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技術 二次成形品の電気亜鉛めっき法

出願人 株式会社三進製作所ユケン工業株式会社
発明者 沖猛雄野村記生阿部裕士中西輝明川本昌片桐元洋
出願日 1998年4月30日 (22年0ヶ月経過) 出願番号 1998-120660
公開日 1999年11月9日 (20年6ヶ月経過) 公開番号 1999-310900
状態 特許登録済
技術分野 電気分解または電気泳動による被覆 電気鍍金;そのための鍍金浴
主要キーワード 周期的電流 鉄鋼部品 単相半波 輪状体 電気分解生成物 整流波 中断法 上流段
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1999年11月9日)のものです。
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図面 (2)

課題

二次成形品電気亜鉛めっきを行う際に、排水の流出を防止し完全なリサイクルクローズド化を可能とするめっき法を提供する。

解決手段

各処理工程において、ほぼ70℃の高温溶液を用いるとともに、個別的に大気蒸発装置を用い、各工程内でリサイクル可能とし、各工程の出側には多段水洗を行う単一の水洗槽を設け、さらに亜鉛めっきでは、めっき電流としてパルス電源を用いてめっきを行う。

概要

背景

従来の二次加工品電気亜鉛めっき処理にあっては、以下の3種のめっき浴が主流をなしてきたが、各々次のような問題点を包含していた。

シアン浴:青化ソーダ(猛毒) を主成分として含有するめっき浴であって、作業環境が悪い。
ジンケート浴高濃度苛性ソーダを含有するめっき浴であって、やはり作業環境が悪い。

塩化アンモン浴:めっき浴が高濃度の窒素(アンモニウム) を含んでいるため排水処理が問題となる。また排水処理に際しても亜鉛イオン沈降性が悪く、しかもその後の処理水CODBOD値が高い。

概要

二次成形品電気亜鉛めっきを行う際に、排水の流出を防止し完全なリサイクルクローズド化を可能とするめっき法を提供する。

各処理工程において、ほぼ70℃の高温溶液を用いるとともに、個別的に大気蒸発装置を用い、各工程内でリサイクル可能とし、各工程の出側には多段水洗を行う単一の水洗槽を設け、さらに亜鉛めっきでは、めっき電流としてパルス電源を用いてめっきを行う。

目的

ここに、本発明の目的は、二次成形品に電気亜鉛めっきを行う際に、排水の流出を防止し完全なリサイクル・クローズド化を可能とする電気亜鉛めっき法を提供することである。さらに本発明の目的は有機添加剤の使用量を可及的少とし、かつめっき処理設備の簡略化を可能とする電気亜鉛めっき法を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
3件

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請求項1

めっき処理すべき二次成形品を、脱脂工程と、酸洗浄工程と、電解洗浄工程と、電気亜鉛めっき工程とを順次経て処理することから構成される二次成形品の電気亜鉛めっき法であって、前記工程の少なくとも1つに大気蒸発装置を設け、脱脂液酸洗浄液電解液または亜鉛めっき液蒸発させてから冷却して得た冷却水回収することを特徴とする二次成形品の電気亜鉛めっき法。

請求項2

前記工程の少なくとも1つの工程の後に、単槽内でスプレー洗浄多段に行う多段水洗工程を設けたことを特徴とする請求項1記載の二次成形品の電気亜鉛めっき法。

請求項3

各段の水洗の際に水洗済み排水を回収し、次回の水洗工程において、それぞれ上流段水洗水として用いて水洗すべき二次成形品に対して向流関係で水洗することを特徴とする請求項2記載の二次成形品の電気亜鉛めっき法。

請求項4

前記脱脂工程でアルカリ溶液を二次成形品にスプレーすることにより脱脂を行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の二次成形品の電気亜鉛めっき法。

請求項5

前記脱脂工程、酸洗浄工程、電解洗浄工程、および電気亜鉛めっき工程の少なくとも1つにおいて、それぞれの処理を行う槽内での処理終了後に、処理済の二次成形品に対して槽上でスプレー水洗を行うことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の二次成形品の電気亜鉛めっき法。

請求項6

前記脱脂工程における脱脂液として水酸化物水溶液を用い、前記酸洗浄工程における酸洗浄液として硫酸液を用い、前記電解洗浄工程における電解液として水酸化物の水溶液を用い、そして前記電気亜鉛めっき工程においてめっき液として硫酸液を用いることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の二次成形品の電気亜鉛めっき法。

