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技術 光学素子、光学装置の光学系、光学素子の製造方法、光学素子の複屈折算出方法及び複屈折判定方法

出願人 株式会社ニコン応用光研工業株式会社
発明者 佐久間繁高野修一
出願日 1998年4月9日 (22年2ヶ月経過) 出願番号 1998-097973
公開日 1999年11月26日 (20年7ヶ月経過) 公開番号 1999-326189
状態 特許登録済
技術分野 光学的手段による材料の調査、分析 回折格子、偏光要素、ホログラム光学素子 偏光要素 光学要素・レンズ
主要キーワード 歪テンソル 一軸応力 応力テンソル 等方体 光学素子用素材 レンズ形 応力方向 同一屈折率
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重要な関連分野

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図面 (4)

課題

複屈折の最小方向を選択できる光学素子の複屈折算出方法及び複屈折判定方法、複屈折が小さい光学素子、光学装置収差が小さい光学系、複屈折が小さい光学素子の製造方法を提供する。

解決手段

既知ピエゾ光学定数を任意の3次元直交座標系におけるピエゾ光学定数に変換し座標軸方向における屈折率変化量△n1と、座標軸方向に直交する方向における屈折率変化量△n2とを算出し、屈折率変化量△n1と屈折率変化量△n2との差より第1方向及び第2方向に直交する第3方向からみた複屈折の量を任意の3次元直交座標系において求める光学素子又は光学素子用素材複屈折量算出方法。

概要

背景

光学素子材料として使用されるフッ化物結晶(単結晶)のフッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウムは、通常の光学ガラスに比べて屈折率が低く、かつ分散(屈折率の波長依存性)が小さいので、光学系の色収差補正を行う上で非常に有効である。

特に、フッ化カルシウムは入手が容易であり、直径φ150mm以上の大口径の単結晶も入手可能である。これらのフッ化物結晶(単結晶)は等軸晶系に属し、光学的に等方体であるため、レンズ等の光学素子の材料として好適である。そして、これらの利点から、フッ化物結晶は、カメラレンズ顕微鏡レンズ望遠鏡レンズの材料として従来からよく用いられている。

ところで、複屈折とは、光(=電磁波)の偏光方向によって屈折率が異なる現象であり、通常は物質単位長さを通過するときの光路差(レターデーションと呼ばれる)で表され、単位はnm/cmが用いられる。また、複屈折の別の表記方法として、ある偏光方向の光に対する屈折率n1とそれに直交する偏光方向の光に対する屈折率n2の差(n1-n2)として表すこともある。

さらに、物質に外力が働かない状態での屈折率n0が、外力の影響を受けて屈折率が変化し、それが偏光方向に依存する場合には、屈折率の変化量をΔn1、Δn2と表し、この変化量の差(Δn1-Δn2)をもって、複屈折と呼ぶこともある。なお、複屈折が歪(ひずみ)に起因している場合には、この複屈折のことを歪と呼ぶことも多い。また、等軸晶系の結晶は本来、複屈折を持たないが、電磁場応力の影響により複屈折を持つことがある。

即ち、前記フッ化物結晶(単結晶)では、応力の影響により複屈折を生じ、例えば製造工程で発生する熱応力のために、現実に製造されるフッ化物結晶には少なからぬ複屈折が存在している。そして、その複屈折の値は小さくても、5nm/cm程度あり、φ100mm以上のフッ化物結晶では、10nm/cm以上になることも珍しくない。

概要

複屈折の最小方向を選択できる光学素子の複屈折算出方法及び複屈折判定方法、複屈折が小さい光学素子、光学装置収差が小さい光学系、複屈折が小さい光学素子の製造方法を提供する。

既知ピエゾ光学定数を任意の3次元直交座標系におけるピエゾ光学定数に変換し座標軸方向における屈折率変化量△n1と、座標軸方向に直交する方向における屈折率変化量△n2とを算出し、屈折率変化量△n1と屈折率変化量△n2との差より第1方向及び第2方向に直交する第3方向からみた複屈折の量を任意の3次元直交座標系において求める光学素子又は光学素子用素材複屈折量算出方法。

目的

本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、光学素子における複屈折の最小方向を選択できる、光学素子の複屈折算出方法及び複屈折判定方法、複屈折が小さい光学素子、光学装置の収差が小さい光学系、複屈折が小さい光学素子の製造方法を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
4件
牽制数
4件

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請求項1

少なくとも、光学素子または光学素子用素材を構成する光学材料にかかる既知ピエゾ光学定数(即ち、特定の3次元直交座標系におけるピエゾ光学定数)を任意の3次元直交座標系におけるピエゾ光学定数に変換する過程と、前記任意の3次元直交座標系の一つの座標軸方向に沿って前記光学素子または光学素子用素材に付与する一軸応力と前記過程にて求めた任意の3次元座標系におけるピエゾ光学定数を用いて、前記座標軸方向(第1方向)における屈折率変化量△n1と、前記座標軸方向に直交する第2方向における屈折率変化量△n2とを算出する過程と、前記屈折率変化量△n1と前記屈折率変化量△n2との差を求めることにより、前記第1方向及び第2方向に直交する第3方向からみた複屈折の量を前記任意の3次元直交座標系において求める過程と、を有する光学素子または光学素子用素材の複屈折量算出方法

