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技術 新規な溶出試験器、それを含む測定装置及び溶出試験法

出願人 日本オルガノン株式会社
発明者 森田亮一本田律子
出願日 1999年3月3日 (21年8ヶ月経過) 出願番号 1999-055224
公開日 2000年9月14日 (20年2ヶ月経過) 公開番号 2000-249696
状態 未査定
技術分野 特有な方法による材料の調査、分析
主要キーワード 半円球 試験器側 長時間一定 大型セル 設計特性 小型セル 定流量ポンプ 錠剤コーティング装置
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (5)

課題

種々の被験製剤に対応可能であって、かつ製剤投与時の生体内薬物溶出挙動を精密かつ簡便に予測することができ、しかも再現性に優れた新規溶出試験を行うための溶出試験器、及びそれを含む測定装置、並びに溶出試験法を提供すること。

解決手段

試験液の入口1を試験器の上部に出口5を試験器の下部に有しかつ試験器内に試験液により膨潤または湿潤する物質3が充填された溶出試験器を含む測定装置を用い、溶出試験器中に試験液により膨潤または湿潤する物質3と被験製剤2とよりなるベッドを形成し、試験器上部に設けた入口1から当該ベッドに試験液を滴下した後、試験器下部に設けた出口5より排出される試験液中薬物濃度を定量することにより製剤中の有効成分の溶出率を測定する。

概要

背景

溶出試験法は、第十三改正日本薬局方(第一法規出版発行、1996年、以下日局と略記する)によれば、内用固形製剤からの主成分の溶出試験する方法であって、内用固形製剤の品質一定水準に確保し、併せて著しい生物学的非同等性を防ぐことを目的とするものである。

また日局によれば、溶出試験法は製剤の処方、剤形崩壊状態などの製剤的特性及び生物学的有用性との相関性によって設定されるべきで、目的によって最も適合した装置及び試験法を考慮しなければならないとされ、試験の再現性、簡便性識別性経済性などの品質管理的な要素と、外国薬局方などの汎国際的な要素とを案して、日局では回転バスケット法パドル法フロースルーセル法の3方法が設定されている。

上記3法は、いずれも簡便でかつ再現性のある優れた方法であり、試験製剤の製剤的特性等に応じて、いずれかの試験法を選択することにより、容易に溶出試験を実施することが可能である。

一方、溶出試験は、上記の目的のみならず、製剤設計を行う観点からは、新規な製剤を開発するための主成分の吸収挙動予測する簡便な方法としても繁用されている。

これは近年、血漿中濃度長時間一定に保つことや、消化管内の特異的な部位で薬物を放出させること、あるいは多段階に放出させる製剤など製剤的に工夫を凝らされた放出制御製剤が種々開発されるに至り、それら製剤を開発する過程で、ヒトもしくは動物試作した被験製剤投与して吸収挙動をそれぞれについて調べるには、多額のコストと労力を要するために、それに代えて溶出試験を行うことにより有効成分(薬物)の吸収挙動を予測することを目的としている。

しかしながら、製剤設計の工夫が凝らされた製剤や消化管内のある特定部位で放出させることを企図した製剤などでは、上記の日局記載のいずれの溶出試験法においても、薬物の吸収挙動から算出された各時間毎薬物放出量と溶出試験の結果に相関性が認められない場合もあり、そのような製剤でも両者間に相関性が認められるような、簡便でかつ再現性に優れた溶出試験法及びその測定装置の開発が望まれていた。

実際に、本発明者らが創製した後記試験例に記載の被験製剤(検体)について、日局溶出試験法第3法(フロースルーセル法)で溶出試験を行った結果、溶出試験結果とヒト投与試験による生体内薬物放出パターンとの間には相関性が認められないばかりか、溶出試験結果は著しく不適当な結果であった。

概要

種々の被験製剤に対応可能であって、かつ製剤投与時の生体内の薬物溶出挙動を精密かつ簡便に予測することができ、しかも再現性に優れた新規な溶出試験を行うための溶出試験器、及びそれを含む測定装置、並びに溶出試験法を提供すること。

