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技術 低熱伝導率かつ熱バリア型のセラミック被覆、そのようなセラミック被覆の付着方法、およびこのセラミック被覆により保護される金属部品

出願人 ソシエテ・ナシオナル・デテユード・エ・ドウ・コンストリユクシオン・ドウ・モトール・ダヴイアシオン、“エス.エヌ.ウ.セ.エム.アー.”スネクマ・セルビス
発明者 イアン・フイリツプ・ジヤリエアンドレ・ユベール・ルイ・マリエジヤン-ピエール・ジユリアン・シヤルル・ユシンセルジユ・アレクザンドル・アルペリンロマン・ポルタル
出願日 1999年6月3日 (21年5ヶ月経過) 出願番号 1999-157018
公開日 2000年3月21日 (20年7ヶ月経過) 公開番号 2000-080464
状態 特許登録済
技術分野 ガスタービン、高圧・高速燃焼室 物理蒸着
主要キーワード 柱状形態 工業的設備 絶縁セラミック層 二次真空 高酸素ガス 内部流路内 被覆外層 絶縁能力
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2000年3月21日)のものです。
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図面 (10)

課題

気相付着方法により付着される熱バリアセラミック被覆であって、従来のセラミック被覆の耐熱性と同等の耐熱性と、従来のEB−PVD付着方法で得られる熱伝導率の1/2の熱伝導率とを有し、熱伝導率が動作における老化とともに変化せず、向上さえする、セラミック被覆を作製する。

解決手段

熱バリア型セラミック被覆は、連続し、セラミック付着物の連続再核形成により複数回反復される間欠的な柱状成長パターンを厚さ方向に含む。再核形成は、セラミックの付着中汚染ガス断続して注入される気相付着方法によって得られる。得られたセラミック被覆は、従来の柱状セラミック被覆よりも低い熱伝導率を有する。

概要

背景

地上または航空ターボエンジン製造者は、効率を上げこれらのエンジンの比消費を少なくするという至上命令に直面している。これらの至上命令に応える方法のうちの一つは、タービンの入口で燃焼されるガスの温度を上昇させることである。しかしながらこのアプローチは、分配器高圧段可動ブレードなど、タービンの部品高温耐能力によって制限される。これらの部品を構成するために、超合金と呼ばれる耐火金属材料が開発された。ニッケルコバルト、または鉄を主成分とするこれらの超合金は、高温に対する機械的強度クリープ強度)を部品に付与する。これらの超合金の限界使用温度は1100℃であり、これは、通常1600℃である、タービンの入口で燃焼されるガスの温度よりもはるかに低い。ブレードおよび分配器は、コンプレッサの段上で採取される600℃の空気を内部空洞投入することにより、対流によって冷却される。部品の内部流路内を流れるこの冷却空気の一部は、隔壁内に穿口された通風穴から排出され、部品の表面と高温ガスとの間に冷空気膜を形成する。タービンの入口温度の有意な増加を得るために、部品に熱バリア被覆を付着させることが知られている。

熱バリア技術とは、部品を、厚さが数十ミクロンから数ミリメートルまで変化する可能性がある薄い絶縁セラミック層で被覆することである。通常、セラミック層は、低い熱伝導率、およびタービンの動作の過酷な条件下において必要な良好な化学的定性という長所を有する酸化イットリウムで安定化されたジルコニアから成る。超合金とセラミック層との間には、アルミナ形成金属合金結合アンダーコートを介在させることができる。アンダーコートの役割は、基板酸化から保護することにより、セラミック層の密着性を向上させることである。

セラミック被覆金属部品に施すと、熱サイクル中に金属/セラミック差動膨張という問題が生じる。ジルコニアを主成分とするセラミックが比較的高い熱膨張率を有する場合でも、この熱膨張率は金属の熱膨張率よりもはるかに低い。従って、剥離することなく、金属基板によって加えられる熱的変形を受けられるように被覆の微細構造を制御しなければならない。

スパッタリング、およびEB−PVD(electron beam physical vapour deposition)で表わされる電子ビーム物理蒸着は、熱バリアを付着させるために当業界で使用されている二つの方法である。ブレードの羽根および分配器に被覆する場合には、主に、被覆の表面状態がより優れていることおよび部品の通風穴の閉塞の制御の理由から、熱スパッタリングよりもEB−PVD付着方法の方が好ましい。さらにこの方法により、部品の表面に対し直角な微細柱すなわち小柱から成る微細構造を層に付与することが可能である。この微細構造により、被覆は、基板の面内の熱的原因または力学的原因の変形に適合することができる。従ってEB−PVD熱バリアは、プラズマ放射によって付着されるセラミック層よりもすぐれているとされる熱力学疲労耐久性を有する。

