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技術 光学情報記録媒体、その記録再生方法、その製造法及び光学情報記録再生装置

出願人 パナソニック株式会社
発明者 長田憲一西内健一山田昇赤平信夫
出願日 1999年5月12日 (19年7ヶ月経過) 出願番号 1999-131242
公開日 2000年2月2日 (18年10ヶ月経過) 公開番号 2000-036130
状態 特許登録済
技術分野 光学的記録担体およびその製造 光学的記録再生4(ヘッド自体) 光ヘッド
主要キーワード 昇温プロファイル 無機質薄膜 原子量比 回路ノイズ レーザ照射点 密着形成 光学分離層 連続溝
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図面 (10)

課題

2層の情報層に記録可能であり、高速オーバライト可能な光学情報記録媒体を提供する。

解決手段

再生のためのレーザ光入射側にある第1の情報層2と、その奥にある第2の情報層4とを備える光ディスクにおいて、第1の情報層2の記録部における反射率R1aと未記録部における反射率R1c、および、第2の情報層4の記録部における反射率R2aと未記録部における反射率R2cが、R1a<R1cかつR2a>R2cの関係を満たす。また、第1の情報層2の中の第1の記録相の記録部における光吸収率A1cと非記録部における光吸収率A1a、および、第2の情報層4の中の第2の記録層の記録部における光吸収率A2cと非記録部における光吸収率A2aが、A1a<A1cかつA2a<A2cの関係を満たす。

概要

背景

レーザ光を用いて信号を再生する、いわゆる再生専用光学情報記録媒体には、コンパクトディスク(CD)と称される光ディスクレーザディスク(LD)と称される光ディスク、デジタルビデオディスク(DVD)と称される光ディスクなどがある。現在、市販されている再生専用の光学情報記録媒体のうち、最も高密度に信号が記録されているものはDVDである。直径120mmの再生専用DVDは、ユーザ容量が最大で4.7GBの片面読み出し単層タイプ、最大9.4GBの両面読み出し単層タイプ、最大8.5GBの片面読み出し2層タイプなどのフォーマット規格で決められている。たとえば、片面読み出し2層タイプの光ディスクでは、2つの情報層が備えられ、光ディスクの一方の側からのレーザ光を用いて、2つの情報層のいずれに記録されている信号をも再生できる。多層構造再生専用光ディスクを製造する方法は、たとえば米国特許第5,126,996号に示されている。

また、レーザ光を用いて信号が記録及び再生される光学情報記録媒体として、相変化型光ディスク光磁気ディスク色素ディスクなどがある。このなかで、記録・消去可能な相変化型光ディスクでは、記録層材料としては一般的にカルコゲン化物を用いる。一般には、記録層材料が結晶状態の場合を未記録状態とし、レーザ光を照射し、記録層材料を溶融急冷して非晶質状態とすることにより、信号を記録する。一方、信号を消去する場合は、記録時よりも低パワーのレーザ光を照射して、記録層を結晶状態とする。カルコゲン化物からなる記録層は非晶質で成膜されるので、予め記録領域の全面を結晶化して未記録状態を得る必要がある。この初期結晶化は、通常はディスク製造工程の一部に組み込まれており、レーザ光源またはフラッシュ光源を用いて記録層を結晶状態にする。

記録・消去可能な相変化光ディスクへの信号記録速度を高めるために、高線速度記録に適したいわゆる光吸収補正構成の提案がなされている(たとえば特開平5−298747号公報、特公平8−1707号公報、特開平7−78354号公報、特開平7−262612号公報など)。これらの構成ではいずれも、記録のために照射するレーザ光に対する記録層の光吸収率が、記録層が非晶質の場合よりも記録層が結晶の場合の方が大きくなるように設計されている。光吸収補正を行っていない通常の相変化光ディスクでは、記録のために照射するレーザ光に対する記録層の光吸収率が、記録層が非晶質の場合よりも記録層が結晶の場合の方が小さい。この光ディスクでは、特に高線速度で記録を行う際、レーザ照射に伴う記録層の溶融到達温度が、レーザ照射前に記録層が非晶質であった領域の方が、レーザ照射前に記録層が結晶であった領域に比べて高くなることが知られている。この原因は、記録層の溶融において、結晶相出発点とした場合には融点において潜熱の供給が必要となるが、非晶質を出発点とした場合にはその必要がないため、また、非晶質と結晶では前者の方が熱伝導度が小さく効率的に加熱昇温されるため、と説明されている。また、光吸収補正を行っていない光ディスクにおいて、特に高線速度記録において到達溶融温度に大きな差が生じるのは、レーザ照射による直接昇温以外の昇温効果、即ち、レーザ照射点の前後からの熱拡散による昇温効果が、低線速度記録の場合のそれと比べて小さいからである。記録のためのレーザ照射前の記録層が非晶質か結晶か、即ち、記録マークか未記録部かによって到達溶融温度が変わる場合には、オーバライト(重ね書き)によって新たに形成した記録マークの形状が歪むので、良好な再生ジッタが得られない。光吸収補正は、記録層が非晶質であるか結晶であるかに起因する昇温プロファイルの差をキャンセルし、高線速度の記録においても良好なオーバライト特性が得られるように提案された。

また、記録可能または記録消去可能な光ディスクの記録密度を向上する観点から、基板表面に設けた案内溝グルーブ)と案内溝間ランド)の双方に信号を記録する、いわゆるランド&グルーブ記録の提案がなされている(たとえば特開平5−282705号公報)。

また、記録可能または記録消去可能な相変化光ディスクの記録容量を増大する観点から片面2層構成の光ディスクが提案されている(たとえば特開平9−212917号公報)。片面2層構成の光ディスクは、2つの相変化記録薄膜を備え、片面から光を入射してそれぞれの相変化記録薄膜で情報の記録と消去をする。複数の記録薄膜を設けることにより記録容量を倍増させる。また、片面2層構成の相変化光ディスクの初期化方法に関しては、2層の記録薄膜に同時に光照射を行って初期化を短縮する提案がなされている(たとえば特開平9−91700号公報)。

概要

2層の情報層に記録可能であり、高速でオーバライト可能な光学情報記録媒体を提供する。

再生のためのレーザ光の入射側にある第1の情報層2と、その奥にある第2の情報層4とを備える光ディスクにおいて、第1の情報層2の記録部における反射率R1aと未記録部における反射率R1c、および、第2の情報層4の記録部における反射率R2aと未記録部における反射率R2cが、R1a<R1cかつR2a>R2cの関係を満たす。また、第1の情報層2の中の第1の記録相の記録部における光吸収率A1cと非記録部における光吸収率A1a、および、第2の情報層4の中の第2の記録層の記録部における光吸収率A2cと非記録部における光吸収率A2aが、A1a<A1cかつA2a<A2cの関係を満たす。

目的

本発明の主たる目的は、上記課題を解決した多層構成の記録・再生可能な光学情報記録媒体、その記録再生方法、その製造法及び光学情報記録再生装置を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
9件
牽制数
20件

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請求項1

光束の照射によって結晶状態非結晶状態との間で可逆的な相変化をおこすことにより情報を記録し得る第1の記録層を含む第1の情報層と、光束の照射によって結晶状態と非結晶状態との間で可逆的な相変化をおこすことにより情報を記録し得る第2の記録層を含む第2の情報層とを備え、前記第1の記録層が結晶状態にある場合の前記光束に対する前記第1の情報層の反射率をR1c、前記第1の記録層が非結晶状態にある場合の前記光束に対する前記第1の情報層の反射率をR1a、前記第2の記録層が結晶状態にある場合の前記光束に対する前記第2の情報層の反射率をR2c、前記第2の記録層が非結晶状態にある場合の前記光束に対する前記第2の情報層の反射率をR2aとしたとき、R1a<R1c かつ R2a>R2cの関係を満たす光学情報記録媒体

請求項2

請求項1に記載の光学情報記録媒体であって、前記第1の記録層が結晶状態にある場合の前記光束に対する前記第1の記録層の光吸収率をA1c、前記第1の記録層が非結晶状態にある場合の前記光束に対する前記第1の記録層の光吸収率をA1aとしたときA1a<A1cの関係を満たす光学情報記録媒体。

請求項3

請求項1に記載の光学情報記録媒体であって、前記第2の記録層が結晶状態にある場合の前記光束に対する前記第2の記録層の光吸収率をA2c、前記第2の記録層が非結晶状態にある場合の前記光束に対する前記第2の記録層の光吸収率をA2aとしたときA2a<A2cの関係を満たすことを特徴とする光学情報記録媒体。

請求項4

請求項1に記載の光学情報記録媒体であって、前記第1の情報層と前記第2の情報層との間に、前記光束を透過する透明層が配置されていることを特徴とする光学情報記録媒体。

請求項5

請求項4に記載の光学情報記録媒体であって、前記透明層と前記第1の情報層との間、または、前記透明層と前記第2の情報層との間の少なくとも一方にオーバーコート層が形成されていることを特徴とする光学情報記録媒体。

請求項6

請求項5に記載の光学情報記録媒体であって、前記オーバーコート層がアクリル系樹脂からなり、前記透明層がエポキシ系樹脂からなることを特徴とする光学情報記録媒体。

請求項7

請求項1に記載の光学情報記録媒体であって、前記第1の記録層は、予め記録マークが形成された領域を含むことを特徴とする光学情報記録媒体。

請求項8

請求項7に記載の光学情報記録媒体であって、前記予め記録マークが形成された前記領域では、単位面積当たりの前記記録マークの面積比が20%以上50%以下であることを特徴とする光学情報記録媒体。

請求項9

請求項1に記載の光学情報記録媒体であって、前記第1の記録層の厚さが5nm以上9nm以下であることを特徴とする光学情報記録媒体。

請求項10

請求項1に記載の光学情報記録媒体であって、前記第1の記録層の記録材料がGe、Sb、Teの3元素を主成分とすることを特徴とする光学情報記録媒体。

請求項11

請求項1に記載の光学情報記録媒体であって、前記第1の記録層は第1の誘電体層と第2の誘電体層に挟まれており、窒化物または炭化物からなる界面層が、前記第1の記録層と前記第1の誘電体層との間、および、前記第1の記録層と前記第2の誘電体層との間の少なくとも一方に配置されていることを特徴とする光学情報記録媒体。

