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技術 静電記録体、静電潜像記録装置および静電潜像読取装置

出願人 富士フイルムホールディングス株式会社
発明者 今井真二
出願日 1998年8月19日 (22年4ヶ月経過) 出願番号 1998-232824
公開日 2000年4月11日 (20年8ヶ月経過) 公開番号 2000-105297
状態 特許登録済
技術分野 X線可視像変換 放射線の測定 非光波を用いた撮影 放射線診断機器 固体撮像素子
主要キーワード 高速輸送 定常発光 両導電体 クシ歯 輸送キャリア 障壁電位 X線吸収 光電性
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

画像情報静電潜像として記録する静電記録において、簡易な記録読取装置により鮮鋭度の高い静電潜像の高速記録読み取りを可能ならしめる。

解決手段

記録光L1に対して透過性を有する導電体層1、記録光L1により光導電性を呈する記録用光導電層2、負電荷に対しては絶縁体として作用し、正電荷に対しては導電体として作用する光不感性を有する電荷輸送層3、読取光L2により光導電性を呈する読取用光導電層4、読取光L2に対して透過性を有する導電体層5を、この順に積層して静電記録体10を構成する。この静電記録体10に電源60により直流電圧印加して両導電体層1,5 を帯電させた後、記録用照射手段90により被写体9を爆射し、記録用光導電層2と電荷輸送層3との界面に静電潜像を記録する。読取用露光手段92により読取光L2を走査露光して、静電記録体10から流れ出電流電流検出手段70で検出することにより静電潜像を読み取る。

概要

背景

従来より、医療用X線撮影において、被験者の受ける被爆線量の減少、診断性能の向上等のために、X線感応する光導電体(例えば、セレン板等)を感光体静電記録体)として用い、該セレン板にX線により形成された静電潜像を、レーザビーム或いは多数の電極で読み取るシステムが開示されている(例えば、米国特許第4176275号, 同第5268569号, 同第5354982号, 同第4535468号、 "23027 Method and devisce for recording and transducing an electromagnetic energy pattern";Reserch Disclosure June 1983、 特開平9-5906号、米国特許第4961209号、"X-ray imaging using amorphous selenium";Med Phys.22(12)等)。

これらは、周知の撮影法であるTV撮像管による間接撮影法と比較して高解像度であること、また、ゼロラジオグラフィ法(電子X線写真法)と比較して撮影に要するX線照射量が少ないという点で優れている。

概要

画像情報を静電潜像として記録する静電記録において、簡易な記録読取装置により鮮鋭度の高い静電潜像の高速記録読み取りを可能ならしめる。

記録光L1に対して透過性を有する導電体層1、記録光L1により光導電性を呈する記録用光導電層2、負電荷に対しては絶縁体として作用し、正電荷に対しては導電体として作用する光不感性を有する電荷輸送層3、読取光L2により光導電性を呈する読取用光導電層4、読取光L2に対して透過性を有する導電体層5を、この順に積層して静電記録体10を構成する。この静電記録体10に電源60により直流電圧印加して両導電体層1,5 を帯電させた後、記録用照射手段90により被写体9を爆射し、記録用光導電層2と電荷輸送層3との界面に静電潜像を記録する。読取用露光手段92により読取光L2を走査露光して、静電記録体10から流れ出電流電流検出手段70で検出することにより静電潜像を読み取る。

目的

本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、簡便な装置でもって、読み取り時間を短縮(読取速度を向上)することを可能ならしめると共に、高い先鋭度を維持しつつ高S/Nを図ることを可能ならしめる静電記録体並びに、この静電記録体に画像情報を記録する装置および画像情報が記録された静電記録体から画像情報を読み出す装置を提供することを目的とするものである。

効果

実績

技術文献被引用数
7件
牽制数
7件

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請求項1

放射線画像情報静電潜像として記録する静電記録体において、記録用放射線に対して透過性を有する第1の導電体層、記録用の放射線の照射を受けることにより光導電性を呈する記録用光導電層、前記第1の導電体層に帯電される電荷同極性の電荷に対しては略絶縁体として作用し、かつ、該電荷と逆極性の電荷に対しては略導電体として作用する電荷輸送層、読取用の電磁波の照射を受けることにより光導電性を呈する読取用光導電層、前記読取用の電磁波に対して透過性を有する第2の導電体層を、この順に積層してなることを特徴とする静電記録体。

請求項2

前記記録用光導電層が、a−Se,PbO,PbI2 ,Bi12(Ge,Si)O20,Bi2I3/有機ポリマーナノコンポジットのうち少なくとも1つを主成分とするものであることを特徴とする請求項1記載の静電記録体。

請求項3

前記記録用光導電層の厚さが、50μm以上1000μm以下であることを特徴とする請求項2記載の静電記録体。

請求項4

前記読取用光導電層が、前記記録用の放射線の照射を受けることによっても光導電性を呈するものであることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の静電記録体。

請求項5

放射線画像情報を静電潜像として記録する静電記録体において、記録用の放射線を第1の波長領域の可視光に変換する波長変換層、前記可視光に対して透過性を有する第1の導電体層、該第1の導電体層を透過した前記可視光の照射を受けることにより光導電性を呈する記録用光導電層、前記第1の導電体層に帯電される電荷と同極性の電荷に対しては略絶縁体として作用し、かつ、該電荷と逆極性の電荷に対しては略導電体として作用する電荷輸送層、読取用の電磁波の照射を受けることにより光導電性を呈する読取用光導電層、前記読取用の電磁波に対して透過性を有する第2の導電体層を、この順に積層してなることを特徴とする静電記録体。

請求項6

前記波長変換層が、前記記録用の放射線を第2の波長領域の可視光にも変換するものであり、前記読取用光導電層が、該第2の波長領域の可視光の照射を受けることによっても光導電性を呈するものであることを特徴とする請求項5記載の静電記録体。

請求項7

前記読取用光導電層が、a−Se,Se−Te,Se−As−Te,無金属フタロシアニン金属フタロシアニン,MgPc,VoPc,CuPcのうち少なくとも1つを主成分とするものであることを特徴とする請求項1から6いずれか1項記載の静電記録体。

請求項8

前記読取用光導電層が、近紫外から青の領域の波長の電磁波に対して高い感度を有し、赤の領域の波長の電磁波に対して低い感度を有するものであることを特徴とする請求項1から6いずれか1項記載の静電記録体。

請求項9

前記読取用光導電層が、a−Se,PbI2 ,Bi12(Ge,Si)O20,ペリレンビスイミド(R=n−プロピル),ペリレンビスイミド(R=n−ネオペンチル)のうち少なくとも1つを主成分とするものであることを特徴とする請求項8記載の静電記録体。

請求項10

前記読取用光導電層が、a−Se,Se−Te,Se−As−Teのうち少なくとも1つを主成分とするものであることを特徴とする請求項4記載の静電記録体。

請求項11

前記電荷輸送層が、PVK,TPD,TPDのポリマー分散物,Clを10〜200ppmドープしたa−Seのうち少なくとも1つを主成分とするものであることを特徴とする請求項1から10いずれか1項記載の静電記録体。

請求項12

前記電荷輸送層の膜厚垂直方向電荷移動度が膜厚水平方向の電荷移動度よりも大きいことを特徴とする請求項1から10いずれか1項記載の静電記録体。

請求項13

前記電荷輸送層が、前記第1の導電体層に帯電される電荷と同極性の電荷に対しては略絶縁体として作用する性質を有する材料からなる第1の電荷輸送層と、前記帯電される電荷と逆極性の電荷に対して略導電体として作用する性質を有する材料からなる第2の電荷輸送層とを少なくとも含み、前記第1の電荷輸送層が前記記録用光導電層側となり前記第2の電荷輸送層が前記読取用光導電層側となるように積層してなるものであることを特徴とする請求項1から10いずれか1項記載の静電記録体。

請求項14

前記第1の電荷輸送層が有機系の材料からなるものであり、前記第2の電荷輸送層がSe系の材料からなるものであることを特徴とする請求項13記載の静電記録体。

請求項15

前記第1の電荷輸送層がPVKあるいはTPDのうち少なくとも一方からなる層であり、前記第2の電荷輸送層がClを10〜200ppmドープしたa−Se層であることを特徴とする請求項14記載の静電記録体。

請求項16

前記第1の導電体層に帯電される電荷の前記記録用光導電層への注入を阻止する第1のブロッキング層を前記第1の導電体層と前記記録用光導電層との間に積層したものであることを特徴とする請求項1から15いずれか1項記載の静電記録体。

請求項17

前記第2の導電体層に帯電される電荷の前記読取用光導電層への注入を阻止する第2のブロッキング層を前記第2の導電体層と前記読取用光導電層との間に積層したものであることを特徴とする請求項1から16いずれか1項記載の静電記録体。

請求項18

前記読取用光導電層の厚さと前記電荷輸送層の厚さの和が、前記記録用光導電層の厚さの1/2以下であることを特徴とする請求項1から17いずれか1項記載の静電記録体。

請求項19

前記厚さの和が、前記記録用光導電層の厚さの1/10以下であることを特徴とする請求項18記載の静電記録体。

請求項20

前記厚さの和が、前記記録用光導電層の厚さの1/20以下であることを特徴とする請求項19記載の静電記録体。

請求項21

前記電荷輸送層は、前記第1の導電体層に帯電される電荷と同極性の電荷の移動度が前記逆極性の電荷の移動度に対して1/102 以下であることを特徴とする請求項1から20いずれか1項記載の静電記録体。

請求項22

前記電荷輸送層は、前記第1の導電体層に帯電される電荷と同極性の電荷の移動度が前記逆極性の電荷の移動度に対して1/103 以下であることを特徴とする請求項21記載の静電記録体。

請求項23

前記第2の導電体層がクシ歯状に形成されたものであることを特徴とする請求項1から22いずれか1項記載の静電記録体。

請求項24

前記クシ歯の幅が、該クシ歯のピッチの75%以下であることを特徴とする請求項23記載の静電記録体。

請求項25

前記第2の導電体層のクシ歯の間が、前記読取用の電磁波に対して遮断性を有するものであることを特徴とする請求項23または24記載の静電記録体。

請求項26

前記クシ歯が、該クシ歯の長手方向の画素間が前記読取用の電磁波に対して遮断性を有するものであることを特徴とする請求項23から25いずれか1項記載の静電記録体。

請求項27

前記読取用光導電層の厚さと前記電荷輸送層の厚さの和が前記クシ歯のピッチと略同等若しくはそれ以下であることを特徴とする請求項23から26いずれか1項記載の静電記録体。

請求項28

前記読取用の電磁波に対して、共に透過性を有する絶縁層と第3の導電体層とを、この順に前記第2の導電体層に積層したものであり、該第3の導電体層が、前記第2の導電体層のクシ歯と略直交してクシ歯状に形成されたものであることを特徴とする請求項23から27いずれか1項記載の静電記録体。

請求項29

前記第3の導電体層のクシ歯の間が、前記読取用の電磁波に対して遮断性を有するものであることを特徴とする請求項28記載の静電記録体。

請求項30

前記第3の導電体層のクシ歯の幅が、該クシ歯のピッチの75%以下であることを特徴とする請求項28または29記載の静電記録体。

請求項31

前記読取用光導電層の厚さと前記電荷輸送層の厚さの和が前記第3の導電体層のクシ歯のピッチと略同等若しくはそれ以下であることを特徴とする請求項28から30いずれか1項記載の静電記録体。

請求項32

請求項1から27いずれか1項記載の静電記録体に放射線画像情報を静電潜像として記録する装置において、前記静電記録体の第1の導電体層と第2の導電体層との間に所定の直流電圧印加する電源と、前記画像情報担持する記録用の放射線を前記静電記録体の記録用光導電層に照射する記録用照射手段とを備えるものであり、前記放射線の照射により、前記第1の導電体層に帯電される電荷と同じ極性の電荷を、前記静電記録体の記録用光導電層と電荷輸送層との略界面に蓄積せしめることにより、前記画像情報を静電潜像として記録することを特徴とする静電潜像記録装置

