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図面 (6)

課題

接合部に発生する段差を小さくすることができ、これにより強度、疲労特性及び耐食性に優れた接合体が得られる金属管接合方法を提供すること。

解決手段

各金属管30、30の拡径後内径の差が2mm以下、好ましくは1mm以下となるように、各金属管30、30の端部近傍の内径を加工し、端部近傍の内径が加工された金属管30、30の端面が所定の表面粗さとなるように機械加工した後、金属管30、30を拡散接合する。この場合、端部近傍の内径の加工は、拡径加工等の材料の除去を伴わない加工、又は、切削加工等の材料の除去を伴う加工のいずれであっても良く、あるいは、これらの組み合わせでも良い。

概要

背景

従来から、化学工業、石油化学工業等の分野においては、種々の環境下での化学反応を利用して目的生成物を得たり、化学反応の原料中間生成物、目的生成物等の腐食性流体長距離に亘って輸送するために、長尺金属管が使用されている。

例えば、油井ガス井掘削するに際しては、地中に掘削された坑道の保護や原油漏出防止等のために、坑道の中にケーシングチューブと呼ばれる鋼管埋設される。油田は、通常、地下数千mの位置にあるので、ケーシングチューブも数千mの長さを有するものが必要とされる。また、油井、ガス井からくみ上げられた原油、ガス等は、分離装置を介して、貯槽あるいは精製所に輸送されるが、その場合、全長数十kmに及ぶパイプライン等が用いられる。

一方、腐食環境に曝される金属管には、耐食性に優れた継目無鋼管が一般に用いられるが、工業的に量産されている継目無鋼管の長さは、10〜15mであり、製造可能な長さの上限は100m程度である。従って、ラインパイプ、あるいはケーシング等の油井管には、長さ10〜15mの継目無鋼管を複数個接続した接合体が用いられている。

このような用途に用いられる金属管の接合方法としては、ねじ接続法(メカニカルカップ法)、溶接法オービタルウェルディング法)、摩擦圧接法拡散接合法などが知られている。

ねじ接続法は、金属管の端部に形成されたねじを螺合させることにより、金属管同士を接続する方法である。ねじ接続法は、一継手当たりの接続時間が5〜10分であり、作業能率が高いという利点があるが、締結部から油やガスが漏れやすいという欠点がある。そのため、金属管に形成されるねじには高精度が要求され、しかもねじの螺合作業には、高度の熟練が要求される。また、高精度に加工されたねじ部の損傷を避けるため、その輸送には細心の注意が要求される。さらに、締結部は、引張応力には強いが、圧縮応力が作用すると半径方向に広がり、油やガスの漏洩を助長するという欠点がある。

一方、溶接法は、金属管の端面に開先を設けて突き合わせ、開先に溶融金属肉盛りすることにより、金属管同士を接続する方法である。溶接法は、溶接部融合不良ピンホール等の欠陥がない限り、溶接部から油やガスが漏れることはなく、また、引張応力のみならず圧縮応力にも強いという利点がある。しかしながら、溶接法は、溶接能率限界があり、特に、厚肉管の溶接の場合には、多層溶接を行う必要があるので、一継手あたりの作業時間が1〜2時間を要してしまう。さらに、現地での溶接施工においては、天候風速等、環境の影響を受けるばかりでなく、熟練した溶接技能を要するという欠点がある。

摩擦圧接法は、圧力を加えつつ、突き合わせた金属管同士を相対的に回転させ、発生した摩擦熱により軟化した金属管端部を圧接する方法である。他の接合法に比べて、熟練を必要としない、短時間で接合できる、作業環境の影響をほとんど受けない等の利点はあるものの、金属管圧接部内外表面バリ発生が避けられず、その除去に多大の時間を要するという欠点がある。その欠点を解決する方法として、一対の金属管端面同士の間に楔状断面を有するリングを介捜し、一対の金属管は固定したままで、そのリングを回転させながら金属管の中心方向に押し込むことにより圧接を行うラジアル摩擦圧接法が開発されているが、圧接継手の特性は、必ずしも十分ではない。

これに対し、拡散接合法は、2本の金属管を突き合わせ、接合面を加圧しながら、金属管の融点以下の温度に加熱し、接合面において元素拡散を行わせることにより、2本の金属管を接合する方法である。拡散接合法には、2本の金属管を直接突き合わせ、固相状態を維持しながら元素の拡散を行わせる固相拡散接合と、接合界面にインサート材を介挿し、インサート材を溶融させると共に、その成分の一部を金属管側に拡散させる液相拡散接合法がある。

拡散接合法は、適正な条件で接合されれば、接合部から油やガスが漏れることはなく、圧縮応力に強いという点では、上述の溶接法と同様であるが、一継手当たりの接合時間は、溶接法の1/3〜1/2程度と短く、高品質の継手を高能率で製造することができるという利点がある。そのため、拡散接合法は、油井管やラインパイプ等の接合方法として特に優れている。

概要

接合部に発生する段差を小さくすることができ、これにより強度、疲労特性及び耐食性に優れた接合体が得られる金属管の接合方法を提供すること。

各金属管30、30の拡径後内径の差が2mm以下、好ましくは1mm以下となるように、各金属管30、30の端部近傍の内径を加工し、端部近傍の内径が加工された金属管30、30の端面が所定の表面粗さとなるように機械加工した後、金属管30、30を拡散接合する。この場合、端部近傍の内径の加工は、拡径加工等の材料の除去を伴わない加工、又は、切削加工等の材料の除去を伴う加工のいずれであっても良く、あるいは、これらの組み合わせでも良い。

目的

本発明が解決しようとする課題は、接合部に発生する段差を小さくすることができ、これにより強度、疲労特性及び耐食性に優れた接合体が得られる金属管の接合方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
2件

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請求項1

金属管を突き合わせて拡散接合する金属管の接合方法において、両金属管接合端面内径差が2mm以下となるように、少なくとも一方の金属管の接合端部近傍の内径を接合前に加工することを特徴とする金属管の接合方法。

請求項2

前記加工が、材料の除去を伴わない拡径加工である請求項1に記載の金属管の接合方法。

請求項3

前記加工が、材料の除去を伴う機械加工である請求項1に記載の金属管の接合方法。

請求項4

前記加工が、材料の除去を伴わない拡径加工と、該拡径加工の後に行われる材料の除去を伴う機械加工からなることを特徴とする請求項1に記載の金属管の接合方法。

技術分野

0001

本発明は、金属管接合方法に関し、更に詳しくは、化学工業、石油化学工業等で用いられるプラント配管ラインパイプ、あるいは油井で用いられるケーシングチューブプロダクションチューブコイルドチューブ等の油井管の接合方法として好適な金属管の接合方法に関するものである。

背景技術

00010

拡散接合法は、適正な条件で接合されれば、接合部から油やガス漏れることはなく、圧縮応力に強いという点では、上述の溶接法と同様であるが、一継手当たりの接合時間は、溶接法の1/3〜1/2程度と短く、高品質の継手を高能率で製造することができるという利点がある。そのため、拡散接合法は、油井管やラインパイプ等の接合方法として特に優れている。

0002

従来から、化学工業、石油化学工業等の分野においては、種々の環境下での化学反応を利用して目的生成物を得たり、化学反応の原料中間生成物、目的生成物等の腐食性流体長距離に亘って輸送するために、長尺の金属管が使用されている。

0003

例えば、油井、ガス井掘削するに際しては、地中に掘削された坑道の保護や原油漏出防止等のために、坑道の中にケーシングチューブと呼ばれる鋼管埋設される。油田は、通常、地下数千mの位置にあるので、ケーシングチューブも数千mの長さを有するものが必要とされる。また、油井、ガス井からくみ上げられた原油、ガス等は、分離装置を介して、貯槽あるいは精製所に輸送されるが、その場合、全長数十kmに及ぶパイプライン等が用いられる。

