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技術 接合部材およびタ—ビン部材

出願人 三菱重工業株式会社
発明者 鉄井利光京谷美智男
出願日 1999年1月5日 (21年5ヶ月経過) 出願番号 1999-000673
公開日 2000年7月25日 (19年11ヶ月経過) 公開番号 2000-202683
状態 特許登録済
技術分野 溶接材料およびその製造 はんだ付・ろう付 溶融はんだ付
主要キーワード 亀裂開口 特殊プロセス ロウ付け部分 ラメラー組織 残部不可避的不純物 TiAl相 品質評価結果 ロウ付け強度
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この項目の情報は公開日時点(2000年7月25日)のものです。
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図面 (7)

課題

線膨張係数差異による接合部の疲労破壊を防止し、また、シャフト曲げモーメント負荷された場合にも亀裂の進展が生じにくい接合構造を有するタービン部材の提供を課題とする。

解決手段

TiAl系金属間化合物基合金からなる凸状接続部1aを有するタービンホイール1と、前記タービンホイール1の凸状接続部1aに嵌合する凹状接続部を有する中間材3と、中間材3に接続されるシャフト2とからなり、タービンホイール1と中間材3とはロウ材により接合され、室温〜前記タービン部材の使用温度における前記合金平均線膨張係数をα1、中間材3を構成する材料の平均線膨張係数をβ1、室温〜ロウ付け温度における前記合金の平均線膨張係数をα2、中間材3を構成する材料の平均線膨張係数をβ2とすると、使用温度<ロウ付け温度の場合で、α1>β1、α2<β2の条件を満足することを特徴とする。

概要

背景

近年の環境問題への関心の高まりから、乗用車トラック船舶などの輸送機械に用いられる過給器の性能向上が、またジェットエンジン産業用ガスタービンなどの効率の向上が求められている。上記製品の性能、効率を支配する重要な構成要素の一つはタービンであり、近年このタービンに対し、過渡応答特性の向上、タービン入り口温度高温化および高速回転化などが求められている。この3つの要望に対してタービンホイールタービンディスクタービンブレードなどの回転部材を構成する材料の改良が望まれているが、タービン入り口温度の高温化および高速回転化については、前記回転部材に現在使用されているNi基超合金ベースにする場合、クリープ強度を含めた高温強度のさらなる向上が必要である。しかし、組成的な面から現状のNi基超合金の高温強度向上望むことはほとんど困難であり、単結晶化といった特殊プロセスによる高温強度向上の検討が進められている。この特殊プロセスの採用は、ジェットエンジンブレードなどの高価な少量生産品については上記方策も有効であるが、乗用車用小型過給器などの複雑形状の量産品ではコスト的に適用が困難である。また、過渡応答特性については、Ni基超合金の比重がその組成に拘わらず約8〜9であるため、その向上を図ることはできない。

Ni基超合金に替わり以上の3つの性能向上に有望な材料として金属間化合物TiAlを主相とする合金(本明細書中では、TiAl系金属間化合物基合金という)が注目を集めている。この合金は、比重が約4と軽量であることから慣性モーメントが小さくなり、過渡応答特性の向上が期待できる。また、回転部材では負荷される応力は比重で除した比強度を考慮すればよいため、TiAl系金属間化合物基合金の比重がNi基超合金の約1/2であることから、高温強度がNi基超合金の1/2以上あれば、タービン入り口温度の高温化、高速回転化が可能となる。

TiAl系金属間化合物基合金のタービンホイールを小型過給機に組み込む場合、タービンホイールそのものはロストワックス法といった精密鋳造によりニアネットで作成できるため問題ないが、このタービンホイールを構造用鋼からなるシャフト接合する接合の技術が重要となる。

この接合技術について、特公平8−18151号、あるいは特開平2−157403号が新規な提案を行っている。つまり、特公平8−18151号は、TiAl系金属間化合物基合金と構造用鋼の接合において、タービンホイールとシャフトの間にオーステナイト系ステンレス鋼耐熱鋼、Ni基またはCo基の超合金からなる中間材を配置し、各々の接合を摩擦溶接で行う接合方法を提案している。図5はこの方法で接合したターボチャージャホットホイールの構成を示す断面図であり、1がタービンホイール、2がシャフト、3が中間材である。

また、特開平2−157403号は、TiAl系金属間化合物基合金と中間材の接合は摩擦接合で、中間材とシャフトとの接合は電子ビーム溶接で行うこと接合方法を提案している。そして、中間材としては、TiAl系金属間化合物基合金と接合性の良好なインコロイ903(商品名)を用いることが推奨されている。図6はこの方法で接合したターボチャージャのホットホイールの構成を示す断面図であり、1がタービンホイール、2がシャフト、3が中間材、4が中間部であり、またAはTiAl系金属間化合物基合金と中間材との接合部、Bは中間材とシャフトとの接合部である。

概要

線膨張係数差異による接合部の疲労破壊を防止し、また、シャフトに曲げモーメントが負荷された場合にも亀裂の進展が生じにくい接合構造を有するタービン部材の提供を課題とする。

TiAl系金属間化合物基合金からなる凸状接続部1aを有するタービンホイール1と、前記タービンホイール1の凸状接続部1aに嵌合する凹状接続部を有する中間材3と、中間材3に接続されるシャフト2とからなり、タービンホイール1と中間材3とはロウ材により接合され、室温〜前記タービン部材の使用温度における前記合金の平均線膨張係数をα1、中間材3を構成する材料の平均線膨張係数をβ1、室温〜ロウ付け温度における前記合金の平均線膨張係数をα2、中間材3を構成する材料の平均線膨張係数をβ2とすると、使用温度<ロウ付け温度の場合で、α1>β1、α2<β2の条件を満足することを特徴とする。

目的

そこで本発明は、線膨張係数の差異による接合部の疲労破壊を防止し、また、シャフトに曲げモーメントが負荷された場合にも亀裂の進展が生じにくい接合構造を有する接合部材の提供を課題とする。また本発明は、そのような接合構造を有するタービン部材の提供を課題とする。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

