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課題
解決手段
(1)(i)および(ii)の混合物(A):55〜75wt%、
(i)プロピレンホモポリマーセグメントおよびプロピレン−エチレンランダムコポリマーセグメント(A)′を有するプロピレン−エチレンブロックコポリマー
概要
背景
最近、自動車外装用材料は、軽量化、低コスト化等からプロピレン−エチレンブロックコポリマー系の材料が広く使用されてきている。しかし、プロピレン−エチレンブロックコポリマーは衝撃強度が低く、この衝撃強度を改良するために、例えば、特開昭53−22552号、特開平6−192500号、特開平6−248156号、特開平6−192506号および特開昭53−40045号公報に記載されているように、プロピレン−エチレンブロックコポリマーにエチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−オクテン共重合体ゴムを配合することが提案されている。ところが、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−オクテン共重合体ゴムを配合すると、衝撃強度は改良されるが、逆に剛性度および熱変形温度等の熱的性質が低下し、自動車外装用材料としては難点を有する。これを解決するために、これにさらに炭酸カルシウム、硫酸バリウム、マイカ、結晶性ケイ酸カルシウムおよびタルク等の無機充填剤を配合することが、例えば、特開昭51−136735号、同53−64256号、同53−64257号、同57−55952号、同57−207630号、同58−17139号、同58−111846号、同59−98157号、特公昭55−3374号公報等において提案されている。しかしながら、プロピレン−エチレンブロックコポリマー/エチレン−プロピレン共重合体ゴムまたはエチレン−オクテン共重合体ゴム/無機充填剤からなる系の従来の材料は、自動車外装用材料としては、衝撃強度と剛性のバランスおよび射出成形加工性の点で未だ不十分であった。
概要
衝撃強度と剛性のバランスが良好で、射出成形加工性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物およびその射出成形体。
(1)(i)および(ii)の混合物(A):55〜75wt%、
(i)プロピレンホモポリマーセグメントおよびプロピレン−エチレンランダムコポリマーセグメント(A)′を有するプロピレン−エチレンブロックコポリマー
(ii)135℃テトラリン溶液の固有粘度[η]P が0.8〜1.8dl/gであるプロピレンホモポリマー
(2)メルトフローレートが2〜10g/10分、オクテン成分含量が20〜25wt%であるエチレン−オクテン共重合体ゴム(B):21〜30wt%、および
(3)平均粒子径が3μm以下のタルク(C):5〜20wt%を含有する組成物で(A)′および(B)含量に一定の関係があるもの。
目的
かかる状況において、本発明は、衝撃強度と剛性のバランスがより良好で、且つ、フローマークの発生が無い等、射出成形加工性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物およびその射出成形体を提供することを目的とする。
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 1件
- 牽制数
- 5件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
(1)下記(i)および(ii)のポリマーの混合物からなるポリプロピレン系樹脂(A):55〜75wt%、(i)第1セグメントであるプロピレンホモポリマー部分および第2セグメントであるプロピレン−エチレンランダムコポリマー部分を有するプロピレン−エチレンブロックコポリマー(ii)135℃テトラリン溶液の固有粘度[η]P が0.8〜1.8dl/gであるプロピレンホモポリマー(2)メルトフローレート(JIS−K−6758、190℃)が2〜10g/10分、オクテン成分含量が20〜25wt%であるエチレン−オクテン共重合体ゴム(B):21〜30wt%、および(3)平均粒子径が3μm以下のタルク(C):5〜20wt%を含有する組成物であって、該ポリプロピレン系樹脂(A)のプロピレン−エチレンブロックコポリマーの第2セグメント量を(A)’、エチレン−オクテン共重合体ゴム含量を(B)’としたとき、次式0.10≦{(A)’/[(A)’+(B)’]}≦0.30を満足し、該組成物が23℃における引張り試験で400%以上の伸びを有し、かつ、該組成物のメルトフローレート(JIS−K−6758、230℃)が30g/10分以上であることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
請求項2
