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技術 移動局の移動先の基地局判定方法および移動体通信システム

出願人 株式会社日立製作所
発明者 前川景示村田悟横須賀靖戸次圭介庄司雅幸秋山弘之糟谷直大網谷憲晴
出願日 1998年12月1日 (21年11ヶ月経過) 出願番号 1998-341601
公開日 2000年6月20日 (20年5ヶ月経過) 公開番号 2000-168556
状態 特許登録済
技術分野 車両の電気的な推進・制動 車両の電気的な推進・制動 鉄道交通の監視、制御、保安 移動無線通信システム
主要キーワード 線路状態 保安用 開通状態 地上側制御装置 最遠点 列車信号 開通情報 線形データ
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (10)

課題

予め定められたルートを移動する移動局移動先基地局を正確に判定する。

解決手段

地上制御装置101は、列車103に与えられる走行許可位置104とハンドオーバ点105を比較し、走行許可位置104がハンドオーバ点105を超えていれば、列車103はそのハンドオーバ点105の先に走行すると判定し、当該ハンドオーバ点105の先にある地上側無線制御装置102の無線チャネル予約する。

概要

背景

移動体通信では、1つの基地局ですべての移動局通信を行うことができないため、複数の基地局を設置して、移動局と通信することになる。したがって、移動局の移動に伴い、移動局が通信先の基地局を切り替えハンドオーバと呼ばれる動作が必要となる。

従来の移動体通信におけるハンドオーバとしては、例えば、特開平9−307943号公報記載の技術がある。この技術によれば、移動局の電波の強さを移動予測手段により隣接基地局等で検出し、移動局の移動先基地局予測する。予測により移動先と判断された基地局は、移動局と当該移動局の通信相手である基地局との通信路割込みをし、会議通話の状態にして移動局のハンドオーバ予約を行う。移動局は、通信相手である基地局からの電波が弱くなったことを検知すると、予測により移動先と判断された基地局(通信路に割込みをした基地局)に通信先を切り替えることによってハンドオーバを完了する。

概要

予め定められたルートを移動する移動局の移動先の基地局を正確に判定する。

地上制御装置101は、列車103に与えられる走行許可位置104とハンドオーバ点105を比較し、走行許可位置104がハンドオーバ点105を超えていれば、列車103はそのハンドオーバ点105の先に走行すると判定し、当該ハンドオーバ点105の先にある地上側無線制御装置102の無線チャネルを予約する。

目的

本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、予め定められたルートを移動する移動局の移動先の基地局を正確に判定することにある。より詳細には、鉄道保安システムにおける無線列車信号システムにおいて、列車側無線装置を搭載した列車の移動先の地上側無線装置を正確に判定することで、移動先の地上側無線装置に確実に予約を行うことができるようにすることにある。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
3件

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請求項1

予め定められたルートを移動する移動体に搭載された移動局移動先基地判定方法であって、移動体の現在位置と当該移動体が移動する前記予め定められたルートより、当該移動体に搭載された移動局が次に通信を行うべき基地局を判定することを特徴とする移動局の移動先の基地局判定方法。

請求項2

列車無線装置から送信された当該列車側無線装置を搭載する列車の現在位置を、地上に設置された複数の地上側無線装置のうち当該列車側無線装置と通信中の前記地上側無線装置により受信し、受信した前記列車の現在位置と、他の列車の現在位置と、前記列車の前方の進路開通状態とに基づいて、前記列車に対して走行許可される線路上の最遠点である走行許可位置を算出し、算出した走行許可位置を前記列車側無線装置と通信中の前記地上側無線装置を介して、前記列車側無線装置に送信する列車信号ステムにおいて用いられる列車側無線装置の移動先の地上側無線装置判定方法であって、前記列車の走行許可位置より、前記列車に搭載された前記列車側無線装置が次に通信を行うべき地上側無線装置を判定することを特徴とする列車側無線装置の移動先の地上側無線装置判定方法。

請求項3

請求項2記載の列車側無線装置の移動先の地上側無線装置判定方法であって、前記列車側無線装置が通信相手となる前記地上側無線装置を変更する線路上の位置であるハンドオーバ点を、通信エリアが隣接する前記地上側無線装置間で予め定めておき、前記列車の走行許可位置が、前記列車に搭載された前記列車側無線装置と通信中の前記地上側無線装置および通信エリアが当該地上側無線装置と隣接する前記地上側無線装置の間に設定されたハンドオーバ点よりも前記列車の現在位置から離れた位置にある場合に、前記列車の走行許可位置を通信エリアに含む前記地上側無線装置を、前記列車に搭載された前記列車側無線装置が次に通信を行うべき地上側無線装置と判定することを特徴とする列車側無線装置の移動先の地上側無線装置判定方法。

請求項4

請求項3記載の列車側無線装置の移動先の地上側無線装置判定方法であって、前記列車が搭載した前記列車側無線装置が次に通信を行うべきと判定された前記地上側無線装置に対して、前記列車側無線装置と通信を行うための無線チャンネル予約を行うことを特徴とする列車側無線装置の移動先の地上側無線装置判定方法。

請求項5

請求項4記載の列車側無線装置の移動先の地上側無線装置判定方法であって、次に通信を行うべき地上側無線装置に無線チャンネルの予約が行われている前記列車側無線装置を搭載する列車に対して、新たに算出した当該列車の走行許可位置が、前記列車側無線装置と通信中の前記地上側無線装置および当該無線チャンネルの予約を行った前記地上側無線装置の間に設定されたハンドオーバ点よりも、当該列車の現在位置に近い位置に移動した場合に、当該無線チャンネルの予約を行った前記地上側無線装置に対して当該無線チャンネルの予約を取り消すことを特徴とする列車側無線装置の移動先の地上側無線装置判定方法。

請求項6

列車側無線装置から送信された当該列車側無線装置を搭載する列車の現在位置を、地上に設置された複数の地上側無線装置のうち当該列車側無線装置と通信中の前記地上側無線装置により受信し、受信した前記列車の現在位置と、他の列車の現在位置と、前記列車の前方の進路の開通状態とに基づいて、前記列車に対して走行が許可される線路上の最遠点である走行許可位置を算出し、算出した走行許可位置を前記列車側無線装置と通信中の前記地上側無線装置を介して、前記列車側無線装置に送信する列車信号システムであって、算出された列車の走行許可位置より、当該列車に搭載された前記列車側無線装置が次に通信を行うべき地上側無線装置を判定する移動先判定手段を備えることを特徴とする列車信号システム。