0004

一方、腐食環境に曝される金属管には、耐食性に優れた継目無鋼管が一般に用いられるが、工業的に量産されている継目無鋼管の長さは、10〜15mであり、製造可能な長さの上限は100m程度である。従って、ラインパイプ、あるいはケーシング等の油井管には、長さ10〜15mの継目無鋼管を複数個接続した接合体が用いられている。

0005

このような用途に用いられる金属管の接合方法としては、ねじ接続法(メカニカルカップ法)、溶接法(オービタルウェルディング法)、摩擦圧接法、拡散接合法などが知られている。

0006

ねじ接続法は、金属管の端部に形成されたねじを螺合させることにより、金属管同士を接続する方法である。ねじ接続法は、一継手当たりの接続時間が5〜10分であり、作業能率が高いという利点があるが、締結部から油やガスが漏れやすいという欠点がある。そのため、金属管に形成されるねじには高精度が要求され、しかもねじの螺合作業には、高度の熟練が要求される。また、高精度に加工されたねじ部の損傷を避けるため、その輸送には細心の注意が要求される。さらに、締結部は、引張応力には強いが、圧縮応力が作用すると半径方向に広がり、油やガスの漏洩を助長するという欠点がある。

0007

一方、溶接法は、金属管の端面に開先を設けて突き合わせ、開先に溶融金属肉盛りすることにより、金属管同士を接続する方法である。溶接法は、溶接部融合不良ピンホール等の欠陥がない限り、溶接部から油やガスが漏れることはなく、また、引張応力のみならず圧縮応力にも強いという利点がある。しかしながら、溶接法は、溶接能率に限界があり、特に、厚肉管の溶接の場合には、多層溶接を行う必要があるので、一継手あたりの作業時間が1〜2時間を要してしまう。さらに、現地での溶接施工においては、天候風速等、環境の影響を受けるばかりでなく、熟練した溶接技能を要するという欠点がある。

0008

摩擦圧接法は、圧力を加えつつ、突き合わせた金属管同士を相対的に回転させ、発生した摩擦熱により軟化した金属管端部を圧接する方法である。他の接合法に比べて、熟練を必要としない、短時間で接合できる、作業環境の影響をほとんど受けない等の利点はあるものの、金属管圧接部内外表面バリ発生が避けられず、その除去に多大の時間を要するという欠点がある。その欠点を解決する方法として、一対の金属管端面同士の間に楔状断面を有するリングを介捜し、一対の金属管は固定したままで、そのリングを回転させながら金属管の中心方向に押し込むことにより圧接を行うラジアル摩擦圧接法が開発されているが、圧接継手の特性は、必ずしも十分ではない。

0009

これに対し、拡散接合法は、2本の金属管を突き合わせ、接合面を加圧しながら、金属管の融点以下の温度に加熱し、接合面において元素拡散を行わせることにより、2本の金属管を接合する方法である。拡散接合法には、2本の金属管を直接突き合わせ、固相状態を維持しながら元素の拡散を行わせる固相拡散接合と、接合界面にインサート材を介挿し、インサート材を溶融させると共に、その成分の一部を金属管側に拡散させる液相拡散接合法がある。

発明が解決しようとする課題

00100

(実施例7)以下の手順により、金属管の拡散接合を行った。すなわち、金属管として、API X52からなる外径12.75インチ(323.9mm)、肉厚0.375インチ(9.5mm)の鋼管を用い、この鋼管の端部内径を、端部拡径率が5%となるように拡径した。

0011

ところで、拡散接合法を用いて金属管を接合する場合、所定の外径及び肉厚を有する金属管の端面のみを所定の表面粗さに仕上げ、外径及び肉厚を修正することなく、そのまま接合に用いるのが一般的である。

0012

しかしながら、工業的に量産されている金属管には、所定の寸法公差があり、各金属管の外径及び肉厚は、寸法公差の範囲内でばらついている。そのため、量産された金属管をそのまま用いて拡散接合を行うと、接合部の外周面側及び/または内周面側に段差が発生する場合がある。

0013

接合部の外周面側及び/又は内周面側に段差を有する接合体をそのまま使用すると、段差部分に応力が集中し、段差部分から破壊したり、あるいは段差部分が疲労破壊の起点になりやすいという問題がある。また、接合部の内周面側に段差があると、段差部分に腐食性物質滞留し、機械的特性及び耐食性に悪影響を及ぼすおそれがある。

0014

この場合、接合部の外周面側に発生した段差は、接合後に後加工することにより容易に取り除くこともできるが、内周面側に発生した段差を接合後に除去するのは困難である。

課題を解決するための手段

0015

本発明が解決しようとする課題は、接合部に発生する段差を小さくすることができ、これにより強度、疲労特性及び耐食性に優れた接合体が得られる金属管の接合方法を提供することにある。

0016

上記課題を解決するために、本発明は、金属管を突き合わせて拡散接合する金属管の接合方法において、両金属管接合端面の内径差が2mm以下となるように、少なくとも一方の金属管の接合端部近傍の内径を接合前に加工することを要旨とするものである。

0017

この場合、前記加工は、材料の除去を伴わない拡径加工であることが望ましい。また、前記加工は、材料の除去を伴う機械加工であってもよい。あるいは、前記加工は、材料の除去を伴わない拡径加工と、該拡径加工の後に行われる材料の除去を伴う機械加工からなっていてもよい。

発明を実施するための最良の形態

0018

上記構成を有する本発明に係る金属管の接合方法によれば、金属管同士の拡散接合が行われる前に、各金属管の内径の差が所定の値以下となるように、各金属管の端部近傍の内径の加工が行われる。そのため、加工前の各金属管の外径及び肉厚にばらつきがあり、各金属管の内径に差がある場合であっても、接合部の内周面側に大きな段差が発生することはなく、接合体の強度、疲労特性及び耐食性が向上する。

0019

以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の第一の実施の形態に係る金属管の接合方法を示す工程図である。図1において、本発明に係る金属管の接合方法は、拡径工程と、端面加工工程と、拡散接合工程とを備えている。

0020

まず、拡径工程について説明する。拡径工程は、図1(a)に示すような円筒状の金属管30の内、両端の内径のみを適当な工具等を用いて拡大させ、図1(b)に示すように、金属管30端部の内径をd0からd1に拡大する工程である。

0021

ここで、本発明が適用される金属管30の材質については、特に限定されるものではなく、炭素鋼マルテンサイト系ステンレス鋼二相ステンレス鋼オーステナイト系ステンレス鋼等のステンレス鋼Ti合金等、各種の材料を用いることができる。

0022

また、本発明においては、各金属管30の拡径前の内径の最小値に対する拡径後の金属管30の内径の増分を端部拡径率と呼び、次の数1の式で定義する。

0023

端部拡径率(%)=(d1−d0min)x100/d0min
但し、d1 :金属管30端部の拡径後の内径
d0min:金属管30端部の拡径前の内径の最小値

0024

本発明の場合、拡径工程においては、各金属管30の拡径後の内径の差が2mm以下となるように、各金属管30の端部近傍の内径を拡大させる必要がある。拡径後の内径の差が2mmを超えると、接合部の内周面側に1mm以上の段差が発生し、強度、疲労特性及び耐食性に優れた接合体が得られないので好ましくない。好ましくは、各金属管30の内径の差は、1mm以下である。

0025

そのため、拡径工程における端部拡径率が小さすぎると、接合部の内周面側に大きな段差が発生することになる。従って、各金属管30の拡径前の最大内径をd0maxとすると、拡径後の各金属管30の内径d1が次の数2の式を満たすように、端部拡径率を決定すると良い。

0026

d0max−2≦d1≦d0max (単位:mm)

0027

この場合、拡径前の内径d0が(d0max−2)(mm)より小さい金属管30のみが、d1に相当する内径まで拡径され、拡径前の内径d0が(d0max−2)(mm)以上である金属管30については、端部近傍の内径が拡径されることなく、そまま接合に供されることになる。

