図面 (/)

技術 電解コンデンサ用金属粉末ならびにこれを用いた電解コンデンサ用陽極体および電解コンデンサ

出願人 キャボットスーパーメタル株式会社
発明者 水崎雄二郎泉知夫
出願日 1999年3月17日 (21年9ヶ月経過) 出願番号 1999-072750
公開日 2000年9月29日 (20年3ヶ月経過) 公開番号 2000-269091
状態 拒絶査定
技術分野 電解コンデンサの端子・電極等 電解コンデンサ
主要キーワード 破損強度 中間粒度 電流最小値 各粒度範囲 相乗平均値 秤量誤差 ダイス内壁 圧力成形
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2000年9月29日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (4)

課題

電解コンデンサ用陽極体の材料として用いられる金属粉末粒子径不適切であると、製造不良が多くなり品質が低下するのでこれを防止する。

解決手段

陽極焼結体1にリード部材2の一部が埋め込まれた電解コンデンサ用陽極体の材料として、リード部材2の軸に対して垂直な方向におけるリード部材2と陽極焼結体1の外面との最短距離Aより粒子径が大きい粗大粉末粒子含有量が5重量%以下で、粒子径が10μm未満の微粉末粒子の含有量が10重量%以下で、粒子径が前記最短距離Aと10μmとの相乗平均値より大きい中間粒度粉末粒子の含有量が50重量%以上であるタンタルまたはニオブ粉末を用いる。

概要

背景

図1は電解コンデンサ用陽極体の例を示した斜視図である。図中符号1は陽極焼結体、2はリードワイヤであり、リードワイヤ2の一部は陽極焼結体1内に埋め込まれている。電解コンデンサ用陽極体は、タンタルニオブなどの電解コンデンサ用金属粉末とリードワイヤ2をダイス内に入れて加圧成形した後、焼結することによって製造されたもので、金属粉末は圧粉、焼結されて多孔質の陽極焼結体1を形成する。そして、陽極焼結体1とリードワイヤ2とが一体化された陽極体陽極酸化処理を施して酸化皮膜を形成した後、例えば、二酸化マンガン酸化鉛等の固体電解質層グラファイト層、および銀ペースト層を形成し、陰極端子および陽極端子を接続した後、樹脂外装を形成したものが電解コンデンサ陽極として用いられる。

ところで、例えば電解コンデンサ用のタンタル粉末は、フッ化タンタル酸カリウムナトリウム還元して得られた一次粒子熱処理して凝集させた後に解砕し、適当な粒度範囲篩分けしたものが用いられている。従来、陽極焼結体1の大きさは一辺3mmの立方体程度であり、リードワイヤ2の径は0.5mm程度であった。しかしながら、近年はコンデンサの小型化に伴って、陽極焼結体1の大きさは一辺1mmの立方体程度となり、リードワイヤ2の径は0.25mm程度のものが使用されるようになってきている。また携帯用機器薄型化等に伴って陽極焼結体1の大きさは更に小型化され、一方向のみの寸法が小さい陽極焼結体1が要求されるようになってきた。

概要

電解コンデンサ用陽極体の材料として用いられる金属粉末の粒子径不適切であると、製造不良が多くなり品質が低下するのでこれを防止する。

陽極焼結体1にリード部材2の一部が埋め込まれた電解コンデンサ用陽極体の材料として、リード部材2の軸に対して垂直な方向におけるリード部材2と陽極焼結体1の外面との最短距離Aより粒子径が大きい粗大粉末粒子含有量が5重量%以下で、粒子径が10μm未満の微粉末粒子の含有量が10重量%以下で、粒子径が前記最短距離Aと10μmとの相乗平均値より大きい中間粒度粉末粒子の含有量が50重量%以上であるタンタルまたはニオブ粉末を用いる。

目的

本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、陽極焼結体1の形成に用いられる金属粉末の粒子径が不適切であるために生じる上記〜の問題を解決して、品質に優れた電解コンデンサを歩留まり良く製造できるようにすることを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

