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概要
背景
瞬間接着剤は、シアノアクリレートモノマーを主体とする接着剤であり、少量の水分の存在下に速やかにアニオン重合して硬化するという特徴を有する。しかしながら、接着面が酸性であるとシアノアクリレートの重合に禁止的に作用するため、木材等のような酸性表面を有する素材を接着しようとする場合には、重合が速やかに起こらず、瞬間接着剤としての機能が十分に果たせない。このため、被接着面が酸性であっても重合を速やかに開始させ進行させることを目的として、瞬間接着剤には、重合促進剤を含有させることが知られている。
そのような例として、ドイツ公開特許公報第2816836号には、重合促進剤としてクラウンエーテルを使用したシアノアクリレート接着剤組成物が記載されており、木材のような酸性表面の接着にシアノアクリレートを瞬間接着剤として用いること可能にしている。しかしながら、クラウンエーテルは、中枢神経系を侵し、睾丸萎縮をももたらす等、重大な障害の原因となることが知られており(Leong, B.K.J. Chem. Eng. News, 53, 5 (1975))、接着剤の製造及び取り扱いにおいて問題が大きい。
また、クラウンエーテルと併用したとき、ある種のフラン誘導体がシアノアクリレート組成物の重合の共促進剤となることが、ドイツ特許公開公報第3006071号に記載されているが、そのような手段も、クラウンエーテルのもつ問題点の故に好ましくない。
また、ポリエチレングリコール類やポリ(エチレンオキシ)官能性界面活性剤のうちにも、シアノアクリレート瞬間接着剤の促進剤として機能しうるものがあることが報告されている(米国特許第4170585号)。しかしながら、ポリエチレングリコールやポリ(オキシエチレン)官能性界面活性剤は親水性が高く、微量の水分を不純物として含有し易く、その除去は非常に困難である。シアノアクリレートの重合は、被接着物に含まれている微量の水分や空気中の水分によって急速に開始されるものであるから、シアノアクリレート瞬間接着剤に添加される重合促進剤は、重合を開始させてしまう水分を含まないものでなければなければならない。この点で、ポリエチレングリコール類やポリ(エチレンオキシ)官能性界面活性剤を重合促進剤として用いるのは、実用的でない。
その他、芳香族及び脂肪族ポリオールとポリエーテルの混合物が、シアノアクリレートによる木材接着製品の初期強度を改善することが、米国特許第4377490号に記載されている。
また、3又は4アームのポリオールポダンド化合物のうちに、シアノアクリレート接着剤の重合促進剤となるものがあることが、米国特許第4386193号に記載されている。
また、ポリエーテル置換基を有するポリオルガノシロキサン化合物をシアノアクリレート接着剤に含有させることによって、木材表面との接触によるシアノアクリレートの重合を促進させることができることが、特開昭57−70171号に記載されている。
また、シアノアクリレート組成物に、重合促進剤としてヒドロキシ末端ポリ(ジメチルシロキサン)を含有させることが報告されている(Chem. Abstracts, 97: 145913n)。
しかしながら、これらの促進剤は、酸性表面におけるシアノアクリレートの重合促進と、貯蔵中における組成物の安定性の維持という2つの要求を十分に満足しない。
更には、特開昭60−179482号には、ある種のカリックスアレーン(calixarene)化合物が、シアノアクリレート接着剤組成物において、木材との接着を促進させるために使用でき、同時に貯蔵安定性も著しく損なうことのないことが記載されている。カリックスアレーンの範囲として同公報に明確に規定されているのは、次式:
概要
酸性表面に対して迅速な硬化速度を有し、しかも貯蔵安定性に優れた瞬間接着剤組成物を提供すること。
シアノアクリレート接着剤組成物であって、シアノアクリレートモノマーと、0.05〜5重量%の濃度の次式:
