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技術 有機廃棄物の堆肥化方法及び堆肥化物の評価方法

出願人 アサヒ環境システム株式会社
発明者 塚本純男森正旭
出願日 1998年10月1日 (21年5ヶ月経過) 出願番号 1998-280291
公開日 2000年4月18日 (19年11ヶ月経過) 公開番号 2000-109386
状態 拒絶査定
技術分野 光学的手段による材料の調査、分析 固体廃棄物の処理 肥料
主要キーワード 炭酸ガス濃度計 取り出しコンベア 有機炭素分 水銀温度計 主成分空間 有胞子細菌 あぶり 繁殖条件
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2000年4月18日)のものです。
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図面 (3)

課題

有機廃棄物から悪臭を放つことなく堆肥を製造する堆肥化方法及び堆肥化物評価方法を提供する。

解決手段

有機廃棄物を嫌気性雰囲気中で微生物分解し、これを通性嫌気性菌及び好気性菌繁殖可能雰囲気中で微生物分解する。有機廃棄物は、糖化発酵し、バチルス属細菌乳酸菌及び酵母繁殖する。更に、放線菌による好気性分解が進行する。堆肥化物は、近赤外スペクトルを測定し、測定された近赤外スペクトルに基づいて腐熟度を判定する。近赤外スペクトルにおける吸光度が小さい又は反射が大きい場合に腐熟度が高くなる。

概要

背景

生産単位小規模であるかつての農業においては、農畜産業の工程や農家から排出される生ゴミ等の有機廃棄物を長期間の発酵分解期間を経て堆肥化し、農業生産肥料として用いるといったことが行われていた。しかし、現在においては、農業生産の拡大及び安定化を求めて農薬化学肥料が使用され、有機廃棄物の堆肥化は行われない。

ところが、近年、家庭ゴミ及び産業廃棄物等を含む廃棄物の処理において、埋立地焼却処理能力不足と言う問題が顕在化し、廃棄物処理行政自体における行き詰まり感から、廃棄物処理における何等かの打開策が必要となっている。

又、合成化学物質の環境や生物に対する影響等に関する議論が盛んになり、農産物有機栽培への関心が高まりつつあるため、堆肥の使用が注目されている。

このような状況において、家庭の生ゴミや、農畜産業、食品加工業、食品サービス業、汚泥処理等の処理産業において排出される多量の有機廃棄物については、過去において行われていたような堆肥化による処理が適切と考えられ、様々な試みがなされている。

例えば、従来の堆肥製造方法としては、特開昭52−112568号公報などに開示されるような好気性発酵材を利用した方法がある。好気発酵により堆肥を製造する方法は、堆肥化に長時間を要することから、空気送風や加熱などにより発酵を促進させることが試みられている。又、堆肥製造に要する時間を短縮し、悪臭の発生を防止することを目的として、嫌気発酵による堆肥製造方法が特開平8−16789号公報に提案されている。この方法によれば、有機廃棄物の含水率を30〜60%となるように調製した後に嫌気性発酵を行う。

概要

有機廃棄物から悪臭を放つことなく堆肥を製造する堆肥化方法及び堆肥化物評価方法を提供する。

有機廃棄物を嫌気性雰囲気中で微生物分解し、これを通性嫌気性菌及び好気性菌繁殖可能雰囲気中で微生物分解する。有機廃棄物は、糖化発酵し、バチルス属細菌乳酸菌及び酵母繁殖する。更に、放線菌による好気性分解が進行する。堆肥化物は、近赤外スペクトルを測定し、測定された近赤外スペクトルに基づいて腐熟度を判定する。近赤外スペクトルにおける吸光度が小さい又は反射が大きい場合に腐熟度が高くなる。

目的

本発明は、この様な従来技術の課題を解決するためになされたもので、悪臭を生じない農業生産に適した高品質の堆肥が提供可能な有機廃棄物の堆肥化方法を提供することを目的とする。

又、本発明は、有機廃棄物を堆肥化する際の進行具合いを検出するための堆肥化物の評価方法を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
11件

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請求項1

有機廃棄物糖化発酵させる第1の工程と、第1の工程を経た有機廃棄物にバチルス属細菌乳酸菌及び酵母繁殖させて有機廃棄物を分解する第2の工程とを有することを特徴とする有機廃棄物の堆肥化方法

請求項2

前記第1の工程において糸状菌が繁殖する請求項1記載の堆肥化方法。

請求項3

更に、前記第2の工程を経た有機廃棄物に抗生物質生産する放線菌を繁殖させる第3の工程を有する請求項1又は2記載の堆肥化方法。

請求項4

更に、第3の工程を経た有機廃棄物を成形して水分含量が30wt%以上となる程度に乾燥する成形工程を有することを特徴とする請求項3記載の堆肥化方法。

請求項5

更に、前記第1の工程前に、有機廃棄物のC/N比を25〜40、含水率を45〜70wt%に調整する工程を有する請求項1〜4のいずれかに記載の堆肥化方法。

請求項6

前記第1の工程において有機廃棄物は嫌気性雰囲気中で40〜70℃に維持され、前記第2の工程はバチルス属細菌及び乳酸菌が繁殖する第1期間と酵母が繁殖する第2期間とを有して通性嫌気性菌及び好気性菌繁殖可能雰囲気中で行われる請求項1〜5のいずれかに記載の堆肥化方法。

請求項7

前記第2の工程の第1期間において、有機廃棄物の温度が60〜75℃に維持されてバチルス属細菌が繁殖し、温度が50℃以下に降下して乳酸菌が繁殖する請求項6記載の堆肥化方法。

請求項8

有機廃棄物を嫌気性雰囲気中で微生物分解する第1の工程と、該第1の工程を経た有機廃棄物を通性嫌気性菌及び好気性菌が繁殖可能な雰囲気中で微生物分解する第2の工程とを有することを特徴とする有機廃棄物の堆肥化方法。

請求項9

前記第1の工程の嫌気性雰囲気は、炭酸ガス濃度が10〜35 vol%、酸素濃度が5 vol%未満、湿度が70〜90%であり、前記第2の工程の雰囲気は、酸素ガス濃度が5〜40 vol%、炭酸ガス濃度が2 vol%以下、湿度が50〜70%である請求項8記載の堆肥化方法。

