧延することからなる圧延方法

請求項2

前記第1の温度および前記第2の温度が、フェライト系の炭素鋼フェライト系ステンレス鋼、およびオーステナイト系ステンレス鋼からなる群から選ばれる金属の、前記少なくとも1台の粗加工用可逆圧延機および前記少なくとも1台の仕上げ加工用可逆圧延機での加工に適した温度であることを特徴とする請求項1記載の圧延方法。

請求項3

前記第1の温度が、1000℃〜1250℃の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の圧延方法。

請求項4

前記第2の温度が、850℃〜1000℃の範囲であることを特徴とする請求項1記載の圧延方法。

請求項5

前記中間厚さの鋼帯が、約1.5mm〜約4mmの厚さであることを特徴とする請求項1記載の圧延方法。

請求項6

前記ワークロールの第1の直径が、約600mm〜約800mmの範囲にあることを特徴とする請求項1記載の圧延方法。

請求項7

前記ワークロールの第2の直径が、約300mm〜約600mmの範囲にあることを特徴とする請求項1記載の圧延方法。

請求項8

前記圧延機の近傍に配置された巻取炉またはコイラを使用したコイル通過方式によって、金属を前記少なくとも1台の粗加工用可逆圧延機で圧延し、金属を前記少なくとも1台の仕上げ加工用可逆圧延機で圧延することを特徴とする請求項1記載の圧延方法。

請求項9

前記初期厚さの金属スラブを、前記第1の温度に過熱後、前記少なくとも1台の粗加工用可逆圧延機で圧延する前に、縁取り機で切断することを特徴とする請求項1記載の圧延方法。

請求項10

前記中間厚さの鋼帯を、前記第2の温度に再過熱後、前記少なくとも1台の仕上げ加工用可逆圧延機で圧延する前に、切断することを特徴とする請求項1記載の圧延方法。

請求項11

前記初期厚さの金属スラブのスケールを除去し、前記中間厚さの鋼帯を、前記少なくとも1台の仕上げ加工用可逆圧延機で圧延する前に、清掃することを特徴とする請求項1記載の圧延方法。

請求項12

初期厚さの金属スラブを粗加工用圧延装置での圧延に適した第1の温度に加熱し、中間厚さ約1.5mm〜約4mmの鋼帯を製造するために、加熱された前記初期厚さの金属スラブを、第1の直径を有するワークロールを備えた少なくとも1台の粗加工用可逆圧延機によって圧延し、前記中間厚さの鋼帯を、前記第1の温度よりも低い、仕上げ加工用圧延装置での加工に適した第2の温度に再加熱し、前記中間厚さの鋼帯を、鋼帯清掃装置で清掃し、最終厚さ約0.4mm〜約1.2mmの鋼帯を製造するために、前記中間厚さの鋼帯を、前記少なくとも1台の粗加工用可逆圧延機の前記ワークロールの第1の直径よりも小さい第2の直径を有するワークロールを備えた少なくとも1台の仕上げ加工用可逆圧延機で圧延することからなる薄い鋼帯を製造するための熱間圧延方法。

請求項13

前記第1の温度および前記第2の温度が、フェライト系の炭素鋼、フェライト系ステンレス鋼、およびオーステナイト系ステンレス鋼からなる群から選ばれる金属の、前記少なくとも1台の粗加工用可逆圧延機および前記少なくとも1台の仕上げ加工用可逆圧延機での加工に適した温度であることを特徴とする請求項12記載の圧延方法。

請求項14

前記第1の温度が、1000℃〜1250℃の範囲にあることを特徴とする請求項12記載の圧延方法。

請求項15

前記第2の温度が、850℃〜1000℃の範囲であることを特徴とする請求項12記載の圧延方法。

請求項16

前記ワークロールの第1の直径が、約600mm〜約800mmの範囲にあることを特徴とする請求項12記載の圧延方法。

請求項17

前記第2のワークロールの第2の直径が、約300mm〜約600mmの範囲にあることを特徴とする請求項12記載の圧延方法。

請求項18

前記中間厚さ1.5mm〜4mmの鋼帯を製造するための圧延が、7回〜15回の圧延パスによって実行され、約0.4mm〜約1.2mmの厚さの鋼帯を製造するための圧延が、5回〜9回の圧延パスによって実行される、請求項12記載の圧延方法。