試験液の入口1を試験器の上部に出口5を試験器の下部に有しかつ試験器内に試験液により膨潤または湿潤する物質3が充填された溶出試験器を含む測定装置を用い、溶出試験器中に試験液により膨潤または湿潤する物質3と被験製剤2とよりなるベッドを形成し、試験器上部に設けた入口1から当該ベッドに試験液を滴下した後、試験器下部に設けた出口5より排出される試験液中薬物濃度を定量することにより製剤中の有効成分の溶出率を測定する。

目的

本発明の目的は、種々の製剤に対応可能であって、かつ製剤投与時の生体内の薬物溶出挙動を精密かつ簡便に予測することができ、しかも再現性に優れた新規な溶出試験を行うための溶出試験器、及びそれを含む測定装置、並びに溶出試験法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
4件
牽制数
0件

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請求項1

試験液の入口を試験器の上部に出口を試験器の下部に有し、かつ試験器内に試験液により膨潤または湿潤する物質充填された溶出試験器

請求項2

試験液の入口を試験器の上部に出口を試験器の下部に有し、かつ試験器内に試験液により膨潤または湿潤する物質が充填された溶出試験器と、定流量ポンプ、試験液の貯槽、試験器を一定温度に保つ恒温水槽、及び送液チューブよりなることを特徴とする溶出試験を行うための測定装置

請求項3

溶出試験器が、円筒形上端と円垂形の下端からなる形状を有する試験器である請求項1または請求項2に記載の溶出試験器またはそれを含む測定装置。

請求項4

試験液により膨潤または湿潤する物質が、水に膨潤または湿潤する高分子化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の溶出試験器またはそれを含む測定装置。

請求項5

高分子化合物が、水に実質的にほとんど溶解せず膨潤するポリビニルアルコールである請求項4に記載の溶出試験器またはそれを含む測定装置。

請求項6

水に実質的にほとんど溶解せず膨潤するポリビニルアルコールが、けん化度97.5%のポリビニルアルコールである請求項5に記載の溶出試験器またはそれを含む測定装置。

請求項7

溶出試験器中に試験液により膨潤または湿潤する物質と被験製剤とよりなるベッドを形成し、試験器上部に設けた入口から当該ベッドに試験液を滴下した後、試験器下部に設けた出口より排出される試験液中薬物濃度を定量することにより製剤中の有効成分の溶出率を測定することを特徴とする溶出試験法

請求項8

溶出試験器が、円筒形の上端と円垂形の下端からなる形状を有する試験器である請求項7に記載の溶出試験法。

請求項9

試験液により膨潤または湿潤する物質が、水に膨潤または湿潤する高分子化合物である請求項7または請求項8に記載の溶出試験法。

請求項10

高分子化合物が、水に実質的にほとんど溶解せず膨潤するポリビニルアルコールである請求項9に記載の溶出試験法。

請求項11

水に実質的にほとんど溶解せず膨潤するポリビニルアルコールが、けん化度97.5%のポリビニルアルコールである請求項10に記載の溶出試験法。

請求項12

被験製剤が、放出制御製剤徐放性製剤または腸溶性製剤である請求項7〜11のいずれかに記載の溶出試験法。

技術分野

被験製剤検体2にすること以外は比較例1と同様にして溶出試験を実施した。

背景技術

0001

本発明は、新規溶出試験器、それを含む測定装置及び溶出試験法に関する。さらに詳細には、試験液の入口を試験器の上部に出口を試験器の下部に有し、かつ試験器内に試験液により膨潤または湿潤する物質充填された溶出試験器、及びそれを含む測定装置、並びに溶出試験器中に試験液により膨潤または湿潤する物質と被験製剤とよりなるベッドを形成し、試験器上部に設けた入口から当該ベッドに試験液を滴下した後、試験器下部に設けた出口より排出される試験液中薬物濃度を定量することにより製剤中の有効成分の溶出率を測定することを特徴とする溶出試験法に関する。

0002

溶出試験法は、第十三改正日本薬局方(第一法規出版発行、1996年、以下日局と略記する)によれば、内用固形製剤からの主成分の溶出試験する方法であって、内用固形製剤の品質一定水準に確保し、併せて著しい生物学的非同等性を防ぐことを目的とするものである。