気相付着法では、被覆する部品上に蒸気凝縮させることにより被覆が生じる。気相法には二つのカテゴリがある。物理的蒸着法(PVD)は化学的気相付着方法(CVD)とは異なる。物理的蒸着方法では、被覆蒸気は、ターゲットとも呼ばれる固体材料蒸発させることにより生じる。蒸発は、熱源の作用による蒸発、あるいは、ターゲット上のイオン衝撃により材料が噴霧化される方法であるスパッタリングにより得られる。化学的気相付着方法では、被覆蒸気は、蒸気相あるいは被覆/ガスの界面で行われるガス種間の化学反応の産物である。気相付着方法は、好ましくないガス種との反応により付着物汚染しないよう、被制御大気下で実行される。その目的のため、付着容器二次真空(10−6Torrから10−4Torrの間)まで予め真空化され、乾燥される。付着中は、制御下で、不活性または反応性作業ガス注入することができる。

セラミックと同等の耐火性を有する材料を蒸発させるには、強力な加熱手段が必要である。その目的のため、電子ビームによる加熱を使用する。蒸発させるべきセラミック材料は、焼結された棒の形状であり、その表面を合焦点電子ビームが掃引する。ビームの動的エネルギーの一部は、棒の表面において熱に変換される。特にEB−PVD方法においては、棒の蒸発、およびターゲットから基板への被覆蒸気の移動を容易にするために、作業圧力は低い。さらに電子銃が動作できるようになるためには、10−4Torr未満の圧力が必要であり(アーキングの問題)、そのため、室とは別に電子銃の真空引きが必要である。

EB−PVDによる熱バリアの付着の間、部品は、棒の放射加熱により確保される1000℃に近い高い温度になる。棒の表面温度は3500℃と推定される。この温度では、棒の表面から発散するジルコニアの分子の一部分は、ZrO2 → ZrO+1/2O2の反応により解離する。

酸化ジルコニウムの分子からこのように解離した酸素の一部分は容器の真空引きにより消失し、その結果、ジルコニア付着物は低化学量状態(酸素の欠乏)になる。この効果は、付着の間、数ミリTorrの圧力で高酸素ガス(通常は、アルゴンと酸素の混合物)を容器に注入することにより補正することができる。この効果は、付着の間、反応性ガスを容器に注入しない時は人工的に補正することもできる。その場合、被覆した部品を、700℃の温度の空気で1時間単純にアニールすることにより、被覆の化学量は回復する。EB−PVD容器の内部に酸素を注入することによっても、セラミックの付着前に部品を自然のままで予備酸化することができる。このようにして、結合アンダーコートの表面に形成されるアルミナ膜は、セラミック層を良好に密着させるものである。工業的なEB−PVD方法では、蒸気源と対向して配置される部品の表面だけが被覆される。可動羽根あるいは分配器など複雑な幾何形状の部品を被覆する場合には、被覆蒸気束内で部品を回転させることが必要である。

EB−PVDセラミック層は、タービンの羽根での使用に関しては明らかな長所を有するが、熱伝導率が、プラズマスパッタリング熱バリアの熱伝導率(0.5から0.9W/mK)の2倍(通常、1.4から1.9W/mK)であるという大きな欠点を有する。この熱伝導率の差は付着物の形態に関連するものである。EB−PVD付着内の部品の表面に対し直角に配置されたセラミック小柱は、伝導および放射による熱移動に対しほとんど耐性を有さない。一方、プラズマスパッタリングにより作製される付着物は付着物の面に対し平行な微細亀裂の網を含むが、これは一般的に、スパッタリング時に破壊されるセラミックの小滴間の不完全な結合である。これらの微細亀裂は、付着物を通る熱の伝導を抑制するのにより有効である。セラミック層の絶縁能力は、その伝導率および厚さに比例する。同じ絶縁能力の場合、セラミック層の熱伝導率を半減させることにより、およそ半分の厚さの付着物を付着させることが可能であると思われ、このことは、遠心力を受ける可動羽根への付着に関して大きな長所となろう。