請求項10

前記第1の工程において、有機廃棄物の温度は40〜70℃に維持され、前記第2の工程は、有機廃棄物の温度が60〜75℃に維持される期間と温度が50℃以下となる期間とを有する請求項8又は9に記載の堆肥化方法。

請求項11

更に、前記第2の工程を経た有機廃棄物に抗生物質を生産する放線菌を繁殖させる第3の工程を有する請求項8〜10のいずれかに記載の堆肥化方法。

請求項12

前記第3の工程の雰囲気は、酸素ガス濃度が18〜20%、炭酸ガス濃度が2%以下、湿度が50〜70%となるように管理されることを特徴とする請求項11記載の堆肥化方法。

請求項13

更に、第3の工程を経た有機廃棄物を成形して水分含量が30wt%以上となる程度に乾燥する成形工程を有することを特徴とする請求項11又は12記載の堆肥化方法。

請求項14

更に、前記第1の工程前に、有機廃棄物のC/N比を25〜40、含水率を45〜70wt%に調整する工程を有する請求項8〜13のいずれかに記載の堆肥化方法。

請求項15

前記第1の工程は5〜10日間、前記第2の工程は14〜30日間、前記第3の工程は30〜90日間行われることを特徴とする請求項11〜14のいずれかに記載の堆肥化方法。

請求項16

有機物堆肥化によって得られる堆肥化物近赤外スペクトルを測定し、測定された近赤外スペクトルに基づいて該堆肥化物の腐熟度を判定することを特徴とする堆肥化物の評価方法

請求項17

前記腐熟度の判定において、近赤外スペクトルにおける吸光度が小さい場合又は反射が大きい場合に腐熟度が高くなるように判定される請求項16記載の評価方法。

請求項18

腐熟度のキャリブレーション用堆肥化物試料の近赤外スペクトルデータから腐熟度を判定するための判別関数判別分析によって作成し、評価する堆肥化物の近赤外スペクトルデータから上記判別関数を用いて該堆肥化物の腐熟度を判定することを特徴とする堆肥化物の評価方法。

技術分野

0001

本発明は、有機廃棄物発酵させて堆肥を製造する有機廃棄物の堆肥化方法及び堆肥の製造において堆肥化進行度合を判定するための堆肥化物評価方法に関し、特に、有機廃棄物の発酵中悪臭による環境問題を引き起こすことなく良質の堆肥の製造を可能とする有機廃棄物の堆肥化方法及び堆肥化物の評価方法に関するものである。

背景技術

0002

生産単位小規模であるかつての農業においては、農畜産業の工程や農家から排出される生ゴミ等の有機廃棄物を長期間の発酵・分解期間を経て堆肥化し、農業生産肥料として用いるといったことが行われていた。しかし、現在においては、農業生産の拡大及び安定化を求めて農薬化学肥料が使用され、有機廃棄物の堆肥化は行われない。

0003

ところが、近年、家庭ゴミ及び産業廃棄物等を含む廃棄物の処理において、埋立地焼却処理能力不足と言う問題が顕在化し、廃棄物処理行政自体における行き詰まり感から、廃棄物処理における何等かの打開策が必要となっている。

0004

又、合成化学物質の環境や生物に対する影響等に関する議論が盛んになり、農産物有機栽培への関心が高まりつつあるため、堆肥の使用が注目されている。

0005

このような状況において、家庭の生ゴミや、農畜産業、食品加工業、食品サービス業、汚泥処理等の処理産業において排出される多量の有機廃棄物については、過去において行われていたような堆肥化による処理が適切と考えられ、様々な試みがなされている。

0006

例えば、従来の堆肥製造方法としては、特開昭52−112568号公報などに開示されるような好気性発酵材を利用した方法がある。好気発酵により堆肥を製造する方法は、堆肥化に長時間を要することから、空気送風や加熱などにより発酵を促進させることが試みられている。又、堆肥製造に要する時間を短縮し、悪臭の発生を防止することを目的として、嫌気発酵による堆肥製造方法が特開平8−16789号公報に提案されている。この方法によれば、有機廃棄物の含水率を30〜60%となるように調製した後に嫌気性発酵を行う。

発明が解決しようとする課題

0007

しかし、現在提案されている有機廃棄物から堆肥を製造する方法は不完全であり、処理効率重視する余りに堆肥化に要する時間を短縮することに視点をおいているため、製造した堆肥が悪臭を放ったり農業生産に適さない低質のものとなるという問題が生じる。

0008

本発明は、この様な従来技術の課題を解決するためになされたもので、悪臭を生じない農業生産に適した高品質の堆肥が提供可能な有機廃棄物の堆肥化方法を提供することを目的とする。

0009

又、本発明は、有機廃棄物を堆肥化する際の進行具合いを検出するための堆肥化物の評価方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

上記目的を達成するために、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、堆肥化を進行させるのに必要な微生物が好適に繁殖するように発酵条件を管理することにより、悪臭や有害物質の生成を防止しつつ良好な堆肥を提供することが可能であることを見出し、本発明に係る有機廃棄物の堆肥化方法を発明するに至った。

0011

又、有機廃棄物の堆肥化において、近赤外反射スペクトルを測定して得られる吸光度(又は反射)が変化することを見出し、本発明に係る堆肥化物の評価方法を発明するに至った。

0012

本発明の一様相によれば、本発明に係る有機廃棄物の堆肥化方法は、有機廃棄物を糖化発酵させる第1の工程と、第1の工程を経た有機廃棄物にバチルス属細菌乳酸菌及び酵母を繁殖させて有機廃棄物を分解する第2の工程とを有するものである。

0013

上記第1の工程において糸状菌が繁殖する。

0014

上記堆肥化方法は、更に、前記第2の工程を経た有機廃棄物に抗生物質を生産する放線菌を繁殖させる第3の工程を有してもよい。

0015

又、更に、第3の工程を経た有機廃棄物を成形して水分含量が30wt%以上となる程度に乾燥する成形工程を有してもよい。

0016

更に、上記第1の工程前に、有機廃棄物のC/N比を25〜40、含水率を45〜70wt%に調整する工程を有してもよい。

0017

上記第1の工程において有機廃棄物は嫌気性雰囲気中で40〜70℃に維持され、上記第2の工程はバチルス属細菌及び乳酸菌が繁殖する第1期間と酵母が繁殖する第2期間とを有して通性嫌気性菌及び好気性菌繁殖可能雰囲気中で行われる。