0003

また日局によれば、溶出試験法は製剤の処方、剤形崩壊状態などの製剤的特性及び生物学的有用性との相関性によって設定されるべきで、目的によって最も適合した装置及び試験法を考慮しなければならないとされ、試験の再現性、簡便性識別性経済性などの品質管理的な要素と、外国薬局方などの汎国際的な要素とを案して、日局では回転バスケット法パドル法フロースルーセル法の3方法が設定されている。

0004

上記3法は、いずれも簡便でかつ再現性のある優れた方法であり、試験製剤の製剤的特性等に応じて、いずれかの試験法を選択することにより、容易に溶出試験を実施することが可能である。

0005

一方、溶出試験は、上記の目的のみならず、製剤設計を行う観点からは、新規な製剤を開発するための主成分の吸収挙動予測する簡便な方法としても繁用されている。

0006

これは近年、血漿中濃度長時間一定に保つことや、消化管内の特異的な部位で薬物を放出させること、あるいは多段階に放出させる製剤など製剤的に工夫を凝らされた放出制御製剤が種々開発されるに至り、それら製剤を開発する過程で、ヒトもしくは動物試作した被験製剤を投与して吸収挙動をそれぞれについて調べるには、多額のコストと労力を要するために、それに代えて溶出試験を行うことにより有効成分(薬物)の吸収挙動を予測することを目的としている。

0007

しかしながら、製剤設計の工夫が凝らされた製剤や消化管内のある特定部位で放出させることを企図した製剤などでは、上記の日局記載のいずれの溶出試験法においても、薬物の吸収挙動から算出された各時間毎薬物放出量と溶出試験の結果に相関性が認められない場合もあり、そのような製剤でも両者間に相関性が認められるような、簡便でかつ再現性に優れた溶出試験法及びその測定装置の開発が望まれていた。

発明が解決しようとする課題

0008

実際に、本発明者らが創製した後記試験例に記載の被験製剤(検体)について、日局溶出試験法第3法(フロースルーセル法)で溶出試験を行った結果、溶出試験結果とヒト投与試験による生体内薬物放出パターンとの間には相関性が認められないばかりか、溶出試験結果は著しく不適当な結果であった。

課題を解決するための手段

0009

本発明の目的は、種々の製剤に対応可能であって、かつ製剤投与時の生体内の薬物溶出挙動を精密かつ簡便に予測することができ、しかも再現性に優れた新規な溶出試験を行うための溶出試験器、及びそれを含む測定装置、並びに溶出試験法を提供することにある。

発明を実施するための最良の形態

0010

本発明者らは、種々検討した結果、試験液の入口を試験器の上部に出口を試験器の下部に有し、かつ試験器内に試験液により膨潤または湿潤する物質が充填された溶出試験器を含む測定装置を用い、溶出試験器中に試験液により膨潤または湿潤する物質と被験製剤とよりなるベッドを形成し、試験器上部に設けた入口から当該ベッドに試験液を滴下した後、試験器下部に設けた出口より排出される試験液中の薬物濃度を定量することにより製剤中の有効成分の溶出率を測定することを特徴とする溶出試験法を行うことにより、従来の方法に比べてより生体内での薬物溶出挙動を精密かつ簡便に予測し得、また再現性に優れることを見出し、本発明を完成させた。

0011

以下に、本発明をより詳細に説明する。

0012

本発明の溶出試験器は、例えば、図1に示すように、試験液の入口を試験器の上部に出口を試験器の下部に有しかつ試験器内に試験液により膨潤または湿潤する物質が充填された溶出試験器である。

0013

上記試験器の材質及び形状は、特に限定されるものではないが、通常、試験器の材質は、試験中、容器内部の状態が観察でき、装置の中で、製剤、試験液と接する部分はすべて化学的に不活性な材質からなるもので医薬品に吸着したり、医薬品と反応することのない材質であること、また試験器の形状は、半円球の底をもつ試験器あるいは円筒形上端と円垂形の下端からなる形状を有することが好ましい。より好ましくは、試験器がアクリル樹脂から成る円筒形の上端と円垂形の下端からなる形状を有するものであり、具体的には、日局に記載のフロースルーセルの大型セル及び小型セルが挙げられる。

0014

但し、本発明に用いる溶出試験器は、上述の如く、試験液の入口を試験器の上部に出口を試験器の下部に有していることを特徴とする。

0015

ここで言う試験器の上部とは、後述する試験器内に充填された試験液により膨潤または湿潤する物質の充填位置最上部よりも上に位置することを意味し、試験器の上部面のみならず、試験器側面の上部も包含する。

