図面 (/)

技術 画像表示装置、偏光照明装置、偏光分離素子、回折光学素子、およびホログラム素子、ならびに回折光学素子およびホログラム素子の製造方法

出願人 パナソニック株式会社
発明者 荻原昭文藏富靖規
出願日 1998年10月16日 (20年1ヶ月経過) 出願番号 1998-314081
公開日 1999年10月8日 (19年1ヶ月経過) 公開番号 1999-271536
状態 拒絶査定
技術分野 回折格子、偏光要素、ホログラム光学素子 液晶2(構造一般、スペーサ、注入口及び封止部材) 液晶4(光学部材との組合せ) 光学的記録再生4(ヘッド自体) 照明広告以外の広告 光ヘッド 回折格子、ホログラム光学素子 偏光要素 液晶2(構造一般、スペーサ、注入口及びシール材) 液晶4(光学部材との組合せ)
主要キーワード ノコギリ形状 ノコギリ状 強度割合 低消費電力タイプ 視野域 逆モード マイクロセル構造 直進モード
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1999年10月8日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (20)

課題

入射光束回折直進を制御でき、かつ直進モードにおける回折ノイズを抑制するホログラム素子を得る。該ホログラム素子を用いて、偏光分離素子とうを構成し、安価で明るい画像を表示できる画像表示装置などを得る。

解決手段

偏光分離素子510は、少なくとも、入射光束に対して偏光方性を有し、概ね第1の偏光成分のみ選択的に回折せしめる平板状の第1のホログラム素子511及び第2のホログラム素子512からなり、第1のホログラム素子511に入射する入射光束と光軸のなす角θ0と、前記入射光束が第1のホログラム素子511により回折された第1の出力光束が光軸となす角度θ1と、前記第1の出力光束が第2のホログラム素子512に入射後回折されて出力される第2の光束が光軸となす角度θ2が|θ1−θ2|>20および|θ0−θ2|<15を満足する。

概要

背景

まず、従来のホログラム素子について説明する。

近年、可干渉二光束干渉せしめることで干渉稿を形成し、該干渉稿を重クロム酸ゼラチンフォトポリマーなどに記録せしめ、記録した光束の波面を再生可能なホログラム素子の開発が盛んである。

ホログラム素子の応用分野としては、例えば参考文献、久保田敏弘著、「ホログラフィ入門」に記載されているように干渉計測ホログラフィック光学素子パターン認識などの光情報処理ホログラフィックディスプレイなどがある。

ホログラム素子を画像表示の分野に応用する場合には、単に3次元画像を表示するだけではなく、種々の応用が考えられている。

以下では、(1)光スイッチ、(2)直視タイプの液晶パネルに用いられている例について説明する。

それではまず光スイッチについて説明する。例えば、従来例1の特開平5−173196号公報では、干渉稿を形成せしめる光束の波長により硬化する高分子材料と該光束の波長で非硬化な液晶の混合物に干渉稿を照明し、いわゆる光誘相分離によって、硬化された高分子材料からなる領域と、非硬化な液晶からなる領域を形成し、該非硬化な液晶を印加電圧により制御することで、入射光束回折直進を制御する光スイッチが開示されている。

同様の例はこれまでにも多数開示されており、例えばアプライド・フィジックスレター、第64巻、第9号、1074〜1076頁、1994年(以下、従来例2と略記する)では、回折効率を制御できるホログラム素子として開示されている。

この例にあっては、従来例1と同様に、特定の波長により硬化する高分子材料と、この特定の波長では硬化しない液晶材料との混合物に該波長の二光束干渉稿を照明し、干渉稿の光強度の強い部分に高分子材料を、干渉稿の光強度の弱い部分に該液晶材料が各々多く含まれる領域を形成することで作製される。

また、スイッチング可能ではないが、二光束干渉露光による光誘起相分離を用いて形成されるホログラム素子として、特願平8−162647号(以下、従来例3と略記する)、特開平9ー324259号公報(特願平8−142533号以下従来例4と略記する)をはじめとして多数の例が開示されている。

このような光誘起相分離現象を用いて作製されるホログラム素子は、二光束干渉露光だけではなく、例えば液晶討論会’97予稿集86頁〜87頁(以下、従来例5と略記する)に開示されているように、紫外線硬化樹脂と液晶材料の混合物を適当な割合で混合した後、導電性透明電極を形成したガラス基板を用いて構成したセルに該混合物を注入後、グレーティングパターンフォトマスクを介して紫外線照射して作製される場合もある。

以上の各例は、光誘起相分離を用いて屈折率の異なる領域を形成しているが、この技術は、例えばシャープ技報、第63号、14頁〜17頁、1995年12月(以下、従来例6と略記する)に開示されているように、液晶パネルの視野角を広くするためのマイクロセル構造を作製するためにも用いられている公知技術である。

この例にあっては、光硬化性樹脂と液晶の混合物に、格子状の光(波長は該光硬化性樹脂を硬化せしめる波長)を照明し、光誘起相分離現象により、各画素を囲むマイクロセル構造を形成している。それにより液晶領域内で液晶分子が、自己配向力により光硬化反応で安定化せしめた軸対称状配向され、広い視野角と高いコントラストを実現している。

それでは次に、直視タイプの液晶パネル19のバックライトユニットに応用している例について、図1を参照しながら説明する。直視タイプの液晶パネルは透過型反射型に分けられるが、以下では、透過型を例に説明する。例えば、特開平9−178949号公報(以下、従来例7と略記する)に開示されているように、図1の画像表示装置は、光源である冷陰極管(以下、CCFTと略記する)23からの光を導光体21の端面から入射し、導光体21の裏面側に形成したホログラム素子30及び反射ミラー23によって透過型の液晶パネル19側へ出力せしめるもので、ホログラム素子30は反射型のホログラムである。

上記構成により、部品点数の削減、軽量化、コストの削減を図ると同時に、明るさの均一性及び効率が高く、かつ指向性を有するバックライトユニットとして用いることができる。この機能はホログラム素子30を微小ホログラム集合体とすることで実現されている。すなわち、モザイク状の微小ホログラムは、互いに異なる入射波長、及び入射角に対して最大回折効率を示すように作製されている。

また、同様の構成において、例えば特開平9−127894号公報(以下、従来例8と略記する)に開示されているように、該反射型のホログラムの面積密度を、光源から離れるに従って高くすることによって、より一層の明るさの均一性が実現される例が開示されている。

このほかにも、例えば、プロシーディングス・オブインターナシナルディスプレイワークショップス’97、411ページ〜414ページ(以下、従来例9と略記する)、または特開平9−138396号公報(以下、従来例10と略記する)に開示されているように、反射型液晶パネル反射板として用いられ、入射光束を液晶基板に概ね垂直な方向に選択的に、かつ特定の立体角内に概ね反射(回折)せしめ、視野角は狭いものの明るい画像表示を行う応用が考えられている。このホログラム素子は、いわゆる反射型の体積ホログラムである。

尚、従来例7〜従来例10では、材料としては一般的なフォトポリマーを用いており、常に上述の反射を行うホログラム素子である。

次に画像表示装置について説明する。

近年、従来の直視型テレビでは大型化が困難であることから、高輝度ランプからの照明光束変調する画像表示手段の出力画像を拡大投写する投写型画像表示装置の開発が進められている(例えば、オープラスイー、1993年8月号、58頁−101頁)。

図67は従来の一般的な投写型画像表示装置の構成を示すものであり、画像表示手段として液晶パネルを用いた構成例を示す。ランプ2からの出力光3をリフレクター4で反射し、出力光束5を集光光学系(不図示)により集光伝搬し、色分離のためのダイクロイックミラー12、13により赤色、緑色、青色の3原色に分離し、全反射ミラー14、コンデンサーレンズ15を介して液晶パネル16〜18に入射せしめる。液晶パネル16〜18により変調された出力光は、色合成のためのダイクロイックプリズム(不図示)もしくは、ダイクロイックミラー19、20及び全反射ミラー14により合成され、投写レンズ9によりスクリーン(不図示)上に拡大投写される。

液晶パネル16〜18は、主に透過型、反射型に区別されるが、いずれも偏光板もしくは偏光ビームスプリッタ(以下PBSと略記する)を介して入射される特定の直線偏光光を、液晶材料により変調することにより画像を表示する。

また液晶パネル16〜18は一般的には各画素を駆動するためのスイッチング素子として薄膜トランジスタ(以下TFTと略記する)を各画素に配置したアクティブマトリックス方式が主流であり、TFTは多結晶ポリシリコンで形成されるのが一般的である。

ランプ2としては、発光効率が高く、発光体体積が小さく高輝度で、演色性の高いランプが求められており、メタルハライドランプキセノンランプ超高圧水銀ランプなどが用いられている。

リフレクタ4としては、反射後の光束5を有効に活用しやすいことから、放物面鏡楕円面鏡球面鏡等が用いられており、発光体がそれら反射鏡焦点もしくは第一焦点もしくは中心に配置される場合が多い。現在の主流は放物面鏡を用い、その焦点近傍にランプの発光体を設置し、略平行な光束を得る方式である。

近年の投写型画像表示装置においては、全白信号を表示した際の、(1)投写画像の中央部の明るさと周辺部の明るさを均一にする、(2)投写される全光束ルーメン)をランプの消費電力ワット)で除した値として定義される投写効率(ルーメン/ワット)を向上する、ことが開発の主な課題であり、(1)についてはインテグレータの導入により、(2)についてはインテグレータと発光体の小さな高輝度ランプとを組み合わせることに加えて、さらに偏光変換素子を組み合わせることによる解決が試みられている。

それではまずインテグレータについて説明する。インテグレータとは、例えば特開平3−111806号公報、特開平5−346557号公報に開示されているように、微小レンズを2次元に配置して構成される蠅の目レンズを2種類組み合わせて構成される。インテグレータの具体的構成例を図7に示す。リフレクタ4及び第1の蠅の目レンズ49によって、ランプ2の発光体の像は、第1の蠅の目レンズ49の各レンズに対応する第2の蠅の目レンズ50の各レンズ上に結像される。第2の蠅の目レンズ50の各レンズは第1の蠅の目レンズ49の像を画像表示手段7上に結像するような構成となっている。

上記構成により、第2の蠅の目レンズ50の各レンズが画像表示手段7上に結像する像は、リフレクタ4から出力される輝度分布の大きな出力光を第1の蠅の目レンズ49の各レンズにより細かく分割し、それらを画像表示手段7上に重ね合わせた結果となる。このような原理により投写画像における画像中央部に対する周辺部の明るさを70%以上に高くすることが可能となっている。

また、インテグレータの導入により、投写効率も向上せしめることができる。一般にリフレクタ4により反射された光束5は略円形であるが、画像表示手段7は例えば4:3の長方形である。それゆえ画像表示手段7を円形に照明する場合には円に内接する長方形の面積比しか有効に活用されなかった。これを矩形変換効率と呼び、4:3の長方形を外形とする画像表示手段7を用いる場合には、矩形変換効率は、約61%であった。しかしながらインテグレータの第1の蠅の目レンズ49に用いるレンズの開口形状を特開平5−346557号公報の図2に開示されているように4:3として配置することにより、約80%に向上することが可能となっている。

次に、偏光変換素子について説明する。前述の液晶パネルのような偏光表示手段を用いた投写型画像表示装置においては、ランプの出力光の中で、特定方向の偏光成分しか有効に活用できないという欠点があり、投写効率が低く、明るい画像を得るためには出力の大きな光源を用いなければならない等の課題があった。偏光変換素子はこうした課題を解決することを目的として開発され、偏光板で吸収される偏光成分もしくはPBSで液晶パネルに入射されない偏光成分を、該偏光成分に対し概ね直交する偏波面を持つ偏光成分に有効に変換するものである。

偏光変換素子は例えば、特開平5−107505号公報、特開平6−20294号公報、特開平7−294906号公報、特開平8−234205号公報、特開平9−105936号公報等多数開示されているが、基本的には、偏光分離素子と、偏波面回転素子の組み合わせからなる。

図8に一般的な偏光変換素子58の構成図を示す。無偏光光ランダムな偏光の光束)62を偏光分離素子60により互いに直交する偏光成分、すなわちP偏光光(偏光分離素子により反射されずに透過する紙面に平行な偏光方向を有する光束)63、S偏光光偏光分離手段により反射され、紙面に垂直な偏光方向を有する光束)64に分離し、S偏光光64のみを反射手段60’(一般的に偏光分離手段60と同種の膜を用いる)により反射し、偏波面回転素子61によりP偏光光63’に変換する原理に基づいている。

近年では、レンズアレイ66との組み合わせで構成される場合が多く、前記五つの公開公報に記載の内容もレンズアレイ66との組み合わせにより使用することができるが、偏光分離素子の設置位置により若干構成が異なる。

一つの方式は、偏光変換素子58に入射する光束の幅をレンズアレイ66により略半分とし、偏光分離素子60にのみ光束を入射して偏光分離、偏波面回転を行う方式である(図9参照)。この場合、該レンズアレイ66をインテグレータを構成する蠅の目レンズとすることにより、前述のように投写画像の明るさの均一性を同時に確保する構成とすることが多い。すなわち、前記レンズアレイをインテグレータの第2の蠅の目レンズとした構成が考えられている。

一方、特開平6−202094号公報、特開平8−234205号公報に開示されているように、第1の蠅の目レンズのランプ側に偏光分離素子を設置し、偏光分離後の光束の出射角を偏光成分に応じて数度変えることにより、第2の蠅の目レンズ上で結像する位置を偏光成分毎に変え、一方の偏光成分のみ偏波面の回転を行う方式も考案されている。この方式の応用として、第1の蠅の目レンズと第2の蠅の目レンズの間に偏光分離素子を設置する構成も考えられている。

従来の偏光変換素子では、偏光分離素子としては誘電体層を複数積層してなる誘電体多層膜を用いている場合がほとんどである。偏光分離素子として偏光選択性を有するホログラム素子は従来から知られているが、該ホログラム素子をインテグレータと組み合わせて偏光変換素子を構成し、投写型画像表示装置の照明光学系に適用した例は開示されていない。

特開平8−234143号公報、米国特許第5161039号に開示されている偏光選択性を有するホログラム素子では、液晶ポリマー、あるいは非線形光吸収効果を有するポリシランポリマー材料を用いることにより偏光選択性を有するものであり、各々の偏光に対してはいわゆる体積ホログラムとしての機能を有する。

また、プロジェクターの使用において、室内をあまり暗くしなくても認識できる明るい投写画像への要求が高いため、液晶ライトバルブ光利用効率を向上させることが重要である。照明領域の均一性を高める光学系として、特開平3−11180号公報または特開平5−346557号公報等には2枚のレンズ板を用いたインテグレータ光学系が開示されている。

これは原理的には露光機に使用されているものと同じで、光源からの平行光束を複数の矩形レンズによって分割し、各矩形レンズの像を各矩形レンズに1対1で対応するリレーレンズで液晶ライトバルブに重畳結像させるものである。

