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技術 燃料電池用固体高分子電解質膜およびその製造方法および燃料電池

出願人 アイシン精機株式会社
発明者 加藤充明
出願日 1999年1月27日 (21年1ヶ月経過) 出願番号 1999-018312
公開日 2000年8月11日 (19年7ヶ月経過) 公開番号 2000-223136
状態 未査定
技術分野 燃料電池(本体)
主要キーワード 漏れチェック リング周辺 くし膜 運転寿命 力学的ストレス 樹脂製マスク 電極外周 ABS樹脂
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (2)

課題

電池出力を低下させることなく、電池運転時に起こるガスシールパッキン電極外周周辺での膜破れを防ぎ、特に固体高分子電解質膜の水による膨潤・乾燥に伴う膨張収縮による膜破れを防ぐ。

解決手段

電極31、32で挟持して接合された燃料電池用固体高分子電解質膜2において、該固体高分子電解質膜の電極との接合部以外の部分22の含水率が、電極との接合部21のそれよりも小さいことを特徴とする燃料電池用固体高分子電解質膜2およびその製造方法および該燃料電池用固体高分子電解質膜2を電極31、32で挟持した固体高分子電解質膜と電極の接合体10をセパレータ41、42で挟持したことを特徴とする燃料電池

概要

背景

燃料電池は、一般的に多数のセルが積層されており、該セルは、二つの電極燃料極酸化剤極)で電解質を挟んだ構造をしている。

前記燃料極では燃料ガス中水素触媒に接触することにより下記の反応が生ずる。

概要

電池出力を低下させることなく、電池運転時に起こるガスシールパッキン電極外周周辺での膜破れを防ぎ、特に固体高分子電解質膜の水による膨潤・乾燥に伴う膨張収縮による膜破れを防ぐ。

電極31、32で挟持して接合された燃料電池用固体高分子電解質膜2において、該固体高分子電解質膜の電極との接合部以外の部分22の含水率が、電極との接合部21のそれよりも小さいことを特徴とする燃料電池用固体高分子電解質膜2およびその製造方法および該燃料電池用固体高分子電解質膜2を電極31、32で挟持した固体高分子電解質膜と電極の接合体10をセパレータ41、42で挟持したことを特徴とする燃料電池。

目的

本発明は上記課題を解決したもので、電池出力を低下させることなく、電池運転時に起こるガスシール用パッキンや電極外周部周辺での膜破れを防ぎ、特に固体高分子電解質膜の水による膨潤・乾燥に伴う膨張・収縮による膜破れを防ぎ、耐久性の大きい固体高分子電解質膜およびその製造方法および信頼性の高い燃料電池を提供する。

効果

実績

技術文献被引用数
4件
牽制数
3件

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請求項1

電極で挟持して接合された燃料電池用固体高分子電解質膜において、該固体高分子電解質膜の電極との接合部以外の部分の含水率が、電極との接合部のそれよりも小さいことを特徴とする燃料電池用固体高分子電解質膜。

請求項2

電極で挟持して接合された燃料電池用固体高分子電解質膜において、該固体高分子電解質膜の電極との接合部以外の部分のイオン交換容量が、電極との接合部のそれよりも小さいことを特徴とする燃料電池用固体高分子電解質膜。

請求項3

前記電極との接合部以外の部分のイオン交換基含有量が、前記電極との接合部のそれよりも少ないことを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池用固体高分子電解質膜。

請求項4

前記電極との接合部以外の部分の架橋量が、前記電極との接合部のそれよりも多いことを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池用固体高分子電解質膜。

請求項5

炭化フッ素系樹脂炭化水素系樹脂、炭化フッ素系樹脂と炭化水素系樹脂の共重合体のいずれかを原料として、グラフト反応スルホン化反応またはスルホン化反応により製造する燃料電池用固体高分子電解質膜の製造方法において、前記グラフト反応、スルホン化反応の少なくとも一方の製造工程時に前記固体高分子電解質膜の電極との接合部以外の部分にマスキングを施しながら行うことを特徴とする燃料電池用固体高分子電解質膜の製造方法。