TiAl系金属間化合物基合金からなる基部と、前記基部に接合される軸部とからなる接合部材において、前記基部と前記軸部との接合面の一方に凸部を、他方に凹部を形成し、前記凸部と凹部とが嵌合された状態でロウ材により接合され、前記基部と前記軸部との軸方向における接合面には強度の大きい第1のロウ材を用い、周方向における接合面には前記第1のロウ材より強度の小さい第2のロウ材を用いることを特徴とする接合部材。

請求項2

前記第1のロウ材が金ロウ、前記第2のロウ材が銀ロウである請求項1に記載の接合部材。

請求項3

前記TiAl系金属間化合物基合金が、原子%で、Al:44.5〜48.5%、Nb:5〜9.5%、Cr:0.5〜2%、Si:0.1〜0.4%、Ni:0.2〜0.4以下、残部不可避的不純物およびTiからなる組成を有する請求項1または2に記載の接合部材。

請求項4

TiAl系金属間化合物基合金からなる凸状接続部を有する基部と、前記基部の凸状接続部に嵌合する凹状接続部を有する軸部とからなる接合部材において、前記基部と前記軸部とはロウ材により接合され、室温〜前記接合部材の使用温度における前記TiAl系金属間化合物基合金の平均線膨張係数をα1、前記軸部を構成する材料の平均線膨張係数をβ1、室温〜ロウ付け温度における前記TiAl系金属間化合物基合金の平均線膨張係数をα2、前記軸部を構成する材料の平均線膨張係数をβ2とすると、使用温度<ロウ付け温度の場合で、α1>β1、α2<β2の条件を満足することを特徴とする接合部材。

請求項5

前記軸部に構造用鋼からなる軸本体が接合されている請求項4に記載の接合部材。

請求項6

前記基部と前記軸部との軸方向における接合面には強度の大きい第1のロウ材を用い、周方向における接合面には前記第1のロウ材より強度の小さい第2のロウ材を用いる請求項4又は5に記載の接合部材。

請求項7

前記第1のロウ材が金ロウ、前記第2のロウ材が銀ロウである請求項6に記載の接合部材。

請求項8

前記TiAl系金属間化合物基合金が、原子%で、Al:44.5〜48.5%、Nb:5〜9.5%、Cr:0.5〜2%、Si:0.1〜0.4%、Ni:0.2〜0.4以下、残部不可避的不純物およびTiからなる組成を有する請求項1〜7のいずれかに記載の接合部材。

請求項9

TiAl系金属間化合物基合金からなるタービンホイールと、前記タービンホイールに接合されるシャフトとからなるタービン部材において、前記タービンホイールと前シャフトとの接合面の一方に凸部を、他方に凹部を形成し、前記凸部と凹部とが嵌合された状態でロウ材により接合され、前記タービンホイールと前記シャフトとの軸方向における接合面には強度の大きい第1のロウ材を用い、周方向における接合面には前記第1のロウ材より強度の小さい第2のロウ材を用いることを特徴とするタービン部材。

請求項10

TiAl系金属間化合物基合金からなる凸状接続部を有するタービンホイールと、前記タービンホイールの凸状接続部に嵌合する凹状接続部を有する中間材と、中間材に接続されるシャフトとからなるタービン部材において、前記タービンホイールと前記中間材とはロウ材により接合され、室温〜前記タービン部材の使用温度における前記TiAl系金属間化合物基合金の平均線膨張係数をα1、前記中間材を構成する材料の平均線膨張係数をβ1、室温〜ロウ付け温度における前記TiAl系金属間化合物基合金の平均線膨張係数をα2、前記中間財を構成する材料の平均線膨張係数をβ2とすると、使用温度<ロウ付け温度の場合で、α1>β1、α2<β2の条件を満足することを特徴とするタービン部材。

技術分野

0001

本発明は乗用車トラック用小型過給器タービンホイールおよび船舶用大型過給器、ジェットエンジン産業用ガスタービンブレ−ド等の回転部材に関し、特にTiAl系金属間化合物基合金と他の材料とが接合された部材に関するものである。

背景技術

0002

近年の環境問題への関心の高まりから、乗用車、トラック、船舶などの輸送機械に用いられる過給器の性能向上が、またジェットエンジン、産業用ガスタービンなどの効率の向上が求められている。上記製品の性能、効率を支配する重要な構成要素の一つはタービンであり、近年このタービンに対し、過渡応答特性の向上、タービン入り口温度高温化および高速回転化などが求められている。この3つの要望に対してタービンホイール、タービンディスクタービンブレードなどの回転部材を構成する材料の改良が望まれているが、タービン入り口温度の高温化および高速回転化については、前記回転部材に現在使用されているNi基超合金ベースにする場合、クリープ強度を含めた高温強度のさらなる向上が必要である。しかし、組成的な面から現状のNi基超合金の高温強度向上望むことはほとんど困難であり、単結晶化といった特殊プロセスによる高温強度向上の検討が進められている。この特殊プロセスの採用は、ジェットエンジンブレードなどの高価な少量生産品については上記方策も有効であるが、乗用車用小型過給器などの複雑形状の量産品ではコスト的に適用が困難である。また、過渡応答特性については、Ni基超合金の比重がその組成に拘わらず約8〜9であるため、その向上を図ることはできない。

0003

Ni基超合金に替わり以上の3つの性能向上に有望な材料として金属間化合物TiAlを主相とする合金(本明細書中では、TiAl系金属間化合物基合金という)が注目を集めている。この合金は、比重が約4と軽量であることから慣性モーメントが小さくなり、過渡応答特性の向上が期待できる。また、回転部材では負荷される応力は比重で除した比強度を考慮すればよいため、TiAl系金属間化合物基合金の比重がNi基超合金の約1/2であることから、高温強度がNi基超合金の1/2以上あれば、タービン入り口温度の高温化、高速回転化が可能となる。

0004

TiAl系金属間化合物基合金のタービンホイールを小型過給機に組み込む場合、タービンホイールそのものはロストワックス法といった精密鋳造によりニアネットで作成できるため問題ないが、このタービンホイールを構造用鋼からなるシャフトに接合する接合の技術が重要となる。

