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技術 小口径管の内面残留応力状態を改善する方法

出願人 関西電力株式会社北海道電力株式会社四国電力株式会社九州電力株式会社日本原子力発電株式会社三菱重工業株式会社
発明者 松枝啓之三山彰一木場孝典大川内智孝番場美津夫名倉保身太田高裕市岡丈彦沖村浩司
出願日 1998年8月12日 (21年0ヶ月経過) 出願番号 1998-228297
公開日 2000年2月22日 (19年5ヶ月経過) 公開番号 2000-052247
状態 特許登録済
技術分野 砥粒による吹付け加工の細部
主要キーワード オーステナイト系金属 水噴出管 キャビテーション係数 崩壊圧 対象金属材料 衝突角 発生挙動 管壁近傍
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2000年2月22日)のものです。
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図面 (3)

課題

小口径管内面に加工により生じた引張残留応力を減少する。

解決手段

水で満たされた小口径管の内部にキャビテーション気泡を含む高速水流ノズルから噴射し、該キャビテーション気泡を前記小口径管の内面近傍で崩壊させる所謂ウォータジェットピーニング法を採用して残留応力状態を改善することとし、その際、小口径管の内面と高速水流との衝突角度が10°から20°までの範囲内となり、且つノズル噴射穴衝突内面との距離Lが噴射穴径dの1/2倍から5倍までの範囲内となるノズルを使用する。

概要

背景

金属材料溶接等の加工により表面に引張応力残留することがある。この引張残留応力は、その金属材料からなる部材の機能を維持する上で一般に好ましいものではない。例えば、高温水中に置かれるオーステナイト系金属材料は、溶接などに起因した引張残留応力が存在した場合、応力腐食割れが起こると言われている。この引張残留応力を減少し、或いは圧縮残留応力に変える方法として、ショットピーニングが知られているが、これは一般には空気中において対象面にショット鋼球等)を撃ち付けて塑性変形を与え、残留応力状態を改善するものである。鋼球等の固体粒子を撃ち付けるショットピーニングでは、飛散した固体粒子を回収しなければならない等といった問題がある。このため、前述の問題を解決するものとして、微細気泡を含んだ高速水流を金属材料の対象面に噴射する所謂ウォータジェットピーニング法(特開平4−240073号、特開平4−362124号)が提案されている。このウォータジェットピーニング法は、発生させたキャビテーション気泡衝突により崩壊させ、その崩壊圧を利用して、金属材料の表面近傍の残留応力を改善するものである。

概要

小口径管内面に加工により生じた引張残留応力を減少する。

水で満たされた小口径管の内部にキャビテーション気泡を含む高速水流をノズルから噴射し、該キャビテーション気泡を前記小口径管の内面近傍で崩壊させる所謂ウォータジェットピーニング法を採用して残留応力状態を改善することとし、その際、小口径管の内面と高速水流との衝突角度が10°から20°までの範囲内となり、且つノズル噴射穴と衝突内面との距離Lが噴射穴径dの1/2倍から5倍までの範囲内となるノズルを使用する。

目的

前述のウォータジェットピーニング法は、水中においても施工可能であるが、所期残留応力改善が得られるのは、ノズル噴射穴径をd、ノズル噴射穴と対象金属材料表面との距離をLとすると、比L/d=20〜50を満足する状態で対象金属表面に対し噴射ノズルを置いた場合のみである。従って前述の比の関係を満足する位置に噴射ノズルを置けない場合には前述のウォータジェットピーニング法では、金属材料表面の残留応力を改善できない。例えば、内径が9mm程度の小口径管の内面に対して、比L/d=20を満足するには、ノズル噴射穴径が極めて小さくなり、実際の施工は不可能である。従って、本発明は、小口径管の内面のように噴射ノズルの設置空間に制約が多い金属材料においても、表面近傍の残留応力の改善が得られるウォータジェットピーニング法を提供することを課題とする。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
3件

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請求項1

水で満たされた小口径管の内部にキャビテーション気泡を含む高速水流ノズルから噴射し、該キャビテーション気泡を前記小口径管の内面近傍で崩壊させて該小口径管の内面の残留応力状態圧縮側に改善する方法において、前記内面と前記高速水流との衝突角度が10°から20°までの範囲内となり、且つノズル噴射穴と前記衝突内面との距離Lが噴射穴径dの1/2倍から5倍までの範囲内となるノズルを使用することを特徴とする小口径管の内面残留応力状態を改善する方法。

請求項2

請求項1記載の方法において、前記高速水流の下流側において前記小口径管を閉じた状態に保持し、或いは水の流出が望めない状態とし、前記小口径管の内径Diと前記ノズルの外径DOとの比が1.5:1以下1:1超とする範囲に入るノズルを使用することを特徴とする小口径管の内面残留応力状態を改善する方法。

請求項3

請求項1又は請求項2記載の方法において、前記小口径管と前記ノズルとを円周方向及び軸方向に相対的に移動させつつ前記高速水流を噴射することを特徴とする小口径管の内面残留応力状態を改善する方法。

