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課題

内燃機関バルブタイミング制御装置にあってエンジンの如何なる運転状態においても高い制御性をもってバルブ作動タイミングを制御する。

解決手段

電子制御装置27は、油圧制御弁19をデューティ制御することでバルブタイミング可変機構20を操作し、エンジン1のバルブタイミング可変とする。電子制御装置27はさらに、バルブタイミングを所定値に保持べく油圧制御弁27に出力するデューティ比指令値保持デューティとして適宜学習する。保持デューティは、冷却水温に基づいて規定されるエンジン始動直後の冷間領域と、暖機終了後温間領域に区分して学習される他、冷間領域及び温間領域の中間領域では、冷間時及び温間時のそれぞれに学習された保持デューティによって補間される。

概要

背景

従来、この種のバルブタイミング制御装置としては、例えば特開平8−338271号公報に記載の装置が知られている。

同公報にも記載されているように、こうした内燃機関のバルブタイミング制御装置にあっては一般に、カムシャフトに設けられてエンジン(内燃機関)のクランクシャフトチェーンまたはベルトによって駆動連結されたタイミングプーリに固定される第1の回動部とカムシャフトに固定される第2の回動部とに分割するとともに、両回動部の位相を変更することにより、上記バルブ作動タイミングを連続的に変化させる。

このような両回動部の位相変更にあたっては、以下に説明するヘリカルスプライン式、或いはベーン式のバルブタイミング可変機構が多く採用されている。ヘリカルスプライン式バルブタイミング可変機構を採用するバルブタイミング制御装置では、例えば上記公報に記載された装置のように、内外周にヘリカルスプラインが形成された可動ピストンを上記両回動部の間に設け、該可動ピストンを油圧にて軸方向に移動させることにより両回動部の位相をずらす。

一方、ベーン式バルブタイミング可変機構では、上記両回動部のうち、いずれか一方の回動部の一部をハウジング、他方の回動部の一部を内部ロータとして形成するとともに、ハウジングにはその内周面から回転軸心に向かって突出する複数の凸部を設け、一方内部ロータにはその外周面から放射状に突出する複数の凸部(ベーン)を設ける。このようなハウジングと内部ロータとの組み合わせにより、ハウジングの各凸部間が内部ロータのベーンによって区画され、それぞれのベーンの左右に油圧室が形成される。そして、これら左右の油圧室に供給する油圧を適宜変更することにより、両回転部の位相をずらす。

すなわち、ヘリカルスプライン式或いはベーン式の何れのバルブタイミング可変機構であれ、第1及び第2の回動部の位相をずらすための上記動作は、油圧制御弁を通じた油圧振り分けによって行われ、その油圧振り分け量に応じて、上記バルブタイミング進角量若しくは遅角量が決定される。

そして、この油圧制御弁はさらに、当該エンジンの運転統括制御する電子制御装置によって制御され、同電子制御装置によるデューティ制御を通じて上記油圧振り分け量が決定されるようになっている。

こうして、エンジンの運転状態に応じてクランクシャフトに対するカムシャフトの位相が連続的に制御されることになる。一方、上記油圧振り分け量を決定するためのデューティ制御では、通常カムシャフトの実位相を目標位相追従させるためにデューティ指令値を逐次変更するフィードバック制御と、カムシャフトの実位相が目標位相に合致したときにそのままの状態に保持するための保持制御とが、適宜選択的に行われる。

この保持制御では、バルブタイミングの遅角動作のために作用する油圧と進角動作のために作用する油圧とが均衡するようにデューティ指令値を所定値に制御する。

概要

内燃機関のバルブタイミング制御装置にあってエンジンの如何なる運転状態においても高い制御性をもってバルブの作動タイミングを制御する。

電子制御装置27は、油圧制御弁19をデューティ制御することでバルブタイミング可変機構20を操作し、エンジン1のバルブタイミングを可変とする。電子制御装置27はさらに、バルブタイミングを所定値に保持べく油圧制御弁27に出力するデューティ比指令値保持デューティとして適宜学習する。保持デューティは、冷却水温に基づいて規定されるエンジン始動直後の冷間領域と、暖機終了後温間領域に区分して学習される他、冷間領域及び温間領域の中間領域では、冷間時及び温間時のそれぞれに学習された保持デューティによって補間される。

目的

この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、エンジンの如何なる運転状態にあっても、高い制御性をもって、上記バルブの作動タイミングを制御することのできる内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
5件

この技術が所属する分野

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請求項1

内燃機関出力軸回転位相に対するカムシャフトの回転位相を変位せしめて吸気バルブ及び排気バルブの少なくとも一方の作動タイミング可変とするバルブタイミング可変機構と、前記機関出力軸の回転位相と前記カムシャフトの回転位相との位相差に基づき当該バルブ実作動バルブタイミング演算する実バルブタイミング演算手段と、当該機関運転状態に基づき同バルブの目標作動タイミングを演算する目標バルブタイミング演算手段と、これら演算値に基づき、前記実バルブタイミングが前記目標バルブタイミングに一致するよう前記バルブタイミング可変機構の制御ゲインを設定する制御手段と、前記実作動バルブタイミングと目標作動タイミングとが十分に近似したときに、そのときの実作動バルブタイミングを保持するための保持制御ゲインを演算する保持制御ゲイン演算手段とを備える内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記内燃機関の機関温度に関する温度パラメータを検出する温度パラメータ検出手段と、前記検出される温度パラメータに基づいて設定される複数の学習領域について前記保持制御ゲイン演算手段により得られる保持制御ゲインを学習する保持制御ゲイン学習手段と、前記機関温度が前記複数の学習領域の中間領域にあるときには、それら前後の学習領域において学習された保持制御ゲインに基づいて当該中間領域に適合する保持制御ゲインを補間演算する保持制御ゲイン補間演算手段と、を備えることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。

請求項2

請求項1記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記複数の学習領域には、機関始動時の温度パラメータに基づいて設定される学習領域と、暖機終了後の温度パラメータに基づいて設定される学習領域とを少なくとも含むことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。

請求項3

前記温度パラメータは、内燃機関の冷却水温である請求項1または2記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。

請求項4

請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記複数の学習領域のうち任意の二つの学習領域間にある中間領域において、前記補間演算された保持制御ゲインと保持制御ゲインとの比較を行い、両値の偏差所定値を上回る場合には、当該二つの学習領域において学習された保持制御ゲインの修正を行う制御ゲイン修正手段をさらに備えることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。

