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技術 量子波干渉層を有したダイオ—ド及びダイオ—ドを構成する量子波干渉層の設計方法

出願人 カナレ電気株式会社
発明者 加納浩之
出願日 1997年4月25日 (22年11ヶ月経過) 出願番号 1999-315709
公開日 2000年5月16日 (19年10ヶ月経過) 公開番号 2000-138382
状態 未査定
技術分野 ナノ構造物 本体に特徴のある半導体装置 ダイオード
主要キーワード 極小値付近 直線目盛 多重周期 最適構造 動作抵抗 VI特性 多重層構造 ガス状原料
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (9)

課題

最適構造の量子波干渉層をp層またはn層に設けることにより、動作抵抗を著しく減少させたダイオード設計方法を提供する。

解決手段

第1層と第1層よりもバンド幅の広い第2層とを多重周期で積層した量子波干渉層を有するダイオードの、第1層と第2層の厚さの設計方法において、量子波干渉層を有するダイオードを作製して動作抵抗を測定する際、ダイオードの量子波干渉層の第2層の厚さを固定して第1層の厚さを変化させたダイオードをそれぞれ作製し、動作抵抗の極小値付近を示す第1層の厚さの範囲を求める作業と、ダイオードの量子波干渉層の第1層の厚さを固定して第2層の厚さを変化させたダイオードをそれぞれ作製し、動作抵抗の極小値付近を示す第2層の厚さの範囲を求める作業とにより、量子波干渉層を有するダイオードの動作抵抗が極小値付近となるよう、第1層と第2層の厚さを決定する。

概要

背景

従来、pn接合ダイオードが知られている。これらのダイオードは順方向電圧印加する時に流れる電流は、その順方向電圧がバンド電位差を越える電圧から急激に増加する。この動作領域での電圧電流特性の傾きが大きい程、ダイオードを各種の素子に応用する場合に都合が良い。しかし、この傾きは、半導体材料により決定されており、変化させることはできなかった。

概要

最適構造の量子波干渉層をp層またはn層に設けることにより、動作抵抗を著しく減少させたダイオードの設計方法を提供する。

第1層と第1層よりもバンド幅の広い第2層とを多重周期で積層した量子波干渉層を有するダイオードの、第1層と第2層の厚さの設計方法において、量子波干渉層を有するダイオードを作製して動作抵抗を測定する際、ダイオードの量子波干渉層の第2層の厚さを固定して第1層の厚さを変化させたダイオードをそれぞれ作製し、動作抵抗の極小値付近を示す第1層の厚さの範囲を求める作業と、ダイオードの量子波干渉層の第1層の厚さを固定して第2層の厚さを変化させたダイオードをそれぞれ作製し、動作抵抗の極小値付近を示す第2層の厚さの範囲を求める作業とにより、量子波干渉層を有するダイオードの動作抵抗が極小値付近となるよう、第1層と第2層の厚さを決定する。

目的

そこで、本発明者らは、多重量子井戸構造を光の多重反射における誘電体多層膜に対応させて、キャリアの量子波が多重量子井戸構造により多重反射されると考えた。そして、この反射によりキャリアの通電時のVI特性を急峻とすることができる考え、量子波干渉層の最適構造を創作した。従って、本発明の目的は、最適構造の量子波干渉層をp層又はn層に設けることで、動作抵抗を著しく減少させたダイオードを提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

第1層と第1層よりもバンド幅の広い第2層とを多重周期で積層した量子波干渉層を有するダイオードの、前記第1層と前記第2層の厚さの設計方法において、前記量子波干渉層をp層又はn層に有するダイオードを作製して動作抵抗を測定する際、前記ダイオードの前記量子波干渉層の前記第2層の厚さを固定して前記第1層の厚さを変化させた前記ダイオードをそれぞれ作製し、動作抵抗の極小値付近を示す前記第1層の厚さの範囲を求める作業と、前記ダイオードの前記量子波干渉層の前記第1層の厚さを固定して前記第2層の厚さを変化させた前記ダイオードをそれぞれ作製し、動作抵抗の極小値付近を示す前記第2層の厚さの範囲を求める作業とにより、前記量子波干渉層を有するダイオードの動作抵抗が極小値付近となるよう、前記第1層と前記第2層の厚さを決定することを特徴とするダイオードを構成する量子波干渉層の設計方法。

