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※この項目の情報は公開日時点(1999年10月26日)のものです。
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課題
解決手段
概要
背景
ゴミ焼却場等で生じる煤塵、鉱山から排出される鉱滓、廃水処理の際に用いられる活性汚泥、汚染された土壌等の固体状廃棄物中には種々の金属元素が含有されており、水銀、カドミウム、鉛、亜鉛、銅、クロム等の人体に有害な重金属元素が多量に含有されている場合も多い。これら固体状廃棄物から金属が溶出すると、地下水、河川、海水等が汚染される虞れがある。
このため従来は、固体状廃棄物をセメントで固めた後、埋め立てて処理する方法が採られていたが、海水や雨水と接触した際にセメント壁を通して海水中や土中に金属が溶出する虞れがあり、この方法は必ずしも安全な処理方法とは言えなかった。また固体状廃棄物に金属捕集剤を添加して金属を固定化した後、固体状廃棄物をセメント等で固めて処理する方法も行われている。
概要
煤塵、鉱滓、汚泥、土壌等の固体状廃棄物を処理するために、これらに金属捕集剤を添加して混練した後、セメント等で固めて最終処分する方法が知られているが、金属捕集剤は固体状廃棄物中のカルシウムは固定化できず、固定化されていないカルシウムが溶出すると、セメント壁が破壊されて固定化されている金属まで溶離し易くなる虞れがあった。また従来はセメント等を多量に必要とするため、セメント等で固めた廃棄物のその後の処理や移送に困難を伴った。更に従来法では煤塵中に有毒なダイオキシン類が含まれている場合、煤塵等を安全に処理することはできなかった。
本発明の固体状廃棄物処理剤は、亜リン酸類及び/又は次亜リン酸類、或いは亜リン酸類及び/又は次亜リン酸類と、アルミニウム化合物及び/又はチタン化合物を含有することを特徴とするもので、本発明の固体状廃棄物の処理方法は、固体状廃棄物に、亜リン酸及び/又は次亜燐酸を含有する固体状廃棄物処理剤を添加して混練し、固体状廃棄物を無害化する方法である。
目的
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 3件
- 牽制数
- 18件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
技術分野
0001
本発明は、焼却灰、煤塵、鉱滓、汚泥、土壌、シュレッダーダスト等の固体状廃棄物中に存在する有害な金属、有機塩素化物等を無害化し、その後の固体状廃棄物処理工程における取扱いを容易にすることのできる固体状廃棄物処理剤及び固体状廃棄物の処理方法に関する。
背景技術
0002
ゴミ焼却場等で生じる煤塵、鉱山から排出される鉱滓、廃水処理の際に用いられる活性汚泥、汚染された土壌等の固体状廃棄物中には種々の金属元素が含有されており、水銀、カドミウム、鉛、亜鉛、銅、クロム等の人体に有害な重金属元素が多量に含有されている場合も多い。これら固体状廃棄物から金属が溶出すると、地下水、河川、海水等が汚染される虞れがある。
0003
このため従来は、固体状廃棄物をセメントで固めた後、埋め立てて処理する方法が採られていたが、海水や雨水と接触した際にセメント壁を通して海水中や土中に金属が溶出する虞れがあり、この方法は必ずしも安全な処理方法とは言えなかった。また固体状廃棄物に金属捕集剤を添加して金属を固定化した後、固体状廃棄物をセメント等で固めて処理する方法も行われている。
発明が解決しようとする課題
0004
しかしながら金属捕集剤により固体状廃棄物中の金属を固定化する方法では、金属捕集剤の固体状廃棄物への浸透力が低いことに起因して、固体状廃棄物中の金属との反応性が必ずしも充分ではなく、この結果、固体状廃棄物中に含まれる金属の固定化が十分に行えない場合があった。また、金属捕集剤では固体状廃棄物中に含有されているカルシウムを固定化することは困難であり、固定化されていないカルシウムは固体状廃棄物中から水中に溶出し易いため、金属捕集剤で処理した固体状廃棄物を、更にセメント等で固めて最終処分した場合でも、雨等に晒された際に、固定化されていない固体状廃棄物中のカルシウムやセメント壁内のカルシウムが溶出し易く、カルシウムが溶出するとセメント壁が崩壊し易くなるとともに、固体状廃棄物中で金属捕集剤によって固定化されていた他の金属も遊離し易くなる虞がある。また従来は、多量のセメント等を用いて固体状廃棄物を固めて処理することが必要であり、セメント等で固めた後の容積が必要以上に大きくなり、その後の処理や移送において問題があった。
0005
更に、近年、ゴミ焼却の際にダイオキシン類が発生することが大きな社会問題となっており、ゴミを焼却して生成した煤塵中にもダイオキシン類が含まれている虞れがある。しかしながら、従来の処理方法では煤塵中のダイオキシン類を無害化することは困難であった。
0006
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、固体状廃棄物中の有害金属やダイオキシン類等の有害物質を確実に無害化処理することのできる固体状廃棄物処理剤及び固体状廃棄物の処理方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