特許WO96/11288は、性状が異なる(通常、ジルコニア/アルミナ)ナノメートル層(厚さが0.001ミクロンから1ミクロンの間)のスタックで構成される層化複合材料型熱バリア被覆について記述している。このような構造で得られる熱伝導率の低減は、誘電体内の伝導による移動の主たる理由である音子(phonon)が層間の界面に分散していることによる。この文書は、混合の法則から計算することができる熱伝導率と比較して半分の伝導率を有する4ないし5ミクロン程度の薄い多層被覆について記述している。この被覆においては、熱伝導率の低減をもたらすのは、性状の異なる二つの層の間に界面が生じることによる。ナノメートル層からなるこのようなサンドイッチ構造は熱的に不安定であるという問題を有する。薄い層は、動作条件特有な高温(1100℃を超える)で長時間放置されると、相互拡散し、材料の均質化、すなわち熱伝導率の低減の作用因であった界面の消失を生じさせるおそれがある。

特許WO93/18199および欧州特許EP0705912は、セラミック被覆が構造の異なる複数の層から成る熱バリアについて記述している。隣接する層は、各層間に界面を発生させることができるよう、異なる構造を有する。付着物の厚さ方向での柱状形態は残っており、これは、熱サイクル強度に低下をきたさないようにするための基本的特性とみなされる。この方法では、蒸気の凝縮と結合して、層の表面の断続的イオン衝撃を適用することにより、多層構造が得られる。イオン衝撃は、負の高電圧で部品を分極することにより得られ、それは部品を気体放電陰極側に置くことになる。このようにして得られたセラミック層の形態への断続的イオン衝撃の影響により、多少なりとも密なセラミック層が作られる。しかしながら、熱老化は柱の緻密化を引き起こし、種々の層間の密度の格差を減少することが知られているため、このような被覆は低い熱伝導率を保持するのには適していない。さらに、高電圧と、EB−PVD付着に必要な高温(1000℃)とを組み合わせることは、工業的設備規模で実施するにあたってはきわめて複雑である。

一般的に、層化、より一般には多層と呼ばれる微細複合材構造、すなわち、熱束に対する強度を向上させるための界面の存在に基く微細構造を含む熱バリアは、動作時のこれらの界面の熱的不安定性のため、高温での適用に関しては将来有望ではない。組成または成分が異なる二つの材料間の界面は、高温拡散現象があるため、有勾配ゾーン変質する。そのため、必然的に界面およびこれに関わる界面の耐熱性の消失が生じる。

概要

気相付着方法により付着される熱バリア型セラミック被覆であって、従来のセラミック被覆の耐熱性と同等の耐熱性と、従来のEB−PVD付着方法で得られる熱伝導率の1/2の熱伝導率とを有し、熱伝導率が動作における老化とともに変化せず、向上さえする、セラミック被覆を作製する。

熱バリア型セラミック被覆は、連続し、セラミック付着物の連続再核形成により複数回反復される間欠的な柱状成長パターンを厚さ方向に含む。再核形成は、セラミックの付着中、汚染ガスが断続して注入される気相付着方法によって得られる。得られたセラミック被覆は、従来の柱状セラミック被覆よりも低い熱伝導率を有する。

目的

本発明の目的は、気相付着方法により付着される熱バリア型セラミック被覆であって、従来のセラミック被覆の耐熱性と同等の耐熱性と、従来のEB−PVD付着方法で得られる熱伝導率の少なくとも1/2の熱伝導率とを有し、熱伝導率が動作における老化とともに変化しない、さらには向上する、セラミック被覆を作製することである。

本発明の別の目的は、前記セラミック被覆を得ることができる気相付着方法を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

セラミック付着物の連続再核形成により複数回反復される中断された柱状成長パターンを厚さ方向に有することを特徴とする基板に付着される熱バリアセラミック被覆

請求項2

基板に平行な界面を含み、界面が、同一構造および同一組成セラミック層を分離し、各層が、核形成領域および競合成長領域に対応することを特徴とする請求項1に記載のセラミック被覆。