(各式において、R1は、水素又は低級アルキルを表し、異なった芳香環に結合したR1同志は、それぞれ互いに異なってよく、R2は、水素又は低級アルキルを表し、異なった芳香環に酸素原子を介して結合したR2同志は、それぞれ互いに異なってよく、各式において、トリ(オキシエチレン)架橋の一端と1つのR2との間で、芳香環に結合した酸素との結合位置が相互に交換されていてもよく、そして残りのR2のうち少なくとも1対のR2が一緒になって少なくとも1つのトリ(オキシエチレン)架橋を更に形成してもよい。)の何れかで示されるカリックスクラウン化合物を含有してなることを特徴とする組成物。
目的
本発明は、酸性表面に対してカリックスアレーン含有のシアノアクリレート瞬間接着剤組成物と同等の迅速な硬化速度を有し、しかも貯蔵安定性に優れた瞬間接着剤組成物を提供することを目的とする。
効果
実績
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請求項1
シアノアクリレート接着剤組成物であって、シアノアクリレートモノマーと、0.05〜5重量%の濃度の次式:
請求項
ID=000005HE=060 WI=096 LX=0570 LY=0450
請求項
ID=000006HE=055 WI=098 LX=0560 LY=1100
請求項
ID=000007HE=050 WI=102 LX=0540 LY=1700(上記各式において、R1は、水素原子又は低級アルキル基を表し、異なった芳香環に結合したR1同志は、それぞれ互いに異なってよく、R2は、水素原子又は低級アルキル基を表し、異なった芳香環に酸素原子を介して結合したR2同志は、それぞれ互いに異なってよく、上記各式において、トリ(オキシエチレン)架橋の一端と1つのR2との間で、芳香環に結合した酸素との結合位置が相互に交換されていてもよく、そして残りのR2のうち少なくとも1対のR2が一緒になって少なくとも1つのトリ(オキシエチレン)架橋を更に形成してもよい。)の何れかで示されるカリックスクラウン化合物を含有してなることを特徴とする組成物。
請求項2
シアノアクリレートが、次式:
請求項
技術分野
背景技術
0002
瞬間接着剤は、シアノアクリレートモノマーを主体とする接着剤であり、少量の水分の存在下に速やかにアニオン重合して硬化するという特徴を有する。しかしながら、接着面が酸性であるとシアノアクリレートの重合に禁止的に作用するため、木材等のような酸性表面を有する素材を接着しようとする場合には、重合が速やかに起こらず、瞬間接着剤としての機能が十分に果たせない。このため、被接着面が酸性であっても重合を速やかに開始させ進行させることを目的として、瞬間接着剤には、重合促進剤を含有させることが知られている。
0003
そのような例として、ドイツ公開特許公報第2816836号には、重合促進剤としてクラウンエーテルを使用したシアノアクリレート接着剤組成物が記載されており、木材のような酸性表面の接着にシアノアクリレートを瞬間接着剤として用いること可能にしている。しかしながら、クラウンエーテルは、中枢神経系を侵し、睾丸萎縮をももたらす等、重大な障害の原因となることが知られており(Leong, B.K.J. Chem. Eng. News, 53, 5 (1975))、接着剤の製造及び取り扱いにおいて問題が大きい。
0004
また、クラウンエーテルと併用したとき、ある種のフラン誘導体がシアノアクリレート組成物の重合の共促進剤となることが、ドイツ特許公開公報第3006071号に記載されているが、そのような手段も、クラウンエーテルのもつ問題点の故に好ましくない。
0005
また、ポリエチレングリコール類やポリ(エチレンオキシ)官能性界面活性剤のうちにも、シアノアクリレート瞬間接着剤の促進剤として機能しうるものがあることが報告されている(米国特許第4170585号)。しかしながら、ポリエチレングリコールやポリ(オキシエチレン)官能性界面活性剤は親水性が高く、微量の水分を不純物として含有し易く、その除去は非常に困難である。シアノアクリレートの重合は、被接着物に含まれている微量の水分や空気中の水分によって急速に開始されるものであるから、シアノアクリレート瞬間接着剤に添加される重合促進剤は、重合を開始させてしまう水分を含まないものでなければなければならない。この点で、ポリエチレングリコール類やポリ(エチレンオキシ)官能性界面活性剤を重合促進剤として用いるのは、実用的でない。