0007
即ち本発明の固体状廃棄物処理剤は、亜リン酸類及び/又は次亜リン酸類を含有することを特徴とする。本発明の固体状廃棄物処理剤は、亜リン酸類及び/又は次亜リン酸類とともに、アルミニウム化合物及び/又はチタン化合物を含有するものを包含する。また本発明の固体状廃棄物の処理方法は、固体状廃棄物に、上記固体状廃棄物処理剤を添加して固体状廃棄物を無害化することを特徴とする。本発明方法において固体状廃棄物に固体状廃棄物処理剤を添加し、100〜1000℃に加熱して処理することが好ましい。
発明を実施するための最良の形態
0008
本発明において亜リン酸類としては、亜リン酸や亜リン酸塩が用いられる。亜リン酸塩としては、例えば亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸アンモニウム、亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸水素カリウム、亜リン酸水素カルシウム、亜リン酸マグネシウム等が挙げられる。これらのうち、亜リン酸、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カルシウムが好ましい。上記、亜リン酸や亜リン酸塩は2種以上を混合して用いることができる。
0009
また次亜リン酸類としては、次亜リン酸や次亜リン酸塩が用いられる。次亜リン酸塩としては、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸マグネシウム、次亜リン酸アンモニウム等が挙げられ、これらのうち、次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カルシウムが好ましい。上記、次亜リン酸や次亜リン酸塩は2種以上を混合して用いることができる。また亜リン酸類と次亜リン酸類とは、どちらか一方のみを用いても、両方を混合して用いても良い。
0010
本発明の固体状廃棄物処理剤は、上記亜リン酸類及び/又は次亜リン酸類とともに、アルミニウム化合物及び/又はチタン化合物を含有するものであっても良い。アルミニウム化合物としては、例えば硫酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、アルミノシリカゲル等が、チタン化合物としては酸化チタン、窒化チタン、硫酸チタン等が挙げられる。これらの化合物のうち、特にリン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムが好ましい。
0011
亜リン酸類及び/又は次亜リン酸類と、上記アルミニウム化合物及び/又はチタン化合物との混合比は、重量比で亜リン酸類及び/又は次亜リン酸類:アルミニウム化合物及び/又はチタン化合物=99.99〜60:0.01〜40が好ましい。亜リン酸類及び/又は次亜リン酸類と、アルミニウム化合物及び/又はチタン化合物とを併用すると、ダイオキシン類の無害化処理の効果が更に向上する。亜リン酸類及び/又は次亜リン酸類と、アルミニウム化合物及び/又はチタン化合物とを併用する場合、更にケイ素化合物、バナジウム化合物、モリブデン化合物、タングステン化合物、セリウム化合物の少なくとも1種を併用すると、上記した効果が更に向上する。
0012
上記ケイ素化合物としては、ケイ酸、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、ケイタングステン酸、二ケイ酸ナトリウム等が、バナジウム化合物としては、酸化バナジウム、オキシ硫酸バナジウム等が、モリブデン化合物としては、酸化モリブデン、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸バリウム、リンモリブデン酸、リンモリブデン酸ナトリウム等が、タングステン化合物としては、酸化タングステン、タングステン酸カルシウム、タングステン酸ナトリウム、リンタングステン酸、リンタングステン酸ナトリウム等が、セリウム化合物としては、酸化セリウム、硝酸セリウム、炭酸セリウム、硫酸セリウム、リン酸セリウム等が挙げられる。これらの化合物の少なくとも1種を、上記亜リン酸類及び/又は次亜リン酸類と、アルミニウム化合物及び/又はチタン化合物との混合物に更に併用する場合、これらの化合物の使用量は、亜リン酸類及び/又は次亜リン酸類100重量部当たり、0.01〜20重量部が好ましい。
0013
上記本発明の固体状廃棄物処理剤は、更に必要に応じて水ガラス、消石灰、セメント等の副成分と混合して用いることができる。副成分は本発明固体状廃棄物処理剤の重量の、5〜100重量%程度併用することが好ましい。副成分としては、水ガラス、消石灰、セメントの他に、無機吸着剤、中和剤、金属捕集剤、リン酸類等を用いることができる。
0014