また、特開平6−202094号公報にはインテグレータ照明法偏光変換法を組み合わせた照明光学系が提案されている。この概略図を図4に示す。光源1101からの出射光は液晶を用いた偏光分離素子に入射し、P波1106とS波1107に分離される。これらの光はインテグレータを構成する第1レンズ群1103と第2レンズ群1104により、第2レンズ1104の後方に配置された位相板1105の異なった位置にそれぞれ結像される。位相板1105は第2レンズ群を形成する1つのレンズの概ね半分の面積に1/2波長板周期的に形成されている。

このため、例えば、この1/2波長板の位置に結像したP波1106は偏光方向が90°回転してS波となって出射する。S波1107は1/2波長板が形成されていない領域に結像され、そのまま透過する。つまり、位相板1105を出射した後の光波は偏光方向が概ね等しくなる。

特開平7−294906号公報には、レンズ板とプリズムを組み合わせた偏光変換素子が報告されている。この概略を図5に示す。これは、アレイ状のレンズが形成されたレンズ板1201に入射した光波は光束が絞られて、プリズム1202に入射する。ここでS波1204はそのまま通過し、P波1205はプリズムで反射されて隣のプリズムに入射し、再び反射され90°角度を変化する。

そして、光路中に置かれた1/2波長板を通過して偏光方向を90°回転してS波として出射する。以上のようにレンズ板1201とプリズム1202との組み合わせによってこれを出射した光波は偏光方向が揃った光束となる。

ここで、液晶素子画像表示原理について図9を用いて説明する。例えば蛍光ランプやメタルハライドランプのような光源901から出射される光は、紙面に平行な偏光方向を有するP波902と紙面に垂直な偏光方向を有するS波から構成されている。この光束は偏光子904に入射し、特定の偏波成分が吸収され残りの成分が透過する。偏光子904ではS波の成分が吸収され、P波が透過する構成となっている。偏光子904を透過した光は液晶素子905に入射することになる。

ここでは、液晶素子905として、入射面と出射面とで液晶分子の方向が90°ねじれて構成されているツイストネマティック液晶を例に説明する。この液晶素子905にはパターニングされた透明電極が形成されており各画画素毎に電界印加が可能である。液晶を完全にスイッチングできるだけの電界が印加されている画素(ON)は、液晶分子のねじれが解け、入射面に対して液晶分子が等方的に立った状態(ホメオトロピック)になっている。このため、この画素に入射したP波は変調を受けることなくその偏光状態を維持したまま液晶素子を通過する。

次に電界が印加されていない画素(OFF)では液晶分子は入射面から出射面までの厚さ方向において90°液晶分子の角度がねじれた状態となっている。このため、この画素に入射したP波成分は入射面から出射面までを通過する間に液晶のねじれに起因するツイストネマティック効果によりその偏波面を90°回転させる。従って、OFF画素を通過した後、先の光はS波となって出射することになる。

液晶素子を通過した後、通過位置に対応した画素の電界の有無により光の偏光方向が異なることになる。次に、これらの光は偏光子906に入射する。ここで偏光子906は先の偏光子904に対し、偏波成分を通過する軸方向が90°傾けて設定されている。つまり、偏光子904と906はクロスニコルに配置されている。このため、液晶素子を通過した光の内P波は偏光子906で吸収され、S波は偏光子906を通過することになる。

以上のように液晶素子の各画素を通過した光は、画素に印加される電界に応じて偏光方向が変調され、この結果として偏光子906を通過する光の強度が異なることになる。観察者907には、この偏光子906を通過する光の通過量が異なることになるため、各画素に対応する明暗パターンとしての画像が認識されることになる。

また、各画素に印加する電界量を制御することで液晶を通過する光の偏光方向を先のP波とS波の状態の中間状態に設定することができるため中間調の表示も可能となる。

次に、光情報処理装置について説明する。

光ディスク光磁気ディスク等の光記憶媒体に記憶される情報の記録や読み出しを行う光情報処理装置は、主に光源としての半導体レーザ、この半導体レーザから出射する光を光記憶媒体上に収束するためのレンズ、光記憶媒体上で反射されたレーザ光受光素子に導くための回折光学素子としてのホログラム素子等から構成される。

一端、半導体レーザから放射された光はこのホログラム素子を透過し、結像レンズにより光記憶媒体としての光ディスクの表面に集光される。光ディスクの表面で記録情報に応じた強度で反射して広がる光は、再度レンズにより収束され一部は半導体レーザに戻り、一部は例えば2つの領域に分割されたホログラム素子により2方向に分割され、いくつかの領域に分割された受光素子に結像されて、ナイフエッジ法のような手法を用いて焦点ずれトラッキングずれ、及び情報信号の検出等が行われる。

以上のようにレーザからの出射光は往路と復路の2回、回折光学素子としてのホログラム素子を通過することになる。往路においてホログラム素子を通過後、光が強く回折されてしまうと光ディスクの表面に集光される光量が低下してしまい、ディスク上で充分な光強度が得られず信号情報の正確な検出に支障を来たすことにもなりかねない。このため通常、ホログラム素子には往路と復路で回折効率が異なる機能が要求される。

光源である半導体レーザが偏光特性を有することもあって偏光方向による回折効率の選択性が用いられることが多い。具体的には、半導体レーザから放射された光の偏光方向に対しては回折作用を生じることなくそのまま透過し、この後ディスクとの光路中に1/4波長板のような位相板を配置し、ディスクにより反射され再度ホログラムを通過するときに偏光方向が初期に比べ90°回転するように設定する。この時、ホログラム素子は回折機能を生じ、これを通過した光は情報信号等の検出を行う受光素子へと導かれる。

このような偏光選択性を有するホログラムは、屈折率異方性を有する光学媒体を用いて作製される。例えば、ニオブ酸リチウムのような屈折率異方性を有する光学媒体の表面の所定の領域にフォトリソグラフィホログラフィック露光等によりマスクを形成し、表面の露出された領域に安息香酸等を用いてイオン交換を行う。すると、特定の偏光方向に対しては屈折率分布が生じず、一様な物体として取り扱うことができる。

しかしながら、先の偏光方向に対して直交する偏光方向の光に対してはマスクにより形成した領域に対応した屈折率分布を生じ、このパターンに対応した回折現象を生じることになる。このような特性を有するホログラム素子を用いて光情報処理装置は構成されている。

概要

入射光束の回折/直進を制御でき、かつ直進モードにおける回折ノイズを抑制するホログラム素子を得る。該ホログラム素子を用いて、偏光分離素子とうを構成し、安価で明るい画像を表示できる画像表示装置などを得る。

偏光分離素子510は、少なくとも、入射光束に対して偏光異方性を有し、概ね第1の偏光成分のみ選択的に回折せしめる平板状の第1のホログラム素子511及び第2のホログラム素子512からなり、第1のホログラム素子511に入射する入射光束と光軸のなす角θ0と、前記入射光束が第1のホログラム素子511により回折された第1の出力光束が光軸となす角度θ1と、前記第1の出力光束が第2のホログラム素子512に入射後回折されて出力される第2の光束が光軸となす角度θ2が|θ1−θ2|>20および|θ0−θ2|<15を満足する。

目的

本発明は、前記従来技術の課題を解決し、偏光選択制に優れ回折効率の高い回折光学素子を偏光分離素子として利用した光利用効率の高い偏光照明装置を提供すること及びこの偏光照明装置と投写光学系を組み合わせ明るい投写映像を形成することができる投写型表示装置を実現することを目的とする。

本発明は、前記従来技術の課題を解決し、偏光選択制に優れ回折効率の高い回折光学素子を液晶素子と組み合わせて画像表示装置を構成し、シースルー型の表示が可能であり、また内部光源であるバックライト外部光との併用ができる低消費電力型の画像表示装置を提供することを目的とする。更に、回折光学素子を屈折率分布に変調を持たせた透過型として用いることで、光の利用効率を高め、画像表示と同時に照明光用の照明装置としての多目的な応用を目指すものである。

本発明は、前記従来技術の課題を解決し、偏光選択性に優れ回折効率の高い光情報処理装置に使用される回折光学素子及びこの素子信頼性の高い製造方法を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
7件
牽制数
17件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

材料の組成の異なる複数の領域を有し、前記複数の領域は、少なくとも特定の波長により硬化しかつ屈折率方性を有する光硬化型液晶からなる第1の領域と、該波長によって非硬化な液晶(以下、非重合性液晶略記する)からなる第2の領域から形成され、前記光硬化型液晶の硬化後の常光線に対する屈折率及び異常光線に対する屈折率が前記非重合性液晶の常光線に対する屈折率及び異常光線に対する屈折率と各々略等しいことを特徴とするホログラム素子

請求項2

前記非重合性液晶に対する印加電圧により、非重合性液晶のスイッチング状態を制御することで入射する異常光線に対する第2の領域の屈折率を制御することを特徴とする請求項1に記載のホログラム素子。

請求項3

前記光硬化型液晶と前記非重合性液晶を略均一に混合せしめてなる混合液晶を、特定の間隔を設けて配置された2枚の平行平板状のガラス基板間注入し、前記光硬化型液晶を硬化せしめる波長のレーザ光で前記注入された混合液晶を干渉露光せしめることによって、前記複数の領域を形成することを特徴とする請求項1に記載のホログラム素子の製造方法。

請求項4

少なくとも請求項1または2記載のホログラム素子と、前記ホログラム素子を照明する照明手段と、前記ホログラム素子の出力光束変調することで画像を表示する画像表示手段とを具備することを特徴とする画像表示装置

請求項5

前記ホログラム素子は、無偏光である入射光束の中から特定の偏光成分の射出角のみを選択的に変化せしめることを特徴とする請求項4に記載の画像表示装置。

請求項6

前記ホログラム素子は前記照明手段からの入射光の中で特定の偏光成分(以下、第1の偏光成分と略記する)を前記画像表示手段の略法線方向に回折せしめる機能を有し、前記ホログラム素子は前記第2の領域に対する印加電圧を制御することにより前記機能を制御することを特徴とする請求項4に記載の画像表示装置。

請求項7

前記画像表示手段が、特定の偏光成分(以下、第2の偏光成分と略記する)のみ変調する機能を有しており、かつ前記ホログラム素子によって選択的に回折される前記第1の偏光成分と前記第2の偏光成分の電界ベクトル振動する方向が略等しいことを特徴とする請求項4に記載の画像表示装置。

請求項8

前記ホログラム素子の裏面にλ/4波長板反射ミラーを備えており、前記反射ミラーの設置角度は前記ホログラム素子に対して少なくとも5゜以上であることを特徴とする請求項4に記載の画像表示装置。

請求項9

少なくとも各画素毎に硬化された光硬化型液晶で囲まれたマイクロセル構造を有し、かつ前記マイクロセル内に非重合性液晶を具備し、かつ前記光硬化型液晶の硬化後の常光線に対する屈折率及び異常光線に対する屈折率が前記非重合性液晶の常光線に対する屈折率及び異常光線に対する屈折率と各々略等しいことを特徴とする画像表示装置。

請求項10

少なくとも、入射光束に対して偏光異方性を有し、概ね第1の偏光成分のみ選択的に回折せしめる平板状の第1及び第2のホログラム素子からなり、前記第1のホログラム素子に入射する入射光束と光軸のなす角θ0と、前記入射光束が前記第1のホログラム素子により回折された第1の出力光束が光軸となす角度θ1と、前記第1の出力光束が前記第2のホログラム素子に入射後回折されて出力される第2の光束が光軸となす角度θ2が下式の|θ1−θ2|>20|θ0−θ2|<15を満足することを特徴とする偏光分離素子

請求項11

前記偏光分離素子は、ガラス基板によりホログラム材料を狭持して構成されてなることを特徴とする請求項1記載の偏光分離素子。

請求項12

前記ホログラム材料は、UV硬化型液晶であることを特徴とする請求項1記載の偏光分離素子。

請求項13

前記ホログラム材料が、特定領域の波長に対して感度を有するフォトポリマー液晶ポリマーとの混合物であることを特徴とする請求項1記載の偏光分離素子。

請求項14

少なくとも、偏光型画像表示手段と、前記偏光型画像表示手段を照明する照明手段を備えた投写型画像表示装置であって、前記偏光型画像表示手段は、該偏光型画像表示手段に入射する前記照明手段からの照明光の中で特定の偏光成分を変調し出力することで画像を表示し、前記照明手段は、少なくとも発光手段と、前記発光手段の出力光束を集光する第1の集光手段と、前記偏光分離素子と、複数の微小レンズを2次元アレイ状に配置してなる第1及び第2の蠅の目レンズから構成されるインテグレータを具備しており、前記偏光分離素子は第1の蠅の目レンズと第1の集光手段の間に配置され、入射光束の中で第1の偏光成分を回折せしめ前記第2の光束として出力し、第1の偏光成分と直交する偏光方向を有する第2の偏光成分を概ね回折せずに第3の光束として出力し、前記第1の蠅の目レンズを構成する第1の微小レンズ群の各レンズは第2の蠅の目レンズを構成する第2の微小レンズ群の中で対応する微小レンズに発光手段の像を結像せしめ、かつ前記第2の光束もしくは第3の光束が結像する位置に偏光方向を略90゜回転せしめる偏波面回転手段を具備することを特徴とする投写型画像表示装置。

請求項15

互いにほぼ平行に配置され、それぞれ互いにほぼ等しい所定の偏光成分を選択的に回折させる平板状の第1および第2のホログラム素子を備え、上記第1のホログラム素子に入射し、上記第1および上記第2のホログラム素子により回折されて上記第2のホログラム素子から出射する回折光束と、上記第1のホログラム素子に入射し、上記第1および上記第2のホログラム素子を透過して上記第2のホログラム素子から出射する透過光束とのなす角度が0°を越え、かつ、15°未満であるとともに、上記第1のホログラム素子に入射し、上記第1および第2のホログラム素子により回折される光束における、それぞれのホログラム素子に入射する光束とそれぞれのホログラム素子により回折された光束とのなす角度が、それぞれ20°を越えることを特徴とする偏光分離素子。

請求項16

請求項1の偏光分離素子であって、上記第1および第2のホログラム素子は、1対のガラス基板間にホログラム材料が配置されて構成されていることを特徴とする偏光分離素子。

請求項17

請求項2の偏光分離素子であって、上記ホログラム材料は、紫外線硬化型液晶が硬化してなることを特徴とする偏光分離素子。

請求項18

請求項2の偏光分離素子であって、上記ホログラム材料は、所定領域の波長の光の照射に対して硬化性を有するフォトポリマーと液晶ポリマーとの混合物が硬化してなることを特徴とする偏光分離素子。

請求項19

発光手段と入射した光束における互いに異なる方向の偏光成分の光路を異ならせる偏光分離素子と、上記偏光分離手段から出射する上記回折光束、および透過光束をそれぞれ互いに異なる第1および第2の位置に集光させる集光手段と、上記第1および第2の位置の何れか一方に、入射した偏光成分の偏光方向を回転させる偏波面回転手段とを備えた画像表示装置であって、上記偏光分離手段は、互いにほぼ平行に配置され、それぞれ互いにほぼ等しい所定の偏光成分を選択的に回折させる平板状の第1および第2のホログラム素子を備え、上記第1のホログラム素子に入射し、上記第1および上記第2のホログラム素子により回折されて上記第2のホログラム素子から出射する回折光束と、上記第1のホログラム素子に入射し、上記第1および上記第2のホログラム素子を透過して上記第2のホログラム素子から出射する透過光束とのなす角度が0°を越え、かつ、15°未満であるとともに、上記第1のホログラム素子に入射し、上記第1および第2のホログラム素子により回折される光束における、それぞれのホログラム素子に入射する光束とそれぞれのホログラム素子により回折された光束とのなす角度が、それぞれ20°を越えるものであることを特徴とする偏光分離素子。