0028

あるいは、拡径後の各金属管30の内径d1がd0maxより大きくなるように、端部拡径率を決定し、各金属管30を拡径しても良い。この場合は、全ての金属管30が、d1に相当する内径まで拡径されることになる。

0029

なお、端部拡径率の計算に用いられる内径の最小値d0min及び最大値d0maxとしては、安全率を見込むという点では、接合に用いられる金属管の規格から予測される最小値及び最大値を用いることが望ましいが、実測値を用いても良い。

0030

また、端部拡径率は、接合部の内周面側に発生する段差を小さくするという点では、大きい程良いので、得られる接合体の用途に応じて、最適な端部拡径率を選択すればよい。

0031

また、拡径された部分の長さ(以下、これを「拡径長さ」といい、図1(b)中、「L1」で表示。)は、金属管30の加工の容易性、得られる接合体の用途等を考慮して任意に選択すればよい。

0032

さらに、拡径方法も、特に限定されるものではなく、種々の方法を用いることができる。通常は、数1に示すd1に相当する外径を有するマンドレルあるいはプラグを、所定の長さだけ、金属管30の端部に挿入し、端部内径を拡径すればよい。

0033

次に、端面加工工程について説明する。端面加工工程は、図1(c)に示すように、拡径工程により端部内径が拡径された金属管30の端面を所定の表面粗さに機械加工する工程である。これは、金属管30の端面の表面粗さが粗いと、後述する拡散接合工程において、接合界面が十分に密着せず、高い接合強度が得られないためである。

0034

なお、端面の加工方法は、特に限定されるものではなく、研削加工ラッピング加工等、各種の方法を用いることができる。また、拡径後も金属管30の端面の表面粗さが所定の範囲に維持されている場合には、端面加工工程は必ずしも必要ではなく、省略することもできる。

0035

次に、拡散接合工程について説明する。拡散接合工程は、拡径工程において端部内径が拡径され、さらに端面加工工程において、端面が所定の表面粗さに加工された金属管30を突き合わせ、金属管30、30同士を拡散接合させる工程である。

0036

ここで、拡散接合法には、金属管30を直接突き合わせ、固相状態を維持しながら元素の拡散を行わせる固相拡散接合と、接合界面にインサート材を介挿し、インサート材を一時的に融解させながら元素の拡散を行わせる液相拡散接合とがあるが、いずれの方法を用いてもよい。

0037

特に、液相拡散接合は、固相拡散接合に比して、短時間で母材と同様の強度を有する接合体が得られるので、接合方法として好適である。図1(d)に、金属管30、30の接合界面にインサート材36を介挿し、液相拡散接合法により接合された金属管接合体32の一例を示す。

0038

また、拡散接合の条件は、使用する金属管30の材質に応じて最適な範囲を選択すればよい。具体的には、以下の条件下で行うとよい。

0039

まず、接合面の表面粗さRmaxは、50μm以下が好ましい。接合面の表面粗さRmaxが50μmを超えると、接合面において金属管30同士が十分密着せず、高い接合強度が得られないので好ましくない。高い接合強度を得るという点では、表面粗さRmaxは小さい程良い。

0040

また、使用するインサート材36は、融点が1200℃以下であるNi系合金又はFe系合金が好適である。インサート材36の融点が1200℃を超えると、高い接合温度が必要となるので、接合中に母材を溶融させたり、あるいはインサート材36の未溶融に起因する未接合部が発生するので好ましくない。

0041

また、使用するインサート材36の厚さは、100μm以下が好ましい。インサート材36の厚さが100μmを超えると、接合界面における元素の拡散が十分に行われず、接合強度が低下するので好ましくない。

0042

なお、インサート材36の形状は、特に限定されるものではなく、厚さ100μm以下の箔状のインサート材36を接合界面に介挿してもよく、あるいは、厚さが100μm以下となるように、粉末状もしくは鱗片状のインサート材36を接合界面に散布したり、ペースト状にして接合界面に塗布してもよい。

0043

接合雰囲気は、非酸化性雰囲気が好ましい。酸化性雰囲気下で拡散接合を行うと、接合界面近傍酸化し、接合強度が低下するので好ましくない。

0044

接合温度は、1250℃以上1400℃以下の範囲が好適である。接合温度が1250℃未満になると、インサート材36が部分的に溶融しなかったり、あるいは元素の拡散が十分に行われず、接合強度が低下するので好ましくない。また、接合温度が1400℃を超えると、母材が溶融するおそれがあるので好ましくない。

0045

接合温度における保持時間は、30秒以上300秒以下が好適である。保持時間が30秒未満であると、接合界面における元素の拡散が不十分となり、接合強度が低下するので好ましくない。また、保持時間が300秒を超えると、作業効率が低下するので好ましくない。

0046

さらに、接合界面に付与する加圧力は、1.5MPa以上5MPa以下が好適である。加圧力が1.5MPa未満であると、接合界面の密着が不十分となり、接合強度が低下するので好ましくない。また、加圧力が5MPaを超えると、接合部近傍が過大に変形するので好ましくない。

0047

また、拡散接合を行う際の加熱方法としては、高周波誘導加熱高周波直接通電加熱抵抗加熱等の各種の方法を用いることができる。中でも高周波誘導加熱及び高周波直接通電加熱は、比較的大きな被接合材であっても容易に加熱でき、加熱効率が高く、極めて短時間に接合温度まで加熱できるので、加熱方法として特に好適である。

0048

ただし、高周波誘導加熱又は高周波直接通電加熱に用いる高周波電流としては、周波数が100kHz以下のものを用いるのが好ましい。周波数が100kHzを超えると、表皮効果により表面のみが加熱され、接合面全面が均一に加熱されないので好ましくない。

0049

次に、本発明に係る金属管の接合方法の作用について説明する。工業的に量産されている金属管には、所定の寸法公差があり、要求される寸法精度は、用途によって異なっている。中でも、ケーシングチューブ、プロダクションチューブ、コイルドチューブ等の油井管や、ラインパイプに用いられる金属管は、他の用途に比較して、高い精度が要求されることで知られている。

0050

ラインパイプの寸法公差を定める規格としては、例えば、アメリカ石油協会(以下、これを「API」という)規格5LC(第2版、1991年8月1日)がある。また、ケーシング及びチュービングの寸法公差を定める規格としては、例えば、API規格5CT(初版、1995年4月1日)がある。

0051

API規格5LCによれば、例えば、外径4〜18インチ(101.6〜457.2mm)のラインパイプの場合、パイプ本体の外径は、規格値の±0.75%の範囲であれば許容される。また、パイプの肉厚は、規格値の+15%から−12.5%の範囲にあれば許容される。

0052

従って、例えば、外径12.75インチ(323.85mm)及び肉厚0.375インチ(9.525mm)のAPIグレードX52のラインパイプの場合、外径の最大値は326.279mmとなり、最小値は321.421mmとなる。また、肉厚の最大値は10.954mmとなり、最小値は8.334mmとなる。

0053

そのため、ラインパイプを中央で切断し、再接合する場合を想定すると、寸法公差内にある最大外径及び最小肉厚を有する金属管41と、最小外径及び最大肉厚を有する金属管42とを接合する必要が生ずる。この時、両者の軸が一致するように突き合わせて拡散接合したとすると、図2(a)に示すように、金属管41、42の内周面側に、最大5.049mmの段差が発生することになる。

0054

従って、この場合には、内径の最小値d0minは、299.513mmであるので、拡径後の内径d1が307.611mm以上、すなわち端部拡径率が2.70%以上となるように、金属管41、42を拡径すれば、計算上、内周面側に発生する段差を1mm以下とすることができる。

0055

同様に、拡径後の内径d1が308.611mm以上、すなわち端部拡径率が3.04%以上となるように、金属管41、42を拡径すれば、計算上、内周面側に発生する段差を0.5mm以下とすることができる。さらに、拡径後の内径d1が309.611mm以上、すなわち端部拡径率が3.37%以上となるように、金属管41、42を拡径すれば、図2(b)に示すように、計算上、内周面側に発生する段差を完全になくすることができる。