0007
また、3又は4アームのポリオールポダンド化合物のうちに、シアノアクリレート接着剤の重合促進剤となるものがあることが、米国特許第4386193号に記載されている。
0008
また、ポリエーテル置換基を有するポリオルガノシロキサン化合物をシアノアクリレート接着剤に含有させることによって、木材表面との接触によるシアノアクリレートの重合を促進させることができることが、特開昭57−70171号に記載されている。
0011
更には、特開昭60−179482号には、ある種のカリックスアレーン(calixarene)化合物が、シアノアクリレート接着剤組成物において、木材との接着を促進させるために使用でき、同時に貯蔵安定性も著しく損なうことのないことが記載されている。カリックスアレーンの範囲として同公報に明確に規定されているのは、次式:
0012
0013
(式中、R4はアルキル、アルコキシ、置換アルキル、または置換アルコキシ、R5はH,またはアルキル、nは4、6、または8を表す)で示されるものである。このうち、実施例には、R4がエトキシであるもの、すなわち、反復単位が次式:
0014
0015
によって示されるもののみが示されるとともに、そのような化合物が好ましいことが記載されている。
0016
しかしながら、この種のカリックスアレーン化合物はシアノアクリレート組成物の硬化促進剤として添加したとき、貯蔵安定性を著しくは損なうことはないものの、これを添加しない場合に比べれば、やはり貯蔵中の組成物の粘度を経時的にかなりの程度増大させて品質を劣化させ、貯蔵寿命を相当に短縮してしまうという問題がある。
発明が解決しようとする課題
0017
本発明は、酸性表面に対してカリックスアレーン含有のシアノアクリレート瞬間接着剤組成物と同等の迅速な硬化速度を有し、しかも貯蔵安定性に優れた瞬間接着剤組成物を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
0018
本発明者は、カリックスアレーン類縁化合物についての検討を通じて、ある種のカリックスアレーンのフェノール性水酸基間にクラウンエーテル型の架橋を導入して得られるカリックスクラウン化合物が、本発明の目的によく適合する重合促進剤となることを見出した。
0019
すなわち本発明は、シアノアクリレート接着剤組成物であって、シアノアクリレートモノマーと、0.05〜5重量%の濃度の次式:
0020
0021
0022
0023
(上記各式において、R1は、水素原子又は低級アルキル基を表し、異なった芳香環に結合したR1同志は、それぞれ互いに異なってよく、R2は、水素原子又は低級アルキル基を表し、異なった芳香環に酸素原子を介して結合したR2同志は、それぞれ互いに異なってよく、上記各式において、トリ(オキシエチレン)架橋の一端と1つのR2との間で、芳香環に結合した酸素との結合位置が相互に交換されていてもよく、そして残りのR2のうち少なくとも1対のR2が一緒になって少なくとも1つのトリ(オキシエチレン)架橋を更に形成してもよい。)の何れかで示されるカリックスクラウン化合物を含有してなることを特徴とする組成物を提供する。
0024
ここに、上記各式中のトリ(オキシエチレン)架橋の一端と1つのR2との間で、芳香環に結合した酸素との結合位置の交換は任意に行われてよい。従って、架橋位置の多様なカリックスクラウン化合物が、本発明の促進剤として包含される。そのような種々のカリックスクラウン化合物のうち、向かい合った芳香環同志がトリ(オキシエチレン)基を介して架橋されたものは、特に好ましい化合物の一例である。また、複数のトリ(オキシエチレン)架橋を有してもよい。またここに、「低級アルキル基」は、炭素数1〜8個のアルキル基を意味し、直鎖状、分岐鎖状のものを包含する。
