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技術 極異方性希土類ボンド磁石とその製造方法及び永久磁石型モ—タ

出願人 住友金属鉱山株式会社
発明者 石川尚金子勲
出願日 1999年6月29日 (21年4ヶ月経過) 出願番号 1999-183711
公開日 2000年7月14日 (20年4ヶ月経過) 公開番号 2000-195714
状態 拒絶査定
技術分野 硬質磁性材料 コア、コイル、磁石の製造
主要キーワード X線解析 ニュートラルライン アキシャル配向 コンピュータ関連機器 リング状キャビティ 内周面近傍 加熱流動性 粒状金属
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重要な関連分野

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図面 (6)

課題

極異方性フェライト磁石よりも高い磁気特性と優れた温度特性を有する極異方性希土類ボンド磁石、その製造方法、及びその磁石を用いた永久磁石型モータを提供する。

解決手段

希土類元素(R)とFeとN及び必要によりCoを主成分とする磁性粉末と、樹脂バインダーとからなり、バリウムフェライト磁性粉末及び/又はストロンチウムフェライト磁性粉末を含んでもよい。金型キャビティー面での配向磁界が2.5kOe以上の金型に、多点ピンポイントゲートか又はリングゲートから射出成形して製造する。この極異方性希土類ボンド磁石は、ステッピングモータ等の永久磁石型モータ用として有効である。

概要

背景

永久磁石は、その磁場配向の種類によって、異方性磁石等方性磁石とに大別される。等方性磁石は成形の際に磁場配向を行わず、成形後に任意の方向に着磁可能であって、その着磁磁界の方向にN極とS極ができる。一方、異方性磁石は成形時に配向磁界を加えることで磁化の方向が定まっており、その方向に着磁磁界をかけることによりN極とS極ができる。更に、異方性磁石には、アキシャル異方性磁石、極異方性磁石、及びラジアル異方性磁石がある。

近年、リング状の径方向にN極とS極を多極着磁した永久磁石の用途が、永久磁石型モータを中心に増えている。永久磁石型モータは可動部又は固定部に永久磁石を備えたものであり、コンピュータ関連機器の駆動部、プリンターカメラ等に幅広く利用されている。このような用途に用いるリング状の永久磁石としては、異方性磁石の中の極異方性磁石又はジアル異方性磁石が使用される。

異方性磁石では、例えば図1に示すように、リング状磁石外周面又は内周面に沿ってN極とS極が交互に現れ、反対側の内周面又は外周面にはほとんど現れないようになっている。これに対してラジアル異方性磁石は、例えば図2に示すように、リング状磁石の外周面と内周面とにそれぞれN極とS極とが現れているものである。

ここで極異方性ボンド磁石の製造方法を簡単に説明すれば、例えば「ボンデッドマグネット」、合成樹脂工業新聞社、1990年、第216頁に記載されているように、成形金型リング状キャビティーの外周面又は内周面にNS極が現れるようキャビティーの外側又は内側に磁気配向用磁石を配置する。このような構成の金型を用いて、金型キャビティー内磁性粉末溶融した樹脂バインダーとからなる組成物コンパウンド)を射出充填させると、冷却後に金型から取り出された磁石成形体は上述したような極異方性磁石となる。尚、圧縮成形ボンド磁石や焼結磁石でも、同様に成形した後、それぞれ樹脂バインダーの硬化工程や焼結工程を経ることで極異方性磁石が得られる。

概要

極異方性フェライト磁石よりも高い磁気特性と優れた温度特性を有する極異方性希土類ボンド磁石、その製造方法、及びその磁石を用いた永久磁石型モータを提供する。

希土類元素(R)とFeとN及び必要によりCoを主成分とする磁性粉末と、樹脂バインダーとからなり、バリウムフェライト磁性粉末及び/又はストロンチウムフェライト磁性粉末を含んでもよい。金型キャビティー面での配向磁界が2.5kOe以上の金型に、多点ピンポイントゲートか又はリングゲートから射出成形して製造する。この極異方性希土類ボンド磁石は、ステッピングモータ等の永久磁石型モータ用として有効である。

目的

本発明は、このような従来の事情に鑑み、従来の極異方性フェライト磁石よりも高い磁気特性と優れた温度特性を有していて、希土類磁石からなる極異方性のボンド磁石とその製造方法、及びこの極異方性希土類ボンド磁石を用いた永久磁石型モータを提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
7件
牽制数
2件

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請求項1

希土類元素(R)と鉄(Fe)と窒素(N)を主成分とする磁性粉末及び/又は希土類元素(R)と鉄(Fe)とコバルト(Co)と窒素(N)を主成分とする磁性粉末と、樹脂バインダーとからなることを特徴とする極異方性希土類ボンド磁石

請求項2

希土類元素(R)と鉄(Fe)と窒素(N)を主成分とする磁性粉末及び/又は希土類元素(R)と鉄(Fe)とコバルト(Co)と窒素(N)を主成分とする磁性粉末と、バリウムフェライト磁性粉末及び/又はストロンチウムフェライト磁性粉末と、樹脂バインダーとからなることを特徴とする極異方性希土類ボンド磁石。

請求項3

磁束密度温度係数αの絶対値が0.16%/K以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の極異方性希土類ボンド磁石。

請求項4

希土類元素(R)と鉄(Fe)と窒素(N)を主成分とする磁性粉末及び/又は希土類元素(R)と鉄(Fe)とコバルト(Co)と窒素(N)を主成分とする磁性粉末と、樹脂バインダーとからなる組成物を、配向磁界発生側の金型キャビティー面での配向磁界が2.5kOe以上である金型射出成形することを特徴とする極異方性希土類ボンド磁石の製造方法。