請求項7

前記電気亜鉛めっき工程において硫酸亜鉛めっき浴を用い、パルス波形電流を供給することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の二次成形品の電気亜鉛めっき法。

技術分野

(4) 排水に含まれる亜鉛金属イオンの自然界への放出の削減もしくは回避が図れる。

背景技術

0001

本発明は、二次成形品電気亜鉛系めっき法、特に、排水処理への負荷を低減あるいは無くした二次成形品の電気亜鉛系めっき法に関する。以下、本発明を電気亜鉛めっきを例にとり説明する。

0002

従来の二次加工品電気亜鉛めっき処理にあっては、以下の3種のめっき浴が主流をなしてきたが、各々次のような問題点を包含していた。

0003

シアン浴:青化ソーダ(猛毒) を主成分として含有するめっき浴であって、作業環境が悪い。
ジンケート浴高濃度苛性ソーダを含有するめっき浴であって、やはり作業環境が悪い。

発明が解決しようとする課題

0004

塩化アンモン浴:めっき浴が高濃度の窒素(アンモニウム) を含んでいるため排水処理が問題となる。また排水処理に際しても亜鉛イオン沈降性が悪く、しかもその後の処理水CODBOD値が高い。

0005

ところで、一般的には、電気亜鉛めっき法として硫酸めっき浴を用いる方法も公知であるが、そのような硫酸めっき浴は、つきまわり性光沢性に劣り、そのためその適用が一次成形品(例:帯鋼) のように単調な形状の処理物だけに限定されてきた。つまり、そのような一次成形品にさらにプレス成形等の二次加工を行って製作した二次成形品(例:筒状体) の場合、高い光沢性、つきまわり性が要求され、かつ多種多様な形状をしており、したがって、かかる二次成形品のめっき処理には硫酸めっき浴の適用が不可能であり、実際、これまで工業的に適用された例はなかった。

0006

一方、今日では環境保全問題への対応から資源リサイクルおよび処理系のクローズド化(以下、「リサイクル・クローズド化」または「リサイクル・クローズド・システム」という) が求められている。従来から電気亜鉛めっきについてもこの「リサイクル・クローズド化」という概念は存在したものの、次に示すような克服困難な課題があり、現在のところ実現には至っていない。従って、様々な化学物質を含んだ排水が各めっきライン当たり10〜100m3/日放出されているのが現状である。

0007

すなわち、リサイクル・クローズド・システムを採用する場合、従来は排水処理設備にて一括して処理していた汚染水洗水浄化もしくは処分が最大の課題であった。前者については、汚染水洗水の浄化システムを用いたライン内リサイクル化を想定したとしても、その精度、能力コストに大きな課題があり実用化に至らない。さらに、このライン内リサイクル化それ自体についても、「めっき液水洗水濃縮を図り、それにより生ずる給水の必要量を新しい水洗水として供給する」ことは想定されるものの、コスト的に実用的な濃縮技術がなく、実用化に至っていない。

0008

また、アルカリ浴を使っためっきでは、めっき液の汲み出しがない場合、陽極における電解酸化反応により液中有機物より生じる炭酸根に加えて、気液界面より中和反応を経て吸収する炭酸根が液中に蓄積する。このように炭酸根が蓄積し続けると、通電性の低下、槽底析出、さらには処理物上への付着等の問題を生ずる。

0009

ところで、めっき浴温度を上げることで「めっき液の蒸発→濃縮」を行い、その補充水分としてめっき槽に供給される水洗水、つまり、めっき製品の水洗水を利用することも考えられるが、めっき性能の多くを有機添加剤に頼っている現状ではそのような有機添加剤がめっき液を蒸発する際の高温によって分解してしまうばかりでなく、分解生成物が蓄積することからも、光沢性、つきまわり性等のめっき性能が大きく低下する。

課題を解決するための手段

0010

ここに、本発明の目的は、二次成形品に電気亜鉛めっきを行う際に、排水の流出を防止し完全なリサイクル・クローズド化を可能とする電気亜鉛めっき法を提供することである。さらに本発明の目的は有機添加剤の使用量を可及的少とし、かつめっき処理設備の簡略化を可能とする電気亜鉛めっき法を提供することである。