請求項5

請求項4記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記制御ゲイン修正手段は、前記比較を行ったときの前記温度パラメータに基づいて、前記二つの学習領域において学習された各保持制御ゲインの修正量を決定することを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。

請求項6

請求項5記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記二つの学習領域において学習された各保持制御ゲインの修正量は、その保持制御ゲインが学習された学習領域の温度パラメータが前記比較を行ったときの温度パラメータに近似するほど大きく設定されることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。

技術分野

0001

この発明は、内燃機関運転中にそれら各気筒吸気バルブ及び排気バルブ作動タイミングを制御する内燃機関のバルブタイミング制御装置に関し、特に同バルブタイミング制御制御性をより高める上で有用な制御構造の具現に関する。

背景技術

0002

従来、この種のバルブタイミング制御装置としては、例えば特開平8−338271号公報に記載の装置が知られている。

0003

同公報にも記載されているように、こうした内燃機関のバルブタイミング制御装置にあっては一般に、カムシャフトに設けられてエンジン(内燃機関)のクランクシャフトチェーンまたはベルトによって駆動連結されたタイミングプーリに固定される第1の回動部とカムシャフトに固定される第2の回動部とに分割するとともに、両回動部の位相を変更することにより、上記バルブの作動タイミングを連続的に変化させる。

0004

このような両回動部の位相変更にあたっては、以下に説明するヘリカルスプライン式、或いはベーン式のバルブタイミング可変機構が多く採用されている。ヘリカルスプライン式バルブタイミング可変機構を採用するバルブタイミング制御装置では、例えば上記公報に記載された装置のように、内外周にヘリカルスプラインが形成された可動ピストンを上記両回動部の間に設け、該可動ピストンを油圧にて軸方向に移動させることにより両回動部の位相をずらす。

0005

一方、ベーン式バルブタイミング可変機構では、上記両回動部のうち、いずれか一方の回動部の一部をハウジング、他方の回動部の一部を内部ロータとして形成するとともに、ハウジングにはその内周面から回転軸心に向かって突出する複数の凸部を設け、一方内部ロータにはその外周面から放射状に突出する複数の凸部(ベーン)を設ける。このようなハウジングと内部ロータとの組み合わせにより、ハウジングの各凸部間が内部ロータのベーンによって区画され、それぞれのベーンの左右に油圧室が形成される。そして、これら左右の油圧室に供給する油圧を適宜変更することにより、両回転部の位相をずらす。

0006

すなわち、ヘリカルスプライン式或いはベーン式の何れのバルブタイミング可変機構であれ、第1及び第2の回動部の位相をずらすための上記動作は、油圧制御弁を通じた油圧振り分けによって行われ、その油圧振り分け量に応じて、上記バルブタイミング進角量若しくは遅角量が決定される。

0007

そして、この油圧制御弁はさらに、当該エンジンの運転を統括制御する電子制御装置によって制御され、同電子制御装置によるデューティ制御を通じて上記油圧振り分け量が決定されるようになっている。

0008

こうして、エンジンの運転状態に応じてクランクシャフトに対するカムシャフトの位相が連続的に制御されることになる。一方、上記油圧振り分け量を決定するためのデューティ制御では、通常カムシャフトの実位相を目標位相追従させるためにデューティ指令値を逐次変更するフィードバック制御と、カムシャフトの実位相が目標位相に合致したときにそのままの状態に保持するための保持制御とが、適宜選択的に行われる。

0009

この保持制御では、バルブタイミングの遅角動作のために作用する油圧と進角動作のために作用する油圧とが均衡するようにデューティ指令値を所定値に制御する。

発明が解決しようとする課題

0010

ところで、カムシャフトの実位相を一定に保持するためのデューティ指令値(以下、保持デューティという)は、部品経年変化油圧用作動油性質温度条件等々に起因して刻々と変動する。

0011

特にエンジンの始動時から暖機運転期間にかけては、エンジン各部温度が過渡的に変動(上昇)するため、油圧用作動油の粘性や、上記バルブタイミング可変機構を構成する各部材間クリアランスが大きく変動し、保持デューティに適合するデューティ指令値の変化も急激となる。

0012

しかし、上記従来のバルブタイミング制御装置も含めて一般に、エンジンの運転中には保持デューティを適宜更新していく学習制御を行っているものの、上記のようなエンジン始動時から暖機運転期間にかけては、正確な保持デューティを適用するための何ら適切な制御が行われていないのが実情である。このため、こうしたエンジン始動時から暖機運転期間にかけてのバルブタイミング制御には十分な安定性信頼性が得られなかった。

0013

この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、エンジンの如何なる運転状態にあっても、高い制御性をもって、上記バルブの作動タイミングを制御することのできる内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0014

上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、内燃機関出力軸回転位相に対するカムシャフトの回転位相を変位せしめて吸気バルブ及び排気バルブの少なくとも一方の作動タイミングを可変とするバルブタイミング可変機構と、前記機関出力軸の回転位相と前記カムシャフトの回転位相との位相差に基づき当該バルブの実作動バルブタイミング演算する実バルブタイミング演算手段と、当該機関の運転状態に基づき同バルブの目標作動タイミングを演算する目標バルブタイミング演算手段と、これら演算値に基づき、前記実バルブタイミングが前記目標バルブタイミングに一致するよう前記バルブタイミング可変機構の制御ゲインを設定する制御手段と、前記実作動バルブタイミングと目標作動タイミングとが十分に近似したときに、そのときの実作動バルブタイミングを保持するための保持制御ゲインを演算する保持制御ゲイン演算手段とを備える内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記内燃機関の機関温度に関する温度パラメータを検出する温度パラメータ検出手段と、前記検出される温度パラメータに基づいて設定される複数の学習領域について前記保持制御ゲイン演算手段により得られる保持制御ゲインを学習する保持制御ゲイン学習手段と、前記機関温度が前記複数の学習領域の中間領域にあるときには、それら前後の学習領域において学習された保持制御ゲインに基づいて当該中間領域に適合する保持制御ゲインを補間演算する保持制御ゲイン補間演算手段と、を備えることを要旨とする。

0015

同構成によれば、機関温度の過渡条件下において、上記バルブタイミング可変機構の構成要素を含む機関各部の部材間クリアランスや作動油の粘性等の変動が激しい場合であれ、保持制御の制御性を高く維持することができるようになる。

