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技術 中性子発生管

出願人 石油公団
発明者 西村和哉加藤道男林津雄厚長倉正昭三宅善信
出願日 1998年11月25日 (21年11ヶ月経過) 出願番号 1998-334217
公開日 2000年6月16日 (20年5ヶ月経過) 公開番号 2000-162390
状態 特許登録済
技術分野 地球物理、対象物の検知 放射線源とその利用及び核爆発 粒子加速器
主要キーワード 接続棒 金属基盤 ターゲット性 ファラディー 絶縁外 重水素イオン 高速作動 水素吸蔵金属
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題

絶縁構造堅牢な形状として耐衝撃性能を高かめ、イオン源から引き出されるイオンビームをより高速パルス化し、さらに、三重水素充填量をあまり増加せずに、ターゲット寿命を長くできる中性子発生管を提供する。

解決手段

中性子発生管1は、金属管20と、金属管に封入され重水素ガスイオン化するイオン源5と、イオン源に対向配置される高電圧充電された加速電極4と、加速電極の中に配設され三重水素等を吸蔵したターゲット3とを備える。外壁20を金属管とし、その内側にセラミック製の絶縁体11が設けられ、この絶縁体により加速電極を保持するので、中性子発生管の外壁の耐衝撃性能が向上する。また、加速電極内に永久磁石10を配設するので、ターゲットと加速電極入口の間に磁場(横磁場)が形成される。その結果、ターゲットから放射される2次電子飛跡曲げられて、加速電極外への放射が防止される。

概要

背景

図4〜図8を用いて、石油検層等の計測に使用される、中性子を利用する従来の中性子発生管絶縁構造イオン源構造及びターゲット構造を各々説明する。

図4において、中性子発生管1は、円筒状の外壁2と、この外壁2の内部に配設される重水素または三重水素吸蔵したターゲット3、高電圧充電された加速電極4及び重水素ガスイオン化するイオン源5とを備えている。また、イオン源5には、重水素が充満したリザーバ6が取付けられている。さらに、ターゲット3は、高電圧電源接続棒7を介して高電圧電源(図示せず)に接続している。

このように構成された中性子発生管1による中性子の発生原理を説明する。イオン源5で生成された重水素イオンは、イオン源5と加速電極4と間に形成された電場加速され、ターゲット3に衝突する。そして、この衝突により、ターゲット3に吸蔵された三重水素または重水素と、衝突した重水素イオンとの間で核融合反応が生じ、その結果、中性子が発生する。

ここで、中性子発生管1の内部において、イオン源5から加速電極4へ放出される重水素イオンを加速するために、イオン源5と加速電極4(即ち、ターゲット3)との間に、100kV前後の加速電圧印加する必要がある。このために、イオン源5側をアース電位とする場合には、加速電極4を円筒状の外壁2から絶縁して支持する必要がある。

従って、図4に示すように、中性子発生管1の外壁2は、セラミック又はガラス絶縁体8から形成されており、加速電極4(即ち、ターゲット3)、イオン源5を、外壁2によって絶縁する構造となっている。また、図5の従来例では、中性子発生管1の外壁2の一部分、即ち、加速電極4側の外壁2のみを、セラミック又はガラスの絶縁体8から形成して、加速電極4を外壁2から絶縁している。

また、イオン源5から放出され加速された重水素イオンのビームがターゲット3に衝突した時に、ターゲット3から2次電子が放出される。この2次電子は、イオン源5と加速電極4と間に存在する電場によって、イオン源5等のアース電位の部位側に引き寄せられる。この2次電子の移動により生じる電流は、中性子発生には寄与しないエネルギーロスになるので、2次電子が加速電極4から放射されない構造とする必要がある。

そこで、図4に示すように、加速電極4からの2次電子の放射防止のため、中性子発生管1の加速電極4は、ファラディーキャップ構造を採用している。即ち、ターゲット3を加速電極4で囲い、加速電極4の電位をターゲット3より500〜2000V程度マイナスとする構造である。このようなファラディーキャップ構造により、イオンビームは、イオン源5と加速電極4との間に形成される電場によって加速されながらターゲットに照射され、一方、2次電子は、加速電極4及びターゲット3の電場により、ターゲット3側に引き戻され、イオン源5側に放射されない。