0011

本発明者らは、リサイクル・クローズド化の実現に一番問題となるのが、水洗水確保のためのめっき液濃縮技術、つまり高温浴めっき技術であって、従来のめっき液濃縮技術が有機添加剤の分解・蓄積を不可避的に伴うことから、可及的低温でめっき液を蒸発させること、さらに要すれば硫酸亜鉛めっき浴を用いてパルス電流によるめっきを行うことが有利であることに着目した。

0012

そこでさらに本発明者らは検討を重ね、次のような知見を得た。
(i) 各工程において個別化した処理水の蒸発・冷却による回収系を設けることで、めっき工程全体の無排水クローズド化が実現容易になる。

0013

(ii)各工程において大気蒸発装置を設けるとともに、高温(60〜70℃)にてバブリングスプレーを行い、薬液収容槽の水を大量(10 〜20 l/hr)に蒸発させ、また蒸発量と同量の水洗水(薬液を含んだ水) を薬液収容槽へ回収することにより、めっき工程全体の無排水クローズド化が可能となる。

0014

(iii) 前処理〜めっき処理〜後処理にて、各処理槽から処理済物品引き上げた時にシャワー水洗を行い、水洗槽への薬液負荷を低減し、ライン全体の水洗槽スペース縮小化を図ることができる。

0015

(iv)水洗槽下部にいくつかの小さな水洗水タンクを設け、その水を使用して単槽の水洗槽内にてスプレー水洗を行う。その際に、タンク水は処理すべき物品に対し向流とすることにより、水洗性能の向上が図れ、しかも単槽にて水洗が可能となる。

0016

(v) 各工程において用いる薬液を、後工程に持ち込まれても殆ど悪影響のない薬液を選択することで、中間の洗浄工程の負荷が軽減し、装置全体を簡略化することができ、設備投資負担を少なくすることができる。

0017

(vi)めっき浴として硫酸めっき浴を用いるとともにパルス電流によるめっき処理を行うことで使用薬液の量を最少とすることができ、処理系全体のリサイクル・クローズド化が促進される。

0018

ここに、本発明は、次のとおりである。
(1) めっき処理すべき二次成形品を、脱脂工程と、酸洗浄工程と、電解洗浄工程と、電気亜鉛めっき工程とを順次経て処理することから構成される二次成形品の電気亜鉛めっき法であって、前記工程の少なくとも1つに大気蒸発装置を設け、脱脂液酸洗浄液電解液または亜鉛めっき液を蒸発させてから冷却して得た冷却水を回収することを特徴とする二次成形品の電気亜鉛めっき法。

0019

(2) 前記工程の少なくとも1工程の後に、単槽内でスプレー洗浄多段に行う多段水洗工程を設けたことを特徴とする上記(1) 記載の二次成形品の電気亜鉛めっき法。

0020

(3) 各段の水洗の際に水洗済み排水を回収し、次回の水洗工程において、それぞれ上流段の水洗水として用いて水洗すべき二次成形品に対して向流関係で水洗することを特徴とする上記(2) 記載の二次成形品の電気亜鉛めっき法。

0021

(4) 前記脱脂工程でアルカリ溶液を二次成形品にスプレーすることにより脱脂を行うことを特徴とする上記(1) ないし(3) のいずれかに記載の二次成形品の電気亜鉛めっき法。

0022

(5) 前記脱脂工程、酸洗浄工程、電解洗浄工程、および電気亜鉛めっき工程の少なくとも1において、それぞれの処理を行う槽内での処理終了後に、処理済の二次成形品に対して槽上でスプレー水洗を行うことを特徴とする上記(1) ないし(4) のいずれかに記載の二次成形品の電気亜鉛めっき法。

0023

(6) 前記脱脂工程における脱脂液として水酸化物水溶液を用い、前記酸洗浄工程における酸洗浄液として硫酸液を用い、前記電解洗浄工程における電解液として水酸化物の水溶液を用い、そして前記電気亜鉛めっき工程においてめっき液として硫酸液を用いることを特徴とする上記項1ないし5のいずれかに記載の二次成形品の電気亜鉛めっき法。

0024

(7) 前記電気亜鉛めっき工程において硫酸亜鉛めっき浴を用い、パルス波形電流を供給することを特徴とする前記(1) ないし(6) のいずれかに記載の二次成形品の電気亜鉛めっき法。

