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技術 低結晶性フタロシアニンの製造方法、並びに該フタロシアニンを用いた結晶性フタロシアニン及び結晶性フタロシアニン混晶体の製造方法、及びこれらを用いた電子写真感光体

出願人 三菱製紙株式会社
発明者 山辺晋堀内保
出願日 1998年10月29日 (23年1ヶ月経過) 出願番号 1998-308146
公開日 2000年5月9日 (21年7ヶ月経過) 公開番号 2000-129156
状態 未査定
技術分野 電子写真における感光体 染料
主要キーワード 導電性加工 混合分散媒 スルホキシド系化合物 銅フタロシアニン類 含水分 積層形 ハロゲン化炭化水素系化合物 ステップ角度
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2000年5月9日)のものです。
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図面 (8)

課題

低結晶性フタロシアニンの簡便な製造方法を提供する。また該低結晶性フタロシアニンを用い所望の結晶形のフタロシアニン、およびフタロシアニンと他の有機電荷発生物質との混晶体の製造方法を提供する。また所望の結晶形を有するフタロシアニン、またはフタロシアニン混晶体を用いた、求める特性を有する電子写真感光体を提供する。

解決手段

水を含有する分散媒を使用し、湿式分散を施すことにより低結晶性フタロシアニン類の製造方法を見いだした。また該低結晶性フタロシアニン類、あるいは該低結晶性フタロシアニンと他の有機系電荷発生物質の混合物を、有機化合物あるいは有機化合物と水の混合物と処理することにより所望の結晶形のフタロシアニン類、およびフタロシアニン混晶体が得られた。また該結晶性フタロシアニンあるいはフタロシアニン混晶体を用いた求める特性を有する電子写真感光体が得られた。

概要

背景

近年、電子写真方式の利用は複写機の分野に限らず、印刷版材スライドフィルムマイクロフィルム等の、従来は写真技術が使われていた分野へ広がり、またレーザーLED、CRT光源とする高速プリンターへの応用も検討されている。また最近では光導電性材料電子写真感光体以外の用途、例えば静電記録素子センサー材料EL素子等への応用も検討され始めた。従って光導電性材料及びそれを用いた電子写真感光体に対する要求も高度で幅広いものになりつつある。これまで電子写真方式の感光体としては無機系の光導電性物質、例えばセレン硫化カドミウム酸化亜鉛シリコン等が知られており、広く研究され、かつ実用化されている。これらの無機物質は多くの長所を持っているのと同時に、種々の欠点をも有している。例えばセレンには製造条件が難しく、熱や機械的衝撃結晶化しやすいという欠点があり、硫化カドミウムや酸化亜鉛は耐湿性耐久性に難がある。シリコンについては帯電性不足や製造上の困難さが指摘されている。更に、セレンや硫化カドミウムには毒性の問題もある。

これに対し、有機系の光導電性物質は成膜性がよく、可撓性も優れていて、軽量であり、透明性もよく、適当な増感方法により広範囲波長域に対する感光体の設計が容易である等の利点を有していることから、次第にその実用化が注目を浴びている。

ところで、電子写真技術に於て使用される感光体は、一般的に基本的な性質として次のような事が要求される。即ち、(1)暗所におけるコロナ放電に対して帯電性が高いこと、(2) 得られた帯電電荷の暗所での漏洩暗減衰)が少ないこと、(3) 光の照射によって帯電電荷の散逸光減衰)が速やかであること、(4)光照射後の残留電荷が少ないこと等である。

しかしながら、今日まで有機系光導電性物質としてポリビニルカルバゾールを始めとする光導電性ポリマーに関して多くの研究がなされてきたが、これらは必ずしも皮膜性、可撓性、接着性が十分でなく、また上述の感光体としての基本的な性質を十分に具備しているとはいい難い。

一方、有機系の低分子光導電性化合物については、感光体形成に用いる結着剤等を選択することにより、皮膜性や接着性、可撓性等機械的強度に優れた感光体を得ることができ得るものの、高感度の特性を保持し得るのに適した化合物見出すことは困難である。

このような点を改良するために電荷発生機能と電荷輸送機能とを異なる物質に分担させ、より高感度の特性を有する有機感光体が開発されている。機能分離型と称されているこのような感光体の特徴はそれぞれの機能に適した材料を広い範囲から選択できることであり、任意の性能を有する感光体を容易に作製し得ることから多くの研究が進められてきた。

このうち、電荷発生機能を担当する物質としては、フタロシアニン顔料スクエアリウム系染料アゾ顔料ペリレン系顔料等の多種の物質が検討され、中でもアゾ顔料は多様な分子構造が可能であり、また、高い電荷発生効率が期待できることから広く研究され、実用化も進んでいる。しかしながら、このアゾ顔料においては、分子構造と電荷発生効率の関係はいまだに明らかになっていない。膨大な合成研究を積み重ねて、最適の構造を探索しているのが実情であるが、先に掲げた感光体として求められている基本的な性質や高い耐久性等の要求を十分に満足するものは、未だ得られていない。

また、近年従来の白色光のかわりにレーザー光を光源として、高速化、高画質化ノンインパクト化を長所としたレーザービームプリンター等が、情報処理システムの進歩と相まって広く普及するに至り、その要求に耐えうる材料の開発が要望されている。特にレーザー光の中でも近年コンパクトディスク光ディスク等への応用が増大し技術進歩が著しい半導体レーザーは、コンパクトでかつ信頼性の高い光源材料としてプリンター分野でも積極的に応用されてきた。この場合の光源の波長は780nm前後であることから、780nm前後の長波長光に対して高感度な特性を有する感光体の開発が強く望まれている。その中で、特に近赤外領域光吸収を有するフタロシアニン類を使用した感光体の開発が盛んに行われている。

フタロシアニン類は、中心金属の種類により吸収スペクトルや光導電性が異なるだけでなく、同じ中心金属を有するフタロシアニンでも、結晶形によってこれらの諸特性に差が生る。中心金属の種類及び特定の結晶形を選択することにより、所望の特性を有した電子写真感光体を作製することができる。このため様々な結晶形のフタロシアニンを製造する方法が報告されている。

例えば、チタニルオキシフタロシアニンを例にとると、特開昭62−275272号公報及び特開昭62−229253号公報では、低結晶性チタニルオキシフタロシアニンを製造するためにアシッドペースティング法及びアシッドスラリー法が報告されている。

しかしながら、これらの方法は硫酸のような強酸を使用するため、ある種のフタロシアニンでは加水分解してしまうことがある。また、低結晶性となったフタロシアニンを大量の水等の溶媒を用い、酸成分を除くための洗浄が必須である。さらにこの工程で排出される強酸を含んだ大量の廃液の処理も工業的に有利ではない。