請求項20

請求項5の画像表示装置であって、さらに、それぞれ複数の微小レンズが配列されて成る第1および第2の蠅の目レンズを有するとともに上記第1の蠅の目レンズを構成する各微小レンズが上記第2の蠅の目レンズを構成する微小レンズにおける対応する微小レンズに上記発光手段の像を結像させるインテグレータを備え、上記集光手段は、上記インテグレータの第1の蠅の目レンズであることを特徴とする画像表示装置。

請求項21

請求項5の画像表示装置であって、上記回折光束と上記透過光束とは互いに偏光方向が直交する光束であって、上記偏波面回転手段は、入射した光束の偏光方向をほぼ90°回転させることを特徴とする画像表示装置。

請求項22

光源と屈折率異方性を有する回折光学素子とこれに隣接して配置された全反射ミラーとを少なくとも具備し、前記光源からの出射光の1方向の偏波成分P波もしくはS波)は、前記回折光学素子を透過し前記反射ミラーにより反射され、再び前記回折光学素子を通過して出射し、前記出射光に対し概ね直交する成分(S波もしくはP波)は前記回折光学素子の回折作用により伝搬方向を変化して出射する時、前記回折光学素子からの回折波と前記全反射ミラーからの反射波との伝搬方向が概ね同じであって相対的な出射角度が異なるように前記回折光学素子の所定波面が形成されていることを特徴とする偏光照明装置

請求項23

光源と屈折率異方性を有する回折光学素子とこれに隣接して配置された全反射ミラーと前記全反射ミラーからの反射光の偏光方向を出射時の光の偏光方向に対して概ね直角方向に回転させるため、回折光学素子への光路中に配置された位相板を少なくとも具備し、前記光源からの出射光の1方向の偏波成分(P波もしくはS波)は、前記回折光学素子を透過し前記反射ミラーにより反射され、前記位相板及び前記回折光学素子を通過して出射し、前記出射光に対し概ね直交する成分(S波もしくはP波)は前記回折光学素子の回折作用により伝搬方向を変化して出射する時、前記回折光学素子からの回折波と前記全反射ミラーからの反射波との伝搬方向が概ね等しく略平行光束となるように前記回折光学素子の所定波面が形成されていることを特徴とする偏光照明装置。

請求項24

前記回折光学素子からの回折波と前記全反射ミラーにより反射されて出射した光波との偏光方向が概ね等しいことを特徴とする請求項2記載の偏光照明装置。

請求項25

前記回折光学素子は前記全反射ミラーにより反射され、位相板を通過した光波を概ね透過することを特徴とする請求項2記載の偏光照明装置。

請求項26

光源と屈折率異方性を有する1組の回折光学素子と入射する光波の偏光方向を概ね直角方向に回転させるための位相板を少なくとも構成要素とし、前記光源からの出射光は一方の回折光学素子に入射し、偏波成分(P波もしくはS波)毎に透過または回折され、回折波は他方の回折光学素子に入射してさらに回折されて出射し、1組の回折光学素子の透過波または回折波のいずれか一方の光路中に位相板が配置された構成において、1組の回折光学素子により透過または回折された後の光束が略平行光束となるように1組の回折光学素子が配置されていることを特徴とする偏光照明装置。

請求項27

前記1組の回折光学素子の光波の入射面が互いに概ね平行であり且つ前記光源からの出射光の光軸に垂直な面に対し、前記1組の回折光学素子の傾き角が45°以下であることを特徴とする請求項5記載の偏光照明装置。

請求項28

前記1組の回折光学素子から出射された略平行光束の偏光方向が概ね等しいことを特徴とする請求項5記載の偏光照明装置。

請求項29

光源からの出射光を偏波成分(P波もしくはS波)毎に透過または回折する回折光学素子と前記回折波をさらに回折するもう1つの回折光学素子の組と、前記1組の回折光学素子の透過波または回折波のいずれか一方の光路中に配置された位相板とが1つの構成単位である時、前記1組の回折光学素子と位相板からなる構成単位が複数隣接して並んで配置されていることを特徴とする偏光照明装置。

請求項30

前記複数の構成単位から出射された光束が略平行光束であって且つ偏光方向が概ね揃っていることを特徴とする請求項8記載の偏光照明装置。

請求項31

前記位相板は入射する光波の偏光方向を概ね直角方向に回転させる機能を有することを特徴とする請求項8記載の偏光照明装置。

請求項32

前記複数の構成単位を形成する前記1組の回折光学素子の光波の入射面が互いに概ね平行であり且つ前記光源からの出射光の光軸に垂直な面に対し前記1組の回折光学素子の傾き角が45°以下であることを特徴とする請求項8記載の偏光照明装置。

請求項33

前記回折光学素子は屈折率異方性を有する光学媒体を用いて周期構造が形成されており、入射光の1方向の偏波成分(P波もしくはS波)に対し前記周期構造に対応した屈折率分布を生じ、この屈折率差により光の回折を生じ且つ前記入射光に対し概ね直交する成分(S波もしくはP波)に対しては優先的に直進する機能を有していることを特徴とする請求項1、2、5、8のいずれかに記載の偏光照明装置。

請求項34

前記回折光学素子の周期構造が屈折率異方性を有する光学媒体の光軸の傾斜により形成されていることを特徴とする請求項12記載の偏光照明装置。

請求項35

前記回折光学素子が一様に配列された液晶を含んで構成され、且つ光重合性モノマーまたは光架橋可能液晶ポリマーが添加され、紫外領域の光照射に対し、液晶の分子軸の方向が固定化されることを特徴とする請求項12記載の偏光照明装置。

請求項36

前記回折光学素子は異なった複数の周期構造が重畳して形成された構造を含むことを特徴とする請求項1、2、5、8のいずれかに記載の偏光照明装置。

請求項37

前記回折光学素子は複数の異なった周期構造の回折光学素子の積層構造を含むことを特徴とする請求項1、2、5、8のいずれかに記載の偏光照明装置。

請求項38

請求項1、2、5、8のいずれかに記載の偏光照明装置に複数のレンズを配置して構成される第1レンズアレイと前記第1レンズアレイと対をなす第2レンズアレイとライトバルブと前記ライトバルブ上の光学像を拡大投写する投写光学系とを少なくとも組み合わせて構成したことを特徴とする投写型表示装置

請求項39

光源からの光束を概ねR(赤)、G(緑)、B(青)に対応する波長が異なる3つの光束に色分解し、前記波長が異なる光束に対して異なった形成波面を有する回折光学素子を用いて請求項1、2、5、8のいずれかに記載の偏光照明装置を構成し、これに複数のレンズを配置して構成される第1レンズアレイと前記第1レンズアレイと対をなす第2レンズアレイとライトバルブと前記ライトバルブ上の光学像を拡大投写する投写光学系とを少なくとも組み合わせて構成したことを特徴とする投写型表示装置。

請求項40

光源と画素を形成すべくパターニングされた透明導電性電極を具備した対向する2枚の透明絶縁性基板で挟まれた液晶層を有する液晶素子と液晶素子の両側に配置された回折光学素子とを少なくとも含んで構成され、光源からの出射光は一方の回折光学素子に入射し回折され、前記回折光学素子への入射光量の概ね1/2が液晶素子に入射し、前記液晶素子の各画素毎に変調され、前記変調度に応じて他方の回折光学素子を通過後の光の伝搬方向が異なる作用により画像表示を行うことを特徴とする画像表示装置。

請求項41

画素を形成すべくパターニングされた透明導電性電極を具備した対向する2枚の透明絶縁性基板で挟まれた液晶層を有する液晶素子と液晶素子の片側に配置されたミラー及び回折光学素子とを少なくとも含んで構成され、外部光による前記回折光学素子への入射光が回折され、前記液晶素子を通過し、前記ミラーにより反射され再び液晶素子を通過することで液晶素子の各画素毎に変調され、前記変調度に応じて前記回折光学素子を出射後の光の伝搬方向が異なる作用により画像表示を行うことを特徴とする画像表示装置。

請求項42

光源と画素を形成すべくパターニングされた透明導電性電極を具備した対向する2枚の透明絶縁性基板で挟まれた液晶層を有する液晶素子と液晶素子の片側に配置されたミラーと液晶素子の両側に配置された回折光学素子とを少なくとも含んで構成され、光源からの出射光は一方の回折光学素子に入射し回折され、前記回折光学素子への入射光量の概ね1/2が液晶素子に入射し、前記液晶素子の各画素毎に変調され、前記変調度に応じて他方の回折光学素子を通過後の光の伝搬方向が異なる作用により画像表示が行われ、また、外部光による前記回折光学素子への入射光が回折され、前記液晶素子を通過し、前記ミラーにより反射され再び液晶素子を通過することで液晶素子の各画素毎に変調され、前記変調度に応じて前記回折光学素子を出射後の光の伝搬方向が異なる作用により画像表示が行われる構成において、内部に配置された前記光源と外部光とを選択的に切り換えて画像表示を行うことを特徴とする画像表示装置。

請求項43

前記回折光学素子は屈折率異方性を有する光学媒体を用いて周期構造が形成されており、入射光の1方向の偏波成分(P波もしくはS波)に対し前記周期構造に対応した屈折率分布を生じ、この屈折率差により光の回折を生じ且つ前記入射光に対し概ね直交する成分(S波もしくはP波)に対しては優先的に直進する機能を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像表示装置。

請求項44

前記回折光学素子の一方は入射光の偏波成分のP波を回折し、S波を優先的に直進する機能を有し、前記回折光学素子の他方はS波を回折し、P波を優先的に直進する機能を有することを特徴とする請求項3〜4のいずれかに記載の画像表示装置。

請求項45

前記回折光学素子の周期構造が屈折率異方性を有する光学媒体の光軸の傾斜により形成されていることを特徴とする請求項4に記載の画像表示装置。

請求項46

前記回折光学素子が一様に配列された液晶を含んで構成され、且つ光重合性モノマーまたは光架橋可能液晶ポリマーが添加され、紫外領域の光照射に対し、液晶の分子軸の方向が固定化されることを特徴とする請求項4に記載の画像表示装置。

請求項47

前記液晶層に形成された各画素に印加する電界を制御することで、各画素への入射光の変調が行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像表示装置。

請求項48

前記回折光学素子は異なった複数の周期構造が重畳して形成された構造を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像表示装置。

請求項49

前記回折光学素子は複数の異なった周期構造の回折光学素子の積層構造を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像表示装置。

請求項50

請求項1〜3のいずれかに記載の画像表示装置において前記液晶素子の片側に赤(R)、緑(G)、青(B)からなるカラーフィルタを組み合わせて構成したことを特徴とする画像表示装置。

請求項51

請求項1、3、10のいずれかに記載の画像表示装置において、前記回折格子からの出射光を概ね2つの方向に分割し、一方を画像表示用に他方を照明光用として用いる構成としたことを特徴とする画像表示装置及び照明装置

請求項52

光源と画素を形成すべくパターニングされた透明導電性電極を具備した対向する2枚の透明絶縁性基板で挟まれた液晶層を有する液晶素子と液晶素子の一方の側に屈折率異方性を有する回折光学素子と入射する光波の偏光方向を概ね直角方向に回転させるための位相板とを有し、更に液晶素子の他方の側に配置された屈折率異方性を有する回折光学素子とを少なくとも含んで構成され、前記光源からの出射光は前記回折光学素子と位相板により概ね等しい偏波成分(P波もしくはS波)に変換され液晶素子に入射し、前記液晶素子の各画素毎に変調され、前記変調度に応じて他方の回折光学素子を通過後の光の伝搬方向が異なる作用により画像表示を行うことを特徴とする画像表示装置。

請求項53

請求項1,2,3,11,12,13のいずれかに記載の画像表示装置に前記画像表示装置からの光学像を拡大表示する拡大光学系を少なくとも組み合わせて小型画像表示装置を構成したことを特徴とする小型画像表示装置。

請求項54

印加される電圧に応じて、入射した光の偏光方向を変調する液晶素子と、上記液晶素子の両面側にそれぞれ配置され、所定の偏光成分を選択的に回折させる一方、上記所定の偏光成分と偏光方向が直交する偏光成分を透過させる第1および第2の1対の回折光学素子とを備えたことを特徴とする画像表示装置。

請求項55

請求項1の画像表示装置であって、上記第1の回折光学素子は、外方側から入射する光束のうち、透過した偏光成分または回折した偏光成分のうちの何れか一方を上記液晶素子に入射させる一方、上記第2の回折光学素子は、上記液晶素子から出射した光束における上記第2の回折光学素子を透過する偏光成分と上記回折光学素子によって回折される偏光成分とを、互いに異なる方向に出射させるように構成されていることを特徴とする画像表示装置。

請求項56

請求項2の画像表示装置であって、さらに、光源を備え、上記第1の回折光学素子は、上記光源からの光束における上記回折光学素子を透過した偏光成分を上記液晶素子に入射させるように構成されていることを特徴とする画像表示装置。

請求項57

請求項2の画像表示装置であって、さらに、上記第1の回折光学素子の法線方向に配置された光源を備え、上記第1の回折光学素子は、上記光源からの光束における上記回折光学素子を透過した偏光成分を上記液晶素子に入射させるように構成されていることを特徴とする画像表示装置。

請求項58

請求項2の画像表示装置であって、さらに、上記第1の回折光学素子の法線方向から傾いた方向に配置された光源を備え、上記第1の回折光学素子は、上記光源からの光束における上記第1の回折光学素子により回折された偏光成分を上記液晶素子に入射させるように構成されていることを特徴とする画像表示装置。

請求項59

請求項2の画像表示装置であって、さらに、上記第1の回折光学素子の外方側に所定の間隔を空けて設けられた反射手段と、上記第1の回折光学素子と上記反射手段との間隔を介して、上記回折光学素子の法線から傾いた方向から上記回折光学手段に光束を入射させる光源とを備え、上記第1の回折光学素子は、上記光源から入射する光束における上記第1の回折光学素子により回折された偏光成分、および上記反射手段から入射する上記第1の回折光学素子を透過する偏光成分を上記液晶素子に入射させるように構成されていることを特徴とする画像表示装置。

請求項60

印加される電圧に応じて、入射した光の偏光方向を変調する液晶素子と、上記液晶素子の一方面側に配置され、所定の偏光成分を選択的に回折させる一方、上記所定の偏光成分と偏光方向が直交する偏光成分を透過させる回折光学素子と、上記液晶素子の他方面側に配置された反射手段とを備えたことを備えたことを特徴とする画像表示装置。

請求項61

請求項1ないし請求項7の画像表示装置であって、前記回折光学素子は屈折率異方性を有する光学媒体を用いて周期構造が形成されており、入射光におけるP波およびS波のうちの何れか一方の偏波成分に対し前記周期構造に対応した屈折率差を生じ、上記屈折率差により光の回折を生じ且つ前記入射光に対し概ね直交する成分に対しては優先的に直進する機能を有していることを特徴とする画像表示装置。

