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図面 (9)

課題

電子ビーム描画装置において、ビームドリフトの影響となる炭素化合物系の堆積物を減らすことができ、且つ遠距離感光作用描画精度への影響を減らす。

解決手段

電子ビーム照射により試料表面から放出される反射電子試料側への再入射を防止するために、試料表面と対向するビーム入射側の位置に反射防止機構を設けた電子ビーム描画装置であって、反射防止機構は、複数の開孔部51を有し、且つ開口部51の側壁が試料表面のビーム照射位置から直接見通せないように形成されたハニカム構造反射防止板50からなり、この反射防止板50の開孔部51の側壁表面及び試料面に対向する面に対して裏側の面に、貴金属触媒52としてポーラス状白金薄膜担持させている。

概要

背景

最先端半導体製造プロセスのうちリソグラフィープロセスにおいては、今後電子ビームを用いた電子ビーム描画装置が主流になると予想される。これは、電子ビーム描画には光を用いた描画にはない高い分解能が得られるという大きな利点があるためである。

電子ビーム描画装置では、電子銃から発射された電子ビームを、第1,第2成形アパーチャ及び成形偏向器により成形し、この成形ビーム対物レンズにより試料面上に結像すると共に、対物偏向器によりマスクウェハ等の試料上で走査することにより、所望パターンを描画する。この種の電子ビーム描画装置でパターンの描画を行う場合、描画の精度を劣化させる要因の中に、ビームドリフト遠距離感光作用がある。以下に、これらの2つに関して簡単に説明する。

まず、ビームドリフトによって、描画精度の劣化がどのように引き起こされるかについて、成形偏向器の場合を例に取り説明する。成形偏向器の偏向電極は、例えばAu,Pt,或いはAuを表面に成膜したAl等で作られ、成形偏向器は第1成形アパーチャの像が第2成形アパーチャ上の所定の位置に投影されるようにコントロールされる。

成形偏向器におけるビームドリフト(以降、成形ビームドリフトと呼ぶ)は、第1成形アパーチャ像が時間の経過につれて第2成形アパーチャ上の所定の位置に投影されなくなることに起因する。成形ビームドリフトが生じると、成形ビームの形状,大きさが時間と共に変化する。このため、所望の形状,大きさの成形ビーム像が得られなくなり、描画パターンの精度が劣化することになる。

上記の成形ビームドリフトを引き起こす主たる原因として、成形偏向器の偏向電極或いはその周辺への鏡筒内部品の表面に付着した堆積物チャージアップがある。電子ビームの経路の近くに非導電性物質(堆積物)が存在すると、ビーム照射に伴って同物質がチャージアップし、ビームの軌道が変えられる。チャージアップを引き起こす非導電性の堆積物は、主には炭素化合物である。この炭素化合物の堆積物は、電子ビームの照射に伴って鏡筒内部に発生する2次電子等の低エネルギー電子が、鏡筒内部の表面に吸着している炭素化合物系の残留ガス励起分解することにより生じる。

このような炭素化合物系の残留ガスの一部分は、真空排気後に鏡筒内部に残留しているものである。さらに、これに加えて、レジストの描画中にレジストから蒸発し、鏡筒内部へと拡散してくる炭素化合物(主にレジストの溶剤)が、残留ガスの発生源の大部分を含めている。しかもこれは、描画を行う度に発生する。このため、偏向器の偏向電極などの鏡筒内部品に炭素化合物の堆積物が大量に堆積する。これが、ビームドリフトの要因となっており、深刻な描画精度の劣化をもたらすのである。

次に、遠距離感光作用について説明する。この作用は、図7に示すように、マスク基板71上にレジスト72が塗布された試料の表面に照射された電子ビーム73が試料表面で散乱され、この散乱された電子ビーム74が、さらに対物レンズ75の下面や試料室上面で散乱されて再び試料表面に戻ってくることに起因する。つまり、試料表面に戻ってくる散乱電子再反射電子)76によって、所望の場所以外のレジスト72が感光して描画精度が劣化するのである。

ところで、ビームドリフトを低減するために本発明者らは、図8に示すように、試料室20内に炭素化合物を効果的に吸着する吸着板60を設置し、炭素化合物の鏡筒10内への流入を著しく減らす方法を提案している(特願平10−78931号)。吸着板60は白金パラジウム等の貴金属触媒担持させたものであり、試料室20内の炭素化合物系ガスを吸着することができる。この触媒吸着板60は、試料23の上面対向位置、即ち電子ビームEBが通過する孔に近い場所に設置するのが最も効果的である。