請求項3

各セラミック層が繊維状構造を有し、各繊維が基板に対しほぼ直角であることを特徴とする請求項2に記載のセラミック被覆。

請求項4

繊維が5ミクロン以下の最大直径を有することを特徴とする請求項3に記載のセラミック被覆。

請求項5

各層が150ミクロン以下の厚さを有することを特徴とする請求項2に記載のセラミック被覆。

請求項6

各層が1ミクロンから20ミクロンの間に含まれる厚さを有することを特徴とする請求項5に記載のセラミック被覆。

請求項7

熱バリア型セラミック被覆の気相付着方法であって、被覆の核形成および成長が被覆すべき基板上の蒸気凝縮により付着容器内で実現され、凝縮中のセラミックの連続する再核形成を生じさせるよう、付着中のセラミックの表面および/または付着容器内に蒸気相で存在する化学種相互作用する汚染ガスを、付着実施中に断続的に付着容器に注入することから成ることを特徴とする付着方法。

請求項8

汚染ガスが付着中のセラミックの表面と化学的に相互作用することを特徴とする請求項7に記載の付着方法。

請求項9

汚染ガスが原子または分子であり、少なくとも元素C、N、O、H、Si、Cl、Br、F、Iの中から選択された原子を含むことを特徴とする請求項8に記載の付着方法。

請求項10

汚染ガスが空気であることを特徴とする請求項9に記載の付着方法。

請求項11

汚染ガスが吸着過程により、付着中のセラミックの表面と物理的に相互作用することを特徴とする請求項7に記載の付着方法。

請求項12

汚染ガスが、希ガスXe、Kr、Ar、He、希ガスの混合、一酸化炭素の中から選択されることを特徴とする請求項7に記載の付着方法。

請求項13

熱バリア型セラミック被覆の気相付着方法であって、被覆の核形成および成長が被覆すべき基板上の蒸気の凝縮により付着容器内で実現され、凝縮中のセラミックの連続する再核形成を生じさせるよう、それぞれセラミック材料汚染材料を含む二つの蒸発るつぼを付着容器内に入れ、セラミック材料を連続的に蒸着させ、汚染材料を断続的に蒸着させることから成ることを特徴とする付着方法。

請求項14

少なくとも一部分が、請求項1から6のいずれか一項に記載のセラミック被覆で被覆された表面を含むことを特徴とする金属部品

請求項15

セラミック被覆が付着されるアルミナ形成合金アンダーコートをさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の金属部品。

発明を実施するための最良の形態

0001

本発明は、低熱伝導率かつ熱バリア型のセラミック被覆、そのようなセラミック被覆の付着方法、およびこのセラミック被覆により保護される金属部品に関する。本発明は、タービンブレイドおよび分配器など、超合金ターボエンジン高温部分の保護に特に適用される。

背景技術

0001

本発明は、図1に示すような気相付着されたセラミック被覆がその厚さ方向において変化する形態を有するという事実に基くものである。この形態勾配は特に、被覆の厚さに比例して減少する小柱1の密度となって現われる。セラミック小柱は基板との界面において特に細かいことから、繊維とみなすことができる。これらの小柱はセラミック層外部領域において広くなる傾向を有する。厚さに従ってセラミック被覆の形態が変化することの結果の一つは、厚さとともにそのような被覆の熱伝導率が増加することである(図2)。セラミック被覆の外部領域は、基板に隣接する被覆の領域よりも高い熱伝導率を有する。この効果は、CVDにより付着されたダイアモンドなど、熱伝導率が非常に高い材料の場合、およびイットリウムジルコニアなど、熱伝導率が低い材料の場合に認められた。気相付着された厚さeの柱構造層の形態は、柱の平均直径が小さいことを特徴とする厚さZ1の基板と柱の平均直径が大きいことを特徴とする厚さe−Z1の被覆外層に隣接する層で構成されるとモデル化することができる。柱の直径が小さい基板に隣接する層の厚さは、被覆の小柱の核形成および競争成長段階に相当する。被覆の外部領域は、競争成長選択段階を経過した小柱に相当する。ある所与付着条件では、競争成長領域の厚さは一定であり、通常、数十ミクロンを超えることはないが、他方、外部成長領域には理論的制限はなく、付着時間とともに増加する。