請求項19

初期厚さの金属スラブを、1000℃〜1250℃の範囲にある第1の温度に加熱し、前記初期厚さの金属スラブを、縁取り機で切断し中間厚さ約1.5mm〜約4mmの鋼帯を製造するために、直径が600mm〜800mmの範囲にあるワークロールを備えた少なくとも1台の粗加工用可逆圧延機によって圧延し、前記中間厚さの鋼帯を、850℃〜1000℃の範囲にある第2の温度に再加熱し、前記中間厚さの鋼帯を清掃し、前記鋼帯を切断し、前記中間厚さの鋼帯を、直径が300mm〜600mmの範囲にあるワークロールを備えた少なくとも1台の仕上げ加工用可逆圧延機で圧延することからなる薄い鋼帯を製造するための熱間圧延方法であって、前記中間厚さの鋼帯の最後の2回の圧延パスは、所望の冶金学的特性を得るために、650℃〜800℃の範囲の温度でおこなわれ、最終厚さ約0.4mm〜約1.2mmの鋼帯を製造することを特徴とする圧延方法。

請求項20

最終厚さ約0.4mm〜1.2mmの鋼帯を製造するための熱間圧延装置であって、金属スラブを加熱するための第1のトンネル炉と、前記第1のトンネル炉の後ろの工程に位置し、前記加熱された金属スラブのスケールを除去するためのスケール除去機と、前記スケール除去機の後ろの工程に位置し、中間厚さの鋼帯を製造するために前記金属スラブを圧延する、少なくとも1台の圧延機を備えた粗加工用可逆圧延装置と、前記粗加工用可逆圧延装置の近傍に配置され、前記鋼帯を、前記粗加工用可逆圧延装置を通過させるための少なくとも1つの巻取炉と、前記粗加工用可逆圧延装置の後ろの工程に位置し、前記中間厚さの鋼帯を再加熱するための第2のトンネル炉と、前記第2のトンネル炉の後ろの工程に位置し、最終厚さ約0.4mm〜約1.2mmの鋼帯を製造するために、前記中間厚さの鋼帯を受け入れて圧延するように構成された少なくとも1台の圧延機を備える仕上げ加工用可逆圧延装置と、を有する熱間圧延装置。

請求項21

前記第2のトンネル炉の後ろの工程、かつ前記仕上げ加工用可逆圧延装置の前の工程に位置する清掃装置を有した、請求項20記載の、最終厚さ約0.4mm〜1.2mmの鋼帯を製造するための熱間圧延装置。

技術分野

0001

本発明は、鋼帯(金属の薄い板、thin metal strip)を、熱間圧延で製造する装置および方法に関する。

背景技術

0002

本発明は、熱間圧延による鋼帯の製造に関する。本発明は、とくに、熱間圧延によるステンレス鋼の鋼帯の製造に適している。1950年以降、西側社会でのステンレス鋼の生産は、約20年ごとに倍になっている。ステンレス鋼の生産量の約50パーセントは、オーステナイト系冷間圧延鋼帯である。オーステナイト系の冷間圧延鋼帯の大部分は、AISI 304のステンレス鋼である。さらに、厚さについては、生産される製品の多くが、0.7〜2.5mmの範囲にある。そこで、最終製品として、厚さがおよそ0.7〜2.5mmのオーステナイト系ステンレス鋼帯の、効率的な生産が望まれる。本発明は、そのような製品の製造装置ならびに製造方法に関する。

0003

炭素鋼とステンレス鋼は機械的性質が異なるので、炭素鋼の圧延工程とステンレス鋼の圧延工程も異なる。ステンレス鋼の熱伝導度は、約815℃よりも低い温度下で、炭素鋼や低合金鋼よりも低い。したがって、815℃よりも低い温度でのステンレス鋼の加熱は注意深くおこなわれねばならず、さもないと表面の焼けが生じる。しかし、815℃よりも高温の場合には、ステンレス鋼を炭素鋼と同様に加熱することが可能である。各種ステンレス鋼の多くは、炭素鋼に比べ、熱間加工に適した温度の範囲が狭い。したがって、ステンレス鋼の熱間加工時には、きめの細かい温度管理が必要である。

0004

フェライト系のステンレス鋼(鉄とクロムを主成分とするステンレス鋼)は、たいていのものが、高温で非常に柔らかく、ガイドロールの痕が容易についてしまう。さらに、フェライト系のステンレス鋼は熱間圧延によりかなりよく延びる。これらのステンレス鋼を加熱しすぎると、金属の結晶粒子過度成長を招き、亀裂や割れへの感受性を高めてしまう。

0005

オーステナイト系のステンレス鋼(鉄とクロム、ニッケルを主成分とするステンレス鋼)は、たいていのものが、圧延時の温度条件下で、フェライト系のステンレス鋼よりも強く、変形により大きな力を必要とする。オーステナイト系のステンレス鋼において、仕上げ加工時の温度が低すぎると、変形させるために必要な力が大きくなり実用的でない。オーステナイト系のステンレス鋼は強いため、これらの種類のステンレス鋼の1回の圧延あたりの厚さの減少(圧下率)は小さいものとなってしまう。これらの種類の鋼は、一般の鋼に比べて延びにくい。