また、特開平5−43813号公報にはY形チタニルオキシフタロシアニンの製造法として、無機塩とともに乾式粉砕する方法が報告されている。

しかしながら、この方法で得られたY形チタニルオキシフタロシアニンは、粉砕に使用した無機塩を除くために、大量の水等の溶媒を用いた洗浄が必須であり、且つ、無機塩を含んだ大量の廃液を発生する。更に使用する無機塩は、洗浄する溶媒に溶けうる無機塩に限定されてしまう。

上述したように所望の結晶形を有したフタロシアニンを簡便に製造する方法は、未だ見いだされていない。

また、フタロシアニンと他の電荷発生物質混合体も報告されている。例えば特開平5−333575号公報や特開平7−5715号公報にはフタロシアニンとペリレン系顔料を硫酸のような強酸に一旦溶解し、その後貧溶媒粒子化する方法(アシッドペースティング法)によって電荷発生物質を作製することが報告されている。

しかし、このアシッドペースティング法は、強酸によって溶解し且つ分解しない電荷発生物質しか使用できないという欠点を有しているだけでなく、前述したように強酸を使用するためのいくつかの問題をもっている。

また、上述の方法は、何れもフタロシアニンとフタロシアニン以外の電荷発生物質からなる混合物の製造方法であり、フタロシアニンとフタロシアニン以外の電荷発生物質から混晶体を製造するという概念はない。

上述したようにフタロシアニンとフタロシアニン以外の電荷発生物質からなる混晶体を簡便に製造する方法は見いだされていない。

概要

低結晶性フタロシアニンの簡便な製造方法を提供する。また該低結晶性フタロシアニンを用い所望の結晶形のフタロシアニン、およびフタロシアニンと他の有機系電荷発生物質との混晶体の製造方法を提供する。また所望の結晶形を有するフタロシアニン、またはフタロシアニン混晶体を用いた、求める特性を有する電子写真感光体を提供する。

水を含有する分散媒を使用し、湿式分散を施すことにより低結晶性フタロシアニン類の製造方法を見いだした。また該低結晶性フタロシアニン類、あるいは該低結晶性フタロシアニンと他の有機系電荷発生物質の混合物を、有機化合物あるいは有機化合物と水の混合物と処理することにより所望の結晶形のフタロシアニン類、およびフタロシアニン混晶体が得られた。また該結晶性フタロシアニンあるいはフタロシアニン混晶体を用いた求める特性を有する電子写真感光体が得られた。

目的

本発明の目的は、低結晶性フタロシアニンの製造方法の提供及び、それを用いて所望の結晶形のフタロシアニンまたは所望の結晶形のフタロシアニンとフタロシアニン以外の電荷発生物質からなる混晶体を簡便に、且つ工業的に有利に得られる方法を提供するものであり、また該方法によって得られた、所望の結晶形を有するフタロシアニンまたは混晶体を用いた電子写真感光体を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

結晶性フタロシアニン類から湿式分散により低結晶性フタロシアニンを製造する方法において、該湿式分散に用いる分散媒が、水を20〜100重量%含有することを特徴とする低結晶性フタロシアニンの製造方法。

請求項2

請求項1記載の湿式分散によって得られた低結晶性フタロシアニンの含水分散液から少なくとも分散媒として用いた有機化合物を除いたものを、水とハロゲン化炭化水素化合物または水と炭化水素化合物を用いて処理することを特徴とする結晶性フタロシアニンの製造方法。

請求項3

請求項1記載の湿式分散によって得られた低結晶性フタロシアニンがチタニルオキシフタロシアニンであり、水とハロゲン化炭化水素化合物または水と炭化水素化合物を用いて処理することにより得られる、CuKα1.541オンクストロームX線に対するブラッグ角(2θ±0.2°)が9.5°、13.5°、14.2°、18.0°、24.0°、27.2°にピークを示すことを特徴とする結晶性フタロシアニンの製造方法。

請求項4

請求項1記載の湿式分散によって得られた低結晶性フタロシアニンの含水分散液から少なくとも分散媒として用いた有機化合物を除いたものと、フタロシアニンとは異なる有機電荷発生物質との混合物を、水とハロゲン化炭化水素化合物または水と炭化水素化合物を用いて処理することを特徴とする結晶性フタロシアニン混晶体の製造方法。

請求項5

低結晶性フタロシアニンがチタニルオキシフタロシアニンであり、これとは異なる有機系電荷発生物質との混合物を、水とハロゲン化炭化水素化合物または水と炭化水素化合物を用いて処理することで得られる、CuKα1.541オンク゛ストロームのX線に対するブラッグ角(2θ±0.2°)が27.2°に最大ピークを示すことを特徴とする請求項4記載の結晶性フタロシアニン混晶体の製造方法。

請求項6

請求項1記載の湿式分散によって得られた低結晶性フタロシアニンの含水分散液から分散媒を除いたものを、有機化合物を用いて処理することにより得られる、結晶性フタロシアニンの製造方法。

請求項7

請求項1記載の湿式分散によって得られた低結晶性フタロシアニンの含水分散液から少なくとも分散媒として用いた有機化合物を除いたものと、フタロシアニンとは異なる有機系電荷発生物質との混合物を、有機化合物を用いて処理することを特徴とする結晶性フタロシアニン混晶体の製造方法。

請求項8

導電性支持体上に請求項2〜7に記載の製造方法によって得られたフタロシアニン類を電荷発生物質として少なくとも一種含有せしめた感光層を設けたことを特徴とする電子写真感光体

技術分野

0001

本発明は、低結晶性フタロシアニンの製造方法、並びに該フタロシアニンを用いた結晶性フタロシアニン及び結晶性フタロシアニン混晶体の製造方法、及びこれらを用いた電子写真感光体に関するものである。

背景技術

0002

近年、電子写真方式の利用は複写機の分野に限らず、印刷版材スライドフィルムマイクロフィルム等の、従来は写真技術が使われていた分野へ広がり、またレーザーLED、CRT光源とする高速プリンターへの応用も検討されている。また最近では光導電性材料の電子写真感光体以外の用途、例えば静電記録素子センサー材料EL素子等への応用も検討され始めた。従って光導電性材料及びそれを用いた電子写真感光体に対する要求も高度で幅広いものになりつつある。これまで電子写真方式の感光体としては無機系の光導電性物質、例えばセレン硫化カドミウム酸化亜鉛シリコン等が知られており、広く研究され、かつ実用化されている。これらの無機物質は多くの長所を持っているのと同時に、種々の欠点をも有している。例えばセレンには製造条件が難しく、熱や機械的衝撃結晶化しやすいという欠点があり、硫化カドミウムや酸化亜鉛は耐湿性耐久性に難がある。シリコンについては帯電性不足や製造上の困難さが指摘されている。更に、セレンや硫化カドミウムには毒性の問題もある。