0002

地上または航空ターボエンジンの製造者は、効率を上げこれらのエンジンの比消費を少なくするという至上命令に直面している。これらの至上命令に応える方法のうちの一つは、タービンの入口で燃焼されるガスの温度を上昇させることである。しかしながらこのアプローチは、分配器、高圧段可動ブレードなど、タービンの部品高温耐能力によって制限される。これらの部品を構成するために、超合金と呼ばれる耐火金属材料が開発された。ニッケルコバルト、または鉄を主成分とするこれらの超合金は、高温に対する機械的強度クリープ強度)を部品に付与する。これらの超合金の限界使用温度は1100℃であり、これは、通常1600℃である、タービンの入口で燃焼されるガスの温度よりもはるかに低い。ブレードおよび分配器は、コンプレッサの段上で採取される600℃の空気を内部空洞投入することにより、対流によって冷却される。部品の内部流路内を流れるこの冷却空気の一部は、隔壁内に穿口された通風穴から排出され、部品の表面と高温ガスとの間に冷空気膜を形成する。タービンの入口温度の有意な増加を得るために、部品に熱バリア被覆を付着させることが知られている。

0002

0003

熱バリア技術とは、部品を、厚さが数十ミクロンから数ミリメートルまで変化する可能性がある薄い絶縁セラミック層で被覆することである。通常、セラミック層は、低い熱伝導率、およびタービンの動作の過酷な条件下において必要な良好な化学的定性という長所を有する酸化イットリウムで安定化されたジルコニアから成る。超合金とセラミック層との間には、アルミナ形成金属合金結合アンダーコートを介在させることができる。アンダーコートの役割は、基板を酸化から保護することにより、セラミック層の密着性を向上させることである。

0003

0004

セラミック被覆を金属部品に施すと、熱サイクル中に金属/セラミックの差動膨張という問題が生じる。ジルコニアを主成分とするセラミックが比較的高い熱膨張率を有する場合でも、この熱膨張率は金属の熱膨張率よりもはるかに低い。従って、剥離することなく、金属基板によって加えられる熱的変形を受けられるように被覆の微細構造を制御しなければならない。

0004

0005

スパッタリング、およびEB−PVD(electron beam physical vapour deposition)で表わされる電子ビーム物理蒸着は、熱バリアを付着させるために当業界で使用されている二つの方法である。ブレードの羽根および分配器に被覆する場合には、主に、被覆の表面状態がより優れていることおよび部品の通風穴の閉塞の制御の理由から、熱スパッタリングよりもEB−PVD付着方法の方が好ましい。さらにこの方法により、部品の表面に対し直角な微細柱すなわち小柱から成る微細構造を層に付与することが可能である。この微細構造により、被覆は、基板の面内の熱的原因または力学的原因の変形に適合することができる。従ってEB−PVD熱バリアは、プラズマ放射によって付着されるセラミック層よりもすぐれているとされる熱力学疲労耐久性を有する。

0005

0006

気相付着法では、被覆する部品上に蒸気凝縮させることにより被覆が生じる。気相法には二つのカテゴリがある。物理的蒸着法(PVD)は化学的気相付着方法(CVD)とは異なる。物理的蒸着方法では、被覆蒸気は、ターゲットとも呼ばれる固体材料蒸発させることにより生じる。蒸発は、熱源の作用による蒸発、あるいは、ターゲット上のイオン衝撃により材料が噴霧化される方法であるスパッタリングにより得られる。化学的気相付着方法では、被覆蒸気は、蒸気相あるいは被覆/ガスの界面で行われるガス種間の化学反応の産物である。気相付着方法は、好ましくないガス種との反応により付着物汚染しないよう、被制御大気下で実行される。その目的のため、付着容器二次真空(10−6Torrから10−4Torrの間)まで予め真空化され、乾燥される。付着中は、制御下で、不活性または反応性作業ガス注入することができる。

0006

反復核形成セラミック層の概念は、
・ 相互に隣接する層は、組成および微細構造の観点から見ると同じである。ただし、層の厚さは異なることがあるという意味において、層化微細複合材料の概念とは異なる。

0007

セラミックと同等の耐火性を有する材料を蒸発させるには、強力な加熱手段が必要である。その目的のため、電子ビームによる加熱を使用する。蒸発させるべきセラミック材料は、焼結された棒の形状であり、その表面を合焦点電子ビームが掃引する。ビームの動的エネルギーの一部は、棒の表面において熱に変換される。特にEB−PVD方法においては、棒の蒸発、およびターゲットから基板への被覆蒸気の移動を容易にするために、作業圧力は低い。さらに電子銃が動作できるようになるためには、10−4Torr未満の圧力が必要であり(アーキングの問題)、そのため、室とは別に電子銃の真空引きが必要である。