請求項7

請求項6記載の列車信号システムであって、前記移動先判定手段は、通信エリアが隣接する前記地上側無線装置間で予め定められた、前記列車側無線装置が通信相手となる前記地上側無線装置を変更する線路上の位置であるハンドオーバ点を記憶する記憶手段を有し、算出された列車の走行許可位置が、前記記憶手段に記憶されたハンドオーバ点のうち、当該列車に搭載された前記列車側無線装置と通信中の前記地上側無線装置および通信エリアが当該地上側無線装置と隣接する前記地上側無線装置の間に設定されたハンドオーバ点よりも当該列車の現在位置から離れた位置にある場合に、当該列車の走行許可位置を通信エリアに含む前記地上側無線装置を、当該列車に搭載された前記列車側無線装置が次に通信を行うべき地上側無線装置と判定することを特徴とする列車信号システム。

請求項8

請求項6または7記載の列車信号システムであって、前記移動先判定手段は、前記列車に搭載された前記列車側無線装置が次に通信を行うべきと判定された前記地上側無線装置に対して、前記列車側無線装置と通信を行うための無線チャンネルの予約を行うことを特徴とする列車信号システム。

請求項9

請求項8記載の列車信号システムであって、前記移動先判定手段は、次に通信を行うべき前記地上側無線装置に無線チャンネルの予約が行われている前記列車側無線装置を搭載する列車に対して、新たに算出された当該列車の走行許可位置が、前記列車側無線装置と通信中の前記地上側無線装置および当該無線チャンネルの予約を行った前記地上側無線装置の間に設定されたハンドオーバ点よりも、当該列車の現在位置に近い位置に移動した場合に、当該無線チャンネルの予約を行った前記地上側無線装置に対して当該無線チャンネルの予約を取り消すことを特徴とする列車信号システム。

請求項10

請求項6、7、8または9記載の列車信号システムであって、前記複数の地上側無線装置各々に対応して設けられた複数の地上制御装置と、進路の開通状態に関する情報を収集する連動装置と、前記複数の地上制御装置および前記駅連動装置を繋ぐ通信網を有し、前記複数の地上制御装置は、各々、対応する前記地上側無線装置から受け取った前記列車の現在位置と、前記通信網を介して他の前記制御装置から受け取った他の列車の現在位置と、前記通信網を介して前記駅連動装置から受け取った進路の開通状態とに基づいて、前記地上側無線装置から現在位置を受け取った列車の走行許可位置を算出する走行許可位置算出手段と、前記走行許可位置算出手段で算出された列車の走行許可位置より、当該列車に搭載された前記列車側無線装置が次に通信を行うべき地上側無線装置を判定する前記移動先判定手段と、を備えることを特徴とする列車信号システム。

請求項11

請求項6、7、8または9記載の列車信号システムであって、前記複数の地上側無線装置各々に対応して設けられた複数の地上制御装置と、線路の開閉状態に関する情報を収集する駅連動装置と、前記複数の地上制御装置および前記駅連動装置を繋ぐ通信網を有し、前記複数の地上制御装置は、各々、対応する前記地上側無線装置から受け取った前記列車の現在位置と、前記通信網を介して他の前記制御装置から受け取った他の列車の現在位置と、前記通信網を介して前記駅連動装置から受け取った線路の開通状態とに基づいて、前記地上側無線装置から現在位置を受け取った列車の走行許可位置を算出する走行許可位置算出手段を備え、前記複数の地上側無線装置は、各々、対応する前記地上制御装置の前記走行許可位置算出手段により算出された列車の走行許可位置より、当該列車に搭載された前記列車側無線装置が次に通信を行うべき地上側無線装置を判定する前記移動先判定手段を備えることを特徴とする列車信号システム。

技術分野

0001

本発明は、予め定められたルートを移動する移動体に用いられる移動体通信システムにおける移動局移動先基地局判定技術に関し、特に、鉄道保安システムにおける無線列車信号システムにおいて、通信中の列車が移動するときに、次に通信すべき移動先の地上側無線装置の判定技術に関する。

背景技術

0002

移動体通信では、1つの基地局ですべての移動局と通信を行うことができないため、複数の基地局を設置して、移動局と通信することになる。したがって、移動局の移動に伴い、移動局が通信先の基地局を切り替えハンドオーバと呼ばれる動作が必要となる。

0003

従来の移動体通信におけるハンドオーバとしては、例えば、特開平9−307943号公報記載の技術がある。この技術によれば、移動局の電波の強さを移動予測手段により隣接基地局等で検出し、移動局の移動先基地局を予測する。予測により移動先と判断された基地局は、移動局と当該移動局の通信相手である基地局との通信路割込みをし、会議通話の状態にして移動局のハンドオーバ予約を行う。移動局は、通信相手である基地局からの電波が弱くなったことを検知すると、予測により移動先と判断された基地局(通信路に割込みをした基地局)に通信先を切り替えることによってハンドオーバを完了する。

発明が解決しようとする課題

0004

ところで、従来の移動体通信におけるハンドオーバは、移動局の電波の強さを隣接基地局等で検出することで、移動局の移動先基地局を予測している。また、移動局は、通信相手である基地局からの電波が弱くなったことを検知することで、予測により移動先と判断された基地局に、通信相手を切り替えるようにしている。

0005

しかしながら、電波の強さは環境による影響を受けやすく、場合によっては、移動局の移動先の予測を誤ることがある。移動局の移動先の予測を誤ると、予約が正常に行えないため、ハンドオーバにより通信が途絶したり、あるいは、正しい基地局に通信を切り替えようとして、無線基地局の変更が頻発し、通信品質劣化を招く可能性がある。

0006

特に、従来の移動体通信におけるハンドオーバを、鉄道保安システムにおける無線列車信号システムに適用した場合、通信の途絶や通信品質の劣化は、列車の位置情報更新障害や列車への制御情報の伝達の障害を招く。

0007

本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、予め定められたルートを移動する移動局の移動先の基地局を正確に判定することにある。より詳細には、鉄道保安システムにおける無線列車信号システムにおいて、列車側無線装置を搭載した列車の移動先の地上側無線装置を正確に判定することで、移動先の地上側無線装置に確実に予約を行うことができるようにすることにある。

