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技術 重症化侵襲のスクリーニング方法

出願人 鍬田和久山田しょう子
発明者 鍬田和久山田しょう子
出願日 1998年4月14日 (22年7ヶ月経過) 出願番号 1998-120040
公開日 1999年10月29日 (21年0ヶ月経過) 公開番号 1999-295304
状態 特許登録済
技術分野 生物学的材料の調査,分析
主要キーワード 出現比率 ドーラン 固形状物 採取場所 分類済み 疑問視 分離検出 血液病学
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1999年10月29日)のものです。
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図面 (5)

課題

外傷感染症自己免疫性疾患悪性腫瘍をはじめとする炎症性疾患等の重症化の可能性を簡便にスクリーニングすることが可能なスクリーニング方法を提供する。

解決手段

末梢血において、血球貪食するPHP(peripheral hemophagocyte)の存在の有無を検出することにより、重症化侵襲をスクリーニングする。侵襲としては、あらゆる疾患の人体への攻撃または開始のいずれかが例示される。また、該疾患としては、外傷、感染症、薬剤熱傷膵炎、自己免疫性疾患、悪性腫瘍等のいずれかが例示される。

概要

背景

生体に対して、異物体(全ての非自己である物質)が侵襲(invasion)した場合、該生体は、侵襲した異物体の種類、量等の条件に応じて、外傷感染症敗血症自己免疫性疾患悪性腫瘍等の炎症性疾患の発生を引き起こす可能性がある。この場合、該疾患等が重症化するか否かを、簡便に、しかも出来る限り早期に下すことが、臨床的には極めて重要である。該疾患等が重症化するか否かよって、その後の治療方針(例えば、患者への肉体的、精神的ないし経済的な負担が大きい薬物、治療を施すか否か;副作用の大きい薬物を使用するか否か;等)が大きく異なることとなるからである。

例えば、上記した疾患の臨床経過中において、時として発生する重要臓器機能不全は、該臨床の行方に多大な影響を及ぼすものであるが、他方、その該疾患等が重要臓器の機能不全を合併するか否かを早期に見極めることは極めて困難であるため、臨床担当医を大いに困惑させている。

最近、該機能不全の予兆ないし警告信号として、systemic inflammatory response syndrome(SIRS)の概念提唱されている(Members of the American College of Chest Physicians/Society of Critical Care Medicine Consensus Conference Committee; American College of Chest Physicians/Societyof Care Medicine Consensus Conference: Definitions for sepsis and organfailure and guidelines for the use of innovative therapies in sepsis.Crit Care Med, 20:864~874,1992)。

SIRSの前述した概念は、sepsis(敗血症)に関する治験のためのentry criteriaとして掲げられた基準値であったが、近年では、重症化のwarning signとして考えられている。

概要

外傷、感染症、自己免疫性疾患、悪性腫瘍をはじめとする炎症性疾患等の重症化の可能性を簡便にスクリーニングすることが可能なスクリーニング方法を提供する。

末梢血において、血球貪食するPHP(peripheral hemophagocyte)の存在の有無を検出することにより、重症化侵襲をスクリーニングする。侵襲としては、あらゆる疾患の人体への攻撃または開始のいずれかが例示される。また、該疾患としては、外傷、感染症、薬剤熱傷膵炎、自己免疫性疾患、悪性腫瘍等のいずれかが例示される。

目的

本発明の目的は、外傷、感染症、自己免疫性疾患、悪性腫瘍を始めとする炎症性疾患等の重症化の可能性を簡便にスクリーニングすることが可能なスクリーニング方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
0件

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請求項1

末梢血中において、血球貪食したPHP(peripheral hemophagocyte)の存在の有無を検出することを特徴とする重症侵襲スクリーニング方法

請求項2

前記侵襲が、あらゆる疾患の人体への攻撃または開始のいずれかである請求項1記載のスクリーニング方法。

請求項3

前記あらゆる疾患の人体への攻撃または開始のいずれかが、systemic inflammatory response syndrome(SIRS)である請求項2記載のスクリーニング方法。

請求項4

前記systemic inflammatory response syndrome(SIRS)がHemophagocyticsyndrome(HPS)である請求項3記載のスクリーニング方法。

