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技術 放電加工方法及び放電加工用電源装置

出願人 株式会社ソディック
発明者 豊永竜生金子雄二
出願日 1998年6月10日 (22年11ヶ月経過) 出願番号 1998-176540
公開日 1999年12月21日 (21年4ヶ月経過) 公開番号 1999-347844
状態 特許登録済
技術分野 放電加工、電解加工、複合加工
主要キーワード エネルギー配分 制限抵抗値 交流高周波電圧 正方向電圧 合計抵抗値 直列共振状態 両極性パルス電圧 負方向電圧
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図面 (6)

課題

共振を利用することなく、両極性加工電圧によって安定して良質な面粗さの放電加工面を得ることができるようにすること。

解決手段

各辺にスイッチングトランジスタ11〜14が設けられて成り直流電圧Eが入力されているブリッジ回路10と、ブリッジ回路10の出力から両極性パルス電圧V2を得るためスイッチングトランジスタ11〜14をオンオフ制御するための制御回路20とを備え、ブリッジ回路10から正極性パルスを取り出すために閉じられるスイッチングトランジスタ11、14と直列抵抗器15、18を設けると共にブリッジ回路10から負極性パルスを取り出すために閉じられるスイッチングトランジスタ12、13と直列に抵抗器16、17を設け、抵抗器15、18の合計抵抗値を抵抗器16、17の合計抵抗値よりも高く設定した。

概要

背景

例えば、特開平3−49824号公報に開示されているように、交流高周波電圧による加工では、1発の放電毎放電加工間隙印加される加工用電圧極性交代することにより放電点が分散し良質の加工面が得られることが知られている。両極性パルスを用いて放電加工を行う場合も同様である。このように、被加工物加工用電極との間に形成される放電加工間隙に印加する加工用電圧の極性を交互に切り換えて被加工物を放電加工する場合、加工用電圧の極性切換周波数が高いほど放電加工面の面粗さが細かくなっていく傾向にある事は周知であるが、特に7MHz以上の高周波領域においては、放電加工間隙のキャパシタンス成分回路上の分布インダクタンス成分との間で直列共振状態(以下、ギャップ共振状態という)となり、このギャップ共振状態でのみ放電が発生し、その結果0.2μmRmax程度の面粗度の放電加工面が得られることが確認されている。

しかし、加工中に加工面積加工状態が変化した場合には放電加工間隙のインピーダンスが変化し、ギャップ共振状態を維持できなくなってしまう場合が生じる。そこで、従来では、極間のインピーダンスの変化に応じて、交流電源周波数及び極間と交流電源との間に設けられている整合器自動調整させることによりギャップ共振状態を持続して放電加工を行っている。

概要

共振を利用することなく、両極性加工電圧によって安定して良質な面粗さの放電加工面を得ることができるようにすること。

各辺にスイッチングトランジスタ11〜14が設けられて成り直流電圧Eが入力されているブリッジ回路10と、ブリッジ回路10の出力から両極性パルス電圧V2を得るためスイッチングトランジスタ11〜14をオンオフ制御するための制御回路20とを備え、ブリッジ回路10から正極性パルスを取り出すために閉じられるスイッチングトランジスタ11、14と直列抵抗器15、18を設けると共にブリッジ回路10から負極性パルスを取り出すために閉じられるスイッチングトランジスタ12、13と直列に抵抗器16、17を設け、抵抗器15、18の合計抵抗値を抵抗器16、17の合計抵抗値よりも高く設定した。

目的

本発明の目的は、したがって、共振を利用することなく、放電加工用電圧の極性を正負に切り換えて安定して良質な面粗さの放電加工面を得ることができるようにした、放電加工方法及び放電加工用電源装置を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

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請求項1

被加工物加工用電極とによって形成される放電加工間隙加工用電圧極性正負交互に切り換えつつ印加して前記被加工物を放電加工する場合、逆極性加工時における前記加工用電圧のレベルよりも正極性加工時における前記加工用電圧のレベルを小さくするようにしたことを特徴とする放電加工方法

請求項2

被加工物と加工用電極とによって形成される放電加工間隙に加工用電圧の極性を正負交互に切り換えつつ印加して前記被加工物を放電加工する場合、逆極性加工時における加工電流のレベルよりも正極性加工時における加工電流のレベルを小さくするようにしたことを特徴とする放電加工方法。