0056

また、API規格5CTによれば、例えば、外径4 1/2インチ(114.3mm)以上のケーシング又はチュービングの場合、パイプ本体の外径は、規格値の+1.00%から−0.50%の範囲であれば許容される。また、パイプの肉厚は、規格値の±12.5%の範囲にあれば許容される。

0057

従って、例えば、外径7インチ(177.8mm)及び肉厚0.54インチ(13.716mm)インチのAPIグレードH40のケーシングの場合、外径の最大値は179.578mmとなり、最小値は179.911mmとなる。また、肉厚の最大値は15.431mmとなり、最小値は12.002mmとなる。

0058

そのため、寸法公差内にある最大外径及び最小肉厚を有する金属管51と、最小外径及び最大肉厚を有する金属管52とを、軸が一致するように突き合わせて拡散接合したとすると、図3(a)に示すように、金属管51、52の内周面側に、最大4.763mmの段差が発生することになる。

0059

従って、この場合には、内径の最小値d0minは、146.049mmであるので、拡径後の内径d1が153.574mm以上、すなわち端部拡径率が5.15%以上となるように、金属管51、52を拡径すれば、計算上、内周面側に発生する段差を1mm以下とすることができる。

0060

同様に、拡径後の内径d1が154.547mm以上、すなわち端部拡径率が5.84%以上となるように、金属管51、52を拡径すれば、計算上、内周面側に発生する段差を0.5mm以下とすることができる。さらに、拡径後の内径d1が155.574mm以上、すなわち端部拡径率が6.52%以上となるように、金属管51、52を拡径すれば、図3(b)に示すように、計算上、内周面側に発生する段差を完全になくすることができる。

0061

なお、上述の試算においては、接合に用いられる金属管の内径が、許容される寸法公差の最大値と最小値の範囲内でばらついていることが前提となっている。従って、接合に用いられる金属管の内径が、許容される寸法公差の範囲より狭い範囲でばらついている場合には、上述の試算で求められた端部拡径率より小さい端部拡径率であっても、内周面側に発生する段差を1mm以下にすることができる。

0062

次に、本発明の第2の実施の形態に係る金属管の拡散接合方法について説明する。本実施の形態に係る金属管の拡散接合方法は、材料の除去を伴わない拡径加工によって接合前の金属管の端部近傍の内径差を2mm以下とする代わりに、材料の除去を伴う機械加工によって端部近傍の内径差を2mm以下とすることを特徴とするものである。

0063

ここで、金属管端部近傍を機械加工するに際しては、機械加工された金属管を突き合わせたときに、接合界面に鋭角切り欠きが形成されないように、金属管端部近傍の内周面側の材料を、連続的かつ滑らかに除去することが望ましい。具体的には、図4(a)に示すように、双方の金属管61、62の端部近傍の内周面側を底角の大きなテーパ状に除去したり、あるいは、図4(b)に示すように、楕円状に除去すればよい。また、図示はしないが、内径の小さいいずれか一方の金属管のみについて、内周面側の材料の除去加工を行っても良い。

0064

なお、材料の除去を伴う機械加工としては、具体的には、研削加工、切削加工等が一例として挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。また、金属管30の端部近傍の材料を機械加工により除去した後は、必要に応じて端面を加工し、次いで拡散接合すればよい点は、第1の実施の形態と同様である。

0065

次に、本発明の第3の実施の形態に係る金属管の拡散接合方法について説明する。本実施の形態に係る金属管の拡散接合方法は、金属管の端部近傍の内径を、材料の除去を伴わない拡径加工によって拡大させた後、さらに、端部近傍に材料の除去を伴う機械加工を施し、これによって突き合わされた金属管の端部近傍の内径差を2mm以下とすることを特徴とするものである。

0066

なお、金属管端部近傍の拡径加工を行った後、材料の除去を伴う機械加工を施すに際しては、機械加工された金属管を突き合わせたときに、接合界面に鋭角の切り欠きが形成されないように、金属管端部近傍の内周面側の材料を、連続的かつ滑らかに除去することが望ましい点は、第2の実施の形態と同様である。

0067

すなわち、図5(a)に示すように、拡径加工が施された一方の金属管71の端部近傍の内周面側を底角の大きなテーパ状に除去したり、あるいは、図5(b)に示すように、楕円状に除去すればよい。また、図示はしないが、拡径加工が施された双方の金属管71、72の端面近傍の材料を、底角の大きなテーパ状に除去したり、あるいは、楕円状に除去し、これによって金属管71、72の端部の内径差が2mm以下となるようにしてもよい。

0068

また、機械加工の方法については特に限定されない点、及び、金属管30の端部近傍を拡径加工及び機械加工した後、必要に応じて端面を加工し、次いで拡散接合すればよい点も、第2の実施の形態と同様である。

0069

以上のように、本発明に係る金属管の接合方法によれば、外径及び肉厚にばらつきのある金属管を用いる場合であっても、接合前に、各金属管の端部近傍に材料の除去を伴わない拡径加工及び/又は切削加工等の材料の除去を伴う加工が施されるので、各金属管の内径を容易に揃えることができる。

0070

そのため、各金属管の軸が一致するように接合した場合には、内周面側の段差をほぼゼロにすることも可能である。また、不可抗力により、接合時に各金属管の軸が若干ずれた場合であっても、端部近傍の加工を行わなかった場合に比して、内周面側に発生する段差は、僅かなものとなる。

0071

特に、マンドレル等の工具を用いた金属管の端部の拡径加工は、材料の除去を伴わないので、研削加工あるいは切削加工等の機械加工に比較して、簡単に行うことができる。そのため、接合コストの増大を招くことなく、接合部の内周面側の段差を小さくすることができ、強度及び疲労特性に優れた接合体を得ることができる。

0072

また、寸法公差の大きな金属管の場合には、拡径加工のみによっては、端部近傍の内周面側の段差を十分に小さくすることができない場合がある。しかしながら、金属管の端部近傍の内周面側に、材料の除去を伴う機械加工を施した場合、あるいは、拡径加工の後に機械加工を施した場合には、内周面側の段差を確実に小さくすることができる。

0073

次に、本発明に係る方法により得られた金属管接合体の使用方法の一例について説明する。上述のような方法により得られた金属管接合体は、そのまま各種プラント用配管等として使用することができるが、金属管接合体全体の内径をほぼ一様に拡大させる拡管加工を施して使用しても良い。この場合、金属管接合体の拡管率E(%)が次の数3の式を満たすように、拡管加工を行うことが望ましい。

0074

E(%)≦30−T(%)
但し、E=((拡管後の内径/非接合部の拡管前の内径)−1)×100
T=(接合部内周面側の段差/拡管前の金属管の板厚)×100

0075

拡管前の金属管の板厚に対する接合部内周面側に発生した段差の比率(以下、これを「T値」という。)が0でない場合、すなわち、接合部内周面側に段差が発生した場合において、拡管率Eが(30−T)より大きくなると、拡管時に段差部分に応力が集中し、接合部に欠陥が発生するおそれがあるので好ましくない。

0076

なお、数3の式においては、拡管率の上限を30%としている。これは、接合部近傍には熱影響部が発生しているために、拡管率が30%を超えると、接合部内周面側に段差が発生しているか否かに関わらず、接合部近傍に欠陥が発生するおそれがあるためである。

0077

本発明に係る方法により得られた金属管接合体は、突き合わされる2つの金属管の接合端面の内径差が2mm以下となるように、接合端部近傍の内周面側が接合前に加工されいるので、T値が小さくなっている。そのため、接合端部近傍の内周面側を予め加工しない場合に比較して、高い拡管率Eで拡管加工することができ、しかも、接合界面近傍における欠陥の発生を抑制することができる。