発明を実施するための最良の形態

0025

上記「二次成形品」は圧延などの一次加工により得た帯鋼などの一次成形品に対する用語であって、プレス押出絞り等の二次加工により得た成形品であり、特にそれに制限はされないが、車両用部品等の管 (筒)状体輪状体凹凸多面体を例示できる。以下にあっては、「処理すべき物品」、あるいは単に「物品」とも称する。

0026

図1は、本発明にかかるめっき法の模式的説明図である。本発明によれば、めっきすべき物品は次の各工程を経て電気亜鉛めっきが行われる。なお、図示例では、電気亜鉛めっきに引き続いて、クロメート処理を行っているが、これは必ずしも必要ではない。

0027

脱脂工程:本発明における脱脂工程(I) は、スプレー脱脂槽10において一般的にはKOH 3%、界面活性剤などの添加剤0.5 %を含む水酸化物の水溶液などのアルカリ水溶液を脱脂液として用い、スプレーノズル12を見掛け上移動させて物品全面にこの脱脂液14を当てることにより行う。回収された脱脂液の浮上油オイルセパレータ16にて分離を行うことで回収して、燃料として使用してもよい。

0028

この工程に設けられる大気蒸発装置、つまり常圧の濃縮装置20は、以下の各工程においても同様であるが、例えば、処理すべき水溶液の温度を高めてから大気中に散布することで、あるいは加熱された媒体(例:空気) を使って散布あるいは噴霧もしくはバブリングすることによって蒸発させてもよい。

0029

具体的には、上記大気加熱装置は、スプレー脱脂槽10内から回収された脱脂液を収容する収容槽22aからの脱脂液を、電気ヒータなどの加熱手段で加熱されファンなどにて送り込まれた熱風に、噴霧して熱風との接触面積を増やして蒸発しやすくさせる大気下での蒸気発生手段と、蒸発した水蒸気を大気冷却する冷却手段と、そして得られた冷却水を回収する手段とから構成される。別法としては、液温度を70℃程度に高めておいて、これを単に噴霧するだけでかなりの量の水を蒸発できる。

0030

特に、本発明によれば、かかる大気蒸発装置20は、例えば脱脂工程というように各工程に個別化されているため、負荷も少なくて済むことから、通常の手段でもって構成でき、脱脂工程自体の実質的なクローズド化を実現できる。

0031

また、本発明の好適態様においては、脱脂工程としてアルカリ溶液をスプレーすることから、例えば70℃でスプレーすることにより、短時間にて脱脂できるばかりでなく、70℃でスプレーすることにより脱脂槽それ自体を大気蒸発装置として機能させてもよい。

0032

このように大気蒸発装置から発生する水蒸気を回収し、冷却して得た冷却水は、水洗水として再利用できる。つまり、大気蒸発装置を設けることにより、脱脂液を濃縮し、水洗水を脱脂液の収容槽に回収することができる。70℃程度では脱脂液が分解・劣化することはない。

0033

なお、使用するアルカリ液は、苛性カリ(KOH) +添加剤の場合、脱脂液は乳化せず、次工程の酸洗浄工程の酸洗浄液に持ち込まれても悪影響は殆どない。また、苛性カリは空気中の炭酸ガスと反応し炭酸カリウムにもなるが、カリウム塩潮解性が良いため、吸湿しやすく、ナトリウム塩の場合のように脱脂槽のまわりを白粉状にすることはない。

0034

次に、本発明の好適態様によれば、槽上スプレー水洗42が設けられ、また、脱脂工程の出側には単槽の多段水洗装置24が設けられている。脱脂された物品に対して、一旦槽上で水洗し、さらに単槽内で対向する単段または多段に設けたスプレーノズル26を用いて、何回にも分けて、つまり多段に、しかも向流で水洗を行うのである。

0035

図示例にあっては、水洗槽下部に4つの小さな水洗水タンクを設け、その水を使用して単槽の水洗槽内にてスプレー水洗を行う。その際に、まず第1タンク水にてスプレー水洗し、流れ落ちた水をタンクに回収し、その後、第2、第3、第4の各タンク水にて同様に水洗・回収を行う。タンク水は処理すべき物品に対し向流で水洗されるため、水洗性能の向上が図れ、しかも単槽にて水洗が可能となる。なお、使用済みの第1タンク水は収容槽22aを経て前述の大気蒸発装置に送られ、一方、使用後に回収された第2、第3、第4の各タンク水は、次回の水洗に際してそれぞれ第1、第2、第3のタンク水として水洗に用いられる。以下順次これを繰り返す。