0003

これに対し、有機系の光導電性物質は成膜性がよく、可撓性も優れていて、軽量であり、透明性もよく、適当な増感方法により広範囲波長域に対する感光体の設計が容易である等の利点を有していることから、次第にその実用化が注目を浴びている。

0004

ところで、電子写真技術に於て使用される感光体は、一般的に基本的な性質として次のような事が要求される。即ち、(1)暗所におけるコロナ放電に対して帯電性が高いこと、(2) 得られた帯電電荷の暗所での漏洩暗減衰)が少ないこと、(3) 光の照射によって帯電電荷の散逸光減衰)が速やかであること、(4)光照射後の残留電荷が少ないこと等である。

0005

しかしながら、今日まで有機系光導電性物質としてポリビニルカルバゾールを始めとする光導電性ポリマーに関して多くの研究がなされてきたが、これらは必ずしも皮膜性、可撓性、接着性が十分でなく、また上述の感光体としての基本的な性質を十分に具備しているとはいい難い。

0006

一方、有機系の低分子光導電性化合物については、感光体形成に用いる結着剤等を選択することにより、皮膜性や接着性、可撓性等機械的強度に優れた感光体を得ることができ得るものの、高感度の特性を保持し得るのに適した化合物見出すことは困難である。

0007

このような点を改良するために電荷発生機能と電荷輸送機能とを異なる物質に分担させ、より高感度の特性を有する有機感光体が開発されている。機能分離型と称されているこのような感光体の特徴はそれぞれの機能に適した材料を広い範囲から選択できることであり、任意の性能を有する感光体を容易に作製し得ることから多くの研究が進められてきた。

0008

このうち、電荷発生機能を担当する物質としては、フタロシアニン顔料スクエアリウム系染料アゾ顔料ペリレン系顔料等の多種の物質が検討され、中でもアゾ顔料は多様な分子構造が可能であり、また、高い電荷発生効率が期待できることから広く研究され、実用化も進んでいる。しかしながら、このアゾ顔料においては、分子構造と電荷発生効率の関係はいまだに明らかになっていない。膨大な合成研究を積み重ねて、最適の構造を探索しているのが実情であるが、先に掲げた感光体として求められている基本的な性質や高い耐久性等の要求を十分に満足するものは、未だ得られていない。

0009

また、近年従来の白色光のかわりにレーザー光を光源として、高速化、高画質化ノンインパクト化を長所としたレーザービームプリンター等が、情報処理システムの進歩と相まって広く普及するに至り、その要求に耐えうる材料の開発が要望されている。特にレーザー光の中でも近年コンパクトディスク光ディスク等への応用が増大し技術進歩が著しい半導体レーザーは、コンパクトでかつ信頼性の高い光源材料としてプリンター分野でも積極的に応用されてきた。この場合の光源の波長は780nm前後であることから、780nm前後の長波長光に対して高感度な特性を有する感光体の開発が強く望まれている。その中で、特に近赤外領域光吸収を有するフタロシアニン類を使用した感光体の開発が盛んに行われている。

0010

フタロシアニン類は、中心金属の種類により吸収スペクトルや光導電性が異なるだけでなく、同じ中心金属を有するフタロシアニンでも、結晶形によってこれらの諸特性に差が生る。中心金属の種類及び特定の結晶形を選択することにより、所望の特性を有した電子写真感光体を作製することができる。このため様々な結晶形のフタロシアニンを製造する方法が報告されている。

0011

例えば、チタニルオキシフタロシアニンを例にとると、特開昭62−275272号公報及び特開昭62−229253号公報では、低結晶性チタニルオキシフタロシアニンを製造するためにアシッドペースティング法及びアシッドスラリー法が報告されている。

0012

しかしながら、これらの方法は硫酸のような強酸を使用するため、ある種のフタロシアニンでは加水分解してしまうことがある。また、低結晶性となったフタロシアニンを大量の水等の溶媒を用い、酸成分を除くための洗浄が必須である。さらにこの工程で排出される強酸を含んだ大量の廃液の処理も工業的に有利ではない。

0013

また、特開平5−43813号公報にはY形チタニルオキシフタロシアニンの製造法として、無機塩とともに乾式粉砕する方法が報告されている。

0014

しかしながら、この方法で得られたY形チタニルオキシフタロシアニンは、粉砕に使用した無機塩を除くために、大量の水等の溶媒を用いた洗浄が必須であり、且つ、無機塩を含んだ大量の廃液を発生する。更に使用する無機塩は、洗浄する溶媒に溶けうる無機塩に限定されてしまう。

0015

上述したように所望の結晶形を有したフタロシアニンを簡便に製造する方法は、未だ見いだされていない。

0016

また、フタロシアニンと他の電荷発生物質混合体も報告されている。例えば特開平5−333575号公報や特開平7−5715号公報にはフタロシアニンとペリレン系顔料を硫酸のような強酸に一旦溶解し、その後貧溶媒粒子化する方法(アシッドペースティング法)によって電荷発生物質を作製することが報告されている。

0017

しかし、このアシッドペースティング法は、強酸によって溶解し且つ分解しない電荷発生物質しか使用できないという欠点を有しているだけでなく、前述したように強酸を使用するためのいくつかの問題をもっている。

0018

また、上述の方法は、何れもフタロシアニンとフタロシアニン以外の電荷発生物質からなる混合物の製造方法であり、フタロシアニンとフタロシアニン以外の電荷発生物質から混晶体を製造するという概念はない。

0019

上述したようにフタロシアニンとフタロシアニン以外の電荷発生物質からなる混晶体を簡便に製造する方法は見いだされていない。

発明が解決しようとする課題

0020

本発明の目的は、低結晶性フタロシアニンの製造方法の提供及び、それを用いて所望の結晶形のフタロシアニンまたは所望の結晶形のフタロシアニンとフタロシアニン以外の電荷発生物質からなる混晶体を簡便に、且つ工業的に有利に得られる方法を提供するものであり、また該方法によって得られた、所望の結晶形を有するフタロシアニンまたは混晶体を用いた電子写真感光体を提供することである。

