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技術 高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法

出願人 新日鐵住金株式会社
発明者 松村賢一郎宮坂明博
出願日 1998年4月7日 (22年8ヶ月経過) 出願番号 1998-094755
公開日 1999年10月26日 (21年2ヶ月経過) 公開番号 1999-293438
状態 未査定
技術分野 溶融金属による被覆
主要キーワード 予備加熱炉 加熱前処理 外観むら 高温合金 ガス残り エアパージ 冷却炉 合金化後
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この項目の情報は公開日時点(1999年10月26日)のものです。
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課題

Si系の高張力鋼板への合金化溶融亜鉛めっきにおいて、不めっきを防ぎ密着性外観に優れた高張力溶融亜鉛めっき鋼板とその製造方法を提供する。

解決手段

Siを0.1〜2.5重量%を含む鋼板表面に亜鉛または亜鉛を主体とする合金溶融めっき後、550℃〜600℃で加熱合金化処理した合金化溶融亜鉛めっき層を有する溶融亜鉛めっき鋼板において、めっき層中にCuを0.01〜3.0g/m2 含有させた高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板と、前記したSiを含む高張力鋼板表面を清浄化した後、その表面にCuまたはCu化合物をCu量として0.1〜3.0g/m2 付着させ、還元性あるいは非酸化性雰囲気焼鈍した後、大気に接触させずに溶融亜鉛中に通板し、さらに550℃超〜600℃で加熱合金化処理する高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。

概要

背景

合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、耐食性塗装密着性等に優れ、特に自動車用鋼板として広く使用されている。最近では、自動車の安全性、耐久性、軽量化への要求がより高まり、これらを満たす材料として、シリコン(Si)を添加して鋼板高張力化することで安全性や耐久性を向上させ、また高張力ゆえ、鋼板の薄手化が可能となり軽量化を実現できる高張力鋼板を用いた合金化溶融亜鉛めっき鋼板への期待が大きい。

このような高張力鋼板の溶融亜鉛めっきにおいては、鋼板の加熱前処理焼鈍)時に、Siを主体とする難還元性酸化物が鋼板表面に生成する。これらの酸化物は、溶融亜鉛との濡れ性を悪化させ、不めっきを生じさせる。

上記の問題に対し、例えば、特開平3−134147号公報、特開平8−170159号公報では、Fe系の酸化物皮膜予備加熱炉で形成させることで不めっき防止を図っている。しかし例えば全還元式の焼鈍炉を有すラインにおいては酸化物皮膜を形成させるための設備導入が必要となり、設備制約が大きい。また、特開平5−239606号公報では、酸化剤を用いて鉄の酸化皮膜を形成させることで不めっき防止を図っている。しかし、酸化剤の反応制御は生産速度が変化するラインにおいて非常に困難であり、酸化皮膜量にばらつきを生じ、品質に悪影響を与える可能性がある。

その他の例としては、特開平7−70724号公報に見られるように焼鈍により濃化した酸化物皮膜を酸洗あるいは研磨による方法がある。しかし、焼鈍直後には溶融めっき浴に鋼板を進入させるような現状の溶融めっき設備の構造を考えると実用的でなく、著しい設備投資を余儀なくされる。また、生産速度が変化するラインにおいては酸洗量、研磨量が変化し、品質にばらつきを生じる可能性がある。

また、プレめっき法を用いた例として、特開平6−128758号公報が公知であり、Ni、Fe、Coを5〜70mg/m2 と非常に少ないプレめっき付着量で効果があるものの、プレめっき後に酸化雰囲気下での酸化鉄の形成が必要であり、ここでも設備制約が大きい。また、生産速度が変化するラインにおいては、プレめっきは電気めっきで制御可能であっても、プレめっき後の酸化鉄の形成においてここでも酸化皮膜量が変化し、品質に悪影響を生じる。 このように、設備制約や品質のばらつきにおいてこれまでの手法には課題が残されている。

Siを主体とする難還元性酸化物の影響として、不めっきのほかに合金化遅滞があげられる。上記のいずれの従来技術を用いても、合金化は遅い。合金化速度の適正化への対策としては、合金化温度高温化が操業上容易であるものの、密着性の悪化や外観の悪化を伴なうことから、高温合金化の手法は敬遠されている。