0006

ステンレス鋼の加工時の温度は、最終の製品にたいへん大きな影響をあたえる。たとえばフェライト系のステンレス鋼は、熱間圧延加工において重要な、2つの温度に依存した現象を特徴として有する。1つは、ローピング(roping)あるいはリッジング(ridging)と呼ばれる現象である。この名前は、フェライト系ステンレス鋼を加工することによって生じるうね(ridges)や表面の不規則性由来している。この表面のうねは、製品の最後の冷間圧延の方向に現れる。リッジングは、冷間絞り(cold-reduction)と焼きなましにともなって、材料中にある組織が形成されることにより生じることが知られている。リッジングは、金属を加工する際の温度を高温、たとえば870℃かそれ以上、にすることにより減少させることができる。

0007

フェライト系のステンレス鋼を特徴づける第2の現象は、475℃脆性である。これは、フェライト系ステンレス鋼が約370℃〜540℃の範囲に加熱されたときに生じる析出硬化現象である。この析出硬化は、材料の延性靭性の低下を招く。この脆化現象を避けるため、フェライト系ステンレス鋼を熱間圧延によって鋼帯へと加工する工程は、約370℃〜540℃の範囲よりも高温で実施されることが望ましい。

0008

オーステナイト系のステンレス鋼も、温度に依存した加工特性を示す。オーステナイト系ステンレス鋼の加工時の温度は、熱間圧延された製品の特性に影響をあたえる。しかし、熱間圧延において、オーステナイト系のステンレス鋼はフェライト系のステンレス鋼よりも安定しており、明確な脆化温度やリッジング温度といったものはない。けれども、高温で加工したほうが最終製品の延性や靭性は向上する。

0009

本発明は、従来の熱間圧延による鋼帯の製造方法を改善するものである。従来の製造方法では、所望の冶金学的特性を備えた厚さ0.4〜1.2mmの鋼帯を製造することはできなかった。たとえば、米国特許第4,580,428号明細書(1986)には、それぞれ異なったワークロール径を有する粗加工用圧延機仕上げ加工用の圧延機とを備える熱間圧延装置が開示されている。この圧延機のくし形(tandem)配置では、粗加工と仕上げ加工の温度を独立に制御するように設計されてはいない。粗加工用の圧延機と仕上げ加工用の圧延機は互いに近接して配置され、くし形圧延装置として動作するため、製造される製品の種類は限られたものとなってしまう。

0010

別の構成の熱間圧延装置が、米国特許第5,329,688号明細書(1994)に開示されているが、この例でもさまざまな種類の鋼帯を製造することはできない。この製造法は、鋳造によって形成されたスラブを1100℃よりも高い温度で熱間圧延し、250℃から260℃の範囲に冷え帯板をさらに精密に圧延し、最後に250℃より低い温度で仕上げの冷間圧延をおこなうものである。このタイプの製造方法は、異なる温度での圧延の連続からなり、さまざまな種類のステンレス鋼の製造方法としては望ましくない。

0011

熱間圧延による鋼帯の製造工程についての先行技術は、米国特許第5,689,991号明細書(1997)にも開示がある。この製造方法では、くし形の熱間圧延装置に加え、可逆式の熱間圧延装置を組み合わせることにより、薄板(thin gauge)を熱間圧延している。しかし、この構成でも、所望の厚さ0.4〜1.2mmの鋼帯を、熱間圧延の温度を独立に制御して製造することはできない。

0012

本発明は、従来の熱間圧延による薄い鋼帯の製造法の欠点を克服する。

発明が解決しようとする課題

0013

本発明の主な目的は、厚さ約0.4mm〜約1.2mmの鋼帯を、熱間圧延によって製造する方法および製造装置を提供することにある。

0014

さらに、本発明の目的は、厚さ約0.4mm〜約1.2mmのステンレス鋼の鋼帯を、熱間圧延によって製造する方法および製造装置を提供することにある。

0015

本発明のさらに他の目的は、2台の圧延機を使用して、鋼帯を熱間圧延によって製造する方法および製造装置を提供することにある。

0016

本発明のまた別の目的は、仕上げ用の圧延機での圧延に先立ち、約850℃〜1000℃の範囲の温度に第2の再加熱をおこなう製造方法および製造装置を提供することにある。

0017

本発明の他の目的、特徴および長所については、以下に述べる発明の詳細な説明ならびに添付の図面によって明らかにされる。

課題を解決するための手段

0018

本発明は、薄い鋼帯を熱間圧延によって製造する装置および方法に関する。本発明の製造装置および製造法によって、最終製品を大きく改善することができる。本発明は、フェライト系の炭素鋼、フェライト系ステンレス鋼およびオーステナイト系ステンレス鋼の熱間圧延に、とくに有効である。