発明が解決しようとする課題

0007

さらに、熱バリア用被覆への適用の場合、
・ 隣接する二つの層の間に界面の形成がある場合、この界面は熱束を減ずることはできないが、反復しようとする層の構造を制御することはできる
・ 層の熱伝導性下げるのに寄与するのは、各層間の界面ではなく、再核形成化された各層の構造であるのようである限り、反復された核形成のセラミック層の概念は層状微細複合材料の概念とは異なる。

0008

EB−PVDによる熱バリアの付着の間、部品は、棒の放射加熱により確保される1000℃に近い高い温度になる。棒の表面温度は3500℃と推定される。この温度では、棒の表面から発散するジルコニアの分子の一部分は、ZrO2 → ZrO+1/2O2の反応により解離する。

0008

課題を解決するための手段

0009

酸化ジルコニウムの分子からこのように解離した酸素の一部分は容器の真空引きにより消失し、その結果、ジルコニア付着物は低化学量状態(酸素の欠乏)になる。この効果は、付着の間、数ミリTorrの圧力で高酸素ガス(通常は、アルゴンと酸素の混合物)を容器に注入することにより補正することができる。この効果は、付着の間、反応性ガスを容器に注入しない時は人工的に補正することもできる。その場合、被覆した部品を、700℃の温度の空気で1時間単純にアニールすることにより、被覆の化学量は回復する。EB−PVD容器の内部に酸素を注入することによっても、セラミックの付着前に部品を自然のままで予備酸化することができる。このようにして、結合アンダーコートの表面に形成されるアルミナ膜は、セラミック層を良好に密着させるものである。工業的なEB−PVD方法では、蒸気源と対向して配置される部品の表面だけが被覆される。可動羽根あるいは分配器など複雑な幾何形状の部品を被覆する場合には、被覆蒸気束内で部品を回転させることが必要である。

0009

0010

EB−PVDセラミック層は、タービンの羽根での使用に関しては明らかな長所を有するが、熱伝導率が、プラズマスパッタリング熱バリアの熱伝導率(0.5から0.9W/mK)の2倍(通常、1.4から1.9W/mK)であるという大きな欠点を有する。この熱伝導率の差は付着物の形態に関連するものである。EB−PVD付着内の部品の表面に対し直角に配置されたセラミック小柱は、伝導および放射による熱移動に対しほとんど耐性を有さない。一方、プラズマスパッタリングにより作製される付着物は付着物の面に対し平行な微細亀裂の網を含むが、これは一般的に、スパッタリング時に破壊されるセラミックの小滴間の不完全な結合である。これらの微細亀裂は、付着物を通る熱の伝導を抑制するのにより有効である。セラミック層の絶縁能力は、その伝導率および厚さに比例する。同じ絶縁能力の場合、セラミック層の熱伝導率を半減させることにより、およそ半分の厚さの付着物を付着させることが可能であると思われ、このことは、遠心力を受ける可動羽根への付着に関して大きな長所となろう。

0010

0011

特許WO96/11288は、性状が異なる(通常、ジルコニア/アルミナ)ナノメートル層(厚さが0.001ミクロンから1ミクロンの間)のスタックで構成される層化複合材料型熱バリア被覆について記述している。このような構造で得られる熱伝導率の低減は、誘電体内の伝導による移動の主たる理由である音子(phonon)が層間の界面に分散していることによる。この文書は、混合の法則から計算することができる熱伝導率と比較して半分の伝導率を有する4ないし5ミクロン程度の薄い多層被覆について記述している。この被覆においては、熱伝導率の低減をもたらすのは、性状の異なる二つの層の間に界面が生じることによる。ナノメートル層からなるこのようなサンドイッチ構造は熱的に不安定であるという問題を有する。薄い層は、動作条件特有な高温(1100℃を超える)で長時間放置されると、相互拡散し、材料の均質化、すなわち熱伝導率の低減の作用因であった界面の消失を生じさせるおそれがある。