請求項12

請求項1に記載の光学情報記録媒体であって、前記第1の情報層と前記第2の情報層の記録データに関する情報を、前記第1の記録層と前記第2の記録層の少なくとも一方に記録していることを特徴とする光学情報記録媒体。

請求項13

光束の照射によって結晶状態と非結晶状態との間で可逆的な相変化をおこすことにより情報を記録し得る第1の記録層を含む第1の情報層と、前記光束の照射によって結晶状態と非結晶状態との間で可逆的な相変化をおこすことにより情報を記録し得る第2の記録層を含む第2の情報層とを備え、前記第1の記録層が結晶状態にある場合の前記光束に対する前記第1の記録層の光吸収率をA1c、前記第1の記録層が非結晶状態にある場合の前記光束に対する前記第1の記録層の光吸収率をA1a、前記第2の記録層が結晶状態にある場合の前記光束に対する前記第2の記録層の光吸収率をA2c、前記第2の記録層が非結晶状態にある場合の前記光束に対する前記第2の記録層の光吸収率をA2aとしたときA1a<A1c かつ A2a<A2cの関係を満たす光学情報記録媒体。

請求項14

請求項13に記載の光学情報記録媒体であって、前記第1の記録層が結晶状態にある場合の前記光束に対する前記第1の情報層の反射率をR1c、前記第1の記録層が非結晶状態にある場合の前記光束に対する前記第1の情報層の反射率をR1aとしたとき、R1a<R1cの関係を満たすことを特徴とする光学情報記録媒体。

請求項15

請求項13に記載の光学情報記録媒体であって、前記第2の記録層が結晶状態にある場合の前記光束に対する前記第2の情報層の反射率をR2c、前記第2の記録層が非結晶状態にある場合の前記光束に対する前記第2の情報層の反射率をR2aとしたとき、R2a>R2cの関係を満たすことを特徴とする光学情報記録媒体。

請求項16

光束の照射によって結晶状態と非結晶状態との間で可逆的な相変化をおこすこことにより情報を記録し得る第1の記録層を含む第1の情報層を形成し、前記光束の照射によって結晶状態と非結晶状態との間で可逆的な相変化をおこすことにより情報を記録し得る第2の記録層を含む第2の情報層を形成し、第1の情報層と第2の情報層の少なくとも一方を初期結晶化させ、次に、少なくとも一方を初期結晶化させた第1の情報層と第2の情報層とを密着する光学情報記録媒体の製造法

請求項17

請求項16に記載の光学情報記録媒体の製造法であって、前記第1の記録層が結晶状態にある場合の前記光束に対する前記第1の情報層の反射率をR1c、前記第1の記録層が非結晶状態にある場合の前記光束に対する前記第1の情報層の反射率をR1a、前記第2の記録層が結晶状態にある場合の前記光束に対する前記第2の情報層の反射率をR2c、前記第2の記録層が非結晶状態にある場合の前記光束に対する前記第2の情報層の反射率をR2aとしたとき、R1a<R1c かつ R2a>R2cの関係を満たす製造法。

請求項18

光束の照射によって情報を記録し得る第1の記録層を含む第1の情報層と、前記第1の情報層の上に形成された中間透明層と、前記第1の情報層と前記中間透明層とを透過した光束によって情報を記録する第2の記録層を含む第2の情報層と、前記第1の情報層と前記中間透明層との間、または、前記第2の情報層と前記中間透明層との間に形成されたオーバーコート層とを備えた光学情報記録媒体。

請求項19

請求項18に記載の光学情報記録媒体であって、前記オーバーコート層がアクリル系樹脂からなり、前記中間透明層がエポキシ系樹脂からなることを特徴とする光学情報記録媒体。

請求項20

光束の照射によって情報を記録し得る第1の記録層と、前記第1の記録層を透過した光束によって情報を記録する第2の記録層とを備えており、前記第1の記録層は、予め記録マークが形成された領域を含む光学情報記録媒体。

請求項21

請求項20に記載の光学情報記録媒体であって、前記予め記録マークが形成された前記領域では、単位面積当たりの前記記録マークの面積比が20%以上50%以下であることを特徴とする光学情報記録媒体。

請求項22

光束の照射によって情報を記録し得る第1の記録層と第2の記録層とを備えた光学情報記録媒体に情報を記録する光学情報記録法であって、前記第2の記録層の再生位置を設定するステップと、前記再生位置の手前の前記第1の記録層に信号が記録されているか否かを判別するステップと、前記第1の記録層の光束が照射された位置に信号が記録されている場合にのみ前記第1の記録層を通過した光束によって前記第2の記録層に情報を記録するステップとを含む光学情報記録法。

請求項23

光学情報記録媒体の第1の記録層と第2の記録層とに記録された情報を再生する光学情報再生法であって、第1の記録層からの再生と第2の記録層からの再生を判別するステップと、第1のパワーの光束によって前記第1の記録層に記録された信号を再生するステップと、前記第1の光パワーよりも大きい第2のパワーの光束を前記第1の記録層を通過して、前記第2の記録層に記録された信号を再生するステップとを含む光学情報再生法。

請求項24

光学情報記録媒体の第1の記録層に光束を照射して情報を再生し、第2の記録層に前記第1の記録層を介して光束を照射して情報を再生する光学情報再生装置であって、第1の記録層と第2の記録層を備える多層情報記録再生媒体を支持し回転する回転駆動部と、回転駆動部により回転される多層情報記録再生媒体に光を入射する光源と、多層情報記録再生媒体から反射される光を検出する検出器を備える光ヘッドと、前記第2の記録層から情報を再生する場合、前記第1の記録層から情報を再生するときよりも大きなパワーの光束を前記光ヘッド中の光源に照射させる制御装置とからなる光学情報再生装置。

請求項25

片面からの光束の照射により情報の記録・再生が可能な2つの記録層を有する情報記録再生媒体と、再生専用光学記録媒体に記録された情報を再生する光学情報再生法であって、2つの記録層を有する情報記録再生媒体と、再生専用光学記録媒体とを識別するステップと、第1のパワーの光束を照射して前記情報記録再生媒体に記録された情報を再生するステップと、前記第1のパワーよりも小さい第2のパワーの光束を照射して前記再生専用光学記録媒体に記録された情報を再生するステップとを含む光学情報再生法。

請求項26

片面からの光束の照射により情報の記録・再生が可能な2つの記録層を有する情報記録再生媒体、または、再生専用光学記録媒体を支持し回転する回転駆動部と、回転駆動部により回転される前記情報記録再生媒体または再生専用光学記録媒体に光を入射する光源と、前記情報記録再生媒体または再生専用光学記録媒体から反射される光を検出する検出器を備える光ヘッドと、前記情報記録再生媒体に記録された情報を再生する場合、前記再生専用光学記録媒体に記録された情報を再生するときよりも大きなパワーの光束を前記光ヘッド中の光源に照射させる制御装置とからなる光学情報再生装置。

技術分野

0001

本発明は、レーザ光を用いて大容量の情報を記録及び再生する光学情報記録媒体、特に光ディスク、及び、その記録再生に関する。

背景技術

0002

レーザ光を用いて信号を再生する、いわゆる再生専用の光学情報記録媒体には、コンパクトディスク(CD)と称される光ディスク、レーザディスク(LD)と称される光ディスク、デジタルビデオディスク(DVD)と称される光ディスクなどがある。現在、市販されている再生専用の光学情報記録媒体のうち、最も高密度に信号が記録されているものはDVDである。直径120mmの再生専用DVDは、ユーザ容量が最大で4.7GBの片面読み出し単層タイプ、最大9.4GBの両面読み出し単層タイプ、最大8.5GBの片面読み出し2層タイプなどのフォーマット規格で決められている。たとえば、片面読み出し2層タイプの光ディスクでは、2つの情報層が備えられ、光ディスクの一方の側からのレーザ光を用いて、2つの情報層のいずれに記録されている信号をも再生できる。多層構造再生専用光ディスクを製造する方法は、たとえば米国特許第5,126,996号に示されている。

0003

また、レーザ光を用いて信号が記録及び再生される光学情報記録媒体として、相変化型光ディスク光磁気ディスク色素ディスクなどがある。このなかで、記録・消去可能な相変化型光ディスクでは、記録層材料としては一般的にカルコゲン化物を用いる。一般には、記録層材料が結晶状態の場合を未記録状態とし、レーザ光を照射し、記録層材料を溶融急冷して非晶質状態とすることにより、信号を記録する。一方、信号を消去する場合は、記録時よりも低パワーのレーザ光を照射して、記録層を結晶状態とする。カルコゲン化物からなる記録層は非晶質で成膜されるので、予め記録領域の全面を結晶化して未記録状態を得る必要がある。この初期結晶化は、通常はディスク製造工程の一部に組み込まれており、レーザ光源またはフラッシュ光源を用いて記録層を結晶状態にする。

0004

記録・消去可能な相変化光ディスクへの信号記録速度を高めるために、高線速度記録に適したいわゆる光吸収補正構成の提案がなされている(たとえば特開平5−298747号公報、特公平8−1707号公報、特開平7−78354号公報、特開平7−262612号公報など)。これらの構成ではいずれも、記録のために照射するレーザ光に対する記録層の光吸収率が、記録層が非晶質の場合よりも記録層が結晶の場合の方が大きくなるように設計されている。光吸収補正を行っていない通常の相変化光ディスクでは、記録のために照射するレーザ光に対する記録層の光吸収率が、記録層が非晶質の場合よりも記録層が結晶の場合の方が小さい。この光ディスクでは、特に高線速度で記録を行う際、レーザ照射に伴う記録層の溶融到達温度が、レーザ照射前に記録層が非晶質であった領域の方が、レーザ照射前に記録層が結晶であった領域に比べて高くなることが知られている。この原因は、記録層の溶融において、結晶相出発点とした場合には融点において潜熱の供給が必要となるが、非晶質を出発点とした場合にはその必要がないため、また、非晶質と結晶では前者の方が熱伝導度が小さく効率的に加熱昇温されるため、と説明されている。また、光吸収補正を行っていない光ディスクにおいて、特に高線速度記録において到達溶融温度に大きな差が生じるのは、レーザ照射による直接昇温以外の昇温効果、即ち、レーザ照射点の前後からの熱拡散による昇温効果が、低線速度記録の場合のそれと比べて小さいからである。記録のためのレーザ照射前の記録層が非晶質か結晶か、即ち、記録マークか未記録部かによって到達溶融温度が変わる場合には、オーバライト(重ね書き)によって新たに形成した記録マークの形状が歪むので、良好な再生ジッタが得られない。光吸収補正は、記録層が非晶質であるか結晶であるかに起因する昇温プロファイルの差をキャンセルし、高線速度の記録においても良好なオーバライト特性が得られるように提案された。