概要

Si系の高張力鋼板への合金化溶融亜鉛めっきにおいて、不めっきを防ぎ密着性と外観に優れた高張力溶融亜鉛めっき鋼板とその製造方法を提供する。

Siを0.1〜2.5重量%を含む鋼板表面に亜鉛または亜鉛を主体とする合金溶融めっき後、550℃〜600℃で加熱合金化処理した合金化溶融亜鉛めっき層を有する溶融亜鉛めっき鋼板において、めっき層中にCuを0.01〜3.0g/m2 含有させた高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板と、前記したSiを含む高張力鋼板表面を清浄化した後、その表面にCuまたはCu化合物をCu量として0.1〜3.0g/m2 付着させ、還元性あるいは非酸化性雰囲気で焼鈍した後、大気に接触させずに溶融亜鉛中に通板し、さらに550℃超〜600℃で加熱合金化処理する高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。

目的

課題解決にあたっては現行生産条件を大きく崩すことのない手法が望まれる。もちろん、生産されためっき鋼板が、密着性、外観等の品質が劣っていることは許されず、「品質」と「現行の生産条件への適合性」の両者を満足する鋼板、および製造法が必要である。本発明は、上記の問題点に鑑み、Si添加系の高張力鋼板の合金化溶融亜鉛めっきにおいて、不めっきを防止し、かつ密着性や外観の優れた高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板とそれを製造する方法を提供することを目的としている。

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
2件

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請求項1

鋼中成分として、Siを0.1〜2.5重量%を含む鋼板の表面に亜鉛または亜鉛を主体とする合金溶融めっきした後、550℃超〜600℃で加熱合金化処理し、合金化溶融亜鉛めっき層を有する溶融亜鉛めっき鋼板において、該めっき層中にCuを0.01〜3.0g/m2 含有せしめたことを特徴とする高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板

請求項2

めっき層にさらにNiまたはCoの1種または2種を総和で0.005〜5.0g/m2 含有せしめたことを特徴とする請求項1に記載の高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板。

請求項3

鋼中成分として、Siを0.1〜2.5重量%を含む高張力鋼板表面を清浄化した後、該鋼板表面にCuまたはCu化合物をCu量として0.1〜3.0g/m2 付着させ、還元性あるいは非酸化性雰囲気焼鈍した後、該鋼板を大気に接触させることなく溶融亜鉛中に通板せしめ、さらに550℃超〜600℃で加熱合金化処理することを特徴とする高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。

請求項4

鋼中成分として、Siを0.1〜2.5重量%を含む高張力鋼板表面を清浄化した後、該鋼板表面にCuまたはCu化合物をCu量として0.1〜3.0g/m2 付着せしめ、NiまたはNi化合物、あるいはCoまたはCo化合物の1種または2種以上をNiおよびCoの総和で0.005〜5.0g/m2複合して付着せしめ、還元性あるいは非酸化性の雰囲気で焼鈍した後、該鋼板を大気に接触させることなく溶融亜鉛中に通板せしめ、さらに550℃超〜600℃で加熱合金化処理することを特徴とする高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。

請求項5

加熱合金化処理により、溶融亜鉛めっき層中のFe含有量が重量%で7〜15%に到達した後、エア冷却、ミスト冷却気水冷却のいずれか1種、または2種以上の冷却装置にて、冷却速度10℃/s以上で、冷却することを特徴とする請求項3または4に記載の高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。

技術分野

0001

本発明は高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法に関するものである。

背景技術

0002

合金化溶融亜鉛めっき鋼板は、耐食性塗装密着性等に優れ、特に自動車用鋼板として広く使用されている。最近では、自動車の安全性、耐久性、軽量化への要求がより高まり、これらを満たす材料として、シリコン(Si)を添加して鋼板高張力化することで安全性や耐久性を向上させ、また高張力ゆえ、鋼板の薄手化が可能となり軽量化を実現できる高張力鋼板を用いた合金化溶融亜鉛めっき鋼板への期待が大きい。