また、鏡筒10と試料室20との間にゲートバルブ24を設けておき、ゲートバルブ24を閉じた状態でガス導入ポート25を通して試料室20内に酸素ガスを導入することにより、吸着板60に吸着した炭素化合物を速やかに酸化分解することができる。そして、この分解生成物ガス排出ポート27を通して試料室外へ排出することができる。

しかしながら、遠距離感光作用の観点からは、試料の上面対向位置に貴金属である白金が存在することは望ましくない。白金或いはパラジウムのような原子番号の大きな物質では反射が大きいため、遠距離感光作用の効果が大きくなり、描画精度に大きな悪影響を与える。遠距離感光作用を低減するためには、試料室上面にベリリウム炭素等の原子番号の小さい材料で作られた反射防止板を設置するのが望ましいのである。

概要

電子ビーム描画装置において、ビームドリフトの影響となる炭素化合物系の堆積物を減らすことができ、且つ遠距離感光作用の描画精度への影響を減らす。

電子ビームの照射により試料表面から放出される反射電子試料側への再入射を防止するために、試料表面と対向するビーム入射側の位置に反射防止機構を設けた電子ビーム描画装置であって、反射防止機構は、複数の開孔部51を有し、且つ開口部51の側壁が試料表面のビーム照射位置から直接見通せないように形成されたハニカム構造の反射防止板50からなり、この反射防止板50の開孔部51の側壁表面及び試料面に対向する面に対して裏側の面に、貴金属触媒52としてポーラス状白金薄膜を担持させている。

目的

本発明は、上記事情を考慮して成されたもので、その目的とするところは、ビームドリフトの影響となる炭素化合物系の堆積物を減らすことができ、且つ遠距離感光作用の描画精度への影響を減らすことのできる電子ビーム描画装置を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

電子ビーム照射により試料表面から放出される反射電子或いは二次電子試料側への再入射を防止するために、試料表面と対向するビーム入射側の位置に反射防止機構を設けた電子ビーム描画装置であって、前記反射防止機構は、複数の開孔部を有し、且つ該開孔部の側壁が前記試料表面のビーム照射位置から直接見通せないように形成された板体からなり、該板体の前記試料表面のビーム照射位置から直接見通せない部分に貴金属触媒担持させてなることを特徴とする電子ビーム描画装置。

技術分野

0001

本発明は、半導体素子微細パターンの描画等に用いられる電子ビーム描画装置に係わり、特に試料面上方における反射防止構造の改良をはかった電子ビーム描画装置に関する。

背景技術

0002

最先端半導体製造プロセスのうちリソグラフィープロセスにおいては、今後電子ビームを用いた電子ビーム描画装置が主流になると予想される。これは、電子ビーム描画には光を用いた描画にはない高い分解能が得られるという大きな利点があるためである。

0003

電子ビーム描画装置では、電子銃から発射された電子ビームを、第1,第2成形アパーチャ及び成形偏向器により成形し、この成形ビーム対物レンズにより試料面上に結像すると共に、対物偏向器によりマスクウェハ等の試料上で走査することにより、所望パターンを描画する。この種の電子ビーム描画装置でパターンの描画を行う場合、描画の精度を劣化させる要因の中に、ビームドリフト遠距離感光作用がある。以下に、これらの2つに関して簡単に説明する。

0004

まず、ビームドリフトによって、描画精度の劣化がどのように引き起こされるかについて、成形偏向器の場合を例に取り説明する。成形偏向器の偏向電極は、例えばAu,Pt,或いはAuを表面に成膜したAl等で作られ、成形偏向器は第1成形アパーチャの像が第2成形アパーチャ上の所定の位置に投影されるようにコントロールされる。

0005

成形偏向器におけるビームドリフト(以降、成形ビームドリフトと呼ぶ)は、第1成形アパーチャ像が時間の経過につれて第2成形アパーチャ上の所定の位置に投影されなくなることに起因する。成形ビームドリフトが生じると、成形ビームの形状,大きさが時間と共に変化する。このため、所望の形状,大きさの成形ビーム像が得られなくなり、描画パターンの精度が劣化することになる。

