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技術 高密度細胞培養法

出願人 ニプロ株式会社
発明者 安本茂國村忠司
出願日 1998年8月13日 (21年11ヶ月経過) 出願番号 1998-242533
公開日 2000年2月29日 (20年5ヶ月経過) 公開番号 2000-060542
状態 特許登録済
技術分野 微生物・酵素関連装置 微生物、その培養処理
主要キーワード 接着性物質 接着物 各培養皿 励起蛍光 効果判定 サインペン MCD 浮遊状態
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2000年2月29日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (4)

課題

接着性細胞の培養を効率的に行う方法を提供する。

解決手段

細胞密度が1×102 〜1×104 個/μlである接着性細胞の懸濁液をドロップレットにして、培養容器上に設置し、培地を添加し、次いで該接着性細胞を培養することを特徴とする高密度細胞培養法ならびに該培養法により得られた高密度培養シート

概要

背景

一般に研究室等で行われている細胞培養とは、培養皿等に満たしてある培地細胞散在的に蒔き、その後、個々の細胞を増殖させることによって行われる。増殖した細胞は、やがてコロニーを形成し、次第にそのコロニーは大きくなり、さらに増殖が進むとコロニー間で融合が起こり、最終的には培養皿一面を細胞が占めるようになる。このようなコンフルエントな状況が、無限増殖能を示す形質転換細胞癌細胞の培養では一般的に見られる。しかし、増殖能力の低い、例えば分裂回数に限りがある正常細胞では、このようなコンフルエントな状態を作り出すためには、培養開始時に散在される細胞の数を増やす必要があり、そのために培養当初に多量の細胞が必要となる。

従来から細胞を培養するには、細胞密度が低いときよりも細胞密度がある程度高くなったときの方が細胞の増殖速度が高くなることが、経験的に知られている。

正常な接着性細胞が増殖するためには、培養容器などの表面に細胞が接着する必要がある。これを足場依存性とよぶ。また、一般的に用いられる培養法で、接着性細胞を培養する場合、培養開始時に散在された細胞の数は、約30%以下になるものもある。

細胞培養の効率を上げる方法の1つに、予め調製されたコラーゲンラミニンフィブロネクチン等の細胞外接着物質を培養容器表面に被覆しておき、細胞をより接着しやすくする方法がある。しかしながら、多くの生体組織はヘテロ細胞集団で構成されており、すべての細胞がこれらの接着性物質に対する受容体発現しているわけではない。したがって、これらの細胞外接着物質に対する接着効率は細胞間で異なる可能性があり、必ずしもすべての細胞で、接着効率よいとは言えない。また、場合によっては、所望の細胞培養に不利な点を生じることもある。

概要

接着性細胞の培養を効率的に行う方法を提供する。

細胞密度が1×102 〜1×104 個/μlである接着性細胞の懸濁液をドロップレットにして、培養容器上に設置し、培地を添加し、次いで該接着性細胞を培養することを特徴とする高密度細胞培養法ならびに該培養法により得られた高密度培養シート

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

細胞密度が1×102 〜1×104 個/μlである接着性細胞の懸濁液をドロップレットにして、培養容器上に設置し、培地を添加し、次いで該接着性細胞を培養することを特徴とする高密度細胞培養法。

請求項2

培養開始当初から局所的に比較的細胞密度の高い状況下で培養する請求項1記載の高密度細胞培養法。

請求項3

接着性細胞が上皮細胞である請求項1記載の高密度細胞培養法。

請求項4

ドロップレットの量が5〜100μlである請求項1記載の高密度細胞培養法。

請求項5

培養容器が細胞外接着物被覆された物体である請求項1記載の高密度細胞培養法。

請求項6

細胞外接着物質が別の培養容器上で細胞を培養した後、細胞を除去した培養容器表面から回収された物質である請求項5記載の高密度細胞培養法。

請求項7

細胞外接着物質がコラーゲンラミニンエラスチンプロテオグリカンテネイシンまたはフィブロネクチンである請求項5記載の高密度細胞培養法。

請求項8

請求項1〜7に記載された高密度細胞培養法により培養された高密度細胞シート

技術分野

0001

本発明は接着性細胞、特に上皮表皮細胞を効率的で、かつ高密度に培養する高密度細胞培養法に関し、さらに詳細には接着性細胞の細胞懸濁ドロップレットを用いた高密度細胞培養法に関する。また、本発明は上記培養法により得られた高密度細胞シートに関する。