請求項6

炭化フッ素系樹脂、炭化水素系樹脂、炭化フッ素系樹脂と炭化水素系樹脂の共重合体を原料として、放射線または電子線を照射後、グラフト反応、スルホン化反応により製造する燃料電池用固体高分子電解質膜の製造方法において、放射線または電子線の照射後に前記固体高分子電解質膜の電極との接合部以外の部分を加熱処理することを特徴とする燃料電池用固体高分子電解質膜の製造方法。

請求項7

炭化フッ素系樹脂、炭化水素系樹脂、炭化フッ素系樹脂と炭化水素系樹脂の共重合体を原料として、放射線または電子線を照射後、グラフト反応、スルホン化反応により製造する燃料電池用固体高分子電解質膜の製造方法において、該固体高分子電解質膜の電極との接合部以外の部分をマスキングしながら放射線または電子線を照射することを特徴とする燃料電池用固体高分子電解質膜の製造方法。

請求項8

炭化フッ素系樹脂、炭化水素系樹脂、炭化フッ素系樹脂と炭化水素系樹脂の共重合体を原料として、スルホン化反応により製造する燃料電池用固体高分子電解質膜の製造方法において、スルホン化反応後、前記固体高分子電解質膜の電極との接合部以外の部分を加熱することにより架橋を形成することを特徴とする燃料電池用固体高分子電解質膜の製造方法。

請求項9

請求項1ないし8に記載の燃料電池用固体高分子電解質膜を電極で挟持した固体高分子電解質膜と電極の接合体セパレータで挟持したことを特徴とする燃料電池

技術分野

0001

本発明は燃料電池用固体高分子電解質膜およびその製造方法および燃料電池に関する。

背景技術

0002

燃料電池は、一般的に多数のセルが積層されており、該セルは、二つの電極燃料極酸化剤極)で電解質を挟んだ構造をしている。

0003

前記燃料極では燃料ガス中水素触媒に接触することにより下記の反応が生ずる。

0004

2H2 → 4H+ +4e− ・・・(1)
H+は、電解質中を移動し酸化剤極触媒に達し酸化剤ガス中酸素と反応して水となる。

0005

4H+ +4e− +O2 → 2H2O ・・・(2)
上記の反応により水素と酸素を使用して電気化学反応発電し、水以外の排出物がなくクリーン発電装置として注目されている。

0006

大気汚染をできる限り減らすために自動車排ガス対策が重要になっており、その対策の一つとして電気自動車が使用されているが、充電設備走行距離などの問題で普及に至っていない。燃料電池を使用した自動車が最も将来性のあるクリーンな自動車であると見られている。

0007

前記燃料電池の中でも固体高分子電解質型燃料電池低温で作動するため自動車用として最も有望である。該固体高分子電解質型燃料電池の電解質は固体高分子電解質膜である。

0008

前記燃料電池が広く普及するために、燃料電池の主要構成部品である固体高分子電解質膜の機械的強度の向上と化学的定性の向上による耐久性の向上と出力性能の向上およびコストの低下が必要である。

0009

燃料電池の出力性能を上げる方法の一つとして固体高分子電解質膜の膜厚を薄くする方法があるが、機械的強度の低下が背反として起こる。電池内の固体高分子電解質膜は電池の運転・停止によって熱履歴(約80℃〜室温)を受け、また水による膨潤と乾燥を繰り返す。これによって固体高分子電解質膜は膨張収縮を繰り返すことになる。

0010

一方、ガスシールパッキン電極接合部分はパッキンや電極によって拘束されているので固体高分子電解質膜の膨張と収縮は起こらない。これにより、ガスシール用パッキンや電極外周部の周辺で膜の膨張と収縮によって膜に力学的ストレスがかかり膜破れが生じやすくなる。この膜破れは電池内の水素と酸素のガスリークを招き、電池出力の低下、さらには電池の破損へとつながる。従って、むやみに固体高分子電解質膜を薄膜化することはできない。

0011

従来技術として、特開平9−283163には、電極部に対応する内側中央部分の膜厚は薄くするが、電極部に対応しない外周側部分の膜厚を薄くしない固体高分子電解質膜の膜構造が開示されている。本従来技術は、パッキン周辺の膜の引っ張り強度を低下させることなく電池性能を確保しようとしている。