陽極焼結体リード部材の一部が埋め込まれた電解コンデンサ用陽極体の前記陽極焼結体に用いられる金属粉末であって、前記リード部材の軸に対して垂直な方向における該リード部材と前記陽極焼結体の外面との最短距離より粒子径が大きい粗大粉末粒子含有量が5重量%以下で、粒子径が10μm未満の微粉末粒子の含有量が10重量%以下で、粒子径が前記最短距離と10μmとの相乗平均値より大きい中間粒度粉末粒子の含有量が50重量%以上であることを特徴とする電解コンデンサ用金属粉末。

請求項2

前記粗大粉末粒子の含有量が1重量%以下で、前記微粉末粒子の含有量が5重量%以下であって、前記中間粒度粉末粒子の含有量が55重量%以上であることを特徴とする請求項1記載の電解コンデンサ用金属粉末。

請求項3

請求項1または請求項2記載の電解コンデンサ用金属粉末をリード部材と共に加圧成形後焼結してなることを特徴とする電解コンデンサ用陽極体。

請求項4

請求項3記載の陽極体陽極酸化処理を施したものを陽極素子として具備してなることを特徴とする電解コンデンサ

請求項5

電解コンデンサ用金属粉末とリード部材とをダイス内に入れ加圧成形して電解コンデンサ用陽極体を製造するに際し、ダイス内壁とリード部材との間の最短距離を越える粒子径の粗大粉末粒子の含有量が5重量%以下で、粒子径が10μm未満の微粉末粒子の含有量が10重量%以下で、かつ前記ダイス内壁とリード部材との間の最短距離と10μmとの相乗平均値より大きい粒子径の中間粒度粉末粒子の含有量が50重量%以上である電解コンデンサ用金属粉末を使用することを特徴とする電解コンデンサ用陽極体の製造方法。

技術分野

0001

本発明は電解コンデンサ用陽極体を製造するのに好適な金属粉末、ならびにこれを用いた電解コンデンサ用陽極体および電解コンデンサに関する。

背景技術

0002

図1は電解コンデンサ用陽極体の例を示した斜視図である。図中符号1は陽極焼結体、2はリードワイヤであり、リードワイヤ2の一部は陽極焼結体1内に埋め込まれている。電解コンデンサ用陽極体は、タンタルニオブなどの電解コンデンサ用金属粉末とリードワイヤ2をダイス内に入れて加圧成形した後、焼結することによって製造されたもので、金属粉末は圧粉、焼結されて多孔質の陽極焼結体1を形成する。そして、陽極焼結体1とリードワイヤ2とが一体化された陽極体に陽極酸化処理を施して酸化皮膜を形成した後、例えば、二酸化マンガン酸化鉛等の固体電解質層グラファイト層、および銀ペースト層を形成し、陰極端子および陽極端子を接続した後、樹脂外装を形成したものが電解コンデンサの陽極として用いられる。

0003

ところで、例えば電解コンデンサ用のタンタル粉末は、フッ化タンタル酸カリウムナトリウム還元して得られた一次粒子熱処理して凝集させた後に解砕し、適当な粒度範囲篩分けしたものが用いられている。従来、陽極焼結体1の大きさは一辺3mmの立方体程度であり、リードワイヤ2の径は0.5mm程度であった。しかしながら、近年はコンデンサの小型化に伴って、陽極焼結体1の大きさは一辺1mmの立方体程度となり、リードワイヤ2の径は0.25mm程度のものが使用されるようになってきている。また携帯用機器薄型化等に伴って陽極焼結体1の大きさは更に小型化され、一方向のみの寸法が小さい陽極焼結体1が要求されるようになってきた。