請求項5

希土類元素(R)と鉄(Fe)と窒素(N)を主成分とする磁性粉末及び/又は希土類元素(R)と鉄(Fe)とコバルト(Co)と窒素(N)を主成分とする磁性粉末と、バリウムフェライト磁性粉末及び/又はストリンチウムフェライト磁性粉末と、樹脂バインダーとからなる組成物を、配向磁界発生側の金型キャビティー面での配向磁界が2.5kOe以上である金型に射出成形することを特徴とする極異方性希土類ボンド磁石の製造方法。

請求項6

金型の射出成形のゲートが、リング状磁石の外周と内周の間の端面に設けた磁極数の1/3以上の多点ピンポイントゲートであるか、又はリング状磁石の円周方向に沿って連続的に設けたリングゲートであることを特徴とする、請求項4又は5に記載の極異方性希土類ボンド磁石の製造方法。

請求項7

請求項1〜3のいずれかに記載の極異方性希土類ボンド磁石を用いることを特徴とする永久磁石型モータ

技術分野

0001

本発明は、極異方性フェライト磁石よりも高い磁気特性をも極異方性希土類ボンド磁石とその製造方法、及びこの極異方性希土類ボンド磁石を用いる永久磁石型モータに関する。

背景技術

0002

永久磁石は、その磁場配向の種類によって、異方性磁石等方性磁石とに大別される。等方性磁石は成形の際に磁場配向を行わず、成形後に任意の方向に着磁可能であって、その着磁磁界の方向にN極とS極ができる。一方、異方性磁石は成形時に配向磁界を加えることで磁化の方向が定まっており、その方向に着磁磁界をかけることによりN極とS極ができる。更に、異方性磁石には、アキシャル異方性磁石、極異方性磁石、及びラジアル異方性磁石がある。

0003

近年、リング状の径方向にN極とS極を多極着磁した永久磁石の用途が、永久磁石型モータを中心に増えている。永久磁石型モータは可動部又は固定部に永久磁石を備えたものであり、コンピュータ関連機器の駆動部、プリンターカメラ等に幅広く利用されている。このような用途に用いるリング状の永久磁石としては、異方性磁石の中の極異方性磁石又はジアル異方性磁石が使用される。

0004

異方性磁石では、例えば図1に示すように、リング状磁石外周面又は内周面に沿ってN極とS極が交互に現れ、反対側の内周面又は外周面にはほとんど現れないようになっている。これに対してラジアル異方性磁石は、例えば図2に示すように、リング状磁石の外周面と内周面とにそれぞれN極とS極とが現れているものである。

0005

ここで極異方性ボンド磁石の製造方法を簡単に説明すれば、例えば「ボンデッドマグネット」、合成樹脂工業新聞社、1990年、第216頁に記載されているように、成形金型リング状キャビティーの外周面又は内周面にNS極が現れるようキャビティーの外側又は内側に磁気配向用磁石を配置する。このような構成の金型を用いて、金型キャビティー内磁性粉末溶融した樹脂バインダーとからなる組成物コンパウンド)を射出充填させると、冷却後に金型から取り出された磁石成形体は上述したような極異方性磁石となる。尚、圧縮成形ボンド磁石や焼結磁石でも、同様に成形した後、それぞれ樹脂バインダーの硬化工程や焼結工程を経ることで極異方性磁石が得られる。

発明が解決しようとする課題

0006

従来、このような極異方性磁石としては、フェライト射出成形ボンド磁石か又はフェライト焼結磁石がほとんどであり、希土類磁石では製造され又は報告されたものはない。その理由は、希土類ボンド磁石では射出成形又は圧縮成形などの成形工程において、また希土類焼結磁石では焼結前のグリーン体圧粉体)の成形工程において、金型のキャビティー(成形原料充填する空間)内で希土類磁性粉末磁界配向させることが困難であったためである。

0007

金型キャビティー内で磁性粉末を配向させるために必要な磁界は、大きいほど望ましい。しかしながら、製造しようとする極異方性磁石の寸法や極数金型キャビティーに接するスリーブ材質肉厚、配向磁界発生用永久磁石や磁気回路を構成するヨーク材の材質、更には磁気回路を金型に埋め込むために許容される空間の大きさ等によって、配向磁界の強度は制限を受ける。そのため、現実的にはキャビティーの外周面又は内周面近傍で、2.5kOe程度の配向磁界しか得られない。

0008

この程度の磁界で配向可能な磁石材質は、従来から知られるバリウムフェライトストロンチウムフェライトのみであり、希土類磁石材料では配向が不十分となるため、得られる極異方性磁石の磁気特性は満足すべきものではなかった。また、極異方性のフェライト磁石では、磁気特性が低いうえに、磁束密度温度係数αが−0.18%/Kとその絶対値が大きく、温度特性が悪いという欠点があった。

0009

本発明は、このような従来の事情に鑑み、従来の極異方性フェライト磁石よりも高い磁気特性と優れた温度特性を有していて、希土類磁石からなる極異方性のボンド磁石とその製造方法、及びこの極異方性希土類ボンド磁石を用いた永久磁石型モータを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

本発明者は、射出成形希土類ボンド磁石用組成物の検討を行う中で、希土類元素(R)と鉄(Fe)と窒素(N)を主成分とする磁性粉末と樹脂バインダーとからなる組成物が、従来の異方性希土類ボンド磁石用組成物に比べて優れた配向特性を有することを見いだした。例えば直径15×高さ10mmのアキシャル配向磁石用の金型において、キャビティにかかる配向磁界を変えて各種の異方性ボンド磁石用組成物を射出成形し、得られた各異方性ボンド磁石について配向磁界とオープンフラックスの関係を比較した結果が図3グラフである。