請求項4

請求項1乃至請求項3記載の方法において、前記ノズルは複数の噴射穴を有することを特徴とする小口径管の内面残留応力状態を改善する方法。

請求項5

請求項1乃至請求項4記載の方法において、前記小口径管内の圧力を測定して一定に保持することを特徴とする小口径管の内面残留応力状態を改善する方法。

技術分野

0001

本発明は、金属材料表面近傍残留応力状態を改善する方法に関し、特に内径が小さい配管材料、所謂小口径管内面残留応力を改善する方法に関する。

背景技術

0002

金属材料は溶接等の加工により表面に引張応力残留することがある。この引張残留応力は、その金属材料からなる部材の機能を維持する上で一般に好ましいものではない。例えば、高温水中に置かれるオーステナイト系金属材料は、溶接などに起因した引張残留応力が存在した場合、応力腐食割れが起こると言われている。この引張残留応力を減少し、或いは圧縮残留応力に変える方法として、ショットピーニングが知られているが、これは一般には空気中において対象面にショット鋼球等)を撃ち付けて塑性変形を与え、残留応力状態を改善するものである。鋼球等の固体粒子を撃ち付けるショットピーニングでは、飛散した固体粒子を回収しなければならない等といった問題がある。このため、前述の問題を解決するものとして、微細気泡を含んだ高速水流を金属材料の対象面に噴射する所謂ウォータジェットピーニング法(特開平4−240073号、特開平4−362124号)が提案されている。このウォータジェットピーニング法は、発生させたキャビテーション気泡衝突により崩壊させ、その崩壊圧を利用して、金属材料の表面近傍の残留応力を改善するものである。

発明が解決しようとする課題

0003

前述のウォータジェットピーニング法は、水中においても施工可能であるが、所期残留応力改善が得られるのは、ノズル噴射穴径をd、ノズル噴射穴と対象金属材料表面との距離をLとすると、比L/d=20〜50を満足する状態で対象金属表面に対し噴射ノズルを置いた場合のみである。従って前述の比の関係を満足する位置に噴射ノズルを置けない場合には前述のウォータジェットピーニング法では、金属材料表面の残留応力を改善できない。例えば、内径が9mm程度の小口径管の内面に対して、比L/d=20を満足するには、ノズル噴射穴径が極めて小さくなり、実際の施工は不可能である。従って、本発明は、小口径管の内面のように噴射ノズルの設置空間に制約が多い金属材料においても、表面近傍の残留応力の改善が得られるウォータジェットピーニング法を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0004

如上の課題を解決するため、本発明によれば、水で満たされた小口径管の内部にキャビテーション気泡を含む高速水流をノズルから噴射し、該キャビテーション気泡を前記小口径管の内面近傍で崩壊させて該小口径管の内面の残留応力状態を圧縮側に改善する方法において、前記小口径管の内面と前記高速水流との衝突角度を10°から20°とし、且つノズル噴射穴と前記衝突内面との距離Lが噴射穴径dの1/2倍から5倍となるようなノズルを使用する。キャビテーション気泡の崩壊により小口径管の内面に塑性歪みを発生させるには、高速水流により発生したキャビテーション気泡をある程度成長させなければならない。この気泡の成長は、小口径管ではその内面に傾斜させて高速水流を噴射することにより実現するが、その傾斜角度が10°より小さいと、キャビテーション気泡を管内面に押し付ける流れが弱く、気泡の崩壊が管壁近傍優先的に起こらない。一方、噴射の傾斜角度が20°を越すと、高速水流のジェットコア部の水塊による水撃効果で壊食が発生しやすいし、発生したキャビテーション気泡が管の内面から剥離し、気泡の崩壊が内面近傍で起こらない。しかしながら、前述のように傾斜角度即ち衝突角度を10°から20°の範囲とすると、発生したキャビテーション気泡が管の内面に沿って下流側に流され、広い範囲の内面近傍において、キャビテーション気泡の崩壊が発生する。

0005

キャビテーション気泡が崩壊するときに発生する衝撃圧Pmaxは、次式のように気泡の大きさと雰囲気の圧力により変化する。
Pmax =0.16・Po・Ro3/R3
但し、Po :雰囲気圧
Ro :気泡の初期半径
R :消滅したときの気泡の半径
小口径管内に高速水流を噴射すれば、管内の圧力は上昇し、キャビテーション気泡崩壊時の衝撃圧が上昇する。一方キャビテーション気泡の発生挙動を示すキャビテーション係数σは、次式で表される。
σ =(Po−Pv)/(0.5・ρ・V2)
但し、Po :雰囲気圧
Pv :蒸気圧
ρ :流体密度
V :流速
以上の式から、雰囲気圧が大きいとキャビテーション係数が大きくなり、キャビテーション気泡は生じにくくなることが分かる。このように、本発明は管内の圧力変化の影響を受け易い。しかしながら、小口径管とノズル外形との間が広いと、管内圧力管外周辺の圧力の影響を受けるが、小口径管の内径Diと前記ノズルの外形DOとの比が1.5:1以下1:1超とすると、管内圧力は管外圧力の影響を受けない。従って、本発明の前述の方法において、好ましくは前記高速水流の下流側において前記小口径管を閉じた状態に保持し、或いは水の流出が望めない状態とし、前記小口径管の内径Diと前記ノズルの外形DOとの比が1.5:1以下1:1超とする範囲に入るノズルを使用する。更に好適には、前述の方法を実施するに際し、前記小口径管と前記ノズルとを円周方向及び軸方向に相対的に移動させる。更には、複数の噴射穴を有するノズルを使用し、或いは、小口径管内の圧力を測定して所定値に保持しつつ実施される。