請求項33

請求項28から31いずれか1項記載の静電記録体に放射線画像情報を静電潜像として記録する装置において、前記静電記録体の第1の導電体層と第3の導電体層との間に所定の直流電圧を印加する電源と、前記画像情報を担持する記録用の放射線を前記第1の導電体層側に照射する記録用照射手段とを備えるものであり、前記放射線の照射により、前記第1の導電体層に帯電される電荷と同じ極性の電荷を、前記静電記録体の記録用光導電層と電荷輸送層との略界面に蓄積せしめることにより、前記画像情報を静電潜像として記録することを特徴とする静電潜像記録装置。

請求項34

前記記録用の放射線を照射する前に、所定の量の電磁放射線を前記第2の導電体層に照射する前露光手段を更に備えるものであることを特徴とする請求項32または33記載の静電潜像記録装置。

請求項35

放射線画像情報が静電潜像として予め記録された請求項1から31いずれか1項記載の静電記録体の第2の導電体層側に、読取用の電磁波を走査露光する読取用露光手段と、前記読取用の電磁波の走査露光により、前記静電潜像に応じて前記静電記録体から流れ出電流を、前記第1または第2の導電体層を介して検出する電流検出手段とを備えたことを特徴とする静電潜像読取装置

請求項36

さらに、前記静電記録体の第1の導電体層と、第2の導電体層または前記電流検出手段とを選択的に接続する接続手段を備えるものであり、最初に前記第1の導電体層と第2の導電体層を接続して両導電体層を同電位に帯電させた後に、前記第1の導電体層と前記電流検出手段とを接続することにより前記電流を検出することを特徴とする請求項35記載の静電潜像読取装置。

請求項37

前記静電記録体が請求項8または9記載の前記静電記録体であって、前記読取用露光手段が、近紫外から青の領域の波長の電磁波を走査露光するものであることを特徴とする請求項35または36記載の静電潜像読取装置。

請求項38

前記静電記録体が請求項1から31いずれか1項記載の前記静電記録体であって、前記読取用露光手段が、前記読取用の電磁波をビーム状に形成しつつ走査露光するものであることを特徴とする請求項35から37いずれか1項記載の静電潜像読取装置。

請求項39

前記静電記録体が請求項23から31いずれか1項記載の前記静電記録体であって、前記読取用露光手段が、ライン状に略一様な前記読取用の電磁波を前記第2の導電体層のクシ歯と略直交させつつ、前記第2の導電体層のクシ歯の長手方向に走査露光するものであり、前記電流検出手段が、前記静電記録体から流れ出す電流を前記クシ歯毎に検出するものであることを特徴とする請求項35から38いずれか1項記載の静電潜像読取装置。

請求項40

前記静電記録体が請求項28から31いずれか1項記載の前記静電記録体であって、前記静電記録体の第2の導電体層と第3の導電体層を接続する第2の接続手段を備えるものであることを特徴とする請求項39記載の静電潜像読取装置。

請求項41

前記読取用露光手段が、略画素毎にパルス状に前記読取用の電磁波を照射するものであることを特徴とする請求項38から40いずれか1項記載の静電潜像読取装置。

請求項42

前記電流検出手段が、該電流検出手段に流れる電流による電荷を蓄積する積分コンデンサと、該積分コンデンサに蓄積された電荷を放電する放電手段とを備えるものであり、該積分コンデンサに蓄積される電荷を画素毎に検出することにより前記電流を検出するものであることを特徴とする請求項35から41いずれか1項記載の静電潜像読取装置。

請求項43

前記第1の導電体層と前記電流検出手段とを、所定の直流電圧を有するバイアス電源を介して接続したものであることを特徴とする請求項35から42いずれか1項記載の静電潜像読取装置。

請求項44

前記バイアス電源が、前記静電潜像を記録するに際して用いられる電源であることを特徴とする請求項43記載の静電潜像読取装置。

技術分野

0001

本発明は、画像情報X線等の放射線照射により形成される静電電荷パターン静電潜像)として記録することのできる静電記録体、並びに、この静電記録体に画像情報を記録する装置および画像情報が記録された静電記録体から画像情報を読み出す装置に関するものである。

背景技術

0002

従来より、医療用X線撮影において、被験者の受ける被爆線量の減少、診断性能の向上等のために、X線に感応する光導電体(例えば、セレン板等)を感光体(静電記録体)として用い、該セレン板にX線により形成された静電潜像を、レーザビーム或いは多数の電極で読み取るシステムが開示されている(例えば、米国特許第4176275号, 同第5268569号, 同第5354982号, 同第4535468号、 "23027 Method and devisce for recording and transducing an electromagnetic energy pattern";Reserch Disclosure June 1983、 特開平9-5906号、米国特許第4961209号、"X-ray imaging using amorphous selenium";Med Phys.22(12)等)。

0003

これらは、周知の撮影法であるTV撮像管による間接撮影法と比較して高解像度であること、また、ゼロラジオグラフィ法(電子X線写真法)と比較して撮影に要するX線照射量が少ないという点で優れている。

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、上記各システムは何れも、セレン板のX線吸収能の低い欠点を補うために膜厚を厚くすると読取速度が低下するということ、さらに、セレンの厚さ方向の幾何学的精度に起因するノイズストラクチャノイズ)を拾いやすいという共通の問題を有している。

0005

また、米国特許第4176275号,同第5268569号,同第5354982号 によるシステムでは、厚みを必要とする記録用X線光導電層読み取りのための光導電層として共通に用いるため検出速度が遅く、また、潜像形成後少なくとも読出しを開始してから終了するまでの間、光導電層に高圧印加するため、暗電流による電荷潜像電荷加算され、低線量域でのコントラストを低下させるという問題がある。さらには、再記録のためには、消去プロセスを必要とするという固有の問題を有する。

0006

また、特開平9-5906号やReserch Disclosure June 1983によるシステムでは、記録用のX線光導電層と読み取り用の光導電層を別々に設けたことにより、検出速度については改善され、また消去も不要となっているが、潜像形成後、読出しを開始してから終了するまでの間(一般には数秒間)は高圧を印加するため、やはり暗電流による電荷が潜像電荷に加算され、低線量域でのコントラストを低下させるという問題がある。

0007

一方、読取時は高圧を印加せず、記録側と読取側の電極をショートして読み出す方法についても述べられているが、この場合にも、X線照射前の一様露光による中間界面への蓄積電荷により予め一様電荷分布が形成され、ショート時、読取用光導電層には該蓄積電荷による高圧が印加される。このため、暗電流による該電荷のリークにより、やはり低線量域でのコントラストが低下するという問題がある。

0008

また、特開平9-5906号やReserch Disclosure June 1983によるシステムでは、1次露光用の投光照明光源を必要とし、コストアップ、装置の大型化を招くこと、さらに、一様な投光照明を行うことは困難であり、また、投光照明とX線撮影のタイミングを合わせるのは困難であるという問題を有する。

0009

また、米国特許同第4535468号によるシステムでは、X線光導電層と読取用光導電層と電荷がトラップとして蓄積される中間層の3層構成からなるシステムが開示されている。このシステムは、記録時に高圧を印加してX線を照射して潜像電荷を中間層に蓄積した後、ショートして読み出すものであり、読取用光導電層を薄くすることで速度については改善され、また、X線潜像を中間層に蓄積後は高圧を印加せずショートし、読取中もショート状態であるため、蓄積した潜像電荷は暗電流によりリーク(減衰)していくが、上述のものとは異なり、潜像電荷量に応じてリークするため低線量域のコントラスト低下は軽減される。

0010

しかしながら、記録用のX線を照射する前にも長時間に亘って高圧を印加しているのが一般的であり、この場合、記録用のX線照射前に印加される高圧に伴う暗電流によるオフセット的な電荷成分は存在し除去することができない。また、読取用光導電層をX線光導電層に比べ薄くしているので、外部に検出される信号電荷量が小さいという問題がある。更に、中間層は、電子およびホールともに電荷移動度が小さいため、厚くすることができない。これは、電荷移動度を大きくすると応答が遅くなったり、残像になるからである。すなわち、このシステムでは、応答,電荷蓄積能力および効率的な信号電荷量の取り出しの両立は困難である。

0011

また、上記何れのシステムも、レーザビーム等のスポット光走査して記録を行うものであり、潜像電荷が蓄積される場所すなわち画素ピクセルが固定されず、いわゆるストラクチャーノイズの補正を行うことが困難である。

0012

本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、簡便な装置でもって、読み取り時間を短縮(読取速度を向上)することを可能ならしめると共に、高い先鋭度を維持しつつ高S/Nを図ることを可能ならしめる静電記録体並びに、この静電記録体に画像情報を記録する装置および画像情報が記録された静電記録体から画像情報を読み出す装置を提供することを目的とするものである。

課題を解決するための手段

0013

本発明にかかる静電記録体は、放射線画像情報を静電潜像として記録する静電記録体において、記録用光導電層と読取用光導電層とを、一の極性の電荷に対してのみ導電体として作用する電荷輸送層を介して積層し、記録用光導電層と電荷輸送層との界面に電荷を蓄積することにより画像情報を静電潜像として記録し得るように構成したものであることを基本的特徴とするものである。即ち、本発明にかかる第1の静電記録体は、記録用のX線等の放射線に対して透過性を有する第1の導電体層、記録用の放射線の照射を受けることにより光導電性を呈する記録用光導電層、前記第1の導電体層に帯電される電荷と同極性の電荷に対しては略絶縁体として作用し、かつ、この電荷と逆極性の電荷に対しては略導電体として作用する電荷輸送層、読取用の電磁波の照射を受けることにより光導電性を呈する読取用光導電層、前記読取用の電磁波に対して透過性を有する第2の導電体層を、この順に積層してなることを特徴とするものである。

0014

この第1の静電記録体の記録用光導電層は、a−Se,PbO,PbI2 ,Bi12(Ge,Si)O20,Bi2I3/有機ポリマーナノコンポジットのうち少なくとも1つを主成分とするものであること、また、その層の厚さが、50μm以上1000μm以下であることが好ましい。

0015

さらに、上記第1の静電記録体においては、前記読取用光導電層が、前記記録用の放射線の照射を受けることによっても光導電性を呈するものであることが望ましい。

0016

なお、上記において「電磁波」とあるのは、赤外光可視光等のいわゆる光をも含むものであり、後述の静電潜像を読み取るに際して、使用し得るものであればいかなる波長のものであってもよい。以下同様である。

0017

本発明にかかる第2の静電記録体は、放射線画像情報を静電潜像として記録する静電記録体において、上記静電記録体と同様に記録用光導電層と読取用光導電層とを、一の極性の電荷に対してのみ導電体として作用する電荷輸送層を介して積層したものであること、並びに前記X線等の放射線を波長変換層により一旦別な波長領域の光に波長変換し、該波長変換された光を前記記録用光導電層に照射して静電潜像を記録し得るように構成したものであることを基本的特徴とするものである。即ち、本発明にかかる第3の静電記録体は、記録用の放射線を第1の波長領域の可視光に変換するX線シンチレータ等の波長変換層、前記可視光に対して透過性を有する第1の導電体層、この第1の導電体層を透過した前記可視光の照射を受けることにより光導電性を呈する記録用光導電層、前記第1の導電体層に帯電される電荷と同極性の電荷に対しては略絶縁体として作用し、かつ、該電荷と逆極性の電荷に対しては略導電体として作用する光不感性を有する電荷輸送層、読取用の電磁波の照射を受けることにより光導電性を呈する読取用光導電層、前記読取用の電磁波に対して透過性を有する第2の導電体層を、この順に積層してなることを特徴とするものである。

0018

上記第2の静電記録体においては、前記波長変換層が、前記記録用の電磁放射線を第2の波長領域の可視光にも変換するものであり、前記読取用光導電層が、該第2の波長領域の可視光の照射を受けることによって光電性を呈するものであることが望ましい。

0019

上記何れの静電記録体においても、読取用光導電層は、a−Se,Se−Te,Se−As−Te,無金属フタロシアニン金属フタロシアニン,MgPc,VoPc,CuPcのうち少なくとも1つを主成分とするものであるのが好ましい。

0020

また、上記何れの静電記録体においても、読取用光導電層は、近紫外から青の領域の波長(300〜550nm)の電磁波に対して高い感度を有し、赤の領域の波長(700nm以上)の電磁波に対して低い感度を有するものであればより好ましく、具体的には、a−Se,PbI2,Bi12(Ge,Si)O20,ペリレンビスイミド(R=n−プロピル),ペリレンビスイミド(R=n−ネオペンチル)のうち少なくとも1つを主成分とするものであるのが好ましい。