請求項2

少なくとも、光学素子または光学素子用素材を構成する光学材料にかかる既知の弾性光学定数(即ち、特定の3次元直交座標系における弾性光学定数)を任意の3次元直交座標系における弾性光学定数に変換する過程と、前記任意の3次元直交座標系の一つの座標軸方向に沿って前記光学素子または光学素子用素材に付与する一軸応力に対応する歪みと前記過程にて求めた任意の3次元座標系における弾性光学定数を用いて、前記座標軸方向(第1方向)における屈折率変化量△n1と、前記座標軸方向に直交する第2方向における屈折率変化量△n2とを求める過程と、前記屈折率変化量△n1と前記屈折率変化量△n2との差を求めることにより、前記第1方向及び第2方向に直交する第3方向からみた複屈折の量を前記任意の3次元直交座標系において求める過程と、を有する光学素子または光学素子用素材の複屈折量算出方法。

請求項3

少なくとも、光学素子または光学素子用素材を構成する光学材料にかかる既知のピエゾ光学定数(即ち、特定の3次元直交座標系におけるピエゾ光学定数)を任意の3次元直交座標系におけるピエゾ光学定数に変換する過程と、前記任意の3次元直交座標系の一つの座標軸方向に沿って前記光学素子または光学素子用素材に付与する一軸応力と前記過程にて求めた任意の3次元座標系におけるピエゾ光学定数を用いて、前記座標軸方向(第1方向)における屈折率変化量△n1と、前記座標軸方向に直交する第2方向における屈折率変化量△n2とを算出する過程と、前記屈折率変化量△n1と前記屈折率変化量△n2との差を求めることにより、前記第1方向及び第2方向に直交する第3方向からみた複屈折の量を前記任意の3次元直交座標系においてそれぞれ求める過程と、前記任意の3次元直交座標系においてそれぞれ求めた複屈折の量から前記光学素子または光学素子用素材について、複屈折が最小となる観察方向(第3方向)を見いだす過程と、を有する光学素子または光学素子用素材の複屈折最小方向の判定方法

請求項4

少なくとも、光学素子または光学素子用素材を構成する光学材料にかかる既知の弾性光学定数(即ち、特定の3次元直交座標系における弾性光学定数)を任意の3次元直交座標系における弾性光学定数に変換する過程と、前記任意の3次元直交座標系の一つの座標軸方向に沿って前記光学素子または光学素子用素材に付与する一軸応力に対応する歪みと前記過程にて求めた任意の3次元座標系における弾性光学定数を用いて、前記座標軸方向(第1方向)における屈折率変化量△n1と、前記座標軸方向に直交する第2方向における屈折率変化量△n2とを求める過程と、前記屈折率変化量△n1と前記屈折率変化量△n2との差を求めることにより、前記第1方向及び第2方向に直交する第3方向からみた複屈折の量を前記任意の3次元直交座標系において求める過程と、前記任意の3次元直交座標系においてそれぞれ求めた複屈折の量から前記光学素子または光学素子用素材について、複屈折が最小となる観察方向(第3方向)を見いだす過程と、を有する光学素子または光学素子用素材の複屈折最小方向の判定方法。

請求項5

少なくとも、光学素子用素材を構成する光学材料にかかる既知のピエゾ光学定数(即ち、特定の3次元直交座標系におけるピエゾ光学定数)を任意の3次元直交座標系におけるピエゾ光学定数に変換する過程と、前記任意の3次元直交座標系の一つの座標軸方向に沿って前記光学素子用素材に付与する一軸応力と前記過程にて求めた任意の3次元座標系におけるピエゾ光学定数を用いて、前記座標軸方向(第1方向)における屈折率変化量△n1と、前記座標軸方向に直交する第2方向における屈折率変化量△n2とを算出する過程と、前記屈折率変化量△n1と前記屈折率変化量△n2との差を求めることにより、前記第1方向及び第2方向に直交する第3方向からみた複屈折の量を前記任意の3次元直交座標系においてそれぞれ求める過程と、前記任意の3次元直交座標系においてそれぞれ求めた複屈折の量から前記光学素子用素材について、複屈折が最小となる観察方向(第3方向)を見いだす過程と、前記複屈折が最小となる観察方向が光軸方向と一致(または略一致)するように、前記光学素子用素材を加工する過程と、を有する光学素子の製造方法。

請求項6

少なくとも、光学素子用素材を構成する光学材料にかかる既知の弾性光学定数(即ち、特定の3次元直交座標系における弾性光学定数)を任意の3次元直交座標系における弾性光学定数に変換する過程と、前記任意の3次元直交座標系の一つの座標軸方向に沿って前記光学素子用素材に付与する一軸応力に対応する歪みと前記過程にて求めた任意の3次元座標系における弾性光学定数を用いて、前記座標軸方向(第1方向)における屈折率変化量△n1と、前記座標軸方向に直交する第2方向における屈折率変化量△n2とを求める過程と、前記屈折率変化量△n1と前記屈折率変化量△n2との差を求めることにより、前記第1方向及び第2方向に直交する第3方向からみた複屈折の量を前記任意の3次元直交座標系において求める過程と、前記任意の3次元直交座標系においてそれぞれ求めた複屈折の量から前記光学素子用素材について、複屈折が最小となる観察方向(第3方向)を見いだす過程と、前記複屈折が最小となる観察方向が光軸方向と一致(または略一致)するように、前記光学素子用素材を加工して光学素子を作製する過程と、を有する光学素子の製造方法。

