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技術 分光増感剤の固体微分散物

出願人 富士フイルムホールディングス株式会社
発明者 西見大成仲西正壽御林慶司
出願日 1998年7月17日 (21年8ヶ月経過) 出願番号 1998-203774
公開日 1999年12月24日 (20年3ヶ月経過) 公開番号 1999-352620
状態 未査定
技術分野 銀塩写真感光材料
主要キーワード カタマリ 体積加重平均粒径 B型粘度計 非ニュートン流体 コールター原理 残存状態 ローダシアニン色素 ホルムアルデヒドスカベンジャー
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1999年12月24日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (1)

課題

ハロゲン化銀乳剤に対する分光増感剤吸着量のバラツキが少なくなるような粒径を有する分光増感剤の固体分散物を提供する。

解決手段

分散粒子径平均値が2.5 μm 以上100 μm 以下の範囲であることを特徴とする水媒体中で分散された分光増感剤の固体微分散物。

概要

背景

通常の写真用添加剤固体分散物は、そのままの分散粒子径塗布膜中に存在する場合が多い。そのため分散粒子径が1μm を越えるような写真用添加物の固体微分散物を用いた場合、分散物粒子塗布膜の一つの層内に入りきれない、塗布膜のヘイズが上昇する、等の問題が生じる。これらの問題を回避するために、写真用添加剤の固体微分散物については、その分散粒子径を小さくすることが一般的に行われている。例えば有機染料固体分散物に関しては、米国特許第4,988,611 号には1μm 以下の範囲が、特開平2-308250号には0.01〜0.5 μm 範囲が、特開平8-87091 号には0.05〜0.3 μm の範囲が、分散粒子径の好ましい範囲であることが開示されている。

分光増感剤の固体微分散物の分散粒子径についても、同様に考えられている。米国特許第3,469,987 号には、分光増感剤を揮発性有機溶媒に溶解し親水性コロイド中に分散した後、加熱により有機溶媒を除去し、分光増感剤の固体微分散物を得る方法が開示されているが、この場合の好ましい分散粒子径は1μm 以下の範囲であることが開示されている。米国特許第4,006,025 号には、水と分光増感剤を混合後、界面活性剤を加え固体微分散する手法が開示されているが、この場合の好ましい分散粒子径は0.5 〜1μm の範囲であることが開示されている。特公昭61-45217号には、有機溶媒および/または界面活性剤が存在しない条件下で、水媒体中にて分光増感剤の固体微分散物を得るための手法が開示されているが、この場合の好ましい分散粒子径は1μm 以下の範囲であることが開示されている。

分光増感剤の固体微分散物は、有機染料の固体微分散物などとは異なり、そのままの形態で塗布されるわけではなく、あらかじめタンク中でハロゲン化銀乳剤表面に吸着させた後、塗布される。それゆえ分光増感剤の固体微分散物の分散粒子径は、必ずしも塗布膜厚以下である必要はなく、ハロゲン化銀乳剤への吸着挙動に基づき、最適な分散粒子径を決めることが望ましい。すなわち、ハロゲン化銀乳剤に対して分光増感剤の分散物を添加した時、個々のハロゲン化銀粒子への分光増感剤の吸着量のバラツキが最小になるような分散粒子径を持つ、分光増感剤の分散物が最も好ましいと考えられる。しかし従来は、このような観点から分光増感剤の固体微分散物の分散粒子径を最適化する、という考え方はされていなかった。

特開平6-130545号には、平均分散粒子径2μm 以下の分光増感剤の固体微分散物を用いることにより、硬調でかつ保存性に優れた熱現像感光材料が得られることが開示されている。また特開平4-134444号には、分光増感剤の固体微分散物の分散粒子径を一定にすることが、ハロゲン化銀粒子に対する分光増感剤の供給速度コントロールする上で重要であることが開示されている。しかしこれらの場合にも、個々のハロゲン化銀粒子への分光増感剤の吸着量のバラツキと分光増感剤の粒径の関係は述べられていない。米国特許第5,334,496 号には、個々のハロゲン化銀乳剤粒子に対する写真要素の吸着量にバラツキを持たせるためのプロセスが開示されている。この手法は、ハロゲン化銀乳剤に対する分光増感剤吸着量のバラツキを大きくさせるためには有効であると考えられるが、本発明の目的とは全く正反対のものであり、また分光増感剤分散物の分散粒子径の最適化に関しては何の情報も与えていない。

概要

ハロゲン化銀乳剤に対する分光増感剤の吸着量のバラツキが少なくなるような粒径を有する分光増感剤の固体微分散物を提供する。

分散粒子径の平均値が2.5 μm 以上100 μm 以下の範囲であることを特徴とする水媒体中で分散された分光増感剤の固体微分散物。

目的

従来の分光増感剤の固体微分散物の分散粒子径は、個々のハロゲン化銀乳剤粒子に対する吸着量のバラツキが少ない、すなわち粒子全体に分光増感剤が均一に吸着したハロゲン化銀乳剤粒子を調製するという課題に対しては、必ずしも有利であるとは言えなかった。従って本発明の目的は、ハロゲン化銀乳剤に対する分光増感剤の吸着量のバラツキが少なくなるような粒径を有する、分光増感剤の固体微分散物を得るための手法を開発することである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

分散粒子径平均値が2.5 μm 以上100 μm 以下の範囲であることを特徴とする水媒体中で分散された分光増感剤固体分散物

請求項2

前記固体微分散物の60℃における粘度が、B型粘度計で60rpm で測定した場合に20mPas以上400mPas 以下であることを特徴とする請求項1に記載の固体微分散物。

請求項3

前記固体微分散物の60℃における粘度が、剪断速度384s-1で測定した場合に20mPas以上400mPas 以下であることを特徴とする請求項1に記載の固体微分散物。