課題を解決するための手段

0008

上記課題を解決するために本発明は、予め定められたルートを移動する移動体に搭載された移動局の移動先の基地局判定方法であって、移動体の現在位置と当該移動体が移動する前記予め定められたルートより、当該移動体に搭載された移動局が次に通信を行うべき基地局を判定することを特徴とする。

0009

本発明によれば、移動体の現在位置と当該移動体が移動する予め定められたルートより、移動局が次に通信を行うべき基地局を判定するので、移動先の基地局をより正確に判定することが可能となる。したがって、移動先の基地局に確実に予約を行うことができるので、移動先の予測誤りよるハンドオーバ動作での通信の途絶や通信品質の劣化を低減することができる。

0010

また、鉄道保安システムにおける列車信号ステムに適用した本発明は、列車側無線装置から送信された当該列車側無線装置を搭載する列車の現在位置を、地上に設置された複数の地上側無線装置のうち当該列車側無線装置と通信中の前記地上側無線装置により受信し、受信した前記列車の現在位置と、他の列車の現在位置と、前記列車の前方の進路開通状態とに基づいて、前記列車に対して走行許可される線路上の最遠点である走行許可位置を算出し、算出した走行許可位置を前記列車側無線装置と通信中の前記地上側無線装置を介して、前記列車側無線装置に送信する列車信号システムにおいて用いられる列車側無線装置の移動先の地上側無線装置判定方法であって、前記列車の走行許可位置より、前記列車に搭載された前記列車側無線装置が次に通信を行うべき地上側無線装置を判定することを特徴とする。

0011

具体的には、前記列車側無線装置が通信相手となる前記地上側無線装置を変更する線路上の位置であるハンドオーバ点を、通信エリアが隣接する前記地上側無線装置間で予め定めておき、前記列車の走行許可位置が、前記列車に搭載された前記列車側無線装置と通信中の前記地上側無線装置および通信エリアが当該地上側無線装置と隣接する前記地上側無線装置の間に設定されたハンドオーバ点よりも前記列車の現在位置から離れた位置(当該ハンドオーバ点上を含むようにしてもよい)にある場合に、前記列車の走行許可位置を通信エリアに含む前記地上側無線装置を、前記列車に搭載された前記列車側無線装置が次に通信を行うべき地上側無線装置と判定する。

0012

鉄道保安システムにおける列車信号システムに本発明を適用した場合、列車側無線装置が次に通信を行うべき地上側無線装置は、鉄道保安情報として算出される当該列車側無線装置を搭載した列車の走行許可位置と、列車側無線装置が通信相手となる地上側無線装置を変更する線路上の位置であるハンドオーバ点とを比較することで判定される。このため、移動先の地上側無線装置をより正確に判定することが可能となる。したがって、移動先の地上側無線装置に確実に予約を行うことができるので、移動先の予測誤りよるハンドオーバ動作での通信の途絶や通信品質の劣化を低減することができる。

発明を実施するための最良の形態

0013

以下、本発明の一実施形態について説明する。

0014

図1は、本発明の一実施形態が適用された鉄道保安システムにおける列車信号システム全体の概略構成図である。

0015

図示するように、本実施形態が適用された列車信号システムは、線路上を走行する列車103に搭載された列車側無線伝送装置111および自車位置算出装置112と、列車側無線伝送装置111と無線通信を行えるように、互いに通信エリア(制御範囲)を異にして設置された地上側無線伝送装置102a〜102c(以下、単に地上側無線伝送装置102とも称する)と、地上側無線伝送装置102a〜102c各々を制御する地上制御装置101a〜101c(以下、単に地上制御装置101とも称する)と、通信網を介して地上制御装置101と接続された、転てつ器の向きや進路の開通状況信号機の状態)などの情報を収集する連動装置109と、を備えて構成される。

0016

なお、図1では、各々3つの地上側無線伝送装置102および地上制御装置101を示しているが、当然のことながらこの数に限定されるものではない。

0017

上記構成の列車信号システムにおいて、まず、自車位置算出装置112は、列車103の速度を測定して駅からの移動距離を算出する等の方法により、列車103の現在位置を算出し、列車103の現在位置を表す情報である位置情報107を作成する。そして、作成した位置情報107を列車側無線伝送装置111に渡す。これを受けて、列車側無線伝送装置111は、受け取った位置情報107を通信相手である地上側無線伝送装置102(図1に示す例では102a)に送信する。

0018

次に、位置情報107を受け取った地上側無線伝送装置102は、当該位置情報107を、当該地上側無線伝送装置102を制御する地上制御装置101(図1に示す例では101a)に渡す。

0019

次に、位置情報107を受け取った地上制御装置101は、当該位置情報107から列車103の識別情報と現在位置とを認識し、当該列車103に対する走行許可位置104を決定する。ここで、走行許可位置とは、列車に対して走行が許可される線路上の最遠点、すなわち、列車が他の列車に衝突したり、脱線したりすることなく、安全に走行できる線路上の限界点である。走行許可位置は、鉄道保安システムにおいて、列車の自動制御のために従来より用いられているものであるが、その決定方法について簡単に説明する。

0020

地上制御装置101は、制御下にある地上側無線伝送装置102から受け取った位置情報より認識した列車の現在位置と、他の地上制御装置101から受け取った列車の現在位置と、これ等の列車が走行する線路の線形データと、駅連動装置109から受け取った進路の開通状況や転てつ器の向きなどの情報を記憶しており、これらの情報を用いて、制御下にある地上側無線伝送装置102から受け取った位置情報より認識した列車について、当該列車の前方の線路状態を調べ、未開通の進路端や先行する列車など列車の走行の支障となるものが見つかるまで検索する。分岐がある場合には、転てつ器の向きから分岐先のどちらを検索するか決定する。検索の結果、見つかった支障の位置を走行許可位置とする。

0021

さて、地上制御装置101は、制御下にある地上側無線伝送装置102から受け取った位置情報107より認識した列車103の走行許可位置104を決定すると、当該記走行許可位置104を含み、列車103の走行を制御するための情報である制御情報106を生成し、これを制御下にある地上側無線伝送装置102に渡す。