0005

また、記録可能または記録消去可能な光ディスクの記録密度を向上する観点から、基板表面に設けた案内溝グルーブ)と案内溝間ランド)の双方に信号を記録する、いわゆるランド&グルーブ記録の提案がなされている(たとえば特開平5−282705号公報)。

0006

また、記録可能または記録消去可能な相変化光ディスクの記録容量を増大する観点から片面2層構成の光ディスクが提案されている(たとえば特開平9−212917号公報)。片面2層構成の光ディスクは、2つの相変化記録薄膜を備え、片面から光を入射してそれぞれの相変化記録薄膜で情報の記録と消去をする。複数の記録薄膜を設けることにより記録容量を倍増させる。また、片面2層構成の相変化光ディスクの初期化方法に関しては、2層の記録薄膜に同時に光照射を行って初期化を短縮する提案がなされている(たとえば特開平9−91700号公報)。

発明が解決しようとする課題

0007

記録・消去可能な片面2層構成の光ディスクはすでに提案されている(たとえば特開平9−212917号公報)が、以下のような課題を解決する方法が見つかっていなかったため実用化に至っていない。なお、以下の説明において、第1の情報層とは記録・再生のためのレーザ光の入射側からみて手前にある記録可能な記録薄膜を指し、第2の情報層とは記録・再生のためのレーザ光の入射側からみて奥にある記録可能な記録薄膜を指す。

0008

1.信号の記録・消去・再生のためのレーザ光の波長において、透過率が高く、記録感度が高く、ランド&グルーブ記録が可能で、記録・消去の繰り返し特性が良好な第1の情報層の構成が見つかっていない。

0009

2.信号の記録・消去・再生のためのレーザ光の波長において、記録感度が高く、未記録部の反射率が十分高く、ランド&グルーブ記録が可能で、記録・消去の繰り返し特性が良好な第2の情報層の構成が見つかっていない。

0010

3.第1の情報層にも第2の情報層にも高速でオーバライト可能な2層光ディスクの構成が見つかっていない。

0011

4.相変化記録薄膜を2層有する片面2層タイプの光学情報記録媒体の初期結晶化においては、第1の情報層と第2の情報層との初期結晶化感度が異なるのが通常であるため、異なる初期化条件で初期化する必要がある。ただし、それぞれの情報層にフォーカスサーボをかけて初期化する方法が発明されてはいる(たとえば特開平9−91700号公報)が、分離層の厚さよりも焦点深度の狭い光学系を必要とされる。この点が、大面積にレーザ光を照射して高速に初期化する初期化装置を実現する場合に、課題となる。

0012

5.第1の情報層の透過率が、第1の情報層に信号を記録している場合と、信号を記録していない場合で異なる。このため、第1の情報層に信号を記録しているか否かによって第2の情報層の再生信号振幅が異なり、第2の情報層の読み取りエラーの原因となる。また、第1の情報層に信号を記録しているか否かによって第2の情報層の記録感度が異なり、第2の情報層における最適記録パワーを決定できない。

0013

6.記録可能な多層構成の光学情報記録媒体は、第2の情報層の再生を可能にするため、第1の情報層の透過率を高くする必要がある。同時に第1の情報層における光吸収率をある程度確保しないと、第1の情報層に記録ができないため、第1の情報層の反射率は必然的に低くなる。このため、第1の情報層に記録された信号を良好に再生することが困難である。

0014

7.第2の情報層に記録された信号は、光吸収性のある第1の情報層を2度通過(往復)した再生光で再生するため、再生信号が非常に小さい。このため、第2の情報層に記録された信号を良好に再生することが困難である。

0015

本発明の主たる目的は、上記課題を解決した多層構成の記録・再生可能な光学情報記録媒体、その記録再生方法、その製造法及び光学情報記録再生装置を提供することである。

課題を解決するための手段

0016

本発明による第1の光学情報記録媒体は、光束の照射によって結晶状態と非結晶状態との間で可逆的な相変化をおこすことにより情報を記録し得る第1の記録層を含む第1の情報層と、光束の照射によって結晶状態と非結晶状態との間で可逆的な相変化をおこすことにより情報を記録し得る第2の記録層を含む第2の情報層とを備える。そして、前記第1の記録層が結晶状態にある場合の前記光束に対する前記第1の情報層の反射率をR1c、前記第1の記録層が非結晶状態にある場合の前記光束に対する前記第1の情報層の反射率をR1a、前記第2の記録層が結晶状態にある場合の前記光束に対する前記第2の情報層の反射率をR2c、前記第2の記録層が非結晶状態にある場合の前記光束に対する前記第2の情報層の反射率をR2aとしたとき、
R1a<R1c かつ R2a>R2c
の関係を満たす。

0017

好ましくは、この光学情報記録媒体において、前記第1の記録層が結晶状態にある場合の前記光束に対する前記第1の記録層の光吸収率をA1c、前記第1の記録層が非結晶状態にある場合の前記光束に対する前記第1の記録層の光吸収率をA1aとしたとき
A1a<A1c
の関係を満たす。また、好ましくは、この光学情報記録媒体において、前記第2の記録層が結晶状態にある場合の前記光束に対する前記第2の記録層の光吸収率をA2c、前記第2の記録層が非結晶状態にある場合の前記光束に対する前記第2の記録層の光吸収率をA2aとしたとき
A2a<A2c
の関係を満たす。

0018

また、好ましくは、この光学情報記録媒体において、第1の情報層と第2の情報層との間に、光束を透過する透明層が配置されている。また、好ましくは、前記透明層と前記第1の情報層との間、または、前記透明層と前記第2の情報層との間の少なくとも一方にオーバーコート層が形成されている。好ましくは、このオーバーコート層がアクリル系樹脂からなり、透明層がエポキシ系樹脂からなる。

0019

また、好ましくは、この光学情報記録媒体において、第1の記録層は、予め記録マークが形成された領域を含む。好ましくは、この光学情報記録媒体において、予め記録マークが形成された領域では、単位面積当たりの前記記録マークの面積比が20%以上50%以下である。

0020

また、好ましくは、この光学情報記録媒体において、前記第1の記録層の厚さが5nm以上9nm以下である。また、好ましくは、この光学情報記録媒体において、第1の記録層の記録材料がGe、Sb、Teの3元素を主成分とする。

0021

また、好ましくは、この光学情報記録媒体において、第1の記録層は第1の誘電体層と第2の誘電体層に挟まれており、窒化物または炭化物からなる界面層が、第1の記録層と第1の誘電体層との間、または、第1の記録層と第2の誘電体層との間の少なくとも一方に配置されている。また、好ましくは、この光学情報記録媒体において、第1の情報層と第2の情報層の記録データに関する情報を、第1の記録層と第2の記録層の少なくとも一方に記録している。

0022

本発明による第2の光学情報記録媒体は、光束の照射によって結晶状態と非結晶状態との間で可逆的な相変化をおこすことにより情報を記録し得る第1の記録層を含む第1の情報層と、前記光束の照射によって結晶状態と非結晶状態との間で可逆的な相変化をおこすことにより情報を記録し得る第2の記録層を含む第2の情報層とを備える。ここで、前記第1の記録層が結晶状態にある場合の前記光束に対する前記第1の記録層の光吸収率をA1c、前記第1の記録層が非結晶状態にある場合の前記光束に対する前記第1の記録層の光吸収率をA1a、前記第2の記録層が結晶状態にある場合の前記光束に対する前記第2の記録層の光吸収率をA2c、前記第2の記録層が非結晶状態にある場合の前記光束に対する前記第2の記録層の光吸収率をA2aとしたとき
A1a<A1c かつ A2a<A2c
の関係を満たす。

0023

好ましくは、この光学情報記録媒体において、前記第1の記録層が結晶状態にある場合の前記光束に対する前記第1の情報層の反射率をR1c、前記第1の記録層が非結晶状態にある場合の前記光束に対する前記第1の情報層の反射率をR1aとしたとき、
R1a<R1c
の関係を満たす。また、好ましくは、この光学情報記録媒体において、前記第2の記録層が結晶状態にある場合の前記光束に対する前記第2の情報層の反射率をR2c、前記第2の記録層が非結晶状態にある場合の前記光束に対する前記第2の情報層の反射率をR2aとしたとき、
R2a>R2c
の関係を満たす。

0024

本発明による第3の光学情報記録媒体は、光束の照射によって情報を記録し得る第1の記録層を含む第1の情報層と、前記第1の情報層の上に形成された中間透明層と、前記第1の情報層と前記中間透明層とを透過した光束によって情報を記録する第2の記録層を含む第2の情報層と、前記第1の情報層と前記中間透明層との間、または、前記第2の情報層と前記中間透明層との間に形成されたオーバーコート層とを備える。好ましくは、この光学情報記録媒体において、オーバーコート層がアクリル系樹脂からなり、中間透明層がエポキシ系樹脂からなる。

0025

本発明による第4の光学情報記録媒体は、光束の照射によって情報を記録し得る第1の記録層と、前記第1の記録層を透過した光束によって情報を記録する第2の記録層とを備えており、前記第1の記録層は、予め記録マークが形成された領域を含む。好ましくは、この光学情報記録媒体において、前記予め記録マークが形成された前記領域では、単位面積当たりの前記記録マークの面積比が20%以上50%以下である。