発明が解決しようとする課題

0012

しかしながら、従来技術の膜構造では外周側部分にもイオン交換機能を有するため、水による膨潤・乾燥に伴う膜の膨張・収縮が起こる。さらに、膜の膨張・収縮量は熱によるものよりも膨潤・乾燥によるものの方がはるかに大きい。また、パッキン周辺だけでなく電極外周部周辺でも同様に膜破れが生じやすいが、従来技術のように該電極外周部周辺で膜厚が大きく変化しているとかえって膜破れの原因となってしまう。よって、この構成では膜破れに対しては十分な効果は得られない。また、この膜を製作するのに低真空中のアッシング処理で内側中央部分のみの膜厚を減らしているが、この製造方法では生産性に劣り高コストとなる。

0013

本発明は上記課題を解決したもので、電池出力を低下させることなく、電池運転時に起こるガスシール用パッキンや電極外周部周辺での膜破れを防ぎ、特に固体高分子電解質膜の水による膨潤・乾燥に伴う膨張・収縮による膜破れを防ぎ、耐久性の大きい固体高分子電解質膜およびその製造方法および信頼性の高い燃料電池を提供する。

課題を解決するための手段

0014

上記技術的課題を解決するために、本発明の請求項1において講じた技術的手段(以下、第1の技術的手段と称する。)は、電極で挟持して接合された燃料電池用固体高分子電解質膜において、該固体高分子電解質膜の電極との接合部以外の部分の含水率が、電極との接合部のそれよりも小さいことを特徴とする燃料電池用固体高分子電解質膜である。

0015

上記第1の技術的手段による効果は、以下のようである。

0016

即ち、固体高分子電解質膜の電極との接合部以外の部分の含水率が小さいので、この部分の水による膨潤・乾燥に伴う膨張・収縮を小さくし膜破れを防ぐことができる。

0017

上記技術的課題を解決するために、本発明の請求項2において講じた技術的手段(以下、第2の技術的手段と称する。)は、電極で挟持して接合された燃料電池用固体高分子電解質膜において、該固体高分子電解質膜の電極との接合部以外の部分のイオン交換容量が、電極との接合部のそれよりも小さいことを特徴とする燃料電池用固体高分子電解質膜である。

0018

上記第2の技術的手段による効果は、以下のようである。

0019

即ち、イオン交換容量が小さいと含水率を小さくすることができるので、固体高分子電解質膜の電極との接合部以外の部分の水による膨潤・乾燥に伴う膨張・収縮を小さくし膜破れを防ぐことができる。

0020

上記技術的課題を解決するために、本発明の請求項3において講じた技術的手段(以下、第3の技術的手段と称する。)は、前記電極との接合部以外の部分のイオン交換基含有量が、前記電極との接合部のそれよりも少ないことを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池用固体高分子電解質膜である。

0021

上記第3の技術的手段による効果は、以下のようである。

0022

即ち、イオン交換基の含有量が少ないとイオン交換容量を小さくし含水率を小さくすることができるので、固体高分子電解質膜の電極との接合部以外の部分の水による膨潤・乾燥に伴う膨張・収縮を小さくし膜破れを防ぐことができる。

0023

上記技術的課題を解決するために、本発明の請求項4において講じた技術的手段(以下、第4の技術的手段と称する。)は、前記電極との接合部以外の部分の架橋量が、前記電極との接合部のそれよりも多いことを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池用固体高分子電解質膜である。

0024

上記第4の技術的手段による効果は、以下のようである。

0025

即ち、架橋量を多くすることにより含水率を小さくすることができるので、固体高分子電解質膜の電極との接合部以外の部分の水による膨潤・乾燥に伴う膨張・収縮を小さくし膜破れを防ぐことができる。

0026

上記技術的課題を解決するために、本発明の請求項5において講じた技術的手段(以下、第5の技術的手段と称する。)は、炭化フッ素系樹脂炭化水素系樹脂、炭化フッ素系樹脂と炭化水素系樹脂の共重合体のいずれかを原料として、グラフト反応スルホン化反応またはスルホン化反応により製造する燃料電池用固体高分子電解質膜の製造方法において、前記グラフト反応、スルホン化反応の少なくとも一方の製造工程時に前記固体高分子電解質膜の電極との接合部以外の部分にマスキングを施しながら行うことを特徴とする燃料電池用固体高分子電解質膜の製造方法である。