0025
本発明のカリックスクラウン化合物を硬化促進剤として含有するシアノアクリレート瞬間接着剤は、前記カリックスアレーン化合物を用いたシアノアクリレート瞬間接着剤と同等の硬化促進効果を有し、木材等の酸性表面の瞬間接着に適するとともに、前記カリックスアレーン化合物に起因する貯蔵期間中の接着剤の粘度上昇を顕著に抑制して、貯蔵寿命を延長する効果を有する。
発明を実施するための最良の形態
0026
該カリックスクラウン化合物の濃度は、好ましくは0.05〜5重量%、より好ましくは、0.1〜2重量%である。
0027
上記接着剤組成物のうち、更に好ましいのは、シアノアクリレート接着剤組成物であって、シアノアクリレートモノマーと、0.05〜5重量%の濃度の次式:
0028
0029
(式中、R1は、水素原子又は低級アルキル基を表し、異なった芳香環に結合したR1同志は、それぞれ互いに異なってよく、そしてR2は、水素原子又は低級アルキル基を表し、異なった芳香環に酸素原子を介して結合したR2同志は、それぞれ互いに異なってよい。)で示されるカリックスクラウン化合物を含有してなることを特徴とする組成物である。
0032
0033
(n=4、5又は6)で示されるp−アルキル置換ヒドロキシカリックス[4]アレーン化合物は、総説Calixarenes, p.216-219, C.D. Gutsche, Royal Society of Chemistry等に記載されている公知の化合物と、Naイオンを触媒とするトリエチレングリコールジパラトシレートとの反応によってクラウン化される。クラウン環形成に寄与しないフェノール性水酸基のエーテル化は、上記の反応によって合成されたカリックスクラウンをNaH塩基のもと、アルキルヨウ素との反応によって行われる。
0034
本発明の組成物におけるシアノアクリレートとしては、瞬間接着剤として使用しうるものであれば特に限定されない。例えば次式:
0035
0036
(式中、R3は、炭素数1ないし4のアルキル基、アルケニル基、ハロアルキル基、アルコキシアルキル基、アリール基、又はアラルキル基を表す。)で示されるものであればよい。
0037
本発明の接着剤組成物は、シアノアクリレートモノマー及びカリックスクラウン化合物の他に、通常のシアノアクリレート瞬間接着剤組成物に加えられる各種の添加剤を通常添加される濃度に含有してよい。そのような添加剤としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテルその他のラジカル重合禁止剤や三弗化硼素ジエチルエーテル、二硫化炭素、芳香族スルホン酸、脂肪族スルホン酸、二酸化炭素その他のアニオン重合禁止剤等、貯蔵中の硬化を防止するための添加剤のほか、木材や皮革など粗面を有する被接着体への浸透を抑制するためのポリ(メタクリル酸メチル)、メタクリレート型共重合体、アクリルゴム、セルロース誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリ(α−シアノアクリレート)その他の増粘剤、シアノアクリレート硬化物の強度向上を目的とした化合物、エラストマー、ヒュームドシリカ、染料、顔料等が挙げられるが、これらに限定されない。
0038
以下、参考例及び実施例を挙げて本発明を一層詳細に説明するが、本発明が当該実施例に限定されることは意図しない。
0039
参考例1: 4−tert−ブチル−カリックス[4]クラウン−4の製造
次式:
0040
0041
で示される4−tert−ブチル−カリックス[4]クラウン−4を次の手順で合成した。10gのp−tert−ブチルカリックス[4]アレーン(東京化成工業株式会社)を、250mLのアセトニトリル溶媒中、炭酸ナトリウム32.7gと共に1時間撹拌した。撹拌操作を継続しながら、7.8gのトリエチレングリコールジパラトシレート(東京化成工業株式会社)を添加し、72時間還流した。減圧下で反応液を除去した後の乾固物に、1N塩酸を溶液が酸性になるまで添加した。クロロホルムで3回抽出後、有機層を合わせて硫酸マグネシウムにて乾燥し、続いてろ過、濃縮を行なった。クロロホルム/メタノールで再結晶を行い、展開溶媒としてクロロホルムを用い、シリカゲルクロマトグラフィーを行い、目的物7.1gを得た。融点219℃