請求項3

極性が周期的に反転する両極性出力電圧を被加工物と加工用電極との間に形成される放電加工間隙に抵抗器を介して印加し、逆極性加工と正極性加工とを周期的に切り換えつつ前記被加工物を放電加工する方法において、前記逆極性加工時には前記抵抗器が小さな抵抗値の抵抗器とされ、前記正極性加工時には前記抵抗器が大きな抵抗値の抵抗器となるように切り換えるようにしたことを特徴とする放電加工方法。

請求項4

極性が周期的に反転する両極性パルス電圧を放電加工間隙に供給するための放電加工用電源装置において、直流電圧を出力する直流電源と、各辺に半導体スイッチング素子が設けられて成り前記直流電圧が入力されているブリッジ回路と、該ブリッジ回路の出力から前記両極性パルス電圧を得るため該ブリッジ回路の対向する辺の半導体スイッチング素子同志を同期させてオンオフ制御するための制御回路とを備え、前記ブリッジ回路から正極性パルスを取り出すために閉じられる前記半導体スイッチング素子と直列に第1の制限抵抗要素を設けると共に前記ブリッジ回路から負極性パルスを取り出すために閉じられる前記半導体スイッチング素子と直列に第2の制限抵抗要素を設け、前記第1の制限抵抗要素の値を前記第2の制限抵抗要素の値よりも高く設定したことを特徴とする放電加工用電源装置。

請求項5

極性が周期的に反転する両極性出力電圧を放電加工間隙に供給するための放電加工用電源装置において、交流電圧を出力する交流電源と、該交流電圧に直流バイアス掛けるため該交流電源と直列に接続される直流電源とを備え、該交流電圧に前記直流電源からの直流電圧出力分のバイアスを与えて前記両極性出力電圧を得るようにしたことを特徴とする放電加工用電源装置。

技術分野

0001

本発明は、放電加工間隙印加する加工用電圧極性を交互に切り換え被加工物放電加工するようにした放電加工方法及び放電加工用電源装置に関するものである。

背景技術

0002

例えば、特開平3−49824号公報に開示されているように、交流高周波電圧による加工では、1発の放電毎に放電加工間隙に印加される加工用電圧の極性が交代することにより放電点が分散し良質の加工面が得られることが知られている。両極性パルスを用いて放電加工を行う場合も同様である。このように、被加工物と加工用電極との間に形成される放電加工間隙に印加する加工用電圧の極性を交互に切り換えて被加工物を放電加工する場合、加工用電圧の極性切換周波数が高いほど放電加工面の面粗さが細かくなっていく傾向にある事は周知であるが、特に7MHz以上の高周波領域においては、放電加工間隙のキャパシタンス成分回路上の分布インダクタンス成分との間で直列共振状態(以下、ギャップ共振状態という)となり、このギャップ共振状態でのみ放電が発生し、その結果0.2μmRmax程度の面粗度の放電加工面が得られることが確認されている。

0003

しかし、加工中に加工面積加工状態が変化した場合には放電加工間隙のインピーダンスが変化し、ギャップ共振状態を維持できなくなってしまう場合が生じる。そこで、従来では、極間のインピーダンスの変化に応じて、交流電源周波数及び極間と交流電源との間に設けられている整合器自動調整させることによりギャップ共振状態を持続して放電加工を行っている。

発明が解決しようとする課題

0004

このように、ギャップ共振状態下で安定して放電加工を行わせるには、極間インピーダンスの変化に応じて交流電源周波数を変化させる必要がある。そこで問題となってくるのは、共振周波数F0は下式(1)
F0=1/2・π・(LmCg)1/2 ・・・(1)
Lm:配線の分布インダクタンス
Cg:放電加工間隙のキャパシタンス
で与えられるので、間隙の対向する面積の変化(板厚ワイヤ径の変化)によって共振周波数F0が大きく変わってしまうことである。

0005

例えば、極端な例として、板厚が1mmから50mmまで変化する被加工物を加工した場合には、対向する間隙の面積が最大で50倍(キャパシタンスは比例して50倍)増えるので、Cgも同じく50倍増えることとなり、共振周波数F0は約1/7倍変化することになる。