発明を実施するための最良の形態

0006

以下添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の方法を実施するための装置の概念図であり、ウォータジェットピーニング装置10は、加圧可能な水槽11と、水槽11の中に設けられた移動台車13、これに載設され把持装置15を備えた回転装置17、水槽11の外に設けられたポンプ19及びポンプ19から延びて水槽11の中に入っており、先端に噴射ノズル21を備えた水噴出管23を有する。そして、把持装置15の回転軸と噴射ノズル21の軸心とは整列しており、把持装置15で把持した被処理材即ち小口径管1は、内部に噴射ノズル21を受け入れる。

0007

上記の構成のウォータジェットピーニング装置10を用い、管内径が9.5mmのニッケル基合金(600合金)管1の内面に、下記の条件で高速水流を噴射した。
使用噴射ノズル21の外径8.0mm
使用噴射ノズル21の噴射穴径 1.0mm
使用噴射ノズル21の噴射穴数 2個(軸心に対し対称位置)
高速水流と管内面の衝突角度12°
ポンプ19の噴射圧力90MPa
上記施工条件によるニッケル基合金管1の内面の残留応力改善結果を図2に示す。図に示すように、高速水流によるウォータジェットピーニングを施す前の内表面の残留応力即ち初期値は、斜線四角印及び同三角印に示すように30MPa程度の圧縮残留応力であったが、ウォータジェットピーニングの施工後の表面残留応力は、管内表面で400MPa程度の圧縮残留応力に変わり、表面から0.5mmの深さの位置でも100MPa程度の圧縮残留応力になっている。そして、内表面には幅数百μmで深さが10μm程度の凹みが生じたが、顕著なピットは観察されない。このことは、例えば、350MPa程度の引張残留応力が管内表面にあっても、本発明のウォータジェットピーニングの施工により残留応力が圧縮側に改善できることを示している。

0008

次に内径Diが9.5mm及び16mmの2種の小口径管について、前述の噴射ノズルを使用して高速水流を噴出し、管内圧力に対する雰囲気圧の影響を調べた。結果を図3に示す。管の内径Diとノズル外径DOとの比は、内径Diが9.5mmの小口径管では1.2:1であり、内径Diが16.0mmの小口径管では2:1である。図から分かるように、内径Diが9.5mmの小口径管では管内圧力は雰囲気圧の影響を殆ど受けず、大気圧と0.15MPaの雰囲気圧下で同じ管内圧力が得られ、良好な残留応力の改善が得られる。これに反して、内径Diが16mmの小口径管では管内圧力は雰囲気圧の影響を受け、雰囲気圧が大気圧の場合に比し、雰囲気圧0.15MPaの場合は、ポンプによる噴射圧力を1.2倍程度増加する必要が生じた。このようなことから、被処理小口径管の内径Diとノズルの外径DOとの比が1.5:1以下1:1超とする範囲に入る噴射ノズルを使用すれば、外部の雰囲気圧に左右されずに良好なピーニング効果が得られる。

発明の効果

0009

以上説明したように、本発明によれば小口径管の内面とノズルから噴出される高速水流との衝突角を適切に設定することにより、発生キャビテーション気泡が好適な位置で崩壊するので、内面の残留応力を圧縮側に移すように改善することができる。更に、本発明によれば、被処理小口径管の内径に対応して、適切な外径のノズルを使用することにより、外部雰囲気圧の影響を受けずに前述の残留応力改善効果を得ることができる。更に、本発明によれば、被処理小口径管とその内部に挿入したノズルとを相対的に移動させつつ高速水流を噴射することにより、広範囲の内面に前述の残留応力改善効果を得ることができる。更に、本発明によれば、高速水流を噴出する噴射穴を複数設けることにより傾斜した高速水流の噴射反力バランスさせてノズルを適切な位置に保持するので、安定した前述の残留応力改善効果を得ることができる。

図面の簡単な説明

0010

図1本発明の方法を実施するための装置の一例を示す概念図である。
図2本発明の実施形態における残留応力改善効果を示すグラフである。
図3本発明の実施条件を設定するための実験の結果を示すグラフである。

--

0011

1ニッケル基合金管
10ウォータジェットピーニング装置
11水槽
13移動台車
15把持装置
17回転装置
19ポンプ
21噴射ノズル
23 噴出管

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