0036

このように、本発明によれば、水洗水をその都度回収してこれも多段に設けた水収容槽、つまりタンクに収容する。回収された水洗水は、次回の物品の処理に際して、一つ上流側の段における水洗に用いられる。つまり、向流関係で水洗が行われて、このようにして徐々にきれいな水を使うようになり、最初の段の水洗スプレーに供給され、回収された水洗水は前述の収容槽22aで混合され脱脂液として使用してから大気蒸発装置に送られ、蒸発処理を受けるようにしてもよい。なお、図示していないが、最終段で使用される新しい水洗水は、大気蒸発装置からの冷却水を用いることが好ましい。

0037

酸洗浄工程:酸洗浄液(本発明の好適態様では硫酸液)を収容している酸洗槽40内に物品を浸漬することで酸洗浄工程(II)を行うが、このとき温度による硫酸鉄溶解度差を利用した冷却パネル(図示せず) によって回収される硫酸鉄 (例えば、2kg/day)は建築材料として再利用が可能である。

0038

特に、本発明の酸洗浄工程にあっても、好ましくは酸洗浄終了後に、多段水洗装置24による水洗工程に移行するまえに、酸洗槽40内において、槽上スプレー水洗42が行われる。これにより酸洗槽40からの酸洗浄液の持ち出しを可及的少とする。

0039

このように、本発明の場合、硫酸浴のため、高温(70 ℃) 、低濃度(5%) 、短時間にて酸洗ができる。酸洗工程(II)にあっても、前述の脱脂工程(I) と同様に、酸洗工程にだけ個別化した大気蒸発装置20が設けられ、また、出側にも同様に単槽内多段水洗槽24が設けられる。

0040

このような大気蒸発装置20および単槽内多段水洗槽24はすでに説明したと同様であって、これ以上の説明は行わないが、特に酸洗浄工程(II)では、酸洗浄液は大気蒸発装置20および70℃でバプリングされる酸洗槽40にて水は蒸発し、酸洗浄液の収容槽22bにおいては酸洗浄液が濃縮するとともに水洗水を多段水洗装置24から回収することができる。この一旦濃縮した状態で冷却パネル(図示せず) によって、温度による硫酸鉄の溶解度差を利用して硫酸鉄などの固形物を効果的に分離回収することができる。その後の酸洗浄液は上述の水洗水あるいはさらに冷却水でもって希釈、調整して再び酸洗浄液として用いる。もちろん、例えば硫酸液の場合70℃程度の高温では酸洗浄液は何ら劣化することがない。

0041

電解洗浄工程:電解洗浄工程(III) は電解脱脂槽50においてアルカリ電解を行うことで、亜鉛電気めっきの予備処理活性化処理を行うもので、通常、NaOHの5%水溶液を用い、収容槽22cに回収されたアルカリ液は温度による炭酸ソーダの溶解度差を利用した炭酸ソーダ除去装置(図示せず) により回収された炭酸ソーダは脱硫剤として使用できる。

0042

特に、本発明の電解洗浄工程(III) にあっては、電解洗浄終了後に、多段水洗装置24による水洗工程に移行するまえに、電解洗浄槽内において、槽上スプレー水洗42が行われる。これにより電解洗浄槽50からのアルカリ液の持ち出しを可及的少とする。

0043

電解洗浄工程(III) においても、前述の脱脂工程(I) および酸洗工程(II)と同様に、大気蒸発装置20が設けられ、また、出側にも同様に単槽内多段水洗槽24が設けられる。

0044

したがって、本発明によれば、電解洗浄工程(III) においても、大気蒸発装置20により70℃でバブリングにて発生する水蒸気を回収し、冷却して水洗水として再利用する。もちろん、かかる大気蒸発によって、例えばNaOH水溶液のような電解洗浄液が劣化することはない。

0045

なお、この電解洗浄液が苛性ソーダのときは、めっき液に持ち込まれても悪影響は殆どないことから、出側に設けられる水洗槽24は必ずしも必要としない。槽上スプレー水洗42が行われることで十分である。

0046

電気亜鉛めっき工程:電気亜鉛めっき工程(IV)では亜鉛めっき槽60において、例えば ZnSO4・7H2Oを60%含有する硫酸めっき液62を調製し、好ましくは例えばこれにパルスめっきを行う。めっき液の補給は例えば不溶性陽極(図示せず) を使用する場合は炭酸亜鉛化学的に溶解して行えばよい。