0011

この図3から分かるように、本発明に係わるSm−Fe−N系組成物は、フェライト系組成物には及ばないものの、Sm2TM17型のようなSm−Co系組成物や、HDDR磁性粉末を用いるNd−Fe−B系組成物に比べ、良好な配向特性を有している。この知見に基づいて、極異方性の射出成形ボンド磁石を検討した結果、本発明に至ったものである。

0012

即ち、本発明が提供する極異方性希土類ボンド磁石は、希土類元素(R)と鉄(Fe)と窒素(N)を主成分とする磁性粉末及び/又は希土類元素(R)と鉄(Fe)とコバルト(Co)と窒素(N)を主成分とする磁性粉末と、樹脂バインダーとからなることを特徴とするものである。

0013

また、本発明の他の極異方性希土類ボンド磁石は、希土類元素(R)と鉄(Fe)と窒素(N)を主成分とする磁性粉末及び/又は希土類元素(R)と鉄(Fe)とコバルト(Co)と窒素(N)を主成分とする磁性粉末と、バリウムフェライト磁性粉末及び/又はストロンチウムフェライト磁性粉末と、樹脂バインダーとからなることを特徴とする。

0014

本発明による極異方性希土類ボンド磁石の製造方法は、希土類元素(R)と鉄(Fe)と窒素(N)を主成分とする磁性粉末及び/又は希土類元素(R)と鉄(Fe)とコバルト(Co)と窒素(N)を主成分とする磁性粉末と、樹脂バインダーとからなる組成物を、配向磁界発生側の金型キャビティー面での配向磁界が2.5kOe以上である金型に射出成形することを特徴とする。

0015

また、本発明の他の極異方性希土類ボンド磁石の製造方法は、希土類元素(R)と鉄(Fe)と窒素(N)を主成分とする磁性粉末及び/又は希土類元素(R)と鉄(Fe)とコバルト(Co)と窒素(N)を主成分とする磁性粉末と、バリウムフェライト磁性粉末及び/又はストリンチウムフェライト磁性粉末と、樹脂バインダーとからなる組成物を、配向磁界発生側の金型キャビティー面での配向磁界が2.5kOe以上である金型に射出成形することを特徴とする。

0016

上記本発明方法に用いる金型において、射出成形のゲートは、リング状磁石の外周と内周の間の端面に設けた磁極数の1/3以上の多点ピンポイントゲートか、又はリング状磁石の円周方向に沿って連続的に設けたリングゲートであることが好ましい。

0017

更に、本発明は、上記した本発明の極異方性希土類ボンド磁石を用いることを特徴とする永久磁石型モータを提供するものである。

発明を実施するための最良の形態

0018

本発明で用いる磁性粉末は、例えば、特開平2−57663号公報に記載される溶解鋳造法、特許第1702544号や特開平9−157803号公報などに開示される還元拡散法より、R−Fe系合金又はR−(Fe、Co)系合金を製造し、これを窒化した後微粉砕することによって得られる。微粉砕はジェットミル振動ボールミル回転ボールミルなど、公知の技術で実施することができ、フィッシャー平均粒径で1.5μm以下、好ましくは1.2μm以下となるように微粉砕する。

0019

得られるR−Fe−N系又はR−(Fe、Co)−N系磁性粉末結晶構造は、Th2Zn17型、Th2Ni17型、又はTbCu7型である。磁性粉末中の希土類元素(R)は1種又は2種以上であってよいが、全R中にSmが40重量%以上含まれるものがボンド磁石の保磁力を高めるために好ましい。また、Feの一部をCoに置換したR−(Fe、Co)−N系磁性粉末では、磁石の飽和磁化と磁束密度の温度係数が向上する。

0020

また、希土類元素(R)、Fe、Co、及びNの各主成分に加えて、C、Al、Si、P、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Ni、Cu、Zn、Ga、Zr、Nb、Mo、Ag、In、Sn、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Auの1種以上を添加すると、磁石の耐熱性耐候性を高めることができるが、その添加量は磁性粉末全体の3重量%以下とすることが望ましい。

0021

尚、微粉砕した磁性粉末は、発火防止などハンドリング性を向上させるため、例えば特開昭52−54998号公報、特開昭59−170201号公報、特開昭60−128202号公報、特開平3−211203号公報、特開昭46−7153号公報、特開昭56−55503号公報、特開昭61−154112号公報、特開平3−126801号公報等に開示されているような、湿式ないし乾式処理による徐酸化皮膜を表面に形成してもよい。

0022

また、特開平5−230501号公報、特開平5−234729号公報、特開平8−143913号公報、特開平7−268632号公報や、日本金属学会講演概要(1996年大会、No.446、p.184)等に開示されているような金属皮膜を形成する方法や、特公平6−17015号公報、特開平1−234502号公報、特開平4−21702号公報、特開平5−213601号公報、特開平7−326508号公報、特開平8−153613号公報、特開平8−183601号公報等による無機皮膜を形成する方法など、1種以上の表面処理を磁性粉末に施すことにより、組成物及びボンド磁石の保磁力が向上し、耐熱性が更に向上する。

0023

上記のR−Fe−N系及び/又はR−(Fe、Co)−N系性粉末には、経済性を考慮して、通常のバリウムフェライト磁性粉末及び/又はストロンチウムフェライト磁性粉末を添加混合することができる。かかるフェライト磁性粉末は、通常のボンド磁石用磁性粉末として入手できるものでよいが、本発明の極異方性希土類ボンド磁石の磁気特性を高めるためには異方性の磁性粉末が望ましい。また、射出成形での磁界配向性の観点からは、フェライト磁性粉末のアスペクト比が1に近いものが望ましい。更に、フェライト焼結磁石を粉砕し、歪みを取り除くためのアニールを施したものも使用可能である。