0005

この接合技術について、特公平8−18151号、あるいは特開平2−157403号が新規な提案を行っている。つまり、特公平8−18151号は、TiAl系金属間化合物基合金と構造用鋼の接合において、タービンホイールとシャフトの間にオーステナイト系ステンレス鋼耐熱鋼、Ni基またはCo基の超合金からなる中間材を配置し、各々の接合を摩擦溶接で行う接合方法を提案している。図5はこの方法で接合したターボチャージャホットホイールの構成を示す断面図であり、1がタービンホイール、2がシャフト、3が中間材である。

0006

また、特開平2−157403号は、TiAl系金属間化合物基合金と中間材の接合は摩擦接合で、中間材とシャフトとの接合は電子ビーム溶接で行うこと接合方法を提案している。そして、中間材としては、TiAl系金属間化合物基合金と接合性の良好なインコロイ903(商品名)を用いることが推奨されている。図6はこの方法で接合したターボチャージャのホットホイールの構成を示す断面図であり、1がタービンホイール、2がシャフト、3が中間材、4が中間部であり、またAはTiAl系金属間化合物基合金と中間材との接合部、Bは中間材とシャフトとの接合部である。

発明が解決しようとする課題

0007

前記特公平8−18151号の提案においては、中間材とシャフトとの摩擦接合は従来から実績のある接合方法であり問題はないものの、TiAl系金属間化合物基合金と中間材との摩擦接合には以下のような問題がある。すなわち、前記特公平8−18151号で採用されている中間材はいずれもTiAl系金属間化合物基合金に比べると線膨張係数が大きい(中間材:13〜20×10-6/℃、TiAl系金属間化合物基合金:9〜11×10-6/℃)ため、乗用車、トラックの小型過給機を想定した場合、その発停に伴いタービンには加熱、冷却の熱サイクルが負荷されるのに伴い、TiAl系金属間化合物基合金からなるタービンホイールと中間材との接合界面には、両者の線膨張係数の違いに起因する熱応力が負荷される。この熱応力は加熱、冷却、すなわち、小型過給機の発停の度に負荷されることから、乗用車、トラック等の現実使用状況に鑑みれば、小型過給機の使用時には非常に多大のサイクルの熱応力が負荷されることになる。摩擦接合部の靭性が良好であればこの熱応力の負荷に耐えうるが、TiAl系金属間化合物基合金自体が靭性に乏しいうえに、中間材との摩擦接合部はさらに脆くなっていることから、線膨張係数の差に起因する熱応力の多サイクル負荷は、摩擦接合部に疲労破壊を生じさせるおそれがある。特開平2−157403号においては、中間材を構成するインコロイ903(商品名)がTiAl系金属間化合物基合金と同等の線膨張係数を有しているため、特公平8−18151号のような線膨張係数の差異に基づく熱応力の負荷の問題は回避される。しかし、図6に示すように、タービンホイール1と中間材2との接合界面が、軸方向に垂直な平面であるため、製品の製造工程および使用中においてシャフト3に曲げモーメントが作用した場合、接合界面を開く方向の応力が負荷されてしまう。

0008

通常の金属材料同士の摩擦接合であれば、摩擦接合部自身に靭性があるため上記のような応力が負荷されても問題が生じないが、前述のように、TiAl系金属間化合物基合金と中間材との摩擦接合部は脆く、亀裂進展に対する抵抗KIC)が非常に小さいため、接合面と亀裂開口方向が一致する場合、接合部表面の微小欠陥、傷といった表面欠陥に敏感となる。つまり、シャフトに曲げモーメントが負荷された場合、微小な表面欠陥を起点として亀裂が接合界面を容易に進展し、最終的には接合部の破断に至るおそれがある。

0009

そこで本発明は、線膨張係数の差異による接合部の疲労破壊を防止し、また、シャフトに曲げモーメントが負荷された場合にも亀裂の進展が生じにくい接合構造を有する接合部材の提供を課題とする。また本発明は、そのような接合構造を有するタービン部材の提供を課題とする。

課題を解決するための手段

0010

本発明者は接合手段としてロウ付け前提として上記課題を解決するための検討を行った。そして、軸方向に垂直な面のみならず、周方向にも接合面を形成することにより、亀裂の進展を抑制することとした。この接合を実現する具体的構造として、接合部を構成する一方の部材に凹状接合部を、また、他方の部材に凸状接合部を形成し、この凹状接合部、凸状接合部を嵌合した状態でロウ付けすることが有効である。

0011

この際、用いるロウ材として、軸方向に垂直な面および周方向の接合面ともに同一のロウ材を用いることも可能であるが、周方向の接合面に強度の高いロウ材を用いると、その凝固時の収縮により発生する応力がロウ材の塑性変形緩和することなく、TiAl系金属間化合物基合金に負荷されることとなる。しかしながら TiAl系金属間化合物基合金は靭性が不十分であることから、この負荷応力によって亀裂が発生することが懸念される。従って 周方向の接合面には低強度のロウ材を用い、ロウ材自身の塑性変形で凝固時に発生する応力を緩和することとした。なお、軸方向に垂直な接合面においてはこの応力は負荷されないため、高温に長時間曝されるという本接合部の仕様に鑑み、耐久性維持のため高強度のロウ材を用いることとした。