請求項3
射出成形体が自動車外装用であることを特徴とする請求項2記載の射出成形体。
技術分野
0001
本発明は、ポリプロピレン系樹脂組成物およびその射出成形体に関する。詳しくは、物性の点においては剛性、耐衝撃性に優れ、射出成形加工性の点については、短い成形サイクルを有し、フローマーク、ウエルドラインの発生や面歪みがないなど面品質に特徴を有するポリプロピレン系樹脂組成物およびその射出成形体に関するものである。更に詳しくは、特定のポリプロピレン系樹脂を主体として、特定のエチレン−オクテン共重合体ゴム成分およびタルクよりなり、上述のとおり物性および射出成形加工性の優れたポリプロピレン系樹脂組成物、およびこれを射出成形方法により成形した寸法安定性の優れた射出成形体、特に自動車外装用射出成形体(バンパー等)に関するものである。
背景技術
0002
最近、自動車外装用材料は、軽量化、低コスト化等からプロピレン−エチレンブロックコポリマー系の材料が広く使用されてきている。しかし、プロピレン−エチレンブロックコポリマーは衝撃強度が低く、この衝撃強度を改良するために、例えば、特開昭53−22552号、特開平6−192500号、特開平6−248156号、特開平6−192506号および特開昭53−40045号公報に記載されているように、プロピレン−エチレンブロックコポリマーにエチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−オクテン共重合体ゴムを配合することが提案されている。ところが、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−オクテン共重合体ゴムを配合すると、衝撃強度は改良されるが、逆に剛性度および熱変形温度等の熱的性質が低下し、自動車外装用材料としては難点を有する。これを解決するために、これにさらに炭酸カルシウム、硫酸バリウム、マイカ、結晶性ケイ酸カルシウムおよびタルク等の無機充填剤を配合することが、例えば、特開昭51−136735号、同53−64256号、同53−64257号、同57−55952号、同57−207630号、同58−17139号、同58−111846号、同59−98157号、特公昭55−3374号公報等において提案されている。しかしながら、プロピレン−エチレンブロックコポリマー/エチレン−プロピレン共重合体ゴムまたはエチレン−オクテン共重合体ゴム/無機充填剤からなる系の従来の材料は、自動車外装用材料としては、衝撃強度と剛性のバランスおよび射出成形加工性の点で未だ不十分であった。
発明が解決しようとする課題
0003
かかる状況において、本発明は、衝撃強度と剛性のバランスがより良好で、且つ、フローマークの発生が無い等、射出成形加工性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物およびその射出成形体を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
0004
本発明者は、ポリプロピレン系樹脂を主体として用い、これに特定のゴム成分を特定の組成比で添加することにより、上記目的を満足するポリプロピレン系樹脂組成物およびその射出成形体が得られることを見出し本発明に到達した。すなわち、本発明は、先ず、[1]下記(i)および(ii)のポリマーの混合物からなるポリプロピレン系樹脂(A):55〜75wt%、
(i)第1セグメントであるプロピレンホモポリマー部分および第2セグメントであるプロピレン−エチレンランダムコポリマー部分を有するプロピレン−エチレンブロックコポリマー
(ii)135℃テトラリン溶液の固有粘度[η]P が0.8〜1.8dl/gであるプロピレンホモポリマー
(2)メルトフローレート(JIS−K−6758、190℃)が2〜10g/10分、オクテン成分含量が20〜25wt%であるエチレン−オクテン共重合体ゴム(B):21〜30wt%、および
(3)平均粒子径が3μm以下のタルク(C):5〜20wt%を含有する組成物であって、該ポリプロピレン系樹脂(A)のプロピレン−エチレンブロックコポリマーの第2セグメント量を(A)’、エチレン−オクテン共重合体ゴム含量を(B)’としたとき、次式
0.10≦{(A)’/[(A)’+(B)’]}≦0.30
を満足し、該組成物が23℃における引張り試験で400%以上の伸びを有し、かつ、該組成物のメルトフローレート(JIS−K−6758、230℃)が30g/10分以上であるポリプロピレン系樹脂組成物に係るものである。次に、本発明は、[2]上記[1]記載のポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形方法により成形してなる射出成形体に係るものである。更に本発明は、[3]射出成形体が自動車外装用である上記[2]記載の射出成形体に係るものである。
発明を実施するための最良の形態