発明が解決しようとする課題

0004

このように陽極焼結体1が小型化されると、図2の平面図に示すように陽極焼結体1の大きさに対してリードワイヤ2の径が相対的に大きくなり、例えばリードワイヤ2の軸に直交する方向におけるリード部材2と陽極焼結体1の外面との最短距離Aが200μm以下となることがある。これに対して現在、市販されているタンタル粉末は250μm(60メッシュ)以下に篩分けされたものであり、陽極焼結体1における最短距離Aよりも粒子径が大きい粗大粉末粒子が必然的に混入しているため、次のような問題があった。
陽極焼結体1を成形するためのダイス内に金属粉末を充填する際に、最密充填になり難い場合がある。
大きくて重い粗大粉末粒子が含まれているので、個々の陽極焼結体1毎の粉末重量秤量誤差が大きくなる。
粗大粉末粒子が、例えば図2中符号10で示すように陽極焼結体1の表面およびリードワイヤ2の表面の両方に接するように位置すると、リードワイヤ2の位置ズレやリードワイヤ2の変形が生じる。
陽極焼結体1の表面に粗大粉末粒子が位置すると、亀裂等の欠陥が発生し易い。
粗大粉末粒子は偏析の原因となり、陽極焼結体1の表面状態が不均一となり易い。
上記の〜により、結果として加圧成形、焼成後の陽極体の酸化処理が均一に行われず、大容量のコンデンサを得ることが難しくなり、性能のばらつきも大きくなる。
粗大粉末粒子が含まれていることによる悪影響を避けるために金属粉末を微粉化すると、粉末流動性が低下し、ダイス内に充填する際に最密充填になり難く、やはり欠陥が生じ易くなって製品歩留まりが低下する。

0005

これまでにも電解コンデンサの陽極材料としての金属粉末の粒子径について、いくつかの提案がなされており、例えば特開平8−97095号公報には、低密度で成形し、低温度で焼結しても陽極焼結体1とリードワイヤ2との良好な結合強度および陽極焼結体1の良好な強度が得られるようにすることを目的として、平均粒子径1.0〜5.0μmのタンタル粉末100重量部に平均粒子径10〜500nmのタンタル粉末1〜25重量部を混合することが記載されている。また特開平3−232213号公報には、陽極焼結体1を硝酸マンガン溶液含浸した際の含浸性を良くするために、粒子径が61μm〜250μmのタンタル粉末を用いることが記載されている。さらに特開平5−275293号公報は、含浸性を損なわずに単位体積当たりの表面積を増大させるために、粒子径が0.1〜5μmの金属粉末を用いることが記載されている。しかしこれらの金属粉末は、粗大粉末粒子が含まれていたり、あるいは粒子径が小さすぎて好ましい流動性が得られないなどの問題があり、上記〜の課題を解決できるものではなかった。

0006

本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、陽極焼結体1の形成に用いられる金属粉末の粒子径が不適切であるために生じる上記〜の問題を解決して、品質に優れた電解コンデンサを歩留まり良く製造できるようにすることを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

前記課題を解決するために、本発明の電解コンデンサ用金属粉末は、陽極焼結体にリード部材の一部が埋め込まれた電解コンデンサ用陽極体の前記陽極焼結体に用いられる金属粉末であって、前記リード部材の軸に対して垂直な方向における該リード部材と前記陽極焼結体の外面との最短距離より粒子径が大きい粗大粉末粒子の含有量が5重量%以下で、粒子径が10μm未満の微粉末粒子の含有量が10重量%以下で、粒子径が前記最短距離と10μmとの相乗平均値より大きい中間粒度粉末粒子の含有量が50重量%以上であることを特徴とする。好ましくは、前記粗大粉末粒子の含有量が1重量%以下で、前記微粉末粒子の含有量が5重量%以下であって、前記中間粒度粉末粒子の含有量が55重量%以上である。

0008

本発明の電解コンデンサ用陽極体は、本発明の電解コンデンサ用金属粉末をリード部材と共に加圧成形後、焼結してなるものである。本発明の電解コンデンサは、本発明の電解コンデンサ用陽極体に陽極酸化処理を施したものを陽極素子として具備してなるものである。本発明の電解コンデンサ用陽極体の製造方法は、電解コンデンサ用金属粉末とリード部材とをダイス内に入れ加圧成形して電解コンデンサ用陽極体を製造するに際し、ダイス内壁とリード部材との間の最短距離を越える粒子径の粗大粉末粒子の含有量が5重量%以下で、粒子径が10μm未満の微粉末粒子の含有量が10重量%以下で、かつ前記ダイス内壁とリード部材との間の最短距離と10μmとの相乗平均値より大きい粒子径の中間粒度粉末粒子の含有量が50重量%以上である電解コンデンサ用金属粉末を使用することを特徴とする。