0026

本発明による光学情報記録媒体の製造法では、光束の照射によって結晶状態と非結晶状態との間で可逆的な相変化をおこすことにより情報を記録し得る第1の記録層を含む第1の情報層を形成し、光束の照射によって結晶状態と非結晶状態との間で可逆的な相変化をおこすことにより情報を記録し得る第2の記録層を含む第2の情報層を形成する。そして、第1の情報層と第2の情報層の少なくとも一方を初期結晶化させ、次に、少なくとも一方を初期結晶化させた第1の情報層と第2の情報層とを密着する。好ましくは、この光学情報記録媒体の製造法において、第1の記録層が結晶状態にある場合の光束に対する第1の情報層の反射率をR1c、第1の記録層が非結晶状態にある場合の光束に対する第1の情報層の反射率をR1a、第2の記録層が結晶状態にある場合の光束に対する第2の情報層の反射率をR2c、第2の記録層が非結晶状態にある場合の光束に対する第2の情報層の反射率をR2aとしたとき、R1a<R1cかつR2a>R2cの関係を満たす。

0027

本発明による光学情報記録方法は、光束の照射によって情報を記録し得る第1の記録層と第2の記録層とを備えた光学情報記録媒体に情報を記録する方法であって、前記第2の記録層の再生位置を設定するステップと、前記再生位置の手前の前記第1の記録層に信号が記録されているか否かを判別するステップと、前記第1の記録層の光束が照射された位置に信号が記録されている場合にのみ前記第1の記録層を通過した光束によって前記第2の記録層に情報を記録するステップとを含む。

0028

本発明による第1の光学情報再生方法は、光学情報記録媒体の第1の記録層と第2の記録層とに記録された情報を再生する方法であって、第1の記録層からの再生と第2の記録層からの再生を判別するステップと、第1のパワーの光束によって前記第1の記録層に記録された信号を再生するステップと、前記第1の光パワーよりも大きい第2のパワーの光束を前記第1の記録層を通過して、前記第2の記録層に記録された信号を再生するステップとを含む。

0029

本発明による第1の光学情報再生装置は、光学情報記録媒体の第1の記録層に光束を照射して情報を再生し、第2の記録層に第1の記録層を介して光束を照射して情報を再生する光学情報再生装置であって、第1の記録層と第2の記録層を備える多層情報記録再生媒体を支持し回転する回転駆動部と、回転駆動部により回転される多層情報記録再生媒体に光を入射する光源と、多層情報記録再生媒体から反射される光を検出する検出器を備える光ヘッドと、第2の記録層から情報を再生する場合、第1の記録層から情報を再生するときよりも大きなパワーの光束を前記光ヘッド中の光源に照射させる制御装置とからなる。

0030

本発明による第2の光学情報再生方法は、片面からの光束の照射により情報の記録・再生が可能な2つの記録層を有する情報記録再生媒体と、再生専用光学記録媒体に記録された情報を再生する方法であって、2つの記録層を有する情報記録再生媒体と、再生専用光学記録媒体とを識別するステップと、第1のパワーの光束を照射して情報記録再生媒体に記録された情報を再生するステップと、第1のパワーよりも小さい第2のパワーの光束を照射して再生専用光学記録媒体に記録された情報を再生するステップとを含む。

0031

本発明による第2の光学情報再生装置は、片面からの光束の照射により情報の記録・再生が可能な2つの記録層を有する情報記録再生媒体、または、再生専用光学記録媒体を支持し回転する回転駆動部と、回転駆動部により回転される情報記録再生媒体または再生専用光学記録媒体に光を入射する光源と、情報記録再生媒体または再生専用光学記録媒体から反射される光を検出する検出器を備える光ヘッドと、前記情報記録再生媒体に記録された情報を再生する場合、前記再生専用光学記録媒体に記録された情報を再生するときよりも大きなパワーの光束を前記光ヘッド中の光源に照射させる制御装置とからなる。

発明を実施するための最良の形態

0032

以下、本発明の実施の形態を添付の図面に基づいて説明する。なお、本発明はこの図面によって限定されるものではない。図1は本発明の一実施の形態に係る多層光学情報記録媒体(光ディスク)の積層構成の概略を示す半径方向の断面図である。この光ディスクには、複数の情報層が備えられる。図1に示すように、光ディスクにおいて、基板1、第1の情報層2、光学分離層3、第2の情報層4および基板5が順次積層される。光学分離層3を介在して設けられる2つの情報層2、4は、それぞれ、記録薄膜(図示しない)を備え、情報は、2つの情報層2、4に記録される。

0033

図2は、第1の情報層2と第2の情報層4の構成の1例を示す。第1の情報層2は、保護層21、界面層22、第1の記録層23、第2の界面層24、保護層25が順次積層されたものである。また、第2の情報層4は、半透明層41、保護層42、界面層43、第2の記録層44、第2の界面層45、保護層46および反射層47が順次積層されたものである。また、基板5は保護基板である。記録及び再生を行うレーザ光は基板1の側から入射させる。

0034

以下に、多層光学情報記録媒体の各構成部分について説明する。基板1は、ポリカーボネートPMMAなどの樹脂板紫外線硬化樹脂ガラス板、または、透明な無機質薄膜などからなり、基板の表面26は、スパイラルまたは同心円状の連続溝(案内溝,トラック)で覆われている。また、基板1はスピンコート法によって形成される場合もある。この場合の1例として、保護基板15の上に第2の情報層を成膜した後、表面がスパイラルまたは同心円状の連続溝(案内溝,トラック)で覆われた光学分離層を2P法で形成し、さらにその上に第1の情報層を成膜する。スピンコート法で基板1を形成する場合には、基板厚さは通常数10μm以下となる。

0035

保護層21、25、42、46の材料は、物理的・化学的に安定であること、すなわち、第1の記録層23や第2の記録層44に適用した材料の融点よりも、融点及び軟化温度が高く、かつ記録層材料と相固溶しないことが望ましい。たとえば、Al2O3、SiOx、Ta2O5、MoO3、WO3、ZrO2、ZnS、AlNx、BN、SiNx、TiN、ZrN、PbF2、MgF2などの誘電体またはこれらの適当な組み合わせからなる。ただし、保護層21、25、42、46に供する材料は誘電体や透明材料である必要はなく、たとえば、可視光線及び赤外線に対して光吸収性をもつZnTeなどで形成してもよい。また、保護層21、25及び保護層42、46を異なる材料で形成すると、熱的及び光学的なディスク設計の自由度が大きくなる利点がある。もちろん同一材料で形成してもよい。

0036

界面層22、24、43、45は、その両隣の層を構成する元素の相互拡散を抑制するために設けられる。第1の記録層23は2つの保護層(誘電体層)21、25に挟まれており、界面層22、24が、第1の記録層23と保護層21との間、または、第1の記録層23と誘電体層25との間の少なくとも一方に配置される。また、第2の記録層44は2つの保護層(誘電体層)42、46に挟まれており、界面層43、45が、第2の記録層44と保護層42との間、または、第2の記録層44と誘電体層46との間の少なくとも一方に配置される。界面層22、24、43、45の材料は、窒化物または炭化物であり、たとえば一般式X-NやX-O-Nで表される材料である。ただし、XはGe、Cr、Si、Al、Teのうち少なくとも1つの元素を含む材料が好ましいが、必須ではない。この界面層を設けることにより、第1及び/または第2の記録層23、44を構成する元素と、保護層21、25、42、46の誘電体層を構成する元素との相互拡散が抑制され、記録消去の繰り返し特性が向上する。界面層の効果に関しては、たとえば特開平4−52188号公報などに詳細な記載がなされている。また、ダミー記録に関連しては後で説明する。

0037

第1の情報層2に含まれる第1の記録層23の材料と、第2の情報層4に含まれる第2の記録層44の材料は、結晶状態と非晶質状態との間で構造変化をおこす物質であればよく、たとえばTe、InまたはSeなどを主成分とする相変化材料である。よく知られた相変化材料の主成分としては、Te-Sb-Ge、Te-Ge、Te-Ge-Sn、Te-Ge-Sn-Au、Sb-Se、Sb-Te、Sb-Se-Te、In-Te、In-Se、In-Se-Tl、In-Sb、In-Sb-Se、In-Se-Teなどが挙げられる。これらの第1及び第2の記録層23及び44は通常非晶質状態で成膜され、レーザ光などのエネルギーを吸収して結晶化し、光学定数屈折率n消衰係数k)が変化する。なかでも記録消去の繰り返し特性が良好な材料及びその材料組成実験によって調べたところ、Ge、Sb、Teの3元素系を主成分とした構成が好ましいことがわかった。それぞれの元素の原子量比をGexSbyTezと表すと、0.10≦x≦0.35、0.10≦y、0.45≦z≦0.65(ここにx+y+z=1)で表される組成が特に優れている。

0038

光学分離層3は、第1の情報層2と第2の情報層4の間に配置される中間層であり、第1の情報層と第2の情報層とをそれぞれ再生する場合に、他の情報層からの再生信号の影響が無視しうるほど小さくなるようにするために設けられる。光学分離層3の厚さは、通常10μm以上100μm以下、望ましくは30μm以上60μm以下である。光学分離層3に供する材料は、第2の情報層4に信号を記録・再生するために照射するレーザ光の波長に対して透明な材料であればよい。第1と第2の情報層2、4を光学的に分離する機能を備える場合もある。材料は、たとえばエポキシ系の紫外線硬化樹脂などや、光ディスク貼り合わせ用の両面テープ(たとえば日東電工(株)の粘着シートDA−8320)などである。

0039

光学分離層3はスピンコート法、2P法などによって作成される。光学分離層3を2P法で作成する場合には次の2通りの場合がある。第1の場合では、基板1の上に第1の情報層2を成膜した後、表面がスパイラルまたは同心円状の連続溝(案内溝,トラック)の凹凸パターンで覆われた光学分離層3を2P法で形成し、さらにその上に第2の情報層4を成膜する。この場合には、保護基板5はなくてもよい。もう1つの場合では、保護基板5の上に第2の情報層4を成膜した後、表面がスパイラルまたは同心円状の連続溝(案内溝,トラック)の凹凸パターンで覆われた光学分離層3を2P法で形成し、さらにその上に第1の情報層2を成膜する。この場合には、基板1はスピンコート法などで形成される。