0006

上記の成形ビームドリフトを引き起こす主たる原因として、成形偏向器の偏向電極或いはその周辺への鏡筒内部品の表面に付着した堆積物チャージアップがある。電子ビームの経路の近くに非導電性物質(堆積物)が存在すると、ビーム照射に伴って同物質がチャージアップし、ビームの軌道が変えられる。チャージアップを引き起こす非導電性の堆積物は、主には炭素化合物である。この炭素化合物の堆積物は、電子ビームの照射に伴って鏡筒内部に発生する2次電子等の低エネルギー電子が、鏡筒内部の表面に吸着している炭素化合物系の残留ガス励起分解することにより生じる。

0007

このような炭素化合物系の残留ガスの一部分は、真空排気後に鏡筒内部に残留しているものである。さらに、これに加えて、レジストの描画中にレジストから蒸発し、鏡筒内部へと拡散してくる炭素化合物(主にレジストの溶剤)が、残留ガスの発生源の大部分を含めている。しかもこれは、描画を行う度に発生する。このため、偏向器の偏向電極などの鏡筒内部品に炭素化合物の堆積物が大量に堆積する。これが、ビームドリフトの要因となっており、深刻な描画精度の劣化をもたらすのである。

0008

次に、遠距離感光作用について説明する。この作用は、図7に示すように、マスク基板71上にレジスト72が塗布された試料の表面に照射された電子ビーム73が試料表面で散乱され、この散乱された電子ビーム74が、さらに対物レンズ75の下面や試料室上面で散乱されて再び試料表面に戻ってくることに起因する。つまり、試料表面に戻ってくる散乱電子再反射電子)76によって、所望の場所以外のレジスト72が感光して描画精度が劣化するのである。

0009

ところで、ビームドリフトを低減するために本発明者らは、図8に示すように、試料室20内に炭素化合物を効果的に吸着する吸着板60を設置し、炭素化合物の鏡筒10内への流入を著しく減らす方法を提案している(特願平10−78931号)。吸着板60は白金パラジウム等の貴金属触媒担持させたものであり、試料室20内の炭素化合物系ガスを吸着することができる。この触媒吸着板60は、試料23の上面対向位置、即ち電子ビームEBが通過する孔に近い場所に設置するのが最も効果的である。

0010

また、鏡筒10と試料室20との間にゲートバルブ24を設けておき、ゲートバルブ24を閉じた状態でガス導入ポート25を通して試料室20内に酸素ガスを導入することにより、吸着板60に吸着した炭素化合物を速やかに酸化分解することができる。そして、この分解生成物ガス排出ポート27を通して試料室外へ排出することができる。

0011

しかしながら、遠距離感光作用の観点からは、試料の上面対向位置に貴金属である白金が存在することは望ましくない。白金或いはパラジウムのような原子番号の大きな物質では反射が大きいため、遠距離感光作用の効果が大きくなり、描画精度に大きな悪影響を与える。遠距離感光作用を低減するためには、試料室上面にベリリウム炭素等の原子番号の小さい材料で作られた反射防止板を設置するのが望ましいのである。

発明が解決しようとする課題

0012

このように従来、ビームドリフトの影響を低減するために白金やパラジウム等の原子番号の大きい物質を用いた触媒吸着板を試料室上面に設置すると、遠距離感光作用による描画精度の劣化が甚だしくなる。これとは逆に、ベリリウムや炭素等の原子番号の小さい材料で構成した反射防止板を試料室上面に設置すると、遠距離感光作用の影響は少なくなるものの、ビームドリフトの影響は低減できないという問題があった。

0013

本発明は、上記事情を考慮して成されたもので、その目的とするところは、ビームドリフトの影響となる炭素化合物系の堆積物を減らすことができ、且つ遠距離感光作用の描画精度への影響を減らすことのできる電子ビーム描画装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0014

(構成)上記課題を解決するために本発明は次のような構成を採用している。即ち本発明は、電子ビームの照射により試料表面から放出される反射電子或いは二次電子試料側への再入射を防止するために、試料表面と対向するビーム入射側の位置に反射防止機構を設けた電子ビーム描画装置であって、前記反射防止機構は、複数の開孔部を有し、且つ該開孔部の側壁が前記試料表面のビーム照射位置から直接見通せないように形成された板体からなり、該板体の前記試料表面のビーム照射位置から直接見通せない部分に貴金属触媒を担持させてなることを特徴とする。