課題を解決するための手段

0021

本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、結晶性フタロシアニン類を、水を含有する分散媒を用いて湿式分散することにより簡便且つ、工業的に有利に低結晶性フタロシアニン類を得られることを見いだした。更に、得られた低結晶性フタロシアニン類は後述する方法により簡便に、所望の結晶形を有するフタロシアニンに結晶変換することができる。また所望の結晶形を有するフタロシアニンとフタロシアニン以外の電荷発生物質からなる混晶体も簡便に製造することができる。さらに上記方法によって得られた所望の結晶形を有するフタロシアニン、または所望の結晶形を有するフタロシアニンとフタロシアニン以外の電荷発生物質からなる混晶体を用いて所望の特性を持つ電子写真感光体を提供することができた。

発明を実施するための最良の形態

0022

本発明の第一の目的は、水を20〜100重量%含有する分散媒を用いて湿式分散により結晶性フタロシアニン類から低結晶性フタロシアニンを得る事である。

0023

本発明で用いられるフタロシアニン類は、公知の製造方法を使用することができる。製造方法としては、F.H.Moser、A.L.Thomas著「Phthalocyanine Compounds」(1963年)に製造方法が記載されており、この方法に従えばフタロシアニン類は容易に得られる。チタニルオキシフタロシアニンを例にとれば、フタロジニトリル四塩化チタンとの縮合反応による製造方法、あるいはPB85172.FIAT.FINALREPORT1313.Feb.1.1948や特開平1−142658号公報、特開平1−221461号公報に記載されている、1,3−ジイミノイソインドリンテトラアルコキシチタンとの反応により製造する方法等が挙げられる。また、反応に用いる有機溶媒としては、α−クロロナフタレン、β−クロロナフタレン、α−メチルナフタレンメトキシナフタレンジフェニルナフタレンエチレングリコールジアルキルエーテルキノリンスルホランジクロロベンゼンN−メチル−2−ピロリドンジクロロトルエン等の反応不活性な高沸点の溶媒が望ましい。

0024

上述の方法によって得たフタロシアニン類を、酸、アルカリアセトンメタノールエタノールメチルエチルケトンテトラヒドロフランピリジン、キノリン、スルホラン、α−クロロナフタレン、トルエンキシレンジオキサンクロロホルムジクロロエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、あるいは水等により精製して電子写真用途に用い得る高純度のフタロシアニン類が得られる。精製法としては、洗浄法再結晶法ソックスレー等の抽出法、及び熱懸濁法昇華法等がある。また、精製方法はこれらに限定されるものではなく、未反応物反応副生成物を取り除く作業であれば何れでもよい。

0025

本発明に使用されるフタロシアニン類としては、それ自体公知のフタロシアニン及びその誘導体の何れでも使用できる。誘導体とは、フタロシアニンのイソインドール環に置換基を有するもの、あるいは中心金属に配位子を有するものを挙げることができる。フタロシアニン類の具体例としては無金属フタロシアニン類、チタニルフタロシアニン類、バナジルフタロシアニン類、銅フタロシアニン類アルミニウムフタロシアニン類、ガリウムフタロシアニン類、インジウムフタロシアニン類、ゲルマニウムフタロシアニン類、リチウムフタロシアニン類、ナトリウムフタロシアニン類、カリウムフタロシアニン類、ジルコニウムフタロシアニン類、ハフニウムフタロシアニン類、マグネシウムフタロシアニン類、スズフタロシアニン類、亜鉛フタロシアニン類、コバルトフタロシアニン類、ニッケルフタロシアニン類、バリウムフタロシアニン類、ベリリウムフタロシアニン類、カドミウムフタロシアニン類、コバルトフタロシアニン類、鉄フタロシアニン類、シリコンフタロシアニン類、鉛フタロシアニン類、銀フタロシアニン類、金フタロシアニン類、白金フタロシアニン類、ルテニウムフタロシアニン類、パラジウムフタロシアニン類、無金属ナフタロシアニン類、チタニルナフタロシアニン類等が挙げられる。特にその中でも無金属フタロシアニン、チタニルオキシフタロシアニン、バナジルオキシフタロシアニン、銅フタロシアニンクロロアルミニウムフタロシアニンクロロガリウムフタロシアニンクロロインジウムフタロシアニン、ジクロロゲルマニウムフタロシアニン、ヒドロキシアルミニウムフタロシアニンヒドロキシガリウムフタロシアニンヒドロキシインジウムフタロシアニン、ジヒドロキシゲルマニウムフタロシアニンが好ましい。

0026

また、本発明において低結晶性化する前のフタロシアニン類の結晶形は、何れのものを使用しても構わない。

0027

本発明において結晶性フタロシアニンとは、図1および図3に示されるようにCuKα1.541オンクストロームX線に対するブラッグ角(2θ±0.2°)が3.0°から40.0°の範囲において明確なピークを有するものである。

0028

また本発明において低結晶性フタロシアニンとは、図2に示したようにCuKα1.541オンク゛ストロームのX線に対するブラッグ角(2θ±0.2°)が3.0°から40.0°の範囲において、明瞭なピークが存在しないかピークとして認識されてもピーク形状ブロードあるいはピーク強度が弱いものをいう。

0029

本発明において湿式分散時に使用される装置としては、ロールミルボールミルサンドミルホモミキサーディスパーザー等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。また使用される分散メディアとしては、例えばガラスビーズスチールビーズジルコニアビーズアルミナビーズ等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。

0030

本発明において湿式分散時に使用される分散媒は、水または水を20重量%以上含有したものを用いることが必須であるが、好ましくは水を50重量%以上含有したものを用い、より好ましくは水を80重量%以上含有したものを用いる。水が20重量%未満であると組み合わせた分散媒の影響により、低結晶性フタロシアニンを得られないことがある。

0031

本発明において湿式分散時に水と組み合わせる分散媒としては、分散時に液状のものであれば良く、アルコール系化合物ケトン系化合物エステル系化合物エーテル系化合物アミド系化合物ハロゲン化炭化水素系化合物炭化水素系化合物カルボン酸系化合物アミン系化合物フェノール系化合物スルホキシド系化合物スルホン系化合物など挙げられる。分散媒として使用する際に、水と相溶性のあるものが好ましいが、これらに限定されるものではなく、また水と組み合わせる分散媒は単独、あるいは2種以上の混合物として使用することができる。

0032

また分散時に必要であれば分散剤を使用することができる。分散剤としては、アルキル硫酸塩ジオクチルスルホコハク酸塩ポリオキシアルキルフェニルエーテルなどの界面活性剤ポリビニルアルコールアニオン変性ポリビニルアルコールポリアクリル酸塩アクリル酸無水マレイン酸共重合物スチレンとアクリル酸の共重合物等の高分子分散剤等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。