次に、従来の冷陰極型イオン源の例を、図6及び図7を用いて説明する。図6は、円筒状の磁石51を用いたイオン源5の例である。イオン源5は、円筒状の磁石51の両端側に取り付けられた陰極52と、これらの内部に配設された円筒状の陽極53とから構成されている。磁石51、陰極52及び陽極53により囲まれた空間には、プラズマ発生部55が画成されている。また、円筒状の陽極53は、パルス電源54に接続している。一方、イオン源5のターゲット3側に面した陰極52には、イオン出口孔56が設けられている。

このように構成されたイオン源5によるプラズマの発生原理を説明する。最初に、イオン源5の内部には、磁石51により軸方向の磁場が形成されると共に、陽極53には、1〜3kVの電圧が印加されている。次に、重水素を吸蔵したリザーバ6(図4参照)を昇温することにより、中性子発生管1内のガス圧を10-3〜10-2mmHg程度に増加させる。その結果、イオン源5の内部のプラズマ発生空間55には、陽極53及び陰極52により形成された電場と、磁石51により形成された磁場とにより、プラズマが発生する。プラズマ発生空間55で発生したプラズマ内陽イオンは、イオン源5と加速電極4(図4参照)との間に形成された電場によって、イオン出口孔56から引き出される。引き出された陽イオンは、イオンビームとなってターゲット3(図4参照)に衝突する。なお、パルス状に中性子を発生させるには、イオン源5内部で間欠的にプラズマを発生させることにより行っている。そのため、イオン源5の陽極53には、パルス電源54からパルス電圧を印加するようになっている。

図7は、磁場を発生させる磁石として、円柱状の磁石57を用いたイオン源5の例である。この場合にも、パルス状に中性子を発生させるためには、イオン源5の陽極53にパルス電源54からパルス電圧を印加して、イオン源5の内部で間欠的にプラズマを発生させることにより行っている。

次に、図8を用いて、一般に使用されているターゲット3を説明する。ターゲット3は、円板状の金属基盤31と、この金属基盤31の上に水素吸蔵金属スパッタリングなどの方法で成膜した水素吸蔵金属膜32とから形成されている。水素吸蔵金属膜32を成膜する領域は、金属基盤31の片面の全体又は円形部分である。水素吸蔵金属膜の厚みは、1〜10μm程度で、一様な厚みを有している。

概要

絶縁構造を堅牢な形状として耐衝撃性能を高かめ、イオン源から引き出されるイオンビームをより高速パルス化し、さらに、三重水素の充填量をあまり増加せずに、ターゲットの寿命を長くできる中性子発生管を提供する。

中性子発生管1は、金属管20と、金属管に封入され重水素ガスをイオン化するイオン源5と、イオン源に対向配置される高電圧で充電された加速電極4と、加速電極の中に配設され三重水素等を吸蔵したターゲット3とを備える。外壁20を金属管とし、その内側にセラミック製の絶縁体11が設けられ、この絶縁体により加速電極を保持するので、中性子発生管の外壁の耐衝撃性能が向上する。また、加速電極内に永久磁石10を配設するので、ターゲットと加速電極入口の間に磁場(横磁場)が形成される。その結果、ターゲットから放射される2次電子の飛跡曲げられて、加速電極外への放射が防止される。

目的

そこで、上記課題を解決するために、本発明は、従来の装置に比べて耐衝撃性能が高く、より高速作動をし、そして、より長い寿命を有する中性子発生管を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
1件

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請求項1

金属管と、該金属管に封入され重水素ガスイオン化するイオン源と、前記金属管に封入されると共に前記イオン源に対向配置される高電圧充電された加速電極と、該加速電極の中に配設され重水素または三重水素吸蔵したターゲットと、該ターゲット及び前記加速電極と前記金属管との間を絶縁する絶縁体とを有し、前記イオン源で生成した重水素イオンを前記イオン源及び前記加速電極間の空間の電場加速して前記加速電極内の前記ターゲットに衝突させ、前記重水素イオンと前記ターゲット中に吸蔵された前記三重水素または重水素とが核融合反応を起こすことにより中性子を発生させると共に、前記ターゲットに前記重水素イオンが衝突して発生する2次電子が前記加速電極外に放出されることを制限するために前記加速電極内に磁石を配設した中性子発生管