0016

同様に試験器の下部とは、試験器内に充填された試験液により膨潤または湿潤する物質の充填位置最上部よりも下に位置することを意味し、試験器の下部面のみならず、試験器側面の下部も包含する。

0017

そして本発明の上記特徴は、本発明と日局溶出試験法第3法に記載のフロースルーセル法との試験液の注入方法の違いに起因する。すなわち、日局記載のフロースルーセル法では、試験液は、試験器の下部の入口から試験器内に注入され、セル内全体に試験液が満たされ、さらにセル上部より流出した試験液を送液チューブを通して受器に集め、その試験液中の薬物濃度を測定することにより、製剤の溶出率を測定するのに対して、本発明では、試験液は試験器上部の入口より試験器内に滴下するように注入し、試験器内の湿潤状態を一定に保ちつつ、試験液を試験器下部の出口から排出し、そうして集められた試験液中の薬物濃度を測定することにより被験製剤からの薬物の溶出率を測定する。

0018

従って、日局に記載のフロースルーセル法では、回転バスケット法やパドル法と同様、溶出試験中、常時被験製剤が試験液に浸された状態となっているのに対して、本発明の溶出試験では、試験液は試験器の下部から排出できるため、被験製剤が試験液に浸された状態のみならず、浸されていない場合や被験製剤の一部だけや一定の時間のみ試験液に浸されている状態をも創出することが可能となる。

0019

そして本発明のもう一つの特徴である、試験器内に試験液により膨潤または湿潤する物質が充填された試験器を用いることにより、試験器内が常に湿潤された状態となっているので、たとえ試験器内に試験液がほとんど存在しない場合でも試験製剤からの薬物放出は可能となる。

0020

すなわち、本発明では、上記試験液により膨潤または湿潤する物質を予め試験液又は水に浸して膨潤または湿潤状態とした後、試験器内に当該物質と被験製剤よりなるベッドを形成せしめる。その結果、被験製剤周辺は常に湿潤状態となり、試験液がほとんど存在しない場合でも、薬物の放出が可能となる。

0021

上記試験液により膨潤または湿潤する物質としては、試験液により膨潤または湿潤する物質ならば特に限定されるものではないが、例えば、水に膨潤または湿潤する高分子化合物スポンジ状の物質などが挙げられる。その中でも、高分子化合物、特に水に実質的にほとんど溶解せず膨潤するポリビニルアルコールが好ましく、そのようなポリビニルアルコールとしては、けん化度97.5%のポリビニルアルコールが挙げられる。

0022

けん化度97.5%のポリビニルアルコールは、例えば、クラポバールPVA−CS(株式会社クラレ製)が入手されうる。

0023

本発明の溶出試験法を実施する測定装置の特徴は、上記の如く、試験液の入口を試験器の上部に出口を試験器の下部に有し、かつ試験器内に試験液により膨潤または湿潤する物質が充填された溶出試験器よりなるものであるが、実際の溶出率の測定には、例えば図2に模式図を示した如く、上記試験器の他に、定流量ポンプ、試験液の貯槽、試験器を一定温度に保つ恒温水槽、及び送液チューブなど日局溶出試験法第3法フロースルーセル法に用いられるような測定装置を用いて実施することが好ましい。また図1及び図2に記載の網は、日局溶出試験法第3法フロースルーセル法に用いられる網を用いて実施することが好ましい。本発明の試験器の容量は1〜100mlの範囲が好ましい。また本発明の試験器に充填される試験液により膨潤または湿潤する物質の量は、上記試験器の容量に対して、5分の1量から5分の4量程度が充填されていることが好ましく、被験製剤の周囲は均一な状態になっていること、すなわち被験製剤が試験液により膨潤または湿潤する物質内部に配置されていることが好ましい。