0027

上記第5の技術的手段による効果は、以下のようである。

0028

即ち、固体高分子電解質膜の電極との接合部以外の部分はグラフト反応、スルホン化反応の少なくとも一方の反応が行われないので、この部分のイオン交換基が少なくなり請求項3と同様、膜破れを防ぐことができる。

0029

上記技術的課題を解決するために、本発明の請求項6において講じた技術的手段(以下、第6の技術的手段と称する。)は、炭化フッ素系樹脂、炭化水素系樹脂、炭化フッ素系樹脂と炭化水素系樹脂の共重合体を原料として、放射線または電子線を照射後、グラフト反応、スルホン化反応により製造する燃料電池用固体高分子電解質膜の製造方法において、放射線または電子線の照射後に前記固体高分子電解質膜の電極との接合部以外の部分を加熱処理することを特徴とする燃料電池用固体高分子電解質膜の製造方法である。

0030

上記第6の技術的手段による効果は、以下のようである。

0031

即ち、放射線または電子線の照射後に、固体高分子電解質膜の電極との接合部以外の部分の加熱処理により、この部分のラジカルが少なくなるので、製造された固体高分子電解質膜の前記部分のイオン交換基が少なくなり請求項3と同様、膜破れを防ぐことができる。

0032

上記技術的課題を解決するために、本発明の請求項7において講じた技術的手段(以下、第7の技術的手段と称する。)は、炭化フッ素系樹脂、炭化水素系樹脂、炭化フッ素系樹脂と炭化水素系樹脂の共重合体を原料として、放射線または電子線を照射後、グラフト反応、スルホン化反応により製造する燃料電池用固体高分子電解質膜の製造方法において、該固体高分子電解質膜の電極との接合部以外の部分をマスキングしながら放射線または電子線を照射することを特徴とする燃料電池用固体高分子電解質膜の製造方法である。

0033

上記第7の技術的手段による効果は、以下のようである。

0034

即ち、固体高分子電解質膜の電極との接合部以外の部分のラジカル生成が妨げられるので、この部分のラジカルが少なくなり請求項6と同様、膜破れを防ぐことができる。

0035

上記技術的課題を解決するために、本発明の請求項8において講じた技術的手段(以下、第8の技術的手段と称する。)は、炭化フッ素系樹脂、炭化水素系樹脂、炭化フッ素系樹脂と炭化水素系樹脂の共重合体を原料として、スルホン化反応により製造する燃料電池用固体高分子電解質膜の製造方法において、スルホン化反応後、前記固体高分子電解質膜の電極との接合部以外の部分を加熱することにより架橋を形成することを特徴とする燃料電池用固体高分子電解質膜の製造方法である。

0036

上記第8の技術的手段による効果は、以下のようである。

0037

即ち、スルホン化反応後、固体高分子電解質膜の電極との接合部以外の部分を加熱することにより架橋を形成し、この部分の架橋量を多くすることができるので、請求項4と同様、膜破れを防ぐことができる。

0038

上記技術的課題を解決するために、本発明の請求項9において講じた技術的手段(以下、第9の技術的手段と称する。)は、請求項1または2に記載の燃料電池用固体高分子電解質膜を電極で挟持した固体高分子電解質膜と電極の接合体セパレータで挟持したことを特徴とする燃料電池である。

0039

上記第9の技術的手段による効果は、以下のようである。

0040

即ち、水による膨潤・乾燥による膜破れを防ぐことができる固体高分子電解質膜を使用しているので、信頼性の高い燃料電池ができる。

発明を実施するための最良の形態

0041

本発明の燃料電池用固体高分子電解質膜は、電極との接合部以外の部分の含水率が、電極との接合部のそれよりも小さいことを特徴とするものである。

0042

燃料電池に組み込まれた固体高分子電解質膜の中で、電極との接合部以外の部分は発電には直接関係しないので基本的にはイオン交換機能を持たなくてもよい。そこで、この部分にイオン交換機能即ち吸水機能を持たない、あるいは電極との接合部部分よりもこの機能を低く抑えることによって、水による膨潤・乾燥に伴う膜の膨張・収縮を抑えることができる。これによって膜の膨張・収縮が拘束されているガスシール用パッキンや電極接合部分との膜の膨張・収縮量の差がなくなるかまたは非常に小さくなるので、膜に加わる力学的ストレスもなくなるかまたは非常に小さくなるため膜破れは生じなくなる。