請求項2

前記絶縁体は、前記ターゲットに接合する高電圧電源接続棒と、前記金属管との間に配設される請求項1に記載の中性子発生管。

請求項3

前記磁石は、前記ターゲットを取り囲むように、前記加速電極の内側に円筒状に配設されている請求項1に記載の中性子発生管。

請求項4

前記イオン源は、磁石及び前記加速電極に対向する側にイオン出口孔を備える一対の電極を有しており、前記磁石による磁場と前記一対の電極による電場によって前記イオン源内部でプラズマを発生させ、該プラズマ内イオンが前記イオン出口孔から放出されるようになっていると共に、さらに、交互にパルス電源またはアース電気的に接続する複数の金属板を平行に固定したスリットを前記イオン出口孔近傍の前記加速電極側に配置し、前記イオン出口孔から放出される前記イオンを前記パルス電源に同期して遮断できる構造とした請求項1に記載の中性子発生管。

請求項5

前記一方の電極は陰極であると共に、前記他方の電極は陽極であり、前記イオン源が冷陰極型イオン源である請求項4に記載の中性子発生管。

請求項6

前記磁石は円筒状であり、前記陰極は前記円筒状の磁石の両端側に配設され、前記イオン出口孔は前記加速電極に対向する側の陰極に配設され、前記陽極は前記円筒状の磁石の内側に円筒状に配設されると共に直流電源に接続されている請求項5に記載の中性子発生管。

請求項7

前記ターゲットは、円板状の金属基板と、該金属基板上に水素吸蔵金属薄膜成膜した水素吸蔵金属膜とからなり、前記ターゲット上に照射される前記重水素イオンのビーム照射密度に比例して前記水素吸蔵金属膜の厚みを変化させてある請求項1に記載の中性子発生管。

請求項8

前記水素吸蔵金属膜の厚みは、前記金属基板の外周から中心に向かって厚くなる請求項7に記載の中性子発生管。

請求項9

前記水素吸蔵金属膜は、成膜される該水素吸蔵金属膜の直径が順次小さくなくよう円形状に多重層成膜した構造である請求項8に記載の中性子発生管。

技術分野

0001

本発明は、中性子を利用した石油検層等の計測に使用される中性子発生管の構造に関し、特に、中性子発生管の絶縁構造イオン源構造及びターゲット構造に関するものである。

背景技術

0002

図4図8を用いて、石油検層等の計測に使用される、中性子を利用する従来の中性子発生管の絶縁構造、イオン源構造及びターゲット構造を各々説明する。

0003

図4において、中性子発生管1は、円筒状の外壁2と、この外壁2の内部に配設される重水素または三重水素吸蔵したターゲット3、高電圧充電された加速電極4及び重水素ガスイオン化するイオン源5とを備えている。また、イオン源5には、重水素が充満したリザーバ6が取付けられている。さらに、ターゲット3は、高電圧電源接続棒7を介して高電圧電源(図示せず)に接続している。

0004

このように構成された中性子発生管1による中性子の発生原理を説明する。イオン源5で生成された重水素イオンは、イオン源5と加速電極4と間に形成された電場加速され、ターゲット3に衝突する。そして、この衝突により、ターゲット3に吸蔵された三重水素または重水素と、衝突した重水素イオンとの間で核融合反応が生じ、その結果、中性子が発生する。

0005

ここで、中性子発生管1の内部において、イオン源5から加速電極4へ放出される重水素イオンを加速するために、イオン源5と加速電極4(即ち、ターゲット3)との間に、100kV前後の加速電圧印加する必要がある。このために、イオン源5側をアース電位とする場合には、加速電極4を円筒状の外壁2から絶縁して支持する必要がある。

0006

従って、図4に示すように、中性子発生管1の外壁2は、セラミック又はガラス絶縁体8から形成されており、加速電極4(即ち、ターゲット3)、イオン源5を、外壁2によって絶縁する構造となっている。また、図5の従来例では、中性子発生管1の外壁2の一部分、即ち、加速電極4側の外壁2のみを、セラミック又はガラスの絶縁体8から形成して、加速電極4を外壁2から絶縁している。

0007

また、イオン源5から放出され加速された重水素イオンのビームがターゲット3に衝突した時に、ターゲット3から2次電子が放出される。この2次電子は、イオン源5と加速電極4と間に存在する電場によって、イオン源5等のアース電位の部位側に引き寄せられる。この2次電子の移動により生じる電流は、中性子発生には寄与しないエネルギーロスになるので、2次電子が加速電極4から放射されない構造とする必要がある。