0003

このような高張力鋼板の溶融亜鉛めっきにおいては、鋼板の加熱前処理焼鈍)時に、Siを主体とする難還元性酸化物が鋼板表面に生成する。これらの酸化物は、溶融亜鉛との濡れ性を悪化させ、不めっきを生じさせる。

0004

上記の問題に対し、例えば、特開平3−134147号公報、特開平8−170159号公報では、Fe系の酸化物皮膜予備加熱炉で形成させることで不めっき防止を図っている。しかし例えば全還元式の焼鈍炉を有すラインにおいては酸化物皮膜を形成させるための設備導入が必要となり、設備制約が大きい。また、特開平5−239606号公報では、酸化剤を用いて鉄の酸化皮膜を形成させることで不めっき防止を図っている。しかし、酸化剤の反応制御は生産速度が変化するラインにおいて非常に困難であり、酸化皮膜量にばらつきを生じ、品質に悪影響を与える可能性がある。

0005

その他の例としては、特開平7−70724号公報に見られるように焼鈍により濃化した酸化物皮膜を酸洗あるいは研磨による方法がある。しかし、焼鈍直後には溶融めっき浴に鋼板を進入させるような現状の溶融めっき設備の構造を考えると実用的でなく、著しい設備投資を余儀なくされる。また、生産速度が変化するラインにおいては酸洗量、研磨量が変化し、品質にばらつきを生じる可能性がある。

0006

また、プレめっき法を用いた例として、特開平6−128758号公報が公知であり、Ni、Fe、Coを5〜70mg/m2 と非常に少ないプレめっき付着量で効果があるものの、プレめっき後に酸化雰囲気下での酸化鉄の形成が必要であり、ここでも設備制約が大きい。また、生産速度が変化するラインにおいては、プレめっきは電気めっきで制御可能であっても、プレめっき後の酸化鉄の形成においてここでも酸化皮膜量が変化し、品質に悪影響を生じる。 このように、設備制約や品質のばらつきにおいてこれまでの手法には課題が残されている。

0007

Siを主体とする難還元性酸化物の影響として、不めっきのほかに合金化遅滞があげられる。上記のいずれの従来技術を用いても、合金化は遅い。合金化速度の適正化への対策としては、合金化温度高温化が操業上容易であるものの、密着性の悪化や外観の悪化を伴なうことから、高温合金化の手法は敬遠されている。

発明が解決しようとする課題

0008

課題解決にあたっては現行生産条件を大きく崩すことのない手法が望まれる。もちろん、生産されためっき鋼板が、密着性、外観等の品質が劣っていることは許されず、「品質」と「現行の生産条件への適合性」の両者を満足する鋼板、および製造法が必要である。本発明は、上記の問題点に鑑み、Si添加系の高張力鋼板の合金化溶融亜鉛めっきにおいて、不めっきを防止し、かつ密着性や外観の優れた高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板とそれを製造する方法を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らは、Si添加系の高張力鋼板について、合金化を促進する手法として高温合金化に着目し、高温合金化時にも外観や密着性が優れた方法を検討した。その結果、めっき層中にCuを含有せしめることが外観、特にめっきむらの改善に有効であることを発見した。さらに検討を重ねた結果、Cuと同時にNiまたはCoを複合して含有せしめることで密着性が向上することを見出した。

0010

本発明者らは続いて、不めっきを防止する手法について検討した結果、CuまたはCu化合物溶融めっき前に付着せしめることで不めっきが完全に抑制されることを見出した。さらに、NiまたはNi化合物あるいはCoまたはCo化合物を複合して付着せしめることでめっき密着性を向上することができ、重ねて検討した結果、加熱合金化処理後の冷却パタンを最適化することで、外観や密着性をいっそう良化できることを見出した。