元素分析:(計算値)C;78.7、H;8.7:(実測値)C;77.8、H;8.3IRスペクトル(cm-1): 3420、2964、2850、1486、1460、1402、1363、1297、1247、1206、1175、1096、1058、921、872、819、757、673
1H−NMRスペクトル(δ;d6−DMSO):8.65(s,2H,水酸基)、7.05(s,4H,芳香族)、6.98(s,4H,芳香族)、4.37(d,4H,ベンジル位メチレン)、4.18(m,8H,オキシエチレン)、3.98(m,4H,オキシエチレン)、3.33(d,4H,ベンジル位メチレン)、1.20(s,18H,t-ブチル)、1.18(s,18H、t-ブチル)
0042
実施例1:エチルシアノアクリレート87.8%、ポリアルキルメタクリレート12.1%、1,2,3−ベンゼントリオール1000ppm、三弗化硼素ジエチルエーテル錯体25ppmよりなる瞬間接着剤基本組成物(組成物A)に対して、添加剤として、参考例1で製造した4−tert−ブチル−カリックス[4]クラウン−4を0.5W/W%の濃度になるよう加えた。この組成物について、23℃、50%RH環境下でのセットタイムを測定した。また、この組成物の粘度を測定し、次いで、20g充填用ポリエチレン製容器中において、70℃、湿度0%、暗所での促進試験における20日後の粘度を測定して、増粘率を測定した。粘度測定は、株式会社東京計器製、E型粘度計を使用し、25℃で行い、得られた粘度データより、式:
増粘率=試験後粘度/初期粘度、
によって増粘率を算出した。
0043
比較例1〜3:実施例1についての測定と平行して、上記組成物Aそのもの(比較例1)、添加剤として組成物Aに次式:
0044
0045
の18−クラウン−6エーテル(東京化成工業株式会社)を0.1W/W%の濃度に加えたもの(比較例2)、および、組成物Aに次式のACROS ORGANICS製のテトラエステル4−tert−ブチル−カリックス[4]アレーンを1W/W%の濃度に添加したもの(比較例3)
0046
0047
について、それぞれ実施例1と同様にしてセットタイム及び増粘率を測定した。
0048
(結果)実施例1及び比較例1〜3についての、セットタイム及び、促進試験における増粘率の測定結果を表1に示す。
0049
0050
添加剤を含まない比較例1は、セットタイムがラワン合板で150秒、コピー用紙で30秒と、瞬間接着剤としては不十分な機能しか有しないものである。これに対し、4−tert−ブチル−カリックス[4]クラウン−4を添加した実施例1の組成物は、ラワン合板およびコピー用紙におけるセットタイムが、それぞれ15秒及び5秒と、瞬間接着剤に相応しい速やかな硬化が得られた。また、実施例1を、18−クラウン−6エーテルを添加剤とする比較例2と対比すると、比較例2では試験条件でゲル化が起こってしまったのに対し、実施例1ではそのようなことはないにも拘わらず、ラワン合板におけるセットタイムが比較例2よりも大幅に短いことが認められた。テトラエステル4−tert−ブチル−カリックス[4]アレーンを添加剤とする比較例3と比べたとき、実施例1のセットタイムは同等であるが、その一方、増粘率については、比較例3の組成物では5.0であり、添加剤不含の比較例1の増粘率2.5倍に比べて100%の増加があるのに対し、実施例1の組成物では増粘率は3.1倍に過ぎず、添加剤不含の比較例1の増粘率2.5倍に比べて24%だけ大きいに過ぎない。このように、実施例1は比較例3とセットタイムにおいて同等である一方で、増粘率を増加させる作用が比較例3より遙かに小さく、より長期間、品質を保持することが可能であることを示している。