請求項4

前記固体微分散物の60℃における粘度が、B型粘度計で60rpm で測定した場合に60mPas以上400mPas 以下であることを特徴とする請求項2に記載の固体微分散物。

請求項5

前記固体微分散物の60℃における粘度が、B型粘度計で60rpm で測定した場合に150mPas 以上350mPas 以下であることを特徴とする請求項4に記載の固体微分散物。

請求項6

前記固体微分散物の60℃における粘度が、剪断速度384s-1で測定した場合に20mPas以上200mPas 以下であることを特徴とする請求項3に記載の固体微分散物。

請求項7

前記固体微分散物の60℃における粘度が、剪断速度384s-1で測定した場合に30mPas以上150mPas 以下であることを特徴とする請求項6に記載の固体微分散物。

技術分野

0001

本発明は、ハロゲン化銀写真用に用いる分光増感剤固体分散物に関するものである。

背景技術

0002

通常の写真用添加剤の固体微分散物は、そのままの分散粒子径塗布膜中に存在する場合が多い。そのため分散粒子径が1μm を越えるような写真用添加物の固体微分散物を用いた場合、分散物粒子塗布膜の一つの層内に入りきれない、塗布膜のヘイズが上昇する、等の問題が生じる。これらの問題を回避するために、写真用添加剤の固体微分散物については、その分散粒子径を小さくすることが一般的に行われている。例えば有機染料固体分散物に関しては、米国特許第4,988,611 号には1μm 以下の範囲が、特開平2-308250号には0.01〜0.5 μm 範囲が、特開平8-87091 号には0.05〜0.3 μm の範囲が、分散粒子径の好ましい範囲であることが開示されている。

0003

分光増感剤の固体微分散物の分散粒子径についても、同様に考えられている。米国特許第3,469,987 号には、分光増感剤を揮発性有機溶媒に溶解し親水性コロイド中に分散した後、加熱により有機溶媒を除去し、分光増感剤の固体微分散物を得る方法が開示されているが、この場合の好ましい分散粒子径は1μm 以下の範囲であることが開示されている。米国特許第4,006,025 号には、水と分光増感剤を混合後、界面活性剤を加え固体微分散する手法が開示されているが、この場合の好ましい分散粒子径は0.5 〜1μm の範囲であることが開示されている。特公昭61-45217号には、有機溶媒および/または界面活性剤が存在しない条件下で、水媒体中にて分光増感剤の固体微分散物を得るための手法が開示されているが、この場合の好ましい分散粒子径は1μm 以下の範囲であることが開示されている。

0004

分光増感剤の固体微分散物は、有機染料の固体微分散物などとは異なり、そのままの形態で塗布されるわけではなく、あらかじめタンク中でハロゲン化銀乳剤表面に吸着させた後、塗布される。それゆえ分光増感剤の固体微分散物の分散粒子径は、必ずしも塗布膜厚以下である必要はなく、ハロゲン化銀乳剤への吸着挙動に基づき、最適な分散粒子径を決めることが望ましい。すなわち、ハロゲン化銀乳剤に対して分光増感剤の分散物を添加した時、個々のハロゲン化銀粒子への分光増感剤の吸着量のバラツキが最小になるような分散粒子径を持つ、分光増感剤の分散物が最も好ましいと考えられる。しかし従来は、このような観点から分光増感剤の固体微分散物の分散粒子径を最適化する、という考え方はされていなかった。

0005

特開平6-130545号には、平均分散粒子径2μm 以下の分光増感剤の固体微分散物を用いることにより、硬調でかつ保存性に優れた熱現像感光材料が得られることが開示されている。また特開平4-134444号には、分光増感剤の固体微分散物の分散粒子径を一定にすることが、ハロゲン化銀粒子に対する分光増感剤の供給速度コントロールする上で重要であることが開示されている。しかしこれらの場合にも、個々のハロゲン化銀粒子への分光増感剤の吸着量のバラツキと分光増感剤の粒径の関係は述べられていない。米国特許第5,334,496 号には、個々のハロゲン化銀乳剤粒子に対する写真要素の吸着量にバラツキを持たせるためのプロセスが開示されている。この手法は、ハロゲン化銀乳剤に対する分光増感剤吸着量のバラツキを大きくさせるためには有効であると考えられるが、本発明の目的とは全く正反対のものであり、また分光増感剤分散物の分散粒子径の最適化に関しては何の情報も与えていない。

発明が解決しようとする課題

0006

従来の分光増感剤の固体微分散物の分散粒子径は、個々のハロゲン化銀乳剤粒子に対する吸着量のバラツキが少ない、すなわち粒子全体に分光増感剤が均一に吸着したハロゲン化銀乳剤粒子を調製するという課題に対しては、必ずしも有利であるとは言えなかった。従って本発明の目的は、ハロゲン化銀乳剤に対する分光増感剤の吸着量のバラツキが少なくなるような粒径を有する、分光増感剤の固体微分散物を得るための手法を開発することである。