請求項2

前記第1層と前記第2層の厚さが、いずれも20nm以下であることを特徴とする請求項1に記載のダイオードを構成する量子波干渉層の設計方法。

請求項3

第1層と第1層よりもバンド幅の広い第2層とを多重周期で積層し、前記第1層と前記第2層との間にそれらの厚さに比べて充分に薄く、エネルギーバンド急変させるδ層を有する量子波干渉層を有するダイオードの、前記第1層と前記第2層と前記δ層の厚さの設計方法において、前記量子波干渉層をp層又はn層に有するダイオードを作製して動作抵抗を測定する際、前記ダイオードの前記量子波干渉層の前記第2層と前記δ層の厚さを固定して前記第1層の厚さを変化させた前記ダイオードをそれぞれ作製し、動作抵抗の極小値付近を示す前記第1層の厚さの範囲を求める作業と、前記ダイオードの前記量子波干渉層の前記第1層と前記δ層の厚さを固定して前記第2層の厚さを変化させた前記ダイオードをそれぞれ作製し、動作抵抗の極小値付近を示す前記第2層の厚さの範囲を求める作業と、前記ダイオードの前記量子波干渉層の前記第1層と前記第2層の厚さを固定して前記δ層の厚さを変化させた前記ダイオードをそれぞれ作製し、動作抵抗の極小値付近を示す前記δ層の厚さの範囲を求める作業とにより、前記量子波干渉層を有するダイオードの動作抵抗が極小値付近となるよう、前記第1層と前記第2層と前記δ層の厚さを決定することを特徴とするダイオードを構成する量子波干渉層の設計方法。

請求項4

前記第1層と前記第2層の厚さがいずれも20nm以下であり、前記δ層の厚さが5nm以下であることを特徴とする請求項3に記載のダイオードを構成する量子波干渉層の設計方法。

請求項5

請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の設計方法によって設計された量子波干渉層をp層又はn層に有することを特徴とするダイオード。

請求項6

キャリア反射層として機能する量子波干渉層を有することを特徴とする請求項5に記載のダイオード。

技術分野

0001

本発明は動作抵抗を減少させた新規構造のダイオードに関する。

背景技術

0002

従来、pn接合のダイオードが知られている。これらのダイオードは順方向電圧印加する時に流れる電流は、その順方向電圧がバンド電位差を越える電圧から急激に増加する。この動作領域での電圧電流特性の傾きが大きい程、ダイオードを各種の素子に応用する場合に都合が良い。しかし、この傾きは、半導体材料により決定されており、変化させることはできなかった。

発明が解決しようとする課題

0003

ところで、JJAPLetters Vol.29,No.11(1990年) L1977-L1980に記載されたように、クラッド層多重量子井戸障壁を設けることで、キャリア反射させることが提案されている。しかし、この文献では、キャリアの運動エネルギーをどのような値とするかは示唆がなく、この文献によって指摘された第1層と第2層との最適な厚さは、本発明者らが最適とする厚さに対して1/4〜1/6である。この結果、キャリアの反射の効果が十分ではないという問題が残されている。

0004

そこで、本発明者らは、多重量子井戸構造を光の多重反射における誘電体多層膜に対応させて、キャリアの量子波が多重量子井戸構造により多重反射されると考えた。そして、この反射によりキャリアの通電時のVI特性を急峻とすることができる考え、量子波干渉層の最適構造を創作した。従って、本発明の目的は、最適構造の量子波干渉層をp層又はn層に設けることで、動作抵抗を著しく減少させたダイオードを提供することである。

課題を解決するための手段

0005

請求項1に記載の発明は、第1層と第1層よりもバンド幅の広い第2層とを多重周期で積層した量子波干渉層を有するダイオードの、第1層と第2層の厚さの設計方法において、量子波干渉層をp層又はn層に有するダイオードを作製して動作抵抗を測定する際、ダイオードの量子波干渉層の第2層の厚さを固定して第1層の厚さを変化させたダイオードをそれぞれ作製し、動作抵抗の極小値付近を示す第1層の厚さの範囲を求める作業と、ダイオードの量子波干渉層の第1層の厚さを固定して第2層の厚さを変化させたダイオードをそれぞれ作製し、動作抵抗の極小値付近を示す第2層の厚さの範囲を求める作業とにより、量子波干渉層を有するダイオードの動作抵抗が極小値付近となるよう、第1層と第2層の厚さを決定することを特徴とする。