請求項7

前記光学素子または光学素子用素材の材料がフッ化物結晶であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法。

請求項8

前記フッ化物結晶がフッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、またはフッ化バリウムであることを特徴とする請求項7記載の方法。

請求項9

前記複屈折が最小となる観察方向(光軸方向)がフッ化物結晶の<111>軸方向に一致(または略一致)するか、或いはフッ化物結晶の{111}面と直交する方向に一致(または略一致)することを特徴とする請求項7または8記載の方法。

請求項10

フッ化物結晶により構成される光学素子であり、光軸方向がフッ化物結晶の<111>軸方向に一致(または略一致)するか、或いはフッ化物結晶の{111}面と直交する方向に一致(または略一致)する光学素子。

請求項11

同一屈折率の或いは異なる屈折率のフッ化物結晶材料を組み合わせて構成される光学装置光学系であり、該光学系の光軸方向が前記フッ化物結晶の<111>軸の方向と一致(または略一致)するか、或いは前記フッ化物結晶の{111}面と直交する方向と一致(または略一致)する光学装置の光学系。

請求項12

フッ化物結晶材料からなり、材料が同一の或いは異なる光学素子を組み合わせて構成される光学装置の光学系の光軸方向が前記フッ化物結晶の<111>軸の方向と一致(または略一致)するか、或いは前記フッ化物結晶の{111}面と直交する方向と一致(または略一致)する光学装置の光学系を構成する光学素子。

請求項13

前記フッ化物結晶がフッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、またはフッ化バリウムであることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の光学素子または光学系。

技術分野

0001

本発明は、光学素子光学装置(例えば、カメラ顕微鏡望遠鏡ステッパー等の光リソグラフィー装置)の光学系、光学素子の製造方法、光学素子の複屈折算出方法及び複屈折判定方法に関するものである。

背景技術

0002

光学素子材料として使用されるフッ化物結晶(単結晶)のフッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウムは、通常の光学ガラスに比べて屈折率が低く、かつ分散(屈折率の波長依存性)が小さいので、光学系の色収差補正を行う上で非常に有効である。

0003

特に、フッ化カルシウムは入手が容易であり、直径φ150mm以上の大口径の単結晶も入手可能である。これらのフッ化物結晶(単結晶)は等軸晶系に属し、光学的に等方体であるため、レンズ等の光学素子の材料として好適である。そして、これらの利点から、フッ化物結晶は、カメラレンズ顕微鏡レンズ望遠鏡レンズの材料として従来からよく用いられている。

0004

ところで、複屈折とは、光(=電磁波)の偏光方向によって屈折率が異なる現象であり、通常は物質単位長さを通過するときの光路差(レターデーションと呼ばれる)で表され、単位はnm/cmが用いられる。また、複屈折の別の表記方法として、ある偏光方向の光に対する屈折率n1とそれに直交する偏光方向の光に対する屈折率n2の差(n1-n2)として表すこともある。

0005

さらに、物質に外力が働かない状態での屈折率n0が、外力の影響を受けて屈折率が変化し、それが偏光方向に依存する場合には、屈折率の変化量をΔn1、Δn2と表し、この変化量の差(Δn1-Δn2)をもって、複屈折と呼ぶこともある。なお、複屈折が歪(ひずみ)に起因している場合には、この複屈折のことを歪と呼ぶことも多い。また、等軸晶系の結晶は本来、複屈折を持たないが、電磁場応力の影響により複屈折を持つことがある。

0006

即ち、前記フッ化物結晶(単結晶)では、応力の影響により複屈折を生じ、例えば製造工程で発生する熱応力のために、現実に製造されるフッ化物結晶には少なからぬ複屈折が存在している。そして、その複屈折の値は小さくても、5nm/cm程度あり、φ100mm以上のフッ化物結晶では、10nm/cm以上になることも珍しくない。

発明が解決しようとする課題

0007

そのため、フッ化物結晶(単結晶)を用いた光学系の収差をできるだけ低減しようとしても、応力の影響によりフッ化物結晶が有する複屈折が障害となり、その結果、光学系について充分な光学性能が得られないという問題点があった。また、光学素子や光学系に用いるフッ化物結晶(単結晶)の複屈折を低減するために、フッ化物結晶の製造工程におけるアニール時間極端に長くするなどの対策を採ると、納期が長期化し(生産性が低下し)、またコストが増大するという問題点があった。

0008

本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、光学素子における複屈折の最小方向を選択できる、光学素子の複屈折算出方法及び複屈折判定方法、複屈折が小さい光学素子、光学装置の収差が小さい光学系、複屈折が小さい光学素子の製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

そのため、本発明は第一に「少なくとも、光学素子または光学素子用素材を構成する光学材料にかかる既知ピエゾ光学定数(即ち、特定の3次元直交座標系におけるピエゾ光学定数)を任意の3次元直交座標系におけるピエゾ光学定数に変換する過程と、前記任意の3次元直交座標系の一つの座標軸方向に沿って前記光学素子または光学素子用素材に付与する一軸応力と前記過程にて求めた任意の3次元座標系におけるピエゾ光学定数を用いて、前記座標軸方向(第1方向)における屈折率変化量△n1と、前記座標軸方向に直交する第2方向における屈折率変化量△n2とを算出する過程と、前記屈折率変化量△n1と前記屈折率変化量△n2との差を求めることにより、前記第1方向及び第2方向に直交する第3方向からみた複屈折の量を前記任意の3次元直交座標系において求める過程と、を有する光学素子または光学素子用素材の複屈折量算出方法(請求項1)」を提供する。