課題を解決するための手段

0007

前記の課題は、以下の(1)〜(7)により達成された。
(1)分散粒子径の平均値が2.5 μm 以上100 μm 以下の範囲であることを特徴とする水媒体中で分散された分光増感剤の固体微分散物。
(2)前記固体微分散物の60℃における粘度が、B型粘度計で60rpm で測定した場合に20mPas以上400mPas 以下であることを特徴とする(1)に記載の固体微分散物。
(3)前記固体微分散物の60℃における粘度が、剪断速度384s-1で測定した場合に20mPas以上400mPas 以下であることを特徴とする(1)に記載の固体微分散物。
(4)前記固体微分散物の60℃における粘度が、B型粘度計で60rpm で測定した場合に60mPas以上400mPas 以下であることを特徴とする(2)に記載の固体微分散物。
(5)前記固体微分散物の60℃における粘度が、B型粘度計で60rpm で測定した場合に150mPas 以上350mPas 以下であることを特徴とする(4)に記載の固体微分散物。
(6)前記固体微分散物の60℃における粘度が、剪断速度384s-1で測定した場合に20mPas以上200mPas 以下であることを特徴とする(3)に記載の固体微分散物。
(7)前記固体微分散物の60℃における粘度が、剪断速度384s-1で測定した場合に30mPas以上150mPas 以下であることを特徴とする(6)に記載の固体微分散物。

発明を実施するための最良の形態

0008

本発明者は、種々の分散粒子径を有する分光増感剤の固体微分散物を用いて、分光増感剤のハロゲン化銀乳剤に対する吸着挙動を測定した。さらに、個々のハロゲン化銀乳剤粒子に対する分光増感剤の吸着量を、特開平7-219094号に記載の方法で測定し、個々のハロゲン化銀乳剤に対する分光増感剤の吸着量のバラツキに関して検討した。その結果、驚くべき事に、従来良いと信じられてきた微細な(1μm 以下の)分散粒子径を持つ分光増感剤の固体微分散物を用いた場合よりも、平均粒径が2.5 μm 以上100 μm 以下の範囲の分散粒子径を持つ分光増感剤の固体微分散物を用いた場合の方が、個々のハロゲン化銀乳剤粒子に対する分光増感剤吸着量のバラツキが少ないハロゲン化銀乳剤を得られることを発見した。さらに、このようにして調製されたハロゲン化銀乳剤は、硬調かつ保存性に優れた写真性を有することを発見した。これらの事実は、ハロゲン化銀乳剤粒子への分光増感剤の吸着速度と、分光増感剤分散物の反応タンク中での拡散速度との相対関係に基づくと推定される。

0009

ハロゲン化銀乳剤粒子に対する分光増感剤の吸着速度が、分光増感剤のタンク中での拡散速度よりも速い場合、分光増感剤が添加された付近に存在するハロゲン化銀乳剤粒子には多くの分光増感剤が吸着するのに対し、分光増感剤が添加された場所から遠くに存在するハロゲン化銀粒子に吸着する分光増感剤は少なくなってしまう。このことから、個々のハロゲン化銀乳剤粒子に対する分光増感剤吸着量のバラツキが大きくなることが推定される(図1.b)。ハロゲン化銀表面への分光増感剤の吸着速度が速く、かつ分光増感剤のタンク中での拡散効率が低い条件下(ハロゲン化銀乳剤に分光増感剤を添加する場合のタンクの容量が大きい、タンク内の攪拌速度が小さい等)に於いて、この問題は特に重大な影響を与える。

0010

分光増感剤の分散粒子径が大きい場合、分散粒子径が小さい場合と比較して、分光増感剤の系中への溶解速度が相対的に低下するため、分光増感剤の固体微分散物を系全体に拡散させた後にハロゲン化銀乳剤への吸着を完了させることが可能となる。このことにより、個々のハロゲン化銀乳剤粒子に対する分光増感剤の吸着量のバラツキが小さくなったものと推定される(図1.a)。

0011

ハロゲン化銀乳剤溶液は粘度が高く、泡立ち抑制の観点から高速回転も好ましくない。このため、分光増感剤粉末をハロゲン化銀乳剤溶液に直接添加すると、ハロゲン化銀乳剤溶液の表面で分光増感剤粉末が「ダマ」と呼ばれる大きな不定形カタマリが生じ、タンク中での分光増感剤の拡散速度および溶解速度が非常に大きなものになってしまう。このような状態は実用的な観点から問題が多く、個々のハロゲン化銀乳剤粒子に対する分光増感剤の吸着量のバラツキという観点からも望ましいものではない。

0012

これらの観点から、本発明に於ける分光増感剤の固体微分散物の分散粒子径は2.5 μm 以上100 μm 以下の範囲であり、好ましくは5μm 以上50μm 以下の範囲である。

0013

本発明に於ける分光増感剤の固体微分散物の分散粒子径は、既知の方法により測定することが可能である。すなわち、顕微鏡写真の投影面積から求める方法、ミー散乱およびフラウンホーファー回折に基づく光散乱回折から求める方法、コールター原理に基づく電気抵抗から求める方法、等の手法を用いて、分光増感剤の固体微分散物の分散粒子径を求めることが出来る。光散乱回折法から求める方法は、分散粒子径の測定を簡便に行うことが可能であるという点で、特に好ましい。本発明においては、Malvern Instruments Ltd.社の MasterSizer Xを用いて測定し、polydisperse modelによる統計処理から求められた体積加重平均粒径の値を用いた。

0014

本発明に於ける分光増感剤の固体微分散物は、水媒体中で分光増感剤を機械的に破砕・分散することにより得ることができる。具体的には、高速攪拌機ボールミルサンドミルコロイドミルアトライター、超音波分散機などの種々の分散機を用いることにより、分光増感剤の固体微分散物を得ることができる。本発明に於いて分光増感剤を水媒体中に分散する場合の温度は、0℃から100℃の範囲であり、好ましくは20℃から80℃の範囲であり、より好ましくは50℃から70℃の範囲である。