0019

本発明の製造装置は、粗加工用の可逆圧延機と仕上げ加工用の可逆圧延機とを有する金属加工ラインである。各圧延機の前工程には、加熱のための炉が備えられている。通常の場合、粗加工用の圧延装置あるいは仕上げ加工用の圧延装置への導入前の長い鋼帯を加熱あるいは再加熱するためには、トンネル式の炉が適している。さらに、粗加工用圧延機のワークロールの直径は、仕上げ加工用圧延機のワークロールの直径よりも大きい。この構成により、2台の可逆圧延機での圧延時の温度を制御することができ、サイズの異なるワークロールによって異なった圧延条件を加えることができる。本発明は、要望されていた厚さ約0.4mm〜約1.2mmの帯板を、圧延される金属の種類に適した温度で、製造することができるという利点を有する。

0020

本発明による製造方法は、金属スラブを加熱し、第1の直径を有するワークロールを備えた粗加工用の可逆圧延機によって、前記金属スラブを圧延し、できあがった鋼帯を再加熱用の炉で再加熱し、前記鋼帯を、前記粗加工用可逆圧延機のワークロールの直径よりも小さい第2の直径を有するワークロールを備えた仕上げ加工用の可逆圧延機で圧延する、工程を有する。

0021

各圧延機を通過(圧延パス)する回数は、圧延される金属の種類によって決まる。

0022

本発明の製造装置および製造方法において、製造ライン中に最終製品を改善するための加工工程を追加してもよい。たとえば、粗加工用の可逆圧延機と、その下流(後工程)に位置する仕上げ加工用の可逆圧延機との間に清掃装置を追加するとよい。粗加工後金属製品清掃することにより、仕上げの熱間圧延工程を改善することができ、最終製品の改善につながる。

0023

本発明は、薄い鋼帯を熱間圧延によって製造するための圧延加工用装置および製造方法に関する。従来の技術では、熱間圧延鋼帯は可逆式のくし形に配置された熱間圧延機によって、約1.5〜15mmの厚さに圧延される。いくつかの熱間圧延装置は、鋼帯を1mmの薄さまで圧延するように設計されている。しかし従来の技術では、1mmの薄さまで圧延した場合、最終製品としては望ましくない表面の粗さが増し不良率が高くなった。これは、明らかに、最終製品として平坦度の劣ったコイルの数が増えることにつながる。

0024

本発明は、薄さが0.5mmの熱間圧延鋼帯を製造したいという要求に応える。本発明は、材料の特性から900℃よりも低い温度で圧延することのできる種類の鋼に有用である。本発明は、フェライト系の炭素鋼、フェライト系ステンレス鋼およびオーステナイト系ステンレス鋼の熱間圧延に、とくに適している。

0025

本発明では、粗加工用の可逆式熱間圧延装置の下流(後工程)に、加熱炉および仕上げ用の可逆式圧延装置を追加することにより、従来技術の欠点を克服している。2つの圧延装置は、各圧延機の損耗を少なくし、所望の製品をより効率的に生産するために、役割分担している。

0026

粗加工用の圧延装置は、たいていの場合ステッケルミル(Steckel Mill)が使用されると思われるが、厚さ50〜100mmの高温の金属スラブを受け取り、約1.5〜約4mmの厚さの鋼帯へと加工する。この厚さは、従来の熱間圧延装置で良好な製品を製造できる範囲にある。この厚さを効率的な速さで得るために、圧延装置は、おそらくは1台の圧延機(single stand mill)からなるであろうが、直径が約600〜約800mmの範囲にある2つのワークロールを備えている。

0027

直径が約600〜約800mmの範囲にあるワークロールを備えた粗加工用圧延装置の下流(後工程)には、まず鋼帯を再加熱する炉が、そのつぎに仕上げ加工用の圧延装置が設けられる。粗加工用の圧延装置を出てきた鋼帯は、仕上げ加工用圧延装置での加工の前に炉、たいていの場合はトンネル炉、を通過して再加熱される。仕上げ加工用圧延装置は、再加熱された厚さ約1.5〜約4mmの鋼帯を受け取り、数回往復通過(圧延パス)させることにより、約0.4〜約1.2mmの厚さの鋼帯へと加工する。この厚さの減少を実現するために、仕上げ用の圧延装置は直径が約300〜約600mmの範囲にある2つのワークロールを備える。この製造方法により、厚さ約0.4〜約1.2mmの鋼帯の製造が可能となる。

0028

本発明は、エントリガイドストリッパ展開式マンドレルといった冷間圧延装置で、鋼帯を圧延装置にかけて圧延をするために設計され、一般的に使用されている装置を熱間圧延装置に適用できる点に利点がある。これらは、装置を通過する鋼帯の位置決めを改善する。加えて、本発明には、最初の粗加工に直径の大きいワークロールを使用し、最後の仕上げ加工に直径の小さいワークロールを使用するという利点がある。これによって、各圧延機に要求される圧延荷重を減らし、2つの圧延機で仕事を分担することができるため、鋼帯の平坦性が向上する。