0021

上記記録用の放射線の照射を受けることによっても光導電性を呈する静電記録体の読取用光導電層は、a−Se,Se−Te,Se−As−Teのうち少なくとも1つを主成分とするものであればより好ましい。

0022

また、上記何れの静電記録体においても、電荷輸送層は、PVK,TPD,TPDのポリマー分散物,Clを10〜200ppmドープしたa−Seのうち少なくとも1つを主成分とするものであるのが好ましい。

0023

さらに、上記何れの静電記録体においても、電荷輸送層の膜厚垂直方向の電荷移動度が膜厚水平方向の電荷移動度よりも大きいのが望ましい。

0024

さらにまた、上記何れの静電記録体においても、電荷輸送層は、第1の導電体層に帯電される電荷と同極性の電荷に対しては略絶縁体として作用する性質を有する材料からなる第1の電荷輸送層と、帯電される電荷と逆極性の電荷に対して略導電体として作用する性質を有する材料からなる第2の電荷輸送層とを少なくとも含み、第1の電荷輸送層が記録用光導電層側となり第2の電荷輸送層が読取用光導電層側となるように積層してなるものであるのが望ましい。また、第1の電荷輸送層が有機系の材料からなるものであり、第2の電荷輸送層がSe系の材料からなるものであればより望ましく、具体的には、第1の電荷輸送層がPVKあるいはTPDのうち少なくとも一方からなる層であり、第2の電荷輸送層がClを10〜200ppmドープしたa−Se層であるのが望ましい。なお、この場合、第2の電荷輸送層の方が第1の電荷輸送層よりも膜厚を厚くするのが望ましい。

0025

また、上記何れの静電記録体においても、前記第1の導電体層に帯電される電荷の前記記録用光導電層への注入を阻止する第1のブロッキング層を前記第1の導電体層と前記記録用光導電層との間に積層したもの、或いは、前記第2の導電体層に帯電される電荷の前記読取用光導電層への注入を阻止する第2のブロッキング層を前記第2の導電体層と前記読取用光導電層との間に積層したものであることが望ましい。

0026

また、前記読取用光導電層の厚さと前記電荷輸送層の厚さの和が、前記記録用光導電層の厚さの1/2以下であればより好ましく、さらに、1/10以下であればより好ましく、1/20以下であれば一層好ましい。

0027

また、上記何れの静電記録体においても、前記電荷輸送層は、前記第1の導電体層に帯電される電荷と同極性の電荷の移動度が、前記逆極性の電荷の移動度に対して1/102 以下であるのが好ましく、1/103 以下であれば一層好ましい。

0028

また、上記何れの静電記録体においても、前記第2の導電体層がクシ歯状に形成された読取用クシ電極を有するものであることが望ましい。

0029

さらに、前記クシ歯の幅が、このクシ歯のピッチの75%以下でることが好ましく、また、前記クシ歯の間が、前記読取用の電磁波に対して遮断性を有するものであればなお好ましく、さらには、このクシ歯の長手方向の画素間が前記読取用の電磁波に対して遮断性を有するものでることが望ましい。

0030

この読取用クシ電極を有する静電記録体の読取用光導電層の厚さと電荷輸送層の厚さの和は、クシ歯のピッチと略同等若しくはそれ以下であるのが好ましい。

0031

また、上記読取用クシ電極を有する静電記録体においては、前記読取用の電磁波に対して、共に透過性を有する絶縁層と第3の導電体層とを、この順に前記第2の導電体層に積層したものであり、この第3の導電体層が、前記第2の導電体層のクシ歯と略直交してクシ歯状に形成された記録用クシ電極を有するものであれば一層望ましい。

0032

さらに、前記第3の導電体層のクシ歯の間が、前記読取用の電磁波に対して遮断性を有するものであることが望ましいく、また、前記第3の導電体層のクシ歯の幅がこのクシ歯のピッチの75%以下であればなお好ましい。

0033

この記録用クシ電極を有する静電記録体の読取用光導電層の厚さと電荷輸送層の厚さの和は、第3の導電体層のクシ歯のピッチと略同等若しくはそれ以下であるのが好ましい。

0034

本発明にかかる第1の静電潜像記録装置は、上記いずれかの静電記録体に放射線画像情報を静電潜像として記録する装置であって、前記静電記録体の第1の導電体層と第2の導電体層との間に所定の直流電圧を印加する電源と、前記画像情報を担持する記録用の放射線を前記静電記録体の記録用光導電層に照射する記録用照射手段とを備えるものであり、前記放射線の照射により、前記第1の導電体層に帯電される電荷と同じ極性の電荷を、前記静電記録体の記録用光導電層と電荷輸送層との略界面に蓄積せしめることにより、前記画像情報を静電潜像として記録することを特徴とするものである。

0035

本発明にかかる第2の静電潜像記録装置は、上記記録用クシ電極を有するいずれかの静電記録体に放射線画像情報を静電潜像として記録する装置であって、前記静電記録体の第1の導電体層と第3の導電体層との間に所定の直流電圧を印加する電源と、前記画像情報を担持する記録用の放射線を前記第1の導電体層側に照射する記録用照射手段とを備えるものであり、前記放射線の照射により、前記第1の導電体層に帯電される電荷と同じ極性の電荷を、前記静電記録体の記録用光導電層と電荷輸送層との略界面に蓄積せしめることにより、前記画像情報を静電潜像として記録することを特徴とするものである。

0036

上記いずれの静電潜像記録装置においても、記録用の放射線を照射する前に、所定の量の電磁放射線を第2の導電体層に照射する前露光手段を更に備えるものであることが望ましい。

0037

本発明にかかる静電潜像読取装置は、放射線画像情報が静電潜像として予め記録された上記いずれかの静電記録体から静電潜像を読み取る装置であって、この静電記録体の第2の導電体層側に、読取用の電磁波を走査露光する読取用露光手段と、前記読取用の電磁波の走査露光により、前記静電潜像に応じて前記静電記録体から流れ出電流を、前記第1または第2の導電体層を介して検出する電流検出手段とを備えたことを特徴とするものである。

0038

また、上記静電潜像読取装置においては、さらに、前記静電記録体の第1の導電体層と、第2の導電体層または前記電流検出手段とを選択的に接続する接続手段を備えるものであり、最初に前記第1の導電体層と第2の導電体層を接続して両導電体層を同電位に帯電させた後に、前記第1の導電体層と前記電流検出手段とを接続することにより電流を検出するものであることが望ましい。

0039

上記いずれの静電潜像読取装置においても、静電記録体の読取用光導電層が、近紫外から青の領域の波長(300〜550nm)の電磁波に対して高い感度を有し、赤の領域の波長(700nm以上)の電磁波に対して低い感度を有するものである場合には、読取用露光手段が、近紫外から青の領域の波長の電磁波を走査露光するものであるのが望ましい。

0040

ここで、前記読取用露光手段が、前記読取用の電磁放射線をビーム状に形成しつつ走査露光するものであることが望ましい。

0041

また、特に上記読取用クシ電極を有する静電記録体から静電潜像を読み取る装置においては、前記読取用露光手段が、ライン状に略一様な前記読取用の電磁波を前記第2の導電体層のクシ歯と略直交させつつ、前記第2の導電体層のクシ歯の長手方向に走査露光するものであり、前記電流検出手段が、前記静電記録体から流れ出す電流を前記クシ歯毎に検出するものであることが望ましい。

0042

さらに、上記記録用クシ電極を有する静電記録体から静電潜像を読み取る装置においては、前記静電記録体の第2の導電体層と第3の導電体層を接続する第2の接続手段を備えるものであることが望ましい。

0043

また、上記静電潜像読取装置においては、さらに、前記読取用露光手段が、略画素毎にパルス状に前記読取用の電磁波を照射するものであることが望ましい。

0044

この場合、さらに、前記電流検出手段が、該電流検出手段に流れる電流による電荷を蓄積する積分コンデンサと、該積分コンデンサに蓄積される電荷を選択的に放電する放電手段とを備え、該積分コンデンサに蓄積される電荷を画素毎に検出することにより前記電流を検出するもの、或いは、前記第1の導電体層と前記電流検出手段とを、所定の直流電圧を有するバイアス電源を介して接続したものであればなお望ましく、さらに、前記バイアス電源が、前記静電潜像を記録するに際して用いられる電源であれば一層好ましい。

発明の効果

0045

本発明にかかる静電記録体,静電潜像記録装置および静電潜像読取装置によれば、先ず静電記録体を、上述のように記録用光導電層と読取用光導電層とを、例えば正電荷に対してのみ導電体として作用する電荷輸送層を介して積層した3層構造とし、記録用光導電層と電荷輸送層との界面に電荷を蓄積することにより画像情報を静電潜像として記録し得るように構成したので、該静電記録体に静電潜像を記録するに際しては、該3層構造を挟む両導電体層を所定の電位に帯電させて記録用の放射線を記録用光導電層に照射するだけでよく、記録に先立って一様露光を行って静電記録体を1次帯電させておく必要がないから、一様露光のための露光手段を備える必要がなく記録装置を簡易なものとすることができる。

0046

また、本発明にかかる静電記録体,静電潜像記録装置および静電潜像読取装置によれば、記録用の放射線を記録用光導電層に照射するに先立ち、該3層構造を挟む両導電体層を所定の電位に帯電させた際、記録用光導電層で発生した暗電流,特に第1の導電体層から記録用光導電体層に注入された暗電流(例えば、電子)は電荷輸送層界面に達し蓄積する。また、読取用光導電層で発生した暗電流,特に第2の導電体層から読取用光導電体層に注入された暗電流(上記電子の例ではホール)は電荷輸送層を通過し前記蓄積した電子を中和する。ここで、2つの導電体層或いは2つの光導電層の条件(材質或いは厚み等)を調整すれば、界面に到達する電子よりもホールの方が若干多数となる条件にすることは可能である。ホールが多数の場合、余剰のホールは界面に蓄積することなく、概略記録用光導電体に注入されドリフトして電極に達する。こうすれば、記録用の放射線の潜像電荷にオフセット的に加わる暗電子を極めて低く抑えることができるので、S/Nのよいものが容易に実現できる。

0047

さらに界面に到達するホールが電子よりも若干少数となる条件に調整することが可能である。電子が多数の場合、余剰の電子は界面に蓄積するが、記録用の放射線を照射する直前に、読取用光導電体に一様に所定量の前露光を行うことにより適正量のホールを発生させ、界面の余剰電子を中和することができる。勿論、このとき余剰ホールは上記同様界面に蓄積せず電極に達する。

0048

こうして、この場合にもオフセット的に加わる暗電子を極めて低く抑えることができるので、S/Nのよいものが容易に実現できる。

0049

なお、後者の方がS/N的にはより好ましい。なぜならば、後者の場合、読取用光導電層の暗抵抗は大きく読み取り終了までの時間過程で信号が減衰(フェーディング)することを防止することができるからである。

0050

さらには、前回記録の残潜像が残っている場合には後者が好ましい。

0051

また、輸送電荷層と記録用光導電層との間に若干の電荷(ホール)注入障壁が生じる場合、ここに若干のホールが蓄積する。しかしながら、このことはしばしば好ましい効果をもたらす。すなわち、蓄積した若干のホールにより読取用光導電層のバンド構造フラット化光入射電極と光導電層の接触界面で生じる光起電力打ち消し、ノイズ電流を低減する効果がある。

0052

一方、記録された静電潜像を読み取るに際しては、読取用の電磁波を比較的薄い読取用光導電層側から照射することができるので、高圧を印加することなく強電界の下で静電潜像を高速に読み取ることができ、さらに、読み出された後の静電記録体には電荷の蓄積が殆どないから、読み出した後に再度記録を行う場合に消去プロセスを必要とせず、消去プロセスのための露光手段を備える必要が基本的にはなく読取装置を簡易なものとすることができる。

0053

また、記録用光導電層の厚さを、50μm以上1000μm以下とすれば、該記録用光導電層が記録用の放射線を十分に吸収することができ、潜像電荷量を多くすることができるから、S/Nのよいものとすることができる。

0054

さらに、上記静電記録体において、読取用光導電層が記録用の放射線に対しても光導電性を呈するようにすれば、過剰電荷の蓄積防止を図ることができ、これにより静電潜像の読み取りに際して蓄積電荷量に略比例する暗電流を小さくでき、ひいては読取画像のS/N改善を図ることができるようになる。