0024

また試験液の入口は、被験製剤が配置された所へ試験液が滴下できるような位置にあることが望ましい。

0025

さらに本発明は、上記のような特徴を有するため、被験製剤としては、放出制御製剤、徐放性製剤または腸溶性製剤が好ましい。

0026

試験液の温度は、日局の試験と同様、通常37±0.5℃で実施される。

0027

本発明の溶出試験法により、例えば以下のような溶出率の測定が可能となる。

0028

すなわち、試験器中に予め試験液または水により膨潤または湿潤させた物質を充填し、その内部に被験製剤を配置する。ここに試験液を一定量注入しておき、一定時間経過後、試験器下部の出口より試験液を排出し、初期薬物溶出率を測定する。その後、一定の速度で試験液を注入し、同時に注入速度と同様の速度で試験液を排出させ、試験器内の湿潤状態を一定に保ちつつ、排出させた試験液中の薬物含量を経時的に測定することにより溶出試験を実施することができる。また試験液のpHを試験中に変化させることや、流速を適宜変えることによって、より消化管内挙動に近似する溶出試験を行うことも可能である。なお、上記の試験途中で試験液のpHを変化させる場合で、試験液により膨潤または湿潤する物質としてポリビニルアルコールのような高分子化合物を用いる場合には、試験開始前の高分子化合物の膨潤は水を使うことが好ましい。上記の場合で試験液として水以外の試験液を用いる場合には、直ちに水を試験液に置換し、試験を開始する。

発明の効果

0029

さらに本発明の溶出試験法では、試験器内への試験液の注入を一時的に停止したりすることも可能であるので、例えば、試験器内に試験液を一定時間、一定速度で注入した後、試験液の注入を停止し、また一定時間経過後、同様に一定速度で注入することも可能となり、製剤の設計特性や消化管内の種々の環境変化適応した溶出試験が可能である。

0030

本発明の溶出試験法を実施することにより、公知の溶出試験法に比べて、より生体内での薬物放出挙動に近い溶出パターンを得ることができる。また本発明の溶出試験は再現性にも優れている。また試験液のpHを試験途中で変化させることも可能である。

0031

本発明の効果をより明らかにする目的で、被験製剤としてフマル酸エメダスチン(特公平2−24821号参照)を含有する錠剤を用い、本願発明および公知の方法による溶出試験を実施して、当該製剤をヒトに経口投与した場合の薬物放出挙動と両試験結果とをそれぞれ比較した。

0032

[試験例]
試験例1(検体1の溶出試験結果とヒト投与試験による生体内薬物放出パターンの比較)
(1)被験製剤
検体1(参考例1参照)
(2)試験方法
被験製剤(検体1)につき、本発明による溶出試験(後記実施例3参照)と公知の方法による溶出試験(後記比較例1参照)をそれぞれ実施した。

0033

一方、被験製剤をヒトに経口投与した後、経時的に血漿中のフマル酸エメダスチン濃度(遊離塩基)を定量した。フマル酸エメダスチンの血漿中濃度はラジオレセプターアッセイにより定量した(後記参考例4参照)。

0034

フマル酸エメダスチンは消化管より速やかに吸収されるため、製剤からの薬物放出が吸収の律速段階となる。従って、血漿中濃度の経時変化から生体内薬物放出パターンを求め(後記参考例3参照)、上記の両溶出試験により当該薬物放出パターンがどの程度予測可能かを比較検討した。
(3)試験結果
被験製剤(検体1)につき、溶出試験結果と生体内薬物放出パターンを比較した結果を図3に示した。

0035

試験例2(検体2の溶出試験結果とヒト投与試験による生体内薬物放出パターンの比較)
(1)被験製剤
検体2(参考例2参照)
(2)試験方法
被験製剤(検体2)につき、本発明による溶出試験(後記実施例6参照)と公知の方法による溶出試験(後記比較例2参照)をそれぞれ実施した。

0036

試験例1と同様、検体2をヒトに経口投与した後のフマル酸エメダスチンの血漿中濃度の経時変化をもって生体内薬物放出パターンとし、両溶出試験により当該薬物放出パターンがどの程度予測可能かを比較検討した。
(3)試験結果
被験製剤(検体2)につき、溶出試験結果と生体内薬物放出パターンを比較した結果を図4に示した。

0037

図3及び図4から明らかなように、実施例1及び2又は実施例4及び5の本発明の溶出試験器、及びそれを含む測定装置を用いた本発明の溶出試験法(実施例3及び実施例6)は、比較例1又は比較例2により行った溶出試験に比較して、より生体内の吸収挙動を反映した溶出試験法であることが判明した。