上記無機吸着剤としては、例えば、ゼオライト、ベントナイト、活性白土、カオリンが挙げられる。中和剤としては、例えば硫酸、塩化鉄等が挙げられる。また金属捕集剤としては、例えばジチオカルバミン酸型の官能基やチオ尿素型の官能基を有する公知の金属捕集剤を用いることができる。リン酸類としては、リン酸、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウム、リン酸アンモニウム等が挙げられる。
0016
本発明の処理剤による処理の対象となる固体状廃棄物としては、例えばゴミ焼却場において生成する焼却灰や煤塵、鉱滓、汚泥、土壌、シュレッダーダスト等が挙げられる。本発明方法は、これらの固体状廃棄物に上記本発明の処理剤を添加して混練し、固体状廃棄物を無害化する方法であり、簡単な作業を行うだけで固体状廃棄物中の有害な重金属類を効果的に無害化できる。また有害なダイオキシン類を含む煤塵や、ダイオキシン類で汚染された土壌等も効果的に無害化することができる。本発明方法では、必要に応じて本発明処理剤を水に分散又は溶解させた状態で固体状廃棄物に添加して混練するか、本発明処理剤とともに水と固体状廃棄物に添加するようにしても良い。本発明処理剤とともに水を併用する場合、水の添加量は、亜リン酸類及び/又は次亜リン酸類の重量に対し、1〜500重量%程度が好ましい。
0017
また本発明方法において、処理剤を固体状廃棄物に添加して処理する際の温度は、100〜1000℃、特に150〜900℃が好ましい。本発明処理剤を固体状廃棄物に添加し、100〜1000℃の温度に加熱処理すると、固体状廃棄物中の有害な金属がメタル化されて溶出し難くなり、更にダイオキシン類等の有機塩素化合物の分解が促進されて無害化する等の効果が向上するため好ましい。本発明の処理剤の固体状廃棄物に対する添加量は、廃棄物中に含有される重金属の量により変化するが、殆どの場合、亜リン酸類及び/又は次亜リン酸類の添加量(或いは亜リン酸類及び/又は次亜リン酸類と、アルミニウム化合物及び/又はチタン化合物との混合物の場合には、混合物としての添加量)が0.01〜50重量%となるように添加することが好ましい。
0018
本発明方法によって処理した固体状廃棄物は、含有されている有害な金属の溶出防止及び有機塩素化合物の無害化が十分施されているので、処理後の固体状廃棄物をそのまま埋め立て最終処分し、あるいは必要に応じてセメントで固めて最終処分することができ、さらに処理後の固体状廃棄物に公知の重金属捕集剤を添加して埋め立て、あるいはセメント固化して最終処分しても良い。固体状廃棄物をセメント等で固めて最終処分する場合、本発明方法で処理した固体状廃棄物は従来法に比べ、セメントの使用量が少ない場合でも、固体状廃棄物中の金属が再溶出して二次汚染を生じる等の虞れが少ない。
0019
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1〜10、比較例1
亜鉛0.8g/kg、鉛1.2g/kg、カドミウム0.05g/kg、カルシウム430g/kg、及びダイオキシン250mg/gを含む煤塵100g当たりに対し、表1に示す組成の処理剤を、亜リン酸類及び/又は次亜リン酸類(又は亜リン酸類及び/又は次亜リン酸類と、アルミニウム化合物及び/又はチタン化合物との混合物)の添加量(無水物重量)が10gとなるように添加し、ロータリーキルン中で150℃にて2時間養生して処理した。各処理剤で処理済の煤塵と未処理の煤塵各50gを、純水500ml中で常温にて6時間浸とうして金属の溶出試験を行った。純水中に溶出した金属の濃度を原子吸光分析法によって測定した結果を表1に示す。また、処理後の煤塵及び未処理の煤塵中のダイオキシン類の濃度を測定した結果をあわせて表1に示した。
0020
0021
実施例21〜30、比較例2
鉛2.4g/kg、亜鉛0.69g/kg、カドミウム0.06g/kg、ニッケル0.48g/kg、銅3.16g/kg、クロム1.3g/kg、カルシウム0.2g/kgを含有する鉱滓100g当たりに対し、表2に示す処理剤100重量部を、15重量部の水に分散又は溶解させた処理液を、亜リン酸類及び/又は次亜リン酸類(又は亜リン酸類及び/又は次亜リン酸類と、アルミニウム化合物及び/又はチタン化合物との混合物)の添加量(無水物重量)が20gとなるように添加し、60℃で15分間混練した。各処理剤で処理済の鉱滓と未処理の鉱滓各50gを用い、実施例1〜10と同様にして金属溶出試験を行った。溶出した金属の濃度を原子吸光分析法によって測定した結果を表2に示す。
0022
0023
実施例31〜40、比較例3
クロム85mg/kg、銅16mg/kg、カドミウム37mg/kg、亜鉛54mg/kg、鉛109mg/kg、及びダイオキシン330ng/gを含有する土壌100g当たりに対し、表3に示す処理剤10gを、ロータリーキルン中で300℃にて40分間養生後、冷却した。各処理剤で処理済の土壌と未処理の土壌各50gを用い、実施例1〜10と同様にして金属溶出試験を行った。溶出した金属の濃度を原子吸光分析法によって測定した結果を表3に示す。また、処理後の土壌及び未処理土壌中のダイオキシン類の濃度を測定した結果を表3にあわせて示した。
0024
発明の効果
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