0010

また、本発明は第二に「少なくとも、光学素子または光学素子用素材を構成する光学材料にかかる既知の弾性光学定数(即ち、特定の3次元直交座標系における弾性光学定数)を任意の3次元直交座標系における弾性光学定数に変換する過程と、前記任意の3次元直交座標系の一つの座標軸方向に沿って前記光学素子または光学素子用素材に付与する一軸応力に対応する歪みと前記過程にて求めた任意の3次元座標系における弾性光学定数を用いて、前記座標軸方向(第1方向)における屈折率変化量△n1と、前記座標軸方向に直交する第2方向における屈折率変化量△n2とを求める過程と、前記屈折率変化量△n1と前記屈折率変化量△n2との差を求めることにより、前記第1方向及び第2方向に直交する第3方向からみた複屈折の量を前記任意の3次元直交座標系において求める過程と、を有する光学素子または光学素子用素材の複屈折量算出方法(請求項2)」を提供する。

0011

また、本発明は第三に「少なくとも、光学素子または光学素子用素材を構成する光学材料にかかる既知のピエゾ光学定数(即ち、特定の3次元直交座標系におけるピエゾ光学定数)を任意の3次元直交座標系におけるピエゾ光学定数に変換する過程と、前記任意の3次元直交座標系の一つの座標軸方向に沿って前記光学素子または光学素子用素材に付与する一軸応力と前記過程にて求めた任意の3次元座標系におけるピエゾ光学定数を用いて、前記座標軸方向(第1方向)における屈折率変化量△n1と、前記座標軸方向に直交する第2方向における屈折率変化量△n2とを算出する過程と、前記屈折率変化量△n1と前記屈折率変化量△n2との差を求めることにより、前記第1方向及び第2方向に直交する第3方向からみた複屈折の量を前記任意の3次元直交座標系においてそれぞれ求める過程と、前記任意の3次元直交座標系においてそれぞれ求めた複屈折の量から前記光学素子または光学素子用素材について、複屈折が最小となる観察方向(第3方向)を見いだす過程と、を有する光学素子または光学素子用素材の複屈折最小方向の判定方法(請求項3)」を提供する。

0012

また、本発明は第四に「少なくとも、光学素子または光学素子用素材を構成する光学材料にかかる既知の弾性光学定数(即ち、特定の3次元直交座標系における弾性光学定数)を任意の3次元直交座標系における弾性光学定数に変換する過程と、前記任意の3次元直交座標系の一つの座標軸方向に沿って前記光学素子または光学素子用素材に付与する一軸応力に対応する歪みと前記過程にて求めた任意の3次元座標系における弾性光学定数を用いて、前記座標軸方向(第1方向)における屈折率変化量△n1と、前記座標軸方向に直交する第2方向における屈折率変化量△n2とを求める過程と、前記屈折率変化量△n1と前記屈折率変化量△n2との差を求めることにより、前記第1方向及び第2方向に直交する第3方向からみた複屈折の量を前記任意の3次元直交座標系において求める過程と、前記任意の3次元直交座標系においてそれぞれ求めた複屈折の量から前記光学素子または光学素子用素材について、複屈折が最小となる観察方向(第3方向)を見いだす過程と、を有する光学素子または光学素子用素材の複屈折最小方向の判定方法(請求項4)」を提供する。

0013

また、本発明は第五に「少なくとも、光学素子用素材を構成する光学材料にかかる既知のピエゾ光学定数(即ち、特定の3次元直交座標系におけるピエゾ光学定数)を任意の3次元直交座標系におけるピエゾ光学定数に変換する過程と、前記任意の3次元直交座標系の一つの座標軸方向に沿って前記光学素子用素材に付与する一軸応力と前記過程にて求めた任意の3次元座標系におけるピエゾ光学定数を用いて、前記座標軸方向(第1方向)における屈折率変化量△n1と、前記座標軸方向に直交する第2方向における屈折率変化量△n2とを算出する過程と、前記屈折率変化量△n1と前記屈折率変化量△n2との差を求めることにより、前記第1方向及び第2方向に直交する第3方向からみた複屈折の量を前記任意の3次元直交座標系においてそれぞれ求める過程と、前記任意の3次元直交座標系においてそれぞれ求めた複屈折の量から前記光学素子用素材について、複屈折が最小となる観察方向(第3方向)を見いだす過程と、前記複屈折が最小となる観察方向が光軸方向と一致(または略一致)するように、前記光学素子用素材を加工する過程と、を有する光学素子の製造方法(請求項5)」を提供する。