0038

さらに本発明の溶出試験法は、試験途中でpHを変化させ得ることが判明した(後記実施例7参照)。

0039

以上のことから、本発明の溶出試験器を含む測定装置を用いることにより実施される本発明の溶出試験法は、通常製剤のみならず製剤設計に工夫の凝らされた放出制御製剤にも対応可能であって、かつ製剤投与時の生体内の薬物溶出挙動を精密かつ簡便に予測することができ、しかも再現性に優れた溶出試験法であることが判明した。

0040

以下に参考例、実施例及び比較例を挙げて本願発明をさらに詳細に説明する。
[参考例]
参考例1(検体1の製造)
特開平9−104620号の実施例1に記載の方法に準じて素錠を調製した。すなわち、フマル酸エメダスチン20g、ポリビニルアルコール(商品名:クラレポバールPVA−CSTS、株式会社クラレ製)450g、塩化ナトリウム(100メッシュ篩通過品)200gおよび乳糖290gの混合物流動層造粒機中で流動させ、ヒドロキシプロピルセルロース(商品名:日曹HPC、日本曹達社製)20gを水380gに溶解した溶液結合剤として噴霧した後、乾燥し、18メッシュ整粒し、薬物含有造粒物を得た。この造粒物956gにステアリン酸マグネシウム13.6gおよび軽質無水ケイ酸5.8gを混合し、この混合物を直径5mmのを用いてロータリー式打錠機で1錠当たり50mgに打錠し、素錠830g(約16、600個)を得た。

0041

次に、エチルセルロース(商品名:エトセルstandard−10、ダウケミカル社製)49g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名:TC−5E、信越化学工業社製)21g、クエン酸トリエチル(商品名:シトロフレックス2、ファイザー社製)14gをエチルセルロースとヒドロキシプロピルメチルセルロースの濃度が5重量%となるように水とエタノール〔1:4(重量比)〕の混合溶媒に溶解し、コーティング液とした。上記の素錠400g(約8,000個)を錠剤コーティング装置(商品名:ハイコーター・HCT−MINI、フロイント産業社製)に入れ、コーティング液を素錠に噴霧、乾燥することによりコーティング膜被覆し、1錠当たりの重量が56mgの錠剤を得、これを検体1とした。

0042

参考例2(検体2の製造)
エチルセルロース(商品名:エトセルstandard−10、ダウ・ケミカル社製)63.9g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名:TC−5E、信越化学工業社製)26.1g、クエン酸トリエチル(商品名:シトロフレックス2、ファイザー社製)18gをエチルセルロースとヒドロキシプロピルメチルセルロースの濃度が5重量%となるように水とエタノール〔1:4(重量比)〕の混合溶媒に溶解し、コーティング液とした。検体1を製造する際に得た素錠400g(約8,000個)を錠剤コーティング装置(商品名:ハイコーター・HCT−MINI、フロイント産業社製)に入れ、コーティング液を素錠に噴霧、乾燥することによりコーティング膜を被覆し、1錠当たりの重量が58mgの錠剤を得、これを検体2とした。

0043

参考例3(生体内薬物放出パターンの測定)
6人の健常成人ボランティア朝食摂取30分後に参考例1又は参考例2で製造した各検体(フマル酸エメダスチン4mg相当量)を経口投与し、投与後一定時間(2、4、6、8、10、12、15、24、28、32、48時間)経過毎に採血し、得られた血液を遠心分離し血漿を得た。各時間毎に得られた血漿中のフマル酸エメダスチン濃度(遊離塩基)をラジオレセプターアッセイにより定量し、Wagner−Nelson法により吸収率換算して、生体内薬物放出パターンを求めた(図3及び図4中のX1及びX2参照)。

0044

参考例4(ラジオレセプターアッセイの試験方法)
血漿1mlに0.2N水酸化ナトリウム1mlを加えて塩基性とし、ベンゼン6mlで抽出した後、ベンゼン層を分取し、窒素気流下に溶媒を留去した。残渣を50mMリン酸塩緩衝液(pH7.5)0.5mlに溶解後、0.8nM[3H]ピリラミンを含有する50mMリン酸塩緩衝液(pH7.5)0.2mlおよび、下記参考例5のレセプター懸濁液0.3mlを添加し、25℃で30分間反応させた。反応後、ガラス繊維濾紙(WhatmanGF/C)で濾過し、濾紙上の放射能液体シンチレーションカウンターで測定し、予め作成した検量線からフマル酸エメダスチン濃度(遊離塩基)を測定した。