0033

なお、分散液のフタロシアニンの濃度は任意に設定できるが、低濃度であると分散効率が低下し、また多量の分散媒を必要とするために工業的に現実的ではない。またあまりに高濃度であると、分散時にゲル化等の分散効率を著しく低下させる状態を発生させるおそれがある。好ましくは1.0〜50重量%、より好ましくは、3〜40重量%の濃度であればゲル化などのおそれがなく、効率的に分散を行うことができる。

0034

また、本発明の第二の目的は該湿式分散によって得られた低結晶性フタロシアニンから所望の結晶形のフタロシアニンを得ることである。

0035

低結晶性フタロシアニンから結晶性フタロシアニンを得る方法としては、該湿式分散によって得られた低結晶性フタロシアニンを有機化合物、あるいは有機化合物と水の混合物の存在下、処理することで結晶性フタロシアニンを得る方法が挙げられる。

0036

結晶変換処理時の条件としては、好ましくは−30℃以上、200℃以下の温度で、更に好ましくは撹拌しながら処理することにより効率的に結晶性フタロシアニンが得られる。

0037

撹拌する方法としては、スターラー、ボールミル、ペイントコンディショナー、サンドミル、アトライター、ディスパーザー、あるいは超音波分散等が挙げられるが、撹拌処理を行えれば何でもよく、これらに限定されるものではない。結晶変換に要する時間は、1分以上、120時間以下が好ましく、5分以上、50時間以下がより好ましく、10分以上、50時間以下が更に好ましい。

0038

結晶変換に使用する有機化合物としては、メタノール、エタノール、あるいは2−プロパノール等のアルコール系化合物、アセトン、メチルエチルケトン、あるいはメチルイソブチルケトン等のケトン系化合物、ギ酸エチル酢酸エチル、あるいは酢酸n−ブチル等のエステル系化合物、ジエチルエーテルジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、あるいはアニソール等のエーテル系化合物、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、あるいはN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系化合物、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルムヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタントリクロロエチレンクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼンブロモベンゼンヨードベンゼン、あるいはα−クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系化合物、n−ペンタンn−ヘキサンn−オクタン、1,5−ヘキサジエンシクロヘキサンメチルシクロヘキサンシクロヘキサジエンベンゼン、トルエン、o−キシレンm−キシレンp−キシレンエチルベンゼンクメン、ナフタレン、アントラセン等の炭化水素系化合物、ギ酸、酢酸、あるいはプロピオン酸等のカルボン酸系化合物、トリエチルアミントリエタノールアミン、あるいはアニリン等のアミン系化合物、ピリジン、キノリン等の含窒素複素環化合物フェノール、o−クレゾール、あるいはp−クレゾール等のフェノール系化合物、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系化合物、スルホラン等のスルホン系化合物を挙げることができ、これらは単独、あるいは2種以上の混合物として使用することができる。

0039

目的とする結晶形のフタロシアニンを得るために、分散媒あるいは分散媒に用いた有機化合物を除かなければならないことがある。例えば水とメタノールの混合分散媒を用いて作製した低結晶性フタロシアニンの分散液から、目的とする結晶形を得るための操作としてハロゲン化炭化水素あるいは炭化水素と水の混合物を用いる場合、メタノールが多量に存在していると結晶変換が効率的に進行しないことや、あるいは目的とする結晶形が得られない場合がある。

0040

このような場合、分散液から分散媒あるいは結晶変換の障害となる分散媒のみを除くことにより本発明の目的を達成できる。また障害となる分散媒の残留量は、目的の結晶形に変換するために使用する有機化合物に対して十分少なければ良く、10重量%以下が好ましく5重量%以下がより好ましい。

0041

分散媒を除く方法としては、濾過蒸留減圧蒸留、乾燥等の方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。

0042

さらに、本発明の第三の目的は該湿式分散によって得られた低結晶性フタロシアニンとフタロシアニンとは異なる有機系電荷発生物質からなる、所望の結晶形のフタロシアニン混晶体を提供することである。

0043

所望の結晶形のフタロシアニン混晶体を得る方法としては、該湿式分散によって得られた低結晶性フタロシアニンとフタロシアニン以外の有機系電荷発生物質の混合物を有機化合物、あるいは有機化合物と水の混合物の存在下、処理することによって得られる。

0044

フタロシアニン以外の有機系電荷発生物質としては、トリフェニルメタン系染料、ザンセン系染料アクリジン系染料、チアジン系染料、ピリリウム系染料、アズレニウム系染料、チイリウム系染料、シアニン系染料、スクエアリウム系染料、ピロロピロール系顔料多環キノン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料アントラキノン系顔料ジオキサジン系顔料、アゾ顔料等を挙げることができるが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。またこれらは単独、あるいは2種以上用いることができる。

0045

本発明のフタロシアニン混晶体を得るためのフタロシアニンとフタロシアニン以外の有機系電荷発生物質の混合比は、フタロシアニン100重量部に対して、フタロシアニン以外の有機系電荷発生物質が0.001重量部以上、100重量部以下が好ましく、5重量部以上、30重量部以下がより好ましい。

0046

結晶変換処理時に用いる有機化合物としては、低結晶性フタロシアニンを結晶性フタロシアニンに結晶変換するさいに例示した化合物を使用することができる。

0047

結晶変換処理時の温度は、−30℃以上、200℃以下の温度が適当であるが、好ましくは0℃以上、160℃以下で行う。あまりに高温では、フタロシアニン以外の電荷発生物質が分解してしまうおそれがある。更に好ましくは撹拌しながら処理することで所望の結晶形をもつ結晶性フタロシアニンの混晶体が効率よく得られる。

0048

結晶変換する際には分散液から少なくとも分散媒として用いた有機化合物を除く。分散媒として用いた有機化合物を除く方法としては、低結晶性フタロシアニンを結晶性フタロシアニンに結晶変換するさいに例示した方法が使用できる。

0049

また本発明の第四の目的は、該湿式分散によって低結晶性としたフタロシアニンを用いて得られた、結晶性フタロシアニンあるいは結晶性フタロシアニン混晶体を電荷発生物質とした感光体の提供である。

0050

感光層を形成するために用いるバインダーであるフィルム形成性結着剤樹脂としては、利用分野に応じて種々のものが挙げられる。例えば電子写真用感光体の用途では、ポリスチレン樹脂ポリビニルアセタール樹脂ポリスルホン樹脂ポリカーボネート樹脂酢酸ビニルクロトン酸共重合体樹脂ポリエステル樹脂ポリフェニレンオキサイド樹脂ポリアリレート樹脂アルキッド樹脂アクリル樹脂メタクリル樹脂フェノキシ樹脂あるいはポリ塩化ビニル樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂等は感光体としての電位特性に優れている。また、これらの樹脂は、単独あるいは共重合体の何れでもよく、これらは単独、あるいは2種以上混合して用いることができる。