0015

本発明で述べる分光増感剤とは、ハロゲン化銀に吸着した時にハロゲン化銀に対して光誘起電子移動を起こす化合物を意味し、有機染料は含まない。ハロゲン化銀乳剤粒子への粒子間吸着量のバラツキを小さくするためには、増感色素の粒子への吸着時間が、20秒以上1000秒以内であることが好ましく、30秒以上600秒以内であることが更に好ましい。本発明に用いられる分光増感剤としては、シアニン色素メロシアニン色素ヘミシアニン色素ローダシアニン色素オキソノール色素ヘミオキソノール色素等のメチン色素およびスチリル色素を挙げることができる。これらの分光増感剤の中でも特に、シアニン色素が好ましい。より好ましくは、親水性基(例えばスルホ基スルホアルキル基カルボキシル基)を1個、または2個有したアニオン性シアニン色素が有効である。本発明に用いられる分光増感剤は、例えば、米国特許第2,688,545号、同2,977,229号、同3,397,060号、同3,522,052号、同3,527,641号、同3,617,293号、同3,628,964号、同3,666,480号、同3,672,898号、同3,679,428号、同3,703,377号、同3,769,301号、同3,814,609号、同3,837,862号、同4,026,707号、英国特許第1,344,281号、同1,507,803号、特公昭43−4936号、同53−12,375号、特開昭52−110,618号、同52−109,925号に記載されている。

0016

これらの分光増感剤の水中の濃度は0.1 重量%以上であり、好ましくは0.3 重量%以上30重量%以下の範囲であり、より好ましくは0.5 重量%以上20重量%以下の範囲である。

0017

分光増感剤の高濃度分散を行う場合、分散物粘度が上昇する場合が多いことが知られており、例えば特開平5-297496号に記載されている。一方、無機塩を含む水媒体中で分光増感剤の分散を行うことにより、作業上問題となるほどの粘度上昇を起こすことなく分光増感剤の高濃度分散が可能であることが、既に発明者らにより見出されている。それゆえ本発明に於いては、0.1 %重量以上の水溶性無機塩を含む水媒体中で分光増感剤の分散を行うことが好ましい。より好ましくは0.5 重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上50重量%以下の範囲の水溶性無機塩を含む水媒体中で、分光増感剤の分散を行うことが有効である。

0018

分散物の沈降速度は分散物粒径の2乗に比例し、分散物粘度に反比例することが知られている。この関係はStokesの法則として一般的に理解されており、例えば、B.ヤーゲンリンス,M.E.ストラウマニス著「コロイド化学」(培風発行(1967))9章に記載されている。それゆえ分散粒子径が大きいことは、保存中の分散物の沈降安定性にとっては不利な材料となる。それゆえ本発明における分散物は、作業性に支障をきたさない程度に高い粘度を有することが好ましい。このような観点から、本発明に於ける分光増感剤の固体微分散物の粘度は、60℃においてB型粘度計で60rpm で測定した場合、20mPas以上400mPas 以下であり、好ましくは60mPas以上400mPas 以下、さらに好ましくは150mPas 以上350mPas以下の範囲である。剪断速度384s-1で測定した場合は、20mPas以上400mPas 以下であり、好ましくは20mPas以上200mPas 以下であり、より好ましくは30mPas以上150mPas 以下の範囲である。

0019

B型粘度計としては例えば、東京計器社のBL粘度計が挙げられる。また、非ニュートン流体は、剪断速度を規制して測定することが好ましい。このような測定が可能な粘度計として、東京計器社のE型粘度計VISCONIC EHDが挙げられる。この粘度計では、100rpmで剪断速度384s-1に規制できる。

0020

本発明に於いては、分光増感剤の固体微分散物をゼラチン水溶液と混合し冷却することにより、沈降安定性に優れた分光増感剤の固体微分散物を含むゼラチンゲルとして保存することも可能である。本発明に於ける、分光増感剤の固体微分散物を含むゼラチンゲル中のゼラチン濃度は、0.5 重量%以上が好ましく、より好ましくは1重量%以上50%重量以下の範囲であり、さらに好ましくは2重量%以上10%重量以下の範囲である。

0021

分光増感剤を分散する場合の水溶液のpHが中性領域からはずれると、分光増感剤の化学的安定性が損なわれることは一般に知られており、中性領域で分散することが有効であることが、例えば特公昭61-45217に開示されている。それゆえ本発明においては分散物のpHが4〜10の範囲、好ましくはpHが5〜9の範囲、より好ましくはpHが6〜8の範囲となるよう、pHの調製を行うことが望ましい。

0022

水媒体が有機溶媒および/または界面活性剤を含む分光増感剤分散物を用いて写真用乳剤分光増感を施した後、この写真用乳剤を塗布した場合、乳化物破壊や乳剤の凝集塗布面状の異常などの問題を引き起こし易い事が知られている。それゆえ本発明に於いては、実質的に有機溶媒および/または界面活性剤を含まない水媒体中で、分光増感剤の固体微分散を行うことが好ましい。

0023

本発明の分光増感剤の分散方法を用いて調製された分散物を用いて分光増感された、あるいはされる前のハロゲン化銀乳剤には、目的に応じて種々の添加剤を用いることができる。また、このようなハロゲン化銀乳剤を使用して作製される感光材料にも種々の添加剤を用いることができる。これらの添加剤は、より詳しくはリサーチディスクロージャー(RD)Item17643(1978年12月)、同Item18716(1979年11月)、同Item308119(1989年12月)、及び同Item40145(1997年9月)に記載されており、その該当個所を下記にまとめて示した。