0012

また、前記凸状接合部をTiAl系金属間化合物基合金からなる部材に、また凹状接合部を他方の部材に形成する場合、当該接合部材の使用温度ロウ付け温度の前提において、該他方の部材を、室温〜ロウ付け温度の平均線膨張係数がTiAl系金属間化合物基合金のロウ付け温度の線膨張より大きいが、室温〜当該接合部材が使用される温度の平均線膨張係数がTiAl系金属間化合物基合金のそれより小さい材料から構成することにより、欠陥を防止しロウ付け強度を増すとともに使用時における接合強度も十分に確保することができる。つまり、ロウ付け過程を考えてみると、まず室温において両部材の間にロウ材を挿入し、これをロウ材の融点以上となるロウ付け温度に昇温する。ロウ付け温度においてはこの挿入したロウ材が溶融することで、前記凸状接合部形状のTiAl系金属間化合物基合金からなる部材と凹状接合部形状の他方の部材の間の空隙がロウ材で満たされることとなる。次にロウ付け温度から室温までの冷却過程においてはいったん溶融したロウ材が再度凝固することとなるが、その際にはこの両部材とも収縮することとなる。ここで両部材の室温からロウ付け温度までの平均線膨張率の差によって、凹状接合部の収縮量は凸状接合部の収縮量より大きくなる。この作用によって室温における両部材間の空隙は、ロウ付け温度における空隙量よりも減少することとなる。したがって、冷却過程において空隙量の減少が生じることから、ロウ付け部の欠陥が発生しにくくなるとともに、いわゆる焼きばめの効果も発生し、ロウ付け強度を増すことができる。一方、当該接合部材の使用状況を考えてみると、使用温度においては室温から昇温することで両部材とも膨張することとなる。ここで両部材の室温から使用温度までの平均線膨張率の差によって、凸状接合部の膨張量は凹状接合部の膨張量より大きくなり、ロウ材で充填されている両者の間の空隙は減少する。このため、ロウ付け部には同様に焼きばめの効果も発生し、ロウ付け強度を増すことができる。そして、 TiAl系金属間化合物基合金との関係でこの線膨張率の条件を満足する材料としてインコロイ909(商品名)が掲げられる。インコロイ909の代表的な組成は、重量%で、Ni:38%、Co:13%、Fe:42%、Nb:4.7%、Ti:1.5%、Si:0.4%、Al:0.03%、C:0.01%である。

0013

本発明は以上の知見、思想に基づくものであり、TiAl系金属間化合物基合金からなる基部と、前記基部に接合される軸部とからなる接合部材において、前記基部と前記軸部との接合面の一方に凸部を、他方に凹部を形成し、前記凸部と凹部とが嵌合された状態でロウ材により接合され、前記基部と前記軸部との軸方向における接合面には強度の大きい第1のロウ材を用い、周方向における接合面には前記第1のロウ材より強度の小さい第2のロウ材を用いることを特徴とする接合部材である。

0014

本発明の接合体は、凸部と凹部とが嵌合した状態で接合しているので、その接合面は軸方向に垂直な面のみならず、周方向にも形成される。したがって、製造中あるいは使用中に軸に曲げモーメントが負荷された場合でも、接合面が軸方向に垂直な面にのみ形成された従来の接合構造に比べて接合部の表面欠陥からの亀裂進展を抑制することができる。

0015

また、前記基部と前記軸部との軸方向に垂直な接合面には強度の大きいロウ材を用いて接合強度を十分に確保する一方、周方向における接合面には相対的に強度の小さいロウ材を用いることにより、所定の接合強度を確保しつつTiAl系金属間化合物基合金からなる回転部材へのロウ材の収縮に伴う応力負荷を軽減している。なお、本発明は周方向における接合面の全面に第2のロウ材を用いる場合に限るものではなく、応力負荷の問題が生じない範囲で第1のロウ材を周方向における接合面に用いてもよい。また、強度の大きい第1のロウ材としてはJIS BAu−12に代表される金ロウ、強度の小さい第2のロウ材としてはJIS BAg−8に代表される銀ロウを用いることが望ましい。

0016

本発明ではTiAl系金属間化合物基合金の組成を限定するものではないが、原子%で、Al:44.5〜48.5%、Nb:5〜9.5%、Cr:0.5〜2%、Si:0.1〜0.4%、Ni:0.2〜0.4以下、残部不可避的不純物およびTiからなる組成を有するTiAl系金属間化合物基合金を用いるのが望ましい。この組成を有する合金は、製造方法を特定することにより、γ-TiAl相(以下、γ相)およびα2-Ti3Al相(以下、α2相)からなるラメラー組織とγ相の2相組織、またはラメラー組織、γ相およびβ相を呈する相(以下、β相)の3相組織を有し、優れた耐酸化性、高温強度、靭・延性を得ることができる。

0017

また、本発明によれば、TiAl系金属間化合物基合金からなる凸状接続部を有する基部と、前記基部の凸状接続部に嵌合する凹状接続部を有する軸部とからなる接合部材において、前記基部と前記軸部とはロウ材により接合され、室温〜前記接合部材の使用温度における前記TiAl系金属間化合物基合金の平均線膨張係数をα1、前記軸部を構成する材料の平均線膨張係数をβ1、室温〜ロウ付け温度における前記TiAl系金属間化合物基合金の平均線膨張係数をα2、前記軸部を構成する材料の平均線膨張係数をβ2とすると、α1>β1、α2<β2の条件を満足することを特徴とする接合部材が提供される。

0018

この接合部材は、TiAl系金属間化合物基合金からなる基部の凸状接続部と、前記軸部の凹状接続部とを嵌合した状態で接合するので、その接合面は軸方向に垂直な面のみならず、周方向にも形成されるので、接合面が軸方向に垂直な面にのみ形成された従来の接合構造に比べて接合部の表面欠陥からの亀裂進展を抑制することができる。

0019

また、室温〜前記接合部材の使用温度における前記TiAl系金属間化合物基合金の平均線膨張係数をα1、前記軸部の平均線膨張係数をβ1、室温〜ロウ付け温度における前記TiAl系金属間化合物基合金の平均線膨張係数をα2、前記軸部の平均線膨張係数をβ2とすると、前記軸部がα1>β1、α2<β2の条件を満足する材料から構成されているので、ロウ付け時、例えば金ロウのBAu−12でのロウ付け温度の940℃から室温までの冷却過程において、前記軸部の線膨張が大きいので、 TiAl系金属間化合物基合金からなる基部との空隙が減少することで、ロウ付け欠陥の防止とともに焼きばめの効果で接合強度を増すことができる。一方、実際の使用時の温度、例えば小型過給機のタービンの場合での接合部付近の温度である約450℃においては前記軸部の線膨張が小さいので、ロウ付け部を圧縮する方向に応力が生じて、接合強度の確保に有益となる。