0005
以下、本発明について詳細に説明する。本発明においてポリプロピレン系樹脂(A)とは、上記(i)第1セグメントであるプロピレンホモポリマー部分および第2セグメントであるプロピレン−エチレンランダムコポリマー部分を有するプロピレン−エチレンブロックコポリマーと(ii)135℃テトラリン溶液の固有粘度[η]P が0.8〜1.8dl/gであるプロピレンホモポリマーとのポリマーの混合物からなるプロピレンポリマーを主体とするポリプロピレン系樹脂をいう。(i)と(ii)の割合については通常(i)10wt%〜40wt%に対し(ii)90wt%〜60wt%(但し、(i)+(ii)=100wt%)のものが用いられる。
0006
本発明のポリプロピレン系樹脂(A)は、そのプロピレンホモポリマー部分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による分子量分布を表わす重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)比であるQ値が好ましくは3.0〜5.0、より好ましくは3.5〜4.5である。Q値が3.0未満の場合には流動性が悪化し、Q値が5.0をこえると剛性と衝撃性のバランスにおいて好ましい結果が得られない。ここでポリプロピレン系樹脂(A)のプロピレンホモポリマー部分とはプロピレン−エチレンブロックコポリマー(i)の第1セグメント部分およびプロピレンホモポリマー(ii)の両方をさす。
0007
ポリプロピレン系樹脂(A)における、プロピレンホモポリマー(ii)の特に好適な物性値、組成等は次のとおりである。即ち、Q値は好ましくは3.0〜5.0、より好ましくは3.5〜4.5であり、さらに13C−NMRにより計算されるアイソタクチックペンタッド分率は0.97以上、好ましくは0.98以上である。アイソタクチックペンタッド分率が0.97未満では目的の剛性、耐熱性等を満足することが難しい。また135℃テトラリン溶液の固有粘度[η]P は0.8〜1.8dl/g、好ましくは0.9〜1.6dl/gである。固有粘度[η]P が0.8dl/g未満では物性の点において衝撃強度が低くなり、好ましい結果が得られない。また1.8dl/gをこえると流動性が悪化する。
0008
ポリプロピレン系樹脂(A)における第1セグメントとしてプロピレンホモポリマー部分、第2セグメントとしてプロピレン−エチレンランダムコポリマー部分を有するプロピレン−エチレンブロックコポリマー(i)の場合の特に好適に要求される物性値、組成等は次のとおりである。プロピレン−エチレンブロックコポリマー(i)において、第1セグメントであるプロピレンホモポリマー部分の物性は、上記プロピレンホモポリマー(ii)の場合に同じである。即ち、Q値は3.0〜5.0、好ましくは3.5〜4.5であり、13C−NMRにより計算されるアイソタクチックペンタッド分率は0.97、好ましくは0.98以上である。また135℃テトラリン溶液の固有粘度[η]P は0.8〜1.8dl/g、好ましくは0.9〜1.6dl/gである。プロピレン−エチレンブロックコポリマー(i)の第1セグメントであるプロピレンホモポリマー部分は、その製造時に、第一工程のプロピレンホモポリマー部分の重合後に重合槽内より取り出すことにより得ることができる。取り出されたプロピレンホモポリマーから[η]Pを求めることができる。
0009
プロピレン−エチレンブロックコポリマー(i)における、第2セグメントであるプロピレン−エチレンランダムコポリマー部分の含量は5〜30wt%であり、好ましくは10〜20wt%である。プロピレン−エチレンランダムコポリマー部分のエチレン含量[(C2')EP]は、好ましくは25〜55wt%、さらに好ましくは30〜50wt%である。25wt%未満または55wt%をこえると、組成物の耐衝撃性に関して好ましい結果が得られない。プロピレン−エチレンランダムコポリマー部分の固有粘度[η]EPは好ましくは2.5〜6.0dl/g、さらに好ましくは3.0〜6.0dl/gである。2.5dl/g未満では、剛性と衝撃性のバランスにおいて好ましい結果が得られない。また6.0dl/gをこえるとブツ部が発生し、面品質の点において好ましい結果が得られない。
0010
上記諸物性の測定方法について説明する。アイソタクチック・ペンタッド分率とは、A.ZambelliらによってMacromolecules,6,925(1973)に発表されている方法、すなわち13C−NMRを使用して測定されるポリプロピレン分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクチック連鎖、換言すればプロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率である。ただし、NMR吸収ピークの帰属に関しては、その後発刊されたMacromolecules,8,687(1975)に基づいて行うものである。具体的には13C−NMRスペクトルのメチル炭素領域の全吸収ピーク中のmmmmピークの面積分率としてアイソタクチック・ペンタッド分率を測定する。この方法により英国NATIONALPHYSICAL LABORATORYのNPL標準物質CRM No.M19−14 PolypropylenePP/MWD/2のアイソタクチック・ペンタッド分率を測定したところ、0.944であった。