0018

上記第2の工程の第1期間において、有機廃棄物の温度が60〜75℃に維持されてバチルス属細菌が繁殖し、温度が50℃以下に降下して乳酸菌が繁殖する。

0019

あるいは、本発明の他の様相によれば、本発明に係る有機廃棄物の堆肥化方法は、有機廃棄物を嫌気性雰囲気中で微生物分解する第1の工程と、該第1の工程を経た有機廃棄物を通性嫌気性菌及び好気性菌が繁殖可能な雰囲気中で微生物分解する第2の工程とを有することを特徴とする。

0020

上記第1の工程の嫌気性雰囲気は、炭酸ガス濃度が10〜35 vol%、酸素濃度が5 vol%未満、湿度が70〜90%であり、上記第2の工程の雰囲気は、酸素ガス濃度が5〜40 vol%、炭酸ガス濃度が2 vol%以下、湿度が50〜70%である。

0021

上記第1の工程において、有機廃棄物の温度は40〜70℃に維持され、上記第2の工程は、有機廃棄物の温度が60〜75℃に維持される期間と温度が50℃以下となる期間とを有する。

0022

上記堆肥化方法は、更に、上記第2の工程を経た有機廃棄物に抗生物質を生産する放線菌を繁殖させる第3の工程を有してもよい。

0023

上記第3の工程の雰囲気は、酸素ガス濃度が18〜20%、炭酸ガス濃度が2%以下、湿度が50〜70%となるように管理される。

0024

上記堆肥化方法は、更に、第3の工程を経た有機廃棄物を成形して水分含量が30wt%以上となる程度に乾燥する成形工程を有してもよい。

0025

上記堆肥化方法は、更に、上記第1の工程前に、有機廃棄物のC/N比を25〜40、含水率を45〜70wt%に調整する工程を有してもよく、種類によりC/N比及び含水率の異なる有機廃棄物に対応可能となる。

0026

上記第1の工程は5〜10日間、上記第2の工程は14〜30日間、上記第3の工程は30〜90日間行われる。

0027

又、本発明によれば、上記第1の工程に有機廃棄物を供することによって、有機廃棄物が減容化される。

0028

更に、本発明によれば、堆肥化物の評価方法は、有機物の堆肥化によって得られる堆肥化物の近赤外スペクトルを測定し、測定された近赤外スペクトルに基づいて該堆肥化物の腐熟度を判定するものである。

0029

上記腐熟度の判定において、近赤外スペクトルにおける吸光度が小さい場合又は反射が大きい場合に腐熟度が高くなるように判定される。

0030

本発明の他の様相によれば、本発明に係る堆肥化物の評価方法は、腐熟度のキャリブレーション用堆肥化物試料の近赤外スペクトルデータから腐熟度を判定するための判別関数判別分析によって作成し、評価する堆肥化物の近赤外スペクトルデータから上記判別関数を用いて該堆肥化物の腐熟度を判定する。

発明を実施するための最良の形態

0031

堆肥は、微生物の代謝によって有機物が分解されることにより得られる代謝産物と微生物とを含有する混合物であり、堆肥を土壌施与することにより、植物体に有用な成分が直接に又は土中の微生物や小生物を介して間接的に植物体に取り込まれて同化する。しかし、堆肥化する条件によっては、植物体に有害な物質が堆肥に生じたり植物体や土壌微生物の生育を阻害する病原菌が発生する場合もある。つまり、有機廃棄物を微生物によって分解した堆肥が全て植物の育成に好適なわけではなく、適切な堆肥を得るためには堆肥化する環境に留意して条件を整えることが極めて重要である。又、植物の種類によって生育に必要な成分の比率が異なるので、施与する植物体によっては適した堆肥とはならない場合もある。更に、堆肥化の際に腐敗による悪臭が放出されるという問題が生じることも多く、有機物廃棄物の処理として堆肥化を行う場合の障害となっている。

0032

良質な堆肥とは、植物体の生育を阻害するような成分及び微生物を含まず、植物体の生育に必要な養分を適切に植物体に与えることができるもので、もちろん、食物連鎖を介して植物が人間に摂取されることを考慮すれば、人体に有害な重金属化学物質混入していないことは大前提である。

0033

このような良質な堆肥を有機廃棄物の堆肥化によって得るために試行錯誤を重ねる重ねたところ、腐敗が支配的に進行しないように堆肥化環境を整えて繁殖する微生物のバランスをとることが必要で、微生物の繁殖バランスが良好であれば、養分や酵素、免疫向上物質等を適切に含有する良質な堆肥が得られ、しかも腐敗による悪臭や有毒物質の発生がないことが判明した。つまり、良質な堆肥を得るには、堆肥化中に腐敗の進行が支配的にならず有機物の発酵などの低分子化による非腐敗的な分解が進行することが肝要である。これは、特定の微生物種を有機廃棄物に投与してこれのみを繁殖させるような不自然な状態を必要とするものではなく、土壌微生物の繁殖を適切に管理することによって可能なものである。要するに単体菌による発酵でなく複合菌による発酵・分解を行うものである。

0034

有機物質の分解に関与する微生物には様々な種類のものがあり、分解によって生成される物質も多岐に渡る。例えば、一般的な発酵食品の生産に用いられる麹カビ等の糸状菌や酵母、乳酸菌などは、糖類やアルコール等の有用物質を生産するものとして知られており、ある種の嫌気性有胞子細菌タンパク質の分解(腐敗)により食中毒破傷風などの疾病を引き起こす有毒タンパク質(外毒素)を生産する。又、ペニシリンのような抗生物質を産生するカビ、アフラトキシンの様な発ガン物質を産生するカビなどもある。このように、微生物による分解においては、悪臭、病原菌、毒素等の有害物を生産する場合も、有用物質を生産する場合もある。

0035

有機廃棄物を堆肥化するには、デンプン、糖、繊維質、油脂、炭化水素、タンパク質、キチン質など様々な有機物質を分解する必要があり、このためには、多種の有用微生物の繁殖が必要である。しかも、これらの多種類の微生物が段階的に適切なタイミングで繁殖できなければ、微生物の良好な繁殖バランスによる好適な堆肥化は進行しない。又、単体菌による発酵では分解はできない。