0055

本発明にかかる第2の静電記録体のように、X線等の放射線を波長変換層により一旦別な波長領域の可視光に波長変換した後、該波長変換された可視光を記録用光導電層に照射して静電潜像を記録し得るように構成すれば、該可視光により記録用光導電層で発生せしめられる電荷対発生効率を高めることができ、ひいてはX線照射量を少なくでき、もって被験者(被写体)の被爆線量を低く抑えることができるようになる。

0056

また、可視光の照射により光導電性を呈する記録用光導電層は、比較的薄くすることができるので信号の取り出し効率を大きくすることができる。

0057

また、X線等の放射線を、さらに異なる波長領域の第2の可視光にも波長変換し、読取用光導電層がこの第2の可視光に対しても光導電性を呈するようにすれば、上記同様に、過剰電荷の蓄積防止を図ることができ、これにより静電潜像の読み取りに際して蓄積電荷量に略比例する暗電流を小さくでき、ひいては読取画像のS/N改善を図ることができるようになる。

0058

静電記録体の読取用光導電層としては、上述のように種々のものを使用できるが、近紫外から青の領域の波長(300〜550nm)の電磁波に対して高い感度を有し、赤の領域の波長(700nm以上)の電磁波に対して低い感度を有するものを使用すれば、バンドギャップが大きく熱による暗電流の発生が小さい読取用光導電層にすることができるので、暗電流によるノイズを小さくすることができる。

0059

電荷輸送層の膜厚垂直方向の電荷移動度を膜厚水平方向の電荷移動度よりも大きいものとすれば、膜厚垂直方向すなわち厚み方向に高速で電荷移動し、膜厚水平方向すなわち横方向には電荷移動しにくいものとすることができるので、鮮鋭度を向上させることができる。

0060

電荷輸送層を、第1の導電体層に帯電される電荷(潜像極性電荷)と同極性の電荷に対しては略絶縁体として作用する性質を有する材料からなる第1の電荷輸送層と、潜像極性電荷と逆極性の電荷(輸送極性電荷)に対して略導電体として作用する性質を有する材料からなる第2の電荷輸送層とを少なくとも含み、第1の電荷輸送層が記録用光導電層側となり第2の電荷輸送層が読取用光導電層側となるように積層したものとすれば、第2の電荷輸送層に輸送極性電荷の高速輸送性を受け持たせ、第1の電荷輸送層に潜像極性電荷に対して強い絶縁性を受け持たせることができるので、電荷輸送層として理想的なものにすることができる。

0061

なお、2層に限らず、さらに複数の層からなるものとしてもよいが、この場合に各層を積層する際には、各層の上記各性質を夫々比較したときに、第1の導電体層に帯電される電荷と同極性の電荷に対しては略絶縁体として作用する性質が比較的強い層が記録用光導電層側となり、帯電される電荷と逆極性の電荷に対して略導電体として作用する性質が比較的強い層が読取用光導電層側となるように積層すればよい。

0062

このように、電荷輸送層に使用する材料を選択したり、多層構造にすることにより、輸送極性電荷の電荷移動度を大きくとることが可能になるので、厚みに制限が無く、応答と電荷蓄積応力の両立が可能となる。また、電荷輸送層内輸送キャリアのトラップを小さくできるので、膜厚を厚くしても残像が残りにくい。

0063

また、導電体層と記録用ないしは読取用光導電層との間にブロッキング層を積層すれば、読取画像のノイズ成分となる導電体層からの電荷注入を防止でき、またブロッキング層の材質或いは厚み等を調整すれば、両導電体層からの電荷注入のバランス調整を効果的にできるようになり、もって読取画像のS/N改善を図ることができるようになる。

0064

また、前記読取用光導電層の厚さと前記電荷輸送層の厚さの和が、前記記録用光導電層の厚さより薄くすることにより(例えば1/2以下、さらに1/10以下、さらには1/20以下)、強電界下で蓄積電荷(静電潜像)を読み取ることができ、もって静電潜像の読取りを高速に行うことができるようになる。

0065

さらに、電荷輸送層における静電潜像として蓄積される電荷の移動度が、それとは逆極性の電荷の移動度より十分小さければ(具体的には1/102 以下、更に好ましくは1/103 以下)、蓄積電荷の蓄積性が向上し、もって静電潜像の保存性を向上させることができる。

0066

また、読取用光導電層に積層された導電体層をクシ歯状にした読取用クシ電極とすれば、蓄積電荷をクシ歯に集中させることができ、各クシ歯間での蓄積電荷の分離を図ることができるようになり、もって静電潜像のクシ歯の配列方向の鮮鋭度を向上させることができる。この場合、画素ピッチに対応するクシ歯のピッチより、電荷輸送層と読取用光導電層の厚みの和が略同等若しくはそれ以下とすれば、静電潜像の鮮鋭度を更に向上させることができる。

0067

さらに、クシ歯状の導電体層のため読取電極の面積が小さくなり、読取用光導電層と電荷輸送層を介して潜像形成界面との間で形成される容量が実質的に減少する。

0068

一方で、記録用光導電層を介してもう一方の電極と潜像形成界面で形成される容量には実質的に大きな影響が現れない。この結果、記録用光導電層に対して薄い電荷輸送層と読取用光導電層を用いているにも拘わらず読取時の信号の取り出し効率を大きくすることが可能である。

0069

さらにまた、読取用露光手段としてライン状に一様な光をクシ歯の長手方向に走査露光するものを使用できるようになるから、読取用露光手段を簡易な構成とすることができる。さらに、クシ歯状の導電体層のため読取電極の面積が小さくなり、分布容量が小さくノイズの影響を受けにくくなると共に、画素ピクセルを少なくともクシ歯間隔で固定することができるので、読み出された静電潜像の画像データの補正をクシ歯の配置に合わせてできるようになり、ストラクチャーノイズの補正を行うことが可能となる。

0070

また、読取時の電界の強度もクシ歯に集中して、より強電界且つ分離されるようになるから読取時の鮮鋭度も信号の強度も向上することになる。特に、クシ歯の幅をクシピッチの75%以下とすればその効果が増大する。また、クシ歯の長手方向にも画素間隔で遮断性を有するものとすれば、ライン状の光源で走査露光しているにも拘わらず実質的に小さなビームスポットで走査露光したこととなり、より高い鮮鋭度の読取画像を得ることができるようになる。さらに、読取用光導電層の厚さと電荷輸送層の厚さの和を、クシ歯のピッチと略同等若しくはそれ以下とすれば、記録用光導電層と電荷輸送層との界面に電界が概略存在しない部分を明確に形成することができるようになり、鮮鋭度をより向上させることができる。

0071

また、読取用クシ電極に直交するように記録用クシ電極を積層すれば、記録時の電界の分布が両クシ歯の交差する所に収束せしめられ、この収束した所に電荷が集中して蓄積されるようになるから、クシ歯の長手方向にも鮮鋭度の高い静電潜像を記録することができるようになる。さらに、実質的に電荷輸送層と読取用光導電層の容量を減少させて、読取時の信号の取り出し効率を大きくすることができる。この際、クシ歯の幅がクシピッチの75%以下としたり、或いは、記録用クシ歯の間を遮断性を有するものとすれば一層その効果が増大する。

0072

また、本発明にかかる静電潜像記録装置は上記各種静電記録体に画像情報を静電潜像として記録するものであり、上述のように記録用光導電層、電荷輸送層、読取用光導電層の3層構造を挟む両導電体層を所定の電位に帯電させるだけでよく、極めて簡易な記録装置を実現することかできる。特に、記録用クシ電極を備えた静電記録体に静電潜像を記録するものにあっても、記録装置としては特に変更を要せず電圧を印加する電極を変更するだけで良く、これだけでクシ歯の長手方向に鮮鋭度を飛躍的に改善できるから、当該記録装置の果たす役割は極めて大きい。

0073

さらに、記録用の放射線を照射する前に、所定の量の電磁放射線を第2の導電体層に照射するようにすれば、記録光を照射する前の静電記録体に蓄積されている不要電荷を消去することができるので、該不要電荷を原因とする残像現象やS/N劣化等の問題を解消することができる。

0074

また、本発明にかかる静電潜像読取装置は静電潜像が記録された上記各種静電記録体から静電潜像を読み取るものであり、上述のように比較的薄い読取用光導電層側から読取用の走査露光を行うことができるので、強電界の下で静電潜像を高速に読み取ることができ、さらに、読み出された後の静電記録体には電荷の蓄積がないから、読み出した後に再度記録を行う場合に消去プロセスを必要とせず、消去プロセスのための露光手段を備える必要がなく極めて簡易な読取装置を実現することかできる。また、読取用走査露光のための露光手段(光源)としてはいわゆるレーザビームを使用することもでき、或いは読取用クシ電極を備えた静電記録体から静電潜像を読み取るものにあってはライン状光源を用いることも可能であり、特に特殊な光源装置走査露光装置を必要とすることもない。

0075

また、読取光をパルス状に走査露光するようにすれば、大きな検出電流でもって静電潜像を読み取ることができるようになり、もって読取画像のS/Nの向上を図ることができるようになる。

0076

さらに、より具体的な静電潜像読取装置としては、オペアンプによる電流増幅器を用いたり、積分コンデンサに蓄積される電荷を画素単位で検出したり、また、バイアス電圧を付加して検出することも可能であり、何れも極めて簡易な構成でもって静電潜像を読み取ることができる。

発明を実施するための最良の形態

0077

以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。最初に本発明にかかる静電記録体の実施の形態について詳細に説明する。

0078

図1は本発明の第1の実施の形態にかかる静電記録体の断面図を示すものである。この静電記録体10は、後述する記録用の放射線(例えば、X線等。以下「記録光」と称す。)L1に対して透過性を有する第1の導電体層1、この導電体層1を透過した放射線L1の照射を受けることにより導電性を呈する記録用光導電層2、導電体層1に帯電される電荷(潜像極性電荷;例えば負電荷)に対しては略絶縁体として作用し、かつ、該電荷と逆極性の電荷(輸送極性電荷;上述の例においては正電荷)に対しては略導電体として作用する電荷輸送層3、後述する読取用の電磁波(以下「読取光」と称す。)L2の照射を受けることにより導電性を呈する読取用光導電層4、電磁波L2に対して透過性を有する第2の導電体層5を、この順に積層してなるものである。

0079

ここで、導電体層1および5としては、例えば、透明ガラス板上に導電性物質を一様に塗布したもの(ネサ皮膜等)が適当であり、記録用光導電層2としては、アモルファスセレン(a−Se)、PbO,PbI2 等の酸化鉛(II)やヨウ化鉛(II)、Bi12(Ge,Si)O20,Bi2I3/有機ポリマーナノコンポジット等のうち少なくとも1つを主成分とする光導電性物質が適当である。

0080

電荷輸送層3としては、導電体層1に帯電される負電荷の移動度と、その逆極性となる正電荷の移動度の差が大きい程良く(例えば102 以上、望ましくは103 以上)ポリN−ビニルカルバゾール(PVK)、N,N'−ジフェニル−N,N'−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1'−ビフェニル〕−4,4'−ジアミン(TPD)やディスコティック液晶等の有機系化合物、或いはTPDのポリマーポリカーボネートポリスチレン、PUK)分散物,Clを10〜200ppmドープしたa−Se等の半導体物質が適当である。特に、有機系化合物(PVK,TPD、ディスコティック液晶等)は光不感性を有するため好ましく、また、誘電率が一般に小さいため電荷輸送層3と読取用光導電層4の容量が小さくなり読み取り時の信号取り出し効率を大きくすることができる。なお、「光不感性を有する」とは、記録光L1や読取光L2の照射を受けても殆ど導電性を呈するものでないことを意味する。

0081

読取用光導電層4としては、a−Se,Se−Te,Se−As−Te,無金属フタロシアニン,金属フタロシアニン,MgPc(Magnesium phtalocyanine),VoPc(phaseII of Vanadyl phthalocyanine),CuPc(Cupper phtalocyanine)等のうち少なくとも1つを主成分とする光導電性物質が好適である。