0008

そこで、図4に示すように、加速電極4からの2次電子の放射防止のため、中性子発生管1の加速電極4は、ファラディーキャップ構造を採用している。即ち、ターゲット3を加速電極4で囲い、加速電極4の電位をターゲット3より500〜2000V程度マイナスとする構造である。このようなファラディーキャップ構造により、イオンビームは、イオン源5と加速電極4との間に形成される電場によって加速されながらターゲットに照射され、一方、2次電子は、加速電極4及びターゲット3の電場により、ターゲット3側に引き戻され、イオン源5側に放射されない。

0009

次に、従来の冷陰極型イオン源の例を、図6及び図7を用いて説明する。図6は、円筒状の磁石51を用いたイオン源5の例である。イオン源5は、円筒状の磁石51の両端側に取り付けられた陰極52と、これらの内部に配設された円筒状の陽極53とから構成されている。磁石51、陰極52及び陽極53により囲まれた空間には、プラズマ発生部55が画成されている。また、円筒状の陽極53は、パルス電源54に接続している。一方、イオン源5のターゲット3側に面した陰極52には、イオン出口孔56が設けられている。

0010

このように構成されたイオン源5によるプラズマの発生原理を説明する。最初に、イオン源5の内部には、磁石51により軸方向の磁場が形成されると共に、陽極53には、1〜3kVの電圧が印加されている。次に、重水素を吸蔵したリザーバ6(図4参照)を昇温することにより、中性子発生管1内のガス圧を10-3〜10-2mmHg程度に増加させる。その結果、イオン源5の内部のプラズマ発生空間55には、陽極53及び陰極52により形成された電場と、磁石51により形成された磁場とにより、プラズマが発生する。プラズマ発生空間55で発生したプラズマ内陽イオンは、イオン源5と加速電極4(図4参照)との間に形成された電場によって、イオン出口孔56から引き出される。引き出された陽イオンは、イオンビームとなってターゲット3(図4参照)に衝突する。なお、パルス状に中性子を発生させるには、イオン源5内部で間欠的にプラズマを発生させることにより行っている。そのため、イオン源5の陽極53には、パルス電源54からパルス電圧を印加するようになっている。

0011

図7は、磁場を発生させる磁石として、円柱状の磁石57を用いたイオン源5の例である。この場合にも、パルス状に中性子を発生させるためには、イオン源5の陽極53にパルス電源54からパルス電圧を印加して、イオン源5の内部で間欠的にプラズマを発生させることにより行っている。

0012

次に、図8を用いて、一般に使用されているターゲット3を説明する。ターゲット3は、円板状の金属基盤31と、この金属基盤31の上に水素吸蔵金属スパッタリングなどの方法で成膜した水素吸蔵金属膜32とから形成されている。水素吸蔵金属膜32を成膜する領域は、金属基盤31の片面の全体又は円形部分である。水素吸蔵金属膜の厚みは、1〜10μm程度で、一様な厚みを有している。

発明が解決しようとする課題

0013

石油検層用として使用する中性子発生管は、底で使用するために、耐衝撃性能の高いものが必要となる。しかし、従来の中性子発生管1で使用されているガラス等の絶縁材8により形成されている絶縁外壁2は、耐衝撃性能が不十分であるという問題点があった。また、外壁2をセラミックの絶縁材8により形成した場合には、衝撃によってセラミックが絶縁破壊して、貫通する場合があり、その結果、中性子発生管1が使用不能になる場合もある。さらに、外壁2が破損すると、内部に封入された三重水素(放射性同位元素)が中性子発生管1の外部に漏洩することとなり、単に使用不能となるだけでなく、安全管理上の問題も生ずる可能性がある。このため、中性子発生管1の絶縁構造を、耐衝撃性のある堅牢な形状とし、さらに破損した場合でも、三重水素が外部に漏洩しにくい構造とすることが望まれていた。

0014

また、従来のイオン源5における中性子パルス発生方法は、パルス電源54を用いて陽極53に印加する電圧をオンオフする方法である。従って、パルス電源54をオンにして、陽極53に電圧を印加してから、プラズマ発生部55で安定なプラズマが生成されるまでには、若干の時間遅れが生ずることが知られていた。従来の中性子発生管1では、この時間遅れは、3〜10マイクロ秒程度となる。一方、石油検層で非弾性散乱γ線分析する場合には、パルス状に発生された中性子ビームの発生波形がより短時間で且つ正確である程、上記分析精度は向上する。従って、石油検層用に使用する中性子発生管1には、中性子ビームのパルス周期をより短時間にするため、より高速作動をするイオン源が望まれていた。