0045

検量線は、総結合量から非特異的結合量を差し引いて特異的結合量B0とし、各濃度Cの測定値から非特異的結合量を差し引いた値をBとし、横軸をlogC、縦軸をlog{B/(B0−B)}として作成した。

0046

総結合量は50mMリン酸塩緩衝液(pH7.5)0.5ml(フマル酸エメダスチン濃度0)を、非特異的結合量は50mMリン酸塩緩衝液(pH7.5)0.4mlにトリプロリジンを2μMになるように添加したものを、上記と同様にして反応させ、測定した。

0047

参考例5(レセプター懸濁液の調製)
モルモット小脳に30倍量の50mMリン酸塩緩衝液(pH7.5)を加えてホモジネートした後、4℃にて25,000×gで20分間遠心分離した。上清を除き、30倍量の50mMリン酸塩緩衝液(pH7.5)を加えてホモジネートした後、4℃にて25,000×gで20分間遠心分離した。得られたペレットを60倍量の50mMリン酸塩緩衝液(pH7.5)に懸濁し、レセプター懸濁液とした。
[実施例および比較例]以下の実施例における試験液中のフマル酸エメダスチン量は下記条件の高速液体クロマトグラフィー(以下HPLCと略記する)により定量した。HPLCの条件:
カラム:InertsilODS−2[125×4.6mmID、GLサイエンス社製]
溶離液アセトニトリル1容と、りん酸でpH2.4に調製した0.25W/V%ラウリル硫酸ナトリウムを含む0.025Mりん酸二水素ナトリウム水溶液1容の混合液
カラム温度:40℃付近の一定温度
・流速:エメダスチンピーク保持時間が約6分になるよう調整した。
検出方法:UV280nmにおける吸光度を測定した。

0048

実施例1
予め多量の日局崩壊試験第2液(pH6.8、37℃)に粒径500〜850μmにふるい分けたけん化度97.5%のポリビニルアルコール(商品名:クラレポバールPVA−CS、クラレ社製)を膨潤させ、ポリビニルアルコールが十分膨潤したことを確認した後、膨潤させたポリビニルアルコールを含む上記液を20mlのメスシリンダー内径13.5mm)に入れて静置し、沈降した膨潤ポリビニルアルコールの10mlを日局溶出試験法第3法(フロースルーセル法、大型セル)のセル内に充填した。次に、充填したポリビニルアルコール上に被験製剤(検体1)を配置し、その上にさらに膨潤させたポリビニルアルコール5mlを充填し、被験製剤が配置された状態にある本発明の溶出試験器を作製した(図1参照)。

0049

実施例2
実施例1で作製した本発明の溶出試験器中のセルを直ちに日局溶出試験法第3法の装置に装着し、被験製剤が配置された状態にある本発明の溶出試験測定装置を作製した(図2参照)。

0050

実施例3
実施例2で作製した、被験製剤が配置された状態にある本発明の溶出試験測定装置のセル下部の試験液の出口を塞いでから日局崩壊試験第2液(pH6.8)8mlをセル内に注入し、試験を開始した。試験開始より3時間後にセル内の試験液をセル下部より排出し、採取した。続いてセル上部の試験液の入口より日局崩壊試験第2液を1時間当たりに4ml(以下、4ml/hrのように表す)の流速で滴下させ、セル下部の試験液の出口より試験液を採取した。試験開始より7時間目に流速を2ml/hrに変更し、48時間目までの試験液を採取し、各時間までの累積溶出率を算出し、本発明の溶出試験法を実施した。