0082

記録用光導電層2の厚さは、記録光L1を十分に吸収できるようにするには、50μm以上1000μm以下であるのが好ましく、本例においては約 500μmとしている。また電荷輸送層3と光導電層4との厚さは記録用光導電層2の厚さの1/2以下であることが望ましく、薄ければ薄いほど(例えば、1/10以下、さらには1/20以下等)後述の読取時の応答性が向上する。

0083

次に、上記構造の静電記録体10に画像情報を静電潜像として記録し、さらに記録された静電潜像を読み出す基本的な方法について簡単に説明する。

0084

図2は静電記録体10を用いた記録読取システム(静電潜像記録装置と静電潜像読取装置を一体にしたもの)の概略構成図を示すものである。この記録読取システムは、静電記録体10、記録用照射手段90、電源60、電流検出手段70、読取用露光手段92並びに接続手段S1、S2とからなり、静電潜像記録装置部分は静電記録体10、電源60、記録用照射手段90、接続手段S1とからなり、静電潜像読取装置部分は静電記録体10、電流検出手段70、接続手段S2とからなる。

0085

静電記録体10の導電体層1は接続手段S1を介して電源60の負極に接続されるとともに、接続手段S2の一端にも接続されている。接続手段S2の他端の一方は電流検出手段70に接続され、静電記録体10の導電体層5、電源60の正極並びに接続手段S2の他端の他方は接地されている。電流検出手段70はオペアンプからなる検出アンプ70a と帰還抵抗70b とからなり、いわゆる電流電圧変換回路を構成している。

0086

導電体層1の上面には被写体9が配設されており、被写体9は記録光LIに対して透過性を有する部分9aと透過性を有しない遮断部(遮光部)9bが存在する。記録用照射手段90は記録光L1を被写体9に一様に爆射するものであり、読取用露光手段92は赤外線レーザ光等の読取光L2を図2中の矢印方向へ走査露光するものであり、読取光L2は細径に収束されたビーム形状をしていることが望ましい。

0087

以下、上記構成の記録読取システムにおける静電潜像記録過程並びに静電潜像読取過程について説明する。最初に静電潜像記録過程について電荷モデル図3)を参照しつつ説明する。図2において接続手段S2を開放状態(接地、電流検出手段70の何れにも接続させない)にして、接続手段S1をオンし導電体層1と導電体層5との間に電源60による直流電圧Edを印加し、電源60から負の電荷を導電体層1に、正の電荷を導電体層5に帯電させる(図3(A)参照)。これにより、静電記録体10には導電体層1と5との間に平行な電場が形成される。

0088

次に記録用照射手段90から記録光L1を被写体9に向けて一様に爆射する。記録光L1は被写体9の透過部9aを透過し、さらに導電体層1をも透過する。光導電層2はこの透過した記録光L1を受け導電性を呈するようになる。これは記録光L1の光量に応じて可変抵抗値を示す可変抵抗器として作用することで理解され、抵抗値は記録光L1によって電子(負電荷)とホール(正電荷)の電荷対が生じることに依存し、被写体9を透過した記録光L1の光量が少なければ大きな抵抗値を示すものである(図3(B)参照)。なお、X線を記録光L1として使用したときは線量と表現すべきであるが、ここでは線量も含めて光量として表現するものとする。また、記録光L1によって生成される負電荷(−)および正電荷(+)を、図面上では−または+を○で囲んで表すものとする。

0089

光導電層2中に生じた正電荷は光導電層2中を導電体層1に向かって高速に移動し、導電体層1と光導電層2との界面で導電体層1に帯電している負電荷と電荷再結合して消滅する(図3(C),(D)を参照)。一方、光導電層2中に生じた負電荷は光導電層2中を電荷転送層3に向かって移動する。電荷転送層3は導電体層1に帯電した電荷と同じ極性の電荷(本例では負電荷)に対して絶縁体として作用するものであるから、光導電層2中を移動してきた負電荷は光導電層2と電荷転送層3との界面で停止し、この界面に蓄積されることになる(図3(C),(D)を参照)。蓄積される電荷量は光導電層2中に生じる負電荷の量、即ち、記録光L1の被写体9を透過した光量によって定まるものである。

0090

一方、記録光L1は被写体9の遮光部9bを透過しないから、静電記録体10の遮光部9bの下部にあたる部分は何ら変化を生じない(図3(B)〜(D)を参照)。

0091

このようにして、被写体9に記録光L1を爆射することにより、被写体像に応じた電荷を光導電層2と電荷転送層3との界面に蓄積することができるようになる。尚、この蓄積せしめられた電荷による被写体像を静電潜像という。上記説明で明らかなように、本発明にかかる静電記録体10に静電潜像を記録する装置の構成は極めて簡単なものであり、記録作業も極めて簡単なものとなる。

0092

次に静電潜像読取過程について電荷モデル(図4)を参照しつつ説明する。接続手段S1を開放電源供給を停止すると共に、S2を一旦接地側に接続し、上記説明のようにして静電潜像が記録された静電記録体10の導電体層1および5を同電位に帯電させて電荷の再配列を行った後に(図4(A)参照)、接続手段S2を電流検出手段70側に接続する。

0093

読取用露光手段94により読取光L2を静電記録体10の導電体層5側に走査露光すると、読取光L2は導電体層5を透過し、この透過した読取光L2が照射された光導電層4は走査露光に応じて導電性を呈するようになる。これは上記光導電層2が記録光L1の照射を受けて正負の電荷対が生じることにより導電性を呈するのと同様に、読取光L2の照射を受けて正負の電荷対が生じることに依存するものである(図4(B)参照)。なお、記録過程と同様に、読取光L2によって生成される負電荷(−)および正電荷(+)を、図面上では−または+を○で囲んで表すものとする。

0094

光導電層4と電荷輸送層3との厚さは薄ければ薄いほど望ましく(例えば、1/10以下、さらには1/20以下等)、光導電層2と電荷輸送層3との界面と導電体層5との間は、その薄さに応じて蓄積電荷(負電荷)により非常に強い電場(強電界)が形成される。また、電荷輸送層3は正電荷に対しては導電体として作用するものであるから、光導電層4に生じた正電荷は蓄積電荷に引きつけられるように電荷輸送層3の中を急速に移動し、光導電層2と電荷輸送層3との界面で蓄積電荷と電荷再結合をし消滅する(図4(C)参照)。一方、光導電層4に生じた負電荷は導電体層5の正電荷と電荷再結合をし消滅する(図4(C)参照)。光導電層4は読取光L2により十分な光量でもって走査露光されており、光導電層2と電荷輸送層3との界面に蓄積されている蓄積電荷、即ち静電潜像が全て電荷再結合により消滅せしめられる。このように、静電記録体10に蓄積されていた電荷が消滅するということは、静電記録体10に電荷の移動による電流Iが流れたことを意味するものであり、この状態は静電記録体10を電流量が蓄積電荷量に依存する電流源で表した図4(D)のような等価回路でもって示すことができる。

0095

なお、上述のように、読取用光導電層4と電荷輸送層3との厚さの和が記録用光導電層2の厚さに較べて薄ければ薄いほど読取時には強電界が形成され、電荷の移動も急速に行われるようになるので、読取を高速に行うことができるようになる。さらに、電荷輸送層3における負電荷の移動度が正電荷の移動度より十分小さければ(例えば1/103 以下)、蓄積電荷の蓄積性が向上し、もって静電潜像の保存性が向上することとなる。

0096

上記説明による静電潜像記録過程と静電潜像読取過程について、コンデンサモデルを用いて簡単に説明する。図5は、静電記録体10をコンデンサモデルによる電気的等価回路図により表したものである。図5中C*aは光導電層2の分布容量、C*bは電荷輸送層3と光導電層4との分布容量、SW*aは光導電層2の光スイッチ、SW*bは電荷輸送層3と光導電層4との光スイッチ、R*aは光量に依存する光導電層2の可変抵抗器、R*bは光量に依存する電荷輸送層3と光導電層4との可変抵抗器を示す。なお、C*a等のサフィックス*は1,2,・・・・,nを表し、基本的には画素を示すものである。図6は、図5に示す静電記録体10のコンデンサモデルによる電気的等価回路図に基づき、被写体9の透過部9aと遮光部9bとに分けて表したものである。記録過程においては、最初に直流電圧Edが静電記録体10に印加されるから、分布容量C*bとC*bは帯電せしめられる(図6(A)参照)。

0097

透過部9aは記録光L1の照射により、光スイッチSW*aがオンし光量に応じて可変抵抗R*aの抵抗値が変わり、分布容量C*bのみが帯電せしめられるようになる(図6(B)参照)。これが、静電潜像記録過程であり、分布容量C*bに静電潜像が記録されたことになる。次に電源60を取り外した後、分布容量C*aとC*bとを接続し、両分布容量を同電位(電荷再配列)にする(図6(C)参照)。ここで、読取光L2を露光することにより、光スイッチSW*bがオンし光量に応じて可変抵抗R*bの抵抗値が変わり、分布容量C*aから電流Iが流れるようになり、静電潜像が読み出されることになる(図6(D)参照)。

0098

一方、遮光部9bは記録光L1が光スイッチSW*aをオンさせることがなく、分布容量C*aおよびC*bの何れにも変化を与えない(図6(E)参照)。このため、読取時に、分布容量C*aとC*bとを接続すると両分布容量ともに放電状態となる(図6(F) 参照)。このような状態で読取光L2を露光しても分布容量C*aから電流が流れることはない(図6(G)参照)。

0099

このように、読取光L2を走査露光しながら、静電記録体10から流れ出す電流を検出することにより、走査露光された各部(画素に対応する)の蓄積電荷量を順次読み取ることができ、これにより静電潜像を読み取るようになる。また、光導電層2と電荷輸送層3との界面と導電体層5との間は、非常に強い電場が形成されていることから、極めて高速に蓄積電荷を消滅させることができ、このことは静電潜像の読取りの応答性が極めて高速であることを意味する。

0100

また、一般に、静電潜像を読み取る際には、蓄積電荷が消滅することによる信号電流の他に、静電記録体に蓄積している全電荷の量に比例する暗電流も流れ、信号電流は暗電流に重畳して検出されることとなる。これは、読み取られた静電潜像に暗電流によるノイズが含まれることを意味する。本例においては蓄積電荷量は被写体9を透過してきた記録光L1の強さに比例するものであり、記録光L1が弱いときには蓄積電荷量も少なく、蓄積電荷量が少なければ暗電流も少なくなり、読取画像は高画質となる。さらに、このようにして静電潜像が読み出された後の静電記録体10には、蓄積電荷は存在しないことになるから、静電記録体10に改めて静電潜像を記録するに際して消去を行うプロセスが不要であり、直ちに上記記録過程を行うことが可能である。

0101

本発明による静電記録体に使用される材料は上述の例に限らず、種々の材料変更が可能である。

0102

例えば、電荷輸送層3として、その膜厚垂直方向の電荷移動度を膜厚水平方向の電荷移動度よりも大きいものを使用すれば、輸送極性電荷が厚み方向には高速で移動でき横方向には移動しにくい電荷輸送層3とすることができるので、鮮鋭度を向上させることができる。具体的な材料としては、ディスコティック液晶,ヘキサペンチロキシトリフェニレン(hexapentyloxytriphenylene(Physical ReviewLETTERS70.4,1933参照)),中心部コアがπ共役縮合環あるいは遷移金属を含有するディスコティック液晶群(EKISHO VOL No.1 1997 P55参照)等が好適である。

0103

また、この電荷輸送層3を、記録用導電体層2に帯電される電荷すなわち潜像極性電荷と同極性の電荷に対しては略絶縁体として作用する性質を有する材料からなる第1の電荷輸送層と、潜像極性電荷と逆極性の電荷すなわち輸送極性電荷に対して略導電体として作用する性質を有する材料からなる第2の電荷輸送層とを少なくとも含み、第1の電荷輸送層が記録用光導電層4側となり第2の電荷輸送層が読取用光導電層2側となるように積層したものとすれば、第2の電荷輸送層に輸送極性電荷の高速輸送性を受け持たせ、第1の電荷輸送層に潜像極性電荷に対して強い絶縁性を受け持たせることができるので、電荷輸送層として理想的なものにすることができる。具体的には、第1の電荷輸送層がPVKあるいはTPDのうち少なくとも一方からなる層であり、第2の電荷輸送層がClを10〜200ppmドープしたa−Se層とすればよい。この際、第2の電荷輸送層の方が第1の電荷輸送層よりも膜厚を厚くするのが望ましい。