0024

バリウムフェライト磁性粉末及び/又はストロンチウムフェライト磁性粉末を混合する場合、希土類元素(R)を含む磁性粉末とフェライト磁性粉末との混合比は任意であるが、全磁性粉末中におけるRを含む磁性粉末の量が80重量%以下(ただし0重量%を含まず)とすること、好ましくは3〜60重量%の範囲とすることが、コストと磁気特性のバランスの観点から望ましい。

0025

次に、本発明で用いる樹脂バインダーは、磁性粉末の結合剤として働くものであり、用いられる樹脂の種類としては特に限定されることはない。具体的には、熱可塑性樹脂では、例えば、6ナイロン、6,6ナイロン、11ナイロン、12ナイロン、6,12ナイロン、芳香族系ナイロン、これらの分子を一部変性した変性ナイロン等のポリアミド樹脂、直鎖型ポリフェニレンサルファイド樹脂架橋型ポリフェニレンサルファイド樹脂セミ架橋型ポリフェニレンサルファイド樹脂、低密度ポリエチレン線状低密度ポリエチレン樹脂高密度ポリエチレン樹脂、超高分子量ポリエチレン樹脂ポリプロピレン樹脂エチレン酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合樹脂アイオノマー樹脂ポリメチルペンテン樹脂ポリスチレン樹脂アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合樹脂アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂ポリ塩化ビニル樹脂ポリ塩化ビニリデン樹脂ポリ酢酸ビニル樹脂ポリビニルアルコール樹脂ポリビニルブチラール樹脂ポリビニルホルマール樹脂メタクリル樹脂ポリフッ化ビニリデン樹脂ポリ三フッ化塩化エチレン樹脂、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合樹脂、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂ポリテトラフルオロエチレン樹脂ポリカーボネート樹脂ポリアセタール樹脂ポリエチレンテレフタレート樹脂ポリブチレンテレフタレート樹脂ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアリルエーテルアリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂ポリエーテルエーテルケトン樹脂ポリアリレート樹脂芳香族ポリエステル樹脂酢酸セルロース樹脂、各種エラストマーゴム類等を挙げることができる。

0026

また、これらの単重合体や他種モノマーとのランダム共重合体ブロック共重合体グラフト共重合体、他の物質での末端基変性品などであってもよい。これら熱可塑性樹脂の2種類以上のブレンド等における系も当然含まれる。これら熱可塑性樹脂の溶融粘度や分子量は、所望の機械的強度が得られる範囲で低い方が望ましく、形状はパウダービーズペレット等特に限定されないが、磁性粉末との均一混合性から考えるとパウダーが望ましい。

0027

また、上記樹脂バインダーとして用いられる熱硬化性樹脂には、例えば、エポキシ樹脂ビニルエステル系エポキシ樹脂不飽和ポリエステル樹脂フェノール樹脂メラミン樹脂ユリア樹脂ベンゾグアナミン樹脂ビスマレイミドトリアジン樹脂ジアリルフタレート樹脂フラン樹脂熱硬化性ポリブタジエン樹脂ポリイミド樹脂ポリウレタン系樹脂シリコーン樹脂キシレン樹脂等があり、これらの2種以上や他種モノマーとのブレンド等における系も当然含まれる。これら熱硬化性樹脂の粘度、分子量、性状等は、所望の機械的強度や成形性が得られる範囲であれば特に限定されないが、磁性粉末との均一混合性や成形性から考えるとパウダー状又は液状が望ましい。尚、樹脂バインダーとして熱硬化性樹脂を用いて射出成形する場合、金型内で磁石成形品が硬化する直前で一旦樹脂バインダーの粘度が低下するため、良好な配向特性が得られるという利点がある。

0028

これらの樹脂バインダーの含有量は、磁性粉末100重量部に対して3〜100重量部の範囲が好ましい。樹脂バインダーを100重量部よりも多く混合した場合には、ボンド磁石の磁束密度が著しく低下する。また、樹脂バインダーの含有量が3重量部より少ないと、著しく成形性が低下するため所望の成形体が得られない。

0029

本発明の極異方性希土類ボンド磁石を製造する際には、上記の磁性粉末と樹脂バインダーの組成物に更にカップリング剤滑剤、安定剤などを添加することにより、組成物の加熱流動性が一層向上し、成形性や磁気特性を向上させることができる。

0031

また、チタン系カップリング剤では、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル-アミノエチル)チタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネートなどが挙げられる。尚、これらのカップリング剤は、樹脂バインダーの種類に合わせた適当なものを選択し、それらの1種又は2種以上を用いることができる。

0032

滑剤としては、例えば、パラフィンワックス流動パラフィンポリエチレンワックスポリプロピレンワックスエステルワックスカルナウバマイクロワックス等のワックス類ステアリン酸、1,2−オキシステアリン酸、ラウリン酸パルミチン酸オレイン酸等の脂肪酸類ステアリン酸カルシウムステアリン酸バリウムステアリン酸マグネシウムステアリン酸リチウムステアリン酸亜鉛ステアリン酸アルミニウムラウリン酸カルシウムリノール酸亜鉛リシノール酸カルシウム、2−エチルヘキソイン酸亜鉛等の脂肪酸塩金属石鹸類)、ステアリン酸アミドオレイン酸アミドエルカ酸アミドベヘン酸アミド、パルミチン酸アミド、ラウリン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミドメチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドエチレンビスラウリン酸アミド、ジステアリルアジピン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミドジオレイルアジピン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド,N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチロールベヘン酸アミド等の脂肪酸アミド類ステアリン酸ブチル等の脂肪酸エステルエチレングリコールステアリルアルコール等のアルコール類ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリテトラメチレングリコール、及びこれら変性物からなるポリエーテル類ジメチルポリシロキサンシリコーンオイルシリコングリース等のポリシロキサン類フッ素系オイルフッ素系グリース含フッ素樹脂粉末のようなフッ素化合物窒化ケイ素炭化ケイ素酸化マグネシウムアルミナ二酸化ケイ素二硫化モリブデンシリカゲル等の無機化合物粉体が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。