0006

ところで、高周波交流電源周波数と加工面粗さとの間には密接な関係があるので、これだけ周波数が変わってしまうと加工面粗さも一定とならなくなってしまう。これは板厚によって最良面粗さが決定されて、板厚が厚いほど加工面粗さが悪化してしまうことを意味している。さらに、機種毎にXY軸ストローク違うので極間への送電線の長さに違いが生じ、その影響で分布インダクタンスLmも機種毎に変わってしまう。そのため、機種によっても面粗さに違いが生じてしまう可能性がある。

0007

このように、高周波交流電圧を用い、ギャップ共振を生じさせて面粗さの小さい放電加工を行う従来の方法によると、安定して良質な加工面を得るためには被加工物の板厚の限定や機種の限定などを必要とし、加工適用範囲を狭めてしまうという問題点があった。

0008

本発明の目的は、したがって、共振を利用することなく、放電加工用電圧の極性を正負に切り換えて安定して良質な面粗さの放電加工面を得ることができるようにした、放電加工方法及び放電加工用電源装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0009

上記課題を解決するため、請求項1の発明によれば、被加工物と加工用電極とによって形成される放電加工間隙に加工用電圧の極性を正負交互に切り換えつつ印加して前記被加工物を放電加工する場合、逆極性加工時における前記加工用電圧のレベルよりも正極性加工時における前記加工用電圧のレベルを小さくするようにした方法が提案される。

0010

放電加工面粗度を小さくできる逆極性加工を大きなレベルの加工用電圧で行い、これにより放電加工間隙に確実に放電を生じさせることができ、安定加工を確保しつつ面粗度の小さな放電加工面を得ることができる。一方、面粗度が大きくなりやすい正極性加工時には加工用電圧のレベルが小さく抑えられ、これにより放電加工面の面粗度を大きくすることなく、被加工物を加工することができ、且つ逆極性加工の終了時における放電の切れを確実にすることができる。

0011

請求項2の発明によれば、被加工物と加工用電極とによって形成される放電加工間隙に加工用電圧の極性を正負交互に切り換えつつ印加して前記被加工物を放電加工する場合、逆極性加工時における加工電流のレベルよりも正極性加工時における加工電流のレベルを小さくするようにした方法が提案される。

0012

請求項3の発明によれば、極性が周期的に反転する両極性出力電圧を被加工物と加工用電極との間に形成される放電加工間隙に抵抗器を介して印加し、逆極性加工と正極性加工とを周期的に切り換えつつ前記被加工物を放電加工する方法において、前記逆極性加工時には前記抵抗器が小さな抵抗値の抵抗器とされ、前記正極性加工時には前記抵抗器が大きな抵抗値の抵抗器となるように切り換えるようにした方法が提案される。

0013

このように抵抗器の切り換えを行うと、放電加工間隙に供給される加工電流の値は、逆極性加工時には大きく、正極性加工時には小さくなる。そして、逆極性加工時には大きな加工用電圧が放電加工間隙に与えられて放電が安定に行われ、且つ面粗度の小さな加工が行われる。正極性加工時には加工用電圧のレベルが小さくなり、放電加工面の面粗度が大きくなるのを抑えつつ、且つ逆極性加工の終了時における放電の切れを確実にすることができる。

0014

請求項4の発明によれば、極性が周期的に反転する両極性パルス電圧を放電加工間隙に供給するための放電加工用電源装置において、直流電圧を出力する直流電源と、各辺に半導体スイッチング素子が設けられて成り前記直流電圧が入力されているブリッジ回路と、該ブリッジ回路の出力から前記両極性パルス電圧を得るため該ブリッジ回路の対向する辺の半導体スイッチング素子同志を同期させてオンオフ制御するための制御回路とを備え、前記ブリッジ回路から正極性パルスを取り出すために閉じられる前記半導体スイッチング素子と直列に第1の制限抵抗要素を設けると共に前記ブリッジ回路から負極性パルスを取り出すために閉じられる前記半導体スイッチング素子と直列に第2の制限抵抗要素を設け、前記第1の制限抵抗要素の値を前記第2の制限抵抗要素の値よりも高く設定した構成が提案される。

0015

このようにしてブリッジ回路の出力から得られる両極性パルス電圧を放電加工間隙に印加した場合、正極性パルスの印加時の加工電圧と加工電流は負極性パルスの印加時の加工電圧と加工電流よりもレベルが低くなり、請求項1、2又は3の発明による方法での放電加工が行える。