0015

さらに、ターゲット3には、イオン源5から放出された重水素イオン等が照射されるため、イオンビームのスパッタリング効果により、ターゲット3に成膜された水素吸蔵金属膜32が損耗する。従って、このような損耗に伴うターゲット3の寿命の短縮を防ぐ必要がある。

0016

寿命の短縮を防ぐ方法としては、ターゲット3の水素吸蔵金属膜32を厚くすることが考えれら、水素吸蔵金属膜32の寿命を長くすることが可能である。しかし、水素吸蔵金属膜32は、増加した水素吸蔵金属の量にほぼ比例して水素を吸収するため、水素吸蔵金属膜32の厚みに比例して、重水素及び三重水素の充填量を増加させる必要がある。

0017

例えば、水素吸蔵金属としてTiを使用する場合、原子数比でTi:水素同位体=1:1.8程度の比率で、水素吸蔵金属Tiは、水素同位体(中性子発生管の場合は重水素および三重水素)を吸収可能となる。従って、ターゲットの厚みを10μm、径を12mmとした場合、水素吸蔵金属Tiの重量は、2.7mgであり、5.6×10-5molに相当するから、この1.8倍すなわち10.1×10-5mo1の三重水素及び重水素を吸収する可能性がある。ターゲット3に吸収される量の2分の1を三重水素とすると、これは1.5Ci(5.6×1010Bq)に相当する。

0018

一方、放射性物質である三重水素の使用量は、中性子発生管1の使用後における廃棄処理の問題を考慮すると、極力少なくする事が望ましい。従って、三重水素の充填量をあまり増加せずに、ターゲットの長寿命化をすることが望まれていた。

0019

そこで、上記課題を解決するために、本発明は、従来の装置に比べて耐衝撃性能が高く、より高速作動をし、そして、より長い寿命を有する中性子発生管を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0020

従って、本発明の主たる局面によれば、金属管と、該金属管に封入され重水素ガスをイオン化するイオン源と、前記金属管に封入されると共に前記イオン源に対向配置される高電圧で充電された加速電極と、該加速電極の中に配設され重水素または三重水素を吸蔵したターゲットと、該ターゲット及び前記加速電極と前記金属管との間を絶縁する絶縁体とを有し、前記イオン源で生成した重水素イオンを前記イオン源及び前記加速電極間の空間の電場で加速して前記加速電極内の前記ターゲットに衝突させ、前記重水素イオンと前記ターゲット中に吸蔵された前記三重水素または重水素とが核融合反応を起こすことにより中性子を発生させると共に、前記ターゲットに前記重水素イオンが衝突して発生する2次電子が前記加速電極外に放出されることを制限するために前記加速電極内に磁石を配設した中性子発生管を提供する。

0021

前記絶縁体は、前記ターゲットに接合する高電圧電源接続棒と、前記金属管との間に配設するのが好ましい。また、望ましくは、前記磁石は、前記ターゲットを取り囲むように、前記加速電極の内側に円筒状に配設される。

0022

また、本発明の別の局面によれば、前記イオン源は、磁石及び前記加速電極に対向する側にイオン出口孔を備える一対の電極を有しており、前記磁石による磁場と前記一対の電極による電場によって前記イオン源内部でプラズマを発生させ、該プラズマ内のイオンが前記イオン出口孔から放出されるようになっていると共に、さらに、交互にパルス電源またはアース電気的に接続する複数の金属板を平行に固定したスリットを前記イオン出口孔近傍の前記加速電極側に配置し、前記イオン出口孔から放出される前記イオンを前記パルス電源に同期して遮断できる構造を特徴としている。

0023

前記一方の電極は陰極であると共に、前記他方の電極は陽極であり、前記イオン源が冷陰極型イオン源であるのが好ましい。また、前記磁石は円筒状であり、前記陰極は前記円筒状の磁石の両端側に配設され、前記イオン出口孔は前記加速電極に対向する側の陰極に配設され、前記陽極は前記円筒状の磁石の内側に円筒状に配設されると共に直流電源に接続させることもできる。

0024

また、本発明のさらに別の局面によれば、前記ターゲットは、円板状の金属基板と、該金属基板上に水素吸蔵金属の薄膜を成膜した水素吸蔵金属膜とからなり、前記ターゲット上に照射される前記重水素イオンのビーム照射密度に比例して前記水素吸蔵金属膜の厚みを変化させることを特徴としている。