0029

図1は、本発明の一実施例である熱間圧延装置1を示している。本発明の熱間圧延装置1の前段階には、薄スラブ鋳造機(thin slab caster)2が設けられる。薄スラブ鋳造機2は、たいていの場合、鋳造後の金属スラブが排出される水平なテーブルを備えた曲げ形の連続鋳造機である。薄スラブ鋳造機2に続いて、第1の切断機(shear)3が設けられている。第1の切断機3は、固まった金属スラブをある長さに切断、分割する。金属スラブは、第1の切断機3にて、熱間圧延装置1での取り扱いに適した長さに切断される。切断された金属スラブを熱間圧延装置1で加工したのち、できあがった製品を長く連続した最終製品とするために、コイルへの巻き取り(coiling)に先立って、溶接によりつなぎあわせることもできる。にもかかわらず、通常、金属スラブは、熱間圧延装置1での取り扱いを容易にするため、第1の切断機3にて切断される。

0030

図1の実施例では、切断機3に続いて、切断後の金属スラブ表面からスケールを取り除くための第1のスケール除去機4が設けられている。スケールは、前記第1のスケール除去機4にて、従来より知られている方法で除去される。スケール除去機4を通過した後の金属スラブは、第1のトンネル状の炉5で、約1000℃よりも高温に加熱される。この金属スラブの加熱温度は、加工する金属の種類によって決められる。本発明の製造法は、フェライト系の炭素鋼、フェライト系ステンレス鋼、およびオーステナイト系ステンレス鋼に最適であり、これらの材料からなる金属スラブは、圧延に先立って、トンネル状の炉5にて約1000℃よりも高温に加熱される。前記金属スラブは、たいていの場合、約1000℃〜1250℃の範囲の温度まで加熱される。さらには、約1000℃〜1200℃の範囲が望ましい。鋳造後の金属スラブは、所望の、圧延に適した温度となって、トンネル状の炉5から出てくる。本実施例では、トンネル状の炉5に引き続いて、第2のスケール除去機6が設けられている。第1のスケール除去機4と同様に、金属スラブがスケール除去機6を通過し、金属スラブ表面からスケールが除去される。

0031

スケール除去および加熱の後の鋳造金属スラブは、おおむね50mmから100mmの厚さであり、粗加工用可逆圧延装置7へと導入される。本発明の粗加工用可逆圧延装置7として、通常は1台の可逆圧延機(single stand reversing mill)が使用される。本実施例では、1台の4段圧延機(a four-high mill stand)が使用されている。しかし、粗加工用可逆圧延装置7は他の、もっと多くのワークロールおよびバックアップロールを有する構成でもよい。粗加工用可逆圧延装置7は、さまざまに構成される複数のワークロールおよびバックアップロールを備えたものとできる。

0032

たとえば、本発明の粗加工用可逆圧延装置7を、厚さ50〜100mmの加熱された金属スラブを、厚さ約1.5〜約4mmの鋼帯へと圧延するように設計されたステッケルミルとすることができる。図1において、粗加工用可逆圧延装置7の下方には、矢印による略図で9回の粗加工圧延パスが示されている。略図は、厚さ約1.5〜約4mmの鋼帯を製造するために、金属スラブが粗加工用可逆圧延装置7を9回通過することを表わしている。

0033

鋳造後の金属スラブは、仕上げ加工用圧延装置での加工に最適な約1.5〜約4mmの厚さの鋼帯へと圧延される。この製造方法では、厚さ約1.5〜約4mmの鋼帯は中間生産物であり、この厚さを本発明の製造方法における中間厚さと定義する。粗加工用可逆圧延装置7の1台の圧延機の、ワークロールの直径は約600〜約800mmである。

0034

粗加工用可逆圧延装置7の近傍の、上流(前工程)側には第1の巻取炉(coilfunace)8が、下流(後工程)側には第2の巻取炉9が位置している。第1の巻取炉8および第2の巻取炉9の両者は、鋼帯を粗加工用可逆圧延装置7を往復させて圧延する工程において、鋼帯の両端を巻き取るために使用される。このような形式で可逆圧延装置を通過させる方法は、コイル通過方式(coil passing)として知られている。一方、圧延装置で圧延される鋼帯の両端をコイルに巻きつけない方法は、フラット通過方式(flat passing)と呼ばれる。さらに、粗加工用可逆圧延装置7の近傍には、縁取り機(edger apparatus)10が配置されており、粗加工用可逆圧延装置7で加工される鋼帯の両側面および両端を切断するために使用される。