0016

請求項2に記載の発明は、請求項1記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記複数の学習領域には、機関始動時の温度パラメータに基づいて設定される学習領域と、暖機終了後の温度パラメータに基づいて設定される学習領域とを少なくとも含むことを要旨とする。

0017

同構成によれば、機関運転の全領域中最も一般的且つ安定した機関温度領域である暖機終了後と、同暖機終了後と比べて温度パラメータの差が最も顕著な機関始動時とにおいてそれぞれ保持制御ゲインを得て、これら保持制御ゲインを基準とすることでき、その中間領域の保持制御ゲインを正確に補間することができるようになる。

0018

請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記温度パラメータは、内燃機関の冷却水温であることを要旨とする。

0019

同構成によれば、機関温度との相関性が高く、また容易に得られる機関冷却水温を適用することにより、制御の精度や簡便性が向上するようになる。請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記複数の学習領域のうち任意の二つの学習領域間にある中間領域において、前記補間演算された保持制御ゲインと保持制御ゲインとの比較を行い、両値の偏差が所定値を上回る場合には、当該二つの学習領域において学習された保持制御ゲインの修正を行う制御ゲイン修正手段をさらに備えることを要旨とする。

0020

同構成によれば、補間演算される保持制御ゲインにずれ生じた場合であれ、これを正確に修正し、もって中間領域における制御の信頼性が常時好適に維持されるようになる。

0021

請求項5に記載の発明は、請求項4記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記制御ゲイン修正手段は、前記比較を行ったときの前記温度パラメータに基づいて、前記二つの学習領域において学習された各保持制御ゲインの修正量を決定することを要旨とする。

0022

また請求項6に記載の発明は、請求項5記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、前記二つの学習領域において学習された各保持制御ゲインの修正量は、その保持制御ゲインが学習された学習領域の温度パラメータが、前記比較を行ったときの温度パラメータに近似するほど大きく設定されることを要旨とする。

0023

保持制御ゲインが真値からずれている場合、同保持制御ゲインを補間する二つの学習領域のうち、ずれが認識された保持制御ゲインに対応する温度パラメータが近い学習領域での学習値がそのずれに対してより大きな影響を及ぼしている。このように、ずれが認識された保持制御ゲインに対応する温度パラメータと、二つの学習領域での温度パラメータとの距離は、それぞれの学習領域での学習値による、ずれに対する相対的な寄与の度合いを反映するものである。この点、上記請求項5又は6に記載した発明の構成によれば、このずれに対する寄与の度合いを学習値の修正に反映させることにより修正の精度を一層高めることができるようになる。

発明を実施するための最良の形態

0024

以下、本発明を具体化した一実施の形態について、詳細に説明する。図1は、本実施の形態にかかるバルブタイミング制御装置が設けられたエンジン(内燃機関)の概略構成を示している。

0025

エンジン1のシリンダブロック3内に往復動可能に設けられたピストン30は、コネクティングロッド31を介し、エンジン1の出力軸であるクランクシャフト5に接続されている。そしてこのピストン30の往復運動に基づきクランクシャフト5が回転される。このクランクシャフト5の先端部にはクランクプーリ10及びクランク角検出用のクランク角ロータ11が設けられている。さらにこのクランク角ロータ11の外周には等間隔毎に歯が設けられている。クランク角センサ12は、その傍らを上記歯が通過する毎にパルス状の電気信号を電子制御装置27に対して出力する。なお、クランク角ロータ11外周の歯は1本分だけ欠け歯となっており、電子制御装置27は、この欠け歯部からのパルス数に基づいてクランクシャフト5の回転位相を把握している。また、電子制御装置27は、このクランク角センサ12の出力に基づきエンジン1の回転数エンジン回転数)NEを算出する。

0026

さらにクランクシャフト5の先端部には、同シャフト5の回転に基づき動作するオイルポンプ16が設けられている。このオイルポンプ16は、オイルパン4内に貯留されたオイル吸引し、このオイルを内燃機関1の潤滑部等に潤滑油として供給する。また、オイルポンプ16から供給されるオイルの一部はバルブタイミング制御装置の作動油としても使用される。なお、このバルブタイミング制御装置は油圧制御に基づきクランクシャフト5と吸気カムシャフト6との相対回転位相を可変とする装置であり、その詳細については後に説明する。

0027

オイルポンプ16より加圧吐出されたオイルの一部は、シリンダブロック3やシリンダヘッド2等に形成された供給油路21を介して油圧制御弁19に供給される。この油圧制御弁19は、シリンダヘッド2や吸気カムシャフト6内に形成された遅角油路23及び進角油路22を介して同吸気カムシャフト6の先端部に装着されたバルブタイミング可変機構20に対しその作動油を供給する。

0028

前記クランクプーリ10は、タイミングベルト15を介して吸気カムプーリ13及び排気カムプーリ14に駆動連結されている。このクランクプーリ10の吸気カムプーリ13あるいは排気カムプーリ14とのギア比は1:2となっており、クランクプーリ10が2回転する間に吸気カムプーリ13あるいは排気カムプーリ14は1回転される。吸気カムプーリ13は、吸気カムシャフト6の先端部にバルブタイミング可変機構20を介して同吸気カムシャフト6と相対回動可能に装着されている。すなわち、排気カムシャフト7がクランクシャフト5と同期して回転されるのに対して、吸気カムシャフト6とクランクシャフト5との相対回転位相はバルブタイミング可変機構20によって可変とされる。

0029

また、吸気カムシャフト6には同吸気カムシャフト6の回転位相を検出するためのカム角ロータ17が設けられており、その付近には電磁ピックアップからなるカム角センサ18が設けられている。カム角ロータ17の外周には1つの歯が形成されており、カム角センサ18は前記クランク角センサ12と同様に、この歯がその傍らを通過する毎にパルス状の電気信号を前記電子制御装置27に対して出力する。

0030

電子制御装置27は、このカム角センサ18の出力信号に基づき吸気カムシャフト6の回転位相を検出する。そして、上記クランク角センサ12の出力信号から把握されるクランクシャフト5の回転位相との対比によって、クランクシャフト5と吸気カムシャフト6との相対回転位相、すなわちバルブタイミング可変機構20の作動角を把握する。なお本実施の形態では、バルブタイミング可変機構20の作動角はバルブタイミングが進角するほど大きな値をとる構成となっている。