0036

好適な堆肥化が進行する過程調査した結果、まず最初に有機物の糖化作用を有する微生物が繁殖する点で共通することが判明した。砂糖ブドウ糖麦芽糖果糖などの糖分は、糸状菌、乳酸菌、酵母菌、放線菌、細菌など様々な微生物の養分となるので、有機物の糖化が進行することにより微生物の繁殖の基礎を作ることができる。有機物の糖化即ち糖発酵は、アスペルギルスコウジカビ)やリゾプスクモノスカビ)等の糸状菌などによって行われ、このような微生物は嫌気性条件において繁殖する。腐敗を起こす細菌には嫌気性条件下で不活な好気性のものが多いので、嫌気性条件においては好気性条件より腐敗を防止し易く、また、糖発酵を行う微生物が優先的に繁殖することにより他の菌の繁殖が抑制されるので腐敗菌も繁殖し難い。

0037

次に共通することは、糖発酵が進行した後に、生成した糖分を用いて他の有用微生物が繁殖することである。この段階において重要なことは、デンプン分解酵素タンパク質分解酵素脂肪分解酵素などのような分解酵素分泌する微生物が繁殖することである。このような微生物としては納豆菌枯草菌などのバチルス属細菌があり、納豆菌は脂質や繊維の分解活性が高く、枯草菌はアミラーゼ(デンプン分解酵素)やプロテアーゼタンパク分解酵素)を分泌しながら繁殖する。枯草菌の繁殖によってタンパク質の分解が進行してアミノ化合物が生成する。アミノ化合物は、空気(酸素)が存在すると、ニトロソモナスアンモニア酸化細菌)及びニトロバクター亜硝酸酸化細菌)によって更にアンモニアから硝酸塩へと酸化されることにより、植物体による吸収が可能となる。この際に、二酸化炭素が存在すると、系のpHを低下させてアミノ化合物やアンモニアによる悪臭の放散を抑制する働きをする。このような微生物の繁殖に続いて、乳酸菌が増殖し、糖類から乳酸を生成して系のpHが低下する。乳酸のような有機酸は、アンモニア等による悪臭の放散を抑制し、低いpHによって耐酸性の低い腐敗菌の増殖を防止するので、乳酸菌の繁殖は腐敗及び悪臭の防止に非常に有効である。

0038

更にこの後、酵母菌が繁殖し、これによりビタミン類や有機酸、アミノ酸などが生成する。

0039

このように、糸状菌及びこれに続いて繁殖する微生物が生成した糖分を養分として多種類の微生物が次々と繁殖し始め、個々の微生物種にとって最も繁殖条件のよい時に各々繁殖ピークを向かえて衰退する。この間の微生物代謝によって系の温度が上昇し、耐熱性の低い腐敗菌の増殖防止に有効に作用する。従って、堆肥化する有機廃棄物がこのようなプロセスを経るように管理することによって、好適な堆肥が得られる。

0040

上記の過程を経過して得られる堆肥は、養分が豊富で植物の育成に好適に使用することができるが、更に、放線菌が繁殖する条件で堆肥を熟成すると、抗生物質など植物体の耐性を向上させる成分が生成する放線菌、例えば、ストレプトマイセスアクチノマイセス等が繁殖し、pH値が上昇して中性又は弱塩基となる。この様な熟成後の堆肥を用いて育てた植物を飼料として家畜等の動物を育成すると動物の免疫力が向上するという効果もある。

0041

上記のような微生物の繁殖を進行させるための要点は、まず、嫌気性条件下で有機廃棄物を微生物分解し、その後、通性嫌気性/好気性共存条件移行して分解を継続することである。初期の嫌気性条件において、嫌気性の糸状菌による糖発酵(一次分解)が進行し、この後に通性嫌気性/好気性共存条件に移行することによって、偏性嫌気性菌の繁殖が阻害され通性嫌気性菌及び好気性菌の繁殖が可能となって、バチルス菌及び乳酸菌による分解(二次分解)、酵母による分解(三次分解)及び好気性菌である放線菌による分解(熟成)が続いて進行する。

0042

微生物の増殖は、他の微生物の増殖とのバランスにおいて進行し、1つの微生物が他の微生物の増殖が盛んな状態で繁殖するのは難しい。従って、堆肥化において発酵が進行し易いように環境を整えるのは、腐敗防止のために有効である。本発明においては、一次分解の糖生成により二次分解以降の有用微生物の繁殖が容易になり、腐敗菌の繁殖に先んじて有用微生物の繁殖が進行することにより腐敗が抑制され易い。実際に本発明に従って堆肥化を実施した場合、一次分解が十分に進行していれば、二次分解から熟成までの工程で腐敗菌に汚染されることは少なく、管理は比較的容易である。

0043

但し、発酵食品の製造において経験的に知られているように、腐敗を起こす微生物が一旦繁殖すると、その後に環境を整えても目的の発酵分解を行う微生物を繁殖させることは難しい。特に、本発明の堆肥化は、自然に存在する微生物群の本来有する機能を特定の方向により確実に発揮させるものであって、無菌状態で特定の純粋培養微生物を接種するような限定的なプロセスを意図するものではない。従って、環境条件を整えても、何等化要因により微生物の繁殖バランスが変化する可能性がなくなるわけではなく、堆肥化が完了するまで有機廃棄物及び微生物の繁殖状況を管理し、状況に応じて制御する必要がある。

0044

そこで、上述に従って実施される本発明の有機廃棄物の堆肥化プロセスについて管理・制御を含めた詳細を以下に説明する。

0045

まず、金属、プラスチックガラス等のような微生物が分解できない異物が有機廃棄物に含まれる場合には、前処理としてこれらの異物を有機廃棄物から予め除去するのが好ましい。特に、乾電池バッテリー水銀温度計等の重金属を含む廃棄物には注意が必要である。プラスチックやガラスは堆肥化した後に除去してもよいが、処理空間容積を効率よく使用するためにはこれらの異物も初期に除去するのが望ましい。

0046

異物を除去した有機廃棄物は、その内容に応じて、C/N比(炭素窒素比)が好ましくは約25〜40となるように混合・調整し、含有水分量が好ましくは約45〜70wt%、より好ましくは60〜65wt%程度となるように水切り又は加水する。