0014

また、本発明は第六に「少なくとも、光学素子用素材を構成する光学材料にかかる既知の弾性光学定数(即ち、特定の3次元直交座標系における弾性光学定数)を任意の3次元直交座標系における弾性光学定数に変換する過程と、前記任意の3次元直交座標系の一つの座標軸方向に沿って前記光学素子用素材に付与する一軸応力に対応する歪みと前記過程にて求めた任意の3次元座標系における弾性光学定数を用いて、前記座標軸方向(第1方向)における屈折率変化量△n1と、前記座標軸方向に直交する第2方向における屈折率変化量△n2とを求める過程と、前記屈折率変化量△n1と前記屈折率変化量△n2との差を求めることにより、前記第1方向及び第2方向に直交する第3方向からみた複屈折の量を前記任意の3次元直交座標系において求める過程と、前記任意の3次元直交座標系においてそれぞれ求めた複屈折の量から前記光学素子用素材について、複屈折が最小となる観察方向(第3方向)を見いだす過程と、前記複屈折が最小となる観察方向が光軸方向と一致(または略一致)するように、前記光学素子用素材を加工して光学素子を作製する過程と、を有する光学素子の製造方法(請求項6)」を提供する。

0015

また、本発明は第七に「前記光学素子または光学素子用素材の材料がフッ化物結晶であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法(請求項7)」を提供する。また、本発明は第八に「前記フッ化物結晶がフッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、またはフッ化バリウムであることを特徴とする請求項7記載の方法(請求項8)」を提供する。

0016

また、本発明は第九に「前記複屈折が最小となる観察方向(光軸方向)がフッ化物結晶の<111>軸方向に一致(または略一致)するか、或いはフッ化物結晶の{111}面と直交する方向に一致(または略一致)することを特徴とする請求項7または8記載の方法(請求項9)」を提供する。また、本発明は第十に「フッ化物結晶により構成される光学素子であり、光軸方向がフッ化物結晶の<111>軸方向に一致(または略一致)するか、或いはフッ化物結晶の{111}面と直交する方向に一致(または略一致)する光学素子(請求項10)」を提供する。

0017

また、本発明は第十一に「同一屈折率の或いは異なる屈折率のフッ化物結晶材料を組み合わせて構成される光学装置の光学系であり、該光学系の光軸方向が前記フッ化物結晶の<111>軸の方向と一致(または略一致)するか、或いは前記フッ化物結晶の{111}面と直交する方向と一致(または略一致)する光学装置の光学系(請求項11)」を提供する。

0018

また、本発明は第十二に「フッ化物結晶材料からなり、材料が同一の或いは異なる光学素子を組み合わせて構成される光学装置の光学系の光軸方向が前記フッ化物結晶の<111>軸の方向と一致(または略一致)するか、或いは前記フッ化物結晶の{111}面と直交する方向と一致(または略一致)する光学装置の光学系を構成する光学素子(請求項12)」を提供する。

0019

また、本発明は第十三に「前記フッ化物結晶がフッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、またはフッ化バリウムであることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の光学素子または光学系(請求項13)」を提供する。

発明を実施するための最良の形態

0020

フッ化物結晶(単結晶)のような等軸晶系の結晶は光学的には等方体であり、結晶軸に対するどの方位から通る光に対しても、屈折率は本来同一であり、原理的には複屈折を生じないはずであるが、機械的(力学的)な性質は異方性を有するため、同じ応力でも変位量は方位によって変わり、その結果、複屈折が発生することに本発明者らは着目した。

0021

そして、本発明者らは、応力による複屈折は変位量(歪)と密接に関連するであろうから、複屈折も方位に依存することを予測し、物性テンソルを鋭意計算することで、その事実を確認することができた。具体的に言うと、本発明(請求項1〜4)においては、光学素子または光学素子用素材を構成する光学材料にかかる既知のピエゾ光学定数または弾性光学定数(特定の3次元直交座標系におけるピエゾ光学定数または弾性光学定数)を座標変換して求めた任意の3次元直交座標系におけるピエゾ光学定数または弾性光学定数と、前記任意の3次元直交座標系の一つの座標軸方向に沿って前記光学素子または光学素子用素材に付与する一軸応力または対応する歪みとを用いて、前記座標軸方向(第1方向)における屈折率変化量△n1と、前記座標軸方向に直交する第2方向における屈折率変化量△n2とを算出してその差を求めることにより、前記第1方向及び第2方向に直交する第3方向からみた複屈折の量を前記任意の3次元直交座標系において求めている。

0022

そのため、本発明(請求項1〜4)によれば、光学素子または光学素子用素材における複屈折の最小方向を選択できる。そして、本発明(請求項1〜4)によれば、光学素子または光学素子用素材における複屈折の最小方向を選択して、収差の小さい(最小の)光学系を光学素子により構成するか、或いは複屈折の小さい(複屈折が最小となるように光軸方向を設定した)光学素子を光学素子用素材から得ることができる。

0023

また、本発明(請求項5、6)によれば、前記任意の3次元直交座標系においてそれぞれ求めた複屈折の量から前記光学素子用素材について、複屈折が最小となる観察方向(第3方向)を見いだして、複屈折が最小となる観察方向が光軸方向と一致(または略一致)するように、前記光学素子用素材を加工することで光学素子を製造している。

0024

そのため、本発明(請求項5、6)によれば、複屈折の小さい(複屈折が最小となるように光軸方向を設定した)光学素子を得ることができる。また、本発明にかかる光学素子または光学素子用素材の材料としては、光学系の色収差補正を行う上で非常に有効であるフッ化物結晶(単結晶)が好ましい(請求項7)。