0025

前記水素吸蔵金属膜の厚みは、前記金属基板の外周から中心に向かって厚くなるのが好ましい。特に、前記水素吸蔵金属膜は、成膜される該水素吸蔵金属膜の直径が順次小さくなくよう円形状に多重層成膜した構造であるのが好ましい。

0026

本発明に係る中性子発生管は、外壁を金属管として、この金属管の内側にセラミック製の絶縁体を設けて加速電極を保持するので、中性子発生管の外壁(側壁)の耐衝撃性能が向上すると共に、十分な厚さのセラミックによって絶縁性能が確保される。なお、このような絶縁・支持構造とした場合には、2次電子の放射防止のために、加速電極とターゲットとの間に電位を与える構造が作りにくい難点がある。しかし、本発明では、加速電極内に永久磁石を配設することにより、ターゲットと加速電極入口の間に電位を与える代わりに磁場(横磁場)を与える。その結果、ターゲットから放射される2次電子の飛跡曲げられて、加速電極外への放射が防止される。

0027

また、イオン源の高速作動については、イオン出口孔の近傍に、交互にパルス電源またはアースに電気的に接続する複数の金属板を平行に並べたスリットを設ける一方、イオン源の陽極には直流電圧を印加して常時プラズマを発生させておく。そして、イオン出口孔の近傍に配設されたスリットの間の電場を変化させることによって、イオン源からターゲットに引き出されるイオンビームの方向を変化させ、ターゲットに入射するイオンビームをパルス化する。すなわち、イオンビームは、スリット間の電場により、そのイオンの運動方向を直進させればターゲットに入射し、また、横90度方向に曲げればターゲットヘの照射が遮断される。この方法によれば、スリットヘの充電時間がパルスの時間遅れの要因となるが、充電時間は極めて短くすることができるため、イオン源のプラズマをオン・オフさせる方法よりも高速作動が実現される。

0028

さらに、ターゲットの長寿命化については、ターゲットの水素吸蔵金属膜の損耗がこの水素吸蔵金属膜に照射されるイオンビームの密度に比例することから、照射密度に比例して金属基板に成膜された水素吸蔵金属膜厚さを変化させるターゲットを使用する。このような構成により、水素吸蔵金属膜の中心部及び周辺部における損耗期間が同一になる。そのため、水素吸蔵金属膜が損耗する直前までの期間では、その性能が劣化しない。すなわち、同一の水素吸蔵金属量に対して、最も効率の良い使用方法となる。

発明を実施するための最良の形態

0029

次に、本発明の好適な実施形態について添付図面を参照して詳細に説明するが、図中、同一符号は、同一または対応部分を示すものとする。

0030

図1は、本発明に係る中性子発生管1の概要を示す構成図である。この図において、中性子発生管1は、外壁として円筒状の金属管20を備えており、この金属管20の中に、重水素ガスをイオン化するイオン源5と、高電圧で充電された加速電極4と、重水素または三重水素を吸蔵したターゲット3と、ターゲット3及び加速電極4と金属管20との間を絶縁する絶縁体11とが密封されながら配設されている。

0031

詳述するに、加速電極4の内部には、円板状のターゲット3が配設されている。また、ターゲット3を取り囲むように、2次電子防止用の円筒状の磁石10も加速電極4の内部に配設されているが、その機能は後述する。そして、ターゲット3は、高電圧導入用金属棒である高電圧電源接続棒7を介して高電圧電源(図示せず)に接続している。なお、加速電極4のイオン源5側は、開放されている。

0032

絶縁体11は、金属管20の内部において、高電圧電源接続棒7の周囲を取り囲みながら、この接続棒7を支持するように配設されている。この絶縁体11により、ターゲット3及び加速電極4と金属管20との間が絶縁される。なお、この絶縁体は、セラミックから形成されている。また、加速電極4は、絶縁体11を介して金属管20にほぼ同軸芯状に配設されている。このように、外壁を金属管として、この金属管20の内側にセラミック製の絶縁体11を設けて加速電極4を保持する構成としたので、中性子発生管1の外壁(側壁)の耐衝撃性能が向上すると共に、十分な厚さのセラミックによって絶縁性能が確保される。