0006

請求項2に記載の発明は、第1層と第2層の厚さが、いずれも20nm以下であることを特徴とする。

0007

請求項3の発明は、第1層と第1層よりもバンド幅の広い第2層とを多重周期で積層し、第1層と第2層との間にそれらの厚さに比べて充分に薄く、エネルギーバンド急変させるδ層を有する量子波干渉層を有するダイオードの、第1層と第2層とδ層の厚さの設計方法において、量子波干渉層をp層又はn層に有するダイオードを作製して動作抵抗を測定する際、ダイオードの量子波干渉層の第2層とδ層の厚さを固定して第1層の厚さを変化させたダイオードをそれぞれ作製し、動作抵抗の極小値付近を示す第1層の厚さの範囲を求める作業と、ダイオードの量子波干渉層の第1層とδ層の厚さを固定して第2層の厚さを変化させたダイオードをそれぞれ作製し、動作抵抗の極小値付近を示す第2層の厚さの範囲を求める作業と、ダイオードの量子波干渉層の第1層と第2層の厚さを固定してδ層の厚さを変化させたダイオードをそれぞれ作製し、動作抵抗の極小値付近を示すδ層の厚さの範囲を求める作業とにより、量子波干渉層を有するダイオードの動作抵抗が極小値付近となるよう、第1層と第2層とδ層の厚さを決定することを特徴とする。

0008

請求項4に記載の発明は、第1層と第2層の厚さがいずれも20nm以下であり、δ層の厚さが5nm以下であることを特徴とする。

0009

請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の設計方法によって設計された量子波干渉層をp層又はn層に有することを特徴とするダイオードである。

0010

請求項6の発明は、キャリアの反射層として機能する量子波干渉層を有することを特徴とするダイオードである。

0011

〔請求項1、2、5、6の発明〕本発明にかかる量子波干渉層の原理を次に説明する。図1は、p層に形成されたバンド幅の異なる層の多重層構造伝導帯を示している。少数キャリアである電子がp層へ注入、即ち、図上左から右方向に伝導するとする。伝導に寄与する電子は、第2層の伝導帯の底付近に存在する電子と考えられる。この電子の運動エネルギーをEとする。すると、第2層Bから第1層Wに伝導する電子は第2層から第1層へのバンド電位差Vにより加速されて、第1層Wにおける運動エネルギーはE+Vとなる。又、第1層Wから第2層Bへ伝導する電子は第1層から第2層へのバンド電位差Vにより減速されて、第2層Bにおける電子の運動エネルギーはEに戻る。伝導電子の運動エネルギーは、多重層構造のポテンシャルエネルギーによりこのような変調を受ける。

0012

一方、第1層と第2層の厚さが電子の量子波長と同程度となると、電子は波動として振る舞う。電子の量子波は電子の運動エネルギーを用いて、次の(1)、(2)式により求められる。
DW=nWλW/4=nWh/4[2mW(E+V)]1/2 …(1)
DB=nBλB/4=nBh/4(2mBE)1/2 …(2)

0013

但し、DW、DBは第1層と第2層の厚さ、λW、λBは第1層と第2層における電子の量子波長、hはプランク定数、mWは第1層におけるキャリアの有効質量、mBは第2層におけるキャリアの有効質量、Eは第2層に流入された、第2層の最低エネルギーベル付近におけるキャリアの運動エネルギー、Vは第1層に対する第2層のバンド電位差、nW、nBは奇数である。即ち、式(1)、(2)では第1層と第2層の厚さを、各層における電子の量子波の波長の1/4とした。

0014

さらに、波の反射率Rは第2層B、第1層Wにおける量子波の波数ベクトルKB,KWとする時、次式で求められる。
R=(|KW|−|KB|)/(|KW|+|KB|)
=[{mW(E+V)}1/2−(mBE)1/2]/[{mW(E+V)}1/2+(mBE)1/2]
=[1−{mBE/mW(E+V)}1/2]/[1+{mBE/mW(E+V)}1/2]
…(3)