0025

また、本発明にかかるフッ化物結晶(単結晶)としては例えば、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、またはフッ化バリウムを挙げることができる(請求項8、13)。光学素子または光学素子用素材の材料がフッ化物結晶(単結晶)である場合には、複屈折が最小となる観察方向(光軸方向)がフッ化物結晶の<111>軸方向に一致(または略一致)するか、或いはフッ化物結晶の{111}面と直交する方向に一致(または略一致)することとなる(請求項9)。

0026

フッ化物結晶により構成される光学素子であり、光軸方向がフッ化物結晶の<111>軸方向に一致(または略一致)するか、或いはフッ化物結晶の{111}面と直交する方向に一致(または略一致)する本発明(請求項10)にかかる光学素子は、複屈折の小さい(複屈折が最小となるように光軸方向を設定した)光学素子である。

0027

また、同一屈折率の或いは異なる屈折率のフッ化物結晶材料を組み合わせて構成される光学装置の光学系であり、該光学系の光軸方向が前記フッ化物結晶の<111>軸の方向と一致(または略一致)するか、或いは前記フッ化物結晶の{111}面と直交する方向と一致(または略一致)する光学装置の光学系(請求項11)は、収差の小さい(最小の)光学系である(図1参照)。

0028

また、フッ化物結晶材料からなり、材料が同一の或いは異なる光学素子を組み合わせて構成される光学装置の光学系の光軸方向が前記フッ化物結晶の<111>軸の方向と一致(または略一致)するか、或いは前記フッ化物結晶の{111}面と直交する方向と一致(または略一致)する光学装置の光学系を構成する光学素子(請求項12)は、複屈折の小さい(複屈折が最小となるように光軸方向を設定した)光学素子である。

0029

なお、本発明において、方向が一致(または略一致)するとは、角度のズレでおよそ5度以内を意味する。以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はこの例に限定されるものではない。

0030

フッ化物単結晶からなる物体(例えば、光学素子や光学素子作製用の素材等の光学部材)の屈折率楕円体を表す式を、下記の(1)式とする。
Bij xi xj=1 (i,j=1,2,3) (1)
ここで、x1,x2 x3はそれぞれ互いに直交する座標軸(3次元直交座標系の各座標軸)を表す。

0031

(1)式における係数Bijが物体に付加される応力により変化し、それに伴って屈折率も変化する。この変化量ΔBijは応力σklと、ピエゾ光学定数(piezo-optical coefficients:qijkl)と呼ばれるテンソルにより結びつけられる(式(2)参照)。なお、表記の便宜上、ijkl→ijとして式(2)を式(3)のように表記する。

0032

ΔBij = qijklσkl (2)
ΔBi= qijσj (3)
また、応力テンソルの替わりに、歪テンソルεklを用いて標記することも可能であり(式(4)参照)、ここでpijklは弾性光学定数(elasto-optical coefficients)と呼ばれる。

0033

ΔBij = pijklεkl (4)
ところで、NBSTECHNICAL NOTE 993(1978)には、フッ化カルシウム(CaF2)、フッ化バリウム(BaF2)、フッ化ストロンチウム(SrF2)のピエゾ光学定数がいくつかの波長に対して掲載されている。この定数は、座標軸を結晶格子の軸にとっているので、例えばx1は[100]軸、x2は[010]軸、x3は[001]軸としてもよい。そこで、式(3)に前記ピエゾ光学定数と応力テンソルを入力すれば、屈折率楕円体の変形量が計算できる。

0034

即ち、測定方向観測方向または光路)が決まれば、複屈折量が求まることとなる。例えば、物体に付加される応力pが[100]軸に沿った一軸応力とすると、応力テンソルは、
σ1=p,σ2=σ3=σ4=σ5=σ6=0 であり、
ΔB1=q11 p,ΔB2=q21 p, ΔB3=q31 p, .....
となる。

0035

一方、等軸晶系のピエゾ光学定数は、その対称性から、3つの定数で代表され、q11,q12,q44が異なる定数となる。テンソル形式で書けば、下記の式のようになる。

0036

0037

ここで、測定方向を例えば[001]軸方向からとすれば、複屈折は、
Δn//−Δn =1/√(ΔB1)−1/√(ΔB2)
=−(1/2)n3(q11-q12)p (5)
となる。式(5)において、Δn//は応力方向に偏光する光に対する屈折率の変化量であり、Δnは応力方向に直交する方向に偏光する光に対する屈折率の変化量である。

0038

式(5)は、係数(q11-q12)が大きな物質(物体)ほど、同じ応力状態において大きな複屈折を生じることを示している。NBSTECHNICAL NOTE 993からピエゾ光学定数を書き出すと、波長637.8nmにおいて表1のようになる。

0039

0040

このように、3次元(x1:[100]軸、x2:[010]軸、x3:[001]軸)直交座標系の一つの座標軸(x1:[100]軸)方向に沿って光学素子用素材に付与する一軸応力pのテンソルと、前記既知のピエゾ光学定数(特定の3次元直交座標系x1、x2、x3)のテンソルを用いて、前記座標軸方向(第1方向、[100]軸方向)における屈折率変化量△n1と、前記座標軸方向に直交する第2方向([010]軸方向)における屈折率変化量△n2とを算出し、さらに屈折率変化量△n1と屈折率変化量△n2との差を求めることにより、前記第1方向及び第2方向に直交する第3方向([001]軸)からみた複屈折の量を求めることができる。