0024

添加剤種類 RD17643 RD18716 RD308119
1.化学増感剤23頁 648頁右欄 996頁
2.感度上昇剤 同 上
3.分光増感剤、 23〜24頁 648頁右欄〜 996右〜 998右
色増感剤649頁右欄
4.増 白 剤 24頁 998右
5.かぶり防止剤24〜25頁 649頁右欄 998右〜1000右
および安定剤
6.光吸収剤、 25〜26頁 649頁右欄〜 1003左〜1003右
フィルター染料、 650頁左欄
紫外線吸収剤
7.ステイン防止剤25頁右欄 650左〜右欄 1002右
8.色素画像安定剤 25頁 1002右
9.硬 膜 剤 26頁 651頁左欄 1004右〜1005左
10.バインダー26頁 同 上 1003右〜1004右
11.可塑剤潤滑剤 27頁 650頁右欄 1006左〜1006右
12.塗布助剤、 26〜27頁 同 上 1005左〜1006左
表面活性剤
13.スタチック27頁 同 上 1006右〜1007左
防止剤
14.マット剤1008左〜1009左
本発明の分光増感剤の分散方法を用いて調製された分散物を用いて分光増感された乳剤ならびにその乳剤を用いた写真感光材料に使用することができる層配列等の技術、ハロゲン化銀乳剤、色素形成カプラーDIRカプラー等の機能性カプラー、各種の添加剤等、及び現像処理については、欧州特許第0565096A1号(1993年10月13日公開)及びこれに引用された特許に記載されている。以下に各項目とこれに対応する記載個所を列記する。

0025

1.層構成:61頁23−35行、61頁41行−62頁14行、
2.中間層:61頁36−40行、
3.重層効果付与層:62頁15−18行、
4.ハロゲン化銀ハロゲン組成:62頁21−25行、
5.ハロゲン化銀粒子晶癖:62頁26−30行、
6.ハロゲン化銀粒子サイズ:62頁31−34行、
7.乳剤製造法:62頁35−40行、
8.ハロゲン化銀粒子サイズ分布:62頁41−42行、
9.平板粒子:62頁43−46行、
10.粒子の内部構造:62頁47行−53行、
11.乳剤の潜像形成タイプ:62頁54行−63頁5行、
12.乳剤の物理熟成化学熟成:63頁6−9行、
13.乳剤の混合使用:63頁10−13行、
14.かぶらせ乳剤:63頁14−31行、
15.非感光性乳剤:63頁32−43行、
16.塗布銀量:63頁49−50行、
17.写真用添加剤:リサーチディスクロージャ(RD)Item17643(1978年12月)、同Item18716(1979年11月)及び同Item307105(1989年11月)に記載されており、下記に各項目およびこれに関連する記載個所を示す。

0026

添加剤の種類 RD17643 RD18716 RD307105
1.化学増感剤23頁 648頁右欄 866頁
2.感度上昇剤 648頁右欄
3.分光増感剤、 23〜24頁 648頁右欄〜 866〜 868頁
強色増感剤649頁右欄
4.増 白 剤 24頁 647頁右欄 868頁
5.かぶり防止剤、 24〜25頁 649頁右欄 868〜 870頁
安定剤
6.光吸収剤、 25〜26頁 649頁右欄〜 873頁
フィルター染料、 650頁左欄
紫外線吸収剤
7.ステイン防止剤25頁右欄 650左欄〜右欄 872頁
8.色素画像安定剤 25頁 650頁左欄 872頁
9.硬 膜 剤 26頁 651頁左欄 874〜 875頁
10.バインダー26頁 651頁左欄 873〜 874頁
11.可塑剤、潤滑剤 27頁 650頁右欄 876頁
12.塗布助剤、 26〜27頁 650頁右欄 875〜 876頁
表面活性剤
13.スタチック27頁 650頁右欄 876〜 877頁
防止剤
14.マット剤878〜 879頁
18.ホルムアルデヒドスカベンジャー:64頁54−57行、
19.メルカプト系かぶり防止剤:65頁1−2行、
20.かぶらせ剤等放出剤:65頁3−7行、
21.色素:65頁7−10行、
22.カラーカプラー全般:65頁11−13行、
23.イエローマゼンタ及びシアンカプラー:65頁14−25行、
24.ポリマーカプラー:65頁26−28行、
25.拡散性色素形成カプラー:65頁29−31行、
26.カラードカプラー:65頁32−38行、
27.機能性カプラー全般:65頁39−44行、
28.漂白促進剤放出カプラー:65頁45−48行、
29.現像促進剤放出カプラー:65頁49−53行、
30.その他のDIRカプラー:65頁54行−66頁4行、
31.カプラー分散方法:66頁5−28行、
32.防腐剤・防かび剤:66頁29−33行、
33.感材の種類:66頁34−36行、
34.感光層膜厚膨潤速度:66頁40行−67頁1行、
35.バック層:67頁3−8行、
36.現像処理全般:67頁9−11行、
37.現像液現像薬:67頁12−30行、
38.現像液添加剤:67頁31−44行、
39.反転処理:67頁45−56行、
40.処理液開口率:67頁57行−68頁12行、
41.現像時間:68頁13−15行、
42.漂白定着、漂白、定着:68頁16行−69頁31行、
43.自動現像機:69頁32−40行、
44.水洗、リンス、安定化:69頁41行−70頁18行、
45.処理液補充、再使用:70頁19−23行、
46.現像薬感材内蔵:70頁24−33行、
47.現像処理温度:70頁34−38行、
48.レンズ付フィルムへの利用:70頁39−41行、

0027

以下に具体例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明の趣旨を越えない限り、実施例に限定されるものではない。
実施例1
本実施例は、種々の粒径を持つ分光増感剤の固体微分散物を得るための手法に関する物である(表1参照)。