0022

次に、制御情報106を受け取った地上側無線伝送装置102は、当該制御情報106を、列車103に搭載された列車側無線伝送装置111に送信する。

0023

上述したように、走行許可位置104は、進路の開通状況や転てつ器の向きなどの情報を参照して決定される。このため、走行許可位置104は、列車103が走行する予定の方向を示すことになる。そこで、本実施形態では、地上制御装置101において、走行許可位置104に基づいて、列車103に搭載された列車側無線伝送装置111が次に通信を行うべき地上側無線伝送装置102、すなわち、移動先の地上側無線伝送装置102を判定するようにしている。

0024

地上制御装置101は、通信エリアが隣接する地上側無線伝送装置102間で予め定められた、列車側無線伝送装置111が通信相手となる地上側無線伝送装置102を変更する線路上の位置であるハンドオーバ点105a〜105cを記憶しており、列車103の走行許可位置104が、当該列車103に搭載された列車側無線伝送装置111と通信中の地上側無線伝送装置102および通信エリアが当該地上側無線伝送装置102と隣接する地上側無線伝送装置102の間に設定されたハンドオーバ点上、あるいは当該ハンドオーバ点よりも列車103の現在位置から離れた位置にあるか否かを調べる。図1に示す例では、地上制御装置101aにおいて、列車103の走行許可位置104がハンドオーバ点105b上、あるいはハンドオーバ点105bよりも列車103の現在位置から離れた位置にあるか否かが調べられる。

0025

列車103の走行許可位置104が上記のハンドオーバ点上、あるいは上記のハンドオーバ点よりも列車103の現在位置から離れた位置にある場合、列車103は上記のハンドオーバ点を超えて走行するものと予測できるので、列車103の走行許可位置104を通信エリアに含む地上側無線伝送装置102を、列車103に搭載された列車側無線伝送装置111が次に通信を行うべき地上側無線伝送装置102と判定する。図1に示す例では、地上側無線伝送装置102bが、列車103に搭載された列車側無線伝送装置111が次に通信を行うべき地上側無線伝送装置102と判定される。

0026

次に、地上制御装置101は、列車103に搭載された列車側無線伝送装置111が次に通信を行うべきものと判定された地上側無線伝送装置102を制御する地上側制御装置101に対して、列車側無線伝送装置111と通信を行うための無線チャンネル予約要求108を送信する。図1に示す例では、地上制御装置101aが、地上制御装置101bに対して、列車側無線伝送装置111と通信を行うための無線チャンネルの予約要求108を送信している。

0027

次に、地上制御装置101は、無線チャンネルの予約を要求した地上制御装置101から予約がとれた旨の通知を受け取ると、予約がとれた無線チャンネルの情報を、制御下にある地上側無線伝送装置101を介して、列車側無線伝送装置111に送信する。これを受けて、列車側無線伝送装置111は、列車103が次に通信を行うべきものと判定された地上側無線伝送装置102の通信エリアに達すると、予約がとれた無線チャンネルを用いて当該地上側無線伝送装置102に通信を行う。図1に示す例では、自車位置算出装置112で算出された列車103の現在位置がハンドオーバ点105bを越えたときに、列車側無線伝送装置111は、通信相手を地上側無線伝送装置102aから地上側無線伝送装置102bに切り替える。

0028

なお、地上制御装置101は、列車側無線伝送装置111から新たに送られてきた列車103の現在位置に基づいて決定した列車103の走行許可位置が、当該列車103に搭載された列車側無線伝送装置111と通信中の地上側無線伝送装置102および無線チャンネルの予約を行った地上側無線伝送装置102の間に設定されたハンドオーバ点よりも、列車103の現在位置に近い位置に移動した場合、無線チャンネルの予約を行った地上側無線伝送装置102を制御する地上側制御装置101に対して当該予約の取り消し要求113を送信するとともに、その旨を制御下にある地上側無線伝送装置101を介して、列車側無線伝送装置111に送信する。

0029

上記のように、本実施形態では、鉄道保安システムにおいて列車の自動制御のために用いている走行許可位置を参照することで、列車103の移動先の地上側無線伝送装置102を正確に判定し、無線チャネルの予約を行うことが可能となる。また、走行許可位置が移動して予定が変更になった場合には、予約の要求を取り消すことも可能となる。

0030

次に、以上説明した本実施形態の列車信号システムのうち主要な構成である地上制御装置101について詳細に説明する。なお、その他の構成は、従来より鉄道保安システムにおける無線列車信号システムにおいて用いられているものと同様であるので、その詳細な説明を省略する。

0031

図2は、図1に示す地上制御装置101の概略ブロック図である。

0032

図示するように、地上制御装置101は、地上側無線伝送装置通信部201と、駅連動装置通信部209と、地上制御装置間通信部207と、列車追跡部202と、走行許可位置算出部203と、制御情報作成部208と、ハンドオーバ点記憶媒体205と、移動先判定部204と、予約要求部206と、を備えて構成される。

0033

地上側無線伝送装置通信部201は、制御下にある地上側無線伝送装置102から位置情報107を受信し、列車追跡部202に渡す。また、後述する制御情報作成部208で作成された制御情報106や地上制御装置間通信部101で受信した無線チャンネルの予約要求や当該予約の取り消し要求を、制御下にある地上側無線伝送装置102に渡す。

0034

列車追跡部202は、制御下にある地上側無線伝送装置102と通信を行っている列車側無線伝送装置111を搭載する各列車の現在位置をデータベースとして有しており、地上側無線伝送装置通信部201から位置情報を受け取ると、当該情報から列車の識別情報と現在位置を認識し、データベース上の当該列車の現在位置を更新する。

0035

駅連動装置通信部209は、進路の開通状況、転てつ器の向きなどの情報をデータベースとして有しており、一定周期、例えば1秒周期で、駅連動装置109と通信を行い、進路の開通状況、転てつ器の向きなどの情報を受信して、データベースを更新する。

0036

地上制御装置間通信部207は、他の地上制御装置101の制御下にある地上側無線装置102と通信中の列車側無線伝送装置111を搭載した各列車の現在位置をデータベースとして有しており、一定周期、たとえば1秒周期で、他の地上制御装置101と通信を行い、前記各列車の現在位置を取得してデータベースを更新する。また、地上制御装置間通信部207は、後述する予約要求部206で作成された無線チャンネルの予約要求や予約取り消し要求を他の地上制御装置101へ送信したり、他の地上制御装置101から送られてきた無線チャンネルの予約要求や予約取り消し要求を受信したりする。