0078

(実施例1)以下の手順により、金属管の拡散接合を行った。すなわち、金属管として、アメリカ石油協会グレードX52(以下、これを「API X52」と表記する)からなる外径12.75インチ(323.9mm)、肉厚0.375インチ(9.5mm)の鋼管を用い、この鋼管の端部内径を、端部拡径率が3%となるように拡径した。

0079

次に、拡径された金属管の端面を表面粗さRmaxが25μm以下となるように仕上げ、金属管の接合界面に、JIS BNi−3相当の組成を有する融点1050℃、厚さ50μmのNi系合金箔を介挿し、液相拡散接合を行った。

0080

なお、接合部の加熱方法には、周波数3kHzの高周波電流を用いた高周波誘導加熱法を用いた。また、接合条件は、接合温度1300℃、保持時間180秒、加圧力4.5MPaとし、Ar雰囲気中で接合を行った。

0081

(実施例2〜3、比較例1、2)金属管30の端部拡径率を、それぞれ、0%(比較例1)、1%(比較例2)、5%(実施例2)、及び10%(実施例3)とした以外は、実施例1と同様の手順に従い、金属管の拡散接合を行った。

0082

実施例1〜3、及び比較例1〜2で得られた接合体について、接合部の内周面側に発生した段差の最大値(以下、これを単に「最大段差」という)を測定した。また、得られた接合体の外周面側に発生した段差のみをグラインダー研削して0.5mm以下とした後、接合体から、JIS Z3121 4号試験片切り出し、引張試験を行った。さらに、この接合体からJIS Z3103の非仕上げ突き合わせ溶接継手試験法準拠した試験片を切り出して疲労試験を行い、疲労強度比(母材の疲労限度に対する接合部の疲労限度の比)を測定した。結果を表1に示す。

0083

0084

端部拡径率を0%とした比較例1では、最大段差は、5mmに達した。引張強度は、450MPaであり、母材の強度より若干低下した。また、試験片は、接合界面から破断した。さらに、疲労強度比は、0.4の低い値を示した。これは、接合部の内周面側に発生した段差に応力が集中し、段差部分が疲労破壊の起点となったためと考えられる。

0085

端部拡径率を1%とした比較例2では、最大段差は、3.5mmに減少した。しかし、引張強度は、466MPaであり、試験片は、接合界面から破断した。また、疲労強度比も0.5であり、比較例1とほぼ同等の値を示した。

0086

これに対し、端部拡径率をそれぞれ、3%、5%、及び10%とした実施例1、2及び3では、最大段差は、いずれも1.0mmに減少した。また、引張強度は、いずれも母材と同等である500MPa以上を示し、試験片は、母材側から破断した。さらに、疲労強度比は、0.9であり、母材とほぼ同等の疲労特性を示した。

0087

以上の結果から、金属管を接合する前に、金属管の端部内径を所定の端部拡径率以上で拡径すると、最大段差が1mm以下になることがわかった。また、最大段差を小さくすると、接合強度及び疲労強度の高い接合体が得られることがわかった。

0088

(実施例4)以下の手順により、金属管の拡散接合を行った。すなわち、金属管として、API X52からなる外径12.75インチ(323.9mm)、肉厚0.375インチ(9.5mm)の鋼管を用い、この鋼管の端部内径を、端部拡径率が5%となるように拡径した。

0089

次に、拡径された金属管の端面を表面粗さRmaxが15μm以下となるように仕上げ、金属管の接合界面に、融点1200℃、厚さ50μmのFe−3B−3Si−1C合金箔を介挿し、液相拡散接合を行った。

0090

なお、接合部の加熱方法には、周波数3kHzの高周波電流を用いた高周波誘導加熱法を用いた。また、接合条件は、接合温度1250℃、保持時間60秒、加圧力4.5MPaとし、Ar雰囲気中で接合を行った。

0091

(実施例5)インサート材として、JIS BNi−5相当の組成を有する融点1140℃、厚さ50μmのNi系合金箔を用い、接合温度を1300℃、保持時間を180秒とした以外は、実施例4と同様の手順に従い、金属管の拡散接合を行った。

0092

(実施例6)インサート材として、JIS BNi−5相当の組成を有する融点1140℃、厚さ100μmのNi系合金箔を用い、接合温度を1300℃、保持時間を180秒とした以外は、実施例4と同様の手順に従い、金属管の拡散接合を行った。

0093

(比較例3)インサート材として、融点1290℃、厚さ50μmのFe−2B−1Si合金箔を用い、接合温度を1400℃、保持時間を300秒、加圧力を5.0MPaとした以外は、実施例4と同様の手順に従い、金属管の拡散接合を行った。

0094

実施例4〜6、及び比較例3で得られた接合体について、実施例1と同様の手順に従い、最大段差、引張強度及び疲労強度比を測定した。結果を表2に示す。

0095

0096

融点が1290℃であるインサート材を用いた比較例3では、保持時間を300秒としたにもかかわらず、引張強度は428MPaであり、試験片は、接合界面から破断した。また、疲労強度比は0.7であり、母材と比較して、疲労限度が若干低下した。これは、インサート材の融点が高いために、接合界面において元素の拡散が十分に行われなかったためと考えられる。

0097

これに対し、融点が1200℃であるインサート材を用いた実施例4、並びに融点が1140℃であるインサート材を用いた実施例5及び6の引張強度は、いずれも母材と同等である700MPa以上を示し、試験片は、母材側から破断した。また、疲労強度比は、いずれも0.9を示した。

0098

なお、実施例4〜6及び比較例3においては、金属管の端部拡径率をいずれも5%としているので、最大段差は、いずれも1.0mmであった。

0099

以上の結果から、金属管を液相拡散接合する場合において、金属管を所定の端部拡径率で拡径すると共に、融点が1200℃以下のインサート材を用いて拡散接合すると、接合強度及び疲労強度の高い接合体が得られることがわかった。

0101

次に、拡径された金属管の端面を表面粗さRmaxが15μm以下となるように仕上げ、金属管の接合界面に、JIS BNi−5相当の組成を有する融点1140℃の粉末状Ni系合金を厚さ30μmとなるように介挿し、液相拡散接合を行った。

0102

なお、接合部の加熱方法には、周波数3kHzの高周波電流を用いた高周波誘導加熱法を用いた。また、接合条件は、接合温度1300℃、保持時間60秒、加圧力3.0MPaとし、Ar雰囲気中で接合を行った。

0103

(実施例8)インサート材として、JIS BNi−5相当の組成を有する鱗片状Ni系合金を用い、これを厚さ50μmとなるように金属管の接合界面に介挿し、接合温度に30秒間保持した以外は、実施例7と同様の手順に従い、金属管の拡散接合を行った。

0104

(比較例4)インサート材として、JIS BNi−5相当の組成を有する厚さ200μmのNi系合金箔を用い、接合温度における保持時間を300秒、加圧力を4.5MPaとした以外は、実施例7と同様の手順に従い、金属管の拡散接合を行った。

0105

(比較例5)インサート材として、JIS BNi−5相当の組成を有する厚さ50μmのNi系合金箔を用い、接合温度を1400℃、保持時間を10秒、加圧力を5.0MPaとした以外は、実施例7と同様の手順に従い、金属管の拡散接合を行った。

0106

(比較例6)インサート材として、JIS BNi−5相当の組成を有する厚さ50μmのNi系合金箔を用い、接合温度における保持時間を600秒とした以外は、実施例7と同様の手順に従い、金属管の拡散接合を行った。

0107

実施例7〜8、及び比較例4〜6で得られた接合体について、実施例1と同様の手順に従い、最大段差、引張強度、及び疲労強度比を測定した。結果を表3に示す。

0108

0109

インサート材の厚さを200μmとした比較例4では、保持時間を300秒とし、加圧力を4.5MPaとしたにもかからわず、引張強度は、455MPaであり、試験片は、接合界面から破断した。また、疲労強度比は、0.7であり、母材と比較して、疲労限度が若干低下した。これは、インサート材が厚いために、インサート材に含まれる元素の拡散が十分に行われなかったためと考えられる。