発明を実施するための最良の形態

0009

以下、本発明を詳しく説明する。本発明の電解コンデンサ用陽極体は、例えば図1および2に示される形状に形成される。この例の電解コンデンサ用陽極体は、陽極焼結体1とリード部材20とからなっており、陽極焼結体1は次の3つの条件を満たすタンタルまたはニオブ粉末からなっている。なお図1,2の例ではリード部材20としてリードワイヤ2が用いられているが、リード部材20の形状は特に限定されず、リードフレームでもよい。本明細書ではこれらを総称してリード部材20という

0010

第1の条件は、リード部材20の軸に対して垂直な方向における陽極焼結体1の外面とリード部材20との最短距離Aより粒子径が大きい粗大粉末粒子の含有量が5重量%以下、好ましくは1重量%以下であること。このような粗大粉末粒子が、例えば図2中符号10で示すように、陽極焼結体1の外面とリード部材20の外面の両方に接するような位置に配されると、圧力成形時にリード部材20の位置ズレやリード部材20の変形等の成形不良が生じ、また陽極焼結体1の表面に粗大粉末粒子が位置すると亀裂等の欠陥が発生し易いので、粗大粉末粒子の含有量をできるだけ少なくすることが好ましい。ただし、粗大粉末粒子が例えば図2中符号11で示すように陽極焼結体1の外面およびリード部材20の両方に接していない位置に配さる場合は上記のような問題は生じないので、粗大粉末粒子が少々含まれていてもよい。粉末の粒子径はレーザ回折法による粒度分布計で測定される。

0011

第2の条件は、粒子径が10μm未満の微粉末粒子の含有量が10重量%以下、好ましくは5重量%以下であること。粒子径が10μm未満の微粉末粒子の含有割合が10重量%より多いと粉末全体の流動性が悪くなり、金属粉末をダイス内に充填する際に作業性が悪くなる。またダイス内で最密充填になり難く欠陥が生じ易くなって製品の歩留まりが低下する。微粉末粒子の含有量は少ないほど好ましい。第3の条件は、粒子径が上記の最短距離Aと10μmとの相乗平均値より大きい中間粒度粉末粒子の含有量が50重量%以上、好ましくは55重量%以上であること。この最短距離Aと10μmの相乗平均値は√(A×10μm)で表される。粉末の粒度分布において、このような条件を満たす比較的粗い粉末粒子がある程度の割合で含まれていないと、好ましい流動性が得られず、また上記の第1の条件および第2の条件を同時に満たすことが難しい。

0012

このような第1〜第3の条件を満たすタンタルまたはニオブ粉末を得るための方法としては、例えば適宜の幅の粒度範囲毎に篩分けした粉末をブレンドして適正な粒度分布となるように調製する方法が好ましい。具体的には、まず周知の手法により一次粒子を形成し、これを熱処理して凝集させた後に解砕し、適当な粒度範囲に篩分けをする。そして篩分けされた各粒度の粉末を適切な割合でブレンドすることによって、所望の粒度分布を有する粉末を得る。この方法は、篩分けをする工程までは従来の粉末の調製方法と同様の工程で行うことができる。そして篩分けによって粒度が適正でない粒子を除去し、粒度が大き過ぎる粒子は解砕工程にフィードバックし、粒度が小さ過ぎる粒子は凝集化工程にフィードバックしていたが、本発明に係る方法によれば、粒度が適正となるようにブレンドして使用する。