0037

走行許可位置算出部203は、線路の線形データを有しており、当該線形データと、列車追跡部202のデータベース上にある各列車の現在位置と、地上制御装置間通信部207のデータベース上にある各列車の現在位置と、駅連動装置通信部209のデータベース上にある進路の開通状況や転てつ器の向きなどの情報を用い、上述した要領で、列車追跡部202のデータベース上にある各列車の走行許可位置を決定する。

0038

制御情報作成部208は、走行許可位置算出部203で決定された走行許可位置が決定された列車各々について、当該列車の走行許可位置を含み、当該列車の走行を制御するための情報である制御情報106を生成する。

0039

ハンドオーバ点記憶媒体205は、当該ハンドオーバ点記憶媒体205を備える地上制御装置101に制御される地上側無線伝送装置102およびこれと通信エリアが隣接する地上側無線伝送装置102の間で予め定められた、列車側無線伝送装置111が通信相手となる地上側無線伝送装置102を変更する線路上の位置であるハンドオーバ点105a〜105cと、ハンドオーバ点105a〜105cの先にある地上側無線伝送装置102、すなわち、ハンドオーバ点105a〜105cを介して、当該ハンドオーバ点記憶媒体205を備える地上制御装置101に制御される地上側無線伝送装置102と隣接する地上側無線伝送装置102の通信エリア(制御範囲)とを互いに対応付けて記憶している。

0040

移動先判定部204は、走行許可位置算出部203で決定された列車の走行許可位置およびハンドオーバ点記憶媒体205に記憶されたハンドオーバ点を参照して、列車側無線伝送装置111の移動先の地上側無線伝送装置102を判定する。

0041

予約要求部206は、移動先判定部204で移動先と判定された地上側無線伝送装置102に対する無線チャンネルの予約要求を作成する。また、走行許可位置が移動し、移動先判定部204で、一度、移動先と判定された地上側無線伝送装置102が、移動先から外された場合、地上側無線伝送装置102に対して行った無線チャンネルの予約の取り消し要求を作成する。また、予約要求部206は、地上制御装置間通信部207で受信した無線チャンネルの予約要求や無線チャンネル予約取り消し要求を地上側無線伝送装置通信部201に渡す。

0042

次に、上記構成の地上制御装置101の動作について説明する。図3は、図2に示す地上制御装置101の動作を説明するためのフロー図である。

0043

まず、地上側無線伝送装置通信部201は、制御下の地上側無線伝送装置102から列車103の位置情報107を受信すると、これを列車追跡部202に渡す。列車追跡部202は、位置情報107から列車103の識別情報と現在位置とを認識し、データベース上の当該列車103の現在位置を更新する(ステップ301)。

0044

次に、走行許可位置算出部203は、列車追跡部202のデータベースに記憶された各列車の現在位置と、地上制御装置間通信部207のデータベースに記憶された各列車の現在位置と、駅連動装置通信部209のデータベースに記憶された進路の開通状況や転てつ器の向きなどの情報を取得する。そして、取得した各情報と、走行許可位置算出部203が予め記憶している線路の線形データとを用いて、ステップ301で現在位置を更新した列車103の走行許可位置を決定する(ステップ302)。

0045

すなわち、列車103について、当該列車103の現在位置より前方(進行方向)の線路状態を調べ、未開通の進路端や先行する列車など、列車103の走行の支障となるものが見つかるまで検索する。分岐がある場合には、転てつ器の向きから分岐先のどちらを検索するか決定する。検索の結果、見つかった支障の位置を列車103の走行許可位置104とする。

0046

次に、移動先判定部204は、ハンドオーバ点記憶媒体205に記憶されたハンドオーバ点105a〜105cを読み出し、各々、ステップ302で決定した列車103の走行許可位置104との位置関係を調べる(ステップ303)。

0047

次に、移動先判定部204は、ハンドオーバ点記憶媒体205に記憶されたハンドオーバ点105a〜105c各々について、ステップ303で調べた列車103の走行許可位置104との位置関係より、列車103の前方(進行方向)にあって、かつ、列車103の走行許可位置104上、あるいは、列車103の走行許可位置104よりも列車103の現在地側にあるハンドオーバ点が存在するか否かを調べる。言い換えれば、列車103の走行許可位置104が、ハンドオーバ点上、あるいはハンドオーバ点を越えて列車103の現在位置よりも離れた位置関係にあるハンドオーバ点が存在するか否かを調べる(ステップ304)。

0048

そのような位置関係にあるハンドオーバ点が存在する場合は、地上制御装置101が制御する地上側無線伝送装置102と当該ハンドオーバ点を挟んで隣接する地上側無線伝送装置102に対して、列車103のための無線チャンネルの予約が行われているか否かを調べ(ステップ305)、行われていない場合は、前記隣接する地上側無線伝送装置102を制御する地上制御装置101の識別情報と、列車103の識別情報とを予約要求部206に渡して、無線チャンネルの予約要求の作成を指示する。

0049

一方、そのような位置関係にあるハンドオーバ点が存在しない場合は、列車103のための無線チャンネルの予約が行われているか否かを調べ(ステップ308)、行われている場合は、当該予約が行われている地上側無線伝送装置102を制御する地上制御装置101の識別情報と、列車103の識別情報とを予約要求部206に渡して、無線チャンネルの予約取り消し要求の作成を指示する。

0050

次に、予約要求部206は、移動先判定部204から無線チャンネルの予約要求の作成指示を受け取った場合、移動先判定部204から受け取った識別情報により特定される地上制御装置101に対して、列車103のための無線チャンネルの予約要求108を作成する(ステップ306)。地上制御装置間通信部207は、予約要求部206から無線チャンネルの予約要求108を受け取ると、これを対象となる地上制御装置101へ送信する(ステップ307)。

0051

これを受けて、列車103のための無線チャンネルの予約要求108を受信した地上制御装置101は、地上側無線伝送装置通信部201を介して制御下にある地上側無線伝送装置102の無線チャンネルの空き状況を調べ、空きがある場合は、その無線チャンネルを列車103に搭載された列車側無線伝送装置111と通信を行うためのチャンネル割り当て、その旨を当該予約要求を送信した地上側制御装置101に通知する。