0051

感光層に含まれるこれらの樹脂は、本発明の結晶性フタロシアニンあるいはフタロシアニン混晶体に対して10〜500重量%が好ましく、50〜150重量%がより好ましい。樹脂の比率が高くなりすぎると電荷発生効率が低下し、また樹脂の比率が低くなりすぎると成膜性に問題が生じる。

0052

これらのバインダーの中には、引っ張り曲げ圧縮等の機械的強度に弱いものがある。この性質を改良するために、可塑性を与える物質を加えることができる。具体的には、フタル酸エステル(例えばDOP、DBP等)、リン酸エステル(例えばTCP、TOP等)、セバシン酸エステルアジピン酸エステルニトリルゴム塩素化炭化水素等が挙げられる。これらの物質は、必要以上に添加すると電子写真特性に悪影響を及ぼすので、その割合はバインダー100重量部に対し20重量部以下が好ましい。

0053

その他、感光体中への添加物として酸化防止剤カール防止剤等、塗工性の改良のためレベリング剤等を必要に応じて添加することができる。

0054

本発明の電子写真感光体の形態としては、その何れを用いることもできる。例えば、導電性支持体上に電荷発生物質、電荷輸送物質、及びフィルム形成性結着剤樹脂からなる感光層を設けたものがある。また、導電性支持体上に、電荷発生物質と結着剤樹脂からなる電荷発生層と、電荷輸送物質と結着剤樹脂からなる電荷輸送層を設けた積層形の感光体も知られている。電荷発生層と電荷輸送層はどちらが上層となっても構わない。また、必要に応じて導電性支持体と感光層の間に下引き層を、感光体表面にオーバーコート層を、積層型感光体の場合は電荷発生層と電荷輸送層との間に中間層を設けることもできる。本発明の化合物を用いて感光体を作製する支持体としては、金属製ドラム金属板導電性加工を施した紙やプラスチックフィルムシート状、ドラム状あるいはベルト状の支持体等が使用される。

0055

本発明の感光体に使用される電荷輸送物質には正孔輸送物質電子輸送物質がある。前者の例としては、例えば特公昭34−5466号公報等に示されているオキサジアゾール類、特公昭45−555号公報等に示されているトリフェニルメタン類、特公昭52−4188号公報等に示されているピラゾリン類、特公昭55−42380号公報等に示されているヒドラゾン類、特開昭56−123544号公報等に示されているオキサジアゾール類、特開昭54−58445号公報に示されているテトラアリールベンジジン類、特開昭58−65440号公報、あるいは特開昭60−98437号公報に示されているスチルベン類等を挙げることができる。その中でも、本発明に使用される電荷輸送物質としては、特開昭60−24553号公報、特開平2−96767号公報、特開平2−183260号公報、並びに特開平2−226160号公報に示されているヒドラゾン類、特開平2−51162号公報、並びに特開平3−75660号公報に示されているスチルベン類が特に好ましい。また、これらは単独あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。

0056

一方、電子輸送物質としては、例えばクロラニルテトラシアノエチレンテトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン、あるいは1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキシド等がある。これらの電荷輸送物質は単独または2種以上組み合わせて用いることができる。

0057

また、更に増感効果を付与させる増感剤として、ある種の電子吸引性化合物を添加することもできる。この電子吸引性化合物としては例えば、2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン、1−ニトロアトラキノン、1−クロロ−5−ニトロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、フェナントレンキノン等のキノン類、4−ニトロベンズアルデヒド等のアルデヒド類、9−ベンゾイルアントラセン、インダンジオン、3,5−ジニトロベンゾフェノン、あるいは3,3′,5,5′−テトラニトロベンゾフェノン等のケトン類無水フタル酸、4−クロロナフタル酸無水物等の酸無水物テレフタルマノニトリル、9−アントリルメチリデンマロノニトリル、4−ニトロベンザルマロノニトリル、あるいは4−(p−ニトロベンゾイルオキシ)ベンザルマロノニトリル等のシアノ化合物、3−ベンザルフタリド、3−(α−シアノ−p−ニトロベンザル)フタリド、あるいは3−(α−シアノ−p−ニトロベンザル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド等のフタリド類等を挙げることができる。

0058

電荷輸送層に含有されるこれらの増感剤は、電荷輸送物質1重量部に対して0.001重量部以上、20重量部以下が好ましく、0.01重量部以上、5重量部以下がより好ましい。

0059

本発明の電子写真感光体は、形態に応じて上記の種々の添加物質を溶媒中に溶解または分散し、その塗布液を先に述べた導電性支持体上に塗布し、乾燥して感光体を製造することができる。分散液を作製する際に好ましい溶媒としては、水、メタノール、エタノール、あるいは2−プロパノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、あるいはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ギ酸エチル、酢酸エチル、あるいは酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、あるいはアニソール等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、あるいはN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、あるいはα−クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチレンベンゼン、あるいはクメン等の炭化水素系溶媒を挙げることができる。特にその中でも、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、あるいはハロゲン化炭化水素系溶媒が好ましく、これらは単独、あるいは2種以上の混合溶媒として使用される。

0060

次に本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。

0061

実施例1
β形チタニルオキシフタロシアニン5.0g、直径2.0mmのガラスビーズ80.0g、蒸留水40.0gを200mlポリエチレンサンプル瓶仕込み、ペイントコンディショナーで30時間分散した。目の開き0.6mmのステンレス製ふるいを用い、分散液からガラスビーズを濾し分けた。濾液濾紙アドバンテック製:No,131)を用いて吸引濾過した後、残留物の分散媒をメタノールで置換し結晶を得た。この結晶を80℃で減圧乾燥し、低結晶性チタニルオキシフタロシアニン4.8gを得た。得られた低結晶体は、CuKα線を用いたX線回折スペクトル(理学電機X線回折装置RAD−Cシステム)を測定することにより結晶形を確認した。分散前のβ形チタニルオキシフタロシアニンの測定結果図1であった。分散後の低結晶性チタニルオキシフタロシアニンの測定結果は図2であった。また測定条件を下記に示す。

0062

測定条件X線管球: Cu
電圧: 40.0KV
電流: 100.0mA
スタート角度 : 3.0deg.
ストップ角度 : 40.0deg.
ステップ角度: 0.02deg.