0033

また、イオン源5は、重水素が充満したリザーバ6を介して金属管20にほぼ同軸芯状に固定されている。従って、イオン源5と加速電極4とは、対向配置されている。なお、イオン源5から加速電極4へ放出される重水素イオンを加速するための電場を作成するために、イオン源5と加速電極4(即ち、ターゲット3)との間に、100kV前後の加速電圧を印加する必要がある。そのため、この実施形態においては、イオン源5をアース電位とし、加速電極4に加速電圧を印加すると共に、加速電極4を金属管20から絶縁する必要がある。しかし、前述したように絶縁体11により加速電極4を金属管20から絶縁することにより、イオン源5と加速電極4との間に、イオン源5から引き出される重水素イオンを加速する電場を形成する加速電圧を印加することができる。

0034

このように構成された中性子発生管1による中性子の発生原理は、従来の中性子発生管の場合と同様である。即ち、イオン源5で生成された重水素イオンは、イオン源5と加速電極4との間に形成された電場で加速され、ターゲット3に衝突する。そして、この衝突により、ターゲット3に吸蔵された三重水素または重水素と、衝突した重水素イオンとの間で核融合反応が生じ、その結果、中性子が発生する。

0035

また、イオン源5から放出され加速された重水素イオンのビームがターゲット3に衝突した時に、ターゲット3から2次電子が放出される。しかし、上述したような絶縁・支持構造においては、従来のように2次電子の放射防止のために、加速電極4とターゲット3との間に電位を与えるファラディーキャップ構造が作りにくい難点がある。しかし、この実施形態においては、加速電極4内に永久磁石10を配設することにより、ターゲット3と加速電極4の入口との間に電位を与える代わりに磁場(横磁場)を与える。その結果、ターゲット3から放射される2次電子の飛跡は、曲げられて、加速電極4の外への放射を防止することができる。

0036

次に、図2を用いて、本発明に係るイオン源の構成を説明する。図2は、冷陰極型イオン源5の概要を示す構成図であり、この図において、イオン源5は、円筒状の磁石51の両端側に取り付けられた陰極52と、これらの内部に配設された円筒状の陽極53とから構成されている。磁石51、陰極52及び陽極53により囲まれた空間には、プラズマ発生部55が画成されている。また、陰極52及び陽極53は、直流電源61に接続している。一方、イオン源5のターゲット3側に面した陰極52には、イオン出口孔56が設けられている。また、イオン出口孔56近傍の加速電極4側には、パルス電源60に電気的に接続する複数の金属板63と、アースに電気的に接続する複数の金属板64とを交互に平衡に固定したスリット64が配置されている。

0037

このように構成されたイオン源5によるプラズマの発生原理を説明する。最初に、イオン源5の内部には、磁石51により軸方向の磁場が形成されると共に、陽極53及び陰極52には、直流電源61から直流電圧が常時印加しているので、イオン源5内部のプラズマ発生部55では、常時プラズマが発生する。プラズマ発生空間55で発生したプラズマ内の陽イオンは、イオン源5と加速電極4(図1参照)との間に形成された電場によって、イオン出口孔56から引き出される。

0038

しかし、イオン出口孔56の近傍に配設されたスリット62の間の電場を変化させることにより、イオン源5からターゲット3に引き出されるイオンビームの方向を変化させることができる。これにより、ターゲット3に入射するイオンビームをパルス化することができる。すなわち、パルス電源60の出力電圧が0Vの時には、スリット62を構成する金属板63及び64間の電場が等しくなるため、イオンビームがイオン源5からターゲット3に向かって自由にスリット62間を通過することができる。一方、パルス電源60の出力がプラスの時には、金属板63及び64間の電場が大きく傾きを持つため、イオン源5からのイオンビームの飛跡は、アース電位の金属板64の方に曲げられ、金属板63及び64の幅が充分長ければ、イオンビームはスリット62を通過することができない。即ち、ターゲット3ヘのイオンビームの照射が遮断される。この方法によれば、スリット62ヘの充電時間がパルスの時間遅れの要因となるが、充電時間は極めて短くすることができるため、イオン源のプラズマをオン・オフさせる方法よりも高速作動が実現される。

0039

図3は、本発明のターゲット3の概要を示す構成図である。この図において、ターゲット3は、円板状の金属基板31と、この金属基板31の上に水素吸蔵金属の薄膜をスパッタリング等の方法で成膜した水素吸蔵金属膜35とからなる。この水素吸蔵金属膜35の厚みは、ターゲット3に照射されるイオン源5から引き出される重水素イオンのビーム照射密度に比例して変化させてある。