0110

また、保持時間を10秒とした比較例5では、接合温度を1400℃としたにもかかわらず、引張強度は、421MPaであり、試験片は、接合界面から破断した。また、疲労強度比は、0.7であり、母材と比較して、疲労限度が若干低下した。これは、保持時間が短いために、接合界面における元素の拡散が十分に行われなかったためと考えられる。

0111

さらに、保持時間を600秒とした比較例6では、接合強度は、母材と同等である522MPaを示し、試験片は接合界面から破断したが、疲労強度比は0.8となり、母材に比較して疲労限度が若干低下した。これは、保持時間が長いために、接合部近傍が過大に変形し、変形した部分が疲労破壊の起点になったと考えられる。

0112

これに対し、インサート材の厚さを30〜50μmとし、かつ接合温度における保持時間を10〜60秒とした実施例7及び8では、接合強度は、いずれも母材と同等である500MPa以上を示し、試験片は、母材側から破断した。また、疲労強度比は、いずれも0.9であった。

0113

なお、実施例7〜8及び比較例4〜6においては、金属管の端部拡径率をいずれも5%としているので、最大段差は、いずれも1.0mmであった。

0114

以上の結果から、金属管を液相拡散接合する場合において、金属管の端部を所定の端部拡径率で拡管すると共に、インサート材の厚さを100μm以下とすると、接合強度及び疲労強度の高い金属管接合体が得られることがわかった。また、接合界面において元素を十分拡散させると共に、接合部の過大な変形を抑制するには、保持時間は、30〜300秒の範囲が好ましいことがわかった。

0115

(実施例9)以下の手順により、金属管の拡散接合を行った。すなわち、金属管として、API X52からなる外径12.75インチ(323.9mm)、肉厚0.375インチ(9.5mm)の鋼管を用い、この鋼管の端部内径を、端部拡径率が5%となるように拡径した。

0116

次に、拡径された金属管の端面を表面粗さRmaxが15μm以下となるように仕上げ、金属管の接合界面に、JIS BNi−5相当の組成を有する融点1140℃、厚さ50μmのNi系合金箔を介挿し、液相拡散接合を行った。

0117

なお、接合部の加熱方法には、周波数3kHzの高周波電流を用いた高周波誘導加熱法を用いた。また、接合条件は、接合温度1350℃、保持時間240秒、加圧力1.5MPaとし、Ar雰囲気中で接合を行った。

0118

(実施例10)接合時の加圧力を5.0MPaとした以外は、実施例9と同様の手順に従い、金属管の拡散接合を行った。

0119

(比較例7)接合温度を1450℃、保持時間を60秒、加圧力を4.0MPaとした以外は、実施例9と同様の手順に従い、金属管の拡散接合を行った。

0120

(比較例8)接合温度を1400℃、保持時間を300秒、加圧力を1.0MPaとした以外は、実施例9と同様の手順に従い、金属管の拡散接合を行った。

0121

(比較例9)接合温度を1300℃、保持時間を300秒、加圧力を7.0MPaとした以外は、実施例9と同様の手順に従い、金属管の拡散接合を行った。

0122

実施例9〜10、及び比較例7〜9で得られた接合体について、実施例1と同様の手順に従い、最大段差、引張強度及び疲労強度比を測定した。結果を表4に示す。

0123

0124

接合温度を1450℃とした比較例7では、引張強度は、母材と同等である525MPaを示し、試験片は母材側から破断した。しかし、疲労強度比は、0.8となり、母材に比較して、疲労限度が若干低下した。これは、接合温度が高いために、接合界面近傍に溶損が発生し、溶損した部分が疲労破壊の起点となったと考えられる。

0125

また、加圧力を1MPaとした比較例8では、接合温度を1400℃とし、保持時間を300秒としたにもかかわらず、引張強度は、418MPaであり、試験片は、接合界面から破断した。また、疲労強度比は0.6となり、母材に比較して、疲労限度が低下した。これは、加圧力が低いために、接合界面が十分に密着せず、部分的に未接合部が発生しためと考えられる。

0126

さらに、加圧力を7MPaとした比較例9では、接合温度を1300℃としたにもかかわらず、引張強度は、424MPaであり、試験片は、接合界面から破断した。また、疲労強度比は0.7となり、母材に比較して、疲労限度が低下した。これは、加圧力が高いために、接合部が過大に変形し、変形した部分が疲労破壊の起点となっためと考えられる。

0127

これに対し、接合温度を1350℃とし、加圧力を1.5MPaとした実施例9、及び加圧力を5.0MPaとした実施例10では、接合強度は、いずれも母材と同等である500MPa以上を示し、試験片は、母材側から破断した。また、疲労強度比はいずれも0.9であり、母材と同等の疲労限度を示した。

0128

なお、実施例10〜11及び比較例6〜8においては、金属管の端部拡径率をいずれも5%としているので、最大段差は、いずれも1.0mmであった。

0129

以上の結果から、金属管を液相拡散接合する場合において、金属管を所定の端部拡径率で拡径すると共に、接合温度を1400℃以下とすると、接合部近傍の溶損が抑制され、接合強度及び疲労強度の高い接合体が得られることがわかった。また、加圧力を1.5MPa以上5MPa以下とすると、未接合部の発生と接合部の過大変形が抑制され、接合強度及び疲労強度の高い接合体が得られることがわかった。

0130

(実施例11)以下の手順により、金属管の拡散接合を行った。すなわち、金属管として、アメリカ石油協会グレードH40(以下、これを「API H40」と表記する。)からなる外径7.00インチ(177.8mm)、肉厚0.54インチ(13.7mm)の鋼管を用い、この鋼管の端部内径を、端部拡径率が5%となるように拡径した。

0131

次に、拡径された金属管の端面を表面粗さRmaxが50μm以下となるように仕上げ、金属管の接合界面に、JIS BNi−5相当の組成を有する融点1140℃、厚さ30μmのNi系合金箔を介挿し、液相拡散接合を行った。

0132

なお、接合部の加熱方法には、周波数3kHzの高周波電流を用いた高周波誘導加熱法を用いた。また、接合条件は、接合温度1300℃、保持時間150秒、加圧力3.5MPaとし、Ar雰囲気中で接合を行った。

0133

(実施例12)接合温度を1350℃、保持時間を240秒、加圧力を4.0MPaとし、誘導コイルに流す高周波電流の周波数を100kHzとした以外は、実施例11と同様の手順に従い、金属管の拡散接合を行った。

0134

(実施例13)接合温度を1350℃、保持時間を240秒、加圧力を4.0MPaとし、周波数50kHzの高周波電流を用いた高周波直接通電加熱法により接合を行った以外は、実施例11と同様の手順に従い、金属管の拡散接合を行った。

0135

(比較例10)接合面の表面粗さRmaxを100μmとし、接合温度を1400℃、保持時間を300秒、加圧力を5.0MPaとした以外は、実施例11と同様の手順に従い、金属管の拡散接合を行った。

0136

(比較例11)接合温度を1400℃、保持時間を300秒、加圧力を4.0MPaとし、誘導コイルに流す高周波電流の周波数を400kHzとした以外は、実施例11と同様の手順に従い、金属管の拡散接合を行った。

0137

実施例11〜13、及び比較例10〜11で得られた接合体について、実施例1と同様の手順に従い、最大段差、引張強度、及び疲労強度比を測定した。結果を表5に示す。

0138

0139

接合界面の表面粗さRmaxを100μmとした比較例10では、相対的に高温高圧、長時間の条件下で拡散接合を行ったにもかかわらず、引張強度は、598MPaであり、試験片は、接合界面から破断した。また、疲労強度比は、0.6であり、母材に比較して、疲労限度が低下した。これは、表面粗さが粗いために、接合界面に存在する気孔を元素の拡散により完全に消失させることができなかったためと考えられる。