請求項62

請求項1ないし請求項7の画像表示装置であって、前記回折光学素子の一方は入射光の偏波成分のP波を回折し、S波を優先的に直進する機能を有し、前記回折光学素子の他方はS波を回折し、P波を優先的に直進する機能を有することを特徴とする画像表示装置。

請求項63

請求項8の画像表示装置であって、前記回折光学素子の周期構造が屈折率異方性を有する光学媒体の光軸の傾斜により形成されていることを特徴とする画像表示装置。

請求項64

請求項8の画像表示装置であって、前記回折光学素子が一様に配列された液晶を含んで構成され、且つ光重合性モノマーまたは光架橋可能液晶ポリマーが添加され、紫外領域の光照射に対し、液晶の分子軸の方向が固定化されることを特徴とする画像表示装置。

請求項65

請求項1ないし請求項7の画像表示装置であって、前記回折光学素子は異なった複数の周期構造が重畳して形成された構造を含むことを特徴とする画像表示装置。

請求項66

請求項1ないし請求項7の画像表示装置であって、前記回折光学素子は複数の異なった周期構造の回折光学素子の積層構造を含むことを特徴とする画像表示装置。

請求項67

請求項1ないし請求項7の画像表示装置であって、さらに、前記液晶素子の何れか一方側に赤、緑、および青の領域が形成されたカラーフィルタを備えたたことを特徴とする画像表示装置。

請求項68

請求項1ないし請求項7の画像表示装置であって、さらに、表示画像を拡大表示する拡大光学手段を備えたことを特徴とする画像表示装置。

請求項69

光源と画素を形成すべくパターニングされた透明導電性電極を具備した対向する2枚の透明絶縁性基板で挟まれた液晶層を有する液晶素子と液晶素子の一方の側に屈折率異方性を有する回折光学素子と入射する光波の偏光方向を概ね直角方向に回転させるための位相板とを有し、更に液晶素子の他方の側に配置された屈折率異方性を有する回折光学素子とを少なくとも含んで構成され、前記光源からの出射光は前記回折光学素子と位相板により概ね等しい偏波成分(P波もしくはS波)に変換され液晶素子に入射し、前記液晶素子の各画素毎に変調され、前記変調度に応じて他方の回折光学素子を通過後の光の伝搬方向が異なる作用により画像表示を行うことを特徴とする画像表示装置。

請求項70

偏光を放射するレーザ、前記レーザから出射するレーザ光を光記憶媒体上に収束するための光学レンズ、前記光記憶媒体によって反射されるレーザ光の偏光方向を出射時の光の偏光方向に対して概ね直角方向に回転させるための位相板、前記反射光の光路中に配置され所定波面を生成する回折光学素子、及び前記回折光学素子で回折される光を検出するための受光素子を少なくとも構成要素とする光情報処理装置に使用される回折光学素子であって、前記回折光学素子が屈折率異方性を有する光学媒体を用いて形成されており、且つ前記光記憶媒体によって反射され、前記回折光学素子を透過後のレーザ光の全光量に対し1次の方向に回折される光量の割合が概ね1/2以上となるように所定波面が形成されていることを特徴とする回折光学素子。

請求項71

厚さ方向に周期的構造を有し入射光の1方向の偏波成分に対し前記周期構造に対応した屈折率分布を生じ、この屈折率差により光の回折を生ぜしめ、且つ前記入射光の偏波成分に対し直交する成分に対しては優先的に直進させる機能を有することを特徴とする請求項1記載の回折光学素子。

請求項72

厚さ方向に周期的構造を有し、前記周期的構造が屈折率異方性を有する光学媒体の光軸の傾斜により形成されていることを特徴とする請求項2記載の回折光学素子。

請求項73

一様に配列された液晶を含んで構成され、且つ光重合性液晶モノマーまたは光架橋可能液晶ポリマーが添加され、紫外領域の光照射に対し、液晶の分子軸の方向が固定化されることを特徴とする請求項2記載の回折光学素子。

請求項74

前記回折光学素子に入射するレーザの放射光の偏光方向が屈折率異方性を有する光学媒体の光軸と概ね平行または垂直であることを特徴とする請求項1記載の回折光学素子。

請求項75

対向する2枚の透明導電性電極を具備した透明絶縁性基板で挟まれた領域に屈折率異方性を有する光学媒体が封入され、前記透明導電性電極上には高分子からなる配向処理が施された薄膜が形成された構造を有する回折光学素子の製造方法であって、紫外の波長域の2分割された光を前記回折光学素子上において干渉させ、周期的な強度分布に対応する明部と暗部からなる干渉縞を生ぜしめ、干渉縞の明部に属する領域の光学媒体の光軸を初期配向された方向に固定化する第一の工程と、前記透明導電性電極間に電界を印加し、前記干渉縞の暗部に属する領域の光学媒体の光軸を初期配向された方向から移動させた状態で、前記回折光学素子の全面に均一な紫外領域の光照射を行うことで光軸方向を固定化する第二の工程を含むことを特徴とする回折光学素子の製造方法。

請求項76

前記回折光学素子に印加される電界は、正極と負極が交互に生じる交流電界からなることを特徴とする請求項6記載の回折光学素子の製造方法。

請求項77

対向する2枚の透明絶縁性基板で挟まれた領域に屈折率異方性を有する光学媒体が封入され、前記透明絶縁性基板上には高分子からなる配向処理が施された薄膜が形成された構造を有する回折光学素子の製造方法であって、紫外の波長域の2分割された光を前記回折光学素子上において干渉させ、周期的な強度分布に対応する明部と暗部からなる干渉縞を生ぜしめ、干渉縞の明部に属する領域の光学媒体の光軸を初期配向された方向に固定化する第一の工程と、前記透明絶縁性基板間に磁界を印加し、前記干渉縞の暗部に属する領域の光学媒体の光軸を初期配向された方向から移動させた状態で、前記回折光学素子の全面に均一な紫外領域の光照射を行うことで光軸方向を固定化する第二の工程を含むことを特徴とする回折光学素子の製造方法。

請求項78

対向する2枚の透明絶縁性基板で挟まれた領域に屈折率異方性を有する光学媒体が封入され、透明絶縁性基板上には高分子からなる薄膜が形成された構造を有する回折光学素子の製造方法であって、1方向の偏波成分を有する紫外の波長域の2分割された光を前記回折光学素子上において干渉させ、周期的な強度分布に対応する明部と暗部からなる干渉縞を生ぜしめ、干渉縞の明部に属する領域の光学媒体の光軸を前記偏波成分の偏光方向に依存する一様な方向に配列し固定化する第一の工程と、前記回折光学素子の全面に前記偏波成分に対して概ね直交する方向に偏光方向を有する均一な紫外領域の光照射を行うことで、前記光学媒体の光軸方向を初期位置から移動し固定化する第二の工程を含むことを特徴とする回折光学素子の製造方法。

請求項79

前記屈折率異方性を有する光学媒体が一様に配列された液晶を含んで構成され、且つ光重合性液晶モノマーまたは光架橋可能液晶ポリマーが添加されていることを特徴とする請求項6、8、9のいずれかに記載の回折光学素子の製造方法。

請求項80

前記回折光学素子に照射される干渉縞はHe−CdレーザまたはArレーザからなる可干渉性の高い光源であって、300nmから400nmの範囲の波長領域であることを特徴とする請求項6、8、9のいずれかに記載の回折光学素子の製造方法。

請求項81

前記回折光学素子への光照射による周期構造の形成が前記回折光学素子表面の分割された領域毎に複数回行われることを特徴とする請求項6、8、9のいずれかに記載の回折光学素子の製造方法。

請求項82

前記回折光学素子への光照射を複数回行うことにより、回折光学素子内に異なった周期構造が重畳して形成されることを特徴とする請求項6、8、9のいずれかに記載の回折光学素子の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、入射光束の波面を変換するホログラム素子及び該ホログラム素子を用いて構成される画像表示装置に関するものである。

0002

また、入射光束を異なる偏光成分に分離する偏光分離素子及びそれを用いて構成され、画像を投写して表示する投写型画像表示装置に関するものである。

0003

また、偏光分離素子を用いて偏光方向が揃った均一な照明光を得る偏光照明装置及び偏光照明装置から出射された偏光光ライトバルブにより変調して映像拡大表示する投写型表示装置に関するものである。

0004

また、画像表示用モニター携帯情報端末用表示装置車載用または個人ユース用のヘッドアップディスプレイ、及び道路交通標識または情報表示等に使用される画像表示装置および照明光用の照明装置に関するものである。

0005

また、レーザ光を用いて光ディスク光磁気ディスク等の光記憶媒体に記録される情報の記録や読み出し等を行うための光ヘッド光ピックアップ等を含む光情報処理装置及びそれに使用される回折光学素子に関するものである。

背景技術

0006

まず、従来のホログラム素子について説明する。

0007

近年、可干渉二光束干渉せしめることで干渉稿を形成し、該干渉稿を重クロム酸ゼラチンフォトポリマーなどに記録せしめ、記録した光束の波面を再生可能なホログラム素子の開発が盛んである。

0008

ホログラム素子の応用分野としては、例えば参考文献、久保田敏弘著、「ホログラフィ入門」に記載されているように干渉計測ホログラフィック光学素子パターン認識などの光情報処理ホログラフィックディスプレイなどがある。

0009

ホログラム素子を画像表示の分野に応用する場合には、単に3次元画像を表示するだけではなく、種々の応用が考えられている。

0010

以下では、(1)光スイッチ、(2)直視タイプの液晶パネルに用いられている例について説明する。

0011

それではまず光スイッチについて説明する。例えば、従来例1の特開平5−173196号公報では、干渉稿を形成せしめる光束の波長により硬化する高分子材料と該光束の波長で非硬化な液晶の混合物に干渉稿を照明し、いわゆる光誘相分離によって、硬化された高分子材料からなる領域と、非硬化な液晶からなる領域を形成し、該非硬化な液晶を印加電圧により制御することで、入射光束の回折直進を制御する光スイッチが開示されている。

0012

同様の例はこれまでにも多数開示されており、例えばアプライド・フィジックスレター、第64巻、第9号、1074〜1076頁、1994年(以下、従来例2と略記する)では、回折効率を制御できるホログラム素子として開示されている。

0013

この例にあっては、従来例1と同様に、特定の波長により硬化する高分子材料と、この特定の波長では硬化しない液晶材料との混合物に該波長の二光束干渉稿を照明し、干渉稿の光強度の強い部分に高分子材料を、干渉稿の光強度の弱い部分に該液晶材料が各々多く含まれる領域を形成することで作製される。

0014

また、スイッチング可能ではないが、二光束干渉露光による光誘起相分離を用いて形成されるホログラム素子として、特願平8−162647号(以下、従来例3と略記する)、特開平9ー324259号公報(特願平8−142533号以下従来例4と略記する)をはじめとして多数の例が開示されている。

0015

このような光誘起相分離現象を用いて作製されるホログラム素子は、二光束干渉露光だけではなく、例えば液晶討論会’97予稿集86頁〜87頁(以下、従来例5と略記する)に開示されているように、紫外線硬化樹脂と液晶材料の混合物を適当な割合で混合した後、導電性透明電極を形成したガラス基板を用いて構成したセルに該混合物を注入後、グレーティングパターンフォトマスクを介して紫外線照射して作製される場合もある。

0016

以上の各例は、光誘起相分離を用いて屈折率の異なる領域を形成しているが、この技術は、例えばシャープ技報、第63号、14頁〜17頁、1995年12月(以下、従来例6と略記する)に開示されているように、液晶パネルの視野角を広くするためのマイクロセル構造を作製するためにも用いられている公知技術である。

0017

この例にあっては、光硬化性樹脂と液晶の混合物に、格子状の光(波長は該光硬化性樹脂を硬化せしめる波長)を照明し、光誘起相分離現象により、各画素を囲むマイクロセル構造を形成している。それにより液晶領域内で液晶分子が、自己配向力により光硬化反応で安定化せしめた軸対称状配向され、広い視野角と高いコントラストを実現している。

0018

それでは次に、直視タイプの液晶パネル19のバックライトユニットに応用している例について、図1を参照しながら説明する。直視タイプの液晶パネルは透過型反射型に分けられるが、以下では、透過型を例に説明する。例えば、特開平9−178949号公報(以下、従来例7と略記する)に開示されているように、図1の画像表示装置は、光源である冷陰極管(以下、CCFTと略記する)23からの光を導光体21の端面から入射し、導光体21の裏面側に形成したホログラム素子30及び反射ミラー23によって透過型の液晶パネル19側へ出力せしめるもので、ホログラム素子30は反射型のホログラムである。

0019

上記構成により、部品点数の削減、軽量化、コストの削減を図ると同時に、明るさの均一性及び効率が高く、かつ指向性を有するバックライトユニットとして用いることができる。この機能はホログラム素子30を微小ホログラム集合体とすることで実現されている。すなわち、モザイク状の微小ホログラムは、互いに異なる入射波長、及び入射角に対して最大回折効率を示すように作製されている。

0020

また、同様の構成において、例えば特開平9−127894号公報(以下、従来例8と略記する)に開示されているように、該反射型のホログラムの面積密度を、光源から離れるに従って高くすることによって、より一層の明るさの均一性が実現される例が開示されている。

0021

このほかにも、例えば、プロシーディングス・オブインターナシナルディスプレイワークショップス’97、411ページ〜414ページ(以下、従来例9と略記する)、または特開平9−138396号公報(以下、従来例10と略記する)に開示されているように、反射型液晶パネル反射板として用いられ、入射光束を液晶基板に概ね垂直な方向に選択的に、かつ特定の立体角内に概ね反射(回折)せしめ、視野角は狭いものの明るい画像表示を行う応用が考えられている。このホログラム素子は、いわゆる反射型の体積ホログラムである。

0022

尚、従来例7〜従来例10では、材料としては一般的なフォトポリマーを用いており、常に上述の反射を行うホログラム素子である。

0023

次に画像表示装置について説明する。

0024

近年、従来の直視型テレビでは大型化が困難であることから、高輝度ランプからの照明光束を変調する画像表示手段の出力画像を拡大投写する投写型画像表示装置の開発が進められている(例えば、オープラスイー、1993年8月号、58頁−101頁)。

0025

図67は従来の一般的な投写型画像表示装置の構成を示すものであり、画像表示手段として液晶パネルを用いた構成例を示す。ランプ2からの出力光3をリフレクター4で反射し、出力光束5を集光光学系(不図示)により集光伝搬し、色分離のためのダイクロイックミラー12、13により赤色、緑色、青色の3原色に分離し、全反射ミラー14、コンデンサーレンズ15を介して液晶パネル16〜18に入射せしめる。液晶パネル16〜18により変調された出力光は、色合成のためのダイクロイックプリズム(不図示)もしくは、ダイクロイックミラー19、20及び全反射ミラー14により合成され、投写レンズ9によりスクリーン(不図示)上に拡大投写される。

0026

液晶パネル16〜18は、主に透過型、反射型に区別されるが、いずれも偏光板もしくは偏光ビームスプリッタ(以下PBSと略記する)を介して入射される特定の直線偏光光を、液晶材料により変調することにより画像を表示する。