0028

0029

0030

0031

試料1は、1gの分光増感剤1を49g のイオン交換水中で60℃の条件下で、デイゾルバーを用い2000rpm で1時間分散した後、60℃に加熱した12%ゼラチン水溶液(6gのゼラチンを44g のイオン交換水に溶解)50g を加え、両者を混合することにより得られた。試料2は、1gの分光増感剤1を49g のイオン交換水中で60℃の条件下で、デイゾルバー翼を用い2000rpm で10分間分散した後、60℃に加熱した12% ゼラチン水溶液50g を加え、両者を混合することにより得られた。試料3は、1gの硝酸ナトリウムと4gの硫酸ナトリウムを44g のイオン交換水に溶解させた後、1gの分光増感剤1を加え、60℃の条件下でデイゾルバー翼を用い2000rpm で1時間分散した後、60℃に加熱した12% ゼラチン水溶液50g を加え、両者を混合することにより得られた。試料4は、5gの分光増感剤1を45g のイオン交換水中で60℃の条件下で分散を試みた試料である。この試料は分光増感剤を水に添加した時点でゲル化してしまい、分散自体が行えなかった。試料5は、1gの硝酸ナトリウムと4gの硫酸ナトリウムを40g のイオン交換水に溶解させた後、5gの分光増感剤1を加え、60℃の条件下でデイゾルバー翼を用い2000rpm で10分間分散した後、60℃に加熱した12% ゼラチン水溶液50g を加え、両者を混合することにより得られた。試料6は、1gの硝酸ナトリウムと4gの硫酸ナトリウムを40g のイオン交換水に溶解させた後、5gの分光増感剤1を加え、60℃の条件下でデイゾルバー翼を用い2000rpm で1時間分散した後、60℃に加熱した12% ゼラチン水溶液50g を加え、両者を混合することにより得られた。試料7は、分光増感剤の粉末そのものである。これらの試料の分散粒子径は、光散乱回折法により求められた。具体的にはこれらの試料を適当な濃度に希釈した後、Malvern Instruments Ltd.社の MasterSizer Xを用いて測定し、polydisperse modelによる統計処理から求められた体積加重平均粒径の値を用いた(表2参照)。

0032

0033

試料1と試料2は分散時間のみが異なる(それぞれ10分と1時間)。これらの比較から、分散時間の調整により分光増感剤の固体微分散物の分散粒子径の制御が可能であることが結論される。試料2と試料3は、分光増感剤を分散する場合の水媒体中の、無機塩の存在の有無のみが異なる。これらの比較から、イオン交換水中で分散を行った場合と比較して、無機塩存在下で分散を行った場合は分光増感剤の分散粒子径が大きくなることが結論される。試料4はイオン交換水中での分光増感剤の高濃度分散を試みた試料である。この試料の場合、5gの分光増感剤と45g のイオン交換水を混合した時点でゲル化してしまい分散が行えなかった。これに対し試料5、試料6においては、1gの硝酸ナトリウムと4gの硫酸ナトリウムをイオン交換水40g に溶解した後、5gの分光増感剤1を加えた。この場合にはゲル化がおこらず、1時間分散した後も粘度上昇は観察されなかった。試料4と試料5、試料6の比較から、高塩濃度条件下に於ける分光増感剤の高濃度分散が、分散物の粘度増加抑制に極めて有効であることが結論される。また、試料5、試料6の場合も、試料3と同様、分散粒子径の大きな増感色素の固体微分散物が得られ、その分散粒子径は分散時間に依存した。

0034

このように、分散時間や無機塩添加量を調製することで分光増感剤の固体微分散物の分散粒子径を調整可能なこと、無機塩添加により分光増感剤の高濃度分散物が調製可能なこと、が明らかとなった。

0035

実施例2
本実施例は、ハロゲン化銀乳剤への吸着速度に対する、分光増感剤の固体微分散物の分散粒子径の影響を検討したものである。

0036

実施例1で作成した、試料1〜3、5〜7の分光増感剤の固体微分散物を吸着させるハロゲン化銀乳剤としては、平均粒径2.4 μm 、厚み0.1 μm の単分散臭化銀粒子を用いた。ハロゲン化銀乳剤の平均粒径は、その投影像を同面積の円に換算したときの直径を示しており、既知の方法で測定できる。ハロゲン化銀乳剤に対する分光増感剤1の吸着挙動は、以下の方法にて測定した。225 gのハロゲン化銀乳剤を60℃に加熱溶解させた後、60rpm の攪拌下で、60℃に加熱溶解させた12gの試料1を添加し(他の試料については、分光増感剤量が等しくなる量の固体微分散物を添加し、さらに全体量が等しくなるようイオン交換水を追添加)、分光増感剤添加後の乳剤中の反射スペクトル経時変化を、瞬間マルチ測光システム(大塚電子製MMPASD-100)により、10秒毎に測定した。ハロゲン化銀乳剤のプリントアウトを防ぐ目的で、これらの実験は全て赤灯下で行った。試料1〜3、5〜7の分散粒子径および、これらの分散物を用いた場合の、ハロゲン化銀乳剤への吸着完了までに要した時間を表3に示す。

0037

0038

試料8〜13は全て、472nm付近に極大を持ち同じピーク面積を有する反射スペクトルを示した。分光増感剤1を水/メタノール= 1/1混合溶媒に均一溶解させた場合の吸収スペクトルの極大は430nm ゆえ、いずれの試料に於いても、分光増感剤1がハロゲン化銀乳剤表面で、同様のJ凝集体を形成していることが結論される。また、分光増感の分散物粒径とハロゲン化銀乳剤に対する吸着時間の間には、負の相関関係があることが結論される。

0039

試料13は、分光増感剤を粉末のままハロゲン化銀乳剤溶液に添加した試料である。この試料では、ハロゲン化銀乳剤溶液の表面で分光増感剤粉末が「ダマ」となり、あたかも非常に大きな分光増感剤の結晶のごとく振る舞い、反応系中での分光増感剤の拡散速度および溶解速度が非常に大きなものになってしまう。このため、他の試料と比較して桁違いに大きな吸着時間となることが推定される。