0035

粗加工用可逆圧延装置7に引き続いて、第2のトンネル炉11が設けられている。第2のトンネル炉11は、中間厚さへと加工された鋼帯を仕上げ加工用の圧延装置で最終の厚さへと加工する前に、所定の温度である約850℃〜1000℃へと再加熱するために設けられている。中間厚さへと加工された鋼帯は、所定の温度に加熱されて第2のトンネル炉11から出てくる。そして、通常は第2の切断機12を通過し、ある長さへと切断される。

0036

第2のトンネル炉11で再加熱され、必要であれば切断機12で切断された後、中間厚さ約1.5〜約4mmの鋼帯は、仕上げ加工用の圧延装置13へと導入される。仕上げ加工用圧延装置13は仕上げ用の圧延装置であり、実施例では1台の可逆圧延機である。鋼帯を第2のトンネル炉11で約850℃〜1000℃の範囲に再加熱することにより、仕上げ加工用圧延装置13での最後から2番目の圧延パスを、約650℃〜800℃の範囲の温度下で実行することができる。そして、鋼帯の最後から2番目および最後の圧延パスを、約600℃〜800℃の範囲の温度下で実行することができる。仕上げ加工用圧延装置13での最後の数回の圧延パスを、所望の温度で実行することにより、所望の冶金学的特性、すなわち鋼帯の組織の粒径を所望のものとすることができる。

0037

本実施例では、仕上げ加工用圧延装置13は、1台の4段圧延機である。しかし、仕上げ加工用圧延装置13は他の、もっと多くのワークロールおよびバックアップロールを有する構成でもよい。仕上げ加工用圧延装置13は、さまざまに構成される複数のワークロールおよびバックアップロールを備えたものとできる。仕上げ加工用圧延装置13のワークロールの直径は約300〜約600mmの範囲にある。

0038

仕上げ加工用圧延装置13の上流(前工程)側には第1のコイラ(coiler)14が、下流(後工程)側には第2のコイラ15が位置している。図1において、仕上げ加工用圧延装置13の下方には、矢印による略図で7回の仕上げ加工圧延パスが示されている。略図は、最終の厚さ約0.4〜約1.2mmの鋼帯を製造するために、鋼帯が仕上げ加工用圧延装置13を7回通過することを表わしている。

0039

第1のコイラ14および第2のコイラ15は、中間厚さの鋼帯に、コイル通過方式にて、数回の圧延パスを実行するために用いられる。前記数回の圧延パスの終了後、鋼帯は、第1のコイラ14あるいは第2のコイラ15に巻きつけられ、最終製品として熱間圧延装置1から取り出される。もし必要であれば、コイラ15を折りたたみ式のマンドレル(mandrel)として、後の工程で便利なように、コイル状のまま最終製品を圧延装置から取り出せるようにしてもよい。

0040

圧延された製品の表面の仕上げおよび平坦度は、ワークロールの径が異なる2つの別の圧延機にて圧延されることにより改善される。直径の小さいワークロールは、直径の大きいワークロールよりも小さい力しか必要としない。これは、径の小さいワークロールの接触面積がより小さく、径の大きなワークロールと比べて、金属の加工に要求される力が小さいことに起因している。したがって、本発明の製造方法において、仕上げ加工用圧延装置13で中間厚さの鋼帯に加える圧力と、粗加工用可逆圧延装置7で金属スラブに加える圧力とは異なっている。

0041

加工時の圧力および力を変えることによって、最終製品も変化し、改善された製品を作り出すことができる。図2は、粗加工用可逆圧延装置7と仕上げ加工用圧延装置13との間のワークロールの圧延荷重(roll force)の違いを示している。例として、AISI 304のステンレス鋼を圧延し、厚さ0.5mmのステンレス鋼鋼帯を製造する場合に必要な圧延荷重が示されている。粗加工用の圧延装置に700mmのワークロールを使用する場合、各圧延パスごとに、圧延荷重を増加させなければならない。なぜなら、ワークロールの接触面積は一定であり、圧延される鋼帯に加える力を増加させるためには、圧延荷重を増さねばならないからである。しかし、たとえば仕上げ加工用圧延装置のワークロール径を500mmに減らすことにより、ワークロールの接触面積を減らしたとき、鋼帯を加工するために必要な圧延荷重も減少する。図2は、仕上げ加工用圧延装置のワークロール径を小さくすることにともなう、圧延荷重の減少を示している。

0042

粗加工の工程と仕上げ加工の工程とを、ワークロール径の異なる2台の別の圧延装置に振り分けることは、加工の効率化にとって有効である。各ワークロールの接触面積の違いにより、所望の厚さの鋼帯を製造するための、粗加工用圧延装置および仕上げ加工用圧延装置での圧延荷重ならびに圧延パスを、さまざまに変化させることが可能になる。