0020

前述のように、このような条件を満足するとともに、所定の耐熱性を有する材料としてインコロイ909(商品名)がある。インコロイ909およびTiAl系金属間化合物基合金の線膨張係数を図3に示す。図3に示すように、約700℃まではTiAl系金属間化合物基合金の室温からの平均線膨張係数が大きいが、この温度を超えるとインコロイ909の方が室温からの線膨張係数が大きくなる。

0021

本発明において、前記軸部に構造用鋼からなる軸本体を接続することもできる。この場合、前記軸部が、図5図6で示した従来の接合構造の中間材に該当することになる。もちろん軸部が軸本体と一体で構成されていても構わない。この場合、構造用鋼の室温からの平均線膨張率は温度に係らずTiAl系金属間化合物基合金よりは大きいことから、ロウ付け時の冷却過程での欠陥防止と接合強度向上の効果はインコロイ909と同様であるが、使用時における接合強度の向上の効果は期待することはできない。また、前述した前期基部と前記軸部との軸方向における接合面には強度の大きいロウ材を用い、周方向における接合面には相対的に強度の小さいロウ材を用いることによる効果は構造用鋼を用いた場合でも同じである。

0022

また、TiAl系金属間化合物基合金としては、原子%で、Al:44.5〜48.5%、Nb:5〜9.5%、Cr:0.5〜2%、Si:0.1〜0.4%、Ni:0.2〜0.4以下、残部不可避的不純物およびTiからなる組成を有するTiAl系金属間化合物基合金を用いるのが望ましいことは前述したとおりである。

0023

ここで上記組成範囲とする理由を述べておく。
Al:Alは本系合金の主たる構成元素であり、Tiとともに金属間化合物相を形成する。Alの濃度が44.5%未満では常温における延性が低下する。一方、48.5%を超えると高温強度が低下してしまう。したがって、44.5〜48.5%とする。

0024

Nb:Nbは耐酸化性の向上、さらには高温強度を向上させる働きを有する。小型過給機タービンの場合,接合部の温度は約450℃であるが、タービンホイール先端の温度は最低でも800℃になるため、この温度で長時間使用される用途を考えると、添加量が5%未満では耐酸化性、高温強度の向上に効果がない。一方、9.5%を超えると常温延性が低下する。したがって5〜9.5%とする。なお、6%未満では一般的な小型過給機の使用環境である850℃程度の温度域における耐酸化性が不十分であり、また、8.5%を超えても添加量に応じた耐酸化性が得られないとともに比重が増加するため、6〜8.5%とすることが望ましい。

0025

Cr:Crは常温における靭・延性向上を目的として添加する。0.5%未満では常温における靭・延性の向上が不十分であり、一方、2%を超えると高温強度を低下させる。したがって、本発明においては、0.5〜2%とする。望ましいCrの量は、0.7〜1.3%である。

0026

Si:Siは耐酸化性向上とともにクリープ強度を向上させる働きがある。添加量が0.1%未満では添加効果が十分でなく、一方、0.4%を超えると常温における靭・延性が低下する。したがって、0.1〜0.4%とする。望ましいSiの量は0.15〜0.35%である。

0027

Ni:Niは耐酸化性および高温強度の向上を目的として添加させる。添加量が0.2%未満では添加効果が不十分であり、一方、0.4%を超えると常温における靭・延性が低下する。したがって、0.2〜0.4%とする。望ましいNiの量は、0.25〜0.35%である。

0028

その他:上記構成元素以外は不可避的不純物およびTiからなるが、不純物元素のうちO(酸素)が合金中に1000ppmを超え含まれていると、靭性を低下させるため、Oは1000ppm以下に規制することが推奨される。

0029

以上の組成からる合金を後述する方法により製造すると、γ相およびα2相からなるラメラー組織とγ相の2相組織、またはラメラー組織、γ相およびβ相の3相組織となる。このような2相組織または3相組織とすることにより、γ相、β相が、ラメラー組織の粗大化を防止する効果を発現する。次に前述したTiAl系金属間化合物基合金を例に本発明接合部材の好適な製造方法について説明する。まず、原子%で、Al:44.5〜48.5%、Nb:5〜9.5%、Cr:0.5〜2%、Si:0.1〜0.4%、Ni:0.2〜0.4以下、残部不可避的不純物およびTiからなる合金を溶解、鋳造する。溶解方法鋳造方法については従来公知の方法が適用できる。例えば、小型過給機のタービンホイールを対象とする場合には、溶解方法として高周波溶解法を、また鋳造方法としてロストワックス法を適用することができる。

0030

次に、得られた鋳造物熱間静水圧プレス処理を施す。この熱間静水圧プレス処理は、鋳造物が比較的大きい場合には鋳造物中になどの鋳造欠陥が存在していることがあり、この鋳造欠陥を消滅させる目的で行うものである。したがって、鋳造欠陥が生じにくい小寸法製品を対象とするときは省略しても構わない。

0031

熱間静水圧プレス処理の条件は、加熱温度:1200〜1300℃、圧力:1100〜1300atm、処理時間:0.5〜3時間とすることが望ましい。温度が1200℃未満では鋳造欠陥を消滅させるためには不十分であり、また、1300℃を超えると表面酸化による汚染が無視できないためである。なお、むろん熱間静水圧プレス処理はアルゴン等の非酸化雰囲気で行うが、加圧するためガス中不純物として存在する酸素の分圧が高くなり、温度が高くなると表面に若干の酸化が生じる。この際、対象製品が表面を除去できるものであれば問題ないが、小型過給機のタービンホイールなどの鋳物の表面をそのまま使用し、しかもが非常に薄いものではこの酸化は望ましくない。圧力が1100atm未満では鋳造欠陥を消滅させるためには不十分であり、また、1300atmを超えると効果が飽和する反面、これが可能な熱間静水圧プレスの装置が限られるなどの制約があるためである。処理時間は、0.5時間未満では鋳造欠陥を消滅させるためには不十分であり、また、3時間を超えても効果が飽和する反面処理コストがかかるためである。