0027

また液晶パネル16〜18は一般的には各画素を駆動するためのスイッチング素子として薄膜トランジスタ(以下TFTと略記する)を各画素に配置したアクティブマトリックス方式が主流であり、TFTは多結晶ポリシリコンで形成されるのが一般的である。

0028

ランプ2としては、発光効率が高く、発光体体積が小さく高輝度で、演色性の高いランプが求められており、メタルハライドランプキセノンランプ超高圧水銀ランプなどが用いられている。

0029

リフレクタ4としては、反射後の光束5を有効に活用しやすいことから、放物面鏡楕円面鏡球面鏡等が用いられており、発光体がそれら反射鏡焦点もしくは第一焦点もしくは中心に配置される場合が多い。現在の主流は放物面鏡を用い、その焦点近傍にランプの発光体を設置し、略平行な光束を得る方式である。

0030

近年の投写型画像表示装置においては、全白信号を表示した際の、(1)投写画像の中央部の明るさと周辺部の明るさを均一にする、(2)投写される全光束ルーメン)をランプの消費電力ワット)で除した値として定義される投写効率(ルーメン/ワット)を向上する、ことが開発の主な課題であり、(1)についてはインテグレータの導入により、(2)についてはインテグレータと発光体の小さな高輝度ランプとを組み合わせることに加えて、さらに偏光変換素子を組み合わせることによる解決が試みられている。

0031

それではまずインテグレータについて説明する。インテグレータとは、例えば特開平3−111806号公報、特開平5−346557号公報に開示されているように、微小レンズを2次元に配置して構成される蠅の目レンズを2種類組み合わせて構成される。インテグレータの具体的構成例を図7に示す。リフレクタ4及び第1の蠅の目レンズ49によって、ランプ2の発光体の像は、第1の蠅の目レンズ49の各レンズに対応する第2の蠅の目レンズ50の各レンズ上に結像される。第2の蠅の目レンズ50の各レンズは第1の蠅の目レンズ49の像を画像表示手段7上に結像するような構成となっている。

0032

上記構成により、第2の蠅の目レンズ50の各レンズが画像表示手段7上に結像する像は、リフレクタ4から出力される輝度分布の大きな出力光を第1の蠅の目レンズ49の各レンズにより細かく分割し、それらを画像表示手段7上に重ね合わせた結果となる。このような原理により投写画像における画像中央部に対する周辺部の明るさを70%以上に高くすることが可能となっている。

0033

また、インテグレータの導入により、投写効率も向上せしめることができる。一般にリフレクタ4により反射された光束5は略円形であるが、画像表示手段7は例えば4:3の長方形である。それゆえ画像表示手段7を円形に照明する場合には円に内接する長方形の面積比しか有効に活用されなかった。これを矩形変換効率と呼び、4:3の長方形を外形とする画像表示手段7を用いる場合には、矩形変換効率は、約61%であった。しかしながらインテグレータの第1の蠅の目レンズ49に用いるレンズの開口形状を特開平5−346557号公報の図2に開示されているように4:3として配置することにより、約80%に向上することが可能となっている。

0034

次に、偏光変換素子について説明する。前述の液晶パネルのような偏光表示手段を用いた投写型画像表示装置においては、ランプの出力光の中で、特定方向の偏光成分しか有効に活用できないという欠点があり、投写効率が低く、明るい画像を得るためには出力の大きな光源を用いなければならない等の課題があった。偏光変換素子はこうした課題を解決することを目的として開発され、偏光板で吸収される偏光成分もしくはPBSで液晶パネルに入射されない偏光成分を、該偏光成分に対し概ね直交する偏波面を持つ偏光成分に有効に変換するものである。

0035

偏光変換素子は例えば、特開平5−107505号公報、特開平6−20294号公報、特開平7−294906号公報、特開平8−234205号公報、特開平9−105936号公報等多数開示されているが、基本的には、偏光分離素子と、偏波面回転素子の組み合わせからなる。

0036

図8に一般的な偏光変換素子58の構成図を示す。無偏光光ランダムな偏光の光束)62を偏光分離素子60により互いに直交する偏光成分、すなわちP偏光光(偏光分離素子により反射されずに透過する紙面に平行な偏光方向を有する光束)63、S偏光光(偏光分離手段により反射され、紙面に垂直な偏光方向を有する光束)64に分離し、S偏光光64のみを反射手段60’(一般的に偏光分離手段60と同種の膜を用いる)により反射し、偏波面回転素子61によりP偏光光63’に変換する原理に基づいている。

0037

近年では、レンズアレイ66との組み合わせで構成される場合が多く、前記五つの公開公報に記載の内容もレンズアレイ66との組み合わせにより使用することができるが、偏光分離素子の設置位置により若干構成が異なる。

0038

一つの方式は、偏光変換素子58に入射する光束の幅をレンズアレイ66により略半分とし、偏光分離素子60にのみ光束を入射して偏光分離、偏波面回転を行う方式である(図9参照)。この場合、該レンズアレイ66をインテグレータを構成する蠅の目レンズとすることにより、前述のように投写画像の明るさの均一性を同時に確保する構成とすることが多い。すなわち、前記レンズアレイをインテグレータの第2の蠅の目レンズとした構成が考えられている。

0039

一方、特開平6−202094号公報、特開平8−234205号公報に開示されているように、第1の蠅の目レンズのランプ側に偏光分離素子を設置し、偏光分離後の光束の出射角を偏光成分に応じて数度変えることにより、第2の蠅の目レンズ上で結像する位置を偏光成分毎に変え、一方の偏光成分のみ偏波面の回転を行う方式も考案されている。この方式の応用として、第1の蠅の目レンズと第2の蠅の目レンズの間に偏光分離素子を設置する構成も考えられている。

0040

従来の偏光変換素子では、偏光分離素子としては誘電体層を複数積層してなる誘電体多層膜を用いている場合がほとんどである。偏光分離素子として偏光選択性を有するホログラム素子は従来から知られているが、該ホログラム素子をインテグレータと組み合わせて偏光変換素子を構成し、投写型画像表示装置の照明光学系に適用した例は開示されていない。

0041

特開平8−234143号公報、米国特許第5161039号に開示されている偏光選択性を有するホログラム素子では、液晶ポリマー、あるいは非線形光吸収効果を有するポリシランポリマー材料を用いることにより偏光選択性を有するものであり、各々の偏光に対してはいわゆる体積ホログラムとしての機能を有する。

0042

また、プロジェクターの使用において、室内をあまり暗くしなくても認識できる明るい投写画像への要求が高いため、液晶ライトバルブ光利用効率を向上させることが重要である。照明領域の均一性を高める光学系として、特開平3−11180号公報または特開平5−346557号公報等には2枚のレンズ板を用いたインテグレータ光学系が開示されている。

0043

これは原理的には露光機に使用されているものと同じで、光源からの平行光束を複数の矩形レンズによって分割し、各矩形レンズの像を各矩形レンズに1対1で対応するリレーレンズで液晶ライトバルブに重畳結像させるものである。

0044

また、特開平6−202094号公報にはインテグレータ照明法偏光変換法を組み合わせた照明光学系が提案されている。この概略図を図4に示す。光源1101からの出射光は液晶を用いた偏光分離素子に入射し、P波1106とS波1107に分離される。これらの光はインテグレータを構成する第1レンズ群1103と第2レンズ群1104により、第2レンズ1104の後方に配置された位相板1105の異なった位置にそれぞれ結像される。位相板1105は第2レンズ群を形成する1つのレンズの概ね半分の面積に1/2波長板周期的に形成されている。

0045

このため、例えば、この1/2波長板の位置に結像したP波1106は偏光方向が90°回転してS波となって出射する。S波1107は1/2波長板が形成されていない領域に結像され、そのまま透過する。つまり、位相板1105を出射した後の光波は偏光方向が概ね等しくなる。

0046

特開平7−294906号公報には、レンズ板とプリズムを組み合わせた偏光変換素子が報告されている。この概略を図5に示す。これは、アレイ状のレンズが形成されたレンズ板1201に入射した光波は光束が絞られて、プリズム1202に入射する。ここでS波1204はそのまま通過し、P波1205はプリズムで反射されて隣のプリズムに入射し、再び反射され90°角度を変化する。

0047

そして、光路中に置かれた1/2波長板を通過して偏光方向を90°回転してS波として出射する。以上のようにレンズ板1201とプリズム1202との組み合わせによってこれを出射した光波は偏光方向が揃った光束となる。

0048

ここで、液晶素子画像表示原理について図9を用いて説明する。例えば蛍光ランプやメタルハライドランプのような光源901から出射される光は、紙面に平行な偏光方向を有するP波902と紙面に垂直な偏光方向を有するS波から構成されている。この光束は偏光子904に入射し、特定の偏波成分が吸収され残りの成分が透過する。偏光子904ではS波の成分が吸収され、P波が透過する構成となっている。偏光子904を透過した光は液晶素子905に入射することになる。

0049

ここでは、液晶素子905として、入射面と出射面とで液晶分子の方向が90°ねじれて構成されているツイストネマティック液晶を例に説明する。この液晶素子905にはパターニングされた透明電極が形成されており各画画素毎に電界印加が可能である。液晶を完全にスイッチングできるだけの電界が印加されている画素(ON)は、液晶分子のねじれが解け、入射面に対して液晶分子が等方的に立った状態(ホメオトロピック)になっている。このため、この画素に入射したP波は変調を受けることなくその偏光状態を維持したまま液晶素子を通過する。

0050

次に電界が印加されていない画素(OFF)では液晶分子は入射面から出射面までの厚さ方向において90°液晶分子の角度がねじれた状態となっている。このため、この画素に入射したP波成分は入射面から出射面までを通過する間に液晶のねじれに起因するツイストネマティック効果によりその偏波面を90°回転させる。従って、OFF画素を通過した後、先の光はS波となって出射することになる。

0051

液晶素子を通過した後、通過位置に対応した画素の電界の有無により光の偏光方向が異なることになる。次に、これらの光は偏光子906に入射する。ここで偏光子906は先の偏光子904に対し、偏波成分を通過する軸方向が90°傾けて設定されている。つまり、偏光子904と906はクロスニコルに配置されている。このため、液晶素子を通過した光の内P波は偏光子906で吸収され、S波は偏光子906を通過することになる。

0052

以上のように液晶素子の各画素を通過した光は、画素に印加される電界に応じて偏光方向が変調され、この結果として偏光子906を通過する光の強度が異なることになる。観察者907には、この偏光子906を通過する光の通過量が異なることになるため、各画素に対応する明暗パターンとしての画像が認識されることになる。

0053

また、各画素に印加する電界量を制御することで液晶を通過する光の偏光方向を先のP波とS波の状態の中間状態に設定することができるため中間調の表示も可能となる。

0054

次に、光情報処理装置について説明する。

0055

光ディスクや光磁気ディスク等の光記憶媒体に記憶される情報の記録や読み出しを行う光情報処理装置は、主に光源としての半導体レーザ、この半導体レーザから出射する光を光記憶媒体上に収束するためのレンズ、光記憶媒体上で反射されたレーザ光を受光素子に導くための回折光学素子としてのホログラム素子等から構成される。

0056

一端、半導体レーザから放射された光はこのホログラム素子を透過し、結像レンズにより光記憶媒体としての光ディスクの表面に集光される。光ディスクの表面で記録情報に応じた強度で反射して広がる光は、再度レンズにより収束され一部は半導体レーザに戻り、一部は例えば2つの領域に分割されたホログラム素子により2方向に分割され、いくつかの領域に分割された受光素子に結像されて、ナイフエッジ法のような手法を用いて焦点ずれトラッキングずれ、及び情報信号の検出等が行われる。

0057

以上のようにレーザからの出射光は往路と復路の2回、回折光学素子としてのホログラム素子を通過することになる。往路においてホログラム素子を通過後、光が強く回折されてしまうと光ディスクの表面に集光される光量が低下してしまい、ディスク上で充分な光強度が得られず信号情報の正確な検出に支障を来たすことにもなりかねない。このため通常、ホログラム素子には往路と復路で回折効率が異なる機能が要求される。

0058

光源である半導体レーザが偏光特性を有することもあって偏光方向による回折効率の選択性が用いられることが多い。具体的には、半導体レーザから放射された光の偏光方向に対しては回折作用を生じることなくそのまま透過し、この後ディスクとの光路中に1/4波長板のような位相板を配置し、ディスクにより反射され再度ホログラムを通過するときに偏光方向が初期に比べ90°回転するように設定する。この時、ホログラム素子は回折機能を生じ、これを通過した光は情報信号等の検出を行う受光素子へと導かれる。

0059

このような偏光選択性を有するホログラムは、屈折率異方性を有する光学媒体を用いて作製される。例えば、ニオブ酸リチウムのような屈折率異方性を有する光学媒体の表面の所定の領域にフォトリソグラフィホログラフィック露光等によりマスクを形成し、表面の露出された領域に安息香酸等を用いてイオン交換を行う。すると、特定の偏光方向に対しては屈折率分布が生じず、一様な物体として取り扱うことができる。

0060

しかしながら、先の偏光方向に対して直交する偏光方向の光に対してはマスクにより形成した領域に対応した屈折率分布を生じ、このパターンに対応した回折現象を生じることになる。このような特性を有するホログラム素子を用いて光情報処理装置は構成されている。

発明が解決しようとする課題

0061

以上の従来例1〜従来例6に開示された全てのホログラム素子は、常に屈折率異方性を有していない光学的に略等方的な光硬化型の高分子材料と、該光硬化型の高分子材料を硬化せしめる波長では硬化しない液晶材料(以下、非重合性液晶と略記する)との混合物によって形成され、それらが細かい領域を形成してなるものである。それゆえ、例えば従来例1にあっては、非重合性液晶のみの領域に電圧を印加して回折をさせぬようにしても、例えば斜めに入射した光束に対してはホログラムとして作用してしまうという欠点があった。この様子を図2および図3を用いて説明する。

0062

従来のホログラム素子は、図2(a)に示したように光学的に略等方な光硬化型高分子材料からなる領域1(屈折率をn1 とする)と、非重合性液晶からなる領域2(液晶分子は図示したような屈折率異方性を有し、常光線異常光線に対する屈折率を各々no 、ne とする)により形成されている。

0063

ここでn1 とno はほぼ等しい材料を選んでいる。電圧を透明導電性電極1(以下ITOと略記する)に印加し、領域2の液晶分子をスイッチングさせると、液晶分子はガラス基板2に対して略垂直に配列する。

0064

この場合、垂直に入射した光束3に対しては、P偏光光(紙面に平行な偏光成分)、S偏光光(紙面に垂直な偏光成分)に対して光学的に等方(領域1、2共に屈折率がほぼno )となるため、光束3は回折されず直進する。

0065

領域2に電圧を印加しない場合には、図2(b)に示したように液晶分子がガラス基板2に略平行に配列し、領域2に屈折率異方性が生じる。

0066

その結果、例えばP偏光光に対しては屈折率がne 、n1 と交互に変化するホログラム素子として作用するのに対して、S偏光光に対しては全ての領域がほぼ屈折率no の等方媒体として作用する。それゆえ入射光束3の中でP偏光光4は回折され、S偏光光5は直進する。