0043

固体高分子電解質膜の中で電極との接合部以外の部分にイオン交換機能あるいは吸水機能を持たせない、あるいは電極との接合部部分よりもこの機能を低く抑える方法としては、固体高分子電解質膜の製造工程で電極との接合部以外の部分にはイオン交換基を導入しない、あるいはイオン交換基の導入量を低く抑える、あるいはイオン交換基は導入するが架橋部を導入することによって吸水機能を低く抑えるようにする。

0044

固体高分子電解質膜の製造工程で電極との接合部以外の部分にはイオン交換基を導入しない方法としては、イオン交換基導入の反応工程またはこの反応の前工程で電極接合部以外の部分にマスキング等をすることによってイオン交換基を導入することができないようにする等の方法が挙げられる。

0045

例えば、ポリエチレンテトラフルオロエチレン)またはポリ(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン)等へのスチレン放射線グラフト重合後にスルホン化反応でスルホン酸基を導入して固体高分子電解質膜を製作する場合、ポリ(エチレン−テトラフルオロエチレン)等に放射線であるγ線または電子線を照射してラジカルを生成させる工程、あるいはスチレンをポリ(エチレン−テトラフルオロエチレン)等にグラフト重合させる工程、あるいはグラフトしたスチレンにスルホン酸基を導入する工程のいずれかにおいて、金属製あるいは樹脂製マスク、またはストリッパブルペイントのような剥がすことが可能な液状固化マスキング剤等を電極接合部以外の部分に装着または塗布して行うことで得ることができる。そのほかにγ線または電子線を照射してラジカルを生成させた後、電極接合部以外の部分にのみ熱を加えてラジカルを死滅させる方法もある。

0046

固体高分子電解質膜の製造工程でイオン交換基は導入するが架橋部を導入することによって吸水機能を低く抑える方法については、例えばスルホン酸基を有する固体高分子電解質膜では電極接合部以外の部分にのみ熱を加えて式(3)または式(4)のような反応を起こし架橋を形成させる方法等がある。すべてのスルホン酸基を架橋型にしなくとも架橋が成形されることによって吸水機能は下げることは可能である。

0047

0048

0049

固体高分子電解質膜の電極との接合部以外の部分の吸水能力を低く抑えることによって水による膨潤・乾燥に伴う固体高分子電解質膜の膨張・収縮が小さくなることで、電極との接合部やガスシール用パッキン部のように固体高分子電解質膜が拘束されている部分との間に発生する力学的ストレスが小さくなる。これにより膜破れが防ぐことができ燃料電池の運転寿命伸びる。

0050

なお、原料のフィルム状の樹脂としては、炭化フッ素系樹脂、炭化水素系樹脂および炭化フッ素系樹脂と炭化水素系樹脂の共重合体がある。このうち炭化フッ素系樹脂としてはポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体ポリクロロトリフルオロエチレンなどがある。

0051

また炭化水素系樹脂としてはポリエチレンポリプロピレンポリスチレンポリブタジエンポリアクリロニトリルABS樹脂、SB樹脂、AS樹脂、AES樹脂、ポリアセタールナイロン6ポリ塩化ビニリデンポリ−1−ブテンポリイソブチレンポリイソプレンなどがある。さらに炭化フッ素系樹脂と炭化水素系樹脂の共重合体としては上記の炭化フッ素系樹脂と炭化水素系樹脂の共重合体(例えばポリエチレン−テトラフルオロエチレンなど)およびポリフッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン共重合体などがある。

0052

以下、本発明の実施例について説明する。

0053

(実施例1)膜厚25μmの炭化フッ素系樹脂と炭化水素系樹脂の共重合体であるポリ(エチレン−テトラフルオロエチレン)フィルムに20kGyの線量のγ線を窒素中、常温下で照射した。前記フィルムをスチレンモノマ中に60℃で2時間浸すことにより、ポリ(エチレン−テトラフルオロエチレン)にスチレン鎖をグラフトした。