0032

熱間静水圧プレス処理後、不活性雰囲気下で、1300〜1400℃、10〜100分加熱保持した後急冷する熱処理を施す。熱処理雰囲気を非酸化雰囲気とするのは、鋳造物の酸化防止のためである。ここで非酸化雰囲気とは、真空またはAr等の不活性ガス中をいう。また、加熱温度を1300〜1400℃とするのは、この温度範囲で本発明の組織、つまりラメラー組織、γ相およびβ相の3相組織が安定して得られるからである。なお、1300℃未満ではγ相およびβ相の微細2相組織からなる低強度な組織、1400℃を超えるとラメラー単相の粗大組織からなる低延性の組織となる傾向が強い。したがって、加熱温度は1340〜1380℃とすることが望ましい。さらに、加熱保持時間が10分未満では加熱温度が本発明範囲内であっても所望の組織を得ることができず、また、所望の組織を得るためには100分程度の保持で十分であり、それを超える保持はエネルギーの浪費となるため、加熱保持時間は10〜100分がよい。より望ましい加熱保持時間は15〜70分である。

0033

以上の加熱保持の後に、急冷処理する。この急冷処理により、冷却後の鋳造物の組織は前述の2層組織又は3相組織となる。この急冷処理は、加熱保持が真空または不活性ガス雰囲気下で行われているが、所定の加熱時間経過後に加熱を解除するとともに、真空下で加熱保持していた場合には加熱炉中に不活性ガスを導入するとともにそのガス撹拌させるか、不活性ガス雰囲気下で加熱保持していた場合には加熱炉中の不活性ガスを撹拌するかあるいは新たに加熱炉中に不活性ガスを導入するとともそのガスを撹拌すればよい。このような熱処理を実行することが可能な熱処理炉として、真空ガスファンクーリング熱処理炉(以下、GFCと称す)がある。但し、急冷処理はこれら態様に限るものではなく、所定の加熱保持後に熱処理炉から取り出して空冷する、あるいは他のチャンバー内に移動させた後にこのチャンバー内に不活性ガスを導入、吹付ける等の手段であってもよい。

発明を実施するための最良の形態

0034

実験例>最適なロウ付け条件を設定するために行った実験について説明する。図4の(a)(b)に示すような試験片を用い、ロウ付け部の品質、即ちロウ付け欠陥の有無と、ロウ付け部の室温と450℃における継手強度を評価した。ロウ付けする接合部の形状自体はいずれの試験片も同じであり、TiAl系金属間化合物基合金からなる凸状試験片11とインコロイ909からなる凹状試験片12との間に、ロウ材A、BおよびCを図示のように配置した。ここで、ロウ材Aは軸方向に垂直な接合面の接合に用いたロウ材、ロウ材Bは周方向の接合面に用いたロウ材である。また、ロウ材Cは、特に周方向の接合面におけるロウ付け欠陥を防止するためのもので、鋳造欠陥防止のための押し湯に相当するものである。ロウ付は、真空下で940℃、10分保持の条件で行った。

0035

まず、図4の(a)の試験片を用いて検討したロウ付け部の品質評価結果について説明する。この試験においてはロウ材A及びBを厚さ100μmのBAu−12からなるシート状ロウ材とし、ロウ材Cを粉末状のBAg−8、狭幅帯状のBAg−8(厚さ100μm) 、ワイヤ状のBAg−8(0.8mmφ)の3種類とした。各ロウ材の組成は下記の通りである。また、ロウ材Cを設けないものについてもロウ付けを実施した。なお、凸状試験片11と凹状試験片12の室温における間隙(片側)を140μmとした。つまり、100μmのロウ材を挿入することを考慮してそれ以上の間隙を空けた。ロウ付けを行った後に、縦に切断しロウ付け欠陥、つまり空隙の有無を調査した。その結果を表1に併せて示す。
BAu−12 Au−12.5wt%Ag−12.5wt%Cu
BAg−8 Ag−28wt%Cu

0036

0037

表1に示す結果から、以下のことが言える。ロウ材Cを設けないと、ロウ付け部分に欠陥(空隙)が発生するのに対し、ロウ材Cを用いるとロウ付け部分の欠陥発生が抑制される。このロウ材Cの形態としては、粉末状よりも、ワイヤ状または狭幅帯材とすることが望ましい。この理由は以下の通りである。まず、室温の状態でロウ材Bを挿入するためにはロウ材以上の間隙が必要であり、本実験ではこれを140μm(片側)とした。なお、実用上最低でもロウ材の厚み+20μmの間隙は必要である。そのためこの間隙の体積はロウ材の体積よりは大きくなり、追加のロウ材Cがない場合、ロウ付けの欠陥は必然的に発生することとなる。つぎにロウ材Cとして粉末を用いた場合、粉末の比表面積は非常に大きいため真空下においてもわずかな不純物の酸素によって酸化が生じ、軽く焼結することですべてが溶融しない現象が生じる。したがって、置いた位置でとどまりその下部への流入量が少なくなるため欠陥が生じたと考えられる。一方、ロウ材Cとしてワイヤ状または狭幅帯材を用いた場合、比表面積は粉末より大幅に少なくなるため、仮に表面がわずかに酸化しても溶融は生じ、下部への流入は生じることから、ロウ材Bのみでは生じる欠陥の充填が可能となったものと考えられる。