0067

しかしながら図3(a)に示したように斜めに入射する光束3’に対しては、電圧を印加して液晶分子を垂直に配列させ入射光束を直進せしめるモードであっても、領域2には屈折率異方性が生じてしまう。すなわち、常光線(この場合S偏光光)に対しては屈折率no の等方媒体として作用するので直進させるが、異常光線(この場合P偏光光)に対しては領域2の屈折率がne (θ)となり、ホログラムとして入射光を回折してしまうのである。それゆえ、例えば光スイッチとして用いようとすると、垂直入射以外では完全な制御ができないという欠点があった。

0068

実際には、本来屈折率異方性を持たない光硬化型高分子材料を用いて領域1を形成しても、狭ギャップガラス間に形成すると応力等により僅かではあるが屈折率異方性を発現する。しかしその差は小さいものであり本質的には上述の現象が現れる。

0069

その僅かな屈折率異方性が問題になる場合もある。例えば、従来例6の場合にあっては、黒を表示する際に格子の部分が不連続な領域となり、高コントラストな画像を表示する際に特に目立ち、均一性を損なうという欠点があった。

0070

以上詳細に述べた諸問題は、光学的に略等方な光硬化型の高分子材料と、液晶材料の混合物を材料として、相分離を発現させた系においては常に発生する問題である。

0071

一方、光硬化型の液晶として近年特に注目されている紫外線硬化型液晶と、数種類の非重合性液晶の混合物を用いて液晶高分子複合系位相差フィルムを作製する例が報告されている(例えば’97液晶討論会予稿集168ページ〜169ページ、1997年)。しかしながら上記例では、UV光を単純に全面にかつ均一に照射し、全面を一様に硬化せしめているのみであり、二光束干渉露光による光誘起相分離による干渉稿の形成、及び後述のように本発明の構成によって期待される斜めの入射光に対しても回折が生じない効果については何ら言及していない。

0072

また、例えば特開平9−281330号公報、特開平9−288206号公報では、光硬化型液晶をストライプ状のITOを形成したセルに注入し、電圧を印加することで液晶分子の配向を部分的に異ならしめた状態で光硬化を行うことで回折素子を形成している。

0073

しかしながら上記の例では、本質的に均質な液晶材料を用いて形成しており、非重合性液晶との混合物を用いることに関して何ら開示しておらず、異なる領域間の屈折率異方性は等しいが、スイッチング可能ではなく本質的に本発明とは異なるものである。

0074

また、従来例7〜従来例10で開示されている直視型の液晶パネルに応用している例では、ホログラム素子は常に前述の機能を実現するもので、必要に応じてホログラム素子の機能を変える例は一切開示されていない。

0075

また、従来の画像表示装置において、誘電体多層膜を用いて偏光分離手段を形成する場合には薄膜誘電体層複数層積層するため、作製に時間がかかりコストが高いという欠点があった。

0076

さらに複数のプリズムを張り合わせて形成され、接合面に誘電体多層膜を形成してなる特開平7−294906号公報、特開平9−105936号公報に開示された偏光分離素子においては、作製の困難さ、コストの高さ、接着剤耐熱性等に問題があった。

0077

特開平5−107505号公報、特開平8−234205号公報においては厚い平行平板もしくは直角プリズムを用いており、コンパクトな構成が困難であった。また、特開平6−20294号公報にあっては鋸歯状の形状の作製が困難であった。以上のように誘電体多層膜を用いた偏光分離素子はコストが高く、作製が困難であるという欠点があった。

0078

また、特開平8−234143号公報、米国特許第5161039号に開示されている偏光選択性を有するホログラム素子を用いた偏光分離素子は、前述のように投写型画像表示装置における照明光学系として、インテグレータと組み合わせた偏光変換素子としての応用例は何ら開示されていない。仮に従来のホログラム素子を偏光分離素子として偏光変換素子に組み入れ、投写型画像表示装置に適用しようとしても以下の理由により高い効率を実現することが困難であった。

0079

例えばインテグレータの第1の蠅の目レンズの前に偏光分離素子を設ける場合を考える。偏光分離素子に入射するのは、概ね略平行な光束である。これらの光束は当然ながら無偏光光である。この場合、偏光分離後偏光分離素子から出力され、互いに偏光方向が直交する二つの偏光光束の出射角の差は高々数度が好ましい。これは第1の蠅の目レンズの各微小レンズに対応する第2の蠅の目レンズの各微小レンズ上にランプの発光体の像を二つ結像せしめるからである。この角度差が大きすぎると第2の蠅の目レンズの各レンズの径を大きくせねばならなくなる。

0080

すなわち、偏光分離素子としては、略平行光束を異なる偏光成分に分離後、各々を数度の角度差で出力せねばならい。このことはホログラム素子を作製する際の参照光物体光入射角度差を高々数度と小さくせねばならないことを意味する。しかしながら、一般に体積ホログラムの効率を使用に耐えうるまで十分高くするためには、参照光と物体光の入射角度の差は少なくとも20度以上は必要とされ、それ以下の角度差では体積ホログラムとしての効率が低くなる。それゆえ従来のホログラム素子を偏光分離素子として用いて、第1のタイプの偏光変換素子は構成できなかった。

0081

また、回折素子としては、例えば特開平5−173196号公報に開示されているように、通常のネマティック液晶を用いた例、あるいはジャニーズジャーナル、オブ、アプライド、フィジックス、第36巻、1997年、589−590頁に開示されているようにUV硬化型液晶を用いた例、あるいはケミカルマテリアル1993年、第5巻、1533−1538項に開示されているようにポリマー分散液晶を用いた例も知られているが、上記公開公報に記載のものは単に偏光分離機能を有することを開示しているのみであり、偏光変換素子としての応用については何ら開示していない。

0082

以上のように、従来の誘電体多層膜により形成された偏光分離素子を用いて、インテグレータと組み合わせた偏光変換素子を構成し、投写型画像表示装置に適用した場合には、(1)コストが高い、(2)作製が困難、(3)コンパクトな構成が困難等の問題点があった。

0083

またホログラム素子には一般に、(1)入射角と出力角の差を大きくせねば効率が低いということから、(2)インテグレータと組み合わせ、投写型画像表示装置の偏光分離素子として使用することが困難であった。

0084

さらに、従来の回折素子にあっては、
1)単に偏光分離機能を有することを開示されているにすぎず、
2)インテグレータとの組み合わせについて何ら開示されておらず、投写型画像表示装置に適用できないものである。

0085

また、液晶を用いた偏光分離素子では、ノコギリ状の溝を有するプリズム基板とガラス基板との間隙に液晶を挟んだ構成である。液晶は屈折率異方性を示すため、常光、異常光といった偏光方向により屈折率差が異なる。

0086

先の偏光分離素子に入射した光波はノコギリ状の形状に対応した位相分布を生じ、位相型の回折格子として機能することになる。更に、偏光方向により液晶層を通過するときの屈折率差が異なる。このため、入射した光波の偏光方向によって、位相分布が異なるために常光と異常光、つまりP波とS波により回折される方向が異なって出射することになる。

0087

第2レンズアレイ状でP波とS波を分離するため、分離可能な程度の回折角が必要となる。このため、偏光分離素子のノコギリ状のピッチを数十μm程度に小さくする必要がある。このとき、ノコギリ状の傾きを均一に厳密に設計する必要がある。これは、ノコギリ形状の傾きが回折素子のブレーズ角に相当するため、この形状及び均一性が回折波の効率に影響する。つまり、ノコギリ状の溝が設計よりもずれてしまうと回折波が分散してしまい偏光分離素子による分離度が低下してしまうという課題が生じる。

0088

ノコギリ状の溝の間隙の幅を大きくすれば、ノコギリ形状のピッチを大きくでき加工が容易になる。この場合、分離角を元の場合と同程度維持使用とすれば、液晶のセルギャップを厚くする必要がある。しかしながら、厚いセルギャップに液晶を均一に配向させることは難しく白濁等の現象が生じ、偏光分離素子の透過度を減少させ光利用効率が低下するという問題が新たに生じる。

0089

プリズムを用いた偏光分離素子では、一端レンズ板により光束を絞り1列置きにプリズムアレイに入射する。そして、プリズムは偏光ビームスプリッタの機能を有するため、例えばS波を透過しP波は直角に反射され、更に隣のプリズムで直角に反射され光の伝搬方向が先のS波と等しくなる。この後光路中に置かれた1/2波長板によって90°偏光方向が回転されP波となって出射する。

0090

以上のような作用が各プリズム毎に行われるため、レンズ板に入射した光波は光束の幅を大きく変えることなく、偏光方向が揃った光束を得ることができる。プリズムは誘電体多層膜と屈折率マッチングをとるための液体または固体で回りを満たしたキューブ形状で構成される。偏光分離度を高めるためには誘電体多層膜を何重にも成膜する必要があり、製造コストは高価になる。また、分離膜は光の伝搬方向を90°曲げるため45°に配置している。このため、1つのプリズムを構成する分離膜の大きさによって厚さ方向の分離素子の大きさが固定され、素子を薄く小型にできないという課題が生じる。

0091

本発明は、前記従来技術の課題を解決し、偏光選択制に優れ回折効率の高い回折光学素子を偏光分離素子として利用した光利用効率の高い偏光照明装置を提供すること及びこの偏光照明装置と投写光学系を組み合わせ明るい投写映像を形成することができる投写型表示装置を実現することを目的とする。

0092

また、近年、カーナビゲーション用のモニターや個人でビデオ画像情報視聴の目的のための持ち運び可能なディスプレイの用途が増加しているが、これらは、ヘッドアップディスプレイや、モバイルツールと呼ばれる携帯電話を始めとする携帯情報端末用の低消費電力タイプのディスプレイとして位置づけられている。このようなディスプレイに対して要求される共通の条件としては小型、軽量、薄型低消費電力が上げられる。また、ヘッドアップディスプレイにおいては、表示画面と外界との切り換えを行う必要性もあり、画面が透明、つまり、シースルー画面であることが望ましい。

0093

現在、以上のような要求に適しているディスプレイとしては液晶素子を用いたものが考えられる。液晶ディスプレイは従来のCRTのようなディスプレイに比べ、奥行き面積が少なく薄型化を実現することができる。また、画素サイズの小型化、大容量化TFT素子の導入等により高精細化も進み、画質的にもますます向上してきている。

0094

しかしながら、通常、液晶素子を用いたディスプレイの画像表示原理は液晶素子に印加する電界の大きさにより入射する光の偏光方向を変調する。そして、液晶素子の前後にクロスニコルに配置した偏光子を組み合わせることで、入射光の偏光状態による偏光子の透過度の差を利用して明暗等の画像情報を表示するものである。

0095

このような方式では、偏光子は吸収タイプであるため光の透過度はあまり高くない。更に、偏光子をクロスニコルに組み合わせて構成しているため、この偏光子の組み合わせのみの状態では光の透過度はほとんどなく黒の状態である。従って、画像表示と併せて、前記液晶パネルを通して外界の情報を得ることは困難であり、シースルータイプのヘッドアップディスプレイとしての利用はできないという問題がある。

0096

また、偏光子は光の吸収により特定の偏波成分のみを透過させる構成であるため、偏光子により吸収された光は内部で熱に変換される。入射する光量が増加すると、偏光子内部での発熱の影響が無視できなくなり、偏光子の光変調作用の機能の低下や素子の劣化といった問題が生じてくる。

0097

液晶ディスプレイはCRTのような自発光タイプデバイスではないため、画像表示用に専用の光源を必要とする。液晶ディスプレイの消費電力の内、この光源用に使用される電力の割合が全体の半分程度を占め低消費電力化に対する壁となっている。このため、専用の照明用の光源を用いることなく画像を表示する方式が検討されている。このための方式として、自然光や室内の照明光のような外部光を光源として利用して液晶素子と反射板を組み合わせた反射型の画像表示装置がある。この構成によれば専用の光源を必要としないため、低消費電力化が可能となる。

0098

上記の方式では照明光として用いる外部光の状態により画像の表示状態が変化することになる。例えば、夜間室内の照明光が暗い場合や照明光が使用できないような場所での画像情報の視聴は困難となる。このため、内部の光源としてのバックライトと外部光とを使用する場所や環境条件等にあわせて切り換えを行い、低消費電力化と画像情報の視聴の利便性とを兼ね備えたような構成が望ましい。

0099

しかしながら、外部光を利用するためには液晶素子の全面に1枚の偏光子を置いた反射型の構成をとるのが適しており、内部の光源を利用するためには液晶素子の前後にクロスニコルに偏光子を配置した透過型の構成にするのが適している。この両方式を同時に満足させるためには、偏光子を2枚用いた構成をとることが考えられるが、吸収型の偏光子を用いた場合は透過度が低く、外部光による反射型での画像表示においては画面の輝度が著しく低下し画質が劣化する。従って、内部光源と外部光との併用での使用は困難であるという課題がある。

0100

本発明は、前記従来技術の課題を解決し、偏光選択制に優れ回折効率の高い回折光学素子を液晶素子と組み合わせて画像表示装置を構成し、シースルー型の表示が可能であり、また内部光源であるバックライトと外部光との併用ができる低消費電力型の画像表示装置を提供することを目的とする。更に、回折光学素子を屈折率分布に変調を持たせた透過型として用いることで、光の利用効率を高め、画像表示と同時に照明光用の照明装置としての多目的な応用を目指すものである。

0101

一方、イオン交換等により作製された偏光選択性を有するホログラム素子を用いて光記憶媒体からの信号検出を行う場合、ホログラム素子の回折効率により信号検出は大きく影響される。具体的には、光ディスク等により反射され、位相板により偏光方向が初期と直交するように変化されてホログラム素子への入射する。

0102

この時に、ホログラム素子の回折効率が低いと受光素子へ到達する光の強度が弱くノイズが増加し、正確な信号検出が困難となる。更に、回折されず透過した成分は光源である半導体レーザに照射されるため、半導体レーザへの戻り光量の増加によるレーザ発振不安定性が起こり、光源自体でのノイズの発生等の課題が新たに生じてくる。

0103

この課題を解決するためには、ホログラム素子の偏光選択性及び回折効率を向上させることが必要である。現在偏光選択性を有するホログラム素子として利用できる形態としては2次元の回折光学素子のタイプのものがある。これは、矩形格子形状に対応するような屈折率分布を持たせ、入射する光の波長に対して隣合う格子毎に0とπの位相差を生じさせる。これを通過する光は、この矩形格子の間隔に対応する特定方向に強められる結果として回折を生じる。

0104

このような矩形格子からなるホログラム素子では、2次元のバイナリからなる形状のため回折波は左右対称に生じる。このため、回折強度が最も大きい1次の方向に集光される理想的な回折効率でさえ、40%程度に制限されるという課題がある。また、格子形状が設計値からずれた場合、0次光強度を始め1次光強度以外の高次に回折される強度割合が増加する。従って、必要とされる1次光強度が低下するばかりでなく高次に回折された光が半導体レーザへの戻り光として作用し、前述したようなレーザ発振に対しノイズを生じさせる原因となるという問題も生じてくる。

0105

本発明は、前記従来技術の課題を解決し、偏光選択性に優れ回折効率の高い光情報処理装置に使用される回折光学素子及びこの素子の信頼性の高い製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0106