0043

図3は本発明の第2の実施例を表わしている。図3の構成要素の参照番号は、図1の参照番号と対応しているので説明を省略する。第2の実施例は、粗加工用可逆圧延装置7の下流(後工程)側、仕上げ加工用圧延装置13の上流(前工程)側に、清掃装置16が設けられている点で、第1の実施例と異なる。清掃装置16の目的は、仕上げ加工用圧延装置13での圧延に先立って、中間厚さの帯板を清掃するという工程を追加することにある。これにより、より清浄度の高い最終製品が得られる。

0044

図1の実施例はつぎのように動作する。薄スラブ鋳造機2によって、厚さ50〜100mmの金属スラブが製造される。第1の切断機3での切断後、金属スラブは第1のスケール除去機4でスケールを除去され、加熱のために第1のトンネル炉5に導入される。金属スラブが第1のトンネル炉5から出てきたとき、その温度は1000℃よりも高い。金属スラブは、第2のスケール除去機6で再びスケールを除去され、縁取り機10および粗加工用可逆圧延装置7へ導入される。

0045

まず、金属スラブは粗加工用圧延装置7で、厚さが約25〜30mmに減少するまでは、コイリング(コイルによる巻き取り)なしで圧延される。その後、第1の巻取炉8および第2の巻取炉9内でのコイリングをともなった圧延加工にて、目標の鋼帯厚さ約1.5〜約4mmまで圧延される。

0046

中間厚さへと加工された鋼帯は、粗加工用圧延装置7から出て、下流(後工程)へと進み第2のトンネル炉11へ入る。ここで、中間厚さの鋼帯は、850℃〜1000℃の温度に再加熱される。

0047

トンネル炉11から出て、先頭部分を第2の切断機12で切断された後で、中間厚さの鋼帯は仕上げ加工用圧延装置13へと導入される。第1回目の圧延パスが完了する前に、鋼帯の最後部も第2の切断機12で切断される。第1回目の圧延パスが完了したあと、鋼帯の最後部は第1のコイラ14の伸張されたマンドレルに巻き取られる。圧延工程は、鋼帯を、第1のコイラ14および第2のコイラ15に巻きつけることにより続けられる。鋼帯のリスレッド(rethreading)にともなう問題を回避するため、両端部の3巻き程度分は、第1のコイラ14および第2のコイラ15のマンドレルに残される。鋼帯を第2のトンネル炉11で、約850℃〜1000℃の範囲に再加熱することにより、仕上げ加工用圧延装置13での最後から2番目の圧延パスは、約650℃〜800℃の範囲の温度下でおこなわれる。仕上げ加工用圧延装置13での最後の数回の圧延パスを所望の温度でおこなうことにより、たとえば粒径などの所望の冶金学的特性が得られる。仕上げ加工用圧延装置13は、現在冷間圧延機にて使用されているような制御装置を備えている。冷間圧延機で用いられている制御装置は、熱間圧延機で用いられている制御装置よりも優れている。

0048

表1は、AISI 304のステンレス鋼鋼帯を厚さ70mmのスラブから圧延するとき工程の一例を示している。まず、スラブはステッケルミルで、コイリングなしでの2回の圧延パスによって、厚さ25.4mmに圧延される。ステッケルミルは本発明の粗加工用可逆圧延装置として適している。2回の圧延パスの後、コイリングをともなって、鋼帯の厚さが1.8mmになるまで圧延が続けられる。続いて、帯板は粗加工用可逆圧延装置の下流(後工程)に位置する、たとえばステッケルミルで、厚さ0.5mmになるまで圧延される。

0049

鋼帯が粗加工用可逆圧延装置から仕上げ加工用圧延装置へと移動する間に、鋼帯を一時停止させたい場合があるかもしれない。一時停止中に、粗加工用可逆圧延装置のロールの痕がつくことを防ぐため、粗加工用可逆圧延装置での最後の圧延パスでの圧延量は最小限とされる。粗加工用可逆圧延装置は最後の圧延パス時には、主としてピンチローラ(pinch roll)として働く。図2は、表1に示されている各圧延パスに対応した、ロールを押しのけようとする力を示している。

0050

0051

図4から6は、粗加工用可逆圧延装置および仕上げ加工用圧延装置での加工時の、鋼帯の温度を示している。これらの図は、粗加工用可逆圧延装置および仕上げ加工用圧延装置での温度ならびに温度管理の重要性を示している。たとえば図4では、AISI 304のステンレス鋼(オーステナイト系のステンレス鋼)について、粗加工用可逆圧延装置および仕上げ加工用圧延装置の出口での板厚と鋼帯中央部での温度とを示している。図4図6でいう、鋼帯中央部での温度とは、鋼帯の長さの中央点で測定した温度である。使用した鋼は、幅が1000mmで、幅1mmあたり17.9kg(17.9kg/mm)の強度がある。