0054

このフィルムを乾燥後、電極との接合部以外の部分にメタルマスクグラフト膜の両面から装着、締め付けた後、クロルスルホン酸30容積部と1,2−ジクロロエタン100容積部の混合液中に、50℃、1時間浸漬した。乾燥後の前記フィルムを90℃のイオン交換水中に1時間浸漬した。さらに90℃の新しいイオン交換水で2時間洗浄し固体高分子電解質膜を得た。

0055

このようにして得られた固体高分子電解質膜のイオン交換容量は、電極との接合部に対応するところで1.77ミリ当量/g、80℃での含水率は75重量%であり、接合部以外の部分は両値ともゼロであった。

0056

図1は本発明の実施例の固体高分子電解質膜を使用した固体高分子電解質型燃料電池単セルの概略断面図である。2が固体高分子電解質膜、31、32は電極であり、31は酸化剤極、32は燃料極である。前記固体高分子電解質膜2の大きさは185mm×145mmである。前記電極31、32の大きさは172mm×132mmである。前記固体高分子電解質膜2を前記電極31、32で挟んで、160℃、80kgf/cm2の圧力で60秒間ホットプレスして固体高分子電解質膜と電極との接合体10を作製した。

0057

前記固体高分子電解質膜2の21は該固体高分子電解質膜2の電極との接合部であり、22は該固体高分子電解質膜2の電極との接合部21以外の部分である。41は酸化剤ガス通流溝51を有するセパレータであり、42は燃料ガス通流溝52を有するセパレータである。

0058

前記固体高分子電解質型燃料電池単セル1は、前記固体高分子電解質膜と電極との接合体10を前記セパレータ41、42で挟んだ構造をしている。前記固体高分子電解質膜の電極との接合部以外の部分22を利用してガスシール用パッキンの役割を持つOリング6により酸化剤ガスおよび燃料ガスをシールしている。前記酸化剤ガス通流溝51に酸化剤ガスを、前記燃料ガス通流溝52に燃料ガスを流すことにより発電する。

0059

ここでは固体高分子電解質膜2の耐久性を試験するために、前記酸化剤ガス通流溝51および前記燃料ガス通流溝52に80℃の水と80℃の乾燥空気を各々15分ごとに流すことによって、前記固体高分子電解質膜2に膨潤と乾燥のサイクルを加えた。この試験の500サイクル後、1000サイクル後に一方の通流溝の空間に1kgf/cm2の空気圧をかけてから密閉空間にした後の圧力降下を測ることによって、膜破れの有無を調べ耐久性を試験した。

0060

(実施例2)膜厚25μmの炭化フッ素系樹脂と炭化水素系樹脂の共重合体であるポリ(エチレン−テトラフルオロエチレン)フィルムに20kGyの線量のγ線を窒素中、常温下で照射した。前記フィルムの電極との接合部をドライアイスで冷却しながら、該フィルムの電極との接合部以外の部分に120℃、5分間熱を加えることによってこの部分のラジカル量を減らした。

0061

このフィルムをスチレンモノマ中に60℃で2時間浸すことにより、ポリ(エチレン−テトラフルオロエチレン)にスチレン鎖をグラフトした。このフィルムを乾燥後、クロルスルホン酸30容積部と1,2−ジクロロエタン100容積部の混合液中に、50℃、1時間浸した。乾燥後のフィルムを90℃のイオン交換水中に1時間浸漬した。さらに90℃の新しいイオン交換水で2時間洗浄し固体高分子電解質膜を得た。

0062

このようにして得られた固体高分子電解質膜のイオン交換容量は、電極との接合部に対応するところで1.76ミリ当量/g、80℃での含水率は73重量%であり、接合部以外の部分の各値は0.5ミリ当量/g以下、10重量%以下であった。固体高分子電解質膜の耐久性の試験は実施例1と同じ方法で行った。

0063

なお、本実施例ではγ線照射後、電極との接合部以外の部分を加熱してこの部分のラジカル量を減らしているが、前記γ線照射時に電極との接合部以外の部分をマスキングしてこの部分にラジカルを発生しないようにして製造してもよい。

0064

(実施例3)膜厚25μmの炭化フッ素系樹脂と炭化水素系樹脂の共重合体であるポリ(エチレン−テトラフルオロエチレン)フィルムに20kGyの線量のγ線を窒素中、常温下で照射した。前記フィルムをスチレンモノマ中に60℃で2時間浸すことにより、ポリ(エチレン−テトラフルオロエチレン)にスチレン鎖をグラフトした。