0047

特に、本発明の電気亜鉛めっき工程(IV)にあっても、好ましくは、亜鉛めっき終了後に、多段水洗装置24による水洗工程に移行するまえに、亜鉛めっき槽60内において、槽上スプレー水洗42が行われる。これにより亜鉛めっき槽10からの硫酸めっき液の持ち出しを可及的少とする。

0048

電気亜鉛めっき工程(IV)にあっても、前述の脱脂工程(I) 、酸洗浄工程(II)、および電解洗浄工程(III) と同様に、大気蒸発装置20が設けられ、そして出側では単槽内多段水洗が行われる。このような大気蒸発装置20および単槽内多段水洗槽24はすでに説明したと同様であって、これ以上の説明は行わない。

0049

本発明の場合、めっき液の収容槽22dにめっき液を回収しているが、めっき浴ばかりでなくこの収容槽にも酸性めっき浴を用いれば炭酸根の蓄積はみられず、また硫酸浴を用することから光沢剤などの有機添加剤は不用ということで、電気亜鉛めっき工程それ自体においても上述のようなリサイクル・クローズド化が一層容易に促進可能であるが、その電気分解生成物がめっきにさほどの強い影響を及ぼさないものであれば、少量の有機添加剤はめっき浴に加えることができる。特に、少なくとも電気亜鉛めっき工程だけに個別化されたリサイクル・クローズド化を採用するときは、そのような有機添加剤の添加の問題もローカルな問題として、処理系全体の問題と切り離して対処でき、比較的容易に対処できる。

0050

本発明の好適態様にあっては、めっき槽60での電気亜鉛めっきはパルス波形のめっき電流を供給することで行われる。本発明のさらなる好適態様にあっては、硫酸亜鉛めっき浴を用いた電気亜鉛めっきに際してパルス電源を用いてパルス波形のめっき電流を供給する。

0051

ここに、パルス波形の電流とは、矩形波三角波、あるいは一部それらへ直流重畳する方法等を用いた周期的電流中断法(Unipolar)による波の電流、もしくは単相半波単相不完全整流波等の非対称交流波の電流も含まれる。

0052

次に、本発明において用いるめっき浴組成(硫酸浴組成) は、実用上からは、一般には ZnSO4・7H2O:50〜600 g/L であれば充分である。好適態様によれば、100 〜450g/Lである。 ZnSO4・7H2O:100g/L未満では、コゲが発生し易く、めっき速度も低下する。450g/L超では、つきまわり性が低下し、かつ他方では水洗水の汚染激しくリサイクル・クローズド化を困難にする。

0053

その他、特に硫酸亜鉛濃度が低い時に通電性の確保のために、H2SO4 、Na2SO4、(NH4)2SO4 、硼酸ナトリウムスルファミン酸ナトリウム酢酸ナトリウム酢酸アンモニウム等の導電性塩を併用してもよい。

0054

有機添加剤は必ずしも添加は必要なく、むしろその添加によって本発明のリサイクル・クローズド化が悪影響を受けることも考えられるが、例えばその電気分解生成物がめっきにさほどの強い影響を及ぼさないものであれば、必要に応じて少量添加してもよい。また湿潤剤として、濡れ性改善等の必要時に、界面張力低下効果を有するもの等を少量添加してもよい。

0055

このように電気亜鉛めっきを終了してからは、そのまま最終製品としてもよく、また必要によりさらにクロメート処理工程を設けて、電気亜鉛めっきされた物品にさらにクロメート処理を行ってもよい。

0056

図示例では、クロメート処理槽70によりクロメート処理を行っており、そして、かかるクロメート処理工程にあっても、処理系のクローズド化を図るために、これまでの処理工程と同様に収容槽22eおよび大気蒸発装置20を備えるとともに、槽上スプレー水洗42、および出側における単槽内多段水洗24を行ってもよい。

0057

以上、本発明について各処理工程を順次説明してきたが、本発明によれば、ほぼ完全なクローズド化が可能になるとともに、処理設備自体の簡略化が可能となり、例えば、図1の各工程のめっき設備の場合、従来は、脱脂工程からクロメート処理工程までほぼ20メートルの長さを有していたのが、13メートル程度とほぼ2/3 となり、大幅な設備コストの低下を図ることができる。なお、本発明の場合も、亜鉛めっき槽それ自体の長さは従来と同様にほぼ9メートルであった。次に、実施例によって本発明の作用効果をさらに具体的に説明する。