0031

また、吸気カムシャフト6及び排気カムシャフト7には、それぞれ複数の吸気カム8及び排気カム9が一体回転可能に設けられている。これら吸気カム8及び排気カム9は、その押圧に基づき吸気バルブ28及び排気バルブ29を開閉駆動する。すなわちこのエンジン1では、クランクシャフト5の回転位相に対して排気バルブ29のバルブタイミングは固定され、吸気バルブ28のバルブタイミングは可変とされる構成となっている。

0032

なお、電子制御装置27には、上述したクランク角センサ12やカム角センサ18からの出力信号のほか、シリンダブロック3内に形成された通路(図示略)内を循環する冷却水の温度(冷却水温)THWを検出する水温センサ24をはじめ、エンジン1の吸気通路(図示略)内の圧力(吸気圧)PMを検出する吸気圧センサ25、同吸気通路内に設けられたスロットルバルブ(図示略)の開度スロットル開度)TAを検出するスロットルセンサ26等、各種センサからの出力信号が入力される。

0033

次に、上記バルブタイミング制御装置について詳細に説明する。なお、このバルブタイミング制御装置は、大きくは油圧制御に基づき作動されるバルブタイミング可変機構20と、このバルブタイミング可変機構20に対して作動油を供給する油圧制御系とから構成されている。

0034

図2は、バルブタイミング可変機構20の側部断面構造及び油圧制御系の概略構成を、図3は同バルブタイミング可変機構20の正面断面構造を示している。同図2に示すように、内部ロータ40は吸気カムシャフト6の先端にセンタボルト46によって固定されることで上記吸気カムシャフト6と一体回転可能とされる。この内部ロータ40の外周には、図3に示すように複数の(本実施の形態では4枚の)ベーン41が放射状に形成されている。

0035

また、この内部ロータ40の外周を覆うようにハウジング42が、さらにその前面を覆うようにカバー45が設けられている。これらのハウジング42及びカバー45は、複数の取り付けボルト54により吸気カムプーリ13に固定されることで、該吸気カムプーリ13と一体回転可能とされる。なおハウジング42の内周には、図3に示すように前記内部ロータ40のベーン41と同数の凸部44が形成されており、隣り合った凸部44の間に形成された凹部43内にベーン41が収容されている。

0036

前記ベーン41の先端は凹部43の内周と摺接し、前記凸部44の先端は前記内部ロータ40の外周と摺接している。その結果、内部ロータ40及び吸気カムシャフト6と、吸気カムプーリ13及びハウジング42及び前面カバー45とは、互いに同一の軸心を中心として相対回動可能となる。

0037

また、前記凹部43には、ベーン41によって区画されることで2つの空間47,48が形成されている。以後、これら2つの空間47,48のうち、ベーン41に対して吸気カムシャフト6の回転方向側の空間47を遅角側油圧室、その反対側の空間48を進角側油圧室という。なお、バルブタイミング可変機構20は、これら各油圧室47,48内に供給される作動油の圧力制御(油圧制御)に基づき作動される。

0038

次に上記油圧室47,48内に供給される作動油の圧力を制御する油圧制御系の構成について図2に基づき説明する。オイルポンプ16は上記のように、クランクシャフト5の回転に基づき動作され、オイルパン4内の作動油を吸引し、供給油路21を介して油圧制御弁19に作動油を供給する。

0039

この油圧制御弁19はデューティ制御に基づき開度制御される4ポート弁であり、上記供給油路21に加え、作動油をオイルパン4に還流する2本の排出油路32と、上記バルブタイミング可変機構20の遅角側油圧室47に接続された遅角油路23と、進角側油圧室48に接続された進角油路22とが接続されている。油圧制御弁19は往復摺動可能に配設されたスプール35と、該スプール35を付勢するコイルスプリング34と、電圧印加されることにより上記スプール35を吸引する電磁ソレノイド33とを備えている。

0040

電磁ソレノイド33に印加される電圧は、電子制御装置27によってデューティ制御されている。電磁ソレノイド33の発生する吸引力は印加される電圧のデューティ比に応じて変化する。この電磁ソレノイド33が発生する吸引力とコイルスプリング34の付勢力との釣り合いによって、上記スプール35の位置が決められる。

0041

スプール35が移動することによって、遅角油路23及び進角油路22と供給油路21及び排出油路23との連通量が変化し、遅角油路23及び進角油路22に対して供給される作動油の量、あるいはこれら油路23,22より排出される作動油の量が変化する。なお本実施の形態の油圧制御弁19は、電磁ソレノイドに印加される電圧のデューティ比が大きいほど進角油路22に対する油圧供給量が増加し、デューティ比が小さいほど遅角油路23に対する油圧供給量が増加する構成となっている。このようにして上記遅角側油圧室47及び進角側油圧室48内の油圧を調節することにより、バルブタイミング可変機構20を作動させる。

0042

つづいて、このバルブタイミング可変機構20の作動制御について説明する。電子制御装置27は、上記クランク角センサ12等の各種センサの検出結果より把握されるエンジン1の運転状態に基づき、バルブタイミング可変機構20の作動角(バルブタイミング)の目標値(以下「目標バルブタイミング」という)vttを算出する。そして、電子制御装置27は、前記クランク角センサ12とカム角センサ18との出力信号から把握されるバルブタイミング可変機構20の実際の作動角(実作動バルブタイミング)vtと上記目標バルブタイミングvttとの比較に基づきデューティ比指令値を算出する。さらに、電子制御装置27は、この算出したデューティ指令値に応じたデューティ比の指令信号を油圧制御弁19の電磁ソレノイド33に印加する。こうして油圧制御弁19の開度を調節することで、バルブタイミング可変機構20の各油圧室47,48内の油圧を適宜調節し、同機構20を作動させる。上記のような態様で、電子制御装置27はバルブタイミング可変機構20の作動制御し、もって吸気バルブ28のバルブタイミングを変更制御する。

0043

さらにこのバルブタイミング制御は、上記実作動バルブタイミングvtを上記目標バルブタイミングに収束させるように行う通常のフィードバック制御の他、保持制御及びその保持制御のための学習制御を含む。保持制御とは、バルブタイミングを所定の位相に保持するよう油圧制御弁19を駆動するためのデューティ指令値を所定値(保持デューティ)に設定する制御であり、ここでいう学習制御とは、保持制御で得られた結果を評価し、正確な保持デューティを逐次更新・記憶していく制御である。