背景技術

0002

一般に研究室等で行われている細胞培養とは、培養皿等に満たしてある培地に細胞を散在的に蒔き、その後、個々の細胞を増殖させることによって行われる。増殖した細胞は、やがてコロニーを形成し、次第にそのコロニーは大きくなり、さらに増殖が進むとコロニー間で融合が起こり、最終的には培養皿一面を細胞が占めるようになる。このようなコンフルエントな状況が、無限増殖能を示す形質転換細胞癌細胞の培養では一般的に見られる。しかし、増殖能力の低い、例えば分裂回数に限りがある正常細胞では、このようなコンフルエントな状態を作り出すためには、培養開始時に散在される細胞の数を増やす必要があり、そのために培養当初に多量の細胞が必要となる。

0003

従来から細胞を培養するには、細胞密度が低いときよりも細胞密度がある程度高くなったときの方が細胞の増殖速度が高くなることが、経験的に知られている。

0004

正常な接着性細胞が増殖するためには、培養容器などの表面に細胞が接着する必要がある。これを足場依存性とよぶ。また、一般的に用いられる培養法で、接着性細胞を培養する場合、培養開始時に散在された細胞の数は、約30%以下になるものもある。

0005

細胞培養の効率を上げる方法の1つに、予め調製されたコラーゲンラミニンフィブロネクチン等の細胞外接着物質を培養容器表面に被覆しておき、細胞をより接着しやすくする方法がある。しかしながら、多くの生体組織はヘテロ細胞集団で構成されており、すべての細胞がこれらの接着性物質に対する受容体発現しているわけではない。したがって、これらの細胞外接着物質に対する接着効率は細胞間で異なる可能性があり、必ずしもすべての細胞で、接着効率よいとは言えない。また、場合によっては、所望の細胞培養に不利な点を生じることもある。

発明が解決しようとする課題

0006

接着性細胞を浮遊状態にさせておくと、分化アポトーシス誘導される。これは結果として、細胞の接着効率を低下させ、ひいては培養効率の低下を招く。したがって、細胞の接着を迅速に行うことは、接着性細胞の培養を効率的に行うことに必須である。また、微量のサイトカイン類の効果検定に最適である。

課題を解決するための手段

0007

すなわち、本発明は細胞密度が1×102 〜1×104 個/μlである接着性細胞の懸濁液をドロップレットにして、培養容器上に設置し、培地を添加し、次いで該接着性細胞を培養することを特徴とする高密度細胞培養法である。

0008

また、本発明は上記高密度細胞培養法により培養された高密度細胞シートである。

発明を実施するための最良の形態

0009

本発明において使用する接着性細胞とは、上皮細胞である。上皮細胞としては、ヒト表皮角化細胞子宮上皮細胞、乳腺上皮細胞角膜上皮細胞血管内皮細胞神経細胞などが例示される。本発明において培養する細胞の中には、幹細胞を含むものが好ましい。幹細胞を含む場合、それらの細胞を維持することができれば、さらに長期培養が可能である。本発明において培養する上皮細胞は、組織片コラーゲンタイプI,IVを分解する酵素であるDispaseなどで処理することにより、分離した上皮層をさらにトリプシンEDTAなどの溶液で処理することが好ましい。

0010

本発明において使用する幹細胞の一例としては、低親和性神経成長因子受容体、例えばNGFDP75 を発現している細胞がある。NGFDP75 は幹細胞が有する様々な特性、子宮や食道などの上皮組織基底層局所的に存在し、その数が上皮細胞集団の約1%以下であり、ごくゆっくり増殖しているか、あるいは休止しているなどの性質を有する。また、該細胞は抗NGFP75 抗体により、磁気ビーズFACS励起蛍光細胞分取法)などを用いて分離、同定が可能である。

0011

本発明において使用する培地としては、上記接着性細胞を培養する培地であれば、特に制限はなく、例えば、MCDB153培地、MCDB152培地、MCDB170培地、HamF12培地などが例示される。

0012

本発明において、ドロップレットとは、極微量の液滴のことである。ドロップレットを形成するには、通常、マイクロピペッター等の器具を使用することにより行う。ドロップレットの形状は、使用する器具により任意の形状が可能である。ドロップレットの量としては、好ましくは10〜50μlである。ドロップレットの数と形状を同時に制御することにより、時間的にも、より効率的で、より複雑な形状の高密度細胞シートの作製が可能となる。ドロップレットにより接着された細胞は、下記培養条件下で培養できる。

0013

本発明において、懸濁液中の接着性細胞は、細胞密度が1×102 〜1×104 個/μlである。細胞密度が1×102 個/μl未満であると、細胞同士の相互作用が弱くなり、培養効率が低下する。また、1×104 個/μlを越えると、細胞の接触阻害が生じ、培養効率が低下する。

0014

本発明における培養容器としては、培養皿、培養フラスコカバーグラス上などが例示される。

0015

本発明においてドロップレットが直接設置される培養容器は、前以て、別の培養容器で細胞培養を行い、細胞を除去した後、培養容器表面から回収された細胞外接着物質および細胞分泌物質がコートされているものが好ましい。本発明では、培養開始当初から局所的に比較的細胞密度の高い状況下で、接着性細胞を培養する。培養条件としては、37℃、100%湿度、5%炭酸ガスが好ましい。