0052

一方、予約要求部206は、移動先判定部204から無線チャンネルの予約取り消し要求の作成指示を受け取った場合、移動先判定部204から受け取った識別情報により特定される地上制御装置101に対して、列車103のための無線チャンネルの予約取り消し要求113を作成する(ステップ309)。地上制御装置間通信部207は、予約要求部206から無線チャンネルの予約取り消し要求113を受け取ると、これを対象となる地上制御装置101へ送信する(ステップ310)。

0053

これを受けて、列車103のための無線チャンネルの予約取り消し要求113を受信した地上制御装置101は、地上側無線伝送装置通信部201を介して制御下にある地上側無線伝送装置102の無線チャンネル予約状況を調べ、列車103に搭載された列車側無線伝送装置111と通信を行うために割り当てられた無線チャンネルを解放する。

0054

次に、制御情報作成部208は、列車103の走行許可位置104を含み、列車103を制御するための情報である制御情報106を作成し、地上側無線伝送装置通信部201に渡す(ステップ311)。ここで、列車103のための無線チャンネルの予約が行われている場合は、その無線チャンネルの情報も含めて制御情報106を作成する。また、列車103のための無線チャンネルの予約取り消しが行われている場合は、その旨の情報も含めて制御情報106を作成する。

0055

次に、地上側無線伝送装置通信部201は、制御情報作成部208から受け取った列車103の制御情報106を、制御下にある地上側無線伝送装置102に送信する(ステップ312)。これを受けて、地上側無線伝送装置102は、制御情報106を列車103に搭載された列車側無線伝送装置111に送信する。

0056

次に、上述した図3に示すフローの、ステップ303および304での処理を更に詳細に説明する。図4は、図3に示すフローのステップ303、304での処理を説明するためのフロー図である。

0057

まず、移動先判定部204は、列車103に搭載された列車側伝送装置111が通信している地上側無線伝送装置102、すなわち、当該移動先判定部204を備えた地上側制御装置101が制御する地上側無線伝送装置102の通信エリア(制御範囲)を、ハンドオーバ点記憶媒体205から取り出す(ステップ401)。

0058

次に、移動先判定部204は、図3のステップ303で決定した列車103の走行許可位置104が、ステップ401で取り出した通信エリア内であるか通信エリア外であるかを否かを調べ(ステップ402)、通信エリア内である場合は、列車103の走行許可位置104がハンドオーバ点を越えていないものと判断し(ステップ403)、図3のステップ308〜310を実行した後(ステップ411)、図3のステップ311へ移行する。ただし、ステップ402において、通信エリアの境界は通信エリア外と判断する。

0059

ステップ402において、図3のステップ303で決定した列車103の走行許可位置104が、ステップ401で取り出した通信エリア外であると判断した場合、移動先判定部204は、ハンドオーバ点記憶媒体205に記憶されているハンドオーバ点105a〜105cの情報のうち、先頭に格納されているハンドオーバ点の情報を検索する(ステップ404)。

0060

次に、移動先判定部204は、読み出したハンドオーバ点の先にある地上側無線伝送装置の通信エリアの情報を取り出し(ステップ405)、図3のステップ303で決定した列車103の走行許可位置104が、前記取り出した通信エリア内であるか通信エリア外であるかを調べる(ステップ406)。通信エリア内である場合は、列車103の走行許可位置104が前記読み出したハンドオーバ点を越えているものと判断し(ステップ407)、図3のステップ305〜307を実行した後(ステップ412)、図3のステップ311へ移行する。ただし、ステップ406において、通信エリアの境界は通信エリア内と判断する。

0061

ステップ406において、図3のステップ303で決定した列車103の走行許可位置104が、ステップ405で取り出した通信エリア外であると判断した場合、移動先判定部204は、ハンドオーバ点記憶媒体205に記憶されているハンドオーバ点105a〜105cの情報のうち、未だ参照していない情報があるか否かを調べ(ステップ408)、ある場合はその情報を検索して(ステップ410)、ステップ405に戻る。一方、ない場合は、列車の103の走行許可位置104が、列車103に搭載された列車側無線伝送装置111が通信している地上側無線伝送装置102の通信エリア外であるにもかかわらず、ハンドオーバ点記憶媒体205に記憶されているハンドオーバ点105a〜105cのいずれも越えていないことになる。この場合、列車103の走行許可位置104、あるいはハンドオーバ点記憶媒体205の記憶されているデータに誤りがあると判定して、エラーを出力する(ステップ409)。

0062

次に、地上制御装置101が他の地上制御装置101へ送信する無線チャンネルの予約要求/予約取り消し要求のフォーマットについて説明する。

0063

図5は、地上制御装置間通信部207から送信される無線チャンネルの予約要求108のフォーマット例を説明するための図である。

0064

図示するように、予約要求108は、宛先の地上制御装置101の識別情報(ID)と、送信元の地上制御装置101の識別情報(ID)と、無線チャネルの予約対象となる列車側無線伝送装置111の識別情報(ID)と、予約要求か予約取り消し要求かの種別を示す情報からなる。上述したように、予約要求部206は、移動先判定部204から、宛先の地上側無線伝送装置102の識別情報と、列車の識別情報と、予約要求か予約取り消し要求かの種別を受け取り、これ等の情報に基づいて予約要求108あるいは予約取り消し要求113を作成する。

0065

なお、予約要求108を受け取った地上制御装置101が、予約要求108を送信した地上制御装置101に対して、予約した無線チャンネルを通知する場合のフォーマットも、図5に示すものと同様の構成とすることができる。この場合、種別の情報に予約した無線チャンネルの情報を含めればよい。

0066

次に、走行許可位置算出部203が保持する線路の線形データ、および、ハンドオーバ点記憶媒体205が記憶するハンドオーバ点の情報について説明する。

0067

図6は、線路の線形、ハンドオーバ点、および各地上側無線伝送装置102の通信エリア(制御範囲)との関係を模式的に示した図である。ここでは、地上制御装置101aの走行許可位置算出部203が保持する線路の線形データ、およびハンドオーバ点記憶媒体205が記憶するハンドオーバ点と各地上側無線伝送装置102の通信エリアとの関係に注目して示している。