0013

本発明の電解コンデンサ用陽極体は、上記の第1〜第3の条件を満たすタンタルまたはニオブ粉末とリード部材20とをダイス内に入れて加圧成形した後、焼結してなるもので、例えば図1に示すように、陽極焼結体1にリード部材20の一部が埋め込まれて陽極焼結体1と一体化された構成となっている。陽極焼結体1の形状は任意に変更可能である。本発明の電解コンデンサ用陽極体を製造するには、まず、得ようとする陽極焼結体1の寸法を決め、使用するリード部材20の寸法(径)を決める。そして内壁の形状が、陽極体における陽極焼結体1の外面形状と同じに形成されたダイスを用意する。一方、タンタルまたはニオブ粉末を用意する。すなわち、ダイスの内壁と、成形時にダイス内に配されるリード部材20の位置との間の最短距離Aを求める。この最短距離Aは成形後の陽極体における陽極焼結体1の外面とリード部材2との最短距離と等しくなる。またこの最短距離Aと10μmとの相乗平均を求めて、上記第1〜第3の条件を満たす粒度分布を求める。そして、この粒度分布が得られるように粒度範囲の異なる数種の粉末をブレンドして成形用の粉末を調製する。次いで、調製されたタンタルまたはニオブ粉末を、リード部材20とともにダイス内に充填し、加圧成形を行う。この後、得られた成形体を焼結することによって電解コンデンサ用陽極体が得られる。

0014

さらに、得られた電解コンデンサ用陽極体を、例えば60℃、0.01重量%のH3PO4溶液中で90mA/gの電流密度で50Vまで昇圧した後、120分間処理する方法で陽極酸化処理を施すことによって、電解コンデンサ用陽極素子が得られる。そして具体的には、陽極酸化処理して得られた陽極素子に、周知の手法により二酸化マンガンや酸化鉛等の固体電解質層、グラファイト層、および銀ペースト層を順次形成し、銀ペースト層に陰極端子を接続するとともに、リード部材2に陽極端子を接続して、全体を樹脂被覆したものが電解コンデンサの陽極として使用される。

0015

本発明によれば、得ようとする陽極体の陽極焼結体1の寸法、およびリード部材20の寸法に応じて、粒度分布が最適となるように調整されたタンタルまたはニオブ粉末が容易に得られる。そしてこのような適正な粒度分布を有する粉末を使用することにより、陽極焼結体1を成形するためのダイス内に金属粉末を充填する際に、粉末の流動性が良好で、最密充填となり易く、欠陥の発生率が低減されるととともに、作業性も良くなる。個々の陽極焼結体1毎の粉末重量の秤量誤差も低減される。また粗大粉末粒子がリード部材20に接して存在する確率が小さくなり、粗大粉末粒子に起因するリード部材20の位置ズレやリード部材20の変形が低減される。陽極焼結体1の表面に粗大粉末粒子が位置することも少なくなり、粗大粉末粒子に起因する亀裂等の欠陥発生が抑えられる。さらに偏析の原因となる粗大粉末粒子の存在割合が小さいので、陽極焼結体1の表面状態が均一化され易い。その結果、加圧成形や、焼成後の陽極体の酸化処理における均一性が向上し、陽極体や最終製品である電解コンデンサの小型化、大容量化といった特性の向上が達成され易く、また品質のばらつきも小さくなるので製品歩留まりが向上する。

0016

またこのように粒度分布が適正化された金属粉末を用いて形成された電解コンデンサ用陽極体にあっては、亀裂等の欠陥の発生が少なく、陽極焼結体1とリード部材20との結合強度、および陽極焼結体1の破壊強度が優れている。また電気的特性に優れ、特性の均一性も良好である。さらに、この陽極体を用いて構成された電解コンデンサにあっては、電気的特性に優れるとともに、性能のばらつきが小さく不良品の発生も低減される。このように、上記の3つの条件を満たす金属粉体を陽極焼結体1の材料として用いる本発明の電解コンデンサ用陽極体の製造方法によれば、品質に優れた電解コンデンサ用陽極体を歩留まり良く製造することができる。

0017

以下、具体的な実施例を示して本発明の効果を明らかにする。
(実施例1〜3)本発明の実施例として図1および図2に示す形状の電解コンデンサ用陽極体を作製し、これを用いて電解コンデンサを製造した。陽極焼結体1の形状は直方体で、上面および下面を縦0.7mm、横0.45mmの長方形とし、高さは0.8mmとした。リード部材20としては直径0.15mmのタンタルワイヤ2を用い、一部が陽極焼結体1の上面の中央に垂直に挿入されるように配置した。リード部材20の軸に対して垂直な方向における陽極焼結体1の外面とリード部材20との最短距離Aは、陽極焼結体1の上面におけるリードワイヤ2の周面と上面の長辺との距離であり、この例では0.15mm(=150μm)であった。またこの最短距離Aと10μmとの相乗平均値は√(150×10)≒38.7μmであった。