本発明は、材料の組成の異なる複数の領域を有し、前記複数の領域は、少なくとも特定の波長により硬化しかつ屈折率異方性を有する光硬化型液晶からなる第1の領域と、該波長によって非硬化な液晶(以下、非重合性液晶と略記する)からなる第2の領域から形成され、前記光硬化型液晶の硬化後の常光線に対する屈折率及び異常光線に対する屈折率が前記非重合性液晶の常光線に対する屈折率及び異常光線に対する屈折率と各々略等しいことを特徴とする。

0107

本発明は、少なくとも、入射光束に対して偏光異方性を有し、概ね第1の偏光成分のみ選択的に回折せしめる平板状の第1及び第2のホログラム素子からなり、前記第1のホログラム素子に入射する入射光束と光軸のなす角θ0と、前記入射光束が前記第1のホログラム素子により回折された第1の出力光束が光軸となす角度θ1と、前記第1の出力光束が前記第2のホログラム素子に入射後回折されて出力される第2の光束が光軸となす角度θ2が下式の|θ1−θ2|>20|θ0−θ2|<15を満足することを特徴とする。

0108

互いにほぼ平行に配置され、それぞれ互いにほぼ等しい所定の偏光成分を選択的に回折させる平板状の第1および第2のホログラム素子を備え、上記第1のホログラム素子に入射し、上記第1および上記第2のホログラム素子により回折されて上記第2のホログラム素子から出射する回折光束と、上記第1のホログラム素子に入射し、上記第1および上記第2のホログラム素子を透過して上記第2のホログラム素子から出射する透過光束とのなす角度が0°を越え、かつ、15°未満であるとともに、上記第1のホログラム素子に入射し、上記第1および第2のホログラム素子により回折される光束における、それぞれのホログラム素子に入射する光束とそれぞれのホログラム素子により回折された光束とのなす角度が、それぞれ20°を越えることを特徴とする。

発明を実施するための最良の形態

0109

(実施の形態1)入射する光の偏光方向に応じて回折効果が異なる偏光選択性の回折光学素子であるホログラム素子の例について説明する。

0110

このホログラム素子は、図10に示すように、それぞれ導電性透明電極(以下「ITO」という。)501が形成された2枚のガラス基板502の間に、例えば紫外線硬化型液晶(以下「UVキュアラブル液晶」という。)分子503aを含む領域503と、例えば非重合性液晶分子504aを含む領域504とが形成されて構成されている。上記UVキュアラブル液晶は、特定の波長を有する光束により硬化した、屈折率異方性を有する光硬化型液晶である。一方、非重合性液晶は、上記UVキュアラブル液晶を硬化させる波長の光束に対して硬化しない液晶材料である。

0111

ここで、「光学的異方性」に関する表現についてついて説明する。一般的な液晶材料や、一軸性光学結晶に見られるように、屈折率異方性を有する光学材料においては、常光線に対する屈折率と異常光線に対する屈折率を定義することができる。常光線とは、光線の入射角に屈折率が依存しない偏光光であり、異常光線とは入射角により屈折率が異なる偏光光のことである。異常光線に対する、その入射角に応じた屈折率は、図3(b)に示すいわゆる屈折率楕円体(参考文献:例えば工、上原著、「基礎光学」、現代工学社刊、202ページ)により求めることができる。そこで、「各領域の入射光束に対する光学的異方性」を、特に注記しない場合には簡潔に「各領域の光学的異方性」と略記し、その意味は、「各領域における入射光束に対する常光、および異常光に対する屈折率の異方性」であるとする。また、「領域503と領域504の光学的異方性が略等しい」とは「入射する常光線に対する屈折率および異常光線に対する屈折率が、それぞれ、双方の領域で互いに略等しい」ことを意味するものとする。同様に、「領域503と領域504の光学的異方性が異なる」とは、「入射する常光線に対する屈折率は双方の領域で略等しいが、異常光線に対する屈折率は双方の領域で異なる」ことを意味するものとする。また、「光学的異方性」と「屈折率異方性」とは同じ意味で用いる。

0112

上記ホログラム素子は、ITO501間に電圧が印加されていない状態では、図10(a)に示すように、領域503および領域504共に液晶分子503a,504aが略同一の方向(ガラス基板502に略平行な方向)に配向し、領域503(硬化後)と領域504の光学的異方性が互いにほぼ等しいようになっている。すなわち、領域503と領域504とで常光線に対する屈折率がほぼ等しく(その値をno とする)、また、異常光線に対する屈折率もほぼ等しい(その値をne とする)。一方、ITO501間に所定の電圧が印加されると、図10(b)に示すように、領域504の液晶分子504aだけが電気力線の方向に配向(スイッチング)し、領域503と領域504とで光学的異方性が互いに異なるようになっている。

0113

上記のように構成されたホログラム素子は、P偏光光(異常光線)に対しては、ITO50間への電圧の印加によりホログラム素子として機能し、入射光束を領域503と領域504のピッチ、および膜厚に応じた方向に回折させる。すなわち、P偏光光だけが選択的に回折し、S偏光光(常光線)は直進する(図10(b))。このようにP偏光光だけの選択的な回折は、光束が斜め方向からホログラム素子に入射した場合でも同様である。一方電圧が印加されない状態ではP,S偏光光共に直進する(図10(a))。また、このホログラム素子では、電圧が印加されていないときには、斜め方向から入射した場合であっても、P,S偏光光共に確実に直進させることができる。すなわち、図11に示すように、斜め方向から光束が入射した場合、常光線に対する屈折率が領域503,504共にno で等しいだけでなく、異常光線に対する屈折率も、領域503,504共にne (θ)で等しくなるので、常光線のみならず異常光線も回折せずに直進させることができる。

0114

このように、上記ホログラム素子によれば、斜め方向から入射した光束に対しても、確実に、常光線、異常光線ともに直進させたり、異常光線のみを選択的に回折させたりすることができる。

0115

次に、上記のようなホログラム素子の作製方法について説明する。このホログラム素子は、例えば2光束の干渉稿を照射することにより、いわゆる光誘起相分離によって形成することができる。

0116

(1)まず、ITO501を形成した2枚のガラス基板502に配向膜(不図示)を塗布し、配向処理を行う。

0117

(2)例えば所定の直径のビーズ(不図示)を分散させることでセルギャップを確保し、2枚のガラス基板502を貼り合わせる(ビーズ分散に代えて、酸化シリコンやフォトポリマーなどから成る所定の高さの柱を形成しても良い。)。

0118

(3)例えば非重合性液晶とUVキュアラブル液晶を例えば1:1の重量比で混合した液晶材料を注入し封止する。

0119

(4)2光束干渉露光により、所望のピッチの干渉稿を照射して、光が強く照射された部分のUVキュアラブル液晶を硬化させ、光誘起相分離現象によって、混合液晶中の大部分のUVキュアラブル液晶分子が硬化部に集まり、良好な領域分離が行われる。

0120

ここで、上記(4)のプロセスにおいて、ITO501間に電圧を印加した状態にして、液晶分子を例えばガラス基板501に略垂直に配向させた状態で2光束干渉露光を行えば、図12に示すように、電圧印加時には、各光学的異方性がほぼ等しくなって入射光束におけるP偏光光、S偏光光共に直進する一方、電圧無印加時には、各領域の光学的異方性が異なるようになり、P偏光光だけが回折し、S偏光光が直進する逆モードのホログラム素子を作製することができる。

0121

なお、素子の駆動方法としては、一般に交流電圧を印加することが好ましいが、非重合性液晶として、例えば強誘電性液晶を用いる場合には、そのメモリー性を活かしてパルス状の電圧を印加するなどしても良い。

0122

ここで、本発明のホログラム素子と従来のホログラム素子との違いについて述べる。上記動作原理は例えば、従来例1と基本的には同様であるが、従来例1においては領域503に単に光硬化型高分子材料を用いているにすぎず、屈折率異方性に関してはなんら開示していない。それに対して本発明のホログラム素子は、光硬化型液晶が屈折率異方性を有し、かつその硬化後のne 、no が領域504の非重合性液晶と同一であることが特徴であり、それゆえ入射角特性を改善することができる。例えば、垂直に入射する光束について考える(図2(a))参照)。

0123

従来例1では、光硬化型高分子材料からなる領域503は、屈折率異方性を有していないため常に屈折率は液晶のno と略等しい値n1 である。従来例1では液晶分子を制御して図8(a)に示したような構成とすることで、入射光束3を回折せずに直進できる。

0124

しかしながら、図9(a)に示したように、斜めに入射した光束3’については、常光線(この場合はS偏光光5)は直進できるが、異常光線(この場合はP偏光光4)は、領域503が屈折率no のままなのに対して、領域504の屈折率はne (θ)となるため回折してしてしまうのである。図9(b)に示したように、異常光線に対する屈折率は、屈折率楕円体により求めることができる。

0125

上記現象は、例えば、従来例2〜従来例6等に開示されているように、硬化する高分子材料が本質的に屈折率異方性を有していない従来の素子すべてに共通する課題であった。

0126

尚、従来例6はホログラム素子ではないが、光硬化型高分子材料と非重合性液晶との屈折率に関しては何ら記載されておらず、この場合は高分子材料が狭ギャップのセル内に形成された場合に生ずる僅かな屈折率異方性が問題となる。

0127

(実施の形態2−1)ホログラム素子を用いて構成された偏光分離素子の例を説明する。この偏光分離素子は、入射した光束を例えばS,P偏光光に分離し、両者をわずかに異なる出射角で出射させるもので、例えば偏光方向のそろった光束を得るための偏光変換素子などに用いられる。

0128

この偏光分離素子510は、図13に示すように、第1のホログラム素子511と第2のホログラム素子512とが貼り合わされて構成されている。第1のホログラム素子511の法線方向(図中Z軸方向)に略平行な光束αが入射すると、例えばS偏光成分(同図に示すX軸に平行な偏波面を有する偏光成分)は回折されて、例えば45゜の出射角(基板法線すなわちZ軸を基準とし、Z軸と入射光線の進行方向とのなす角)で出射し、第2のホログラム素子512に45°の入射角で入射するようになっている。一方、P偏光成分(Y軸に平行な偏波面を有する偏光成分)は、そのまま第1のホログラム素子511を透過するようになっている。

0129

上記45゜の入射角で第2のホログラム素子512に入射したS偏光光は、その第2のホログラム素子512により回折されて、例えば−7゜の出射角で出射される一方、P偏光光は、第1のホログラム素子511と同様にZ軸に平行に透過するようになっている。すなわち、この偏光分離素子510では、P偏光光とS偏光光を7゜の進行方向の差で分離して出力することが可能となる。

0130

上記各ホログラム素子511,512としては、例えば前記実施の形態1のホログラム素子を用いることができ、この場合には、各ホログラム素子のITOに所定の電圧を印加することにより、上記のような動作をさせることができる。また、電圧を印加することなく、それぞれ上記のような回折をさせるホログラム素子を用いてもよい。そのようなホログラム素子は、例えば以下のようにして作製できる。

0131

(1)1対のガラス基板25上に導電性透明電極(例えばITO:不図示)を成膜する。

0132

(2)各導電性透明電極上に配向膜(不図示)を塗布しラビング処理を行う。

0133

(3)導電性透明電極上に所望の径の球状のビーズ(不図示)を分散させる。

0134

(4)ガラス基板513の周辺部にシール材(不図示)を塗布する。

0135

(5)ガラス基板513,514を貼り合わせ、加熱処理によりシール材を硬化させる。

0136

(6)注入口(不図示)からホログラム材料として例えばUV硬化型液晶515を注入する。

0137

(7)UVレーザー光を用いた2光束干渉光学系によりUV硬化型液晶515を露光し、後述する所定の干渉稿を形成する。

0138

(8)導電性透明電極間に所定の電圧を印加しながら再度UV光を照射する。

0139

なお、こようなセルの作製方法光学の分野において公知の技術であり、また、2光束干渉光学系も、コヒーレントなレーザ光を2分割し、所定の角度で照射することにより所定の方向およびピッチの干渉稿を形成する公知技術である。

0140

次に、上記作製方法により偏光選択性を有するホログラム素子が形成される原理について説明する。UV硬化型液晶はUV光、例えば360ナノメートル付近の波長の光を照射することにより硬化する液晶である。この液晶の分子515aは、上記(2)のラビング処理によって、(6)の注入後(7)のUV露光前の状態では、図14に模式的に示すように、概ねラビングした方向に配向している。

0141

この状態で、後述のように2光束干渉光学系によって形成された干渉稿をUV硬化型液晶515に照射すると、UV硬化型液晶515は干渉稿の光強度に応じて硬化する。具体的には、例えば図15に模式的に示すように、同図のY軸方向に光強度分布を有する干渉稿を形成すると、強度の強い部分の液晶分子515bのみが硬化する。

0142

その後、導電性透明電極間に電圧を印加すると、図16に示すように、干渉稿の光強度の弱かった部分の液晶分子515aだけが電気力線の方向に配向(スイッチング)する。この状態で再度UV光を全面に照射すると、電圧の印加を停止しても、図16に示したように液晶分子の配列状態が保たれたホログラム素子となる。すなわち干渉稿の微小なピッチで液晶のスイッチングしている領域とスイッチングしていない領域が形成される。そこで、液晶分子は光学的には一軸性の屈折率異方性を有しているため、図16の例ではX軸方向に振動する偏光成分に対しては位相型回折素子として作用するのに対して、Y軸方向に振動する偏光成分に対しては等方的な素子として回折せずに出力するという偏光異方性を有する回折素子として機能する。

0143

本実施の形態においては、具体的には以下のパラメータにより各ホログラム素子511,512を作製した。

0144

第1のホログラム素子の干渉稿の傾角:22.5゜
第1のホログラム素子の干渉稿のピッチ:0.757μm
第1のホログラム素子の厚さ:9μm
第2のホログラム素子の干渉稿の傾角:19゜
第2のホログラム素子の干渉稿のピッチ:0.651μm
第2のホログラム素子の厚さ:9μm
液晶の平均の屈折率:1.593
屈折率変化:0.083
上記のようにして作製された偏光分離素子510のS偏光光に対する回折効率を図17に示す。横軸は第1のホログラム素子511への入射角度である。図のように±2゜の範囲で90%以上の高い偏光分離特性を実現することができた。

0145

なお、液晶材料として、磁場で配向可能なUV硬化型液晶を用いた場合には、ガラス基板513,514の表面に導電性透明電極を形成する必要が無く、また上記(8)のプロセスにおいて電界を作用させる代わりに磁界を作用させればよい。

0146

このほかにもホログラム材料27として特定の波長領域に対して感度を有するフォトポリマーと液晶ポリマーとの混合物を用いて、光誘起相分離によりホログラム素子を作製してもよい。

0147

また、本実施の形態においては、ガラス基板513,514の法線として定義される光軸と入射光束が概ね一致していたが、必ずしも一致している必要はない。

0148

上記のような偏光分離素子に用いるホログラム素子としては、例えば図18に示すようなものを用いることもできる。このホログラム素子521は、例えば液晶などの屈折率異方性を有する光学媒体522を用いて形成されており、厚さが10μm程度と厚いため、屈折率分布が厚さ方向にも周期的に分布している。このため、偏光方向により回折作用が異なり、また回折作用としては1方向に高い回折効率を示す特性を有する。