0033

安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジルセバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−{3−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニルオキシ}エチル]−4−{3−(3,5−ジ−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,2,3−トリアザスピロ[4,5]ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、琥珀酸酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、2−(3,5−ジ・第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)等のヒンダードアミン系安定剤のほか、フェノール系、ホスファイト系、チオエーテル系等の抗酸化剤等が挙げられる。

0034

本発明の極異方性希土類ボンド磁石の製造方法においては、上記磁性粉末と樹脂バインダー、及び所望に応じて添加するカップリング剤、滑剤、安定剤等を、混練機を用いて混合及び混練することにより組成物(コンパウンド)とする。この組成物作製用の混練機としては、例えばリボンブレンダータンブラーナウターミキサーヘンシェルミキサースーパーミキサープラネタリーミキサー等の混合機、及びバンバリーミキサーニーダーロール、ニーダールーダー、単軸押出機二軸押出機等のを使用することができる。

0035

得られた組成物(コンパウンド)を、配向磁界発生用の磁石を配置した金型を用いて射出成形する。その際、極異方性に多極着磁されるように配向磁界発生用磁石を配置し、配向磁界発生側の金型キャビティー面での配向磁界強度を2.5kOe以上とすることにより、本発明の極異方性希土類ボンド磁石が得られる。配向磁界が2.5kOe未満では磁性粉末の配向が低下し、必要な磁気特性が得られないからである。尚、特開平6−236807号公報や特開平7−249538号公報等に記載されるような押出成形によっても、同様の配向磁界を与えることにより極異方性希土類ボンド磁石を製造することが可能である。

0036

極異方性に多極着磁するための配向磁界の発生方法は特に限定されず、永久磁石方式又は電磁石方式のいずれでもよい。永久磁石方式の場合には、Nd−Fe−B系焼結磁石又はSm−Co系焼結磁石を用いることが望ましい。また、Nd−Fe−B系焼結磁石を用いる場合には、金型の加熱温度において大きな不可逆減磁を引き起こさない程度に、残留磁束密度の高い材質を選択することが好ましい。

0037

金型キャビティーに組成物を射出充填するためのゲートは、リング状磁石の端面に独立して設けられた磁極数の1/3以上の多点のピンポイントゲートか、又はリング状磁石の内周面又は外周面の円周方向に沿って連続的に設けられたリングゲートが好ましい。金型に設けるピンポイントゲートが磁極数の1/3未満や1点ゲートでは、組成物がリング状キャビティー内を移動する際に、配向磁界の極間で磁粉が揺り動かされるため流動阻害されたり、磁性粉末の配向性が乱され、表面磁束密度ピーク値の低下及びそのピーク値の極間ばらつきの増加をきたすからである。即ち、充填過程ではキャビティー内で配向磁界の極間を磁性粉末が極力横断しないように、同一極上でリング状磁石の軸方向に組成物を流動させることが好ましい。

0038

金型に設けたゲートの形状や位置は、射出成形により得られたボンド磁石にゲート跡として残る。即ち、本発明においても、上記の好ましい多点のピンポイントゲートか又はリングゲートを金型に設けることによって、磁石のゲート跡を示す図4又は図5のように、得られるリング状極異方性希土類ボンド磁石1の端面に多点のピンポイントゲート跡2a、又はその内周面又は外周面の円周方向に沿ったリングゲート跡2bが残る。尚、金型に設けるリングゲートとしては、例えばフィルムゲートファンゲート、リングゲート、ディスクゲートがある。

0039

このようにして得られた本発明の極異方性希土類ボンド磁石は、そのまま後着磁することなく使用することも可能であるが、成形時に付与されたNS極に極性をあわせて後着磁することによって、更に磁気特性が向上する。後着磁を行う場合には磁石は、ボンド磁石のNS極と着磁ヨークの極性が合うように、例えばボンド磁石に凸凹部を設けることもできる。

0040

また、本発明の極異方性希土類ボンド磁石は、表面磁束密度のピーク値が高く且つそのばらつきが少ないなど、従来の極異方性フェライト磁石よりも優れた磁気特性を有し、しかも磁束密度の温度係数αの絶対値が0.16%/K以下と温度特性においても優れている。ここで磁束密度の温度係数αは、極異方性磁石の1極から磁石片切り出し、VSMにより20〜80℃の温度範囲で評価した値である。

0041

このような本発明の極異方性希土類ボンド磁石は、リング状の径方向にN極とS極を多極着磁した永久磁石であるから、永久磁石型モータ用の永久磁石として特に有効である。従って、本発明の極異方性希土類ボンド磁石を可動部又は固定部の永久磁石とする永久磁石型モータは、ステッピングモータ等の各種小型モータとして、コンピュータ関連機器の駆動部、プリンター、カメラ等に幅広く使用することができる。