0040

半透過層41は、Au、Al、Siなどの金属元素を主元素とした材料からなる。半透過層41は、第2の記録層44における光吸収補正構成を実現容易たらしめるため、備えることが好ましいが、必須ではない。第2の情報層の記録感度を高める観点からいうと、半透過層41の厚さは10nm以下、好ましくは5nm以下が好ましい。また、半透過層の代わりに屈折率の異なる2種類の誘電体層を積層することによっても、半透過層と同様の光学特性を得ることができる。

0041

反射層47は、Au、Al、Ni、Fe、Crなどの金属元素またはこれらの合金からなる。反射層47は、第2の記録層44への光吸収効率を高める働きをするため、備えることが好ましい。

0042

保護基板5は、たとえばスピンコートした樹脂層でもよく、また、基板1と同様の樹脂板、ガラス板としてもよい。光学分離層3の表面に第2の情報層4の案内溝を2P法によって形成する場合には、保護基板5の表面51は平面でよく、たとえば接着材を用いて第2の情報層3の上に貼り合わせて形成することができる。また、光学分離層3の表面に第2の情報層4の案内溝を形成しない場合には、保護基板5の表面51をスパイラルまたは同心円状の連続溝(案内溝,トラック)で覆う。この場合には、保護基板5の表面51に直接第2の情報層4が形成され、第1の情報層2と、光学分離層3を介して貼り合わせることになる。

0043

さらに、4層構造の光学情報記録媒体は、2つの上述の片面2層光学情記録媒体を第2の情報層4どうしを内側にして接着剤を用いて貼り合わせることにより製造できる。4層構造の光学情報記録媒体では、両面から記録と再生が可能である。

0044

上述の第1の記録層23、第2の記録層44、保護層21、25、42、46、界面層22、24、43、45、半透過層41、反射層47などの各層の形成法としては、通常、電子ビーム蒸着法スパタリング法、イオンプレーティング法CVD法レーザスパタリング法などが適用される。

0045

次に、第1の情報層2の基本構成について述べる。第1の情報層2に求められる特性の中で特に重要な特性は、高い透過率、高感度で高速でオーバライト可能な光吸収補正構成、かつ、未記録部においてもある程度大きな反射率である。透過率を大きくするためには、第1の記録層23以外に光を吸収する層、たとえば反射層などがない構造とするべきである。

0046

光吸収補正構成とは前述のように、記録のためのレーザ光の波長に対して、第1の情報層2の第1の記録層23が非晶質であるときの光吸収率A1aが、第1の記録層23が結晶であるときの光吸収率A1cよりも低くなる構成である(A1a<A1c)。光吸収補正を行っていない通常のディスク構成では、第1の情報層の光吸収率が、第1の記録層が非晶質であるとき、第1の記録層が結晶であるときよりも高くなる。そのような構成では、6m/sを越える記録線速度では、十分に高い消去特性を得ることが困難であることが実験的に明らかになった。通常、記録のためのレーザ光の波長と再生のためのレーザ光の波長は同一であるから、以下では、記録・再生のためのレーザ光の波長が同一であるとして説明を続ける。

0047

非晶質状態と結晶状態の平均透過率を高め、平均記録感度を高めるためには、第1の記録層23が非晶質状態であるときにおける第1の情報層2の反射率R1aと、第1の記録層23が結晶状態であるときにおける第1の情報層2の反射率R1cのいずれか一方を限りなく0に近づけることが好ましい。一方、未記録部において反射率がある程度なければ、フォーカスサーボ特性やトラッキングサーボ特性が得られない。また、ピット列によって形成されたアドレス部を基板1の表面に設ける場合には、そのアドレス信号を再生できない。前述の通り、相変化材料を第1の記録層23に用いる書き換え可能な光ディスクでは、通常、第1の記録層23が結晶状態を未記録部に、また、非晶質状態を記録マークにあてる。すなわち、第1の記録層23が結晶状態である場合の第1の情報層2の反射率を0に近づけることはできない。それ故、第1の記録層23が非晶質状態であるときの第1の情報層2の反射率R1aを限りなく0に近づけることが好ましい。すなわち、第1の情報層2において、記録部(記録層が結晶状態の場合)の反射率R1cは、未記録部(記録層が非晶質状態の場合)の反射率R1aよりも高くなければならない(R1a<R1c)。

0048

また、第1の情報層2において、ランド&グルーブ記録に適した構成とするためには、第1の情報層2に記録された信号を再生するために基板1を通して照射するレーザ光に対して、第1の記録層23が非晶質状態における第1の情報層2からの反射光位相φ1aと、第1の記録層23が結晶状態における第1の情報層2からの反射光の位相φ1cとの関係が、
(2n−0.1)×π < φ1a−φ1c < (2n+0.1)×π
でなければならないことが光学シミュレーションにより導かれた。たとえば、第1の情報層2において、第1の記録層23を厚さ7nmのGe-Sb-Te(Ge:Sb:Te=4:3:7)に選び、第1の情報層2を介して基板1の側に100nmの厚さの保護層21を、基板1と反対側に110nmの厚さの、ZnS-20mol%SiO2の保護層25を形成したとする。この場合、上述の条件を満足するとともに、良好な記録消去の繰り返しが得られることを確かめた。これらの結果は、後で実施例において詳述する。

0049

次に、第2の情報層4の基本構成について述べる。第2の情報層4に求められる特性の中で特に重要な特性は、高い感度、高い反射率、高速でオーバライト可能な光吸収補正構成である。光吸収補正構成とは、前述のように、記録のためのレーザ光の波長に対して、第2の情報層4の第2の記録層44が非晶質であるときの光吸収率A2aが、第2の記録層44が結晶であるときの光吸収率A2aよりも低くなるような構成である。光吸収補正を行っていない通常のディスク構成では、第2の情報層の光吸収率が、第2の記録層が非晶質であるとき、第2の記録層が結晶であるときよりも高くなる。そのような構成では、6m/sを越える記録線速度では十分に高い消去特性を得ることが困難であることが、実験的に明らかになった。非晶質状態と結晶状態の平均記録感度を高めるために、第2の情報層4の透過率が小さければ小さいほどよいことはいうまでもない。すなわち、第2の情報層4に入射したレーザ光は、主に第2の記録層44で吸収され、残りはできるだけ多くが反射されることが望ましい。光吸収補正を実現する観点から、第2の情報層4を、第2の記録層44が非晶質状態であるときの光吸収率A2aが、第2の記録層44が結晶状態であるときの光吸収率A2cよりも小さくなるような構成とする(A2a<A2c)。このため、効率的に入射光のエネルギーを用いる観点からは、第2の記録層44が非晶質状態であるときの第2の情報層4の反射率R2aが、第2の記録層44が結晶状態であるときの第2の情報層4の反射率R2cよりも大きい方が望ましい(R2a>R2c)。

0050

また、第2の情報層4において、ランド&グルーブ記録に適した構成とするためには、第2の情報層4に記録された信号を再生するために基板1を通して照射するレーザ光に対して、第2の記録層44が非晶質状態であるときの第2の情報層4からの反射光の位相φ2aと、第2の記録層44が結晶状態であるときの第2の情報層4からの反射光の位相φ2cとの関係が、
(2n−0.1)×π < φ2a−φ2c < (2n+0.1)×π
でなければならないことが光学シミュレーションにより導かれた。たとえば、光学分離層3の上の第2の情報層4は、Auの半透明層41、ZnS-20mol%SiO2の保護層42、Ge-Sb-Te(Ge :Sb:Te=4:2.7:7)の記録層44、ZnS-20mol%SiO2の保護層46、Al-2at%Crの反射層47の順に、10nm、70nm、10nm、80nm、16nmの厚さとした構成とする。この場合、上述の条件を満足するとともに、良好な記録消去の繰り返しが得られることを確かめた。これらの結果は、後で実施例において詳述する。

0051

以上に第1と第2の情報層2、4を備える光学情報記録媒体について、第1と第2の記録層を含む第1と第2の情報層の光学的性質について説明した。上述のように、レーザ光のパワーに制限がある現状では、記録可能な多層構成の光ディスクにおいて、レーザ光入射方向の手前の第1の情報層2は記録によって反射率が小さくなる構成、レーザ光入射方向の奥の第2の情報層4は記録によって反射率が大きくなる構成とすることによって(すなわち、R1a<R1cかつR2a>R2c)、実際に使用可能な媒体の実現が可能になる。この場合、記録された信号を再生するドライブは、反射率の変化が逆向きの2つの層の情報を再生できるようなものでなければならないことはいうまでもない。もちろん、将来レーザ光のパワーが飛躍的に高まった場合には、たとえば、奥の第2の情報層4も記録によって反射率が小さくなる構成として、両層の反射率変化の特性を揃えることも可能となる。ここで、好ましくは、さらに、第1の記録層の光吸収率がA1a<A1cの関係を満たす。また、好ましくは、第2の記録層の光吸収率がA2a<A2cの関係を満たす。したがって、最も好ましくは、第1と第2の情報層は、R1a<R1c、R2a>R2c、A1a<A1cおよびA2a<A2cの関係を満たす。また、別の解決法では、第1と第2の情報層を備える光学情報記録媒体について、第1の記録層の光吸収率と第2の記録層の光吸収率とはA1a<A1cかつA2a<A2cの関係を満たすことによって、実際に使用可能な媒体の実現が可能になる。ここで、好ましくは、さらに、第1の情報層の反射率がR1a<R1cの関係を満たす。また、好ましくは、第2の情報層の反射率がR2a>R2cの関係を満たす。

0052

次に、本発明の第2の実施形態について説明する。相変化記録薄膜を2層有する片面2層タイプの光学情報記録媒体の初期結晶化においては、第1の情報層と第2の情報層の初期結晶化感度が異なるのが通常である。このため、各情報層を異なる初期化条件で光を照射し初期化する必要がある。第1及び第2のそれぞれの情報層にフォーカスサーボをかけて初期化する方法が提案されてはいる(たとえば特開平9−91700号公報)が、この方法では分離層の厚さよりも焦点深度の狭い光学系を必要とされる。この点が、大面積にレーザ光を照射して高速に初期化する初期化装置を実現する場合には課題となる。