0011
プロピレン−エチレンブロックコポリマー(i)において、プロピレン−エチレンランダムコポリマー部分の全体のブロックコポリマーに対する重量比率Xは、プロピレンホモポリマー部分と全体のブロックコポリマーの各々の結晶融解熱量を測定することにより、次式から計算で求めることができる。
X=1−(ΔHf)T /(ΔHf)P
ここに、(ΔHf)T 及び(ΔHf)P はそれぞれ次のものを表す。
(ΔHf)T :ブロックコポリマー全体の融解熱量(cal/g)
(ΔHf)P :プロピレンホモポリマー部分の融解熱量(cal/g)
また、プロピレン−エチレンランダムコポリマー部分のエチレン含量は、赤外線吸収スペクトル法によりブロックコポリマー全体のエチレン含量をwt%で測定し、次式から計算で求めることができる。
(C2')EP=(C2')T /X
ここに、(C2')T 及び(C2')EP はそれぞれ次のものを表す。
(C2')T :全体のブロックコポリマーのエチレン含量(wt%)
(C2')EP:プロピレン−エチレンランダムコポリマー部分のエチレン含量(wt%)
0012
さらに、プロピレン−エチレンブロックコポリマー(i)において、プロピレン−エチレンランダムコポリマー部分の135℃テトラリン溶液中での固有粘度[η]EPは、ホモポリマー部分と全体のブロックコポリマーの各々の固有粘度を測定することにより次式から計算で求めることができる。
[η]EP=[η]T /X−(1/X−1)[η]P
ここに、[η]P 及び[η]T はそれぞれ次のものを表す。
[η]P :プロピレンホモポリマー部分の固有粘度(dl/g)
[η]T :ブロックコポリマー全体の固有粘度(dl/g)
0013
耐衝撃性が特に要求される用途に用いられる場合、プロピレン−エチレンブロックポリマーは第1工程で重合された第1セグメントである結晶性プロピレンホモポリマー部分と第2工程で重合された第2セグメントであるプロピレン−エチレンランダムコポリマー部分からなるものが好ましい。該ブロックコポリマーはスラリー重合法および気相重合法等によって一般の方法により製造が可能である。
0014
エチレン−オクテン共重合体ゴム(B)は190℃でのメルトフローレート(MFR)が2〜10g/10分である。190℃でMFRが10g/10分を超えると衝撃強度に関して好ましい結果が得られず、190℃でのMFRが2g/10分未満では、ポリプロピレン(A)との分散が悪く衝撃強度に関して好ましい結果が得られない。
0015
エチレン−オクテン共重合体ゴム(B)はオクテン含量が20〜25wt%である。オクテン含量が20wt%未満では耐衝撃性に好ましい結果が得られず、25wt%を超えると剛性について好ましい結果が得られず、流動性の低下によるフローマークの発生等、成形品外観に悪影響を及ぼす。
0016
エチレン−オクテン共重合体ゴム(B)は密度が0.860〜0.875であることが好ましい。密度が0.860未満では剛性に好ましい結果が得られず、0.875を超えると耐衝撃性について好ましい結果が得られない。
0017
このようなエチレン−オクテン共重合体ゴム(B)はバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物、ハロゲン化エステル化合物からなるチーグラーナッタ触媒系を用いて炭化水素のような不活性有機溶媒中でエチレンとオクテンを共重合させることによって得ることができる。またチタン、ジルコニウムまたはハフニウムに配位した公知のメタロセン化合物とアルモキサンとを組み合わせた触媒、いわゆるメタロセン触媒を使用してエチレンとオクテンを共重合させて得ることもできる。
0018
本発明で用いるタルクは、平均粒子径は3μm以下である。3μmより大きいものは衝撃強度の低下が大きく、光沢等の外観も悪くなる。タルクは無処理のまま使用しても良いがポリプロピレン系樹脂との界面接着性を向上させ、また分散性を向上させる目的で通常知られている各種シランカップリング剤、チタンカップリング剤、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸塩類あるいは他の界面活性剤で表面を処理したものを使用することができる。ここでタルクの平均粒子径とは遠心沈降式粒度分布測定装置を用いて水、アルコール等の分散媒中に懸濁させて測定した篩下法の積分分布曲線から求めた50%相当粒子径D50のことを意味する。