0015

ここで、本発明の望ましい実施態様としては次のものがあげられる。
(1)貴金属触媒は、開孔部の側壁表面に設けられること。
(2) 貴金属触媒は、板体の試料面と対向する面に対して裏側の面に設けられること。
(3) 貴金属触媒は、開孔部の側壁表面に設けられると共に、板体の試料面と対向する面に対して裏側の面に設けられること。

0016

(4)板体を加熱する手段と、試料室と光学鏡筒とを分離する手段と、試料室内にガスを導入する手段と、試料室内を真空排気する手段を設けたこと。
(5)貴金属触媒は、白金族である白金,パラジウムであり、特に白金海綿,白金(又はパラジウム)黒,又は多孔質状白金(又はパラジウム)であること。
(作用)電子ビーム描画装置における試料室内の反射防止板として、図3に示すような複数の開孔部を開けた構造が提案されている。この場合、開口率を高くするために、ハニカム構造にすることが望ましい。このようなハニカム構造の反射防止板では、開孔の軸に対して平行に入射した電子に対しては効果があるが、斜めに入射したものについては図4に示すように、開孔の側壁から散乱され、再反射電子となる。そこで、図5に示すように、電子ビームが試料に入射した地点から見て、開孔の側壁が見えないように開孔を斜めに形成した、いゆわる斜めハニカム構造による反射防止板も提案されている。

0017

本発明では、このような斜めハニカム構造の反射防止板を用い、図6に示すように、反射防止板50に形成した開孔部51の側壁、或いは試料面に対向する面とは反対側の面に、貴金属触媒52を担持させることによって、触媒として用いている貴金属がビームの照射地点から見えない場所に位置することになる。従って本発明の反射防止機構は、貴金属触媒を用いた吸着板としての機能を有しながら、貴金属からの再反射電子を著しく減少させることができる。これにより、ビームドリフトの影響となる炭素化合物系の堆積物を減らすことができ、且つ遠距離感光作用の描画精度への影響を減らすことが可能となる。

0018

また、反射防止機構としてハニカム構造の板体を用い、さらに貴金属触媒として微粒子状或いは多孔質の材料(特に白金)を用いることにより、描画中にレジストから発生して偏向電極表面に吸着し、偏向電極表面にコンタミネーションを生じさせる原因となる炭素化合物系のガスを、鏡筒内に流入する前に効率良く吸着させることができる。

0019

また、電子光学鏡等と試料室とをゲートバルブを介して真空的に遮断できる構成にしておけば、貴金属触媒の触媒作用を利用して酸化分解作用を促進させ、酸化分解作用によって炭素化合物系物質を速やかに酸化分解し、これを真空ポンプによって装置外に排出することができる。これによって、偏向器の偏向電極上への炭素化合物の堆積をより確実に防ぐことができ、炭素化合物の堆積物のチャージアップによって引き起こされるビームドリフトをより確実に抑制することが可能となる。

発明を実施するための最良の形態

0020

以下、本発明の詳細を図示の実施形態によつて説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係わるVSB方式の電子ビーム描画装置を示す概略構成図である。

0021

電子光学鏡筒10内には、電子銃12,各種レンズ13,14,15,16、各種偏向器17,及び各種アパーチャ18が設置されており、鏡筒10の下部に試料室20が接続されている。試料室20内にはマスクやウェハ等の試料23を載置した移動可能な試料ステージ22が設置されている。

0022

電子銃12から放出された電子ビーム(EB)は、コンデンサレンズ13−1,13−2を通り、第1成形アパーチャ18−1を照明する。ここで、第1成形アパーチャ18−1は、例えば100μm□の矩形である。従って、第1成形アパーチャ18−1を通過した電子ビームは、100μm□に成形されている。なお、コンデンサレンズ13−1,13−2間には、ビームをON・OFFするためのブランキング偏向器17−1が設けられている。

0023

成形された電子ビームは、投影レンズ14を通って、第2成形アパーチャ18−2上に投影される。ここで、第2成形アパーチャ18−2は、例えば一辺100μmの矩形に、一辺141μmの矩形を45度回転させて合わせた矢印型としている。第2成形アパーチャ18−2の上流側には、成形偏向器17−2が設けられている。この成形偏向器17−2に適当な電圧印加することによって、電子ビームの進行方向を変え、その結果、第2成形アパーチャ18−2上に投影される第1成形アパーチャ像の位置を変えることができる。