0042

実施例1:純度99.9重量%で粒度150メッシュタイラー標準、以下同じ)以下の電解Fe粉7.5kgと、純度99重量%で粒度325メッシュ以下の酸化Sm粉末3.4kgと、純度99重量%の粒状金属Ca1.5kgと、無水塩化Ca粉末0.17kgとを、Vブレンダーを用いて混合した。

0043

得られた混合物ステンレス容器に入れ、アルゴン雰囲気下に1150℃で8時間加熱して還元拡散反応させた。次に、反応生成物を冷却してから水中に投入して崩壊させ、得られたスラリーに対して水洗酢酸による酸洗浄を繰り返し、未反応のCaと副生したCaOを除去した。得られたスラリーを濾過し、エタノールで置換した後真空乾燥して、平均粒径150μm以下の25重量%Sm−残部Fe合金粉末約10kgを得た。

0044

このSm−Fe合金粉末を管状炉中に装填し、アンモニア分圧0.35のアンモニア水素混合ガス雰囲気中にて465℃で6時間加熱(窒化処理)し、その後アルゴンガス中にて465℃で2時間加熱(アニール処理)して、24.6重量%Sm−3.6重量%N−残部FeからなるSm−Fe−N磁性粉末を得た。この磁性粉末をX線解析したところ、菱面体晶系のTh2Zn17型結晶構造回折線(Sm2Fe17N3金属間化合物)を示した。

0045

次に、このSm−Fe−N磁性粉末を旋回式ジェットミル粉砕機に給粉速度10g/minで投入し、フィッシャー平均粒径1.5μmまで微粉砕した。微粉砕した磁性粉末100重量部に対して、樹脂バインダーとして12−ナイロン8重量部、滑剤としてエチレンビスステアリン酸アミド2重量部を混合し、ニーダーにて混練した。混練温度は200〜210℃、混練槽内の雰囲気は4%O2−N2、混練後に取り出した組成物の冷却は空冷とした。得られた混練物プラスチック粉砕機により粉砕し、射出成形用組成物ペレットとした。

0046

このペレットを用いて、外径9mm×内径5mm×高さ7mmで外周面12極の希土類ボンド磁石を射出成形した。その際、金型には配向磁界発生用に44MGOe級のNd−Fe−B系焼結磁石を組み込み、金型キャビティー外周面と焼結磁石との空隙を0.5mmとすることにより、金型温度80℃においてキャビティー外周面近傍で3.7kOeの配向磁界を得た。また、シリンダー温度は220〜260℃、金型温度は80℃、射出成形機原料ホッパー及びシリンダー内の雰囲気は8%O2−N2、金型キャビティー付近の雰囲気は大気、及び取り出した成形品の冷却方法は空冷とした。

0047

得られたリング状の希土類ボンド磁石の着磁パターンをマグネットビューワーで観察したところ、外周面に比べて内周面の着磁パターンが弱く、更に7mmの軸方向に垂直なリング断面ではニュートラルラインが径方向に配列しており、極異方性磁石となっていることが確認できた。

0048

次に、この極異方性希土類ボンド磁石の表面磁束密度分布を測定したところ、ピーク値は1.4kGであった。また、この磁石のNS極と極性をあわせてパルス磁界をかけて後着磁し、再び表面磁束密度を測定したところ、そのピーク値は2kGであった。更に、この磁石の任意の1極から1.8mm角の磁石片を切り出し、VSMで20〜80℃の温度範囲で磁束密度の温度係数αを測定したところ、−0.07%/Kであった。

0049

実施例2:上記実施例1の微粉砕したSm−Fe−N磁性粉末に、バリウムフェライト磁性粉末を全磁性粉末に対するSm−Fe−N磁性粉末の量が50重量%となるように混合した。この混合磁性粉末100重量部に対して、12−ナイロン7.7重量部、エチレンビスステアリン酸アミド1.8重量部を添加混合した以外は実施例1と同様にして、射出成形用組成物を製造し、更に希土類ボンド磁石を射出成形した。

0050

その結果、得られた希土類ボンド磁石は、実施例1と同様にして極異方性磁石であることが確認でき、また表面磁束密度のピーク値は後着磁前で1.1kG、後着磁後で1.3kGであった。また、この磁石の温度特性αを測定したところ−0.14%/Kであった。

0051

比較例1:射出成形用の組成物として、12−ナイロンを樹脂バインダーとする1.7MGOe級のストロンチウムフェライト射出成形コンパウンドを用いて、実施例1の金型で極異方性フェライトボンド磁石を製造した。得られた磁石の表面磁束密度のピーク値を測定したところ0.9kGであり、磁束密度の温度特性αは−0.18%/Kであった。

0052

比較例2:上記実施例1において、金型に埋め込んだ配向磁界発生用磁石を28MGOe級のNd−Fe−B系焼結磁石とし、キャビティー外周面と焼結磁石との空隙を0.8mmとすることによって、キャビティーの外周面近傍の配向磁界が2.4kOeとなった。その他の条件は上記実施例1と同様にして、極異方性希土類ボンド磁石を射出成形したところ、得られた磁石の表面磁束密度のピーク値は後着磁前で0.7kG、後着磁後で1kGであった。

0053

上記の結果から、実施例1及び2で得られた本発明の極異方性希土類ボンド磁石は、比較例1の同形状のフェライト磁石に比べて高い表面磁束密度が得られており、後着磁することにより更に磁気特性が向上することが分かる。また、比較例2から分かるように、金型キャビティー面の配向磁界が2.5kOe未満になると、磁気特性が低下してフェライト磁石と変わらない表面磁束密度になる。更に、各実施例で得られた極異方性希土類ボンド磁石は、いずれも磁束密度の温度係数αの絶対値が0.16%/Kよりも小さい。