0063

実施例2
実施例1記載の蒸留水40.0gを蒸留水20.0gとアセトニトリル20.0gの混合物とした以外は、実施例1と同様にして低結晶体を作製した。乾燥後の低結晶体の重量は4.6gであった。得られた低結晶体のX線回折スペクトルは、図2と同様であった。

0064

実施例3
実施例1記載の蒸留水40.0gを蒸留水10.0gとメタノール30.0gの混合物とした以外は、実施例1と同様して低結晶体を作製した。乾燥後の低結晶体の重量は4.7gであった。得られた低結晶体のX線回折スペクトルは、図2と同様であった。

0065

実施例4
β形チタニルオキシフタロシアニン200g、蒸留水2500g、アセトニトリル300gの混合物をダイノミルにて分散した。分散メディアは直径2.0mmのガラスビーズを充填率83%で用い、流量250ml/minで15時間分散した。分散液を濾紙(アドバンテック製:No,131)を用いて吸引濾過した後、残留物に残存する分散媒をメタノールで置換し結晶を得た。この結晶を80℃で減圧乾燥し、低結晶性チタニルオキシフタロシアニン186gを得た。得られた低結晶体のX線回折スペクトルは、図2と同様であった。

0066

実施例5
実施例4記載の混合物をβ形チタニルオキシフタロシアニン200g、蒸留水2750g、2%ポリビニルアルコール水溶液50gの混合物とした以外は実施例5と同様に分散を行った。分散液を濾紙(アドバンテック製:No,131)を用いて吸引濾過し結晶を得た。この結晶を蒸留水1000mlで洗浄し、次いでメタノール1000mlで洗浄置換した。この結晶を80℃で減圧乾燥し、低結晶性チタニルオキシフタロシアニン163gを得た。得られた低結晶体のX線回折スペクトルは、図2と同様であった。

0067

比較例1
実施例1記載の蒸留水40.0gを蒸留水5.0gとメタノール35.0gとした以外は、実施例1と同様にチタニルオキシフタロシアニンを分散処理し結晶を得た。得られたチタニルオキシフタロシアニンは低結晶体ではなかった。この時に得られた結晶のX線回折スペクトルを図3に示す。

0068

比較例2
実施例1記載の蒸留水40.0gを蒸留水5.0gとDMF35.0gの混合物とした以外は、実施例1と同様にチタニルオキシフタロシアニンを分散処理し結晶を得た。得られたチタニルオキシフタロシアニンのX線回折スペクトルは、図3と同様であった。

0069

比較例3
実施例1記載の蒸留水40.0gを蒸留水5.0gとN−メチルピロリドン35.0gの混合物とした以外は、実施例1と同様にチタニルオキシフタロシアニンを分散処理し結晶を得た。得られたチタニルオキシフタロシアニンのX線回折スペクトルは、図1と同様であった。

0070

比較例4
β形チタニルオキシフタロシアニン10gを5℃の98%硫酸500mlに攪拌しながら徐々に加えて溶解し、1時間5℃以下を保持し攪拌した。この溶液激しく攪拌している氷水5000mlに徐々に加え、析出した結晶を濾取した。得られた結晶を残留する酸成分がなくなるまで蒸留水で洗浄した。結晶に付着した水をメタノールで置換した後、80℃で減圧乾燥し、低結晶性チタニルオキシフタロシアニン8.0gを得た。得られた低結晶体のX線回折スペクトルを図4に示す。

0071

実施例6
実施例5で得た低結晶性チタニルオキシフタロシアニン10.0g、蒸留水280.0g、o−ジクロロベンゼン20.0gをフラスコに入れ、50℃で加熱撹拌した。1時間後、撹拌を停止し、室温まで放冷した。溶媒を除去し、乾燥してチタニルオキシフタロシアニン9.6gを得た。得られたチタニルオキシフタロシアニンのX線回折スペクトルを図5に示す。X線回折スペクトルより、この結晶はブラッグ角(2θ±0.2°)が9.5°、9.7°、11.7°、15.0°、23.5°、24.1°、27.3°にノイズとは異なる強いピークを有している。

0072

実施例7
実施例6記載のo−ジクロロベンゼン20.0gをトルエン10.0gとナフタレン10.0gの混合物に変更した以外は実施例6と同様に処理を行った。結晶性チタニルオキシフタロシアニン9.6gを得た。得られたチタニルオキシフタロシアニンのX線回折スペクトルは図6に示す。X線回折スペクトルより、この結晶はブラッグ角(2θ±0.2°)が9.5°、13.5°、14.2°、18.0°、24.0°、27.2°にノイズとは異なる強いピークを有している。

0073

実施例8
実施例5で得られた低結晶性チタニルオキシフタロシアニン9.0g、フタロシアニン類以外の電荷発生能を有する化合物(1)1.0g、蒸留水280.0g、およびナフタレン20.0gをフラスコに入れ、80℃で加熱撹拌した。1時間後、撹拌を停止し、室温まで放冷した。溶媒を除去しメタノールに置換した後乾燥し、結晶性チタニルオキシフタロシアニン混晶体9.6gを得た。得られたチタニルオキシフタロシアニン混晶体のX線回折スペクトルは図7に示す。X線回折スペクトルより、この結晶はブラッグ角(2θ±0.2°)が9.4°、14.2°、17.9°、23.9°、27.2°にノイズとは異なる強いピークを有している。

0074

0075

実施例9
実施例8記載の化合物(1)を化合物(2)とした以外は実施例8と同様に処理を行った。結晶性チタニルオキシフタロシアニン混晶体9.6gを得た。得られたチタニルオキシフタロシアニン混晶体のX線回折スペクトルは図8に示す。X線回折スペクトルより、この結晶はブラッグ角(2θ±0.2°)が9.0°、14.2°、17.9°、23.9°、27.2°にノイズとは異なる強いピークを有している。

0076

0077

実施例10
β形チタニルオキシフタロシアニン500g、蒸留水3000gの混合物をダイノミルにて分散した。メディアは直径2.0mmのガラスビーズを充填率83%で用い、流量250ml/minで20時間分散し、チタニルオキシフタロシアニン濃度13.6%の水分散液3300gを得た。分散液の一部、約100mlを濾紙(アドバンテック製:No,131)を用いて吸引濾過した後、残留物に残存する分散媒をメタノールで置換し結晶を得た。この結晶を80℃で減圧乾燥し、X線回折スペクトルを測定したところ、図2と同様であり低結晶性チタニルオキシフタロシアニンであることを確認した。この分散液150.0g、蒸留水400.0g、ナフタレン20.0g、トルエン20.0gをフラスコに入れ、80℃で加熱撹拌した。1時間後、撹拌を停止し、室温まで放冷した。溶媒を除去し、乾燥してチタニルオキシフタロシアニン18.8gを得た。得られたチタニルオキシフタロシアニンのX線回折スペクトルは図6と同様であった。