技術分野

0001

本発明は、外傷感染症自己免疫性疾患悪性腫瘍を始めとする炎症性疾患等の重症化の可能性を簡便にスクリーニングすることが可能なスクリーニング方法に関する。

背景技術

0002

生体に対して、異物体(全ての非自己である物質)が侵襲(invasion)した場合、該生体は、侵襲した異物体の種類、量等の条件に応じて、外傷;感染症、敗血症;自己免疫性疾患;悪性腫瘍等の炎症性疾患の発生を引き起こす可能性がある。この場合、該疾患等が重症化するか否かを、簡便に、しかも出来る限り早期に下すことが、臨床的には極めて重要である。該疾患等が重症化するか否かよって、その後の治療方針(例えば、患者への肉体的、精神的ないし経済的な負担が大きい薬物、治療を施すか否か;副作用の大きい薬物を使用するか否か;等)が大きく異なることとなるからである。

0003

例えば、上記した疾患の臨床経過中において、時として発生する重要臓器機能不全は、該臨床の行方に多大な影響を及ぼすものであるが、他方、その該疾患等が重要臓器の機能不全を合併するか否かを早期に見極めることは極めて困難であるため、臨床担当医を大いに困惑させている。

0004

最近、該機能不全の予兆ないし警告信号として、systemic inflammatory response syndrome(SIRS)の概念提唱されている(Members of the American College of Chest Physicians/Society of Critical Care Medicine Consensus Conference Committee; American College of Chest Physicians/Societyof Care Medicine Consensus Conference: Definitions for sepsis and organfailure and guidelines for the use of innovative therapies in sepsis.Crit Care Med, 20:864~874,1992)。

0005

SIRSの前述した概念は、sepsis(敗血症)に関する治験のためのentry criteriaとして掲げられた基準値であったが、近年では、重症化のwarning signとして考えられている。

発明が解決しようとする課題

0006

本発明者らの研究によれば、SIRSの基準値を満たした症例の中には自然治癒していくものも多く、臨床的にはさほど有用でなかった。すなわち、このSIRSの状態となった症例であっても、自然軽快するものや、さらに重症化するものの双方があり、したがって、このSIRSの診断が即重症化につながるとは言い難い状況である。

0007

上記観点から、外傷、感染症、自己免疫性疾患、悪性腫瘍を始めとする炎症性疾患等の重症化の可能性を簡便、且つ患者への負担を低くしつつ判定することが、強く求められていた。

0008

本発明の目的は、外傷、感染症、自己免疫性疾患、悪性腫瘍を始めとする炎症性疾患等の重症化の可能性を簡便にスクリーニングすることが可能なスクリーニング方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らは鋭意研究の結果、重症患者において、「血球貪食したPHP(peripheral hemophagocyte)が末梢血中に出現する」という新規現象を見出した。

0010

本発明者らは、更に研究を続けた結果、この「PHPによる血球の貪食」現象の有無が、種々の侵襲の重症化を予測するために極めて効果的であることを見出した。

0011

本発明の重症化侵襲のスクリーニング方法は、上記知見に基づくものであり、より詳しくは、末梢血中において、血球を貪食したPHPの存在の有無を検出することを特徴とするものである。

0012

本発明において、前記侵襲としては、あらゆる疾患の人体への攻撃または開始のいずれかが例示される。また、該疾患としては、外傷、感染症、薬剤熱傷膵炎、自己免疫性疾患、悪性腫瘍等のいずれかが例示される。

0013

前記外傷は、典型的には、身体への物理的損傷または創傷であり;前記感染症は、典型的には、細菌感染ウィルス感染寄生虫感染真菌感染、リッケッチヤ感染、トキソプラズマ感染症のいずれかであり;前記薬剤は、典型的には、現在市販されている全ての薬剤のいずれかであり;前記熱傷は、典型的には、火、化学物質電気放射線のいずれかであり;前記自己免疫性疾患は、典型的には、自己組織成分自己抗原)に対する特異的な液性または細胞性免疫応答を特徴とする状態のものである。