0015

又、mB=mWと仮定すれば、反射率は次式で表される。
R=[1−{E/(E+V)}1/2]/[1+{E/(E+V)}1/2] …(4)

0016

E/(E+V)=xとおけば、(4)式は次式のように変形できる。
R=(1−x1/2)/(1+x1/2) …(5)

0017

この反射率Rのxに対する特性は図2のようになる。

0018

又、第2層Bと第1層WがそれぞれS層多重化された場合の量子波の入射端面での反射率RSは次式で与えられる。
RS=[(1−xS)/(1+xS)]2 …(6)

0019

x≦1/10の時R≧0.52となり、そのためのE,Vの関係は
E≦V/9 …(7)
となる。第2層Bにおける伝導電子の運動エネルギーEは伝導帯の底付近であることから、(7)式の関係が満足され、第2層Bと第1層Wとの境界での反射率Rは52%以上となる。このような多重層構造により、p層へ流入される電子の量子波を効率良く反射させることができる。

0020

又、xを用いて第2層Bの厚さの第1層Wの厚さに対する比DB/DWは次式で求められる。
DB/DW=[mW/(mBx)]1/2 …(8)

0021

このような量子波干渉層をp層に形成したダイオードにおいて、順方向に電圧を印加すると、p層に注入される電子の運動エネルギーが上記の量子波干渉層の厚さの設計に用いられた運動エネルギーを大きく越えるまでは、電子の反射が起こり電子による電流は流れない。注入される電子の運動エネルギーが設定された運動エネルギーを大きく越えると、反射していた電子が急激に流れるようになる。この結果、ダイオードのVI特性が急峻となる。即ち、動作抵抗が低下する。

0022

又、価電子帯においても、エネルギーレベル周期的に変動するが、バンド電位差Vが伝導帯のバンド電位差と異なること、第1層、第2層における正孔の有効質量が電子の有効質量と異なること等のため、電子に対して反射率を高くするように設定された第1層と第2層の幅の設定値は正孔に対する高反射率が得られる条件にはならない。よって、上記の構造の量子波干渉層は、電子だけを反射させ正孔を反射させないようにすることができる。

0023

又、逆に、価電子帯のバンド電位差、正孔の有効質量を用いて、第1層、第2層の厚さを設計することで、量子波干渉層をn層に設け正孔を反射させ電子を透過させる層とすることもできる。

0024

このような設計のために、量子波干渉層を例えばp層に有するダイオードの、第1層と第2層の厚さを変化させたものを作製し、動作抵抗の極小値付近をとる第1層と第2層の厚さの最適化により、電子を反射する量子波干渉層の第1層と第2層の厚さを設計することができる。同様に、量子波干渉層を例えばn層に有するダイオードの、第1層と第2層の厚さを変化させたものを作製し、動作抵抗の極小値付近をとる第1層と第2層の厚さの最適化により、正孔を反射する量子波干渉層の第1層と第2層の厚さを設計することができる。

0025

このような量子波干渉層を有するダイオードの動作抵抗の極小値付近をとる第1層と第2層の厚さの最適化には、量子波の波長程度とするため、40nm以下の厚さで最適化することが望ましく、更には20nm以下が望ましい。また、このように最適とされた第1層と第2層の厚さの、各々奇数倍の厚さの第1層と第2層とを積層した量子波干渉層を設計しても良い。

0026

上記のような電子の量子波干渉層をp層に設け、正孔の量子波干渉層をn層に設けることで、このダイオードのVI特性をさらに急峻とすることができ、動作抵抗を著しく低下させることができる。