0018

一方、タンタル粉末を用意した。すなわち、K2TaF7をNa還元して得られたTa粉末を真空中で高温加熱して塊状に熱凝縮させた後、解砕機で解砕し、篩目がそれぞれ10μm、20μm、39μm、75μm、および150μmの精密を用いて分級した。下記表1に示すように、分級により得られた各粒度範囲の粉末を配合して、粒子径が150μm(最短距離A)より大きい粗大粉末粒子の含有量が5重量%以下で、粒子径が10μm未満の微粉末粒子の含有量が10重量%以下で、粒子径が38.7μm(上記相乗平均値)より大きい中間粒度粉末粒子の含有量が50重量%以上となるように粒度分布を調整した。

0019

内面形状が上記寸法の陽極体の外面形状と同じに形成されたダイス内に、粒度分布が調整されたタンタル粉末をリードワイヤ2とともに充填し、加圧成形して、成形体密度が5.0g/cm3の成形体を得た。なおダイスとしては、繰り返し加圧成形する時のストロークが一定で、成形体の密度が毎回同じになるダイスを使用した。次に得られた成形体を真空中で1400℃にて20分間加熱焼結して陽極焼結体1を形成し、電解コンデンサ用陽極体を得た。さらに、得られた電解コンデンサ用陽極体を10%リン酸溶液中で、温度60℃、化成電圧20Vで陽極酸化処理して陽極素子を得た。この陽極素子上に二酸化マンガン層からなる固体電解質層と、カーボン層および銀ペースト層からなる陰極を形成し、陰極端子および陽極端子をそれぞれ接続した後、全体を樹脂で封じて縦2mm、横1.25mm、高さ1.25mmのタンタル電解コンデンサを製造した。

0020

(比較例1〜3)上記実施例1において、タンタル粉末として粒度分布を調整していないものを使用した他は同様にして電解コンデンサ用陽極体を作製し、タンタル電解コンデンサを製造した。すなわち、上記実施例1と同様にしてK2TaF7をNa還元し、熱凝縮、解砕した後に得られた粉末をそのまま陽極焼結体1の成形に使用した。陽極焼結体1の成形に使用する粉末を、ダイスに充填する前に上記実施例で使用したのと同じ精密篩にかけて粒度分布を測定した結果を下記表1に示す。下記表1からわかるように、比較例1は粗大粉末粒子の含有量が7重量%と多すぎる。比較例2は微粉末粒子の含有量が11重量%と多すぎる。比較例3は中間粒度粉末粒子の含有量が22+25=45重量%と少なすぎる。

0021

0022

(粉末および成形体の評価)上記実施例1〜3および比較例1〜3において使用したタンタル粉末、および加圧成形後の成形体について、次の各項目について評価を行った結果を下記表2に示す。
(1)ダイスへの流動性
タンタル粉末をダイス内へ充填する際の粉末の流動性をJIS Z−2502に従って評価した。流動性の評価は、自然流下するものを◎、振動によって流下が開始し、振動を停止させても流下が継続するものを○、その他の場合(振動を与えたときのみ流下を含む)を×として示した。
(2)量のばらつき
加圧成形するためにタンタル粉末を秤量する際のばらつきを評価した。具体的には加圧成形後の成形体20個を秤量して、重量のばらつきの上限と下限との幅が平均値の5%以内であったものを◎、10%以内であったものを○、10%を越えたものを×として示した。
(3)ワイヤ挿入状態
加圧成形後の成形体20個について、ワイヤの曲がり、挿入位置(深さ)不良などの異常が無かったものを◎、異常が認められたのが1〜3個であったものを○、異常が4個以上に認められたものを×とした。
(4)成形体の表面状態
加圧成形後の成形体20個について、表面を50倍に拡大して観察し、粒子の脱落ひび割れ等の異常が無かったものを◎、異常が認められたのが1〜3個であったものを○、異常が4個以上に認められたものを×とした。
(5)成形体の均一性
加圧成形後の成形体20個を外観目視で観察したときに、明らかに中央部分の密度が粗であると認められるものがある場合は×、50倍に拡大して観察してはじめて各成形体どうしの間に粗密の差が認められる場合を○、50倍に拡大しても各成形体どうしの間に粗密の差が認められない場合を◎とした。
(6)総合評価
上記(1)〜(5)の各項目についての評価に基づいて総合評価を10段階評価で行った。評価は数値が高いほど良いことを示す。