0019
本発明において最終組成物はポリプロピレン系樹脂(A)のプロピレン−エチレンブロックコポリマーの第2セグメント量(wt%)を(A)’、エチレン−オクテン共重合体ゴム含量(wt%)を(B)’としたとき、次式
0.10≦{(A)’/[(A)’+(B)’]}≦0.30
を満足する必要がある。これらの値未満、もしくは超えると衝撃強度について好ましい結果が得られない。
0020
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の引っ張り伸びは400%以上である。引っ張り伸びが400%未満だと脆性破壊になりやすく、自動車外装用成形体として好ましい結果が得られない。本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の230℃のメルトフローレート(MFR)は30g/10分以上である。MFRが30未満だと流動性が劣るため、成形が困難となる。本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の密度は0.95〜1.05であることが好ましい。これらの値未満、もしくは越えると自動車外装用成形体としての好ましい形状が得られない。これらの物性を満足させる為には、Q値、アイソタクチックペンタッド分率、[η]P、(C2')EP、[η]EP、等を調節して行う。
0021
本発明の組成物は、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、熱ロールなどの混練機を用いて製造することができる。各成分の混合は同時に行なってもよく、また分割して行なってもよい。分割添加の方法として、例えばポリプロピレン系樹脂(A)とタルク(C)を混練した後、エチレン−オクテン共重合体ゴム(B)を添加する方法や、予めポリプロピレン系樹脂(A)にタルク(C)を高濃度に混練してマスターバッチとし、それを別途ポリプロピレン系樹脂(A)やエチレン−オクテン共重合体ゴム(B)で希釈しながら混練する方法がある。さらに分割添加の第2の方法として、結晶性ポリプロピレン(A)とエチレン−オクテン共重合体ゴム(B)を混練した後、タルク(C)を添加し混練する方法や、予めポリプロピレン(A)にエチレン−オクテン共重合体ゴム(B)を高濃度に混練してマスターバッチとし、それにポリプロピレン(A)、タルク(C)を添加し混練する方法も好適に採用される。分割添加の第3の方法として、予めポリプロピレン(A)とタルク(C)、ポリプロピレン(A)とエチレン−オクテン共重合体ゴム(B)をそれぞれ混練しておき、最後にそれらを合わせて混練する方法である。混練に必要な温度は170〜250℃であり、時間は1〜20分である。さらに、これらの混練機においてこれらの基本成分以外に、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、帯電防止剤、銅害防止剤、難燃剤、中和剤、発泡剤、可塑剤、造核剤、気泡防止剤、架橋剤等の添加剤を適宜配合することができる。
0022
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、一般に採用されている成形方法により射出成形体にすることができる。特に、自動車外装用成形体として好適に使用される。
0023
以下実施例により本発明を説明するが、これらは単なる例示であり、本発明の要旨を逸脱しない限り、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。次に実施例における物性値の測定法を示す。
(1)メルトフローレート
JIS−K−6758に規定された方法による。特に断りのない限り測定温度は230℃であり荷重は2.16kgで測定した。
(2)曲げ試験
JIS−K−7203に規定された方法による。射出成形により成形された試験片を用いる。試験片の厚みは6.4mmであり、スパン長さ100mm、荷重速度2.0mm/分の条件で曲げ弾性率(FM)、曲げ強度(FS)を評価する。測定温度は23℃で行った。
(3)アイゾット衝撃強度(IZOD)
JIS−K−7110に規定された方法による。射出成形により成形された試験片を用いる。試験片の厚みは6.4mmであり、成形の後にノッチ加工されたノッチ付きの衝撃強度を評価する。測定温度は−30℃で行った。
(4)引っ張り試験
ASTMD638に規定された方法による。射出成形により成形された試験片を用いる。試験片の厚みは3.2mm、引っ張り速度は50mm/分であり、破断伸び(UE)を評価した。測定は23℃で実施した。
(5)フローマーク
100×400×3mmの平板射出成形品に現れるトラ縞模様の度合いを観察し、○(外観良好)、×(外観不良)の判定をした。
(6)エチレン含量、プロピレン含量