0053

そこで、光学分離層3を介して第1の情報層2を密着形成する前に、第1の情報層2及び第2の情報層4の少なくとも一方の記録層(記録薄膜)をレーザ初期化装置を用いて初期化する。この新たな初期化方法では、片面2層タイプの光学情報記録媒体の製造において、まず、基板1の上に、記録層を含む第1の情報層2を形成する。同様に、保護基板5の上に、記録層を含む第2の情報層4を形成する。スパイラルまたは同心円状の連続溝(案内溝,トラック)などの凹凸パターンは、たとえば、基板1、保護基板5の上に形成される。両者を光学分離層3を介して密着する前に、レーザ初期化装置を用いて、第1の情報層2及び第2の情報層4の少なくとも一方の記録層、たとえば第2の情報層4の記録層、を初期化する。その後に、両情報層2、4を光学分離層3を介在して密着する。この方法によると、焦点深度の広い、すなわち比較的安価な初期化装置を用いて、各々の情報層に応じた初期結晶化条件で記録層を初期化できる。

0054

第1の情報層2は透過率が高いので、基板1の側からレーザ光を入射して初期結晶化させてもよいし、基板1を通さずに第1の情報層2の側からレーザ光を入射して初期結晶化させてもよい。一方、第2の情報層4は透過率が低いので、保護基板5の側からレーザ光を入射させて初期結晶化することは通常困難である。初期化された2枚の基板を第1の情報層2と第2の情報層4とが向き合うようにして密着する。密着の手法としては、たとえば、エポキシ系紫外線硬化樹脂を用いて紫外線を照射して硬化させる。この場合、密着層が光学分離層3となるわけであるが、その厚さは、第1の情報層2と第2の情報層4をそれぞれ再生する場合に、他の層からの再生信号の影響が無視しうるほど小さくなり、かつ、できるだけ薄くなるように設定すればよい。

0055

第1の情報層と第2の情報層とを貼り合わせてから、焦点深度が光学分離層の厚さに比べて広い、すなわち、比較的安価な初期化装置を用いて両情報層を初期結晶化する場合に、特に問題になるのは、第1の情報層及び第2の情報層のうち、初期結晶化感度の比較的低い層の場合である。すなわち、低感度層を十分なパワーで初期化しようとすると、どうしても高感度層最適条件に比べ過剰の初期化パワーが供給され、ひどい場合には、高感度層を破壊してしまう。それ故、第1の情報層と第2の情報層のうち、低感度な層のみを密着前に初期結晶化処理しておき、高感度な層は密着後に初期結晶化をするようにしてもよい。各層の結晶化感度の大小は、各情報層の構成や、初期結晶化に用いるレーザの波長により変わりうる。

0056

次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第1の情報層と第2の情報層との少なくともいずれかを密着前に初期結晶化すると、密着前に初期結晶化した情報層の記録消去の繰り返し特性が、十分でないことがわかった。発明者等は、第1の情報層また第2の情報層を、熱伝導率の小さい空気にさらしたまま初期結晶化すると、不必要に熱が情報層に蓄積されて基板の熱変形などの劣化を起こし、その結果記録消去の繰り返し特性が低下すると考えた。そこで、密着前に初期結晶化させる場合には、初期化する情報層の表面をオーバコート層で覆うことを試みたところ、記録消去の繰り返し特性が改善された。

0057

図3は、第3の実施形態の多層光学情報記録媒体(光ディスク)を示す。光ディスクは、基板101、第1の情報層102、オーバコート層103、光学分離層104、オーバコート層105、第2の情報層106および基板107が順次積層される構造を備える。光学分離層104を介在して設けられる2つの情報層102、106は、それぞれ、記録薄膜層(図示しない)を備え、情報は、情報層102、106に記録される。基板101、107、2つの情報層102、106および光学分離層104は、それぞれ、たとえば第1の実施形態の記録媒体における対応層と同じ構成を備える。なお、この光ディスクは2つのオーバコート層103と105を備えるが、一方のオーバコート層のみでもよい。

0058

オーバコート層103、105は、たとえばアクリル系の紫外線硬化樹脂をスピンコーティングにより形成した膜を紫外線で硬化させたものである。オーバコート層103、105と光学分離層104とは、2つの情報層102、104の間の中間層を複数層で構成したものともいえる。オーバコート層103、105と光学分離層104とを合わせた厚さは、第1の情報層と第2の情報層とをそれぞれ再生する場合に、他の情報層からの再生信号の影響が無視しうるほど小さくなり、かつ、できるだけ薄くなるように設定すればよい。また、オーバコート層の厚さのディスク面内均一性を高めるためには、オーバコート層を10μm以下と薄くすることが好ましいことがわかった。これを達成するための一手段としては、たとえば、オーバコート層103、105は光学分離層104よりも粘性の低い樹脂を用いる。実験の結果、オーバコート層103、105を設けてから初期結晶化させ、その後に光学分離層104を介して密着することで、記録消去の繰り返し特性が格段に改善されることが確認された。

0059

同じ理由で、凹凸パターンが形成された基板101の上に第1の情報層102を形成し、第1の情報層102の上に凹凸パターンが形成された光学分離層104を2P法などで形成し、光学分離層104の上に第2の情報層106を形成する光ディスク製造法では、第1の情報層102を形成した後、第1の情報層102の上にオーバコート層103を形成し、まず第1の情報層102を初期結晶化する。次に、光学分離層104と第2の情報層106とを順に形成し、最後に第2の情報層106を初期結晶化する。当然、このような光ディスクが効果的なのは、第1の情報層が第2の情報層よりも初期結晶化感度が低い場合である。

0060

次に、本発明の第4の実施形態の多層光学情報記録媒体(光ディスク)について説明する。記録可能な第1の情報層を有し、レーザ入射側からみて第1の情報層の奥に、少なくとも第2の情報層を有する多層光学情報記録媒体において、信号を再生する場合、第1の情報層が未記録状態か、または、記録状態かよって第1の情報層の透過率が異なるために、どのような課題が生じるかを考察する。第2の情報層に記録された信号を再生する場合には、再生したい第2の情報層の領域の手前において、第1の情報層に信号が記録されている場合と、されていない場合で、再生された第2の情報層の信号振幅は変化する。たとえば第1の情報層に記録されていない場合の透過率をTnr、記録されている場合をTrとすると、第1の情報層に信号が記録されている場合の第2の情報層の再生信号振幅は、第1の情報層に信号が記録されていない場合の(Tnr/Tr)×(Tnr/Tr)倍となる。すなわち、第1の情報層の透過率の比の2乗に比例する。また、第2の情報層への記録感度にも、第1の情報層に記憶されているか否かが、影響を与える。すなわち、第1の情報層に信号が記録されている場合の第2の情報層の記録感度は、第1の情報層に信号が記録されていない場合の(Tnr/Tr)倍となる。

0061

このような不都合をなくすために、本発明の第4の実施形態の多層光学情報記録媒体では、第1の情報層2の記録領域に予め記録マークを形成する。この記録マークとは、一般に、通常のデータを記録する場合とほぼ同一の透過率が得られるように形成されたマークである。たとえば、記録可能な第1の情報層2に予めダミー信号を記録しておく。ダミー信号は、記録することによって、通常のデータを記録する場合とほぼ同一の透過率が得られるように記録されていればよい。もちろん、何らかの情報を再生できる形で、第1の情報層2に記録マークが記録されていれば多くの利点が得られるが、第1の情報層2に記録するダミー信号は必ずしも情報を有していなくてもよい。

0062

重要な点は、ダミー信号が記録された領域において、ダミー信号が記録された面積と記録されていない面積の比である。この比が、第1の情報層2にユーザが信号を隙間無く記録した後の、信号が記録された面積と記録されていない面積とほぼ同一であれば、上記の問題はすべて解決できる。第1の情報層2にユーザがどんなに高密度にダミー信号を記録しようとした場合でも、記録マークが全体に占める面積は、50%を上回ることはない。また、記録マークが全体に占める面積が20%以下では、本実施形態の効果が十分には得られないことが実験的に確かめられた。

0063

ダミー信号は、たとえば記録可能なトラックに弱い記録パワーでDC的に記録してもよいし、または記録可能なトラック1本おきに通常の記録パワーでDC的に記録してもよいし、または記録可能なトラックに一定周期の記録マークを形成してもよいし、前述のように、何らかの情報が得られるような形で信号を記録しておいてもよい。

0064

図4は、多層光学情報記録媒体の記録領域において、単位面積あたり記録マークが30%の面積を占めるように記録した場合の1例を示す。並列に設けられる案内溝(トラック)27の中に、未記録領域(結晶状態)28の中に記録マーク(非晶質状態)29が記録される。図において左側の6本の案内溝27には信号が隙間なく記録されている。一方、右側の6本の案内溝27が、信号が記録されていない部分であり、ここにダミー信号があらかじめ記録される。この例では、ダミー信号は、記録可能なトラック1本おきに通常の記録パワーでDC的に記録される。

0065

特に、第2の情報層が記録・消去・再生可能な媒体である場合は、記録パワーマージンの確保が特に重要であるから、本実施形態の効果が最大限に活かされる。さらに、第1の情報層2及び第2の情報層4が記録・消去可能な相変化型記録薄膜23、44を有する場合、本実施形態の効果は最大となる。なぜなら、相変化型記録薄膜を有する光学情報記録媒体では、信号の再生品質が第1及び第2のそれぞれの情報層2、4の反射率変化に依存すると同時に、レーザ入射側の第1の情報層2の透過率に依存するからである。

0066

透過率が十分に大きく、かつ、記録消去可能な第1の情報層2を実現することはたやすくない。我々は、第1の情報層2として、図2に示す構成を用い、適当な組成からなるGe-Sb-Te記録層23が厚さ5nm以上9nm以下であり、かつ、記録層23以外に吸収係数が1以上の材料からなる層を有さないようにすることにより、上記特性を満足させることができた。特に、図2に示す構成において、第1の記録層23にそって界面層22及び/または24(特に、窒化物の界面層22)を設けると、記録消去の繰り返し特性が非常に良好であった。詳細については、後で実施例の欄で述べる。