0068

まず、走行許可位置算出部203が保持する線路の線形データについて説明する。地上制御装置101aの走行許可位置算出部203は、地上制御装置101aが制御する地上側無線伝送装置102aの通信エリアおよび地上側無線伝送装置102aに隣接する地上側無線伝送装置102b、102c各々の通信エリアに少なくとも属する線路について、当該線路の形状や、当該線路に設置された転てつ器、信号機などを線形データとして記憶している。図6に示す例によれば、上り線(線区1)と下り線(線区2)のそれぞれについて、線形データを記憶することになる。上述したように、走行許可位置算出部203は、列車追跡部202のデータベースに記憶された各列車の現在位置、地上制御装置間通信部207のデータベースに記憶された各列車の現在位置、および、駅連動装置通信部209のデータベースに記憶された進路の開通状況や転てつ器の向きを、記憶している線形データにより特定される線路上に展開し、走行許可位置を求めようとしている列車の現在位置より前方(進行方向)の線路状態を調べ、未開通の進路端や先行する列車など、当該列車の走行の支障となるものが見つかるまで検索することで、当該列車の走行許可位置を決定する。

0069

次に、ハンドオーバ点記憶媒体205が記憶するハンドオーバ点の情報について説明する。上述したように、地上制御装置101aのハンドオーバ点記憶媒体205は、線路上であって、地上制御装置101aが制御する地上側無線伝送装置102aの通信エリアおよび地上側無線伝送装置102aに隣接する地上側無線伝送装置の通信エリアの境界に設定されたハンドオーバ点と、当該ハンドオーバ点の先にある地上側無線伝送装置、すなわち、当該ハンドオーバ点を介して地上側無線伝送装置102aと隣接する地上側無線伝送装置の通信エリアとを、互いに対応付けて記憶している。

0070

図7は、地上制御装置101aが備えるハンドオーバ点記憶媒体205のデータ構造の一例を説明するための図である。

0071

図示するように、ハンドオーバ点記憶媒体205には、各ハンドオーバ点毎に、当該ハンドオーバ点の位置と当該ハンドオーバ点の先にある地上側無線伝送装置102の識別情報(ID)とが組になって記憶されるテーブル114と、各地上側無線伝送装置毎に、当該地上側無線伝送装置の制御範囲(通信エリア)と当該地上側無線伝送装置に接続されている地上制御装置の識別情報(ID)とが組になって記憶されているテーブル115とを有する。ここで、制御範囲は、例えば、線区ごとの始端キロ程と終端キロ程で表すなどの方法が考えられる。

0072

上述したように、地上制御部101aの移動先判定部204は、テーブル114からハンドオーバ点の情報を読み出し、読み出した情報に含まれる地上側無線伝送装置の制御範囲をテーブル115から読み出して、走行許可位置算出部203が決定した列車の走行許可位置が、前記読み出した制御範囲の内にあるか否かを調べるという処理を、テーブル114に記憶されたハンドオーバ点に対して順番に行うことで、移動先の地上側無線伝送装置を判定する。

0073

以上、本発明の一実施形態について説明した。

0074

本実施形態によれば、列車の走行許可位置がハンドオーバ点上、あるいは当該ハンドオーバ点を超えた位置にあるか否かを調べることにより、当該列車に搭載された列車側無線伝送装置が次に通信すべき移動先の地上側無線伝送装置を正確に判定することができる。このため、無線チャネルの予約を効率よく行うことが可能となり、ハンドオーバ動作による通信の途絶や通信品質の劣化を防ぐことができる。

0075

具体的には、列車の走行許可位置は、進路の開通状況や転てつ機の向きも考慮して算出されるため、列車の進行方向にしか算出されない。例えば、図1に示すように、列車103が分岐の先に進む場合、走行許可位置104は、列車103が向かう分岐先にしか算出されない。したがって、走行許可位置104を参照することにより、列車103が分岐先のどちらに向かって走行するのか正確に判定することができる。また、列車103がハンドオーバ点105b近くまで接近した後、ハンドオーバ点105bを超えることなく逆方向に折り返す場合には、ハンドオーバ点105bを超える進路は開通しないため、走行許可位置104がハンドオーバ点105bを超える位置に算出されることはない。このため、無駄な無線チャネルの予約を行うことがなく、無線チャネルの利用効率を上げることが可能となる。

0076

なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。

0077

たとえば、上記の実施形態では、図2に示すように、地上制御装置101を1つの装置で構成しているが、図8に示すように、2つの装置で構成するようにしてもよい。すなわち、保安用地上制御装置801において、駅連動装置109から進路の開通状況や転てつ器の向きなどの情報を取り込み、列車103の走行の安全を保証する走行許可位置を決定して制御情報106を作成し、情報用地上制御装置802において、制御下にある地上側無線伝送装置102との通信や、他の地上制御装置101との通信や、列車103に搭載された列車側無線伝送装置111が次に通信を行うべき地上側無線伝送装置102の判定などを行わせるようにしてもよい。

0078

このように地上制御装置101を、その目的に応じて2つの装置に分けることにより、各装置の負荷を軽減し、システム全体の信頼性を向上させることができる。特に、走行許可位置の決定は、列車の走行の安全を確保する上で重要であるため、高い信頼性が要求される。そこで、図8に示すように、地上制御装置101を、保安用地上制御装置801および情報用地上制御装置802の2つに分け、保安用地上制御装置801を運用系と準用系に多重化することで、信頼性を向上させることができる。なお、図8に示す地上制御装置101を構成する各ブロックについて、図2に示すものと同じ符号を付しているものは、同様の機能を有する。

0079

図8において、移動先判定部204aは、走行許可位置算出部203が算出した走行許可位置を直接参照することができない。そこで、移動先判定部204aは、制御情報作成部208が作成した制御情報106を地上側無線伝送装置通信部201を介して、制御下にある地上側無線伝送装置102に送信する際に、制御情報106の内容を参照して走行許可位置を取り出す。走行許可位置を取り出した後の動作は、基本的に上記の実施形態と同様であるので、その説明を省略する。但し、取り出した走行許可位置により無線チャンネルの予約の必要性が生じ、無線チャンネルの予約を行った場合、移動先判定部204aは、他の地上制御装置101から受け取った、予約した無線チャンネルの情報を、制御情報106に含めて地上側無線伝送装置通信部201に渡す。また、取り出した走行許可位置により無線チャンネルの予約取り消しの必要性が生じた場合は、その旨を制御情報106に含めて地上側無線伝送装置通信部201に渡す。