0024

このように投影位置を変えることによって、第1成形アパーチャ像と第2成形アパーチャとの重なり方が変わり、大きさの異なる矩形ビーム或いは三角形ビームに成形することができるのである。矩形或いは三角形に成形されたビームは、縮小レンズ15で縮小され、対物レンズ16を通り、また副偏向器17−3及び主偏向器17−4によって位置決めされて、試料ステージ22上に載置された試料23上の所定の位置に到達する。

0025

なお、図中の31は各種回路を制御するための制御計算機、32はブランキング偏向器17−1にブランキング電圧を印加するためのブランキング制御回路、33は成形偏向器17−2に偏向電圧を印加するための可変成形ビーム寸法偏向制御回路、34は偏向器17−3,17−4に偏向電圧を印加するための偏向制御回路、35は試料台22の移動位置を測定するためのレーザ長系、36は試料台22を駆動するための試料台駆動回路を示している。

0026

ここまでの基本構成は従来装置と同じであるが、本実施形態では以下に述べるように、光学鏡筒10の下部で、試料室10内の上部に反射防止機構を設けている。

0027

図2は、電子光学鏡筒10の底部及び試料室20を拡大して示す図である。反射防止機構として、前記図6に示すような、開孔部51の側壁が試料面上のビーム照射位置から見通せないように形成されたハニカム構造の反射防止板50が設けられ、この反射防止板50の開孔部51の側壁及び裏面に、触媒作用のある貴金属触媒52を担持させている。このハニカム構造の反射防止板50は、例えばエッチングによってハニカム状に開孔した後、銅或いはアルミニウム等の薄板を重ねることによって製作することができる。薄板同士は、拡散接合法等を用いて接合され、また試料側の表面にはベリリウム,カーボン等の原子番号の小さい物質が成膜されている。

0028

反射防止板50の開孔部51の側壁に触媒物質を担持させる方法としては、真空蒸着を用いる方法、或いは触媒物質の塩化物或いは硝酸塩等を用いた、含浸法噴霧法混合法がある。

0029

真空蒸着法では、蒸着を行う際に、蒸着槽内アルゴンガスを導入し、蒸着槽内を1×10-1Paから1Paにする。これによって、ポーラス状白金薄膜を形成することができる。この蒸着は、反射防止板50の裏面側、即ちベリリウム或いはカーボンの薄膜が形成された面とは反対側の面から行った。また、蒸着中に反射防止板50を適宜傾け、且つ遊星回転させることによって、開孔部51の側壁にはほぼ一様に白金を成膜することができる。

0030

また、含浸法では、反射防止板50を塩化白金溶液に浸し、エアーブローによって反射防止板50上の余分な溶液を吹き飛ばした後、これを焼成することによって、反射防止板50上に貴金属触媒52としての白金/酸化白金の微粒子を担持させることができる。貴金属触媒52としては、白金,パラジウム,ロジウムイリジウムを単独又は複合して使用できる。

0031

反射防止板50には、図2に示すように、加熱手段としてのヒータ55を取り付けてある。このヒータ55には、電源56及びコントローラ(図示せず)が付属しており、過度の加熱を防ぐことができるようになっている。

0032

試料室20には、ガス導入ポート25を取り付けてある。このポート25を通してガスボンベ26から、酸素ガス,オゾンガス等の酸化性ガスが供給される。そして、このガスが反射防止板50のハニカム構造の開孔部51を効果的に通過するようにガスの通路が形成されている。さらに、試料室20と光学鏡筒10との間には、ゲートバルブ24が設けられている。このゲートバルブ24は、試料室20内にガスを供給している間は閉じられ、鏡筒10に酸素が流入するのを防いでいる。また、試料室20には、ガス排気ポート27が取り付けてあり、このポート27を通してターボ分子ポンプ28によりガスを排気するようになっている。

0033

このような構成において、装置をしばらくの間運転すると、試料23上のレジストから飛散する炭素化合物系のガスが、反射防止板50の開孔部51の側壁に設けられた貴金属触媒52に吸着される。そこで、ゲートバルブ24を閉じ、試料室20内に酸素ガスを供給し、適宜ヒータ55によって反射防止板50を加熱して、吸着されている炭素化合物系ガスを、触媒作用を用いて酸化分解する。炭素化合物が酸化分解されて生じたCO2 ,H2 O等の物質は、試料室20に取り付けたターボ分子ポンプ28によって試料室20の外へ排気される。