0011

0012

特許WO93/18199および欧州特許EP0705912は、セラミック被覆が構造の異なる複数の層から成る熱バリアについて記述している。隣接する層は、各層間に界面を発生させることができるよう、異なる構造を有する。付着物の厚さ方向での柱状形態は残っており、これは、熱サイクル強度に低下をきたさないようにするための基本的特性とみなされる。この方法では、蒸気の凝縮と結合して、層の表面の断続的イオン衝撃を適用することにより、多層構造が得られる。イオン衝撃は、負の高電圧で部品を分極することにより得られ、それは部品を気体放電陰極側に置くことになる。このようにして得られたセラミック層の形態への断続的イオン衝撃の影響により、多少なりとも密なセラミック層が作られる。しかしながら、熱老化は柱の緻密化を引き起こし、種々の層間の密度の格差を減少することが知られているため、このような被覆は低い熱伝導率を保持するのには適していない。さらに、高電圧と、EB−PVD付着に必要な高温(1000℃)とを組み合わせることは、工業的設備規模で実施するにあたってはきわめて複雑である。

0012

0013

一般的に、層化、より一般には多層と呼ばれる微細複合材構造、すなわち、熱束に対する強度を向上させるための界面の存在に基く微細構造を含む熱バリアは、動作時のこれらの界面の熱的不安定性のため、高温での適用に関しては将来有望ではない。組成または成分が異なる二つの材料間の界面は、高温拡散現象があるため、有勾配ゾーン変質する。そのため、必然的に界面およびこれに関わる界面の耐熱性の消失が生じる。

図面の簡単な説明

0013

0014

本発明の目的は、気相付着方法により付着される熱バリア型セラミック被覆であって、従来のセラミック被覆の耐熱性と同等の耐熱性と、従来のEB−PVD付着方法で得られる熱伝導率の少なくとも1/2の熱伝導率とを有し、熱伝導率が動作における老化とともに変化しない、さらには向上する、セラミック被覆を作製することである。

0014

0015

この目的のため、セラミック被覆の形態は、付着物の厚さ方向に連続した微細柱を含む従来の柱状構造とは異なり、セラミック被覆の形態は、反復核形成形態と呼ばれる、厚さ方向に整然と反復された連続柱状成長パターンを含む。被覆は、従来の柱状付着物と比較してより細かい繊維状微細構造を含む。

0015

0016

本発明の別の目的は、前記セラミック被覆を得ることができる気相付着方法を提供することである。

0016

0017

本発明によれば、基板上に付着される熱バリア型セラミック被覆は、セラミック付着物の連続再核形成により複数回反復される柱状成長パターンを厚さ方向に含むことを特徴とする。

0017

0018

本発明は、熱バリア型セラミック被覆の気相付着方法であって、被覆の核形成および成長が被覆すべき基板上の蒸気の凝縮により付着容器内で実現され、凝縮中のセラミックの連続する再核形成を生じさせるよう、付着中のセラミックの表面および/または付着容器内に蒸気相で存在する化学種相互作用する汚染ガスを、付着実施中に断続的に付着容器に注入することから成ることを特徴とする付着方法にも関する。汚染ガスとは、部品の機械完全性を損なうことなく、付着中の被覆の結晶成長パターン破断を発生させるガスを意味する。

0018

0019

本発明は、本発明によるセラミック被覆で被覆された被覆表面の少なくとも一部分を有する超合金金属部品にも関する。

0019

0020

本発明の他の特徴および長所は、非限定的例として示し、添付の図を参照して行う以下の説明の続きにおいて明らかになろう

0020

0021

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0023

0024

0025

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図1従来のEB−PVD法により気相付着された従来の柱状セラミック被覆の厚さ方向の形態を示す略図である。
図2従来の柱状セラミック被覆の厚さの変化にともなうその熱伝導率の局部的変化の例を示す図である。
図3本発明による反復核形成セラミック被覆の厚さ方向の形態を示す略図である。
図4a 本発明による、熱老化前の反復核形成セラミック被覆の繊維状形態(4a)を示す写真である。
図4b 本発明による熱老化後の反復核形成セラミック被覆の繊維状形態(4b)を示す写真である。
図5a被覆の厚さの変化にともなう、従来のセラミック被覆の熱伝導率の変化を示す図である。
図5b 被覆の厚さの変化にともなう、反復核形成セラミック被覆の熱伝導率の変化を示す図である。
図6本発明による汚染ガス投入サイクルの第一の例を示す略図である。
図7本発明による汚染ガス投入サイクルの第二の例を示す略図である。

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