0047

堆肥化する有機廃棄物のC/N比を調整するのは以下のような理由による。

0048

オガクズチップキノコ栽培の廃オガ落葉、藁、もみがら、バーク等はC/N比が高い有機廃棄物で、このようなC/N比が高いものは、微生物分解が進行するにつれて微生物体を構成するための窒素分が不足して分解速度が次第に低下し、分解が停止し易い。このため、堆肥化に要する時間が長くなり分解し難い。十分に堆肥化せずに土壌に施与すると、土中の窒素分を奪って土を痩せさせるため、作物成長を遅らせる。他方、ボカシ畜糞米糠オカラ油粕フスマ、生ゴミ、コーヒー粕ビール粕汚泥等は、C/N比が低い有機廃棄物で、分解は進行し易いが、堆肥化途中の状態で土壌に施与すると、土中で盛んに分解してアンモニア、メタン炭酸ガスなどを発生させ、酸素不足や多量のアンモニアによって根焼を起こして根の呼吸を困難にし植物体を枯死させる。逆に、この様な性質を利用して、例えば、過剰な窒素が溜った土壌の窒素量を減少させるためにC/N比の高い有機物から調製途中の堆肥を用いるというようなことも可能であるが、有機廃棄物の堆肥化を効率よく行わせるには、微生物による分解が容易に進行するようにC/N比を上述のように適正な範囲となるように調整するのが好ましい。この点に関して、酪農業廃棄物、食品加工業廃棄物などは内容組成が比較的明確であるので、C/N比の調整は難しくない。

0049

水分は微生物の生育にとって必要な要素であるが、有機廃棄物の含水量が過剰であると通気性が低下し、微生物の生育を抑制する。従って、有機廃棄物の含水量は、通気性を考慮しながら微生物の繁殖に必要とされる条件に応じて前述のように調整される。微生物による分解の速度は含水量による影響を受け、含水量が60〜65wt%程度の時に最もよく分解し、40wt%以下になると分解の速度がきわめて遅くなる。水分過多は腐敗を招き易いので、分解開始前には含水量を50wt%前後に設定しておき一次分解を開始した後に加水して適正量に調整すると腐敗を防止し易い。但し、加水により温度が低下し易いので、水分調整のための加水は2回以下が望ましく、その際には温度管理に留意する必要がある。

0050

有機廃棄物の含水量を調節するために添加する水は、自然の水であることが好ましい。水道水のように濾過及びカルキ添加による殺菌を経た水は、堆肥化には適しておらず、良質の井戸水や岩清水等のような微生物やミネラルを含み得る水が好適である。土壌微生物あるいは前述した有用微生物を培養した培養液を用いるのもよい。含水量の調整に関して、副資材の使用、つまり、複数種の有機廃棄物の混合は有効な手段である。例えば、モミガラ等のような含水量及び密度の小さいものと畜糞等のような含水量及び密度の大きいものとを混合することにより含水量及びC/N比の双方を適正に調整することができる。

0051

更に、蟹殻等のキチン質廃物を予め加えておくと、セルロースを分解するトリコデルマ(ツチアオカビ)等の繁殖が可能となるので好ましい。

0052

水分及びC/N比を調整した有機廃棄物は、一次分解に供し微生物による分解を進行させる。一次分解は、嫌気性条件下で約5〜10日間行われ、糸状菌の繁殖により糖化が進行する。より具体的には、一次分解中の雰囲気が実質的に酸素ガスを含まず(5%未満)、炭酸ガス濃度が10〜35 vol%程度、湿度が70〜90%となるように管理する。分解の進行に従って雰囲気中の水分量が増加するので、雰囲気条件を維持するためには、分解雰囲気を系から取り出して除湿により湿度調整した後に系に戻すようにして循環させるのがよい。温度は40〜70℃程度に維持される。このような条件下で、酵母、糸状菌、乳酸菌などの嫌気性菌、特に糸状菌の増殖が進行し、好気性菌の増殖は抑制される。好適に一次分解が進行すると、糖発酵に伴い甘酒のような香りが発生する。微生物による分解が局所的に進行すると環境の局所的変化により腐敗を起こすカビの発生などが起こり易いので、適時に切り返しを行って有機廃棄物全体において均一に発酵分解が進行するようにするのが望ましい。

0053

一次分解によって糖化が進行した有機廃棄物は、通性嫌気好気共存条件下で約14〜30日間二次分解を行って更に微生物による分解を進行させる。具体的には、二次分解中の雰囲気の炭酸ガス濃度が約2%以下、酸素濃度が5〜40%程度、湿度が50〜70%程度となるように管理される。枯草菌によるタンパク質分解が進行すると温度が上昇するが、温度が高くなりすぎると窒素分が急激に減少し、以後の微生物の増殖に支障をきたすので、60〜75℃程度に維持されるように4回/月程度の割合で切り返しを行う。水分補給を兼ねて水の投与によって温度を下げてもよい。好適に二次分解が進行すると、この時点で味噌又は醤油に似た香りが発生する。含水量あるいはC/N比の調整の誤りに起因して一次分解における糸状菌の増殖が不十分で二次分解がうまく進行しない場合には、糖類又は有機炭素分と微量のミネラルとを含有する水溶液(例えば黒砂糖水等)で乳酸菌、バチラス菌などを増殖させた液を有機廃棄物に補充すると分解を進めることができ、臭気を防ぐこともできる。枯草菌による分解がピークを過ぎると有機廃棄物の温度が低下し、50℃以下になると乳酸菌が活動し始め、有機廃棄物のpH値が低下して酸性となる。これにより、有害菌が殺菌される。乳酸菌が繁殖しないで腐食が起こると、pH値が低下せず逆に塩基性を示すようになり、酸刺激臭のような悪臭を放ち始める。この場合、上述した微生物の増殖液を添加して再度二次分解を行う。

0054

乳酸菌の繁殖のピーク後に切り返しを行い静置すると、有機廃棄物の温度が再び5℃前後上昇し、その後また低下する。この期間は約90日で、酵母が繁殖して有機物表面下に白く菌体が見られるようになり三次分解が進行して、有機廃棄物は、アミノ酸、タンパク質、アルコール、ビタミン等を含むようになる。