0040

分光増感剤分散物が系全体に拡散するためには、本実験条件下では30秒程度、より大きなタンクではさらに多くの時間が必要となる。このことは、従来良いと信じられていた1μm 以下の分散粒子径を持つ分光増感剤の固体微分散物を用いた場合には、分光増感剤粒子が系全体に拡散する前に、ハロゲン化銀乳剤の粒子表面への吸着が完了してしまうことを意味している。

0041

実施例3
本実施例は、粒径の異なる分光増感剤の固体微分散物を用いて調製したハロゲン化銀乳剤について、個々のハロゲン化銀乳剤粒子に対する分光増感剤の吸着量を測定し、ハロゲン化銀乳剤に対する分光増感剤吸着量のバラツキと固体微分散物の分散粒子径の対応関係を明確化したものである。

0042

実施例2で調製した試料8〜13について、各々の試料中の200 個の乳剤粒子表面に吸着している分光増感剤1の濃度を、特開平7-219094号に記載の方法で測定し、個々のハロゲン化銀乳剤粒子への分光増感剤の吸着量の分布を求めた。これらのデータを統計処理し、各試料について、増感色素の吸着量の変動係数標準偏差を平均値で割った値)を求めた。得られた結果を表4に示す。

0043

0044

試料8は比較例であるが、分散粒子径が1μm 未満であるため、吸着終了までの時間が20秒と短い。このため、分光増感剤の分散物粒子が系内に拡散する前にハロゲン化銀乳剤表面への吸着が終了してしまう。従って、分光増感剤が全く吸着していない乳剤粒子が多数残存してしまい、吸着量の変動係数が49という大きな値を示す。試料9は本発明であるが、分散粒子径が2.5 μm 以上であり、分光増感剤分散物粒子が系全体に拡散した後、吸着が完了する。このため、分光増感剤が未被覆のハロゲン化銀粒子の数が試料7と比較して少なくなり、吸着量の変動係数は小さな値となる。試料10〜12は本発明であるが、いずれも分散粒子径が20μm 〜100 μm 程度であり、吸着が終了するまでに、分散物が反応系全体に拡散するだけの十分な時間的余裕がある。それゆえこれらの系では、分光増感剤が未被覆のハロゲン化銀粒子は存在せず、分光増感剤吸着量の変動係数は非常に小さい値を示す。試料13は比較例であり、分光増感剤を粉末のままハロゲン化銀乳剤溶液に添加した試料である。この試料では、ハロゲン化銀乳剤溶液の表面で分光増感剤粉末が「ダマ」となり、あたかも非常に大きな分光増感剤の結晶のごとく振る舞う。このため「ダマ」の付近に存在するハロゲン化銀乳剤粒子のみに分光増感剤が吸着してしまう。このため、分光増感剤吸着量の変動係数が全ての試料の中で最大の値(68)を示しており、このことは、分光増感剤の吸着量のバラツキが極めて大きなハロゲン化銀乳剤であることを意味している。

0045

このように、分光増感剤の粉末添加、あるいは従来良いと信じられていた1μm 以下の分散粒子径を持つ分光増感剤の固体微分散物を使用する場合と比較して、本発明の分散物、すなわち2.5 μm 以上100 μm 以下の範囲の分散粒子径を持つ分光増感剤の固体微分散物を用いた場合にのみ、分光増感剤の吸着量のバラツキの少ないハロゲン化銀乳剤を調製できることが明らかとなった。

0046

実施例4
本実施例は、本発明によって得られた分光増感剤の分散物を用いて作成した乳剤が、良好な写真性能を有することを示すものである。

0047

特開平9-203996号の実施例4に記載の乳剤Jの作成法に従い、乳剤1、2を作成した。乳剤1は分光増感剤1を添加する場合に試料1を用い、乳剤2は分光増感剤1を添加する場合に試料5を用い、それぞれ作成した。これらの乳剤を単層塗布し写真性を比較したところ、乳剤2を用いた場合の方が乳剤1を用いた場合よりも、若干高感化および硬調化していた。これは、乳剤2の方が、個々の乳剤に対する増感色素吸着量のバラツキが少ないことに起因すると推定される。同様にして、特開平9-203996号の実施例4に記載の乳剤Kおよび乳剤Lについても、試料5を用いて作成した。これらの乳剤を用いて全重層サンプルを作成したところ、満足の行く写真性能が得られた。

0048

このように、本発明によって得られた分光増感剤の分散物を用いて製造された乳剤は、良好な写真性能を示すことが認められた。

0049

実施例5
本実施例は、本発明で得られた分光増感剤分散物を、ゼラチンのゲル化温度以上で長時間静置した場合の、分散物粘度と容器内での濃度勾配の有無の関係を示すものである(表5参照)。