0065

このフィルムを乾燥後、クロルスルホン酸30容積部と1,2−ジクロロエタン100容積部の混合液中に、50℃、1時間浸した。乾燥後のフィルムを90℃のイオン交換水中に1時間浸漬した。さらに90℃の新しいイオン交換水で2時間洗浄し固体高分子電解質膜を得た。

0066

得られた固体高分子電解質膜の電極との接合部は水で冷却しながら、接合部以外の部分に250℃、10分間熱を加えることによってその部分に架橋を形成させた。

0067

このようにして得られた固体高分子電解質膜のイオン交換容量は、電極との接合部に対応するところで1.77ミリ当量/g、80℃での含水率は72重量%であり、接合部以外の部分の各値は1.15ミリ当量/g、48重量%であった。固体高分子電解質膜の耐久性の試験は実施例1と同じ方法で行った。

0068

(比較例)実施例3の最後に行った加熱による架橋形成は実施しないが、それ以外の条件は実施例3と同じ方法で製造して固体高分子電解質膜を得た。

0069

このようにして得られた固体高分子電解質膜のイオン交換容量、80℃での含水率は該固体高分子電解質膜中でほぼ均一で、それぞれ1.78ミリ当量/g、75重量%であった。固体高分子電解質膜の耐久性の試験は実施例1と同じ方法で行った。

0070

耐久性試験結果)耐久性試験の結果、実施例1〜3の固体高分子電解質膜を備えた燃料電池では、500サイクル後と1000サイクル後とも圧力降下はなく、かつ固体高分子電解質膜を観察したが膜破れは見られなかった。一方、比較例の固体高分子電解質膜を備えた燃料電池では、500サイクル試験後漏れチェックをしたところ圧力降下があり、かつ固体高分子電解質膜を観察したところ電極外周部とOリング周辺に膜破れが見られた。

0071

実施例と比較例の結果から、電極との接合部に対応する部分以外の固体高分子電解質膜の含水率が、電極との接合部に対応する部分の固体高分子電解質膜のそれよりも小さくなっているので、水による膨潤・乾燥に伴う膜の膨張・収縮を抑えられるため、ガスシール用パッキンや電極外周部周辺での膜破れを防ぎ、燃料電池の寿命を長くすることが可能となる。

0072

また、固体高分子電解質膜は非常に容易な製造工程で得ることが可能である。なお、本実施例および比較例では原料のフィルムとしてポリ(エチレン−テトラフルオロエチレン)フィルムを使用しているが、他の炭化フッ素系樹脂、炭化水素系樹脂、炭化フッ素系樹脂と炭化水素系樹脂の共重合体のフィルムでも同じ効果が得られる。

発明の効果

0073

以上のように、本発明は、電極で挟持して接合された燃料電池用固体高分子電解質膜において、該固体高分子電解質膜の電極との接合部以外の部分の含水率が、電極との接合部のそれよりも小さいことを特徴とする燃料電池用固体高分子電解質膜およびその製造方法および該燃料電池用固体高分子電解質膜を電極で挟持した固体高分子電解質膜と電極の接合体をセパレータで挟持したことを特徴とする燃料電池であるので、電池出力を低下させることなく、電池運転時に起こるガスシール用パッキンや電極外周部周辺での膜破れを防ぎ、特に固体高分子電解質膜の水による膨潤・乾燥に伴う膨張・収縮による膜破れを防ぎ、耐久性の大きい固体高分子電解質膜およびその製造方法および信頼性の高い燃料電池を提供することができる。

図面の簡単な説明

0074

図1本発明の実施例の固体高分子電解質膜を使用した固体高分子電解質型燃料電池単セルの概略断面図

--

0075

1…固体高分子電解質型燃料電池単セル
2…固体高分子電解質膜
6…Oリング
10…固体高分子電解質膜と電極との接合体
21…固体高分子電解質膜の電極との接合部
22…固体高分子電解質膜の電極との接合部以外の部分
31、32…電極
41、42…セパレータ
51…酸化剤ガス通流溝
52…燃料ガス通流溝

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