0080

このように、地上制御装置101を、駅連動装置109から進路の開通情報などを取り込んで走行許可位置を決定する保安用地上制御装置801と、列車の移動先の地上側無線伝送装置102を判定する情報用地上制御装置802とに分けて構成した場合、進路の開通状況や転てつ器の向きなどの情報を用いて、列車の移動先の地上側無線伝送装置102を判定しようとすると、これらの情報を情報用地上制御装置802に伝送するためのプロトコルが必要となる。しかしながら、本実施形態では、列車の移動先の地上側無線伝送装置102を判定するために、保安用地上制御装置801から要求される情報は、制御情報106に含まれる走行許可位置のみである。このため、保安用地上制御装置801から情報用地上制御装置802に対して、列車の移動先の地上側無線伝送装置102を判定するのに必要な情報を伝送するための通信プロトコル別途用意することなく、地上制御装置101を構成することが可能となる。

0081

また、上記の実施形態では、列車側無線伝送装置111が次に通信すべき移動先の地上側無線伝送装置102の判定を地上制御装置101で行っているが、本発明はこれに限定されるものではない。たとえば、図9に示すように、列車側無線伝送装置111が次に通信すべき移動先の地上側無線伝送装置102の判定を、当該列車側無線伝送装置111と通信中の地上側無線伝送装置102にて行うようにしてもよい。

0082

図9に示す例では、移動先判定部204b、ハンドオーバ点記憶媒体205、および予約要求部206を、図2に示す地上制御装置101と異なり、地上側無線伝送装置102に備えるようにしている。なお、図9に示す地上制御装置101、地上側無線伝送装置102を構成する各ブロックについて、図2に示すものと同じ符号を付しているものは、同様の機能を有する。

0083

図9において、移動先判定部204bは、当該移動先判定部204bを備える地上側無線伝送装置102へ、当該地上側無線伝送装置102を制御する地上制御装置101から送信された制御情報106に含まれている走行許可位置104を参照することにより、上記の実施形態と同様に、列車の移動先となる地上側無線伝送装置102を判定する。そして、判定結果を予約要求部206に渡す。

0084

予約要求部206は、前記判定結果にしたがい、無線チャンネルの予約要求あるいは予約の取り消し要求を作成し、通信網を介して地上側無線伝送装置102間の通信を行う地上側無線伝送装置間通信部901により、無線チャネルの予約要求あるいは予約取り消し要求の送信先である地上側無線伝送装置102に送信する。そして、地上側無線伝送装置間通信部901を介して、予約要求あるいは予約取り消し要求の送信先の地上側無線伝送装置102からの返答を受信する。

0085

また、移動先判定部204bは、予約要求部206が無線チャンネルの予約を行った場合、予約先の地上側無線伝送装置102から受け取った予約した無線チャンネルの情報を、制御情報106に含めて無線制御装置902に渡す。また、無線チャンネルの予約を取り消した場合は、その旨を制御情報106に含めて無線制御装置902に渡す。

0086

無線制御装置902は、通信中の列車側無線伝送装置111から受け取った位置情報107を地上制御装置101へ送信する。また、移動先判定部204bから受け取った制御情報106を当該列車側無線伝送装置111に送信する。

0087

このようにすることにより、ハンドオーバ処理を地上側無線伝送装置102のみで行うことが可能となる。その結果、地上制御装置101が列車の走行の制御のみを行い、地上側無線伝送装置102が当該列車との通信の制御のみを行うというように、装置ごとの働きを明確に区別することが可能となり、負荷を分散し、システムの構成をより単純にすることが可能となる。

0088

また、本実施形態では、鉄道保安システムにおける列車信号システムに適用した場合について説明したが、本発明は、移動局が予め定められたルートを移動する移動体、例えば路線バスに搭載された移動体通信システムに広く適用可能である。この場合、走行許可位置の代わりに、路線バスの現在位置と、予め定められた路線に基づいて、路線バスに搭載された移動局(車両側無線伝送装置)が次に通信すべき移動先の基地局(地上側無線伝送装置)を判定するようにしてもよい。また、交通情報より取得される渋滞状況などに基づいて、路線バスが、前記判定された次に通信すべき移動先の基地局の通信エリアに到達する時間、すなわち、ハンドオーバ点に到達する時間を予測し、その予測結果にしたがい、次に通信すべき移動先の基地局への無線チャンネルの予約を行うか否かを判定するようにしてもよい。

発明の効果

0089

以上説明したように、本発明によれば、前記の構成により、移動局が次に通信を行うべき基地局を正確に判定することができるので、移動先の基地局に確実に予約を行うことができ、このため、移動先の予測誤りよるハンドオーバ動作での通信の途絶や通信品質の劣化を低減することができる。

図面の簡単な説明

0090

図1本発明の一実施形態が適用された鉄道保安システムにおける列車信号システム全体の概略構成図である。
図2図1に示す地上制御装置101の概略ブロック図である。
図3図2に示す地上制御装置101の動作を説明するためのフロー図である。
図4図3に示すフローのステップ303、304での処理を説明するためのフロー図である。
図5地上制御装置間通信部207から送信される無線チャンネルの予約要求108のフォーマット例を説明するための図である。
図6線路の線形、ハンドオーバ点、および各地上側無線伝送装置102の通信エリア(制御範囲)との関係を模式的に示した図である。
図7地上制御装置101が備えるハンドオーバ点記憶媒体205のデータ構造の一例を説明するための図である。
図8本発明の一実施形態の変形例における地上制御装置101の概略ブロック図である。
図9本発明の一実施形態の変形例における地上制御装置101および地上側無線伝送装置102の概略ブロック図である。

--

0091

101a〜101c地上制御装置
102a〜102c 地上側無線伝送装置
103列車
104走行許可位置
105a〜105cハンドオーバ点
106制御情報
107位置情報
108予約要求
109駅連動装置
111 列車側無線伝送装置
112自車位置算出装置
113予約取り消し要求
201 地上側無線伝送装置通信部
202 列車追跡部
203 走行許可位置算出部
204、204a、204b移動先判定部
205 ハンドオーバ点記憶媒体
206 予約要求部
207 地上制御装置間通信部
208 制御情報作成部
209 駅連動装置通信部
801保安用地上制御装置
802 情報用地上制御装置
901 地上側無線伝送装置間通信部
902 無線制御装置

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