0044

ところで前述のように、エンジン1の始動時から暖機運転期間にかけては、エンジン各部の温度が過渡的に変動(上昇)するため、油圧用作動油の粘性や、上記バルブタイミング可変機構を構成する各部材間のクリアランスが大きく変動し、保持デューティに適合するデューティ指令値の変化も急激となる。

0045

このため、上記エンジン始動時から暖機運転期間においてバルブタイミング制御に十分な安定性や信頼性が得られなかったことも前述した通りである。そこで、本実施の形態の装置では、こうしたバルブタイミング制御について、以下に示す制御構造を採用することによって、エンジン始動時及び暖機運転期間といった、エンジンが低温状態にあるときや低温から高温への過渡状態にあるときの制御の安定性や信頼性の改善を図るようにしている。

0046

ここで先ず、本実施の形態において電子制御装置27が行うバルブタイミング制御について、その概要を説明する。電子制御装置27は、上記吸気バルブの実作動バルブタイミング(カムシャフトの実位相角)vtが目標値(目標バルブタイミング)vttに収束するよう制御するとともに、実作動バルブタイミングvtが目標バルブタイミングvttに十分近似したときには、そのときの実作動バルブタイミングvtが保持されるよう保持制御を行う。

0047

すなわち、先ず実作動バルブタイミングvtを目標バルブタイミングvttに収束させる制御に際し、電子制御装置27は、前述した態様で上記実作動バルブタイミングvt及び目標バルブタイミングvtt間の偏差|vtt−vt|を把握するとともに、この偏差|vtt−vt|が所定値β以上である場合には、油圧制御弁19を駆動するためのデューティ指令値を変更して実作動バルブタイミングvtが目標バルブタイミングvttに近づくようフィードバック制御する。

0048

一方、上記偏差|vtt−vt|が所定値β未満になると、実作動バルブタイミングvtが目標バルブタイミングvttに十分近似したものとみなし、実作動バルブタイミングvtを現在の値に保持するよう保持制御及びその学習制御を行う。

0049

保持制御及びその学習制御では、油圧制御弁19を駆動するためのデューティ指令値のうち、バルブタイミングを任意の位相角で保持させる値を保持デューティgdvthとして認識し、これを学習する。すなわち、電子制御装置27は、所定のデューティ比を指令値として、上記偏差|vtt−vt|がある範囲内に維持されると、そのときのデューティ比を保持デューティgdvthとして学習する。

0050

本実施の形態において、保持デューティgdvthは、冷却水温THWに基づいて区分された学習領域毎にその値が記憶・更新される。学習領域は、(1)エンジン始動時から始動時冷却水温決定時までの冷間学習領域、(2)暖機運転終了時以降の温間学習領域、及び(3)始動時冷却水温決定時から暖機運転終了時までの中間(補間)領域の三領域からなる。

0051

以下、(1)〜(3)それぞれの学習領域において、保持デューティgdvthがどのようにして記憶・更新されるのかその学習態様について図を参照して詳述する。

0052

図4には、冷却水温THWと保持デューティdgvthとの関係を示す。例えばエンジン1が始動すると、電子制御装置27は、始動時の冷却水温THWに適合する保持デューティgdvthを決定すべく、前回のエンジン始動時、すなわち冷間学習領域(1)において記憶した学習値を初期値として、新たな学習値を決定する。ここで、冷間学習領域おいて記憶される保持デューティgdvthの学習値を冷間時保持デューティgdvthcという。電子制御装置27は、冷間時保持デューティgdvthcが新たに更新・記憶されたときの冷却水温THWを始動時冷却水温THWstとして学習する。この始動時冷却水温THWstに対応する保持デューティgdvth、すなわち冷間時保持デューティgdvthcは、図4中において点P1として示される。

0053

一方、暖機運転終了時以降の温間学習領域(2)においては、適宜更新される保持デューティgdvthを温間時保持デューティgdvthhとして学習する。図4中において示すように、冷却水温THWが所定水温Cを上回る領域が温間時学習領域として設定される。ちなみに冷却水温THWがこの所定水温Cを上回ると、エンジン1のラジエータ(図示略)内に設けられるサーモスタット(図示略)が冷却水の循環路を開いて冷却水に放熱を開始させる。このため、暖機運転の終了後、通常冷却水温THWはこの所定水温C付近で安定することとなる。図4において点P2として示すように、所定水温Cに対応する保持デューティgdvthが温間時保持デューティgdvthhに相当するが、この温間時保持デューティは、厳密には所定水温C付近で微妙に変動を繰り返す冷却水温THWに応じ、エンジンが停止するまで更新を繰り返す。

0054

また、図4中において、点P1及び点P2間の領域は、上記始動時冷却水温決定時から暖機運転終了時までの中間(補間)領域(3)に相当する。この中間領域における保持デューティgdvthの決定は、以下のようにして行われる。

0055

すなわち、電子制御装置27は、エンジンの始動後、冷間時保持デューティgdvthcが新たに更新されると、この更新時の冷却水温THWを始動時冷却水温THWstとして記憶することは、前述した通りである。次に、前回のエンジンの運転終了時に記憶した温間時保持デューティgdvthhを、所定温度Cに対応する温間時保持デューティgdvthhの初期値として設定する。ここで、冷却水温THWから保持デューティgdvthを一義的に算出するための一次元マップを、基本的には図4の関係図と同様に設定すれば、点P1及び点P2が規定されることとなる。そこで、これら二点間の温度範囲を保持デューティgdvthの中間領域とし、この中間領域内では、冷却水温THWに対応する保持デューティgdvthを点P1及び点P2間を結ぶ線分(以下、補間基準線という)上で決定(補間)する。

0056

さらに電子制御装置27は、上記中間領域において補間される保持デューティgdvthによってもバルブタイミングが正確に保持されていないと判断した場合には、点P1及び点P2の変更を行う。言い換えれば、冷間時保持デューティgdvthc及び温間時保持デューティgdvthhを変更することにより、マップ上に設定された補間基準線を修正する。