0055

三次分解が終了した時点で乾燥した分解物は、堆肥として十分使用できるが、更に熟成させることによって、より有効な堆肥となる。三次分解を完了した有機廃棄物の熟成は、好気性条件下で約30〜90日間行われる。熟成中の雰囲気は、好ましくは炭酸ガス濃度が約2%以下、酸素濃度が約18〜20%、湿度が50〜70%程度となるように管理される。この状態でストレプトマイセス、アクチノマイセス、フラボバクテリウム等の放線菌が繁殖して抗生物質が生成され、pH値が上昇して中性から弱アルカリ性の範囲で安定化する。有機廃棄物にキチン質が含まれる場合にはトリコデルマも繁殖する。抗生物質を生産する菌の繁殖は、通気性を必要とするので、1〜2回/月程度の割合で切り返しを行って腐敗を防止するのが好ましい。熟成中は、水分が不足気味になるので加水調整を行う。微生物の培養液などを用いてするのが好ましい。通常、1カ月程度熟成させると、放線菌による灰色の斑点が生じた堆肥が得られる。熟成中に花崗岩玄武岩などの岩石をなるべく細かく破砕して投入すると、土壌及び微生物に必要なミネラルが豊富な堆肥を得ることができる。ミネラルは微生物の活性を向上させ、又、植物の活性を促すことができる。堆肥に岩石を加えると、土壌への施与後に、植物の発発根の促進、根の呼吸作用の増大、植物中のタンパク質量の増加、連作障害の防止、土壌成分バランス調整、土壌における干ばつなどのストレスに対する抵抗力の付与、粘土質土壌の改善、水溶性無機質肥料の保持、植物の根に不要な物質の吸収などの効果を得ることができる。

0056

一次分解から熟成までを3〜6カ月程度かけて行うと、有機廃棄物は良好な堆肥となる。熟成を終えた堆肥は、必要に応じて造粒などの形状加工を施し、水分量が30%以下にならないように乾燥することにより、悪臭や害を生じない堆肥製品となる。乾燥し過ぎると、堆肥中の放線菌は不活化する。

0057

上述の一次分解、二次分解、三次分解及び熟成において、雰囲気中にマイナスイオンを導入すると、微生物、特に嫌気性微生物の活性が向上する。嫌気性微生物にとって酸素、特にO2 + は生命機構を阻害するものであるが、還元型のO2ー は無害であるので、雰囲気中の酸素を還元型に変換したり、あるいは、マイナスイオンを供給することによって嫌気性微生物の活力を向上させることができる。又、好気性微生物も生命機構にイオン交換が組み込まれており、供給される酸素の質は重要で、マイナスイオンの供給は活性化に効果をもたらす。マイナスイオンの供給は、例えば、特開平9−274946号公報記載の負イオン発生装置を用いて安全に行うことができる。

0058

又、上述の一次分解、二次分解、三次分解及び熟成の少なくとも一工程において、分解を促進するために音楽など適切な波長及び波形振動弾性波を供給してもよい。

0059

工業生産の場合と比較して、微生物を用いた工程においては、管理を十分に行っていても有害菌の繁殖など不意の事故にみまわれる恐れが大きい。従って、そのような事故による被害を最小限にするために、腐敗が廃棄物全体に広がらないように有機廃棄物を比較的少量のバッチに分けて個別の容器を用いて発酵・分解処理し、容器毎に分解の進行度を確認しながら処理を進めるのが好ましい。有機廃棄物の容量は、堆肥化の進行に従って、特に一次分解から二次分解にかけて急激に減少するので、これを考慮して分解時の容器容量やシステム全体の容量、容器の配分等を設計するのが好ましい。生ゴミのような廃棄物は一次分解を経ることによって容量が約25分の1に減少する。ことのことから、本発明の堆肥化方法の一次分解工程を、有機廃棄物の減容方法として好適に利用することができる。

0060

上述の有機廃棄物の堆肥化方法は、例えば、図1に示すような堆肥製造システム1を用いて実施することができる。この堆肥製造システム1は、搬送コンベア3を備えた建物5を有し、建物5の内部は、第1分解室7、第2分解室9及び熟成室11に区画されている。更に、倉庫13、脱臭室15、仮置きスペース17、水処理/クーラント装置19、前分解室21A,21B、事務所61、品質管理室63及び出荷室65が付設されており、有機廃棄物は、植物性残渣(生ゴミ)、動物性残渣動物糞及び魚介類廃棄物などに分別してコンテナ収納されて仮置きスペース17に置かれる。第1分解室7、第2分解室9及び熟成室11には、各々、炭酸ガス濃度計酸素濃度計温度計湿度計、熱温度計、アンモニア濃度計が付設されており、雰囲気の成分組成及び温度が管理される。更に、微生物の発育分解促進のために、マイナスイオン発生装置や音楽を供給するためのスピーカーを付設してもよい。

0061

有機廃棄物に関する情報は、品質管理室63の管理システムに蓄積管理され、コンテナの有機廃棄物は、管理システムの情報に基づいてホッパ付き搬入コンベア23A又は23Bを介して前分解室21A又は21Bに投入され混合されて、適切なC/N比の有機廃棄物に調製される。ここで、水分調整のための水切りも行われる。前分解室21A及び21Bの有機廃棄物はコンベア25A及び25Bによって搬送コンベア3へ供給されパレットPに収容される。この際、パレットPの有機廃棄物に乳酸菌などの微生物培養液散布することにより臭気の発生が防止される。

0062

搬送コンベア3のパレットPを第1分解室7及び通路31へ供給するための取り出しコンベア27,33が設けられ、通路31は第2分解室9及び熟成室11に通じている。各室の雰囲気をコンベア3から遮断するために開閉可能なシャッター29,35,37,39,41が設けられている。搬送コンベア3の途中には反転切り返し装置43,45及び振い選別機47が添説されている。

0063

搬送コンベア3から第1分解室7へ搬送されたパレットPは、ロボット71により69に収納され、有機廃棄物の一次分解が行われる。各パレットP内の有機廃棄物は、適時、分析により発酵の進度を調べ、一次分解を完了したと判定されたパレットPは、搬送コンベア3及び取り出しコンベア33によって通路31へ搬送され、ロボット79によって第2分解室9内の棚73に収納され、二次分解及び三次分解が行われる。分析により有機廃棄物の三次分解が完了したと判定されたパレットPは、ロボット79によって熟成室11の棚75に収納され、熟成されて堆肥ができあがる。熟成を終了したパレットPは、更にロボット79によって倉庫13の棚77に収納される。