0034

ここで、白金或いは白金族の貴金属は、炭素化合物系のガスの酸化分解を促進させる触媒物質として知られている。例えば、白金黒と呼ばれる白金微粒子集合体、或いは白金海綿と呼ばれる多孔質の白金は、実効的な表面積が大きいので、炭素化合物系のガスを大量に吸着することができる。そして、吸着した炭素化合物の酸化分解に触媒として作用して、炭素化合物を速やかに水と二酸化炭素等に変えることができる。

0035

従って、このような性質を持つ貴金属触媒、例えば白金黒や白金海綿等の多孔質の貴金属触媒52を反射防止板50の一部に担持させることにより、レジストの描画に伴って発生した炭素化合物系のガスを貴金属触媒52に速やかに吸着させることができる。また、描画終了後に酸素又はオゾン等の酸化物質をガス導入ポートから導入することによって、貴金属触媒52に吸着された炭素化合物系のガスを速やかに酸化分解されるので、これを真空ポンプ28で描画室20外に除去することにより、試料室10内の炭素化合物系ガスを確実に除去できるのである。

0036

このように本実施形態によれば、ビーム照射地点の真上に設置された吸着機能を有する反射防止機構の作用によって、描画中にレジストから飛散する炭素化合物を効果的に吸着することができるので、描画室20から光学鏡筒10へと流入する炭素化合物の量を少なくすることができる。その結果、ビーム偏向器偏向板の表面に付着する炭素化合物の量を減らすことができるため、炭素化合物が偏向板表面に付着し、これがチャージアップすることによって引き起こされるビームドリフトを抑制することができる。従って、ビームドリフトに起因する描画精度の劣化を小さくすることが可能になり、描画精度を向上させることができる。

0037

また、反射防止板50の一部に担持された貴金属触媒52の作用によって吸着した炭素化合物を、試料室20内に酸素を導入して速やかに分解・除去することができるので、試料室20を開けて反射防止板50を交換する作業を必要とせず、装置を効率的に運転することができる。しかも、反射防止板50は試料面上のビーム照射位置から直接見通せない位置に貴金属触媒52を担持させているので、貴金属触媒52からの再反射電子を著しく減らすことができる。このため、ビームドリフトに起因する描画精度の劣化を小さくできるのは勿論のこと、遠距離感光作用による描画精度への悪影響をも減らすことが可能となる。

0038

なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。実施形態では、電子ビームの照射により試料表面で反射した反射電子の試料側への再入射を防止することを説明したが、これと全く同じ原理で本発明は、試料表面から放出された二次電子の試料側への再入射を防止することが可能である。また、電子光学鏡筒及び試料室の構成は前記図1に何ら限定されるものではなく、仕様に応じて適宜変更可能である。さらに、反射防止機構を構成する材料や貴金属触媒の材料等も、仕様に応じて適宜変更可能である。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。

発明の効果

0039

以上詳述したように本発明によれば、ビーム照射位置から孔の側壁が見通せない複数の開孔部を持つ板体で反射防止機構を構成すると共に、開孔部側壁表面又は試料面と反対側の面に貴金属触媒を担持させることにより、ビームドリフトの影響となる炭素化合物系の堆積物を減らすことができ、且つ遠距離感光作用の描画精度への影響を減らすことが可能となる。

図面の簡単な説明

0040

図1第1の実施形態に係わるVSB方式の電子ビーム描画装置を示す概略構成図。
図2第1の実施形態における電子光学鏡筒の底部及び試料室を拡大して示す図。
図3ハニカム構造を持つ反射電子防止板の構成を示す図。
図4ハニカム構造を持つ反射防止板の開孔部側壁からの反射電子を説明するための図。
図5斜めハニカム構造の反射防止板の断面構成を示す。
図6本発明による貴金属触媒を用いた反射防止板の断面構成を示す図。
図7遠距離感光作用を説明するための図。
図8試料室内に吸着板を設けた電子ビーム描画装置の例を示す図。

--

0041

10…電子光学鏡筒
12…電子銃
13,14,15,16…各種レンズ
17…各種偏向器
18…成形アパーチャ
20…試料室
22…試料ステージ
23…試料
24…ゲートバルブ
25…ガス導入ポート
26…ガスボンベ
27…ガス排気ポート
28…真空ポンプ
50…反射防止板
51…開孔部
52…貴金属触媒
55…ヒータ

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