0057

また、電子制御装置27は、中間領域において、バルブタイミングが正確に保持されていないと判断したときの冷却水温THWが始動時冷却水温に近いほど、冷間時保持デューティgdvthcの修正量を大きく設定し、温間時保持デューティgdvthhの修正量を小さく設定する。一方、同判断時の冷却水温THWが所定水温Cに近いほど、冷間時保持デューティgdvthcの修正量は小さく設定し、温間時保持デューティgdvthhの修正量は大きく設定する。本実施の形態において、この修正量の変更に関しては、保持デューティ更新反映率kgdvというパラメータを適用することとなるが、この保持デューティ更新反映率kgdvの算出方法に関しては、後述の具体的な制御手順ルーチン)の中で詳しく説明する。

0058

本実施の形態のバルブタイミング制御装置は、基本的には以上説明した態様で、冷却水温THWに基づいて区画した二つの学習領域及びその中間領域で適宜保持デューティgdvthの学習及び更新を行い、もって過渡状態をも含むあらゆる温度条件下でバルブタイミング制御の安定性及び信頼性を確保するものである。

0059

次に、上記バルブタイミングの保持制御及びその学習制御に関し、電子制御装置27によるその具体的な制御手順についてフローチャートを参照して説明する。

0060

図5及び図6に示すルーチンは、上記保持デューティgdvthを更新及び学習するための制御手順を示すフローチャートである。同ルーチンは、電子制御装置27を通じてエンジンの始動と同時にその実行が開始されるとともに、所定時間毎周期的に実行される。

0061

同ルーチンに処理が移行すると、電子制御装置27は先ず、ステップ101(図5)において、冷間時保持デューティ学習完了フラグxgdvが「1」に設定されているか否かを判断する。保持デューティ学習完了フラグxgdvは、エンジン始動時には初期状態として「0」に解除されているフラグである。同フラグxgdvは、先の図4で説明した冷間時保持デューティgdvthcがエンジン始動後新たに更新されたとき、すなわち点P1が決定されたとき、「1」に設定される。ちなみにその設定は、後述するステップ115(図6)において行われる。ここで、同ステップ101での判断が肯定であるということは、始動時冷却水温THWstに対応した冷間時保持デューティgdvthcがエンジン1の始動後一旦完了したことを意味し、電子制御装置27はその処理をステップ102に移行する。一方、同ステップでの判断が否定であるということは、エンジン1の始動後、冷間時保時デューティgdvthcが新たに確定していないこと、言い換えれば今だ学習中であることを意味し、電子制御装置27はその処理をステップ103に移行する。

0062

ステップ102においては、エンジン回転数NEをはじめ、スロットル開度TA、吸気圧PM等々エンジン1の運転状態を示すパラメータに基づいて目標バルブタイミングvttを演算する。

0063

他方、ステップ103においては、現在の冷却水温THWを始動時冷却水温THWstとして設定し、続くステップ104では目標バルブタイミングvttを所定値αに設定する。

0064

すなわち目標バルブタイミングvttは、冷間時保持デューティgdvthcの学習期間中(xgdv=「0」)には所定値αに固定されたままであり(ステップ104)、同学習が完了(xgdv=「1」)して初めて変更されるようになる(ステップ102)。これは、安定性及び信頼性の高い保持制御を行えるよう、補間基準線(図4を参照)の起点となる冷間時保持デューティgdvthc(点P1)の初期値を正確に学習するためである。

0065

次に、上記ステップ102及びステップ104のうち何れかを経た後は、処理をステップ105に移行する。同ステップ105においては、上記ステップ102または104で決定した目標バルブタイミングvttと実作動バルブタイミングvtとの差dlvttを算出する。実作動バルブタイミングvttは前述した通り、クランク角センサ12とカム角センサ18との出力信号から把握される。このステップ105において算出する差dlvttは、現在の実作動バルブタイミングvtが目標バルブタイミングvttにどの程度収束しているかを意味することとなる。

0066

続くステップ106においては、目標バルブタイミングvttの徐変値vttsm及び実作動バルブタイミングvtの徐変値vtsmをそれぞれ以下の演算式(i),(ii)に従って求め、更に演算式(iii)に従い両者間の差dlvttsmを算出する。

0067

vttsm= vttsmo+k×(vtt−vttsmo) …(i)
但し、
vttsmo:前回算出されたvttsm
k :徐変定数(0<k<1)
vtsm = vtsmo+K×(vt−vtsmo) …(ii)
但し、
vtsmo:前回算出されたvtsmo
K :徐変定数(0<K<1)
dlvttsm=vttsm−vtsm …(iii)
上記演算式(i)及び(ii)から明らかなように、徐変値vttsm及びvtsmは、それぞれが目標バルブタイミングvtt及び実作動バルブタイミングvtの前回値と今回値との中間にある値である。言い換えると、徐変値vttsm及びvtsmは、それぞれ目標バルブタイミングvtt及び実作動バルブタイミングvtの過去の履歴を反映しつつ、これらに追従していくパラメータであるといえる。

0068

そこで、電子制御装置27は、後続の処理において、上記ステップ105で算出する差dlttが所定範囲内にあれば、実作動バルブタイミングvtが目標バルブタイミングvttに十分近似していると認識し、これに加えてステップ106で算出する徐変値間の差dlttsmが所定範囲内にあれば、十分近似した状態をほぼ一定に維持していると認識する。

0069

すなわち、ステップ106での処理を経た後、続くステップ107においては、上記ステップ105で算出した目標バルブタイミングvttと実作動バルブタイミングvtとの差dlvttの絶対値|dlvtt|を両者の偏差として求め、同偏差が所定値βより小さいか否かを判断する。そしてその判断が否定であれば、本ルーチンを一旦抜ける。ちなみに、上記ステップ107において否定の判断が続く限り、電子制御装置27は、先のステップ102又は104で逐次更新される目標バルブタイミングvttに向かって実作動バルブタイミングvtを収束させる周知のフィードバック制御を別途のルーチンを通じて常時実行する。同実作動バルブタイミングvtのフィードバック制御に関する詳しい説明は、ここでは割愛する。

0070

一方、上記ステップ107での判断が肯定である場合、少なくとも現在、実作動バルブタイミングvtは目標バルブタイミングvttに十分近似していると認識して処理をステップ108に移行する。