0140

また、周波数が400MPaである高周波電流を用いて誘導加熱した比較例11も同様に、相対的に高温、高圧、長時間の条件下で拡散接合を行ったにもかかわらず、引張強度、564MPaであり、試験片は、接合界面から破断した。また、疲労強度比は、0.6であり、母材に比較して、疲労限度が低下した。これは、周波数が高いために、接合界面全体が均一に加熱されず、金属管の内周面側に未接合部が発生しためと考えられる。

0141

これに対し、接合界面の表面粗さRmaxを50μm以下とし、周波数が100kHz以下の高周波電流を用いて誘導加熱した実施例11及び12では、引張強度は、いずれも母材と同等である700MPa以上を示し、試験片は、母材側から破断した。また、疲労強度比は、0.9となり、母材と同等の疲労限度を示した。

0142

また、周波数50kHzの高周波電流を用いた高周波直接通電加熱法で接合した実施例13も同様に、引張強度は、母材と同等である700MPa以上を示し、試験片は、母材側から破断した。また、疲労強度比は、0.9となり、母材と同等の疲労限度を示した。

0143

なお、実施例11〜13及び比較例10〜11においては、金属管の端部拡径率をいずれも5%としているので、最大段差は、いずれも1.0mmであった。

0144

以上の結果から、金属管を液相拡散接合する場合において、金属管の端部を所定の端部拡径率で拡径すると共に、接合界面の表面粗さRmaxを50μm以下とすると、接合強度及び疲労強度の高い接合体が得られることがわかった。また、接合界面を高周波誘導加熱又は高周波直接通電加熱する場合において、高周波電流の周波数を100kHz以下とすると、接合面全面を均一に加熱することができ、接合強度及び疲労強度の高い接合体が得られることがわかった。

0145

(実施例14)以下の手順により、金属管の拡散接合を行った。すなわち、金属管として、圧力配管炭素鋼管(JIS G3454)STPG410からなる外径139.8mm、肉厚6.6mm、長さ1mの鋼管を用い、端部近傍の内周面側を、図4(a)に示すように、テーパ状に切削加工した(以下、このような加工を「タイプA」という。)。なお、外周面側は、未加工のままとした。

0146

次に、端部近傍の内周面が機械加工された金属管の端面を表面粗さRmaxが20μm以下となるように仕上げ、金属管の接合界面に、BNi−3(JISZ3265)相当の組成を有する融点1050℃、厚さ40μmのNi系合金箔を介挿し、液相拡散接合を行った。

0147

なお、接合部の加熱方法には、周波数3kHzの高周波電流を用いた高周波誘導加熱法を用いた。また、接合条件は、接合温度1290℃、保持時間120秒、加圧力3.0MPaとし、Ar雰囲気中で接合を行った。

0148

(実施例15)金属管の端部近傍の内周面側を、図4(b)に示すように、楕円状に切削加工(以下、このような加工を「タイプB」という。)した以外は、実施例14と同様の手順に従い、金属管の拡散接合を行った。

0149

(実施例16)金属管の端部近傍の内周面側をタイプAに切削加工し、外周面側をタイプBに切削加工した以外は、実施例14と同様の手順に従い、金属管の拡散接合を行った。

0150

(比較例12)金属管の端部近傍の内周面側及び外周面側の機械加工を行わなかった以外は、実施例14と同様の手順に従い、金属管の拡散接合を行った。

0151

(比較例13)金属管の端部近傍の外周面側のみをタイプAに切削加工した以外は、実施例14と同様の手順に従い、金属管の拡散接合を行った。

0152

実施例14〜16、及び比較例12〜13で得られた金属管接合体について、接合部の内周面側及び外周面側に発生した最大段差を測定した。また、200Tonf万能試験機を用いて、全長2mの圧力配管用炭素鋼管継手の状態で引張試験を行い、引張強さを求めた。さらに、全長2mの圧力配管用炭素鋼管接合継手の両端を封止し、6MPaの内圧を加えながら引張/圧縮の繰り返し荷重を加える疲労試験を行い、疲労限を求めた。また、疲労強度比は、同様の方法で求めた圧力配管用炭素鋼管の疲労限との比率で評価した。結果を表6に示す。

0153

0154

端部近傍の機械加工を行わなかった比較例12では、内周面側及び外周面側の最大段差は、それぞれ、1.2mm及び1.5mmであった。引張強度は、497MPaであり、母材の強度より若干低下し、試験片は、接合界面から破断した。さらに、疲労強度比は、0.5の低い値を示した。これは、接合部に発生した段差に応力が集中し、段差部分が疲労破壊の起点となったためと考えられる。

0155

また、端部近傍の外周面側のみを機械加工した比較例13では、外周面側の最大段差は、0.1mm以下となったが、内周面側の最大段差は、0.5mmであった。また、引張強度は、母材とほぼ同等であり、試験片は熱影響部から破断したが、疲労強度比は、0.7であった。

0156

これに対し、端部近傍の内周面側を機械加工した実施例14〜16では、内周面側に発生した最大段差は、いずれも0.1mm以下であった。また、引張強度は、いずれも約510MPaであり、試験片は、熱影響部から破断した。さらに、疲労強度比は、いずれも0.9であり、母材とほぼ同等の疲労特性を示した。

0157

以上の結果から、金属管端部の内周面側の材料を除去加工し、内周面側の最大段差を小さくすると、接合部の疲労特性が向上することがわかった。

0158

(実施例17)以下の手順により、金属管の拡散接合を行った。すなわち、金属管として、圧力配管用炭素鋼管(JIS G3454)STPG410からなる外径139.8mm、肉厚6.6mm、長さ1mの鋼管を用い、端部近傍の内周面側を、図5(a)に示すように、端部拡径率5%で拡径した後、内周面側をタイプBに切削加工した。なお、外周面側は、未加工のままとした。

0159

次に、端部近傍の拡径加工及び機械加工が行われた金属管の端面を表面粗さRmaxが20μm以下となるように仕上げ、金属管の接合界面に、BNi−5(JIS Z3265)相当の組成を有する融点1140℃、厚さ35μmのNi系合金箔を介挿し、液相拡散接合を行った。

0160

なお、接合部の加熱方法には、周波数3kHzの高周波電流を用いた高周波誘導加熱法を用いた。また、接合条件は、接合温度1300℃、保持時間60秒、加圧力3.0MPaとし、Ar雰囲気中で接合を行った。

0161

(実施例18)金属管の端部近傍を、端部拡径率10%で拡径加工した後、内周面側をタイプAに切削加工した以外は、実施例17と同様の手順に従い、金属管の拡散接合を行った。

0162

(実施例19)金属管の端部近傍を、端部拡径率10%で拡径加工した後、内周面側及び外周面側を、それぞれタイプB及びタイプAに切削加工した以外は、実施例17と同様の手順に従い、金属管の拡散接合を行った。

0163

(比較例14)金属管の端部近傍の内周面側及び外周面側の機械加工を行わなかった以外は、実施例17と同様の手順に従い、金属管の拡散接合を行った。

0164

(比較例15)金属管の端部近傍の外周面側のみをタイプBに切削加工した以外は、実施例17と同様の手順に従い、金属管の拡散接合を行った。

0165

実施例17〜19、及び比較例14〜15で得られた金属管接合体について、実施例14と同様の手順に従い、接合部の内周面側及び外周面側に発生した最大段差の測定、引張試験、及び疲労試験を行った。結果を表7に示す。

0166

0167

端部近傍の機械加工を行わなかった比較例14では、内周面側及び外周面側の最大段差は、それぞれ、1.5mm及び1.6mmであった。引張強度は、497MPaであり、母材の強度より若干低下し、試験片は、接合界面から破断した。さらに、疲労強度比は、0.4の低い値を示した。