0041

次に本発明者らは、通常の円盤形状の光学部材(例えば光学素子または光学素子作製用の素材)においては、光学系の光軸は円盤の中心軸の方向であり、応力の方向はそれに垂直で円盤の中心に向かう(または中心から外へ向かう:この方向を通常正とし、従って引っ張り応力の符号が正となる)場合が一般的であると考えた。

0042

かかる円盤形状の光学部材について、任意方向に応力を加えた場合の複屈折を計算するには、前記既知のピエゾ光学定数を座標変換する必要がある。即ち、前記既知のピエゾ光学定数は、特定の3次元(x1:[100]軸、x2:[010]軸、x3:[001]軸)直交座標系における光学定数であり、座標軸を結晶格子の軸にとった場合の値であり、前記応力を加える任意方向に対応する任意の3次元直交座標系におけるピエゾ光学定数は、前記既知のピエゾ光学定数を座標変換して求める必要がある。

0043

そして、前記任意の3次元直交座標系の一つの座標軸方向(第1方向)に沿って前記光学部材に付与する一軸応力と前記任意の3次元座標系におけるピエゾ光学定数を用いて、一軸応力を付与する座標軸方向(第1方向)における屈折率変化量△n1と、前記座標軸方向に直交する第2方向における屈折率変化量△n2とを算出して、その差を求めることにより、前記第1方向及び第2方向に直交する第3方向からみた複屈折の量を前記任意の3次元直交座標系において求めることができる(図3参照)。

0044

そこで、一軸応力を付与する方向を任意方向としたときの各複屈折を、言い換えると、任意の3次元直交座標系における各複屈折を本発明者らが計算した結果、光学部材を構成するフッ化物結晶の<111>軸方向から測定した複屈折がもっとも小さいことがわかった。ここで、3次元(x1''軸、x2'軸、x3'軸)直交座標系におけるx3'軸が<111>軸方向を向く座標系におけるピエゾ光学定数は、前記既知のピエゾ光学定数をx3軸が<111>軸方向を向くように座標変換をすることにより求めた。

0045

なお、ピエゾ光学定数の座標変換は、下記の式(6)に従って、テンソルの各成分を変換することで実施できる。この座標変換のためには、座標軸の周りの回転を行えばよい。

0046

0047

上式において、aijは座標変換を行うテンソルで、x3軸の周りにAラジアンだけ反時計回りに回転させたときの表示である。例えば、3次元(x1:[100]軸、x2:[010]軸、x3:[001]軸)直交座標系におけるx3軸を[111]軸方向に向けるためには、最初にx3軸の周りに45度(反時計方向)回転させ、次にx2’軸の周りにarctan(√2)だけ時計方向に回転させればよい(図2)。

0048

また、3次元(x1:[100]軸、x2:[010]軸、x3:[001]軸)直交座標系におけるx3軸を[100]軸方向に向けるためには、x2軸の周りに45度(反時計方向)回転させればよい。また、3次元(x1:[100]軸、x2:[010]軸、x3:[001]軸)直交座標系におけるx3軸を[110]軸方向に向けるためには、最初にx2軸の周りに90度(反時計方向)回転させ、次にx3軸の周りに45度(反時計方向)回転させればよい。

0049

ここで、3次元(x1:[100]軸、x2:[010]軸、x3:[001]軸)直交座標系におけるx3軸を[111]軸方向に向けるための座標変換を行い、変換した座標系(x1'',x2',x3')におけるx1''軸方向(第1方向)から応力pを加えた時の複屈折を求めてみる。 この場合のピエゾ光学定数テンソルq'ijは、下記式で表される。

0050

0051

また、NBSTECHNICAL NOTE 993の値から計算したq'ijは表2のようになる。

0052

0053

この値を用いて、一軸応力σ'iを加えたとき(σ'1=p,σ' 2=σ'3=...=0)の複屈折を計算すると、
Δn//−Δn=−(1/2)n3(q'11-q'12)p (7)
となり、q'11-q'12=q'66の値がその他の係数と比較して最も小さく、複屈折が最小の値を実現することがわかる。

0054

即ち、表2の計算値によれば、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウムのいずれにおいても、<111>軸方向の複屈折が最も小さいことがわかる。特に、フッ化カルシウムにかかる<111>軸方向の複屈折は非常に小さく、フッ化ストロンチウムやフッ化バリウムより1桁ほど小さくなっている。

0055

このように、本実施例によれば、光学部材の素材における複屈折の最小方向を選択できた。そして、本実施例によれば、光学部材における複屈折の最小方向を選択して、複屈折の小さい(複屈折が最小となるように光軸方向を設定した)光学素子とするか、或いは前記複屈折の小さい光学素子を光学素子作製用の素材から作製することができた。

0056

例えば、本実施例では、前記任意の3次元直交座標系においてそれぞれ求めた複屈折の量から前記光学素子用素材について、複屈折が最小となる観察方向(第3方向)を見いだして、複屈折が最小となる観察方向(フッ化物結晶の<111>軸方向)が光軸方向と一致(または略一致)するように、前記光学素子用素材を加工することで光学素子を製造した。