0027

〔請求項3、4の発明〕図3に示すように、第1層Wと第2層Bとの境界において、エネルギーバンドを急変させる厚さが第1層W、第2層Bに比べて十分に薄いδ層を設けても良い。境界での反射率は(7)式で得られるが、境界にδ層を設けることで、バンド電位差Vを大きくすることができx値が小さくなる。x値が小さいことから反射率Rが大きくなる。このδ層は、図3(a)に示すように、各第1層Wの両側の境界に設けられているが、片側の境界だけに設けても良い。又、δ層は、図3(a)に示すように、境界に第2層Bのバンドの底よりもさらに高い底を有するバンドが形成されるように設けているが、図3(b)に示すように、境界に第1層の底よりもさらに低い底を有するバンドを有するように形成しても良い。さらに、図3(c)に示すように、境界に第2層Bよりも高いエネルギーレベルを有し第1層Wよりも低いエネルギーレベルを有する2つのδ層を形成しても良い。このようにすることで、第1層Wと第2層Bとの境界での量子波の反射率を大きくすることができ、多重層に形成した場合に全体での量子波の反射率を大きくすることができる。

0028

このようなδ層の厚さの設計も、上述の第1層、第2層の設計同様、量子波干渉層を例えばp層に有するダイオードの、第1層と第2層との間のδ層の厚さを変化させたものを作製し、動作抵抗の極小値付近をとるδ層の厚さの最適化により、電子を反射する量子波干渉層のδ層の厚さを設計することができる。

0029

このような量子波干渉層の動作抵抗の極小値付近をとる第1層と第2層の厚さの最適化には、量子波の波長程度とするため、40nm以下の厚さで最適化することが望ましく、更には20nm以下が望ましい。また、δ層はそれら第1層と第2層の厚さより充分薄くする必要があるため、10nm以下で最適化することが望ましく、更には5nm以下が望ましい。また、このように最適とされた第1層と第2層の厚さの、各々奇数倍の厚さの第1層と第2層とを積層した量子波干渉層を設計しても良い。

発明を実施するための最良の形態

0030

以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。なお本発明は下記実施例に限定されるものではない。

0031

〔第1実施例〕図4は量子波干渉層をp層に形成したダイオードの断面図である。GaAsから成る基板10の上に、n-GaAsから成る厚さ0.3μm、電子濃度2×1018/cm3のバッファ層12が形成され、その上にn-Ga0.51In0.49Pから成る厚さ0.1μm、電子濃度2×1018/cm3のn形コンタクト層14が形成されている。n形コンタクト層14の上には、n-Al0.51In0.49Pから成る厚さ0.5μm、電子濃度1×1018/cm3のn層16が形成され、その上にはAl0.51In0.49Pから成る厚さ0.6μmのp層18が形成されている。さらに、そのp層18の中に量子波干渉層である電子反射層20が形成されている。尚、電子反射層20の入射端面側のp層18aは厚さ0.1μm、正孔濃度1×1017/cm3であり、電子反射層20の出射端面側のp層18bは厚さ0.5μm、正孔濃度1×1018/cm3である。そして、p層18bの上にp-Ga0.51In0.49Pから成る厚さ0.1μm、正孔濃度2×1018/cm3の第2p形コンタクト層22とp-GaAsから成る厚さ0.1μm、正孔濃度2×1018/cm3の第1p形コンタクト層24が形成されている。さらに、基板10の裏面には厚さ0.2μmのAu/Geから成る電極26が形成され、第1p形コンタクト層24の上には厚さ0.2μmのAu/Znから成る電極28が形成されている。尚、基板10は、2インチ径の大きさであり、基板の主面は面方位(100)に対して15°方位[011]方向にオフセットしている。

0032

このダイオードは、ガスソースMBE法により製造された。ガスソースMBE法は、結晶エレメント材料全てを固体ソースから供給する従来形のMBE法とは異なり、V族元素(As,P)等をガス状原料(AsH3,PH3)の熱分解により供給し、III族エレメント(In,Ga,Al)は固体ソースから供給する超高真空下の分子線結晶成長法である。

0033

電子反射層(量子波干渉層)20は、図5に示すように、第1層Wにp-Ga0.51In0.49P、第2層Bにp-Al0.51In0.49Pを用いた15周期の多重量子構造であり、第1層Wと第2層Bの境界にp-Al0.33Ga0.33In0.33Pから成るδ層が形成されている。厚さの条件は上記した(1)、(2)式で決定され、最初の第2層B0(p層18a)の厚さはキャリアのトンネル伝導を防止できる程の厚さに設計されている。又、δ層の厚さは、1.3nmである。図5エネルギーダイヤグラムでは、n層16とp層18aと電子反射層20が図示されている。図5(a)は電圧が印加されていない状態を示し、(b)は電圧Vが印加された状態を示している。このような構造とすることで、このダイオードに順方向に電圧を印加すると、n層16からp層18に注入された電子は電子反射層20により効果的に反射され、電子はp層に注入されない。さらに、電圧を増加させて注入される電子の運動エネルギーが電子反射層20を設計した運動エネルギーEを大きく越えると、この電子反射層20が電子を反射しなくなり、電子を通過させるようになる。この結果、VI特性は印加電圧があるしきい値を越えると急峻に立ち上がる。