0014

本発明において、前記自己免疫性疾患としては、膠原病突発性間質性肺炎、突発性肺繊維症のいずれかが例示され、該膠原病としては、全身性エリテマトーデス(SLE)、慢性関節性リュウマチ強皮症のいずれかが例示される。

0015

本発明者らの知見によれば、今回新たに見出された末梢血中のPHPは、Hemophagocytic Syndrome(HPS)と総称される血球貪食を伴う組織球増殖性疾患の主体をなし、骨髄等の細網内皮系組織で認められる単球由来細胞(参考文献:ReinerAPand Spivak JL: Hematophagic histiocyosis; a report of 23 new patients and a review of the literature. Medicine 1988; 67:369~388)と同様のものと推定される。

0016

このPHPは、Manoharanの細網内皮系細胞の分類(参考文献:ManoharanA, Catovsky D: Histiocytic medullary reticulosis revisited. Disorders of the monocytemacrophage system. Haematol Blood Transfus 27:205~210,1981)によれば、stage5に相当するphagocyteと考えられた。また、このPHPが貪食する血球も、原因疾患との関連性が低かったため、無作為であると考えられた。

0017

本発明における血球貪食の病態生理は未だ不明確ではあるが、本発明者らは、高サイトカイン血症により活性化されたマクロファージ組織球自己血球を貪食するものと推定し、更に、この血球貪食が、我々が直接確認できるところの、自己臓器傷害証拠と考えた。本発明は、上記したPHPを、臨床経過中に重症化する症例の末梢血中に確認したことに基づくものであり、このPHPは、自己臓器傷害つまり、重症化の指標となり得ると推定された。

発明を実施するための最良の形態

0018

以下、必要に応じて図面を参照しつつ本発明を更に具体的に説明する。以下の記載において量比を表す「部」および「%」は、特に断らない限り重量基準とする。

0019

(HPS)一般にHemophagocytic Syndrome(HPS)と総称される血球貧食を伴う組織球増殖性疾患は、Familial(家族性)hemophagocytic lymphohistiocyosis(FHL)であるprimaryHPSと、secondaryHPSとに二大別される。後者のsecondaryHPSは、ウィルス・細菌感染の他、悪性腫瘍等、様々な原因で生じる事が報告されている。近年、その病態にはサイトカイン関与が指摘され、治療法の見直しが唱えられるようになってきた。現在における診断基準は未だ厳しく、HPSを難治性としている理由の1つと考えられるようになり、最近では、そのクラス分類が重要であるとさえ言われるようになっている。

0020

(現在のHPS)
(I)現在、上記HPSは、活性化したマクロファージ・組織球が反応性に増殖・分化し、さらに自己血球を貧食し、発熱血球減少肝機能障害、高LDHフェリチン血症、等の特有所見を呈してくる症候群とされている。

0021

(II)該HPSの原因は多種多様であり、上記したFHLたるprimaryHPSと、種々の細菌、ウィルスの感染、悪性腫瘍や薬剤投与後に続発するsecondaryHPSとが含まれている。

0022

(III)種々の原因により招来された高サイトカイン血症は、マクロファージ・組織球を活性化している。高値が報告されているサイトカインは、インターロイキン(interleukin;IL)−1β、インターフェロン(interferon;INF)−γ、可溶性インターロイキン−2レセプター、インターロイキン−6,monocyte-macrophage colony stimulating factor(M−CSF)−α等が挙げられる。

0023

(IV)ウイルス感染リンパ腫では、活性化T細胞からIL−2、INF−γ、M−CSF等が分泌され、細菌感染では好中球活性化マクロファージからのエラスターゼ、IL−1β、TNF(tumor necrosis factor)−α、IL−6等が分泌され、更に、サイトカインネットワークを形成する。

0024

(V)発熱、血圧低下傾眠傾向等の臨床症状はそれぞれのサイトカインの作用により発現していると考えてられている。各サイトカインは各々の生物活性を持ち、症例の呈する臨床症状と高値を指摘されたサイトカインには相関関係がある。(参考文献:津田弘之:血球貪食症候群の特集によせて.日常診療と血液7(8):pp983~988,医薬ジャーナル社, 東京,1997;
Tsuda H: Hemophagocytic syndrome (HPS) in children and adults. International Journal of Hematology 65:215~226,1997;
今宿晋作: 血球貪食症候群とは, 血液・腫瘍科,33(6), pp433~439,1996; 今宿晋作:リンパ系腫瘍に伴う血球貪食症候群におけるサイトカインの関与,臨床医, 22(7), 1996)。