0057

ここで、前記方向が一致(または略一致)するとは、角度のズレでおよそ5度以内を意味する。なお、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウムは全て(111)面で劈開するという性質がある。この劈開面と平行に材料を加工していくことで、複屈折の小さい材料が作れるという点で、加工上も大変有利である。

0058

また、本実施例では、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウムの各ブロックからφ150×20の円盤形状体切り出して光学素子またはその前駆体(光学素子作製用の素材)とし、φ150の中心軸が[100]、[110]、[111]の三つの場合について、それぞれ複屈折を測定した(表3)。なお、前記ブロックは略同等の結晶成長及び熱処理を経て作製されたものである。

0059

複屈折は、光学素子またはその前駆体の表面を研磨した後、オーク製作所の自動測定機を用いて有効径φ140を約100点測定した際の最大の複屈折値である。また、()内は平均値である。なお、曲率を有するレンズは、前記前駆体をレンズ形状に加工することにより得られるが、この際、前駆体の<111>軸方向がレンズの光軸方向と一致(または略一致)するように加工することは言うまでもない。

0060

0061

このように、本実施例によれば、光軸方向がフッ化物結晶の<111>軸方向に一致(または略一致)するか、或いはフッ化物結晶の{111}面と直交する方向に一致(または略一致)する複屈折の小さい(複屈折が最小となるように光軸方向を設定した)光学素子を得ることができた。本実施例では、光学部材に付与する一軸応力(テンソル)と任意の3次元座標系におけるピエゾ光学定数(テンソル)を用いて、複屈折の量を任意の3次元直交座標系において求めているが、前記一軸応力に対応する歪み(テンソル)と任意の3次元座標系における弾性光学定数(テンソル)を用いて求めることも可能である。

発明の効果

0062

以上説明したように、本発明によれば、光学素子における複屈折の最小方向を選択できる、光学素子の複屈折算出方法及び複屈折判定方法、複屈折が小さい光学素子、光学装置の収差が小さい光学系、複屈折が小さい光学素子の製造方法を提供できる。

0063

具体的には、本発明(請求項1〜4)によれば、光学素子または光学素子用素材における複屈折の最小方向を選択できる。そして、本発明(請求項1〜4)によれば、光学素子または光学素子用素材における複屈折の最小方向を選択して、収差の小さい(最小の)光学系を光学素子により構成するか、或いは複屈折の小さい(複屈折が最小となるように光軸方向を設定した)光学素子を光学素子用素材から得ることができる。

0064

また、本発明(請求項5、6)によれば、複屈折の小さい(複屈折が最小となるように光軸方向を設定した)光学素子を得ることができる。本発明にかかる光学素子または光学素子用素材の材料として、光学系の色収差補正を行う上で非常に有効であるフッ化物結晶(単結晶)が好適に使用できる(請求項7)。

0065

また、本発明にかかるフッ化物結晶(単結晶)としては例えば、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、またはフッ化バリウムが好適に使用できる(請求項8、13)。光学素子または光学素子用素材の材料がフッ化物結晶(単結晶)である場合には、複屈折が最小となる観察方向(光軸方向)がフッ化物結晶の<111>軸方向に一致(または略一致)するか、或いはフッ化物結晶の{111}面と直交する方向に一致(または略一致)することとなる(請求項9)。フッ化物結晶により構成される光学素子であり、光軸方向がフッ化物結晶の<111>軸方向に一致(または略一致)するか、或いはフッ化物結晶の{111}面と直交する方向に一致(または略一致)する本発明(請求項10)にかかる光学素子は、複屈折の小さい(複屈折が最小となるように光軸方向を設定した)光学素子である。

0066

また、同一屈折率の或いは異なる屈折率のフッ化物結晶材料を組み合わせて構成される光学装置の光学系であり、該光学系の光軸方向が前記フッ化物結晶の<111>軸の方向と一致(または略一致)するか、或いは前記フッ化物結晶の{111}面と直交する方向と一致(または略一致)する光学装置の光学系(請求項11)は、収差の小さい(最小の)光学系である。

0067

また、フッ化物結晶材料からなり、材料が同一の或いは異なる光学素子を組み合わせて構成される光学装置の光学系の光軸方向が前記フッ化物結晶の<111>軸の方向と一致(または略一致)するか、或いは前記フッ化物結晶の{111}面と直交する方向と一致(または略一致)する光学装置の光学系を構成する光学素子(請求項12)は、複屈折の小さい(複屈折が最小となるように光軸方向を設定した)光学素子である。

0068

本発明によれば、フッ化物結晶の製造方法を変えることなく、材料の方位を指定することで複屈折の小さいレンズを得ることができるので、材料コストをほとんど変えずに、光学系の性能向上が達成できる。また、本発明にかかるテンソルの座標変換を使えば、データブックの値を用いて、最も好ましい材料の使い方理論的に求まるので、本発明の方法は非常に有効である。

図面の簡単な説明

0069

図1は、光学系の光軸方向がフッ化物結晶の<111>軸の方向と一致(または略一致)することを示す概念図である。
図2は、3次元(x1:[100]軸、x2:[010]軸、x3:[001]軸)直交座標系におけるx3軸を[111]軸方向に向けるための座標変換の様子を示す概念図である。
図3は、複屈折の大きさを予想するためのアルゴリズムの説明図である。
以上

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