0016

次に本発明を実施例を用いて詳細に説明する。
実施例1ヒト皮膚角化細胞形質変換細胞)の培養
ヒト表皮ケラチノサイトパピローマウイルス16DNAでトランスフェクションして作成されたPHK16Ob(Journal of Viorogy, Vol.65:2000-2009)5×105 個を下記組成を有する培地1mlに懸濁した。その懸濁液40μl(細胞2×104 個を含む)をマイクロピペッターを用いて、ドロップレットとして、直径5cmの培養皿の真ん中に設置し、炭酸ガス・インキュベーター内(37℃)で、24時間培養した。次いで、下記組成を有する培地4mlをさらに加え、2週間、37℃にて培養した。
培地:MCDB153培地(ただしCa2+濃度は1mM)
上皮細胞成長因子最終濃度5ng/ml
インシュリン最終濃度 5μg/ml
ヒドロコルチゾン0.5μg/ml
エタノールアミン0.1mM
ホスホエタノールアミン0.1mM
0.5%透析された牛胎児血清

0017

エタノールで5分間、培養細胞を固定した後、ギザ染色液で染色した。培養開始から1日、5日、8日および14日後の染色した、それぞれの培養細胞を位相差顕微鏡を用いて40倍の倍率撮影した。その結果を図1左欄に示す。図1中、右下の直線はスケールを示す。また、図1左欄、8日と14日の写真に見られる黒い帯場の部分は、細胞の広がりを記録するために設けられたサインペンマークである。

0018

比較例1
上記組成を有する培地4mlが入った5cmの培養皿に、実施例1と同様な形質変換細胞(PHK16Ob)2×104 個を散在的に蒔き、その後、24時間毎に培地を交換しながら、炭酸ガス・インキュベーターで、2週間培養した。実施例1と同様にして、該細胞をエタノールで5分間固定した後、ギザム染色液で染色した。その結果を図1右欄に示す。

0019

図1から明らかなように、細胞が増殖している領域で、単位面積当たり細胞数を比較したところ、どの時間経過においても、本発明のドロップレット培養法の方が従来の培養法よりも細胞数が多い。また、従来の培養法では培養皿全体に分布しているが、隙間がかなり見られ、その密度はあまり高くないが、本発明のドロップレット培養法では細胞が増殖している領域では、ほとんど細胞間のすき間はなく、高密度に細胞が分布していることが明らかである。

0020

本発明のドロップレット培養法での培養時間の経過に伴う同心円状の細胞増殖図2に示す。培養開始から2週間後の細胞の分布状態図3に示す。左図は、本発明のドロップレット培養法、右図は従来の培養法である。

0021

実施例2
3種の培地を有する各培養皿に、4.2×105 個のパピローマウイルスで形質変換されたヒト皮膚角化細胞(PHKOb)を散在的に蒔き、5分または15分後にそれぞれ接着している細胞数を測定した。具体的には、接着していない細胞を回収して、その数を計測し、最初に蒔かれた細胞数から測定細胞数を差し引いて、接着している細胞数を計算した。使用した培養皿は、商品名、Non-coateddish (60mm dish Greiner) 、商品名、Collagen IV-coated dish(岩硝子製)、商品名、used-dish (Non-coated dishに一度、0.03mMのCa2+濃度でob細胞を18日間培養した後、0.1%トリプシン−0.1mMEDTA溶液で細胞を取り除いた後の培養皿)である。各培養皿の接着効率を下記表1に示す。

0022

発明の効果

0023

本発明の培養法では、ドロップレットを中心とした同心円状の細胞の増殖が起こり、効率的な細胞培養が可能となり、従来の培養法に比べて、効率的に高密度な細胞培養が可能となる。特にドロップレットに幹細胞が含まれれば、同心円状の細胞の広がりはさらに拡大する。したがって、細胞間の相互作用やある細胞が分泌する特定の物質の他の細胞への作用を可能とする。さらに、微量のドロップレットは培地等へ添加される成長因子などの栄養素の使用量を節約でき、また、極微量のサイトカイン類の効果判定に利用できる利点を有する。また、生体適合性物質および培地を有する担体から得られた高密度細胞シートは、火傷等の皮膚移植等の治療利用可能である。

図面の簡単な説明

0024

図1培養開始から時間経過に伴う細胞密度の変化を示す図面に代わる写真である。
図2本発明のドロップレット培養法での培養時間の経過に伴う同心円状の細胞増殖を示す図面に代わる写真である。
図3培養開始から2週間後の細胞の分布状態を示す図面に代わる写真である。左図は、本発明のドロップレット培養法、右図は通常の培養法である。
図4各細胞皿の接着効率を示すグラフである。

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