0011

本発明はこれらの知見に基づいてなされたもので、本発明の要旨とするところは、(1)鋼中成分として、Siを0.1〜2.5重量%を含む鋼板の表面に亜鉛または亜鉛を主体とする合金を溶融めっきした後、550℃超〜600℃で加熱合金化処理し、合金化溶融亜鉛めっき層を有する溶融亜鉛めっき鋼板において、該めっき層中にCuを0.01〜3.0g/m2 含有せしめたことを特徴とする高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板、(2)めっき層にさらにNiまたはCoの1種または2種を総和で0.005〜5.0g/m2 含有せしめたことを特徴とする前記(1)に記載の高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板、(3)鋼中成分として、Siを0.1〜2.5重量%を含む高張力鋼板表面を清浄化した後、該鋼板表面にCuまたはCu化合物をCu量として0.1〜3.0g/m2付着させ、還元性あるいは非酸化性雰囲気で焼鈍した後、該鋼板を大気に接触させることなく溶融亜鉛中に通板せしめ、さらに550℃超〜600℃で加熱合金化処理することを特徴とする高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法、(4)鋼中成分として、Siを0.1〜2.5重量%を含む高張力鋼板表面を清浄化した後、該鋼板表面にCuまたはCu化合物をCu量として0.1〜3.0g/m2 付着せしめ、NiまたはNi化合物、あるいはCoまたはCo化合物の1種または2種以上をNiおよびCoの総和で0.005〜5.0g/m2複合して付着せしめ、還元性あるいは非酸化性の雰囲気で焼鈍した後、該鋼板を大気に接触させることなく溶融亜鉛中に通板せしめ、さらに550℃超〜600℃で加熱合金化処理することを特徴とする高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法、(5)加熱合金化処理により、溶融亜鉛めっき層中のFe含有量が重量%で7〜15%に到達した後、エア冷却、ミスト冷却気水冷却のいずれか1種、または2種以上の冷却装置にて、冷却速度10℃/s以上で、冷却することを特徴とする前記(3)または(4)に記載の高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。

発明を実施するための最良の形態

0012

以下、本発明について詳細に説明する。まず、本発明において高張力鋼板に含まれるSi含有量は重量%で0.1%未満ではそもそも不めっきが発生せず、同時に合金化遅滞も程度が小さく問題にならない。また2.5%を超えて含有させると、材質上これを超えた添加は硬くなりすぎるため、これ以下とする。

0013

めっき層中のCu含有量は0.01g/m2 未満だと、高温合金化時の外観の改善効果がほとんど見られない。また3.0g/m2 を超えると、外観の改善効果は飽和する一方で、密着性が悪化傾向にあり3.0g/m2 以下とする。

0014

Cuと複合して含有せしめるNiやCoは0.005g/m2 未満では、密着性改善の効果がほとんど見られない。また5.0g/m2 を超えると、密着性改善の効果が飽和する。これ以上含有せしめても密着性を害することはないが、コストを考慮してこれ以下とする。含有せしめるNiやCoはいずれか一方であってもかまわないし、あるいは両者を含有せしめてもかまわない。ここでの含有量はNi、Coの総和としての含有量である。

0015

本発明においては、合金化溶融亜鉛めっき層中に上記CuとCuに複合添加されるNiやCo以外に、Al、Pb、Sb、Si、Fe、Sn、Mg、Mn、Cr、Ca、Li、Ti、希土類元素の1種または2種以上を積極的に含有、あるいは不可避的に混入しためっきであっても本発明の効果発現に何ら問題はない。

0016

さらに、本発明における高張力鋼板は、その主たる構成元素であるFeとSiの他に、Feとの合金元素としてC、Mn、P、S、Cu、Ni、Cr、Mo、Co、Al、Nb、V、Ti、Zr、Ta、Hf、Pb、Bi、Sb、B、N、O、希土類元素、Ca、Mgの1種または2種以上を該鋼板の要求性能に応じて適宜含有し、不可避不純物を含有するものである。また、本発明において鋼板の板厚は効果発現上何ら制約をもたらすものではなく、通常用いられている板厚(例えば0.3mm〜4mm)であれば本発明を適用することができる。

0017

さらに、本発明において、Si含有高張力鋼板の表面を清浄化した後、鋼板表面にCuまたはCu化合物を付着させるものであるが、その量はCu量として0.1〜3.0g/m2 の付着量で不めっきに対して有効である。Cuが0.1g/m2 未満では不めっき抑制の効果が十分でない。3.0g/m2 を超えると、密着性を悪化させる可能性があり、これ以下とする。