0051

実施例4
被験製剤を検体2にすること以外は実施例1と同様にして、被験製剤が配置された状態にある本発明の溶出試験器を作製した。

0052

実施例5
実施例4で作製した本発明の溶出試験器を用いる以外は実施例2と同様にして、被験製剤が配置された状態にある本発明の溶出試験測定装置を作製した。

0053

実施例6
実施例5で作製した、被験製剤が配置された状態にある本発明の溶出試験測定装置を用いる以外は実施例3と同様にして本発明の溶出試験法を実施した。

0054

実施例7
試験途中で試験液及びpHを代える以外は、実施例1〜3と同様の方法で溶出試験を行った。すなわち、予め多量の水(37℃)に粒径500〜850μmにふるい分けたけん化度97.5%のポリビニルアルコール(商品名:クラレポバールPVA−CS、クラレ社製)を膨潤させ、ポリビニルアルコールが十分膨潤したことを確認した後、膨潤させたポリビニルアルコールを含む上記液を20mlのメスシリンダー(内径13.5mm)に入れて静置し、沈降した膨潤ポリビニルアルコールの10mlを日局溶出試験法第3法(フロースルーセル法、大型セル)のセル内に充填した。次に、充填したポリビニルアルコール上に被験製剤(検体1または検体2)を配置し、その上にさらに上記膨潤ポリビニルアルコール5mlを充填し、被験製剤が配置された状態にある本発明の溶出試験器を作製した。その溶出試験器のセルを直ちに日局溶出試験法第3法の装置に装着し、被験製剤が配置された状態にある本発明の溶出試験測定装置を作製した。その溶出試験測定装置のセル下部の試験液の出口を塞いでから日局崩壊試験第1液(pH1.2)8mlをセル内に注入し、試験を開始した。試験開始より3時間後にセル内の試験液をセル下部より排出し、採取した。続いてセル上部の試験液の入口より日局崩壊試験第2液(pH6.8)を4ml/hrの流速で滴下させ、セル下部の試験液の出口より試験液を採取した。試験開始より7時間目に流速を2ml/hrに変更し、48時間目までの試験液を採取し、各時間毎の累積溶出率を算出し、本発明の溶出試験を実施した。

0055

比較例1
日局に記載のパドル法により、試験液として日局崩壊試験第2液(pH6.8)500mlを用い、毎分50回転で、検体1について溶出試験を行った。経時的に試験液をサンプリングし、その液の280nmにおける吸光度を測定することにより、フマル酸エメダスチンの溶出率を算出した。

図面の簡単な説明

0056

比較例2

--

0057

図1本発明の溶出試験器の模式図(実施例1又は実施例4)を示す。
図2本発明の、溶出試験器を含む溶出試験装置の模式図(実施例2又は実施例5)を示す。
図3検体1からのフマル酸エメダスチンの溶出試験〔試験液:日局に記載の崩壊試験法第2液(pH6.8)〕結果を示すグラフ(実施例3及び比較例1)及び検体1をヒトに経口投与後のフマル酸エメダスチン血漿中濃度の経時的な推移を基に算出されたフマル酸エメダスチンの経時的な吸収率の推移(生体内薬物放出パターン)を示すグラフである。
図4検体2からのフマル酸エメダスチンの溶出試験〔試験液:日局に記載の崩壊試験法第2液(pH6.8)〕結果を示すグラフ(実施例6及び比較例2)及び検体2をヒトに経口投与後のフマル酸エメダスチン血漿中濃度の経時的な推移を基に算出されたフマル酸エメダスチンの経時的な吸収率の推移(生体内薬物放出パターン)を示すグラフである。

0058

1 :試験液の入り
2 :被験製剤
3 :試験液により膨潤又は湿潤させた物質
3a:試験液により膨潤させたポリビニルアルコール
4 :網
5 :試験液の出口
6 :試験液の貯槽
7 :定流量ポンプ
8 :送液チューブ
9 :恒温水槽
10:フラクションコレクター
A1:本発明方法により測定した、検体1からのフマル酸エメダスチンの溶出試験結果(実施例3)
A2:本発明方法により測定した、検体2からのフマル酸エメダスチンの溶出試験結果(実施例6)
C1:パドル法により測定した、検体1からのフマル酸エメダスチンの溶出試験結果(比較例1)
C2:パドル法により測定した、検体2からのフマル酸エメダスチンの溶出試験結果(比較例1)
X1:検体1をヒトに経口投与し、血漿中濃度の経時的な推移を測定して算出されたフマル酸エメダスチンの経時的な吸収率の推移(生体内薬物放出パターン)
X2:検体1をヒトに経口投与し、血漿中濃度の経時的な推移を測定して算出されたフマル酸エメダスチンの経時的な吸収率の推移(生体内薬物放出パターン)

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