0054

実施例3:上記実施例1で使用した電解Fe粉のうちの10重量%を粒度150メッシュ以下のCo粉で置換した以外は実施例1と同様にして、25重量%Sm−7.2重量%Co−残部Fe合金粉末を製造した。この合金粉末を用い、実施例1と同様にして、菱面体晶系のTh2Zn17型結晶構造の回折線(Sm2(Fe、Co)17N3金属間化合物)を示す24.6重量%Sm−3.5重量%N−7.1重量%Co−残部FeのSm−(Fe、Co)−N磁性粉末を得た。

0055

このSm−(Fe、Co)−N磁性粉末を、実施例1と同様にして射出成形用組成物ペレットとし、外径23mm×内径21mm×高さ10mmで外周面24極のキャビティーをもつ金型に射出成形した。キャビティーの外周面近傍の配向磁界は4kOeであった。

0056

得られた希土類ボンド磁石を実施例1と同様に評価したところ、マグネットビューワーにより極異方性磁石であることが確認できた。また、表面磁束密度のピーク値は後着磁前で2.2kG、後着磁後で2.8kGであった。更に、この磁石の1極から2.2mm角の磁石片を切り出し、VSMで20〜80℃での磁束密度の温度係数αを測定したところ、−0.06%/Kであった。

0057

次に、三洋精密(株)製のステッピングモータKIS42LSWY−100を分解し、使用されていた永久磁石を本実施例で得た極異方性希土類ボンド磁石と入れ替えた。このステッピングモータのホールディングトルクを評価したところ、450g・cmであった。

0058

実施例4:上記実施例3のSm−(Fe、Co)−N磁性粉末にストロンチウムフェライト磁性粉末を混合し、全磁性粉末に対するSm−(Fe、Co)−N磁性粉末の量が30重量%の混合磁性粉末とした。この混合磁性粉末100重量部に対して12−ナイロン7.6重量部、エチレンビスステアリン酸アミド1.7重量部を添加混合した以外は実施例3と同様にして、射出成形用組成物を作製し、更に希土類ボンド磁石を射出成形した。

0059

得られた希土類ボンド磁石は極異方性磁石であることが確認できた。この磁石の表面磁束密度のピーク値は後着磁前で1.9kG、後着磁後で2.3kGであった。また、実施例3と同様に測定した磁束密度の温度特性αは−0.15%/Kであった。

0060

次に、実施例3と同様に、本実施例の極異方性希土類ボンド磁石を用いたステッピングモータを作製したところ、そのホールディングトルクは370g・cmであった。

0061

比較例3:実施例4の極異方性希土類ボンド磁石とほぼ同一形状の極異方性ストロンチウムフェライト焼結磁石(Br:3.4kG、(BH)max:2.4MGOe、ポールコイル法による測定)について、着磁後の表面磁束密度のピーク値を測定したところ2kGであった。また、このフェライト焼結磁石の磁束密度の温度特性αは−0.18%/Kであった。

0062

また、上記実施例3と同様にして、この極異方性フェライト焼結磁石を用いたステッピングモータを作製したところ、そのホールディングトルクは320g・cmであった。

0063

比較例4:射出成形用の組成物として、12−ナイロンを樹脂バインダーとする2.1MGOe級のストロンチウムフェライト射出成形コンパウンドを用いて、実施例3の金型で極異方性フェライトボンド磁石を製造した。得られたフェライトボンド磁石の表面磁束密度のピーク値を測定したところ1.7kGであり、磁束密度の温度特性αは−0.18%/Kであった。

0064

また、上記実施例3と同様にして、この極異方性フェライトボンド磁石を用いたステッピングモータを作製したところ、そのホールディングトルクは270g・cmであった。

0065

以上の結果から、実施例3及び4で得られた本発明の極異方性希土類ボンド磁石は、比較例3及び4の同形状の極異方性フェライト磁石に比べて、高い表面磁束密度が得られており、後着磁することによって更に磁気特性が向上することが分かる。また、上記各実施例の極異方性希土類ボンド磁石は、いずれも磁束密度の温度係数αの絶対値が0.16%/Kよりも小さい。

0066

更に、実施例3及び4の極異方性希土類ボンド磁石を用いたステッピングモータのホールディングトルクは、比較例3のフェライト焼結磁石及び比較例4のフェライトボンド磁石を用いたものよりも優れていることが分かる。

0067

実施例5:上記実施例1のSm−Fe−N磁性粉末を含む射出成形用組成物ペレットを用いて、外径13mm×内径8mm×高さ6mmで外周面12極の極異方性希土類ボンド磁石を射出成形した。その際、金型に設ける射出成形のゲートを、外周と内周の間の端面に等間隔で配置された4点ピンポイントゲートとした。また、金型キャビティーの外周面近傍の配向磁界は3.9kOeであった。尚、シリンダー温度は220〜270℃、金型温度は30℃、射出成形機の原料ホッパー及びシリンダー内の雰囲気は5%O2−N2、金型キャビティー付近の雰囲気は大気、及び取り出した成形品の冷却方法は空冷とした。

0068

得られた極異方性希土類ボンド磁石は、外周と内周の間の端面に4点のピンポイントゲート跡を残していた。この磁石は実施例1と同様にして極異方性磁石であることが確認でき、その表面磁束密度のピーク値は後着磁前で1.9kG、後着磁後で2.9kGであって、表面磁束密度ピーク値の極によるばらつきは0.1kG程度と小さかった。更に、この磁石の1極から2.3mm角の磁石片を切り出し、VSMで20〜80℃の温度範囲での磁束密度の温度係数αを測定したところ、−0.07%/Kであった。