0018

付着させるCuの種類としては、金属Cu、1価または2価の酸化形態を持つCu化合物(例えばCu2 O、CuO、CuSO4 など)など、Cuが含まれていればいずれの形態でもよく、また上記の形態を2種以上混在させてもかまわない。ただし、Cuが酸化形態を持つCu化合物の場合、Cuを金属状態へ還元させることが必要である。付着法についても特に限定されるものではなく、電解法無電解法塗布法スプレー法浸漬法蒸着法などが使用できる。

0019

Cuと複合して付着させるNiあるいはCoの種類としては、金属Niや金属Co、2価または3価の酸化形態を持つNi化合物やCo化合物(例えばNiO、CoO、Co2 O3 、NiSO4 、CoSO4 、Ni(NO3)2 、Co(NO3)2 、NiCl2 、CoCl2 など)など、NiあるいはCoが含まれていればいずれの形態でもよく、上記の形態を2種以上混在させてもかまわない。また、Ni、Coの両者を付着させてもかまわない。ただし、NiやCoが酸化形態を持つ化合物の場合、NiやCoを金属状態へ還元させることが必要である。NiあるいはCoの量は総和で0.005g/m2 未満では、密着性改善の効果が小さい。また、5.0g/m2 で効果が飽和するため、コスト的にこれ以下が好ましい。

0020

付着法についても特に限定されるものではなく、電解法、無電解法、塗布法、スプレー法、浸漬法、蒸着法などが使用できる。また付着させる手順として、Cu付着後にNiあるいはCoを付着させる方法、Cu付着以前にあらかじめNiあるいはCoを付着させる方法、あるいはCuと同時にNiあるいはCoを付着させる方法のいずれを用いても本発明の効果発現に支障ない。

0021

加熱合金化処理温度は、550℃以下では、合金化が進みにくく、600℃を超えると、合金化の制御が困難になり、密着性を悪化させるΓ相が著しく成長するため、550℃超、600℃以下とする。

0022

さらに本発明においては、加熱合金化処理により、溶融亜鉛めっき層中のFe含有量が重量%で7〜15%に到達した後、エア冷却、ミスト冷却、気水冷却のいずれか1種、または2種以上の冷却装置にて、冷却速度10℃/s以上で、冷却するものであるが、冷却を始める位置としては、加熱合金化処理により、溶融亜鉛めっき層中のFe含有量が重量%で7%未満の場合、合金化の進行が不足し、所定の合金組成(Fe7〜15%)が得られない。また、15%を超えた時点で冷却を開始すると、合金化が進行しすぎて、所定の合金組成が得られない可能性があるだけでなく、Γ相の成長による密着性悪化が懸念され、好ましくない。

0023

冷却装置としては、エア冷却、ミスト冷却、気水冷却のいずれでもかまわないし、これらの2種以上を複合で使用して冷却してもかまわない。冷却速度は10℃/s未満では、外観や密着性改善の効果が十分でないため10℃/s以上とする。冷却速度の上限は特に定めないが、ここでの冷却は外観や密着性改善だけでなく、溶融亜鉛めっき層中のFe含有量の調整をも含んだ工程であり、合金化の進行度の制御という観点から、10℃/s〜70℃/sの冷却速度で合金化の制御がしやすく、さらに好ましい。エア冷却用ガスとしては、水素窒素アルゴンガスなど、非酸化性のガスならいずれも適用でき、これらを混合して使用してもかまわない。

0024

鋼板の清浄化は、従来から使用されている方法を適用することができ、例えば、アルカリ脱脂電解脱脂、酸洗のいずれか、あるいはこれらの組み合わせを適用することができる。

0025

連続溶融亜鉛めっき設備の前処理炉で、鋼板を焼鈍する熱処理温度としては特に限定されるものではなく、通常の温度(例えば650〜950℃)を適用できる。また、雰囲気としては、通常適用されている雰囲気方法に準じて行えばよく、例えば、無酸化炉還元炉(水素3〜25%、残部窒素)式、全還元炉(水素3〜25%、残部窒素)式などいずれも使用することができる。ただし、酸化性雰囲気(例えばエアパージ)にて焼鈍する場合、焼鈍の最終段階では、生成した酸化物(Cu酸化物Ni酸化物Co酸化物Fe酸化物等)を還元する雰囲気が必要である。