0038

次に、図4の(b)の試験片を用い、ロウ付け後の試験片を室温と450℃で引張試験することで評価したロウ付け部の強度評価結果について説明する。この試験片においてはロウ材A及びBは厚さ100μmのシート状ロウ材とし、ロウ材Cは直径0.8mmφのワイヤ状のロウ材とし、各ロウ材の材質を変えることで最も良い組み合わせを検討した。また、参考のためロウ付けを行わない同形状のTiAl系金属間化合物基合金自体についても引張試験を行った。なお、凸状試験片11と凹状試験片12の室温における間隙(片側)はロウ付け部の品質評価結果用の試験片と同じ140μmである。結果を表2に示す。試験条件1はロウ材A、B、Cとも金ろうのBAu-12を用いたものであるが、室温では母材の約1/2と言う非常に低い強度でTiAl系金属間化合物基合金で破断している。一方、450℃においてはほぼ母材と同等の強度でロウ付け部から破断している。試験条件2はロウ材A、BをBAu-12とし、ロウ材Cを銀ロウのBAg-8としたものである。室温では試験条件1よりは良好であるものの、やはり母材に較べるとかなり低い強度でTiAl系金属間化合物基合金で破断している。一方、450℃においては試験条件1と同等である。試験条件3はロウ材AをBAu-12とし、ロウ材B、Cを銀ロウのBAg-8としたものである。室温ではTiAl系金属間化合物基合金で破断しているものの、試験条件1、2よりは大幅に良好である。一方、450℃においてはロウ付け部破断であるが試験条件1、2と大差なく良好である。試 験条件4はロウ材A、B、Cの全てをBAg-8としたものである。室温の強度は最も良好であるものの、450℃の強度が低い。

0039

以上の結果を考察すると以下の通りである。まず450℃の結果であるが、この温度では全てロウ付け部で破断が生じており、単純にロウ材の強度が引張強度律速したと考えられる。また、各試験条件での強度の違いは単純にロウ材の配合比から説明可能である。即ち、より高温強度の高いBAu-12の配合比が多いほど高温強度は向上している。次に、室温の結果であるがこれはいずれもTiAl系金属間化合物基合金で破断しているが、その強度が全く違うことが特徴的である。一般に延性のある通常の金属材料であれば、このような母材の破断強度の違いは生じえないが、TiAl系金属間化合物基合金は室温では非常に脆いため、このような特異的な現象が生じたと考えられる。即ち、周方向の接合部であるロウ材B、Cに強度が高いBAu-12を用いた場合、ロウ付け後の冷却過程において収縮によって残留応力が発生するが、これをロウ材自身の塑性変形によって緩和することができないため、 凸状試験片11のTiAl系金属間化合物基合金に応力が負荷されることとなる。しかしながら、TiAl系金属間化合物基合金は非常に脆いため、この応力に耐えられず微細な割れが発生したものと考えられる。また、TiAl系金属間化合物基合金の室温における亀裂伝播速度は非常に速いため、室温の引張試験においてはこの亀裂が容易に進展し、試験条件1、2では低荷重で破断したものと考えられる。なお、450℃においてはこの亀裂伝播速度は遅くなるため、試験条件1、2でもロウ材破断で良好な強度を示したものと考えられる。また室温強度及び450℃強度ともに良好な結果を得たのは、ロウ材AとしてBAu-12、ロウ材B及びCとしてBAg-8を用いた試験条件3であるが、この要因としてはロウ材B及びCに柔らかいロウ材のBAg-8を用いたため、ロウ付け後の収縮時においてはこのロウ材が塑性変形することで応力緩和し、 TiAl系金属間化合物基合金には割れが発生しなかったため、室温強度が良好になったと考えられる。また軸方向の接合面である底面ではロウ材Aとして高温強度の高いBAu-12を用いたため、450℃においても十分な強度を維持したものと考えられる。なおこの点がすべてを低強度のBAg-8を用いた、試験条件4との違いである。

0040

0041

以下本発明を具体的実施形態に基づき説明する。
<第1実施形態>図1に示す構造の乗用車小型過給機用タービンを作成した。図1において、1はタービンホイール(基部)、2はシャフト(軸部)である。タービンホイール1は、原子%で、Al:45.8%、Nb:8.6%、Cr:1.2%、Si:0.25%、Ni:0.35%、O2:700ppm、残部不可避的不純物およびTiからなる組成を有するTiAl系金属間化合物基合金から構成されている。このタービンホイール1はロストワックス法により得られたものである。また、シャフト2は、JISSCM435相当材から構成されている。なお、タービンホイール1のミクロ組織を観察したところ、γ相およびα2相からなるラメラー組織、γ相およびβ相の3相組織であることが確認された。

0042

図1に示すように、タービンホイール1には凸状接合部1aが、また、シャフト2には凹状接合部2aが形成され、この凸状接合部1aと凹状接合部2aとが嵌合状態となりタービンホイール1とシャフト2とが接合されている。

0043

ロウ付けに際しては、凸状接合部1aと凹状接合部2aとの間に、表2の試験条件3と同じ方法、即ちロウ材A(BAu−12)、B(BAu−8)およびC(ワイヤ状BAu−8)を、図4(C)に示すように配置した。ここで、ロウ材Aは軸方向に垂直な接合面の接合に用いたロウ材、ロウ材Bは周方向の接合面に用いたロウ材である。ロウ付は、真空下で940℃、10分保持の条件で行った。

0044

以上のタービンは、前記タービンホイール1とシャフト2との軸方向における接合面には強度の大きいロウ材であるBAu−12を用い、周方向における接合面には強度の小さいロウ材であるBAg−8を用いているので、ロウ付けによりタービンホイール1の凸状接合部1aへの応力負荷が緩和されるとともに、タービン使用時における接合部の温度である450℃程度の高温状態においての接合強度も確保することができる。

0045

また、本実施の形態にかかるタービンは、TiAl系金属間化合物基合金からなるタービンホイール1の凸状接続部1aと、前記シャフト2の凹状接続部2aとを嵌合した状態で接合するので、その接合面は軸方向に垂直な面のみならず、周方向にも形成されるので、接合面が軸方向に垂直な面にのみ形成された従来の接合構造に比べ、製作時および使用時に曲げモーメントが負荷された場合においても、接合部の表面欠陥からの亀裂進展を抑制することができる。