0067

なお、第1の情報層にダミー信号を予め記録したことによる効果は、相変化型光ディスクにのみ適用可能なものではなく、記録可能な多層光学情報記録媒体であれば、どのようなものにでも適用可能であることはいうまでもない。特に、光磁気記録材料または書き込み可能有機色素材料からなる記録薄膜を有する光学情報記録媒体においても所望の効果が得られる。

0068

次に、本発明の第5の実施形態について説明する。記録可能な第1の情報層2を有し、レーザ入射側からみて第1の情報層の奥に、記録可能な第2の情報層4を少なくとも有する多層光学情報記録媒体において、第1の情報層2に前もってダミー信号を記録していない場合を考えてみる。この場合には、まず、第1の情報層2に記録を行ってから、第2の情報層4に記録するようにすると、第2の情報層4に記録された信号は、安定して記録・再生することができる。しかし、必ずしも、第1の情報層2の記録可能領域全てに記録してからでないと、第2の情報層4に記録できないものではない。必要な点は、第2の情報層4に記録する際、その領域の手前において、第1の情報層2が記録されていることである。そこで、本実施形態では、2層光学情報記録媒体に信号を記録するとき、レーザ入射位置において、第1の情報層に信号が記録されている場合にのみ、第2の情報層に信号を記録する。

0069

図5に示す記録・再生装置において、光ディスク301は、スピンドルモータ302により回転される。モータドライバ303は、スピンドルモータ302を駆動する。一方、光ディスク301の上に位置される光ヘッド311において、記録・再生のためのレーザ光源312からのレーザ光は、ハーフミラー313を透過し、対物レンズ314をへて光ディスク301を照射する。光ディスクからの反射光は、ハーフミラー313で反射され、フォトディテクタ315により検出される。光ヘッド311は、送り機構316により駆動され、光ディスク301に対してフォーカスサーボとトラッキングサーボが行なわれる。制御装置321は、CPUを備え、モータドライバ302と送り機構316を制御する。この記録・再生装置の構成は従来のものと同じである。さらに、制御装置321は、記録の際に、第2の情報層へのレーザ入射位置においてその手前の第1の情報層に信号が記録されている場合にのみ、第2の情報層に信号を記録する。

0070

そこで、記録可能な多層光学情報記録媒体の第2の情報層4に信号を記録する場合には、その手前の領域の第1の情報層2に信号が記録されているかを、チェックするステップが必須となる。少なくとも第1の情報層2のどの領域に信号が記録されているかを多層光学情報記録媒体のどこかの領域に情報として記録しておけばよい。

0071

図6は、制御装置321における記録制御フローを示す。はじめに、レーザ入射位置(記録位置)が設定される(ステップS20)。つぎに、レーザ入射位置から、第2情報層への記録であるか否かが判断される(ステップS22)。第2情報層への記録であると判断されると、そのレーザ入射位置の手前にある第1の記録層上に信号が記録されているか否かを判断する(ステップS24)。手前に信号が記録されていると判断される場合、第2情報層のレーザ入射位置に記録を行なう(ステップS26)。入射位置に信号が記録されていないと判断される場合は、ステップS20に戻り、新たなレーザ入射位置(記録位置)について上述の処理を繰り返す。ステップS22で第2情報層への記録でないと判断されると、第1情報層への記録であるので、第1の情報層上の記録位置を記録媒体の所定領域に情報として記憶した後(ステップS28)、ステップS26に進み、記録を行なう。

0072

この光学情報記録媒体の光学情報記録法に適用できる多層光学情報記録媒体は、第1の情報層2と第2の情報層4をそれぞれ凹凸パターンのある基板1、5の上に形成して光学分離層3を介して貼り合わせたものでもよい。また、第1の情報層2の上に、2P法などを用いて凹凸パターンのある光学分離層3を形成し、その上に第2の情報層4を形成したものでもよい。

0073

次に、本発明の第6の実施形態について説明する。記録可能な第1の情報層を有し、レーザ入射側からみて第1の情報層の奥に、記録可能な第2の情報層を少なくとも有する多層光学情報記録媒体において、第1の情報層及び第2の情報層に記録された信号を効果的に再生する方法について述べる。すでに述べたように、第2の情報層に記録された信号の再生振幅は、第1の情報層の透過率の2乗に比例する。それ故、第2の情報層の反射率はできるだけ大きく、かつ、第1の情報層の透過率をできるだけ大きくなるように設計するのであるが、いずれも限界がある。第2の情報層に記録された信号からの反射光量が小さいので、信号を再生する場合はドライブの信号ノイズなどの影響を大きく受け、良好なSN比信号雑音比)が得られない。

0074

この点を解決する方法として、本実施形態の光学情報再生装置(本装置が記録可能なものであってももちろん問題はない)では、第1の情報層2に記録された信号を再生する場合に比べ、第1の情報層2の奥にある第2の情報層4を再生する場合の再生光のパワーを高くする。本光学情報再生装置では、たとえば、第1の情報層2からの再生信号振幅と第2の情報層4からの再生信号振幅をほぼ同一に揃えることができる。また、両層からの反射光量をほぼ同一に揃えることも可能である。いずれにしても、再生光のパワーを同一にした場合に、第2の情報層4のSN比が第1の情報層2のSN比に比べて劣る光学情報記録媒体に対して、この光学情報再生法は大きな効果を示し、両情報層のSN比をほぼ同一にできる。再生光のパワーの上限は、レーザの出力許容値以外に、各層に記録された信号が再生光によって劣化しないようなパワーといった観点から決定される。この光学情報再生法では、現在再生している層が第1の情報層なのか第2の情報層なのかを判断するステップと、第2の情報層を再生すると判断すると、再生光のパワーを高くするステップとを必須とする。

0075

同様に、再生専用の光学情報記録媒体と、記録可能な片面多層光学情報記録媒体のどちらも再生することのできる光学情報再生装置(本装置が記録可能なものであってももちろん問題はない)において、片面多層光学情報記録媒体を再生する場合は、再生専用の光学情報記録媒体を再生する場合に比べて再生光のパワーを大きくすることも、両媒体に記録された信号を良好に再生するという観点から、効果が大きい。これは、片面多層光学情報記録媒体の各層からの反射光量が、再生専用の光学情報記録媒体からの反射光量に比べて通常小さいためである。この光学情報再生法は、現在再生している層が高反射率の再生専用の光学情報記録媒体か、低反射率の多層光学情報記録媒体かを判断するステップと、片面多層光学情報記録媒体であると判断すると再生光のパワーを高くするステップとを必須とする。

0076

なお、本発明の光学情報の記録再生法及び記録再生装置は、前述したように、再生専用の光ディスク、単層構成書換可能型光ディスクなどの、本実施形態の片面多層光学情報記録媒体ではない光学情報記録媒体をも記録・再生(場合によっては消去)できる。そこで、本発明の多層光学情報記録媒体を識別する識別子を、第1の情報層2または第2の情報層4の少なくとも何れか一方の所定の領域に設け、当該識別領域に記録された情報を読み取り、光学情報記録媒体の種類に応じた記録・再生(場合によっては消去)の制御を行うことが好ましい。光学情報記録媒体に備える識別領域としては、たとえばリードイン領域内周または外周が挙げられ、第1の情報層の内周のリードイン領域に備える構成が好ましい。

0077

図7は、制御装置321における再生制御のフローを示す。はじめに、多層光学情報記録媒体か否か判断される(ステップS40)。これは、たとえば多層光学情報記録媒体を識別する識別子から判断される。多層光学情報記録媒体であれば、半導体レーザの再生光のパワーを高く設定する(ステップS42)。次に、レーザ入射位置(再生位置)が設定され(ステップS44)、レーザ入射位置から、第2情報層からの再生であるか否かが判断される(ステップS46)。これは、たとえば所定領域に記憶された記録位置から判断される。第2情報層への記録であると判断される場合、半導体レーザの再生光のパワーをさらに高く設定する(ステップS48)。そして、レーザ光束を入射して再生を行なう(ステップS50)。第2情報層への記録でないと判断されると、第1情報層への記録であるので、ただちにステップS50に進み、再生を行なう。一方、多層光学情報記録媒体でなければ、すなわち、再生専用の光学情報記録媒体であれば、レーザ入射位置(再生位置)が設定され(ステップS52)、レーザ光束を入射して通常のパワーで再生を行なう(ステップS54)。

0078

以下、具体例をもって、本発明の実施形態をさらに詳しく説明する。表面が、ピッチ0.60μm、溝深さ70nmの凹凸パターンで覆われている半径120mm、厚さ0.58mmのポリカーボネートを第1の基板101として用い、その上に順次、ZnS-20mol%SiO2の保護層、Ge29Sb21Te50の記録層、ZnS-20mol%SiO2の保護層をそれぞれ100nm、7nm、110nmの厚さにマグネトロンスパッタ法で形成し、第1の情報層102とした。また、同じくピッチ0.60μm、溝深さ70nmの凹凸パターンで覆われている半径120mm、厚さ0.6mmのポリカーボネートを第2の基板107として用い、その上に順次、Al-2at%Crの半透過層、ZnS-20mol%SiO2の保護層、Ge29Sb21Te50の記録層、ZnS-20mol%SiO2の保護層、Auの反射層をそれぞれ、16nm、80nm、10nm、70nm、10nmの厚さにマグネトロンスパッタ法で形成し、第2の情報層106とした。第1の基板101及び第2の基板107における溝幅は、溝上に記録した信号を再生した場合と、溝間に記録した信号を再生した場合とに、それぞれの再生信号振幅がほぼ等しくなるように設定した。通常、第1の基板と第2の基板における最適な溝幅は一致しなかった。

0079

第1の情報層102を成膜した後、スピンコート法により、アクリル系の紫外線硬化樹脂を5μmの厚さで膜面に塗布し、その後、紫外線を照射して硬化させ、オーバコート層103を形成した。同様に第2の情報層106を成膜した後、スピンコート法により、アクリル系の紫外線硬化樹脂を5μmの厚さで膜面に塗布し、その後、紫外線を照射して硬化させ、オーバコート層105を形成した。