0025

(VI)HPSの診断基準として挙げられている汎血球減少、高LDH血症及び高フェリチン血症は、単球・マクロファージの増殖・分化、さらに活性化したマクロファージによる血球貧食によるものとされている。この機序は未だに不明であるが、サイトカインを介した非特異的な血球貧食、または抗体を介した特異的な血球貧食によるとされている(参考文献:熊俊一, ほか:自己免疫関連血球貪食症候群,医学のあゆみ,177(10),pp683~689, ,1996)。

0026

HPSは、難治性(死亡率30%)であり、更に、その原因が多種多様であり;機序が不明であり;診断基準が厳しく;治療方針確立されていないことが問題となっている。

0027

現在、HPSの対策としては、(a)原因による病系の分類(上記したprimaryHPSとsecondaryHPSとに分類);(b)病態病期分類;(c)早期診断による早期治療;(d)病系病態病期分類に沿った治療法の確立が急務とされている。これらの対策のうち、(a)原因による病系の分類は、原因治療のためには重要であるが、今宿、河、津田らによりほぼ分類済みである。(参考文献:今宿晋作:血球貪食症候群とは,血液・腫瘍科, 33(6), pp433~439, 1996; Tsuda H: Hemophagocytic syndrome (HPS) in children and adults.International Journal of Hematology 65:215~226,1997; 河敬世, ほか:血液悪性腫瘍と血球貪食症候群,医学のあゆみ, 177(10),pp673~676,,1996)。

0028

上記(b)〜(d)が進まない原因としては、貧食機序がいまだ不明である事が考えられるが、この貧食には、上記(III)・(IV)で述べたサイトカインのネットワークが存在関与していること、また、上記(V)・(VI)ような臨床症状を呈することから、これらを指標として現在の診断基準が提唱されている(参考文献:Tsuda H: Hemophagocytic syndrome (HPS) in children and adults. International Journal of Hematology 65:215~226,1997;
今宿晋作:血球貪食症候群とは, 血液・腫瘍科,33(6), pp433~439,1996;
今宿晋作: 血球貪食(hemophagocytic)症候群,小児科診療,56(増刊号), pp200, , 1993)。

0029

この「現在の診断基準」の内容は、一週間の高熱持続、高LDH血症、高フェリチン血症、骨髄穿刺によるhemophagocyteの証明等がある。しかしながら、この診断基準は、病態がある程度進行した後に発現する検査値、ないしは検査に侵襲を伴うものであり、結果的に厳しい(容易に実施できない;早期には診断できない)ものとなっている。

0030

現在では、上記(c)早期診断早期治療、(d)病系病態病期分類に沿った治療法の確立の目的で、(b)病態病期分類(診断基準の見直し病態のクラス分類)が急務であるとされており、その基盤にあるサイトカインの測定の有用性が指摘されている(しかしサイトカイン測定は高コストである)。

0031

更に、本発明者らの知見によれば、(d)病系病態病期分類に沿った治療法の確立については、現在の診断基準でHPSの診断を得た段階からの分類による治療開始及び治療法では、現在の治療法に変化を与えるものではなく、救命率の改善はそれほど望めない。従って、(c)早期診断早期治療が救命率向上に重要である。

0032

(末梢血)末梢血(peripheral blood)とは、血管を流れている血液を言う。骨髄液に対する用語である。

0033

より詳しくは、「末梢血」とは、骨髄を出た全ての血液であって、血管を流れている血液(例えば、耳朶血、静脈血動脈血、等)である。末梢血の採血場所は、特に制限されないが、代表的な採血場所は、四肢動脈または静脈である。末梢血は、赤血球白血球血小板等を主成分として含み、これらの成分の正常値は、通常は赤血球350万〜450万/μl、白血球4000〜6000/μl、血小板15万〜35万/μl程度である(このような「末梢血」の詳細については、例えば、柴田進「図解血液病学」第30頁(1996年)金芳堂、を参照することができる)。