0064

出荷室65には、造粒装置49、袋詰め装置51、取り出しコンベア53及び供給コンベア57が備え付けられ、コンベア53,57と倉庫13とを遮断するための開閉可能なシャッター55,59が設けられている。熟成室11から倉庫13に搬送されたパレットPは、コンベア53によって出荷室65に搬入され、最終製品チェックのためにサンプリング及び分析を行い、堆肥化が不十分なものがあれば再度熟成するために熟成室11へ戻す。完成した堆肥は、振い選別機47で異物を除去し、粒度によって選別する。粒度の粗いものは、有機廃棄物の水分調整用としてあるいは種菌として、有機廃棄物に添加される。粒度の細かい堆肥は、必要に応じて、造粒装置49を用いた造粒、袋詰め装置51による包装を施す。袋詰めされた製品は、パレタイジングロボット67によってパレットに詰めてコンベア47によって倉庫13の棚77に保管する。袋詰めしない製品についても同様にパレットで倉庫13に保管する。

0065

微生物によって有機物が分解堆肥化されることを”腐熟”と言い、”腐敗”とは区別される。有機物の腐熟の進行程度、”腐熟度”の判定は、従来、後述する燃焼法発芽試験腐敗試験などによって行っていたが、最近、定量的な判定方法としてGPC法が一般的に用いられつつある。GPC法は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)を用いて成分を分子量に従って分画し、全成分中における所定低分子量の成分の割合(GPC率)を求めて、これにより腐熟度を判定する方法である。腐熟が進行すると、炭水化物などの分解消失により炭素含量が減少し、これに従って有機物のC/N比も減少する。このC/N比の低下に従ってGPC率も低下するという相関関係があることを利用して腐熟度が判定される。GPC法に従って、分子量約1500以下に分画され検出されるフラクションの量(280nmにおけるタンパク質、核酸などの物質において特徴的な紫外線の吸収による検出)の全成分中における割合(GPC率)を求めると、この値は、本発明に係る堆肥化においては、一次分解(糖化発酵)中の”未熟”状態のものでは10%以上、二次分解中の”中熟”状態では2〜10%、三次分解中の”成熟”状態では0.5〜2%、熟成中の”完熟”状態ではGPC率が0.5%以下となる。”未熟”状態では、易分解性のタンパク質及び糖類が未分解でフェノール酸タンニン酸及び脂肪が残存しており、病原菌及び雑草種子死滅していない。”中熟”状態は、易分解性タンパク質及び糖類が半分程度分解し、分解による温度上昇によって病原菌及び雑草種子が死滅している。”完熟”状態は、フェノール酸、タンニン酸を含むほとんどの有機物が分解され、微生物相も安定化している。いずれの状態の堆肥も、土壌に施用すれば土壌中微生物によって分解され、植物の肥料となるが、未熟堆肥は、土壌中で分解される際に炭酸ガス、硫化水素、メタン、有機酸、アンモニア等を発生して植物の根の正常な発育を妨げたり病気を発生させ、また、悪臭や地下水汚染を生じたり、更に、病害虫による農産物の品質低下を引き起こしたり伝染病感染源となったりする。堆肥が腐熟すると、このような害は減少し、免疫向上物質が生じて植物体の生育が助長されるようになる。

0066

本発明に係る有機廃棄物の堆肥化において、適正に堆肥化を行うには、各分解段階移行時期、特に一次分解から二次分解へ移行する時期を決定する判断基準が必要である。外観や匂い等に基づいて知覚的に判断したり後述する手法により判断することはもちろん可能であるが、より正確に且つ短時間で効率よく判断するためには機器分析的手法が必要である。これに関して、前述のGPC法は、測定に時間を要するため、頻繁に分解状況検査するには不向きであり、プラントの効率化や製品の品質検査においても不利である。本願発明者は、堆肥化する有機廃棄物の腐熟度を短時間で正確に且つ効率よく検出することができる方法を見出し、ここに提示する。本願発明者が提示する方法は、近赤外線反射スペクトルの測定に基づいて腐熟度を判定する方法である。

0067

図2は、堆肥化を施した有機廃棄物の近赤外線反射スペクトルを示すスペクトルチャートで、堆肥サンプルの腐熟度をGPC法によって判定して一次分解を完了したもの、三次分解を完了したもの及び熟成を終えたものについて各々5つのサンプルの近赤外線反射スペクトルを測定した結果をまとめたものである。符号Aで示した斜線領域は一次分解完了後のもののスペクトル分布する領域、符号Bで示した縦線領域は三次分解完了後のスペクトルが分布する領域、符号Cで示した横線領域は熟成完了後の堆肥のスペクトルが分布する領域である。図2から明らかなように、近赤外線反射スペクトルにおいては、堆肥の腐熟度によって全波数領域でスペクトル形状及び吸光度(又は反射)が変化し、腐熟するに従って吸光度が減少する。約4200〜5000cm-1及び約5400〜7000cm-1において吸光度の差が著しく、特に4500cm-1付近においてはスペクトル形状にも特異性が見られる。このことから、堆肥の近赤外スペクトル分析により腐熟度を決定することができることが明白である。例えば、図2の領域A,B及びCを各々、未熟状態と中熟状態との境界成熟状態完熟状態との境界及び完熟状態と熟成完了状態との境界として堆肥化プロセスの管理を行うことができる。吸光度を測定する波長(又は波数)を一個あるいは数個に特定し、この波長において測定される吸光度の変化から腐熟度を判定するように判定材料を限定すれば、判定時間を短縮することができる。

0068

このように、基準とする堆肥試料及び評価する堆肥化物の近赤外スペクトルを測定し、得られたスペクトルチャートを目視比較して判断することによって腐熟度を決定することができるが、データ処理によって腐熟度の判定を行えれば、工程の自動管理や品質管理に有効である。近赤外反射スペクトルの測定からデータ処理により腐熟度の判定を行う一例を以下に記載する。もちろん、データ処理方法として一般的に知られている他の方法を用いてもよく、必要に応じて適切なデータ処理方法を採用すればよい。