0104

また、PVKからなる層とTPDからなる層を比較すると、PVKからなる層は、潜像極性電荷(上記例では負極性)と同極性の電荷に対しては略絶縁体として作用する性質がTPDからなる層より強く、TPDからなる層は、輸送極性電荷(上記例では正極性)に対して略導電体として作用する性質がPVKからなる層より強いので、TPDからなる層とPVKからなる層とを、TPDからなる層が読取用光導電層側となりPVKからなる層が記録用光導電層側となるように積層した電荷輸送層としてもよい。

0105

なお、2層に限らず、さらに複数の層からなるものとしてもよいが、この場合に各層を積層する際には、各層の上記各性質を夫々比較したときに、潜像極性電荷と同極性の電荷に対しては略絶縁体として作用する性質が比較的強い層が記録用光導電層側となり、輸送極性電荷に対して略導電体として作用する性質が比較的強い層が読取用光導電層側となるように積層すればよい。

0106

また、読取用光導電層4としては、近紫外から青の領域の波長(300〜550nm)の電磁波に対して高い感度を有し、赤の領域の波長(700nm以上)の電磁波に対して低い感度を有するもの、具体的には、a−Se,PbI2,Bi12(Ge,Si)O20,ペリレンビスイミド(R=n−プロピル),ペリレンビスイミド(R=n−ネオペンチル)のうち少なくとも1つを主成分とする光導電性物質を使用すれば、バンドギャップが大きく熱による暗電流の発生が小さい読取用光導電層4にすることができるので、読み取り時に、近紫外から青の領域の波長の電磁波を走査露光するようにすれば、暗電流によるノイズを小さくすることができる。

0107

次に図7および図8を参照して本発明にかかる静電記録体の第2の実施の形態について詳細に説明する。なお、図8において、図1中の要素と同等の要素には同番号を付し、それらについての説明は特に必要のない限り省略する。

0108

この第2の実施の形態にかかる静電記録体11は、積層構造においては第1の実施の形態にかかる静電記録体10と同じであるが、読取用光導電層4aが記録光L1の照射を受けることによっても導電性を呈する材質のもの(例えば、a−Se,Se−Te,Se−As,Se−As−Te合金等)を使用している点において異なる。

0109

上記説明と同様の記録読取システムを用いて、この静電記録体11に静電潜像を記録する方法について説明する。当該システムの操作方法は上記説明と何ら異なるところがないが、記録光L1が大量に照射されたときの記録用光導電層2と電荷輸送層3との界面に蓄積される電荷量が静電記録体10を用いた場合と異なる。以下この点について詳細に説明する。

0110

記録用光導電層2と電荷輸送層3との界面に蓄積する電荷の量は記録光L1の光量に略比例するから、静電記録体10を用いた場合には記録光L1の照射量が多いときほど蓄積電荷量も多くなる(図7の直線a参照)。一方、静電潜像を読み取るときには、静電記録体の総蓄積電荷量が多いほど暗電流も大きくなり、読取時のS/Nを悪化させるという問題を生じることが知られている。

0111

ところで、記録光L1の光量が十分大きいときには、記録光L1は記録用光導電層2で電荷対を発生させ記録用光導電層2と電荷輸送層3との界面に多数の電荷を蓄積せしめるのみならず、一部は電荷蓄積に寄与せず、光導電層2や電荷輸送層3を透過し読取用光導電層4に達するものも存在する。

0112

静電記録体11の読取用光導電層4は、記録光L1の照射によっても導電性を呈するものであるから、読取用光導電層4の内部では電荷輸送層3を透過してきた記録光L1を受けて正負の電荷対が発生するようになる(図8(A)参照)。なお、第1の実施の形態と同様に、記録光L1の照射によって生成される負電荷(−)および正電荷(+)を、図面上では−または+を○で囲んで表すものとする。

0113

電荷輸送層3には記録用光導電層2と電荷輸送層3との界面に蓄積された電荷と導電体層5との電荷による電界が発生しており、電荷輸送層3は正電荷に対して導電体として作用するから、読取用光導電層4で発生した正電荷は記録用光導電層2と電荷輸送層3との界面に引きつけられ(図8(B)参照)、界面まで達した正電荷と界面に蓄積されている負電荷との間で電荷再結合が行われ、両電荷が消滅する(図8(C)参照)。この作用は光量が少ないときにも起こり得るものではあるが、その量は記録光L1の光量、即ち蓄積電荷量の増大に応じて増えていくものであるため、光量に略比例して蓄積電荷量が増えていくということには変わりがない。

0114

一方、読取用光導電層4まで達する記録光L1の光量が所定の光量より多くなったときには、いわゆるアバランシェ効果に類する作用が働くようになり、読取用光導電層4の内部で正負の電荷対の発生を急激に増大せしめるようになる(図7曲線b参照)。このため、記録光L1が所定の光量を越えて大量に照射されるようになると、蓄積電荷量は記録光L1の光量に略比例して増大するのではなく、増大の程度が急激に減少し、過度に蓄積電荷量が増えるということがなくなる(図7の曲線c参照)。

0115

一般に、被写体の画像を忠実に反映する静電潜像を記録するためには、記録光L1の所定の範囲(有効画像範囲)で蓄積電荷量が線形に変化するもので有れば十分であり、所定の量以上の記録光L1が照射されたところは、いわゆる素抜け部といわれる所であるから、画像情報としては重要なところではなく、記録光L1に比例して蓄積電荷量が増大するということを必要としない。むしろ、蓄積電荷量が多いことによる暗電流の増大と、これによる読取画像のS/Nの悪化の方が問題となってくる。

0116

このため、第2の実施の形態にかかる静電記録体11を用いることにより、記録光L1が大量に照射された場合においても、過度に蓄積電荷量が増えるということがなくなり、静電潜像を読み取るに際して暗電流を減少せしめ、もって静電潜像読取時のS/N改善に寄与することが可能となる。また、第1の実施の形態にかかる静電記録体10を用いた記録読取システムをそのまま使用することができ、静電記録体10を第2の実施に形態にかかる静電記録体11に変更するだけでよく、また、静電記録体11の積層構造を容易に形成することができるので、記録光L1が大量に照射される場合の静電潜像読取時のS/N改善を極めて容易に実現することができる。

0117

次に図9を参照して本発明にかかる静電記録体の第3の実施の形態について詳細に説明する。なお、この図9において、図1中の要素と同等の要素には同番号を付し、それらについての説明は特に必要のない限り省略する。

0118

この第3の実施の形態にかかる静電記録体12は、図9に示すように導電体層1の表面にX線(記録光)L1を他の波長領域の光(例えば、青色光)L3に波長変換するいわゆるX線シンチレータといわれる波長変換層6を積層したものである。この波長変換層6としては、例えばヨウ化セシウム(CsI)等を用いるのが好適である。

0119

導電体層1は青色光L3に対して透過性を有するものであり、記録用光導電層2は青色光L3の照射を受けることにより導電性を呈するものであり、上記第1または第2の実施の形態にかかる静電記録体10と同様なものが使用できる。なお、本例においては青色光L3によって静電潜像を記録せしめるものであり、導電体層1はX線を透過させるものである必要はなく、また、記録用光導電層2はX線の照射を受けることにより導電性を呈するものである必要はない。以下、図2と同様の記録読取システムを用いて静電記録体12に静電潜像を記録する方法について説明する。

0120

記録光L1は被写体9の透過部9aを透過し波長変換層6に入射する。波長変換層6は、記録光L1を青光L3に波長変換するものであり、この変換効率が高いもの程好ましい(例えばヨウ化セシウム(CsI)は、この変換効率が高い)。波長変換された青色光L3は導電体層1を透過し、光導電層2を照射する。アモルファスセレンを用いた光導電層2は青色光L3に対して極めて効率よく導電性を呈するものである。したがって、静電記録体10を用いたときには記録光L1の一部に電荷蓄積に寄与せず、光導電層2を透過してしまうものも存在していたのに対して、この静電記録体12を用いれば、記録光L1直接ではなく波長変換された青色光L3により極めて効率よく光導電層2において正負の電荷対を発生せしめることができるようになる。また上述のようにヨウ化セシウム(CsI)を用いた場合、波長変換層の変換効率も高いので、記録光L1の照射量を少なくしても十分に多く電荷を蓄積せしめることができるようになり、もって被写体に対しての被爆線量を低く抑えることができるようになる。

0121

また、波長変換層6として、記録光L1をその他の波長領域の光(例えば、赤色光)L4にも波長変換するものを使用し(例えば、Y2O3:Eu、YVO4:Euなどの赤色光に発光する蛍光体とCsI等青色光に発光する蛍光体を混合したシンチレータ)、光導電層4がこの赤色光L4によっても光導電性を呈するもの(例えば、無金属フタロシアニン、金属フタロシアニン等)を使用すれば、アモルファスセレンを用いた光導電層2は赤色光L4に対しては光導電性を呈さず光導電層2および電荷転送層3を透過するから、波長変換された赤色光L4の一部には光導電層4を照射するものが存在し、この赤色光L4により光導電層4は導電性を呈するようになる。このため、上記第2の実施の形態にかかる静電記録体11と同様に、記録光L1が大量に照射された場合においても、過度に蓄積電荷量が増えるということがなくなり、静電潜像を読み取るに際して暗電流を減少せしめ、もって静電潜像読取時のS/N改善に寄与することも可能となる。

0122

次に図10を参照して本発明にかかる静電記録体の第4の実施の形態について詳細に説明する。なお、この図10において、図1中の要素と同等の要素には同番号を付し、それらについての説明は特に必要のない限り省略する。

0123

この第4の実施の形態にかかる静電記録体13は、図10(A) に示すように導電体層1と光導電層2との間にブロッキング層7aを積層した点において第1の実施の形態にかかる静電記録体10と異なる。このブロッキング層7aは、500Å程度のAl2O3 等の障壁であって障壁電位を有している。静電記録体10等のように、ブロッキング層7aがない場合には、導電体層1に帯電した負電荷の一部には光導電層2に直接注入されるものが存在し、光導電層2に直接注入された負電荷が蓄積電荷として光導電層2と電荷輸送層3との界面に蓄積されるようになる。この電荷は記録光L1の照射により発生したものではないため、いわゆるノイズ成分となるものである。一方、ブロッキング層7aによる障壁電位を設けた場合には、導電体層1に帯電した電荷(本例においては負電荷)は、障壁電位のため、光導電層2に注入されるようなことがなくなり、負電荷の直接注入によるノイズの発生を防止できるようになる。

0124

一方、導電体層5に帯電した電荷(本例においては正電荷)の一部には光導電層4に直接注入されるものが存在し、光導電層4に直接注入された正電荷が電荷輸送層3を移動し、蓄積電荷と電荷再結合を行い蓄積電荷を消滅せしめるようになる。この電荷再結合による蓄積電荷の消滅は読取光L2の照射により生ずるものではないため、いわゆるノイズ成分となるものである。このため、図10(B) に示す静電記録体14のように導電体層5と光導電層4との間に500Å程度のCeO2等のブロッキング層7bを積層することにより、導電体層5に帯電した正電荷は、上記同様に障壁電位のため光導電層4に注入されるようなことがなくなり、正電荷の直接注入によるノイズの発生を防止できるようになる。

0125

次に図11を参照して本発明にかかる静電記録体の第5の実施の形態について詳細に説明する。なお、この図11において、図1中の要素と同等の要素には同番号を付し、それらについての説明は特に必要のない限り省略する。

0126

図11は第5の実施の形態にかかる静電記録体15の斜視図であり、導電体層5がクシ歯状に形成されている点において、上記第1の実施の形態にかかる静電記録体10等と異なる。なお、クシ歯5aの間5bが読取光L2に対して遮光性を有するものとするのが好ましい。