0034

他方、上記「骨髄液」とは、骨の髄質液体であり、通常は、骨髄穿刺により採取されるものである。該骨髄液の採取場所は、典型的には、乳幼児では脛骨上部、腰椎棘突起小児では胸骨上部、後腸腸骨稜成人では胸骨板部、腸骨稜等が挙げられる。骨髄液は、有核細胞15万〜35万/μl、骨髄巨核球50〜150/μl等を主成分として含む。骨髄液を観察すると、やや粘調な血液中細胞集塊たる白っぽい小塊や、脂肪が混じっている(このような「骨髄液」の詳細については、例えば、柴田進「図解血液病学」第38頁(1996年)金芳堂、を参照することができる)。

0035

したがって、上記した「末梢血」と「骨髄液」とは、その採取場所で識別できることはもちろん、その成分から識別することも可能である。

0036

貪食細胞)貪食細胞(ないし食細胞、phagocyte)は、異物体(自己体の健全な細胞以外の固形状物体)が生体を侵襲した場合に、該異物体を処理する細胞の総称である。代表的な細胞に大食細胞(マクロファージ)があり、主として清掃細胞となり壊死組織変性細胞を摂取する単核細胞(組織球と単球)が挙げられる。ここに、該「異物体」としては、一般に、外来性寄生体(細菌、真菌、ウィルス等)、非生物体(ほこり煤煙等)、自己の老朽細胞等が挙げられる。

0037

貪食作用)貪食作用(ないし食作用)は、食作用とも言われ、異物を細胞体細胞質内に取り込む作用を言う。その主要な過程は、(1)異物の細胞膜への接着接着因子を介した現象で、該接着因子を橋わたしにしてくっつき合った状態)、(2)細胞内への摂取(異物を細胞質内へ取り込んだ状態で、顕微鏡下に観察することで確認できる)、(3)細胞内消化(取り込んだ異物を、吸収同化可能な物質に変化させる)の3段階に分けられる。

0038

上記した貪食細胞ないし貪食作用の詳細については、例えば、大谷士ら編「ドーラン図説医学大辞典」第1396頁(1980年)廣川書店; 後稠ら編「最新医学大辞典」第676頁(1987年)医歯薬出版株式会社を参照することができる。

0039

(血球)血球とは、血液中に浮遊している細胞をいい、通常は赤血球、白血球、血小板に分類される。本発明のスクリーニング法においては、血球(例えば、赤血球、白血球、血小板で、成熟度については限定されない)を貪食するPHPの存在の有無を検出することに特徴がある。ここで形態学的と限定したのは、観察上のことである(このような「血球」の詳細については、例えば、柴田進「図解血液病学」第2頁、第21〜23頁(1996年)金芳堂; 後藤稠ら編「最新医学大辞典」第395頁(1987年)医歯薬出版株式会社、を参照することができる)。

0040

(PHP)PHP(peripheral hemophagocyte)は、末梢血中に発見した食細胞(phagocyte)であるが、上記の貪食(食)細胞(phagocyte)とは異なり、血球を貪食している貪食(食)細胞(phagocyte)である。通常、末梢血中では認められない細胞である。

0041

本発明のスクリーニング法において、病因となっているPHPは単球由来である。単球・組織球の発生分化については種々の説があるが、本発明者らの知見による推定は、以下の通りである。すなわち、単球発生の首座は骨髄であり、ここで感作された単球は分化増殖し、次第に数を増し、ついには、末梢血中に滲出してくる。単球のライフサイクルの詳細は不明であるが、未熟単芽球から単球に成熟末梢に出てくるまでに約7日間を要し、血中に滞留する時間(半減期)は約3日と推定され、さらに組織に侵入した細胞の寿命は、数ヶ月と推定されている。

0042

この単球の生理的発生分化を考慮すると、何らかの侵襲が身体に加わった場合、高サイトカイン血症が惹起され、これによって活性化された単球が、分化増殖能及び貧食能を獲得し、組織球・マクロファージへ分化増殖し、次第に数を増しHPSの病態を形成する。発熱は高サイトカイン血症、汎血球減少は組織球による貧食の結果であり、高LDH血症・高フェリチン血症は更に貧食が進んだ状態である。その首座が肝・リンパ節に移動した場合、それぞれの臓器での炎症性変化に伴う臓器障害が見られるようになるものと推定される。