0034

又、価電子帯においても、多重量子井戸構造が形成されるが、この構造では電子が効果的に反射されるように第1層Wと第2層Bの厚さの条件が決定されているので、正孔はこの多重量子井戸構造では反射されない。よって、p層18bからの正孔はこの電子反射層20を通過して、n層16に達する。

0035

第1層Wと第2層Bの厚さを各種変化させてVI特性を測定した。第2層Bの厚さを7nmにして、第1層Wの厚さを各種変化させてVI特性を測定した。第1層Wの厚さが5nmの時にVI特性の傾き(動作抵抗)は最小となった。次に、第1層Wの厚さを5nmにして、第2層Bの厚さを各種変化させてVI特性を測定した。第2層Bの厚さが7nmの時に動作抵抗が最小となった。このように、電子反射層20は第1層Wの厚さを5nm、第2層Bの厚さを7nmにする時にダイオードの動作抵抗が最小となった。このダイオードの測定されたVI特性Bを図6図7に示す。又、上記の実施例において、電子反射層20だけが存在しないダイオードを製造し、そのVI特性Aも測定した。図6は、電流が急激に立ち上がる前の領域を示している。本実施例のダイオードの電流が従来形のダイオードに比べて電流が抑制されているのが理解される。又、VI特性A−VI特性Bを表した特性がCである。約2Vで最大の電流抑制が実現されていることが理解される。この約2Vを印加した時に第2層を越える程度のエネルギーが第1層と第2層の厚さの設計に用いられたp層に注入される電子の運動エネルギーEに対応していると考えられる。図7直線目盛りで表されたVI特性である。本実施例のダイオードの動作抵抗は、従来のダイオードの動作抵抗に比べて1/4に低下した。

0036

〔第2実施例〕図8に示すように、n層16にも正孔反射層30が設けられている。正孔の量子波入射端面のn層16aはトンネル電流を阻止するに十分な厚さがある。この正孔反射層30も電子反射層20と構造的には同一である。正孔を効果的に反射させるために、第1層Wの厚さは1.0nmであり、第2層Bの厚さは1.2nmである。このように電子反射層20と正孔反射層30とを形成することで、電子反射層20と正孔反射層30が形成されていないダイオードに比べて、約1/6の動作抵抗の低下が得られた。

0037

上記実施例では、δ層を形成している。このδ層により反射率を著しく向上させることができるが、効果は低下するがδ層がない多重量子井戸構造でも良い。又、上記実施例では、量子波干渉層をGa0.51In0.49PとAl0.51In0.49Pとの多重層で構成したが、4元系のAlxGayIn1-x-yP(0≦x,y≦1の任意の値)で組成比を異にして形成しても良い。さらに、量子波干渉層は、他のIII族-V族化合物半導体II族-VI族化合物半導体、Si/Ge、その他の異種半導体の多重接合で構成することが可能である。

図面の簡単な説明

0038

図1本発明の概念を説明するための説明図。
図2第2層におけるキャリアの運動エネルギーの第1層における運動エネルギーに対する比xに対する反射率Rの関係を示した特性図。
図3本発明の概念を説明するための説明図。
図4本発明の具体的な一実施例に係るダイオードの構造を示した断面図。
図5その実施例に係るダイオードのエネルギーダイヤグラム。
図6その実施例に係るダイオードのVI特性の測定図。
図7その実施例に係るダイオードのVI特性の測定図。
図8他の実施例に係るダイオードの構造を示した断面図。

--

0039

10…基板
12…バッファ層
14…n形コンタクト層
16…n層
18…p層
20…電子反射層
22…第2p形コンタクト層
24…第1p形コンタクト層
26,28…電極
30…正孔反射層

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