0016

請求項5の発明によれば、極性が周期的に反転する両極性出力電圧を放電加工間隙に供給するための放電加工用電源装置において、交流電圧を出力する交流電源と、該交流電圧に直流バイアス掛けるため該交流電源と直列に接続される直流電源とを備え、該交流電圧に前記直流電源からの直流電圧出力分のバイアスを与えて前記両極性出力電圧を得るようにした構成が提案される。

0017

交流電圧が直流電源の直流電圧出力によりバイアスされ、両極性出力電圧の一方の極性の出力電圧成分のレベルを他方の極性の出力電圧成分のレベルと異ならせることができる。これにより、請求項1又は2の発明による方法での放電加工が行える。

発明を実施するための最良の形態

0018

以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例につき詳細に説明する。

0019

図1は、本発明による放電加工用電源装置の実施の形態の一例を示す回路図である。図1に示す放電加工用電源装置1は、ワイヤカット放電加工機2の被加工物3とワイヤ電極4との間に形成される放電加工間隙Gに加工用電圧Vを印加するための装置として構成されており、荒加工用の第1電源部5と、仕上加工用の第2電源部6とを備えている。

0020

第1電源部5は公知の回路構成のものであり、したがって、その構成の詳細を示すのを省略する。第1電源部5からの荒加工用電圧V1は低インダクタンス出力線7及び一対のリレー接点L1、L2を介して放電加工間隙Gに加工用電圧Vとして印加される。

0021

一方、第2電源部6は、被加工物3の仕上げ加工のために被加工物3を小さな面粗度で放電加工するため、両極性出力電圧を出力することができる構成となっている。本実施の形態では、第2電源部6からは両極性パルス電圧V2が両極性出力電圧として出力され、両極性パルス電圧V2は一対のリレー接点L3、L4及び低キャパシタンスの出力線8を介して放電加工間隙Gに加工用電圧Vとして印加される。

0022

次に、第2電源部6の構成について説明する。9は直流電圧Eを出力する直流電源、10はスイッチングトランジスタ11〜14及び抵抗器15〜18が各辺に設けられて図示の如く接続されて成るブリッジ回路である。ブリッジ回路10では、スイッチングトランジスタ11、12の接続点10Aとスイッチングトランジスタ13、14の接続点10Bとが入力部となっており、抵抗器15、17の接続点10Cと抵抗器16、18の接続点10Dとが出力部となっている。入力部には直流電源9からの直流電圧Eが印加され、出力部から両極性パルス電圧V2が後述の如くして得られる構成である。

0023

符号20で示されるのは、ブリッジ回路10の各辺に設けられているスイッチングトランジスタ11〜14をオン、オフ制御するための制御回路であり、パルス発生器21とインバータ22とから成っている。パルス発生器21からのパルス信号はそのまま制御パルス信号PAとして出力され、インバータ22からは、制御パルス信号PAをレベル反転させた反転制御パルス信号PBが出力される構成である(図2の(A)、(B)参照)。

0024

制御パルス信号PAは、ブリッジ回路10のスイッチングトランジスタ11、14の各ゲートにオン、オフ制御のためのゲート制御信号として印加され、反転制御パルス信号PBはブリッジ回路10のスイッチングトランジスタ12、13の各ゲートにオン、オフ制御のためのゲート制御信号として印加されている。したがって、スイッチングトランジスタ11はスイッチングトランジスタ14と同時にオン、オフ動作し、一方、スイッチングトランジスタ12はスイッチングトランジスタ13と同時にオン、オフ動作する。そして、図2(A)、(B)から判るように、スイッチングトランジスタ11、14のオン動作とスイッチングトランジスタ12、13のオン動作とが交互に行われ、この結果、出力部からは、制御パルス信号PAと同一の周期で極性が反転する両極性パルス電圧V2が出力される。