0023

0024

(陽極体の評価)上記実施例1〜3および比較例1〜3において、加圧成形によって得られた成形体を焼結して得られた電解コンデンサ用陽極体について、次の各項目について評価を行った結果を下記表3に示す。
(a)外観亀裂
陽極体20個について、陽極焼結体1の表面を50倍に拡大して観察し、表面亀裂が認められないものを◎、異常が認められたのが1〜2個であったものを○、異常が3個以上に認められたものを×とした。
(b)ワイヤ引抜強度
陽極体20個について、リードワイヤ2を軸方向に2kg以上の力で引張って、リードワイヤ2が切断した場合は◎、リードワイヤ2が引き抜けたものがあった場合は○、2kg以下の力で引張ってリードワイヤ2が引抜けたものがあった場合は×とした。
(c)陽極体の破損強度
陽極体20個について圧縮テストを行い、変形率10%になる前に陽極体が破壊したものがあった場合は×とし、それ以外を○とした。
(d)静電容量のばらつき
20個の陽極体について電圧50Vで陽極酸化処理した後、単位重量当たりの静電容量を測定し、ばらつきの上限と下限との幅が平均値の3%以内であったものを◎、5%以内であったものを○、5%を越えたものを×として示した。
(e)静電正接
20個の陽極体について電圧50Vで陽極酸化処理した後、120Hzにおけるtanδを測定し、平均値が0.3未満のものを○、0.3以上のものを×として示した。ここで、誘電正接(tanδ)は等価直列抵抗ESR)の指標となる値で、回路発熱原因となる誘電損失を表しており、この値は小さい方が好ましい。

0025

0026

(タンタル電解コンデンサの評価)上記実施例1〜3および比較例1〜3において製造したタンタル電解コンデンサの電気特性を、次の各項目について評価した。その結果を下記表4に示す。
(イ)容量不良発生率
コンデンサ20個の容量を測定し、ばらつきの上限と下限との幅が平均値の5%以内であったものを◎、10%以内であったものを○、10%を越えたものを×として示した。
(ロ)洩れ電流不良率
コンデンサ20個の洩れ電流を測定し、ばらつきの上限値が洩れ電流最小値の10倍を越える場合を×、10倍以下である場合を○とした。
(ハ)ライフテスト
温度85±2℃、相対湿度80〜90%で100時間負荷をかけた前後で洩れ電流の変化を調べた。洩れ電流が全く変化しないものを◎、洩れ電流の増加が10%以内であるものを○、洩れ電流の増加が10%を越えるものを×とした。
(ニ)耐熱性
コンデンサ20個を260℃の溶融ハンダに5秒間浸漬し、浸漬前後で洩れ電流の変化を測定した。洩れ電流が全く変化しないものを◎、洩れ電流が10%以内で増加したのが3個以下の場合を○、洩れ電流の増加が10%を越えた場合と洩れ電流の増加は10%以内でも4個以上で増加した場合を×とした。
(ホ)周波数特性
コンデンサの10kHzにおけるインピーダンスを測定し、インピーダンスの平均値が0.2Ω以下であるものを○、0.2Ωを越えるものを×とした。