0046

なお、以上の実施形態において、周方向の接合面をテーパ状とすることもできるし、また、タービンホイール1に凹状接続部を、シャフト2に凸状接続部を設けてもよい。

0047

<第2実施形態>図2に示す構造の乗用車小型過給機用タービンを作成した。図2において、1はタービンホイール、2はシャフト、3は中間材である。タービンホイール1は、原子%で、Al:45.8%、Nb:8.6%、Cr:1.2%、Si:0.25%、Ni:0.35%、O2:740ppm、残部不可避的不純物およびTiからなる組成を有するTiAl系金属間化合物基合金から構成されている。また、シャフト2は、JISSCM435相当材から構成されている。さらに、中間材3は、重量%で、Ni:37.8%、Co:13.2%、Nb:4.7%、Ti:1.4%、Si:0.4%、Al:0.03%、 C:0.01%、残部Feおよび不可避的不純物からなるFe基の超合金(商品名:インコロイ909)から構成されている。なお、タービンホイール1のミクロ組織を観察したところ、γ相およびα2相からなるラメラー組織、γ相およびβ相の3相組織であることが確認された。

0048

図2に示すように、タービンホイール1には凸状接合部1aが、また、中間材3はカップ状の形状をしており、タービンホイール1の凸状接合部1aが中間材3の凹部とが嵌合状態となりロウ材を介してタービンホイール1と中間材2とが接合されている。また、中間材3とシャフト2とは、電子ビーム溶接により接合されている。

0049

ロウ付けに際しては、表2の試験条件3と同じ方法、即ち凸状接合部1aと凹状接合部2aとの間に、ロウ材A、BおよびCを図4(C)に示す態様で配置した。ここで、ロウ材Aは軸方向に垂直な接合面の接合に用いたBAu−12、ロウ材Bは周方向における接合面に用いたBAg−8、ロウ材Cは特に周方向の接合面におけるロウ付け欠陥を防止するために配置したワイヤ状のBAg−8である。ロウ付けの条件は、940℃×10分である。なお、周方向における接合面については、本実施の形態ではその全面にBAg−8を配置したが、例えば1/2程度の高さまでBAu−12を配置しても構わない。

0050

本実施の形態にかかるタービンは、前記タービンホイール1を構成するTiAl系金属間化合物基合金の室温〜500℃における平均線膨張係数が約11×10-6/℃、同じく室温〜900℃(ロウ付け温度近傍)における平均線膨張係数が約12×10-6/℃、前記中間材3を構成するインコロイ909の室温〜500℃における平均線膨張係数が約8.5×10-6/℃、同じく室温〜900℃(ロウ付け温度近傍)における平均線膨張係数が約13.5×10-6/℃である。つまり、室温〜500℃(使用時の接合部付近の温度)における平均線膨張係数は中間材3の方がタービンホイール1よりも小さいが、室温〜900℃(ロウ付け温度近傍)における平均線膨張係数は中間材3の方がタービンホイール1よりも大きい。したがって、これまで詳述したように、ロウ付け後の冷却過程ならびに使用時ともロウ付け部を締めつける力が発生するため、ロウ付け施工時においてロウ付け欠陥が発生しにくくなるとともに、擬似的な焼嵌め状態となり、両者の接合強度は強固なものとなる。

0051

また、本実施の形態にかかるタービンは、前記タービンホイール1とシャフト2との軸方向における接合面には高温強度の大きいロウ材であるBAu−12を用い、周方向における接合面には常温強度の小さいロウ材であるBAg−8を用いているので、ロウ付けによりタービンホイール1の凸状接合部1aが室温で破断することがなく、また、乗用車小型過給機での使用時の接合部付近の温度である450℃程度の高温状態においての接合強度も確保することができる。

0052

また、本実施の形態にかかるタービンは、TiAl系金属間化合物基合金からなるタービンホイール1の凸状接続部1aと、前記シャフト2の凹状接続部2aとを嵌合した状態で接合するので、その接合面は軸方向に垂直な面のみならず、周方向にも形成されるので、接合面が軸方向に垂直な面にのみ形成された従来の接合構造に比べて、製作時、使用時に曲げモーメントが負荷された場合においても、接合部の表面欠陥からの亀裂進展を抑制することができる。

発明の効果

0053

以上説明のように、本発明のTiAl系金属間化合物基合金からなる基部と、前記基部に接合される軸部とからなる接合部材は、凸部と凹部とが嵌合した状態で接合しているので、その接合面は軸方向に垂直な面のみならず、周方向にも形成される。したがって、曲げモーメントが負荷された場合でも、接合面が軸方向に垂直な面にのみ形成された従来の接合構造に比べて接合部の表面欠陥からの亀裂進展を抑制することができる。さらに、前記基部と前記軸部との軸方向に垂直な接合面には強度の大きいロウ材を用いて接合強度を十分に確保する一方、周方向における接合面には相対的に強度の小さいロウ材を用いることにより所定の接合強度を確保しつつTiAl系金属間化合物基合金への応力負荷を軽減している。

0054

また、室温〜前記接合部材の使用温度における前記TiAl系金属間化合物基合金の平均線膨張係数をα1、前記軸部の平均線膨張係数をβ1、室温〜ロウ付け温度における前記TiAl系金属間化合物基合金の平均線膨張係数をα2、前記軸部の平均線膨張係数をβ2とすると、ロウ付け温度>使用時の接合部温度において、前記軸部がα1>β1、α2<β2の条件を満足する材料から構成した場合には、ロウ付け後の冷却過程ならびに使用時ともロウ付け部を締めつける力が発生するため、ロウ付け施工時においてロウ付け欠陥が発生しにくくなるとともに、擬似的な焼嵌め状態となり、両者の接合強度は強固なものとなる。

図面の簡単な説明

0055

図1本発明の1実施形態にかかるタービンを示す図である。
図2本発明の他の実施形態にかかるタービンを示す図である。
図3インコロイ909およびTiAl系金属間化合物基合金の線膨張係数を示すグラフである。
図4ロウ付け試験に用いた試験片及びロウ材の配置を示す図である。
図5従来のタービンの1例を示す示す図である。
図6従来のタービンの1例を示す示す図である。

--

0056

1タービンホイール(基部)
2シャフト(軸部)
3中間材(軸部)

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