0043

(PHPの検出)本発明において正常細胞(血球)を貪食すべきPHPは、基本的に、従来の榛器(フローサイトメトリー法レーザー法細胞画像解析システム(例えば、コールター社製の商品名:MICR0−21、等)を使用することにより、好適に検出可能である。本発明においては、これら従来の機器に、PHPを認識させた後に使用すればよい。例えば、上記したコールター社製のMICR0−21細胞画像解析システムにおいて、コンピュータに画像データを取り込み、処理するプログラムを適宜作成して、該システムに適用すればよい。

0044

PHPの検出時、細胞の染色は従来の方法、例えばロマノスキー染色(ギムザ染色ライトギムザ染色、メイギムザ染色等)を用いて行えばよい。より明確な分類を可能とするため、特殊な染色方法(例えば、該細胞に特異的なモノクローナル抗体を用いた免疫染色法)を用いることも可能である。また、遠心分離による分離検出法を、上記検出方法に組み合わせてもよい。

0045

実施例1
1997年1月〜1997年12月までに、熊本県熊本市の江病院外来受診あるいは入院した患者の中から任意に1000例を選択しPHPを検索したところ4症例が陽性であったが、4症例全て下記(表1)に示すSIRSの診断基準(米国胸部疾患学会による診断基準)を満たしていた。さらに、SIRSの診断基準を満たしていた症例中から、PHPを認めた群(PHPを認めた症例群より任意に10例選択した)と、認めなかった群(PHPを認めなっかった症例群より任意に10例選択した)の2群(合計20症例)について、年齢、原因疾患、治療内容罹患期、転帰について比較検討した。

0046

0047

SIRSの診断は、上記(表1)に基づき、診断を得た日を発症日(0日)とした。この発症日より主治医の判断で血液検査依頼が出た際にスメア標本をとり、末梢血中にPHPを認めた場合を陽性とし(+)と示し、認めない場合を陰性とし(−)と示した。また、 PHPが確認された日を出現日として示した。

0048

SIRSの状態を脱し、CRP(C-reactive protein)が1.0mg/dl以下となり、主治医の判断で治療中止となった日を軽快日とし、発症日から軽快日または死亡日までを罹患期とした。治療内容は、症例の病態に合わせ主治医が必要十分と判断した内容であり、罹患期に使用された薬剤の概要を示した。

0049

上記研究の結果、重症化したSIRS症例の末梢血中に、血小板、赤血球や単球を含む白血球等の血球を貪食したphagocyteを認めた。この貪食を示す顕微鏡写真倍率:500倍)を、図1および2の写真に示す。

0050

PHPに貪食される細胞の種類が単一である場合を認めることはあったが、原因疾患との関連は認められず、一定ではなかった。

0051

上記した全SIRS症例(20症例)の年齢は22〜92で、平均は71.6±16.6才、陽性群の平均は78.4±11.5才、陰性群の平均は63.2±18.4才で年齢に有意差を認めなかった。出現日の平均は3.4±1.1日であった。治療内容に関しては、明らかに陽性群で多種多量の薬剤を必要とした。陽性群における死亡例を除く罹患期の平均は、16.6±8.5日、陰性群の罹患期の平均は4.9±2.7日であり、有意差を認めた(p<0.01)。転帰においては、陽性群に2症例の死亡例が含まれていた。(下記表2参照)。

0052

0053

上記したPHP陽性群と陰性群の臨床経過について比較検討において、年齢は、来院した患者群の関係上、高齢者が対象となったため陽性群の平均年齢高齢となったが、両群には有意差は認められなかった。他方、治療内容、罹患期、転帰には明らかに差を認め、陽性群では、長期の罹患期に加え、高価で多種多様の薬剤を必要とし、死亡例も見られた。