0168

また、端部近傍の外周面側のみを機械加工した比較例13では、外周面側の最大段差は、0.1mm以下となったが、内周面側の最大段差は、0.3mmであった。また、引張強度は、母材とほぼ同等であり、試験片は熱影響部から破断したが、疲労強度比は、0.7であった。

0169

これに対し、端部近傍の内周面側の拡径加工及び機械加工を行った実施例17〜19では、内周面側に発生した最大段差は、いずれも0.1mm以下であった。また、引張強度は、いずれも約510MPaであり、試験片は、熱影響部から破断した。さらに、疲労強度比は、いずれも0.9であり、母材とほぼ同等の疲労特性を示した。

0170

以上の結果から、金属管端部の内周面側の材料を除去加工し、内周面側の最大段差を小さくすると、接合部の疲労特性が向上することがわかった。

0171

(実施例20)以下の手順により、金属管の拡散接合を行った。すなわち、金属管として、圧力配管用炭素鋼管(JIS G3454)STPG410からなる外径139.8mm、肉厚6.6mm、長さ1mの鋼管を用い、端部近傍の内周面側を、図5(b)に示すように、端部拡径率5%で拡径した後、内周面側をタイプBに切削加工した。なお、外周面側は、未加工のままとした。

0172

次に、端部近傍の拡径加工及び機械加工が行われた金属管の端面を表面粗さRmaxが20μm以下となるように仕上げ、金属管の接合界面に、BNi−5(JIS Z3265)相当の組成を有する融点1140℃、厚さ35μmのNi系合金箔を介挿し、液相拡散接合を行った。

0173

なお、接合部の加熱方法には、周波数3kHzの高周波電流を用いた高周波誘導加熱法を用いた。また、接合条件は、接合温度1300℃、保持時間150秒、加圧力3.0MPaとし、Ar雰囲気中で接合を行った。

0174

次に、推力100Tonf万能試験機を用いて、得られた金属管接合体の一端から拡管工具を挿入し、金属管接合体の拡管加工を行った。なお、本実施例の場合、拡管率Eは、20%とした。

0175

(実施例21)金属管の端部近傍を、端部拡径率10%で拡径加工した後、内周面側をタイプAに切削加工した以外は、実施例20と同様の手順に従い、金属管の拡散接合を行った。得られた金属管接合体について、拡管率25%で拡管加工した。

0176

(実施例22)金属管の端部近傍を、端部拡径率10%で拡径加工した後、内周面側及び外周面側を、それぞれタイプB及びタイプAに切削加工した以外は、実施例20と同様の手順に従い、金属管の拡散接合を行った。得られた金属管接合体について、拡管率25%で拡管加工した。

0177

(比較例16)金属管の端部近傍の内周面側及び外周面側の機械加工を行わなかった以外は、実施例17と同様の手順に従い、金属管の拡散接合を行った。また、得られた金属管接合体について、拡管率10%で拡管加工を行った。

0178

(比較例17)金属管の端部近傍の外周面側のみをタイプBに切削加工した以外は、実施例20と同様の手順に従い、金属管の拡散接合を行った。また、得られた金属管接合体について、拡管率20%で拡管加工した。

0179

実施例20〜22、及び比較例16〜17で得られた金属管接合体について、実施例14と同様の手順に従い、接合部の内周面側及び外周面側に発生した最大段差の測定、引張試験を行った。また、拡管後の金属管接合体について、超音波探傷試験を行い、接合界面における欠陥の有無について調べた。結果を表8に示す。

0180

0181

端部近傍の機械加工を行わなかった比較例16では、内周面側及び外周面側の最大段差は、それぞれ、2.0mm及び0.5mmであった。また、拡管後の接合界面には欠陥が検出され、これに応じて、引張強度は母材の強度より大幅に低下して、388MPaとなった。

0182

また、端部近傍の外周面側のみを機械加工した比較例13では、外周面側の最大段差は、0.1mm以下となったが、内周面側の最大段差は、0.8mmであった。また、拡管後の接合界面には微少欠陥が検出され、これに応じて、引張強度は492MPaとなり、母材の強度より若干低下した。これは、前述したT値に比して相対的に高い拡管率Eで拡管加工を行ったためと考えられる。

0183

これに対し、端部近傍の内周面側の拡径加工及び機械加工を行った後に拡管加工を行った実施例20〜22では、内周面側に発生した最大段差は、いずれも0.1mm以下であった。また、接合界面には欠陥は認められず、引張強度は、いずれも560MPa以上を示した。

0184

以上の結果から、接合部の内周面側の最大段差を小さくすると、T値が小さくなり、接合部に欠陥を発生させることなく、高い拡管率で拡管加工を行うことができることがわかった。

0185

以上、本発明の実施の形態につて詳細に説明したが、本発明は、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。

0186

例えば、上記実施の形態では、金属管の接合手段として、いずれも液相拡散接合法を用いているが、固相拡散接合法を用いて金属管の接合を行っても良い。

0187

また、本発明に係る金属管の接合方法は、地中に埋設されるケーシングチューブ等の油井管を接合する方法として特に好適であるが、本発明の用途は、油井管に限定されるものではなく、ガス抗井、地熱抗井、温泉井戸水井戸等に用いられるケーシングチューブ、あるいは、地表に敷設されるラインパイプや、プラント用配管の接合方法としても用いることができ、これにより上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。

発明の効果

0188

本発明は、金属管を突き合わせて拡散接合する金属管の接合方法において、両金属管の接合端面の内径差が2mm以下となるように、少なくとも一方の金属管の接合端部近傍の内径が接合前に加工されるので、各金属管の外径及び/又は肉厚にばらつきがある場合であっても、接合部の内周面側に発生する段差を小さくすることができる。そのため、接合部に発生する応力集中が軽減され、強度及び疲労特性に優れた接合体が得られるという効果がある。また、接合部の内周面側の段差が小さくなることにより、腐食性物質の滞留が軽減されるので、接合部の耐食性及び機械的特性に悪影響を及ぼすこともない。

0189

また、前記加工が、材料の除去を伴わない拡径加工である場合には、切削加工等の他の加工方法に比較して、簡単に行うことができる。そのため、接合コストの増大を招くことなく、強度、疲労特性及び耐食性に優れた接合体が得られるという効果がある。

0190

また、前記加工が、材料の除去を伴う機械加工である場合には、金属管の内径や肉厚の寸法公差が大きい場合であっても、確実に内周面側に発生する段差を小さくすることができるという効果がある。

0191

さらに、前記加工が、材料の除去を伴わない拡径加工と、該拡径加工の後に行われる材料の除去を伴う機械加工からなる場合には、内周面側に発生する段差を確実に小さくすることができるという効果がある。また、これによって、得られた金属管接合体について、相対的に大きな拡管率で拡管加工を行うことができるという効果がある。

0192

以上のように、本発明に係る金属管の接合方法によれば、強度、疲労特性及び耐食性に優れた接合体が安価に得られるものであり、これを例えば、油井管や、ラインパイプ等に応用すれば、石油掘削作業やパイプ敷設作業の大幅なコストダウンや、信頼性の向上に寄与するものであり、産業上その効果の極めて大きい発明である。

図面の簡単な説明

0193

図1本発明の一実施の形態に係る金属管の接合方法を示す工程図である。
図2工業的に量産される金属管の寸法精度と、接合部に発生する段差の関係を説明する図である。
図3同じく、工業的に量産される金属管の寸法精度と、接合部に発生する段差の関係を説明する図である。
図4図4(a)は、端部の内周面側がテーパ状に機械加工された金属管を接合した状態を示す図であり、図4(b)は、端部の内周面側が楕円状に機械加工された金属管を接合した状態を示す図である。
図5図5(a)は、端部が拡径加工された後、内周面側がテーパ状に機械加工された金属管を接合した状態を示す図であり、図5(b)は、端部が拡径加工された後、内周面側が楕円状に機械加工された金属管を接合した状態を示す図である。

--

0194

30金属管
32 金属管接合体
36インサート材
41、42 金属管
51、52 金属管

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