0026

溶融亜鉛めっき浴は従来から適用されている条件でよく、例えば、Alを0.01%〜5重量%程度含有するめっき浴で、浴温度440℃〜480℃といった条件が適用できる。また、溶融金属としては、亜鉛が主体であれば、不可避的にPb、Cd、Ni、Co、Fe、Ti、Mg、Nb、Mn、B、Si、Cu、Cr、P等を含んでいてもよく、さらにめっき層の品質を向上するためにAl、Mg、Ti、Mn、Fe、Ni、Co、Cuを所定量添加してもよい。このようにして溶融亜鉛めっきを20〜200g/m2 施すことにより、種々の用途に適用することができる。

0027

加熱合金化処理に際して、合金化の加熱方式は特に限定されるものではなく、燃焼ガスによる直接加熱や、誘導加熱直接通電加熱等、従来からの溶融めっき設備に応じた加熱方式を用いることができる。

0028

このようにして得られた高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板表面に塗装性溶接性潤滑性、耐食性等を改善する目的で、必要に応じて、各種の電気めっきやクロメート処理、潤滑性向上処理りん酸塩処理樹脂塗布処理、溶接性向上処理等を施すことができる。

0029

次に、本発明例を比較例とともにあげる。供試材は表1に成分を示す鋼板とし、板厚は冷延鋼板では0.8mm、熱延鋼板では4.0mmとした。さらに表2に示すようなCu、Ni、Coの皮膜種および処理法、手順にてCuやNi、Coを付与した後、連続溶融亜鉛めっき設備の前処理炉(雰囲気H2ガス5%、N2ガス残りからなり、予熱炉加熱炉均熱炉冷却炉から構成した前処理炉)で焼鈍した。

0030

溶融亜鉛めっき浴の浴組成は0.10%Al、残り亜鉛とした。浴温度は460℃とした。

0031

溶融めっきは、実施例、比較例ともに浴中の通板時間を3秒とし、N2ガスワイパーにて亜鉛の付着量を60g/m2 に調整した。合金化は誘導加熱方式加熱設備を用いた。加熱合金化温度および、加熱合金化後の冷却は表3に示す条件で行った。

0032

評価は、外観、密着性、合金化速度について調べた。評価の外観は、目視にて不めっきやむら等がなく均一外観であるものを◎、不めっきがなく、実用上差し支えない程度の軽微外観むらを○、外観むらが著しいものを△、不めっきが発生かつ外観のむらが著しいものを×とした。評価の密着性は、高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板を60°V曲げし、曲げ部のめっき剥離状況から評価した。めっき剥離なしを◎、実用上差し支えない程度の軽微な剥離を○、相当量の剥離が見られるものを△、剥離が著しいものを×で評価した。合金化速度は、合金化後のめっき層中のFe含有量が10%に到達する時間を求め、20秒以内を◎、40秒以内を○、40秒超を×とした。

0033

実施例1〜18は、本発明であるが、いずれも不めっきがなく、外観、密着性ともに良好であり、合金化速度も大きかった。

0034

一方、比較例において、比較例1ではCuが存在しないために、また比較例2ではCu付着量が少なすぎて、それぞれ不めっきが発生した。比較例3では合金化温度が低く、合金化に著しい時間を要した。比較例4では合金化温度が高すぎめっき密着性が悪化した。比較例5ではCuの含有量、付着量が多すぎ、やや密着性が悪化した。

0035

0036

0037

0038

発明の効果

0039

以上述べたように、本発明は、Si添加高張力合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法について、従来ある生産設備への著しい投資を抑え設備制約を最小限にとどめつつ、不めっきを抑制し、かつ外観、密着性に優れた鋼板を生産性良く製造可能としたものであり、産業発展に貢献するところは極めて大きい。

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