0058

本例では、図1に示すめっき装置を用い、カップ形状の二次加工品である鉄鋼部品図1の工程に従って電気亜鉛めっきを行った。各工程において個別的に大気蒸発装置を用いて処理水のリサイクルを行うことで、処理系全体としてリサイクル・クローズド化を行った。このときの各工程の処理条件は次の通りであった。

0059

脱脂工程:脱脂液はKOH 3%水溶液を用い、これに0.5 %の界面活性剤を添加した。液温度は70℃とし、大気蒸発装置ではこのような脱脂液を使用後に回収し、脱脂液を噴霧しながら熱風を吹き込むことにより、15 l/hr の割合で蒸発させ、冷却後、冷却水として回収した。油の回収量は5kg/dayであった。なお、単槽内多段水洗は3段に分けて行った。

0060

酸洗浄工程:H2SO4 の4.5%水溶液(70 ℃) を用い、硫酸鉄は2kg/day回収した。出側での水洗は3段に分けて行った。

0061

電解洗浄工程:70℃のNaOH5%水溶液を用い、通常の電解条件で電解洗浄を行った。この場合にも出側での水洗は3段に分けて行った。

0062

電気亜鉛めっき工程:本例で使用しためっき浴組成はZnSO4 ・7H2Oを60%含む液温度70℃の水溶液であった。めっき槽は20槽設け、電気亜鉛めっきは連続的に行った。この場合にも、出側のスプレー水洗は3段に分けて行った。本例の電気亜鉛めっきは、1msに流れる電流密度25A/dm2 のパルス電解にて行った。平均電流密度は2.5A/dm2であった。

0063

クロメート処理工程:本発明にしたがって電気亜鉛めっきを行った物品は、水洗浄後慣用の処理条件で黄色クロメート処理を施し、70℃で乾燥した。しかし、本例では、これまでの各処理工程と同様に、個別化された大気蒸発装置を設け、この処理工程自体で一つのクローズド系を構成するようにしている。クロメート剤としては通常の塗布型のそれを用い、本例ではそれをスプレー塗布した。槽上ではスプレー水洗を行い、そして出側に設けた水洗槽でも3段に分けて水洗を行った。

0064

かくして、本発明によれば、排水量をほぼゼロとすることができた。めっきに要する時間も、前処理時間および後処理時間も含めて従来が40〜60分を要していたのに対して、本発明ではほぼ29分に短縮することができた。

0065

水補給量は、従来は、2000〜5000l/day も要していたのに対して、本発明では200 〜500l/dayとほぼ1/10にまで低減できた。本発明の場合、排水量がほぼゼロであるので、理論的には補給水も実質ゼロとなる筈であるが、蒸発による損失を補給する必要があるからである。さらに、本発明の場合、油の回収量が4〜5kg/day、また硫酸第1鉄・7水和物の回収量も1 〜2kg/day であった。

0066

以上説明したように、本発明によれば、次のような優れた効果が得られる。
(1) 各処理工程におけるリサイクル化、クローズド化が実現され、めっき処理工程全体としてもほぼ100 %リサイクル化が実現できる。したがって、めっきラインより排出される排水の処理費用(イニシャルコスト:設備費、ランニングコスト薬品費用電力メンテナンス費用) の削減もしくは大幅な削除が可能となる。

0067

(2)有価製品(油および硫酸鉄) も回収でき、コスト低減に大きく寄与する。
(3) めっき設備全体をほぼ2/3 の長さに短縮可能となり、設備費および建屋費の大幅な低減を可能とする。
(4) これらを総合した評価として、経済性ばかりでなく、環境問題の改善に対して大きな寄与をする優れた技術である。

0068

すなわち、水洗水、排水の100 %リサイクル・クローズド化を実現することにより次のような環境向上への寄与が考えられる。
(1)生態、自然界への有害性が現在認められている物質に限らず、今後確認され得る物質についても、その放出が未然に防止でき、環境保全へ役立つ。

図面の簡単な説明

0069

(2) 排水に含まれ、アルキルフェノール系界面活性剤に代表される物質群に関わるエンドクリン問題への対応が可能となる。
(3) 排水に含まれるCOD、BOD値低下の原因物質の自然界への放出の削減もしくは回避が図れる。

0070

図1本発明にかかるめっき方法の各工程の模式的説明図である。

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