0054

出現日については、生理学上、単球系細胞が活性化・増殖し末梢血中に出現してくるのは約7日後、さらに侵襲が加われば、その早さは2〜3倍にも成るとされており、今回の結果も含め、発症日より約1週間の検索は重要であり、特に2〜5日目の検索には注意が必要と考えられた。

0055

上記した比較検討の結果から、PHPによる血球の貪食の有無は、充分に重症化の指標となると判断された。

0056

実施例2
本発明者らの知見によれば、今回新たに見出された末梢血中のPHPは、Hemophagocytic Syndrome(HPS)と総称される血球貪食を伴う組織球増殖性疾患の主体をなし、骨髄等の細網内皮系組織で認められる単球系由来の細胞(参考文献:ReinerAPand Spivak JL: Hematophagic histiocyosis; a report of 23new patients and a review of the literature. Medicine 1988; 67:369~388)と同様のものと推定しており、さらに、PHPは、生理学上骨由来のものであると推測し、SIRSの診断基準を満たしていた症例中から、インフォームドコンセントのもとに、骨髄におけるhemophagocyteの出現比率に対する末梢血のPHPの有無を検討した(下記表3参照)。

0057

0058

上記表3に示したように、骨髄におけるhemophagocyteの出現比率の約1.0%前後を境にして、末梢血のPHPの有無に差を認めた。

0059

上記した骨髄におけるhemophagocyteの出現比率に対する末梢血のPHPの有無の検討から、全てのSIRSの症例において骨髄ではhemophagocyteが出現しており、さらに、hemophagocyteが骨髄で増生してくる早期からPHPが認められることが明らかになった(早期と判断した根拠は、骨髄で0.9%の出現率の時PHPは陰性であり、しかもその時点ではSIRS症例でも外来にて経口投与薬にて対処しているレベルであるからである)。さらに、骨髄における出現率が3.0%を越えるとHPSとなる。また、現在HPSの原因疾患としては血液学的な報告が多く、他種の疾患については疑問視されていたが、本発明者らによれば、SIRSを認めた肺炎穿孔性腹膜炎、術後縫合不全急性膵炎症例で末梢血中にhemophagocyteが出現しその後DIC(disseminated intravascular coagulation)を合併した症例を経験している。従って、どんな疾患にもSIRSの後HPSは起こる可能性があり、HPSはSIRSの部分症であることが確認された(下記表4及び図3参照)。

0060

0061

さらに、前述のように、末梢血中にhemophagocyteが出現しその後PHPによる血球貪食が血小板の減少を招来することによりDICを合併した症例を経験していることから、侵襲時の重要臓器機能不全の発症機序において、マクロファージ自身による血球貪食による汎血球減少、さらにはDICを合併してくる病態を付加すべきではないかと考えた(図4参照)。

発明の効果

0062

上述したように本発明によれば、末梢血中において血球を貪食するPHPの存在の有無を検出することを特徴とする重症化侵襲のスクリーニング方法が提供される。

0063

本発明のスクリーニング方法は、患者への負担が少ない末梢血液像を用い、しかも特徴的な形態を有するPHPを利用するため、他の細胞との区別が容易である。加えて、末梢血液像におけるPHPは、スメア標本の辺縁、引き終わりに集まる傾向を有するため、該「辺縁」ないし「引き終わり」部分の観察を行うことにより、簡便にPHPの観察が可能である。

0064

したがって、本発明によれば、外傷、感染症、自己免疫性疾患、悪性腫瘍を始めとする炎症性疾患等の重症化の可能性を、簡便にスクリーニングすることが可能となり、これらの疾患の早期発見、および症状に適した早期治療の可能性を著しく高めることができる。

図面の簡単な説明

0065

図1大型の成熟したhistiocyte(組織球)が、血小板、赤血球、単球等を貪食している様子を示す末梢血の顕微鏡写真(倍率:500倍)である(Monoharan分類でstage5)。
図2大型の成熟したhistiocyteが、好中球、単球等を貪食している様子を示す末梢血の顕微鏡写真(倍率:500倍)である(Monoharan分類でstage5)。
図3本発明者らの知見に基づく、侵襲に対する生体反応相互関係を示す図である。
図4本発明者らの知見に基づく、侵襲時の重要臓器機能不全の発症機序を示す図である。

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