0071

ステップ108においては、保持デューティ更新反映率kgdvを求める。保持デューティ更新反映率(以下、単に反映率という)kgdvは、補間基準線(図4を参照)を修正する場合に、冷間時保持デューティgdvthc及び温間時保持デューティgdvthhの修正量を調整するパラメータである。反映率kgdvは、現在の冷却水温THW及び始動時冷却水温THWstに基づき予め設定されたマップを参照して求める。反映率kgdvと、修正を行うとの判断がなされたときの冷却水温THWとのマップ上における関係は、図7に示す通りである。同図7に示すように、例えば補間基準線を修正すると判断したときの冷却水温THWが高くなって所定水温Cに近くほど、反映率kgdvは大きく設定され、所定水温Cにおける「1」を上限値としてそれ以上の高温では一定(kgdv=1)となる。また、反映率kgdvの下限値は、始動時水温THWstに対応する「0」である。反映率kgdvの算出後、電子制御装置27はその処理をステップ109(図6)に移行する。

0072

ステップ109〜ステップ113にかけての一連の処理では、上記ステップ106で求めた目標バルブタイミングvttの徐変値vttsm及び実作動バルブタイミングvtの徐変値vtsm間の差dlvttsmが所定の範囲内にある場合(ケース1)、所定範囲の上限値を上回っている場合(ケース2)、所定範囲の下限値を下回っている場合(ケース3)のうちの何れかを認識し、それぞれのケースに対応する処理を行う。

0073

すなわち、ステップ109においては、差dlvttsmが所定値d(d>0)を上回っている否かを判断し、その判断が肯定であれば処理をステップ110にに移行する。ここで所定値dは、上記所定範囲の上限値に相当し、同ステップ109での判断が肯定である場合は上記「ケース2」に相当する。この場合、補間基準線(図4を参照)の修正を行うべく、ステップ110において冷間時保持デューティgdvthc及び温間時保持デューティgdvthhそれぞれに今回加算する更新量dlgdvthc,dlgdvthhを算出する。更新量dlgdvthcは予め設定された基準更新量eに先のステップ108で求めた反映率kgdvを乗算した値、更新量dlgdvthhは反映率kgdvを「1」から減算した値となる(図6のステップ110を参照)。すなわち反映率kgdvの大きさに対応し、一方の更新量dlgdvthcが大きく設定されるほど、他の更新量dlgdvthhは小さく設定されることとなる。当然、一方の更新量dlgdvthcが小さく設定されるほど、他の更新量dlgdvthhは大きく設定されることとなる。ステップ110を経た後、電子制御装置27はその処理をステップ113に移行する。

0074

一方、上記ステップ109における判断が否定である場合、処理はステップ111に移行される。ステップ111では、差dlvttsmが所定値−dを下回っているか否かを判断し、その判断が肯定であれば処理をステップ112に移行する。ここで、所定値−dは、上記所定範囲の下限値に相当する。すなわち、同ステップ111での判断が肯定である場合は上記「ケース3」に相当する。この場合、補間基準線(図4を参照)の修正を行うべく、ステップ111において冷間時保持デューティgdvthc及び温間時保持デューティgdvthhそれぞれに今回加算する更新量dlgdvthc,dlgdvthhを算出する。更新量dlgdvthc及びdlgdvthhを求めるための演算式は、上記ステップ110におけるものとほぼ同様のものである。ただし、ステップ111で求めるそれぞれの更新量dlgdvthc,dlgdvthhは、ステップ110で求めるものとは正負の符号が反対になる点で異なる。その後、電子制御装置27はその処理をステップ113に移行する。

0075

他方、ステップ111での判断が否定である場合は上記「ケース1」に相当する。この場合、処理を直接ステップ113に移行する。すなわち、上記ステップ111での判断が否定であった場合、ステップ110若しくはステップ112を経た場合、いずれの場合も処理をステップ113に移行する。

0076

ステップ113では、今回求めた更新量dlgdvthc及びdlgdvthhをそれぞれ前回の冷間時保持デューティgdvthc及び温間時保持デューティgdvthhに加算することにより、補間基準線(図4参照)の修正を行う。ただし、先のステップ111での判断が否定であった場合、更新量dlgdvthc及びdlgdvthhはいずれも「0」に設定される。すなわち、目標バルブタイミングvttの徐変値vttsm及び実作動バルブタイミングvtの徐変値vtsm間の差dlvttsmが所定の範囲内にある場合(ケース1)に相当するので、実作動バルブタイミングvtは目標バルブタイミングvttに十分近似した状態で維持されていると認識し、補間基準線(図4参照)の修正は行わない。

0077

続くステップ114においては、上記の差dlvttsmが、所定値−dから所定値dの範囲内にあったか否かを判断する。言い換えると、目標バルブタイミングvttの徐変値vttsm及び実作動バルブタイミングvtの徐変値vtsm間の関係が、ケース1に相当していたか否かを判断する。そしてその判断が肯定であれば、ステップ115において保持デューティ学習完了フラグxgdvを「1」に設定した後ステップ116に移行する。一方、ステップ114での判断が否定である場合には、直接ステップ116にジャンプする。

0078

ステップ116においては、今回ステップ113で算出した冷間時保持デューティgdvthc及び温間時保持デューティgdvthhから、最新の補間基準線(図4参照)を確定する。そして、現在の冷却水温THWに対応する保持デューティgdvthを図4に相当するマップ上から決定する。ただし、現在の冷却水温が図4中の中間領域がはずれている場合には、冷間学習領域、又は温間学習領域に対応して、それぞれ冷間時保持デューティgdvthc、又は温間時保持デューティgdvthhがそのまま保持デューティgdvthとして適用されることになる。

0079

上記処理手順に基づき、本ルーチンでは、エンジン1の始動後、冷却水温THWによって規定される各学習領域において、保持デューティgdvthの更新及び学習を実行する。

0080

ここで、従来のバルブタイミング制御装置では、エンジン1の始動直後や、それに続く暖機運転期間といった機関温度の過渡期間においても、保持デューティの学習に際して特別な考慮を払わず、暖機後の通常の運転時と同様の保持デューティの同様の学習態様を適用していた。

0081

このため、とくにエンジンの始動時から暖機運転期間にかけての運転領域において、エンジン各部の温度の過渡的な変動等による油圧用作動油の粘性やバルブタイミング可変機構を構成する各部材間のクリアランスの変化に起因し、適切な保持デューティを得るための制御性を損なうこととなっていた。