0080

オーバコートを施した第1及び第2の情報層102、106を含む基板に対して、図8に示す初期結晶化装置によって、内部の記録層(Ge-Sb-Te薄膜)の結晶化を行った。この初期結晶化装置において、オーバコート層で被覆された情報層を備える基板201は、スピンドルモータ202により回転される。初期化のためのレーザ光源203からのレーザ光は、ミラー204で反射され、対物レンズ205をへて基板201(したがって、その中の情報層)を照射する。ここで、ミラー204と対物レンズ205を含む光ヘッドは送り機構206により基板201の上方を移動され、フォーカス制御がおこなわれる。

0081

なお、第1の情報層102は、第1の基板101を通してレーザ光を照射することによっても、また、オーバコート層103を通してレーザ光を照射することによっても、その内部の記録層を結晶化できる。ただし、第2の情報層106は、オーバコート層105を通してレーザ光を照射することによってのみ、その内部の記録層を結晶化できる。第2の基板107を通してレーザ光を照射すると、その内部に設けるAl-Cr反射層によってレーザ光の大部分が吸収ないし反射されて、十分な光が記録層に届かないためである。

0082

初期結晶化を終えた第2の情報層106のオーバコート層105の上に、エポキシ系の紫外線硬化樹脂を30μm厚さで塗布し、その上に第1の情報層102をオーバコート層103側が第2の情報層のオーバコート層105と向かい合うように載せた後、紫外線照射を行う。これにより、光学分離層104が形成される。得られた光ディスクは、第1の基板101、第1の情報層102、オーバコート層103、光学分離層104、オーバコート層105、第2の情報層106、第2の基板107の順に積層された構造を備える。なお、この実施例においては第2の基板107は保護基板である。

0083

これら光ディスクは、記録層の結晶状態を未記録状態とし、記録層の非晶質状態を記録マークにあてる。表1は、波長650nmに対する光学特性の設計値を示し、表2は、実測値を示す。実測値は、溝による回折の影響を除去するため、光学特性は、案内溝のない鏡面基板を用いて測定した。

0084

表1波長650nmに対する光学特性の設計値
ID=000003HE=065 WI=094 LX=0580 LY=2000

0085

表2波長650nmに対する光学特性の実測値
ID=000004HE=050 WI=102 LX=0540 LY=0300

0086

表1と表2に示される反射率及び透過率の値から、作製した光ディスクにおいて設計どおりの光学特性が得られていることが予想される。注意すべき点は、密着した後のディスク構成において第2の情報層を再生する場合、手前の第1の情報層の存在によって、第2の情報層の反射率に第1の情報層の透過率を2乗した値をかけた値が、実効的な第2の情報層の反射率になっている点である。たとえば、第1の情報層に記録がなされていない場合には、第2の情報層における未記録時の反射率は38%×45%×45%=8%にすぎない。

0087

この光ディスクに、図6に示す記録再生装置を用いて、案内溝の上(グルーブ)、及び案内溝の間(ランド)に信号を記録し、かつ再生した。記録と再生に用いたレーザ光源312は波長650nmの半導体レーザであり、対物レンズ314のNAは、0.6である。記録情報は、8/16、RLL(2,10)の変調方式変調して記録した。この時、記録線速度は8m/s、記録信号線密度を0.31μm/ビットとした。記録パルスデューティ比を50%とした場合には、ピークパワーを13mWとすることで、第1の情報層にも第2の情報層にも信号をオーバライト記録することができた。

0088

図9に記録パルスの変調波形を示す。記録時の先頭パルスの形状は、対称マークの長さ及び対称マークの前に記録するマークとの間隔に応じて、再生ジッタが最小となるように適応型で決定した。また、記録時のラストパルスの形状は、対称マークの長さ及び対称マークの次に記録するマークとの間隔に応じて、再生ジッタが最小となるように適応型で決定した。

0089

表3は、記録条件再生特性を示す。ただし、第2の情報層に信号を記録する場合には、第2の情報層に記録しようとする位置において、手前の第1の情報層のグルーブ及びランドの双方に予め信号を記録している。ただし、表3の中で、G、Lとあるのはそれぞれグルーブとランドにおける記録特性のことであり、O/Wとあるのはオーバライト記録のことである。

0090

表3記録条件と再生特性
ID=000005HE=090 WI=108 LX=0510 LY=1750

0091

表3より、再生パワーを十分に上げた場合には、第1の情報層及び第2の情報層のそれぞれグルーブに記録した信号もランドに記録した信号も、良好なジッタ値で再生できることがわかる。再生ジッタの値が最小となる最小再生パワーは、第1の情報層では2.0mW、第2の情報層では2.5mWである。これらの値の絶対値は、記録・再生装置の回路ノイズの大小や再生装置の光学系によって変わりうることはいうまでもない。

0092

また、1万回までの繰り返し記録では再生ジッタはほとんど悪化しないことがわかる。ただし、オーバコート層を設けずに、第1及び/または第2の情報層を空気にさらしたまま初期化してから密着したディスクの場合は、初期化条件をどのように最適化しても、1000回の繰り返し記録によって、すでに大幅なジッタ増が観察された。したがって、密着前に初期化する場合には、オーバコート層を設けてから初期化することが望ましい。また、本ディスクは、記録線速度を10m/sと高めても再生ジッタの悪化は認められなかった。

0093

また、ディスク構成の最適化のため、本ディスクの第1の情報層において、第1の記録層の膜厚を変化して特性を調べた。その結果、第1の記録層の膜厚が5nmよりも薄いと再生信号振幅及び、消去特性が極端に悪化し、記録再生媒体として特性が不十分であることがわかった。また、第1の記録層の膜厚が10nmよりも厚いと平均透過率が50%以下の構成しか得られなくなり、第2の情報層に感度よく記録ができなくなり、また、第2の情報層の再生信号振幅も大きくできなくなることがわかった。

0094

次に、上述のディスクにおいて、第1の情報層及び第2の情報層の繰り返し記録特性を向上させることを目的として、さらに、記録層に接して、窒化物からなる界面層を設けた。実験では、第1の記録層及び第2の記録層とZnS-20mol%SiO2の保護層との間に、種々の窒化物からなる厚さ5nmの窒化物界面層を挿入して、繰り返し記録特性が向上するか否かについて調べた。実験した窒化物材料は、Al-N、Si-N、Ti-N、Cr-N、Ge-N、Ti-Nの6種類である。すべての窒化物界面層はArとN2雰囲気中でマグネトロンスパタリング法により作製した。

0095

1例として、表4は、厚さ5nmのGe-N界面層を第1の記録層及び第2の記録層のそれぞれの記録層の両側に設けた場合の、繰り返し記録回数と再生ジッタの関係を示す。

0096

表4 繰り返し記録回数と再生ジッタの関係
ID=000006HE=060 WI=108 LX=0510 LY=1300

0097

実験の結果、以下の点が明らかになった。
1.いずれの界面層においても、界面層を設けない場合に比べて、第1の情報層及び第2の情報層の繰り返し記録回数(10回繰り返し記録における再生ジッタが1%以上劣化するまでの繰り返し記録回数)が、2倍以上にのびた。
2.界面層は、記録層に接してレーザ光入射側の記録層に設けた場合も、その反対側の記録層界面に設けた場合においても、繰り返し記録回数を改善する効果があった。最も効果が最大となるのは、記録層に接して両側に界面層を設けた場合であった。

発明の効果

0098

以上に説明したように、光学情報記録媒体における反射率がR1a<R1cかつR2a>R2cの関係を満たすので、片面から2層の情報層に記録できる大容量の光学情報記録媒体を提供できる。

0099

また、光学情報記録媒体における光吸収率がA1a<A1cかつA2a<A2cの関係を満たすので、高感度、高速で記録が可能である。

0100

また、光学情報記録媒体において、界面層が、第1の記録層とそれに隣接する層との間に配置されるので、記録消去の繰り返し特性が改善される。

0101

また、多層光学情報記録媒体において、オーバーコート層を第1の情報層と中間透明層との間、または、第2の情報層と中間透明層との間に形成するので、記録消去の繰り返し特性が改善される。

0102

また、第1の情報層と第2の情報層の少なくとも一方を初期結晶化させた後で、第1の情報層と第2の情報層とを密着するので、比較的安価な初期結晶化装置を用いて初期結晶化が行なえる。

0103

また、第1と第2の記録層を備える光学情報記録媒体において、第1の記録層に予め記録マークを形成するので、記録マークが形成された領域の奥にある第2記録層に容易に記録ができる。

0104

また、多層光学情報記録媒体の再生において、第1の記録層に信号が記録されていることを確認してその奥の第2の記録層に情報を記録するので、第2の記録層に容易に記録ができる。

0105

また、多層光学情報記録媒体の再生において、第2の記録層から情報を再生する場合、第1の記録層から情報を再生するときよりも大きなパワーの光束を照射するので、第2の情報層に記録された信号を良好に再生できる。

0106

また、光学情報記録媒体の再生において、多層情報記録媒体に記録された情報を再生する場合、再生専用光学記録媒体に記録された情報を再生するときよりも大きなパワーの光束を照射するので、多層情報記録媒体に記録された信号を再生できる。

図面の簡単な説明

0107

図1本発明の第1の実施形態の2層光ディスクの断面図
図2第1と第2の情報層をより具体的に示す断面図
図3本発明の第2の実施形態の2層光ディスクの断面図
図4ダミー信号の記録の1例の図
図5光ディスクに情報を記録・再生する記録再生装置の図
図6制御装置における記録制御のフローチャート
図7制御装置における再生制御のフローチャート
図8光ディスクの初期結晶化装置を示す図
図9光ディスクに情報を記録する際の記録パルスの変調波形を示す図

--

0108

2 第1の情報層、 3光学分離層、 4 第2の情報層、 5保護基板、 23 第1の記録層、 44 第2の記録層、 102 第1の情報層、 103オーバコート層、 104 光学分離層、 105オーバコート層、 106 第2の情報層、 107 保護基板。

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