0040

詳述するに、この実施形態における金属基板31は、銅基板であり、水素吸蔵金属としてチタンを使用し、銅基板上に円形且つ多重層に成膜する。また、イオンビーム照射密度は、ターゲット3の中央部分の方が、周囲部分より大きいので、水素吸蔵金属膜35の厚みは、金属基板31の外周から中心に向かって厚くなるように成膜している。すなわち、金属基板31に直接成膜される水素吸蔵金属膜35aの直径は大きく、金属基板31から離れるに従って、水素吸蔵金属膜35b、35cの直径が順次小さくなくよう多重層に成膜されている。なお、水素吸蔵金属膜35を成膜する領域は、金属基板31の片面であり、水素吸蔵金属膜35の各層の厚みは、1〜10μm程度で、一様な厚みを有している。

0041

このようにターゲット3を構成することにより、重水素イオンのビーム照射における水素吸蔵金属膜35の中心部及び周辺部における損耗期間が同一になる。そのため、水素吸蔵金属膜が損耗する直前までの期間では、その性能が劣化しない。すなわち、同一の水素吸蔵金属量に対して、最も効率の良い使用方法となり、ターゲット3の長寿命化を図ることができる。

0042

以上、本発明に係る中性子発生管を図面を参照しながら説明したが、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。例えば、絶縁体11により接続棒7を介して間接的に加速電極4を金属管20から絶縁・保持する代わりに、金属管20の内部に加速電極4を取り囲むように、円筒状の絶縁体を配設することにより、直接加速電極4を絶縁・保持してもよい。

0043

また、本実施形態においては、イオン源5として冷陰極型イオン源を用いたが、陽極53と陰極52とを逆に配設することもできる。

0044

さらに、イオン源5の磁場を発生させる磁石として、円筒状の磁石51を用いたが、図7に示す従来例に対応するように、円柱状の磁石を用いてもよい。

発明の効果

0045

本発明に係る中性子発生管は、外壁を金属管として、この金属管の内側にセラミック製の絶縁体を設けて加速電極を保持したので、中性子発生管の外壁(側壁)の耐衝撃性能が向上すると共に、十分な厚さのセラミックによって絶縁性能が確保されるため、従来の中性子発生管と比較して、より振動・衝撃が多い環境下において使用が可能となる。

0046

また、イオン源の高速作動については、イオン出口孔の近傍に、交互にパルス電源またはアースに電気的に接続する複数の金属板を平行に並べたスリットを設ける一方、イオン源の陽極には直流電圧を印加して常時プラズマを発生させておくので、スリットの間の電場を変化させることによって、イオン源からターゲットに引き出されるイオンビームの方向を変化させ、ターゲットに入射するイオンビームをパルス化することができ、従来の中性子発生管では困難であった1マイクロ秒以下の短い時間幅の波形の正確な中性子パルスから、連続的な中性子までを発生することができる。

0047

さらに、ターゲットの長寿命化については、照射密度に比例して金属基板に成膜された水素吸蔵金属膜厚さを変化させるターゲットを使用するので、水素吸蔵金属膜の中心部及び周辺部における損耗期間が同一になるため、より少ないトリチウム封入量でターゲットが損耗する迄の期間安定したターゲット性能が得られる。

図面の簡単な説明

0048

図1本発明に係る中性子発生管の一実施形態の概要を示す構成図である。
図2本発明に係るイオン源の一実施形態の概要を示す構成図である。
図3本発明に係るターゲットの一実施形態の概要を示す平面及び側面構成図である。
図4従来の中性子発生管の絶縁構造を一例を示す構成図である。
図5従来の中性子発生管の絶縁構造を別の例を示す構成図である。
図6従来のイオン源における円筒状の磁石を用いた一例を示す構成図である。
図7従来のイオン源における円柱状の磁石を用いた一例を示す構成図である。
図8従来のターゲットの一例を示す平面及び側面構成図である。

--

0049

1…中性子発生管、2…外壁、3…ターゲット、4…加速電極、5…イオン源、6…リザーバ、7…高電圧電源接続棒、8,11…絶縁体、10…磁石、20…金属管、31…金属基板、32,35…水素吸蔵金属膜、51…円筒状の磁石、52…陰極、53…陽極、54,60…パルス電源、55…プラズマ発生部、56…イオン出口孔、57…円柱状の磁石、61…直流電源、62…スリット、63,64…金属板。

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