0127

この静電記録体15に静電潜像を記録するには、上記図2と同様の記録読取システムを用いることができるが、光導電層2と電荷輸送層3との界面での電荷の蓄積の仕方が上述の静電記録体10等とは異なる。以下静電記録体15の横断面図(図12)を参照して静電潜像の記録方法について詳細に説明する。静電潜像を記録するときは図2と同様に、最初に導電体層1と導電体層5のクシ歯5aとの間に直流電圧を印加し両導電体層を帯電させる。これにより、導電体層1と導電体層5のクシ歯5aとの間にはUの字状の電界が形成され、光導電層2の大部分の所は概略平行な電場が存在するが、光導電層2と電荷輸送層3との界面には電界が存在しない部分が生じることとなる(図12(A) の矢印Zを参照)。電荷輸送層3と光導電層4とを合わせた厚さが光導電層2の厚さに較べて薄いほど、また、クシ歯5aの幅とピッチとの比が小さいほど(75%以下であれば良好である)、さらに電荷輸送層3と光導電層4の厚みがクシ歯5aのピッチと略同等若しくはそれ以下であるほど、このような電界の存在しない部分が明確に形成される。

0128

このような状態で記録光L1を被写体9に爆射すると、透過部9aを透過した記録光L1により発生せしめられる正負の電荷対のうちの負電荷は電界分布に沿ってクシ歯5aに集中せしめられることとなり(図12(B) 参照)、クシ歯5aを中心として静電潜像が記録されるようになる(図12(C) 参照)。なお、記録光L1の露光により発生する正負の電荷対のうちの正電荷が導電体層1に引き寄せられて消滅するのは上記静電記録体10と同様である。

0129

特に、記録光L1の光量が少ないときには、負電荷はクシ歯5aの中心に引き寄せられて各クシ歯毎に蓄積電荷が分離されるようになり、また、蓄積電荷は各クシ歯5aの並びに合わせて蓄積せしめられるから、クシ歯5aのピッチを狭くすることにより、高い鮮鋭度(空間解像度)をもって静電潜像を記録することができるようになる。半導体形成技術の進歩した今日にあっては、クシ歯5aを十分に狭い間隔でもって形成することは容易なことであるから、上記本発明にかかる静電記録体15を容易に製造することができる。

0130

次に静電記録体15の静電潜像記録過程および読取過程について、図13に示す記録読取システムを参照して説明する。図13(A)に示すように、このシステムは、静電記録体15,流検出手段71,記録用照射手段90および読取用露光手段93からなり、読取用露光手段93は、ライン状に略一様な読取光L2を導電体層5のクシ歯5aと概略直交させつつ、クシ歯5aの長手方向(図中の矢印方向)に走査露光するものである(このような露光手段をライン状露光手段という)。このように静電記録体15を用いれば、レーザビームによることなく、読取用露光手段93をライン状露光手段による構成とすることが可能であり、走査光学系の構成が極めて簡易で低コストなもので読取装置を構成することが可能となる。また、インコヒーレントな光源が使用できることになるため、干渉縞ノイズの発生を防止することも可能となる。尚、上述の図2のようなビーム状の読取光を走査露光する装置により構成することも可能である。

0131

電流検出手段71は導電体層5の各クシ歯5a毎に接続された多数の電流検出アンプ71a を有しており、読取光L2の露光により各クシ歯5aに流れる電流をクシ歯5a毎に並列的に検出するものである。静電記録体15の導電体層1は接続手段71b の一方の入力および電源71c の負極に接続されており、電源71c の正極は接続手段71b の他方の入力に接続されている。接続手段71b の出力は各電流検出アンプ71a に接続されている(図13(B)参照)。

0132

図13(B)は、静電記録体15の側断面とともに電流検出手段71を詳細に示したブロック図である。以下図13(B)を参照して、静電記録体15に静電潜像を記録し、該読静電記録体15から静電潜像を読み取る方法について説明する。

0133

先ず接続手段71b を電源71c の正極側に接続して第1の実施の形態と同様の方法により静電潜像を静電記録体15に記録する。記録終了後、接続手段71b を静電記録体15の導電体層1側に接続する。読取用露光手段93により読取光L2を走査露光することにより、静電記録体15の導電層1から電流検出アンプ71a を介して導電層5の各クシ歯5aに電流Iが流れる。各電流検出アンプ71a においては、この電流Iによって積分コンデンサ71e が充電され、流れる電流量に応じて積分コンデンサ71e に電荷が蓄積され、積分コンデンサ71e の両端の電圧が上昇する。したがって、走査露光中の画素と画素の間に接続手段71f をオンして積分コンデンサ71e に蓄積された電荷を放電させることにより、積分コンデンサ71e の両端には次々と画素毎の蓄積電荷に対応して電圧の変化が観測されることとなる。この電圧の変化は、静電記録体15に蓄積されていた各画素毎の電荷と対応するものであるから、電圧の変化を検出することによって静電潜像を読み出すことができるようになる。

0134

このように、ライン状露光手段を用いた読取用露光手段93により、静電記録体15から静電潜像を読み取ることとすれば、導電体層5がクシ歯状になっているから電荷輸送層3と光導電層4とによる分布容量が小さくなり、電流検出手段71はノイズの影響を受けにくくなると共に、画素ピクセルを少なくともクシ歯間隔で固定することができるので、クシ歯5aの配置に合わせて画像データの補正を行い、ストラクチャーノイズの補正を正確に行うことができるようになる。

0135

また、導電体層5のクシ歯5aと蓄積電荷が引き合っており、その電場にしたがって読取光L2の照射により発生せしめられる正電荷が蓄積電荷を消去しやすくなり、静電潜像読取時においても鮮鋭度を高く維持することが可能となり、特に記録時の低光量側(即ち、蓄積電荷量の少ないとき)においてその効果が高い。さらに、クシ歯5aの近傍において光導電層4の電界強度が強くなるから、この強い電界において読取光L2による電荷対が発生せしめられるので、励起子イオン解離の効率が上昇し、電荷対の発生の量子効率を1に近づけることが可能となり、もって光エネルギ密度を小さくできるようになる。さらに電荷輸送層3と読取用光導電層4の容量を小さくすることができ、読み取り時の信号取り出し効率を大きくすることができる。

0136

さらに、図14に示すようにクシ歯5aの間5bが読取光L2に対して遮光性を有するものとするとともにクシ歯5aの長手方向(走査方向)にも所定間隔で遮光部と透過部とを設けることも可能であり、この場合、いわゆる簀の子の目に相当する部分が読取光透過部として形成され、クシ歯5aの長手方向に対しても静電潜像読取時において隣接する読取光透過部との光漏れによる空間解像度の低下を避けることができるようになり、実質的に小さなスポットビームにより並列的に走査露光していることとなり、読取光L2をさほど収束させなくても極めて高い鮮鋭度の読取画像を得ることができるようになる。

0137

次に図15を参照して本発明にかかる静電記録体の第6の実施の形態について詳細に説明する。なお、この図15において、図11中の要素と同等の要素には同番号を付し、それらについての説明は特に必要のない限り省略する。

0138

図15(A) は第6の実施の形態にかかる静電記録体16の斜視図であり、上記静電記録体15のクシ歯状の導電体層5の表面に、さらに共に読取光L2に対して透過性を有する絶縁層8cとクシ歯状の導電体層8とを積層したものであり、このクシ歯8aが導電体層5のクシ歯5aと略直交して形成されている。図15(B),(C) は、それぞれ図15(A) のXZ平面、XY平面の断面図を示したものである。

0139

この静電記録体16に静電潜像を記録する方法について図16を参照して説明する。静電潜像を記録するときは、最初に導電体層1と導電体層8のクシ歯8aとの間に直流電圧を印加し両導電体を帯電させる。なお、導電体層5のクシ歯5aには直流電圧を一切印加しないのが望ましい。このようにすると、導電体層5と導電体層8との間には、図16(B),(C) に示されるような分布の電界が形成される。即ち、図16(B) のように導電体層8のクシ歯8aの長手方向と導電体層5のクシ歯5aによる、導電体層8のクシ歯8aから導電体層5のクシ歯5aへ向かってUの字状に収束せしめられる電界と、図16(C) のように導電体層8のクシ歯8aと導電体層5のクシ歯5aの長手方向による、導電体層8のクシ歯8aから導電体層5のクシ歯5aへ向かってUの字状に拡散せしめられる電界とが形成される。導電体層5と導電体層1との間の電界分布の形成のされ方は、上記第5の実施の形態にかかる静電記録体15の場合と同様である。したがって、導電体層5と導電体層8の両クシ歯5a,8aによって形成される最終的な電界の分布は、両クシ歯5a,8aを重ねて表した図16(D) に示すように、両クシ歯5a,8aの交差する所を中心とする略等高線状の電界が形成されることとなる。

0140

このような状態で図2による記録読取システムと同様にして、記録光L1を被写体9に爆射すると、透過部9aを透過した記録光L1による蓄積電荷は両クシ歯5a,8aの交差する所に集中せしめられることとなり、静電記録体15よりも一層高い鮮鋭度をもって静電潜像を記録することができるようになる。なお、クシ歯の幅とピッチとの比を小さく(例えば75%以下)することにより、さらに鮮鋭度を高めることができ、また、クシ歯8aの間8bを読取光L2に対して遮光性を有するもの(例えば、顔料カーボンブラック等)を若干量分散させた高分子材料ポリエチレン等)等)とすれば一層この効果が顕著になる。

0141

このようにして静電潜像が記録された静電記録体16から静電潜像を読み出すには、上述の静電記録体15等と同様の方法を用いて、導電体層1と導電体層5aとの間で流れる電流を検出すればよい。この際、導電体層8aのクシ歯はそのまま放置するのが好ましい。このようにして、静電記録体16から静電潜像を読み出すことにより、特に、画素ピクセルが両クシ歯方向に固定することができるようになるので、両クシ歯の配置に合わせてストラクチャーノイズの補正を一層正確に行うことができるようになる。

0142

次に本発明にかかる他の静電潜像読取装置の実施の形態について説明する。なお、上記第1の実施の形態にかかる静電記録体10を用いた読取装置を第1の実施の形態にかかる静電潜像読取装置といい、上記第5の実施の形態にかかる静電記録体15を用いた読取装置を第2の実施の形態にかかる静電潜像読取装置というものとする。

0143

第1および第2の実施の形態にかかる静電潜像読取装置の何れにおいても、読取用露光手段92または93が、読取光L2を定常発光するものを前提としている。第3の実施の形態にかかる静電潜像読取装置は、読取装置としての構成は第1または第2の実施の形態にかかる静電潜像読取装置と異なるところはないが(構成の図面は省略する)、読取用露光手段94が読取光L2をパルス状に発光する点で異なる。以下その作用について図17を参照して説明する。

0144

静電潜像が蓄積電荷として記録された静電記録体(例えば静電記録体10等)から静電潜像を読み出すときには、上述のように各画素の蓄積電荷の総量に略比例する暗電流が生じ、この暗電流は読出画素に拘わらず電流検出をしている間一様に流れ、読取画像のノイズ成分となるものである。したがって、仮に読出画素(画素幅W、ピッチP)に対応して蓄積電荷Qが図17(A) のようになっているものとすれば、定常発光している読取光L2によってこの蓄積電荷を読出時間T1で読み出したときに検出される電流は、図17(B) に示すように蓄積電荷の総量に比例する暗電流の上に信号電流が重畳されたものとして表すことができる。

0145

一方、図17(C) に示すように読取用露光手段94が読取光L2を画素にあわせてパルス状(T1>T2)に十分強い光を発光するものとしたときには、図17(D) に示すように蓄積電荷は、このパルス光が露光されているときに読み出されるようになる。ここで、電流は電荷の時間微分で表されるものであるから、それぞれの画素に対応して読み出される電荷量が同じであっても、その電荷を短い時間で読み出すほど大きな電流として検出されることとなり、パルス光で読み出したときには図17(E) に示すように、図17(B) より大きな電流が検出されるようになる。このように、読取光を画素に対応してパルス状に短い間隔で発光させて静電潜像を読み取ることにより、蓄積電荷量が少ない画素であっても十分に大きな電流として検出することができ、読み取られた画像のS/Nを飛躍的に改善することができるようになる。

0146

次に図18を参照して本発明にかかる静電潜像読取装置の第4の実施の形態について詳細に説明する。なお、この図18において、図2中の要素と同等の要素には同番号を付し、それらについての説明は特に必要のない限り省略する。この第4の実施の形態にかかる静電潜像読取装置は、上記図2における電流検出手段70を図18に示す電流検出手段72に置き換えたものである(構成図は省略する。以下の説明においては、図2の電流検出手段7Oを電流検出手段72として、静電記録体10を静電記録体17として考えればよい)。図18は静電潜像読取時の概略ブロック図であり、静電記録体17、電流検出手段72、読取用露光手段95とからなる。静電記録体17は上記説明による何れの静電記録体であってもよく、また、読取用露光手段95は上記ビーム状に走査露光するもの、ライン状に走査露光するものの何れであってもよく、さらに、パルス状に発光するものであるか否かも問わない。