0052

図4から、AISI 304のステンレス鋼に関しては、粗加工の圧延は950〜1200℃の間の温度でおこなわれ、一方、仕上げの圧延は約650〜830℃の温度でおこなわれていることがわかる。仕上げ圧延時の約650℃〜830℃の温度は、仕上げ加工用圧延装置での圧延に先立ち、第2の炉で鋼を再加熱することにより実現可能となった。その結果、所望の寸法諸元と冶金学的特性とを有する製品を得ることができた。

0053

図5は、AISI 430のステンレス鋼(フェライト系のステンレス鋼)について、粗加工用圧延装置、たとえばステッケルミル、および仕上げ加工用圧延装置の出口での板厚と鋼帯中央部での温度とを例示している。鋼帯中央部での温度に関しては、図4にて説明したとおりである。使用した鋼は、幅が1000mmで、幅1mmあたり17.9kg(17.9kg/mm)の強度がある。このフェライト系ステンレス鋼の圧延時の温度の範囲は、AISI 304のステンレス鋼の圧延時の温度範囲よりも高い。

0054

図5に示されているとおり、粗加工用可逆圧延装置での圧延は960〜1200℃の間の温度でおこなわれ、一方、仕上げ加工用圧延装置での圧延は約700〜920℃の温度でおこなわれている。金属スラブは、粗加工用可逆圧延装置で、9回の圧延パスにより70mmから2.00mmへと圧延された。できあがった厚さ2.00mm厚の鋼帯は、仕上げ加工用圧延装置での7回の圧延パスで厚さ0.70mmまで圧延される。仕上げ圧延時の約700〜920℃の温度は、仕上げ加工用圧延装置での圧延に先立ち、第2の炉で鋼を再加熱することにより実現可能となった。その結果、所望の寸法諸元と冶金学的特性とを有する製品を得ることができた。

0055

図6は、AISI 409のステンレス鋼(フェライト系ステンレス鋼)について、図4図5と同様なグラフを示している。粗加工用可逆圧延装置および仕上げ加工用圧延装置での圧延加工時の温度は、AISI 304のステンレス鋼(オーステナイト系ステンレス鋼)に比べて、少し高くされている。これは、フェライト系とオーステナイト系ステンレス鋼の特性の違いによる。

0056

図7は、フェライト系の炭素鋼について、粗加工用圧延装置、および仕上げ加工用圧延装置の出口での厚さと鋼帯中央部での温度とを示している。帯板中央部での温度に関しては、図4にて説明したとおりである。使用した鋼は、幅が1000mmで、幅1mmあたり17.9kg(17.9kg/mm)の強度がある。このフェライト系炭素鋼の粗加工用圧延装置での圧延は1200〜1000℃の温度でおこなわれ、一方、仕上げ加工用圧延装置での圧延は1000〜600℃の温度でおこなわれている。

0057

本発明の製造方法および製造装置は、厚さ0.4〜1.2mmの鋼帯を効率的に生産することができる。

0058

本発明のいくつかの実施例を図示および説明したが、さまざまな変形や改良がおこなえることは当業者にとって明らかである。本発明の意図するところおよび範疇に含まれるすべての変形や改良は、本願の特許請求の範囲に含まれる。

図面の簡単な説明

0059

図1本発明による、熱間圧延で鋼帯を製造するための装置の概略を示す図である。各可逆圧延機での圧延パスが図の下段に矢印で示されている。
図2本発明の熱間圧延工程における、圧延装置出口での板厚と圧延荷重との関係を、AISI 304のステンレス鋼について示すグラフである。
図3本発明による、熱間圧延で鋼帯を製造するための装置の概略を示す図である。粗加工用圧延装置と仕上げ加工用圧延装置の間に清掃装置を備えている。
図4本発明の粗加工用圧延装置および仕上げ加工用圧延装置における、圧延装置出口での板厚と鋼帯の温度との関係を、AISI 304のステンレス鋼について示すグラフである。
図5本発明の粗加工用圧延装置および仕上げ加工用圧延装置における、圧延装置出口での板厚と鋼帯の温度との関係を、AISI 430のステンレス鋼について示すグラフである。
図6本発明の粗加工用圧延装置および仕上げ加工用圧延装置における、圧延装置出口での板厚と鋼帯の温度との関係を、AISI 409のステンレス鋼について示すグラフである。
図7本発明の粗加工用圧延装置および仕上げ加工用圧延装置における、圧延装置出口での板厚と鋼帯の温度との関係を、フェライト系の炭素鋼について示すグラフである。

--

0060

1熱間圧延装置
2薄スラブ鋳造機
5トンネル炉
7粗加工用圧延装置
11 トンネル炉
13仕上げ加工用圧延装置

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