0069

まず、図2のような近赤外領域で測定されたキャリブレーション用試料の測定データをフーリエ変換した後、波数と吸光度(あるいは透過率、反射)とのスペクトルデータとして保存する。必要があれば、スペクトル変換(透過率−吸光度−反射)する。各波数における吸光度(又は透過率、反射)を多次元空間展開し、主成分分析を行う。PLS回帰分析の場合には、波数以外に手分析値変数として、同様に多次元空間に吸光度(又は透過率、反射)を展開して主成分分析を行う。

0070

主成分分析によって新たな主成分軸(第1軸、第2軸----)を決定した後、各試料が主成分空間においてどの様な位置づけになるかを決定し(主成分得点の計算)、判別分析に従って各試料点から判別モデル及び腐熟度を判定するための判別関数を作成する。

0071

評価する未知試料を測定し、得られたスペクトルデータから上述と同様の処理に従って主成分空間における位置を決定し、判別関数によりマハラノビスの汎距離を求めることによって未知試料が判別モデルにおいてどの分類(腐熟度)に帰属するかが定量的に判定され、腐熟度が決定される。

0072

堆肥化物の近赤外スペクトルの測定は、一般的に用いられている測定装置を用いて測定すればよいが、試料に直接挿入して測定することができる検知器を備えたプローブ型の測定装置を用いると、工程管理及び品質管理の効率化に特に有効である。

0073

上述したような近赤外線反射スペクトルによる判定結果を確認するために、上述のGPC法や他の腐塾度判定方法を併用することができる。例えば、燃焼法、発芽試験、腐敗試験、ミミズ評価法等がある。これらの評価法の詳細は、以下の通りである。

0074

(燃焼法) 金属製のホイル又はスプーン等に載せた堆肥を火であぶり、その臭気によって腐熟度を判定する。堆肥が未熟で有れば、アンモニア臭酸臭等の悪臭が感じられる。完熟で有れば悪臭はなく、場合によりぶどう酒のような香りがある。

0075

(発芽試験)ハツカダイコンコマツナハクサイ等の種子の発芽率生育量を調べることによって腐熟度を判定する。発芽率が80%以上で生育阻害や根の異常がなければ完熟と判定する。土壌を用いるプランタ方式や土壌を用いないシャーレ方式があり、対照試験として堆肥を用いない場合の発芽を併せて行っておく。

0076

(腐敗試験)堆肥に水を加えて微生物が繁殖可能な状態を作り、20〜30℃で3〜7日放置して、状態を観察する。ガスわき不快臭(アンモニア臭、酸敗臭)が発生した場合は易分解性有機物が含まれていたことを示すので、未熟と判定する。

0077

(ミミズ評価法) 腐熟による有機物の多い土壌を好み皮膚呼吸を行うミミズの性質を利用して、堆肥上に置いたミミズの行動及び皮膚状態を観察することによって腐熟度を判定する。堆肥の含水率を60〜70%に調整した後にミミズを堆肥の上に置き、直後の状態を観察した後遮光して1日放置し、再度観察する。未熟である場合は、ミミズは堆肥に触れた途端に体をくねらせて逃亡しようとし、1日後には殆ど死滅する。中塾の場合は、堆肥に触れると嫌がり、1日後には皮膚が変色し、動きが鈍くなる。完熟の場合は、堆肥上に置くとすぐ潜り始め、1日後にも皮膚色や行動に変化はない。

0078

以下、実験結果に基づいて、本発明をさらに詳細に説明する。

0079

(実施例)375リットルのモミガラ(C/N比=70〜80)、375リットルの米ぬか(C/N比=約15)、300リットルのおから(C/N比=8〜12)、75リットルの鶏糞及び1125リットルの赤土分解槽内で混合することによってC/N比が30、含水量が60wt%の有機廃棄物を調製した。分解槽外気から遮断して、雰囲気の酸素量が5 vol%以下、炭酸ガス濃度が15 vol%、湿度が80%以下となるように一次分解用雰囲気に調整して静置し、1週間に1回の割合で切り返しを行った。この間に、温度は急激に上昇した後40〜60℃で安定していた。有機廃棄物の含水率は50〜60%に維持されていた。7日後、有機廃棄物から甘酒のような香りが発生し、近赤外反射スペクトルを測定したところ、5200cm-1における反射が0.09であり一次分解完了であると判定された。

0080

分解槽内の雰囲気の酸素ガス濃度が20%、炭酸ガス濃度が約2%以下、湿度が60%程度となるように二次分解用雰囲気に調整して静置し、1週間に1回の割合で切り返しを行った。この間に温度は上昇して55〜75℃の範囲にあった。有機廃棄物は醤油のような香りを発生するようになり、二次分解を14日経過した後に温度が45℃前後まで低下し、近赤外反射スペクトルを測定したところ、5200cm-1における反射が0.18で二次分解完了であると判定された。更に、切り返しを行って90日間経過した後に近赤外反射スペクトルを測定したところ、5200cm-1における反射が0.30で三次分解完了であると判定された。又、pH値を測定したところ、5.5〜6.0と弱酸性を示していた。

0081

分解槽内の雰囲気を酸素ガス濃度が20%、炭酸ガス濃度が約2%以下、湿度が60%程度の熟成用雰囲気に調整して静置し、1回/月程度の割合で切り返しを行った。60日経過後、有機廃棄物の表面に灰色の斑点が多数できており、近赤外反射スペクトルを測定したところ、5200cm-1における反射が0.35で三次分解完了であると判定された。pH値を測定したところ、ほぼ中性を示していた。

0082

分解槽内の有機廃棄物を取り出して1リットルビーカーに入れ、上面にミミズを載せて暗所に1日放置したところ、ミミズは有機廃棄物中に潜っており、異常はみられなかった。

発明の効果

0083

以上説明したように、本発明によれば、有機廃棄物から悪臭を放つことなく優れた堆肥を得ることができ、その工業的価値は極めて大である。また、本発明によって得られる堆肥は植物の育成を促進する成分に富み、農業生産や園芸に適した高品質の堆肥の供給が可能となる。

図面の簡単な説明

0084

図1本発明に係る堆肥化方法を実施する堆肥製造システムを示す概略構成図。
図2堆肥化を施した有機廃棄物の近赤外線反射スペクトルを示すスペクトルチャート。

--

0085

1堆肥製造システム
3搬送コンベア
7 第1分解室
9 第2分解室
11熟成室
13倉庫
15脱臭室
19 水処理/クーラント装置
21A,21B 前分解室

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