0069

実施例6:射出成形のゲートを内径8mmの内周に沿った厚み0.7mmのリングゲートとした以外は実施例5と同様にして、外径13mm×内径8×高さ6mmで外周面12極の極異方性希土類ボンド磁石を射出成形した。

0070

得られた極異方性希土類ボンド磁石は、内周に沿って連続したリングゲート跡を持っていた。この磁石が極異方性磁石であることは、実施例1と同様にして確認できた。また、この磁石の表面磁束密度のピーク値は後着磁前で2.0kG、後着磁後で3.1kGであり、磁束密度ピーク値の極間のばらつきは0.05kG以下と実施例5の磁石よりも一層小さかった。更に、この磁石の磁束密度の温度係数αは−0.07%/Kであった。

0071

比較例5:射出成形のゲートを、外周と内周の間の端面上で、その中心に対して点対称に配置された2点ピンポイントゲートとした以外は実施例5と同様にして、外径13mm×内径8mm×高さ6mmで外周面12極の極異方性希土類ボンド磁石を射出成形した。

0072

この極異方性希土類ボンド磁石は、表面磁束密度のピーク値が後着磁前で1.7kG、後着磁後で2.7kGであり、磁束密度のピーク値の極間のばらつきは0.2kG程度であった。

0073

上記結果から分るように、実施例5及び6で得られた本発明の極異方性希土類ボンド磁石は、比較例5の磁石に比べて、表面磁束密度のピーク値が大きく且つその極間のばらつきが小さくなっている。また、実施例6で得られた磁石は実施例5よりも更に表面磁束密度のピーク値が大きく且つその極間のばらつきも一層小さい。従って、極数の1/3以上の点数多点ゲートとするか、更に好ましくは円周方向に連続的なリングゲートを用いて射出成形することにより、極異方性希土類ボンド磁石の優れた磁気特性が実現できることが分かる。

0074

実施例7:上記実施例2のSm−Fe−N磁性粉末とバリウムフェライト磁性粉末を含む射出成形用組成物ペレットを用いた以外は実施例5と同様にして、外径13mm×内径8mm×高さ6mmで外周面12極の極異方性希土類ボンド磁石を射出成形した。

0075

得られた4点のピンポイントゲート跡を持つ希土類ボンド磁石は、極異方性磁石であることが実施例1と同様にして確認できた。この磁石の表面磁束密度のピーク値は後着磁前で1.7kG、後着磁後で2.3kGであり、このピーク値の極によるばらつきは0.1kG程度と小さかった。また、磁束密度の温度係数αは−0.14%/Kであった。

0076

実施例8:上記実施例2の射出成形用組成物ペレットを用いた以外は実施例6と同様にして、外径13mm×内径8m×高さ6mmで外周面12極の極異方性希土類ボンド磁石を射出成形した。

0077

得られた内周に沿って連続的なリングゲート跡を持つ希土類ボンド磁石は、極異方性磁石であることが実施例1と同様にして確認できた。この磁石の表面磁束密度のピーク値は後着磁前で1.8kG、後着磁後で2.5kGであり、このピーク値の極間ばらつきは0.05kG以下と更に小さかった。また、磁束密度の温度係数αは−0.14%/Kであった。

0078

比較例6:射出成形のゲートを、外周と内周の間の端面上で、その中心に対して点対称に配置された2点のピンポイントゲートとした以外は実施例7と同様にして、外径13mm×内径8mm×高さ6mmで外周面12極の極異方性希土類ボンド磁石を射出成形した。

0079

得られた希土類ボンド磁石は、極異方性磁石であることが確認できた。この磁石の表面磁束密度のピーク値は後着磁前で1.4kG、後着磁後で2.1kGであり、磁束密度のピーク値の極間のばらつきは0.2kG程度であった。

0080

上記の結果から分かるように、実施例7及び8で得られた本発明の極異方性希土類ボンド磁石は、比較例6に比べて表面磁束密度のピーク値が大きく且つその極間のばらつきが小さくなっている。また、実施例8で得られた磁石は、実施例7よりも更に表面磁束密度のピーク値が大きく且つその極間のばらつきも小さい。従って、フェライト磁性粉末を含有する場合においても、極数の1/3以上の点数の多点のピンポイントゲートか、更に好ましくは円周方向に連続するリングゲートから射出成形することによって、より一層優れた磁気特性を有する極異方性希土類ボンド磁石が得られることが分かる。

発明の効果

0081

本発明によれば、従来の極異方性フェライト磁石よりも高い磁気特性と優れた温度特性を有する極異方性希土類ボンド磁石を提供することができる。特に、極異方性磁石としては実質的に磁性粉末の配向特性の問題からフェライト磁石しか実用化されていなかったが、本発明は希土類磁石で初めて極異方性磁石を実現したものであり、その工業的価値は極めて大きい。

0082

また、本発明の極異方性希土類ボンド磁石は磁気特性が優れているので、これを永久磁石型モータの永久磁石として使用することにより、従来の極異方性フェライト磁石を用いたモータよりもトルク等の性能に優れた永久磁石型モータを提供することができる。

図面の簡単な説明

0083

図1リング状の極異方性磁石の磁界とNS極を表示した平面図である。
図2リング状のラジアル異方性磁石の磁界とNS極を表示した平面図である。
図3種々の異方性射出成形ボンド磁石用組成物について、射出成形時の配向磁界と磁石のオープンフラックスの関係を示すグラフである。
図4ピンポイントゲート跡を有するリング状極異方性ボンド磁石を示す斜視図である。
図5リングゲート跡を有するリング状極異方性ボンド磁石を示す斜視図である。

--

0084

1リング状極異方性希土類ボンド磁石
2aピンポイントゲート跡
2bリングゲート跡

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