0078

実施例11
実施例10で得たチタニルオキシフタロシアニン濃度13.6%の水分散液150gと電荷発生能を有する化合物(2)2.0g、蒸留水400.0g、o−ジクロロベンゼン40.0gをフラスコに入れ、80℃で加熱撹拌した。1時間後、撹拌を停止し、室温まで放冷した後、溶媒を除去し、乾燥してチタニルオキシフタロシアニン18.8gを得た。得られた結晶性チタニルオキシフタロシアニン混晶体19.0gを得た。得られたチタニルオキシフタロシアニン混晶体のX線回折スペクトルは図5と同様であった。

0079

実施例12
実施例5で得た低結晶性チタニルオキシフタロシアニン10.0g、N,N−ジメチルホルムアミド50mlを40℃で加熱撹拌した。1時間後、撹拌を停止し、室温まで放冷した後、濾別残留溶媒をメタノールで置換した後、乾燥してチタニルオキシフタロシアニン8.8gを得た。このチタニルオキシフタロシアニンのX線回折スペクトルは図3と同様であった。この結晶はブラッグ角(2θ±0.2°)が7.5°、10.2°、12.6°、16.3°、22.5°、24.2°、25.3°、28.6°にノイズとは異なる強いピークを有している。

0080

実施例13
実施例12記載のN,N−ジメチルホルムアミド50mlをテトラヒドロフランに、加熱温度を70℃とした以外は実施例12と同様に実施した。チタニルオキシフタロシアニン9.5gを得た。得られたチタニルオキシフタロシアニンのX線回折スペクトルは図3と同様であった。

0081

実施例14
実施例5で得た低結晶性チタニルオキシフタロシアニン9.0gと化合物(1)を1.0g、N,N−ジメチルホルムアミド50mlを40℃で加熱撹拌した。1時間後、撹拌を停止し、室温まで放冷した後、濾別し残留溶媒をメタノールで置換した後、乾燥してチタニルオキシフタロシアニン混晶体9.0gを得た。得られたチタニルオキシフタロシアニン混晶体のX線回折スペクトルは図3と同様であった。

0082

実施例15
実施例14記載の化合物(1)を化合物(2)、N,N−ジメチルホルムアミド50mlをテトラヒドロフラン50ml、加熱温度を70℃とした以外は実施例14と同様に実施した。チタニルオキシフタロシアニン混晶体9.4gを得た。得られたチタニルオキシフタロシアニンのX線回折スペクトルは図3と同様であった。

0083

実施例16
実施例12記載のN,N−ジメチルホルムアミドをN−メチル−2−ピロリドンとし、加熱温度を110℃とした以外は実施例12と同様に実施した。チタニルオキシフタロシアニン9.2gを得た。得られたチタニルオキシフタロシアニンのX線回折スペクトルは図1と同様であった。X線回折スペクトルより、この結晶はブラッグ角(2θ±0.2°)が9.3°、10.5°、13.1°、15.0°、15.6°、20.7°、23.2°、26.2°、27.0°にノイズとは異なる強いピークを有している。

0084

実施例17
実施例5で得た低結晶性チタニルオキシフタロシアニン9.0g、化合物(1)を1.0g、N−メチル−2−ピロリドン50mlを110℃で加熱撹拌した。1時間後、撹拌を停止し、室温まで放冷した後、濾別し残留溶媒をメタノールで置換した後、乾燥してチタニルオキシフタロシアニン混晶体9.0gを得た。得られたチタニルオキシフタロシアニン混晶体のX線回折スペクトルは図1と同様であった。

0085

実施例18
実施例17記載の化合物(1)を化合物(2)とした以外は実施例17と同様に実施した。チタニルオキシフタロシアニン混晶体9.2gを得た。得られたチタニルオキシフタロシアニン混晶体のX線回折スペクトルは図1と同様であった。

0086

実施例19(感光体の作製及び評価)
実施例6で得た結晶性チタニルオキシフタロシアニン1重量部、ポリエステル樹脂(東洋紡製バイロン220)1重量部、メチルエチルケトン100重量部をガラスビーズと共に1時間分散した。得られた分散液を、アプリケーターにてアルミ蒸着ポリエステル上に塗布して乾燥し、膜厚約0.2μmの電荷発生層を形成した。次に例示化合物(3)をポリアリレート樹脂(ユニチカ製U−ポリマー)と1:1の重量比で混合し、ジクロロエタンを溶媒として10重量%の溶液を作製し、上記の電荷発生層の上にアプリケーターで塗布して膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。

0087

0088

この様にして作製した積層型感光体について、静電記録試験装置(川口電機製EPA−8200)を用いて電子写真特性の評価を行なった。測定条件は印加電圧−4.7kV、スタティックNo,3(ターンテーブルの回転スピードモード:10m/min)とした。更に同装置を用いて、帯電除電除電光:白色光で400ルックス×1秒照射)を1サイクルとする1000サイクルの繰返し使用に対する特性評価を行った。電子写真特性を表1に示す。

0089

実施例20〜28
実施例19に記載した結晶性チタニルオキシフタロシアニンを実施例7〜9、12、14〜18に記載した結晶性チタニルオキシフタロシアニンあるいは結晶性チタニルオキシフタロシアニン混晶体に変更した以外は、実施例19と同様にして感光体を作製し、電子写真特性を測定した。電子写真特性を表1に示す。

0090

発明の効果

0091

以上明らかなように、本発明の湿式分散法により低結晶性フタロシアニンが簡便に作製できる。また該低結晶性フタロシアニンを用いることで、所望の特性を有する所望の結晶形のフタロシアニンが簡便に作製できる。さらにフタロシアニンと、フタロシアニンとは異なる有機系電荷発生物質との混晶体も簡便に提供できる。

図面の簡単な説明

0092

図1分散前のβ形チタニルオキシフタロシアニンのX線回折スペクトル。
図2実施例1で得た分散処理後の低結晶性チタニルオキシフタロシアニンのX線回折スペクトル。
図3比較例1で得たチタニルオキシフタロシアニンのX線回折スペクトル。
図4比較例4で得たチタニルオキシフタロシアニンのX線回折スペクトル。
図5実施例6で得たチタニルオキシフタロシアニンのX線回折スペクトル。
図6実施例7で得たチタニルオキシフタロシアニンのX線回折スペクトル。
図7実施例8で得たチタニルオキシフタロシアニン混晶体のX線回折スペクトル。
図8実施例9で得たチタニルオキシフタロシアニン混晶体のX線回折スペクトル。

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