0050

0051

試料14は、1.0gの硝酸ナトリウムと4.0gの硫酸ナトリウムを40g のイオン交換水に溶解させた後、5gの分光増感剤1を加え、60℃の条件下でデイゾルバー翼を用い2000rpm で20分間分散した後、60℃に加熱した12%ゼラチン水溶液50g を加え、両者を混合することにより得られた。試料15は、1.0gの硝酸ナトリウムと4.0gの硫酸ナトリウムを40g のイオン交換水に溶解させた後、5gの分光増感剤1を加え、60℃の条件下でデイゾルバー翼を用い2000rpm で40分間分散した後、60℃に加熱した12% ゼラチン水溶液50g を加え、両者を混合することにより得られた。試料16は、1.0gの硝酸ナトリウムと4.0gの硫酸ナトリウムを40g のイオン交換水に溶解させた後、5gの分光増感剤1を加え、60℃の条件下でデイゾルバー翼を用い2000rpm で1時間分散した後、60℃に加熱した12% ゼラチン水溶液50g を加え、両者を混合することにより得られた。試料17は、0.8gの硝酸ナトリウムと3.2gの硫酸ナトリウムを41g のイオン交換水に溶解させた後、5gの分光増感剤1を加え、60℃の条件下でデイゾルバー翼を用い2000rpm で20分間分散した後、60℃に加熱した12% ゼラチン水溶液50g を加え、両者を混合することにより得られた。試料18は、0.8gの硝酸ナトリウムと3.2gの硫酸ナトリウムを41g のイオン交換水に溶解させた後、5gの分光増感剤1を加え、60℃の条件下でデイゾルバー翼を用い2000rpm で40分間分散した後、60℃に加熱した12% ゼラチン水溶液50g を加え、両者を混合することにより得られた。試料19は、0.8gの硝酸ナトリウムと3.2gの硫酸ナトリウムを41g のイオン交換水に溶解させた後、5gの分光増感剤1を加え、60℃の条件下でデイゾルバー翼を用い2000rpm で1時間分散した後、60℃に加熱した12% ゼラチン水溶液50g を加え、両者を混合することにより得られた。試料20は、0.6gの硝酸ナトリウムと2.4gの硫酸ナトリウムを42g のイオン交換水に溶解させた後、5gの分光増感剤1を加え、60℃の条件下でデイゾルバー翼を用い2000rpm で20分間分散した後、60℃に加熱した12% ゼラチン水溶液50g を加え、両者を混合することにより得られた。試料21は、0.6gの硝酸ナトリウムと2.4gの硫酸ナトリウムを42g のイオン交換水に溶解させた後、5gの分光増感剤1を加え、60℃の条件下でデイゾルバー翼を用い2000rpm で40分間分散した後、60℃に加熱した12% ゼラチン水溶液50g を加え、両者を混合することにより得られた。試料22は、0.6gの硝酸ナトリウムと2.4gの硫酸ナトリウムを42g のイオン交換水に溶解させた後、5gの分光増感剤1を加え、60℃の条件下でデイゾルバー翼を用い2000rpm で1時間分散した後、60℃に加熱した12% ゼラチン水溶液50g を加え、両者を混合することにより得られた。

0052

これらの試料の分散粒子径は、光散乱回折法により求められた。具体的にはこれらの試料を適当な濃度に希釈した後、Malvern Instruments Ltd.社の MasterSizer Xを用いて測定し、polydisperse modelによる統計処理から求められた体積加重平均粒径の値を用いた。60℃におけるこれらの分散物粘度は、東京計器社のE型粘度計VISCONIC EHDを用い、100rpmの条件下で測定された。

0053

これらの試料75ccを100ml のメスシリンダーに導入し密封後、60℃の条件下で1時間放置した。これらの試料を室温に戻しゲル化させた後、メスシリンダー外部を暖めることによりゲル状のまま試料を取り出した。これらの試料の上下から所定量の分散物を採取した後、水/メタノール=1/1(重量比)の混合溶媒で10000 倍に希釈し、紫外可視吸収スペクトルを測定した。この時の吸収極大波長(430nm)における両者の吸光度を比較し、吸光度の差が1%未満の場合を○、1%以上2%未満の場合を△、2%以上の場合を×と評価した。また、これらの試料を60℃の状態で移液した場合の、器壁に対する試料の付着状態残存状態)を目視で評価し、作業性の評価基準とした(表6参照)。

0054

0055

試料14〜22はすべて、分散粒子径は本発明の範囲内であり、無機塩含有量と分散時間に基づき、分散物粘度が異なる試料である。試料14〜16を比較すると、分散時間とともに分散物粘度が上昇し、沈降安定性が付与されることが結論される。試料17〜試料19についても同様の結論が引き出されるが、試料14〜16と比較して無機塩含有量が少ないため、相対的に粘度が高く、より短時間の分散で沈降安定性の高い分散物が得られている。試料20〜22については、さらに無機塩含有量が少ないため、分散時間の増加に伴う粘度増加が激しい。このため、分散時間が長くなるとともに分散物粘度が上がりすぎてしまい、ゼラチン溶液を混合後も、分光増感剤分散物とゼラチン溶液が完全には混ざり合わず、移液後に分散物が器壁に付着してしまう。このように、粘度が高すぎる分散物は、作業性にとって好ましくない。

0056

このように、粒子径の大きい分散物がゼラチンのゲル化温度以上で長時間静置される条件下に於いて、容器内で分光増感剤の濃度勾配を生じさせず、かつ、適度な作業性を有するためには、分散物粘度がある範囲内であることが必要なことが明らかとなった。以上の実施例1〜5で用いた増感色素1の代わりに、増感色素2〜7を用いた場合においても同様の効果が得られた。

発明の効果

0057

本発明の、分散粒子径の平均値が2.5 μm 〜100 μm の範囲である分光増感剤の固体微分散物を用いることにより、個々の乳剤粒子に対する分光増感剤の吸着量のバラツキの小さいハロゲン化銀乳剤を調製することが可能となった。

図面の簡単な説明

0058

図1図1は、分光増感剤の吸着速度と拡散速度の相対関係と、個々の乳剤粒子に対する分光増感剤の吸着量のバラツキとの関係を示す模式図である。(a)は、乳剤粒子に対する分光増感剤の吸着速度が、分光増感剤の系中に於ける拡散速度よりも遅い場合を表わし、(b)は、乳剤粒子に対する分光増感剤の吸着速度が、分光増感剤の系中に於ける拡散速度よりも速い場合を表わす。ここで、●は分光増感剤分子を、□はハロゲン化銀乳剤粒子を、それそれ模式的に表わす。

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