0082

この点、上記態様でバルブタイミング制御を行う本実施の形態のバルブタイミング制御装置によれば、保持デューティgdvthの学習領域を保持デューティの変動に相関性の高いエンジン1の冷却水温THWに応じて区画することにより、油圧用作動油の粘性やバルブタイミング可変機構20を構成する各部材間のクリアランスが異なる各領域において、それぞれ最適な保持デューティgdvthを得ることができる。

0083

とくに本実施の形態の制御装置では、エンジン1の始動直後、先ず始動時の冷却水温THWstに対応する冷間時保持デューティgdvthcの学習を行った上で、前回、暖機後に学習した温間時保持デューティgdvthhと併せて、中間領域での保持デューティを補間することとしている。このため、作動油の粘性やバルブタイミング可変機構20の部材間クリアランスが温間時と比べてもっとも異なるエンジン始動時においても、信頼性の高い保持デューティgdvthを得られ、続く機関温度の過渡期間(中間領域)においても、保持デューティgdvthの正確な補間が行える。

0084

さらに、本実施の形態では、上記中間領域においても保持デューティgdvthの正確性を常時モニタし、必要に応じて補間基準線(図4参照)の書き換え(修正)を行うようにしているため、中間領域において補間される保持デューティgdvthの信頼性が好適に維持される。

0085

またさらに、この補間基準線の修正にあたり、修正の決定がなされた冷却水温に応じて、各点P1,P2(図4参照)の修正にかかる修正量(更新反映率kgdv)を変更するため、修正の精度も一層高まる。

0086

このように、本実施の形態のバルブタイミング制御装置によれば、以下のような効果が奏せられる。
(1)機関温度がエンジン始動時の低温状態を含むいかなる温度状態にあろうとも、常時最適な保持デューティgdvthを得ることができる。

0087

(2)冷間時から温間時への移行期間(中間領域)にあたる機関温度の過渡状態においても、保持制御が正確になされる。
(3)また上記移行期間中、保持デューティの精度にずれが生じたとしても、このずれを的確に修正することができるようになる。

0088

なお、本実施の形態では、始動時の冷間学習領域、暖機終了後の温間学習領域といった、保持デューティの学習を行うための二つの学習領域と、両者の中間領域(補間領域)を設定することとしたが、この他、例えば冷却水温THWの調節を行う冷却装置仕様によっては、機関温度の範囲をさらに多数設定することにより、それぞれの機関温度の範囲に応じて3種類以上の学習領域と、これら学習領域の中間領域(補間領域)を設定することもできる。

0089

また、本実施の形態において、中間領域において適用する補間基準線(図4参照)は、点P1と点P2とを両端とする直線(冷却水温THWの一次関数)として設定したが、実験等によって得られるデータに基づいて、他の近似式関数を設定することもできる。

0090

また、中間領域において一旦設定した補間基準線の書き換え(修正)は行わなくても、本実施の形態に準じた効果を得ることはできる。また、本実施の形態では、学習領域を規定するための温度パラメータとしてエンジン1の冷却水温THWを採用したが、例えば作動油温や機関吸入空気の始動後積算量など、機関温度を代表しうる他のパラメータを採用してもよい。

0091

また、バルブタイミング可変機構20は、吸気カムシャフト6側ではなく排気カムシャフト7側に、あるいは吸気カムシャフト6及び排気カムシャフト7の両方に設ける構成としてもよい。

0092

また、本実施の形態では、いわゆるベーン式バルブタイミング可変機構20を備えるバルブタイミング制御装置について説明したが、他の作動原理に基づくバルブタイミング可変機構、例えばヘリカルスプライン式バルブタイミング可変機構などを備えるバルブタイミング制御装置にあっても、油圧制御に基づき同様のバルブタイミング制御を行う装置であれば、上記と同様の制御態様を適用することができる。

発明の効果

0093

請求項1に記載の発明によれば、機関温度の過渡条件下において、バルブタイミング可変機構の構成要素を含む機関各部の部材間クリアランスや作動油の粘性等の変動が激しい場合であれ、保持制御の制御性を高く維持することができるようになる。

0094

請求項2に記載の発明によれば、機関温度の変化が過渡的な中間領域の保持制御ゲインを正確に補間することができるようになる。請求項3に記載の発明によれば、機関温度との相関性が高く、また容易に得られる機関冷却水温を適用することにより、制御の精度や簡便性が向上するようになる。

0095

請求項4に記載の発明によれば、補間演算される保持制御ゲインにずれ生じた場合であれ、これを正確に修正し、もって中間領域における制御の信頼性が常時好適に維持されれるようになる。

0096

請求項5又は6に記載した発明によれば、中間領域における保持制御ゲインのずれに対する相対的な寄与の度合いを基準値としての二つの学習値それぞれの修正に反映させることにより修正の精度を一層高めることができるようになる。

図面の簡単な説明

0097

図1本発明の一実施形態にかかるバルブタイミング制御装置が設けられたエンジンの概要を示す略図。
図2バルブタイミング可変機構の側部断面構造を主に示す断面図。
図3同バルブタイミング可変機構の正面断面構造を示す断面図。
図4冷却水温と保持デューティとの関係を示すグラフ
図5同実施形態のバルブタイミング制御手順を示すフローチャート。
図6同実施形態のバルブタイミング制御手順を示すフローチャート。
図7冷却水温と保持デューティ更新反映率との関係を示すグラフ。

--

0098

1…エンジン、2…シリンダヘッド、3…シリンダブロック、4…オイルパン、5…クランクシャフト、6…吸気カムシャフト、7…排気カムシャフト、8…吸気カム、9…排気カム、10…クランクプーリ、11…クランク角ロータ、12…クランク角センサ、13…クランクプーリ、14…排気カムプーリ、16…オイルポンプ、17…カム角ロータ、18…カム角センサ、19…油圧制御弁、20…バルブタイミング可変機構、21…供給油路、22…進角油路、23…遅角油路、24…水温センサ、25…吸気圧センサ、26…スロットルセンサ、27…電子制御装置、28…吸気バルブ、29…排気バルブ、30…ピストン、31…コネクティングロッド、33…電磁ソレノイド、34…コイルスプリング、35…スプール、40…内部ロータ、41…ベーン、42…ハウジング、43…凹部、44…凸部、45…カバー、46…センタボルト、47…遅角側油圧室、48…進角側油圧室、54…取り付けボルト。

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