0147

電流検出手段72は、オペアンプからなる検出アンプ72a、 オペアンプの出力と入力端子の一方との間に接続された積分コンデンサ72b 、この積分コンデンサ72bに並列接続された選択的に開閉可能な接続手段72cとからなる。前記入端子の一端は静電記録体17の導電層1と接続され、入力端子の他方は静電記録体17の導電層5と接続されている。

0148

以下図2および図18を参照して、静電記録体17から静電潜像を読み取る方法について説明する。上記図2に示す記録読取システムと同様に、最初に接続手段S1を開放し電源供給を停止すると共に、S2を一旦接地側に接続し(図2参照)、静電潜像が記録された静電記録体17の導電体層1および5を同じように帯電させた後、接続手段S2を電流検出手段72側に接続する(この状態が図18に示すものである)。

0149

このような構成の静電潜像読取装置においては、読取用露光手段95により読取光L2を走査露光することにより、電流Iが静電記録体17の導電層1から電流検出手段72に向かって流れ出す。この電流によって積分コンデンサ72b が充電され、流れ込む電流量に応じて積分コンデンサ72b に電荷が蓄積され、積分コンデンサ72b の両端の電圧が上昇する。したがって、走査露光中の画素と画素の間に接続手段72c をオンして積分コンデンサ72b に蓄積された電荷を放電させることにより、積分コンデンサ72b の両端には次々と画素毎の蓄積電荷に対応して電圧の変化が観測されることとなる。この電圧の変化は、静電記録体17に蓄積されていた各画素毎の電荷と対応するものであるから、電圧の変化を検出することによって静電潜像を読み出すことができるようになる。

0150

この第4の実施の形態にかかる静電潜像読取装置によっても、図2に示すものと同等の作用効果を得ることができ、装置の構成も図2における読取装置部と同様に簡易であるから、上記各種の静電記録体を用いた静電潜像読取装置を極めて簡易な装置でもって実現することがきる。

0151

次に図19を参照して本発明にかかる静電潜像読取装置の第5の実施の形態について詳細に説明する。なお、この図19において、図2中の要素と同等の要素には同番号を付し、それらについての説明は特に必要のない限り省略する。この第5の実施の形態にかかる静電潜像読取装置は、上記図2における電流検出手段70の電流検出入力部にバイアス電源73a を挿入したものである(構成図は省略する)。図19は静電潜像読取時の概略ブロック図であり、静電記録体17、電流検出手段73、読取用露光手段95とからなる。静電記録体17は上記説明による何れの静電記録体であってもよく、また、読取用露光手段95は上記ビーム状に走査露光するもの、ライン状に走査露光するものの何れであってもよく、さらに、パルス状に発光するものであるか否かも問わない。

0152

電流検出手段73は、図2の電流検出手段70にバイアス電源73a を挿入したものであり、これにより静電潜像の読み取りはバイアス電源73aが挿入されているのみで上記図2における読み出しと何ら変わるところはない。バイアス電源73a は、静電潜像を記録する際に用いられる直流電源60と異なるものであってもよいし、接続手段S1,S2 の接続法方を換えて共用するようにしてもよい。

0153

このように、バイアス電源73aにより電圧を加えることによって読み出しの速度をさらに速くすることが可能となり、また、静電潜像を確実に消去することが可能となる。このため、連続撮影時においてもノイズを発生させることもない。

0154

さらに、この第5の実施の形態にかかる静電潜像読取装置によっても、図2に示すものと同等の作用効果を得ることができ、装置の構成も図2における読取装置部と同様に簡易であるから、上記各種の静電記録体を用いた静電潜像読取装置を極めて簡易な装置でもって実現することができる。

0155

次に前露光を行うようにした記録読取システムについて説明する。先ず、前露光について説明する。

0156

本発明による上記記録読取システムにおいては、静電記録体から静電潜像を読み取ったとき、蓄積されている潜像電荷を、基本的には全て読み出すことができるが、場合によっては潜像電荷を完全に読み出すことができず静電記録体に残留電荷として読み残すことがある。また、静電記録体に静電潜像を記録するとき、記録光の照射の前に静電記録体に高圧を印加するが、この印加の際に暗電流が発生し、それによる電荷(暗電流電荷)も静電記録体に蓄積される。さらに、これら以外の原因によっても静電記録体に種々な電荷が記録光の照射の前に蓄積されることが知られている。これら残留電荷,暗電流電荷等の記録光の照射の前に蓄積される不要電荷は、記録光を照射することにより蓄積される画像情報を担持する電荷に加算されることになるから、結局静電記録体から静電潜像を読み取ったとき、出力される信号には画像情報を担持する電荷に基づく信号以外に不要電荷による信号成分が含まれることになり、残像現象やS/N劣化等の問題を生じる。

0157

「前露光」は、この記録光を静電記録体に照射する前に静電記録体に蓄積されている不要電荷を消去し、残像現象やS/N劣化等の問題を解消するためのものである。

0158

図20は、前露光,記録光および読取光と、静電記録体に印加する高圧および該静電記録体に蓄積される電荷の関係を示したタイミングチャートである。

0159

期間t0以前には読み残しによる残留電荷Q1が静電記録体に蓄積されている。静電記録体に高圧を印加する前(期間t0〜t1)に前露光を行うと、この電荷Q1を減少させることができる。t1で静電記録体に高圧を印加すると、それまでに蓄積されていた電荷に更に暗電流による暗電流電荷が重畳される。したがって、静電記録体に高圧を印加する前に前露光を行なわないときには電荷Q2が、前露光を行なったときには電荷Q2’が蓄積される。次に、期間t2〜t4で前露光を行うと、この電荷Q2を減少させることができる。前露光を行う時間によって、静電記録体に残留する電荷の量が異なるのは勿論である。例えば図20に示すように、t2からt4まで前露光を行って電荷を完全に減少させた後にt5で記録光を照射すれば、静電記録体には画像情報だけを担持する電荷Q3を蓄積させることができる。したがって、t7で読取光を照射すれば、画像情報だけを担持する電荷Q3に基づいて信号を取り出すことができ、残像現象やS/N劣化等の問題を解消することができる。

0160

図21は、上記前露光を行うようにした静電潜像記録読取システムを示した概要図である。図21に示すように、この記録読取システムは、静電記録体10、記録用照射手段90、電源60、電流検出手段70、読取用露光手段92、前露光手段96および接続手段S1、S2からなる。図2と比べると明らかなように、図2に示した静電潜像記録読取システムに前露光手段96を更に設けたものとなっている。

0161

高圧を静電記録体10に印加して記録光L1を照射する前に、所定の光L3を静電記録体10の読取側の導電体層5の全面に照射し、静電記録体10に蓄積している電荷を消去する。なお、高圧を静電記録体10に印加する前に前露光を開始してもかまわない(図20のt0〜t1)。この際、接続手段S2は、開放或いは接地側に接続の何れかにする。接地側に接続していた場合には、高圧を静電記録体10に印加する前に、接続手段S2を開放にする必要があるのは勿論である。所定の光L3は、読取光L2と同じ電磁波であってもよく、その量は読取光L2より少なくてもよい。また、この前露光は、記録光の照射の前に、静電記録体10に蓄積している不要電荷を消去することにより残像現象やS/N劣化等の問題を解消するためのものであるから、その必要性に応じて、導電層5の全面ではなく特定の場所に限定して前露光を行ってもよい。

0162

上記静電潜像記録読取システムは、前露光手段96を読取用露光手段92とは別に設けたものであるが、読取用露光手段92が前露光手段96を兼るものとし、該読取用露光手段92により前露光用の光L3を導電体層5の全面に照射するようにしてもよい。

0163

また、前露光手段96をエレクトリックルミネセンス(EL)で構成してもよい。この場合、有機ELであってもよいし、無機ELであってもよい。さらに、液晶とそれ用のバックライトとを組み合わせたものを使用してもよい。

0164

上記説明においては、静電記録体の第1の導電体層に負電荷を、第2または第3の導電体層に正電荷を帯電させて、記録用光導電層と電荷輸送層との界面に負電荷を蓄積せしめるものについて説明したが、本発明は必ずしもこのようなものに限るものではなく、それぞれが逆極性の電荷であっても良く、このように極性を逆転させる際には、静電記録体のホール輸送層電子輸送層に変更する,記録時の電源の極性を逆転させる等の若干の変更を行うことで、上記説明と同様の記録および読取装置を実現することができる。

0165

例えば、静電記録体10においては、光導電層2として上述のアモルファスセレンa−Se、酸化鉛(II)、ヨウ化鉛(II)等の光導電性物質が同様に使用でき、電荷輸送層3としてN−トリニトロフルオレニリデンアニリン(TNFA誘電体トリニトロフルオレノン( TNF)/ポリエステル分散系、非対称ジフェノキノン誘導体が適当であり、読取用光導電層4として上述の無金属フタロシアニン、金属フタロシアニンが同様に使用でき、読取用光導電層4aとして上述のアモルファスセレンa−Se、Se−Te、Se−As、Se−As−Te合金等が同様に使用できる。

0166

上記説明は、記録光を第1の導電体層側に照射するものについて説明したものであるが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。具体的には、第2の導電体層,読取用光導電層および電荷輸送層を記録光に対して透過性を有するものとすれば、第2の導電体層側から記録光を照射して、記録用光導電層が導電性を呈するようにすることが可能である。すなわち、本発明による静電記録体は、第1の導電体層或いは第2の導電体層の何れの方向からでも記録光を照射することが可能である。

図面の簡単な説明

0167

図1本発明の第1の実施の形態にかかる静電記録体の断面図
図2上記静電記録体を用いた記録読取システム(静電潜像記録装置と静電潜像読取装置を一体にしたもの)の構成図
図3上記静電記録体に静電潜像を記録する方法を説明する図
図4上記静電記録体に記録された静電潜像を読み取る方法を説明する図
図5上記静電記録体の等価回路(コンデンサモデル)
図6上記静電記録体を用いた静電潜像の記録読取方法をコンデンサモデルで表した図
図7被写体を透過した記録光の光量と蓄積電荷量との関係を表す図
図8本発明の第2の実施の形態にかかる静電記録体に静電潜像を記録する方法を説明する図
図9本発明の第3の実施の形態にかかる静電記録体に静電潜像を記録する方法を説明する図
図10本発明の第4の実施の形態にかかる静電記録体の断面図(A)および(B)
図11本発明の第5の実施の形態にかかる静電記録体の斜視図
図12上記第5の実施の形態にかかる静電記録体に静電潜像を記録する方法を説明する図
図13静電潜像が記録された上記第5の実施の形態にかかる静電記録体から静電潜像を読み出す記録読取システムの構成図(A) およびそのブロック図(B)
図14上記第5の実施の形態にかかる静電記録体のクシ歯の長手方向に遮光性を持たせたものを説明する図
図15本発明の第5の実施の形態にかかる静電記録体の斜視図(A) および断面図(B),(C)
図16上記第5の実施の形態にかかる静電記録体の電界分布を説明する図
図17本発明にかかる静電記録体を用いた第3の実施の形態にかかる静電潜像読取装置の読取方法を説明する図
図18本発明にかかる静電記録体を用いた第4の実施の形態にかかる静電潜像読取装置の構成図
図19本発明にかかる静電記録体を用いた第5の実施の形態にかかる静電潜像読取装置の構成図
図20前露光,記録光および読取光と、静電記録体に印加する高圧および該静電記録体に蓄積される電荷の関係を示したタイミングチャート
図21前露光を行う記録読取システムの構成図

--

0168

10〜17静電記録体
1 第1の導電体層
2記録用光導電層
3電荷輸送層
4,4a 読取用光導電層
5 第2の導電体層
6波長変換層
7a,7bブロッキング層
8 第3の導電体層
9 被写体
60直流電源
70〜74電流検出手段
90記録用照射手段
92〜95 読取用露光手段
96前露光手段
S1,S2接続手段
L1 記録用の放射線(記録光)
L2 読取用の電磁波(読取光)
L3 前露光用の光

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