0025

ブリッジ回路10の出力部において得られる両極性パルス電圧V2の極性が正極性の場合、すなわち、被加工物3がワイヤ電極4よりも高電位となるような出力状態の場合に放電加工間隙Gに流れる加工電流の値をIH、ブリッジ回路10の出力部において得られる両極性パルス電圧V2の極性が負極性の場合、すなわち、被加工物3がワイヤ電極4よりも低電位となるような出力状態の場合に放電加工間隙Gに流れる加工電流の値をILとした場合、IL>IHとなるようにするため、抵抗器15、18の合計抵抗値は、抵抗器16、17の合計抵抗値よりも大きく設定されている。本実施の形態では、抵抗器15は抵抗器18と同一の値とされ、抵抗器16は抵抗器17と同一の値とされている。このように抵抗器16、17の合計抵抗値を抵抗器15、18の値より小さく設定することにより、出力線に存在する浮遊キャパシタンスへの充電時定数が異なり、正極性の場合に放電加工間隙Gに印加される加工用電圧の値(VH)と負極性の場合に放電加工間隙Gに印加される加工用電圧の値(VL)の関係をVL>VHとすることができる。

0026

次に、放電加工用電源装置1の動作について、図2を参照しながら説明する。図示しない切換リレーを作動させることにより、先ずリレー接点L1、L2を閉じ、リレー接点L3、L4を開いた状態で、第1電源部5からの荒加工用電圧V1を放電加工間隙Gに加工用電圧Vとして印加し、被加工物3を荒加工する。

0027

しかる後、リレー接点L1、L2を開き、リレー接点L3、L4を閉じた状態で、第2電源部からの両極性パルス電圧V2を放電加工間隙Gに加工用電圧Vとして印加し、被加工物3を仕上げ加工する。この場合、制御回路20からの制御パルス信号PA及び反転制御パルス信号PB(図2(A)、(B)参照)によりブリッジ回路10のスイッチングトランジスタ11〜14がオン、オフ制御され、ブリッジ回路10からは両極性パルス電圧V2が出力される。図2の(C)には、このときの加工用電圧Vの波形の一例が示されている。

0028

すなわち、期間T1、T3、T5、T7、・・・では、スイッチングトランジスタ11、14がオフでスイッチングトランジスタ12、13がオンとなり、直流電源9からの直流電圧Eは低抵抗値の抵抗器16、17を介して出力される。したがって、ワイヤ電極4が正で被加工物3が負となるようにして加工用電圧Vが比較的高いレベルで放電加工間隙Gに印加され、被加工物3が逆極性で放電加工される。逆極性の放電加工は、被加工物への放電エネルギ配分が少ないため、高いレベルの電圧を放電加工間隙Gに印加することにより安定した放電を行わせることができ、且つ面粗さの小さい放電加工面を得ることができる。図2に示した例では、期間T3、T5においてのみ放電加工間隙Gに放電が生じている。

0029

次に、期間T2、T4、T6、T8、・・・では、スイッチングトランジスタ11、14がオンでスイッチングトランジスタ12、13がオフとなり、直流電源9からの直流電圧Eは高抵抗値の抵抗器15、18を介して出力される。したがって、ワイヤ電極4が負で被加工物3が正となるようにして加工用電圧Vが比較的低いレベルで放電加工間隙Gに印加され、被加工物3が正極性で放電加工される。正極性の放電加工は被加工物への放電エネルギ配分が多いが、加工用電圧Vのレベルが低く放電電流も小さくなるので、被加工物3の放電加工面の面粗さは小さくなり、所要の仕上げ加工が可能となる。なお、期間T1、T3、T5、T7、・・・から期間T2、T4、T6、T8、・・・への各移行時には、放電加工間隙Gに印加される加工用電圧Vの極性が反転するため、特に加工用電圧Vによる逆極性加工のための放電を一旦速やかに途切れさせることができ、これにより仕上げ加工が安定且つ良好に遂行される。

0030

このようにして、逆極性加工と正極性加工とが所定の周期で交互に安定に行われ、被加工物3を小さな面粗度で仕上げることができる。図2の(D)は放電加工間隙Gに流れる放電加工電流Iの波形図である。図2の(D)から、被加工物3は逆極性加工によって高い電圧で安定に加工されて小さい面粗度放電加工面が得られ、正極性加工によって被加工物3が低い電圧で加工され面粗さを小さくするのに役立っているのが判る。図3には、図1に示した放電加工用電源装置1を用いて加工した被加工物3の放電加工面の面粗さ状態の一例が示されている。この加工の条件は、
直流電源電圧45V
周波数5MHz
ID=000003HE=010 WI=064 LX=0280 LY=1800
抵抗16、17(電極正極) 5Ω+5Ω=10Ω
抵抗15、18(電極負極) 25Ω+25Ω=50Ω
である。