エチレン含量またはプロピレン含量については、プレスシートを作製し測定した赤外吸収スペクトルに現れる、メチル基(−CH3)およびメチレン基(−CH2−)の特性吸収の吸光度を用いて検量線法により求めた。
(7)固有粘度
ウベローデ型粘度計を用いて濃度0.1、0.2および0.5g/dlの3点について還元粘度を測定した。固有粘度は、「高分子溶液、高分子実験学11」(1982年共立出版株式会社刊)第491頁に記載の計算方法すなわち、還元粘度を濃度に対しプロットし、濃度をゼロに外挿する外挿法によって求めた。ポリプロピレン系樹脂については、溶媒としてテトラリンを溶媒として用い、温度135℃で評価した。
(8)分子量分布(Q値)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、以下に示す条件で行った。
GPC:Waters社製 150C型
カラム:昭和電工社製 Shodex 80 MA 2本
サンプル量:300μl(ポリマー濃度0.2wt%)
流 量:1ml/分
温 度:135℃
溶 媒:o−ジクロルベンゼン
東洋曹達社製の標準ポリスチレンを用いて溶出体積と分子量の検量線を作成した。検量線を用いて検体のポリスチレン換算の重量平均分子量、数平均分子量を求め分子量分布の尺度としてQ値=重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)を求めた。
0024
上記(2)、(3)、および(4)の物性評価用試験片は、次の射出成形条件下で作製した。組成物を熱風乾燥器で120℃で2時間乾燥後、東芝機械製IS150E−V型射出成形機を用い成形温度220℃、金型冷却温度50℃、射出時間15秒、冷却時間30秒で射出成形を行った。また以下の組成物は次のような条件で製造した。ポリプロピレン系樹脂(A)を表3記載の組成で、ヘンシェルミキサーおよびタンブラーで均一に予備混合した後、二軸混練押出機(日本製鋼所社製TEX44SS30BW−2V型)にて押出量30kg/hr、スクリュー回転数900rpm、ベント吸引下で行った。尚、表中における略号は次のものを示す。
BC:プロピレン−エチレンブロックコポリマー
PP:プロピレンホモポリマー
EBR:エチレン−ブテン共重合体ゴム
EOR:エチレン−オクテン共重合体ゴム
P部:BCにおけるプロピレンホモポリマー部分
EP部:BCにおけるプロピレン−エチレンランダムコポリマー部分
0025
実施例1
プロピレン−エチレンブロックコポリマー(BC)を20wt%、プロピレンホモポリマー(PP)を44wt%、エチレン−オクテン共重合体ゴム(EOR)を24wt%、平均粒子径2.5μmのタルクを12wt%所定の条件で混練して得られるポリプロピレン系樹脂組成物から試験片を射出成形した。各種材料の物性を表1、2に、組成割合を表3に、また物性結果を表4に示す。このポリプロピレン系樹脂組成物における式{(A)’/[(A)’+(B)’]}の値は0.22である。
0026
比較例1
エチレン−オクテン共重合体ゴムを表2に示すEOR−2に替えた以外は実施例1と同様の処理を行った。物性結果を表4に示す。このポリプロピレン系樹脂組成物における式{(A)’/[(A)’+(B)’]}の値は0.22である。
0027
比較例2
エチレン−オクテン共重合体ゴムを表2に示すEBR−1に替えた以外は実施例1と同様の処理を行った。物性結果を表4に示す。このポリプロピレン系樹脂組成物における式{(A)’/[(A)’+(B)’]}の値は0.22である。
0028
比較例3
エチレン−オクテン共重合体ゴムを表2に示すEBR−2に替え、添加量を30wt%とした以外は実施例1と同様の処理を行った。物性結果を表4に示す。このポリプロピレン系樹脂組成物における式{(A)’/[(A)’+(B)’]}の値は0.18である。
0029
本発明の実施例は比較例に比べ、流動性及びフローマークが良好で、アイゾット衝撃強度、引張り伸びの物性においてもバランス良く優れている。
0030
ID=000002HE=035 WI=106 LX=0520 LY=1950
BC :プロピレン−エチレンブロックコポリマー
PP :プロピレンホモポリマー
P部 :BCのプロピレンホモポリマー部分あるいはPPの全体
EP部 :BCのプロピレン−エチレンランダムコポリマー部分
含量1 :BCにおけるEP部の含量
含量2 :EP部におけるエチレン含量
mmmm:アイソタクチックペンタッド分率
0031
ID=000003HE=050 WI=106 LX=0520 LY=0300
EBR−1、2 :エチレン−ブテン共重合体ゴム
EOR−1、2 :エチレン−オクテン共重合体ゴム
0032
0033
ID=000005HE=035 WI=104 LX=0530 LY=1350
MFR:メルトフローレート(g/10分):測定温度230℃
FM:曲げ弾性率(kg/cm2)
FS:曲げ強度(kg/cm2)
UE :破断伸び(%)
フローマーク:○良好、×不良