0027

0028

(実施例4)図3に示すように陽極焼結体31が円筒形である電解コンデンサ用陽極体を作製した。陽極焼結体31の大きさは上面および下面が直径1.0mmの円形で、高さは1.0mmである。リード部材32としては直径0.29mmのタンタルワイヤを用い、一部が陽極焼結体31の上面の中央に垂直に挿入されるように配置した。リード部材32の軸に対して垂直な方向における陽極焼結体31の外面とリード部材32との最短距離Aは、陽極焼結体31の上面におけるリードワイヤ32の周面と上面の円周との距離であり、この例では(1−0.29)/2=0.355mm(=355μm)であった。またこの最短距離Aと10μmとの相乗平均値は√(355×10)≒59.58μm≒60μmであった。

0029

上記実施例1と同様にして、K2TaF7をNa還元して得られたTa粉末を真空中で高温加熱して塊状に熱凝縮させた後、解砕機で解砕し、篩目がそれぞれ10μm、26μm、60μm、150μm、および355μmの精密篩を用いて分級した。下記表5に示すように、分級により得られた各粒度範囲の粉末を配合して、粒子径が355μm(最短距離A)より大きい粗大粉末粒子の含有量が5重量%以下で、粒子径が10μm未満の微粉末粒子の含有量が10重量%以下で、粒子径が60μm(上記相乗平均値)より大きい中間粒度粉末粒子の含有量が50重量%以上となるように粒度分布を調整した。

0030

内面形状が上記寸法の陽極体の外面形状と同じに形成されたダイス内に、上記のようにして粒度分布が調整されたタンタル粉末をリードワイヤ2とともに充填し、加圧成形して、成形体密度が5.0g/cm3の成形体を得た。なおダイスとしては、繰り返し加圧成形する時のストロークが一定で、成形体の密度が毎回同じになるダイスを使用した。次に得られた成形体を真空中で1400℃にて20分間加熱焼結して陽極焼結体31を形成し、電解コンデンサ用陽極体を得た。

0031

(比較例4、5)上記実施例4において、タンタル粉末として粒度分布を調整していないものを使用した他は同様にして電解コンデンサ用陽極体を作製した。本例において、陽極焼結体31の成形に使用する粉末を、ダイスに充填する前に上記実施例4で使用したのと同じ精密篩にかけて粒度分布を測定した結果を下記表5に示す。下記表5からわかるように、比較例4は粗大粉末粒子の含有量が6重量%と多すぎる。また比較例5は粒子径が60μm(上記相乗平均値)より大きい中間粒度粉末粒子の含有量が45重量%であり、これより細かい粒子がやや多すぎる。

0032

0033

(粉末および成形体の評価)上記実施例1と同様にして、成形に使用したタンタル粉末、および加圧成形後の成形体について評価を行った。その結果を下記表6に示す。

0034

0035

以上、金属粉末としてタンタル粉末を用いた例で説明したが、同じ弁金属であるニオブ粉末を使用した場合、あるいはタンタル粉末とニオブ粉末の混合物を使用した場合でも同じ効果が期待できる。

発明の効果

0036

以上説明したように本発明の電解コンデンサ用金属粉末は、得ようとする陽極体の陽極焼結体の寸法、およびリード部材の寸法に応じて粒度分布が適正に調整されているので、陽極焼結体を成形するためのダイス内に粉末を充填する際に、良好な流動性、充填状態、および均一性が得られる。したがっって、作業性が良好であるとともに、加圧成形や、焼成後の陽極体の酸化処理における均一性が向上する。よって本発明の金属粉末を用いて形成された、陽極体や最終製品である電解コンデンサにあっては、強度、電気的特性、特性の均一性に優れており、電解コンデンサの小型化、大容量化を達成することができる。本発明の電解コンデンサ用陽極体の製造方法によれば、品質に優れた電解コンデンサ用陽極体を歩留まり良く製造することができる。

図面の簡単な説明

0037

図1電解コンデンサ用陽極体の一例を示す斜視図である。
図2図1の電解コンデンサ用陽極体の平面図である。
図3電解コンデンサ用陽極体の他の例を示す斜視図である。

--

0038

1、31…陽極焼結体、 2、32…リードワイヤ(リード部材)。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

該当するデータがありません

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

該当するデータがありません

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