0031

図1に示した構成によれば、周波数が5MHz以下という比較的低い高周波領域のトランジスタブリッジの回路構成による両極性パルス電源において、正極側制限抵抗値を逆極側制限抵抗値よりも高いものを使用することによって、正極側の電圧印加時の放電電流を逆極側のそれよりも低くすることにより加工面粗度を向上させることができる。通常、両極性均等な交流電源又は両極性パルス電源で加工した場合には、被加工物に対してエネルギー配分の大きな正極側放電によって面粗さが決定されていると考えられている。その面粗さ比は逆極側放電に対して正極側放電では1.5〜2倍程度であると思われる。そこで、正極側放電時の放電電流を抑えることによって加工面粗さを向上することが可能となる。この場合、周波数が5MHz以下と比較的低い高周波領域で良質な加工面が得られ、さらにギャップ共振状態とならなくても安定して加工が可能なため被加工物の板厚の変化やワイヤ径、さらに放電加工機機械的な構造上の分布インダクタンスの影響をあまり受けずに、安定して良質な加工面が得られる。

0032

図4は、図1に示した第2電源部6の別の構成例を示すものである。図4に示された仕上げ加工用の第2電源部60は、交流電圧VACを出力する交流電源61に、交流電圧VACに直流バイアスを掛けるための直流電源62を直列に接続すると共に、制限抵抗器63をさらに直列に接続した構成とされている。

0033

この構成によると、交流電圧VACは、直流電源62の直流出力電圧VDCのレベルだけ負方向にバイアスされるため、出力端子60A−60B間に出力される両極性出力電圧VTは、図5に示されるように、正方向電圧成分VPのレベルが低く、負方向電圧のレベルDVNが高くなる。この結果、逆極性加工時に加工用電圧Vのレベルが高く、正極性加工時の加工用電圧Vのレベルが低くなり、図1に示した第2電源部6を用いた場合と同様の仕上げ加工が可能である。

0034

なお、上記実施の形態では、本発明をワイヤカット放電加工機に適用した場合について説明したが、本発明は実施の形態の構成に限定されるものではなく、型彫放電加工機等についても広く適用することができ、同様の効果を得ることができる。

発明の効果

0035

本発明によれば、上述の如く、被加工物と加工用電極とによって形成される放電加工間隙に加工用電圧を極性を正負交互に切り換えつつ印加して前記被加工物を放電加工する場合、正極側の電圧印加時の放電電流を逆極側のそれよりも低くすることにより加工面粗度を向上させることができる。通常、両極性均等な交流電源又は両極性パルス電源で加工した場合には、被加工物に対してエネルギー配分の大きな正極側放電によって面粗さが決定されていると考えられるが、正極側放電時の放電電流を抑えることによって加工面粗さを向上することが可能となる。この場合、両極性パルス等の両極性出力電圧の周波数が比較的低い高周波領域であっても良質な放電加工面が得られ、さらにギャップ共振状態とならなくても安定して加工が可能なため被加工物の板厚の変化やワイヤ径、さらに放電加工機の機械的な構造上の分布インダクタンスの影響をあまり受けずに、安定して良質な加工面が得られる。

図面の簡単な説明

0036

図1本発明による放電加工用電源装置の実施の形態の一例を示す回路図。
図2図1に示した放電加工用電源装置の動作を説明するための各部の信号波形図。
図3図1の放電加工用電源装置を用いて実際に放電加工した場合の放電加工面の面粗さの一例を示す図。
図4本発明による放電加工用電源装置の別の実施の形態を示す回路図。
図5図4の放電加工用電源装置の出力電圧波形を示す波形図。

--

0037

1放電加工用電源装置
2ワイヤカット放電加工機
3被加工物
4ワイヤ電極
6、60 第2電源部
9、62直流電源
10ブリッジ回路
10A〜10D接続点
11〜14スイッチングトランジスタ
15〜18抵抗器
20制御回路
61交流電源
E直流電圧
G放電加工間隙
I放電加工電流
PA制御パルス信号
PB反転制御パルス信号
V加工用電圧
V2両極性パルス電圧
VAC交流電圧
VDC 直流電圧
VT両極性出力電圧

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