0149

以下、このホログラム素子521について詳述する。

0150

この素子内部は光の入射する表面から、厚さ方向に対して傾斜した層が周期的に形成された層構造を有している。互いに隣合う層では、一方は屈折率異方性を有する光学媒体522の光軸の傾きがホログラム素子521の表面に平行となるように配列しており、他方は表面に対して垂直方向に配列している。

0151

上記屈折率異方性を有する光学媒体522に光が入射すると、その光の偏光方向が光学媒体522の光軸と平行な場合は異常光線となるため、屈折率としてはNeの値を示す。また、偏光方向が光学媒体522の光軸と垂直である場合は常光線となり、Noの屈折率を示すことになる。ここで、Ne>Noである。

0152

次に、図18に示すホログラム素子521において、紙面に対して垂直方向に偏光方向を有する光を常光線とし、紙面と平行方向に偏光方向を有する光を異常光線として、これらの光がホログラム素子521に入射したときの振る舞いについて説明する。

0153

まず、常光線が入射した場合、その偏光方向は、各層を構成する何れの光学媒体522の光軸に対しても垂直となる。このため、各層間での光軸の向きに関係なく、各層での屈折率はNoとなる。つまり、屈折率がNoの一様な媒体が存在するのと等しいため、これに入射する常光線は回折の作用を受けず、同図に示すように、そのまま透過することになる。

0154

一方、異常光線が入射した場合には、屈折率異方性を有する光学媒体522の光軸が入射面と平行に配列している層においては、入射光の偏光方向が光軸と平行となる。このため、Neの屈折率を有する層を通過する場合に相当する。また、ホログラム素子521の入射面に対し光学媒体522の光軸が垂直方向である層に対しては、偏光方向が光軸と垂直の場合に相当するので、この層はNoの屈折率を有するものと作用する。そこで、異常光線に対しては、ホログラム素子521は、その入射光の進行方向である厚さ方向において、屈折率が周期的に異なる複数の層を通過することになる。この結果、入射光線はこの層の傾斜角度と周期のピッチに対応する特定の方向に光が集光される、いわゆるブラッグの回折作用を受けることになる。それゆえ、同図に示すように、異常光線はホログラム素子521を通過後、素子の内部に形成された層構造に対応して光路を変化することになる。

0155

すなわち、上記のように厚さ方向に周期構造を有するように構成することで、ブラッグの回折条件が適用されることになる。これは、ある波長を有する光が周期構造を形成する各層に入射した場合、各層で散乱された光はその波長と入射角度および層間のピッチに対応する特定方向に散乱成分が強め合う現象を生じる。これが、ブラッグの回折条件と呼ばれるものであり、このような条件は従来の2次元的な回折光学素子に対し、3次元的な構成となり、ブレーズ化(1つの方向に光を収束する)の作用を有することになる。

0156

したがって、従来の回折光学素子に比べて、回折効率を飛躍的に向上させることができ、理論的には100%の効率が可能である。実際上も、中途での損失等を考慮に入れても90%以上の効率が期待できる。これに対し、バイナリからなる2次元の回折光学素子では、回折波は0次を含み左右対称に高次まで回折されることになるため、1次の方向への回折効率は最高でも40%程度となり、素子を通過する全光量に対する割合としては低い値となる。

0157

図19にホログラム素子521の理論的な回折効率の計算結果を「ベルステムテクノロジジェイ」(H.Kogelnik、(Bell Syst.Tech. J.,48,1969,pp.2909−2947))の解析に基づいて示す。回折効率は全入射光量に対する1次の方向に回折された光量の割合である。回折光学素子の各種パラメータをまとめて表1に示す。

0158

図19において、(a)はブラッグ角から入射角度がずれた場合の回折効率の変化、すなわち回折効率の入射角度依存性であり、(b)は入射波長が設計値からずれた場合の変化、すなわち回折効率の入射波長依存性を示したものである。

0159

図19(a)の角度依存性についてはホログラム素子521に入射する光束が平行光からずれた場合(入射角が所定の角度からずれた場合)の効率に相当し、また図19(b)の入射波長依存性については白色光源による照明時の効率等の検討に対応するものである。同図に示すように、各種パラメータを適当に設定することで理論的な回折効率が1、つまり100%近くの高い回折効率を得ることが期待できる。また、同図によれば、波長に関しては±100nm付近まで特性がフラットであり、白色光に対しても高い効率が期待できる。

0160

なお、図18では、ホログラム素子521を構成する光学媒体522の光軸が、隣り合う層間で90°傾斜して屈折率差が最も大きい場合を示したが、この角度を任意に設定することで屈折率差をNeからNoの中間値に設定することも可能である。また、これを利用した屈折率分布を選択することにより回折効率を調整することも可能である。

0161

また、ホログラム素子521の領域をいくつかに分割し、それぞれ回折する方向をずらすような構成も可能である。

0162

さらに、白色光を構成するR:赤(0.65μm)、G:緑(0.55μm)、B:青(0.45μm)程度の各中心波長のそれぞれに応じて異なった周期構造、角度等を有する層を形成し、これらを積層してホログラム素子521を構成したり、または、これらの構造を重畳してホログラム素子521内に記録することにより、波長分散または角度依存性の影響を緩和するような構成も可能である。

0163

次に、ホログラム素子521の作製方法について説明する。

0164

まず、1対のそれぞれのガラス基板上に透明導電性電極として、例えばITOを形成する。

0165

次に、これらの基板洗浄して、付着しているダストを除去した後、高分子からなる配向膜、例えばポリイミドスピンコート法等により塗布し、加熱処理を行うなどして配向膜を基板上に形成する。

0166

この後、上記配向膜に、ローラ等により特定方向のラビング処理を施してから、一方の基板の周辺にシール印刷を行い、他方の基板に直径5μm〜20μm程度のビーズを分散させる。この2枚の基板をラビング方向が互いに対になるように貼り合わせて、空のセルを構成する。

0167

上記空セルに、屈折率異方性を有する光学媒体522として、例えば正の誘電異方性を有する液晶を注入する。なお、負の誘電異方性を有する液晶を使用することも可能である。上記液晶は、より詳しくは、例えば光重合性液晶モノマーまたは光架橋可能液晶ポリマー等が含まれたもので、360nm前後の紫外領域の波長の光照射により液晶が硬化し液晶分子の方向が固定化される特性を有したものを用いる。上記注入は室温で大気雰囲気の中で行うこともできるが、40℃〜60℃程度の高温、また、真空中で注入するなどしてもよい。

0168

液晶を注入後のセルに対し注入口および脱気口付近を封止剤により封止すると、液晶サンプルが完成する。

0169

上記のようにして作製した液晶サンプルに対して、干渉縞の露光を行う。

0170

まず、露光時間を調節するためのシャッタを閉じて光照射が無い状態で、光学系の作製位置(露光装置の所定の位置)に上記液晶サンプルを配置し、シャッタを所定の時間、例えば1分間程度開放した後閉じることにより、第1の露光工程としての干渉縞による露光を行う。

0171

上記干渉縞を形成するための光源としては、例えば、照射強度が50mW〜100mW程度のAr(アルゴン)レーザから出力される、波長が360nm前後のレーザ光を用いることができる。このレーザ光をビームエキスパンダ等によって例えば直径30mm〜50mm程度のビームに広げた後、ビームスプリッタ等により2方向に分割し、ミラー等を組み合わせて設定した光路を介して干渉縞を形成し、液晶サンプルに照射する。この干渉縞は、上記ミラー等を調整することにより、液晶サンプルが配置された位置で例えば1μmピッチ程度になるようにする。

0172

上記露光により、液晶サンプルにはレーザの2光束の干渉により形成された干渉縞における光強度が高い明部に属する領域の液晶が硬化し、液晶分子が配向膜によって初期に配向された方向に分子軸が固定化される。すなわち、例えば前記のように正の誘電異方性を有する液晶を用いる場合、初期には液晶分子は一様にガラス基板に平行な方向に配向しており、干渉縞の明部の領域では、この状態が保存されることになる。一方、干渉縞の暗部の領域では光強度が明部に比べ低いため、この第1の露光工程では液晶分子はほとんど硬化しない。

0173

次に、第2の露光工程として、まず、液晶サンプルの2枚のガラス基板の内側に形成された透明導電性電極としてのITO電極間に5(V/μm)程度の交流電界を印加する。この電界印加により前記干渉縞の暗部だった領域の未硬化の液晶分子はガラス基板に対して垂直に立つ方向に傾斜する。この時の傾斜の角度は、印加する電界に比例するため電界の大きさを調整することで所望の傾斜角度、つまり屈折率差を与えることができる。

0174

上記のように電圧を印加した状態で、例えばビームスプリッタにより分割されたレーザ光のうちの一方を遮ることにより、干渉縞が形成されない一様な強度分布の光を液晶サンプルの全面に例えば5分間程度照射し、前記未硬化の暗部だった領域全体を完全に硬化させる。

0175

以上のような第1の露光工程と第2の露光工程を行うことで、図18で示したような構造を有するホログラム素子521が作製される。

0176

また、ここではITOのような透明電極を形成したガラス基板を用いてセルを作製し、第2の露光行程で電界を印加することにより液晶分子の方向を初期位置から変化させた場合について説明した。他の方法として透明電極を用いず、磁界の印加により液晶分子の方向を変化させて第2の露光工程を行い、ホログラム素子521を作製することも可能である。

0177

さらに、照射するArレーザの偏光方向を第1の露光工程と第2の露光工程において例えば90°異なるように設定し露光する方法も考えられる。配向膜等の高分子膜に対し光源として直線偏光を照射した場合、ランダムに配向している高分子の中からその主鎖(あるいは側鎖)を偏光方向に向けている分子が主に光を吸収し光反応を起こし、その膜に光学異方性が発現する。高分子材料等において、その高分子の光反応過程光異性化光重合光分解)が照射される光の偏光方向とその高分子のなす角度によって制御できる。

0178

したがって、ここで干渉縞を構成する紫外領域の光の偏光方向を制御することにより、液晶の初期の配向状態の設定および第1と第2の露光工程での液晶分子の移動等を行うことも可能である。

0179

上記のようにして作製した素子の回折効率を、He−Neレーザを用い、入射する偏光方向を変化させて測定したところ、常光線に対する透過率は98%前後であり、高い透過率を有していた。また、異常光線に対する1次の方向への回折効率も90%程度であり良好な結果が得られた。したがって、ここで作製した回折光学素子は高い偏光分離特性および回折効率を有していることが確認された。

0180

なお、屈折率異方性を有する光学媒体としては、液晶の他に、ニオブ酸リチウムや、KD2 PO4 、β−BaB2 O4 、PLZTなどの電気光学効果等を有する一軸性の結晶を用いることも可能であり、また、KTiPO4 などの2軸性の光学結晶等も含めて種々の屈折率異方性を有する媒体を用いることにより、同様の効果を得ることも可能である。

0181

(実施の形態2−2)ホログラム素子を用いて構成された偏光分離素子の他の例を説明する。

0182

この偏光分離素子530は、図20に示すように、全反射ミラー531の表面に、前記実施の形態1または実施の形態2−1で示したのと同様のホログラム素子532が設けられている。ここで、実施の形態1のホログラム素子が用いられる場合には、ITO間に所定の電圧が印加された状態で用いられる。

0183

上記全反射ミラー531およびホログラム素子532は、光源のランプ533からの光を反射するリフレクタ534の光軸に対して、法線が45°の角度をなすように配置されている。

0184

上記このホログラム素子532は、同図の紙面に垂直な方向に偏光方向を有する光(S偏光光とする)が常光線となり、紙面に平行な方向に偏光方向を有する光(P偏光光とする)が異常光線となるように配置されている。また、このホログラム素子532は、45°の入射角で入射した異常光線を45°よりもわずかに大きい出射角になるように回折させて出射させるように設定されている。

0185

このように構成されていることにより、ホログラム素子532に対して常光線であるS偏光光は、前記各実施の形態で説明したように、素子の周期構造からなる屈折率分布の影響を受けず、等方的な均一な屈折率の媒体を通過する時と同様の特性を示す。それゆえ、S偏光光はホログラム素子532をそのまま透過して全反射ミラー531で反射され、再びホログラム素子532を透過して出射する。すなわち、S偏光光は全反射ミラー531によって進行方向が90°曲げられて出射する。

0186

一方、ホログラム素子532に対して異常光線であるP偏光光は、ホログラム素子532内に形成された周期構造の屈折率分布により変調されて回折し、上記のように45°よりもわずかに大きい出射角で出射する。

0187

したがって、ランプ533からリフレクタ534を介して出射された光を、この偏光分離素子530によって、S偏光光とP偏光光とで進行方向がわずかに異なる出射光に分離することができる。

0188

(実施の形態3−1)前記実施の形態2−2の偏光分離素子を用いて構成された偏光変換素子の例を説明する。この偏光変換素子は、光源からの偏光方向がランダムな光を所定の方向の偏光光に揃えて出力するもので、例えば偏光型の液晶表示素子などの偏光照明装置等に用いられる。

0189

図21は偏光変換素子540を含む偏光照明装置の構成を示す説明図である。

0190

ランプ533としては、蛍光ランプや、キセノンランプ、メタルハライドランプ、水銀ランプLED、FED、レーザ光、無機または有機EL素子等が用いられる。ランプ533からの光は、リフレクタ534により略平行光となって出射する。この略平行光は偏光分離素子530に入射し、実施の形態2−2で説明したようにS偏光光とP偏光光とで進行方向がわずかに異なるように分離されて、偏光分離素子530から出射する。

0191

偏光分離素子530から出射したS偏光光およびP偏光光は、それぞれ、インテグレータ541を構成する第1レンズ群(第1の蠅の目レンズ)542の各レンズ542aに入射し、それぞれの入射角に応じて、各レンズと542a対をなす第2レンズ群(第2の蠅の目レンズ)543の各レンズ543aにおける互いに異なる所定の領域に集光される。

0192

上記S偏光光およびP偏光光が集光される所定の領域は、例えば各レンズ543aを概ね2分する領域に設定されるとともに、P偏光光が集光される領域における各レンズ543aの裏面側(光の進行方向側)には、1/2波長板である位相差板544が周期的に設けられている。そこで、第2レンズ群543に入射したS偏光光は、そのままS偏光光として出射する一方、P偏光光は、位相差板544を介して偏光方向が90°回転され、S偏光光に変換されて出射する。すなわち、何れの偏光光もS偏光光に揃えられて出射する。

0193

このS偏光光は、フィールドレンズ545および集光レンズ546を介して概ね平行な光束として画像表示素子(ライトバルブ)547に入射し、画像表示に用いられる。

0194

上記のようなホログラム素子532と位相差板544とを用いた場合と用いない場合とで、画像表示素子547に入射する光量を比較したところ、ホログラム素子532と位相差板544により偏光変換を行った場合は光利用効率が1.2〜1.6倍程度向上し、上記ホログラム素子532を用いた偏光変換素子540の機能が優れていることが確かめられた。

0195

(実施の形態3−2)前記実施の形態3−1で説明した偏光分離素子が、インテグレータを構成する第1レンズ群と第2レンズ群との間の光路中に設けられて偏光方向を揃える偏光変換素子の例を説明する。なお、本実施の形態等において、前記実施の形態3−1等と同様の機能を有する構成要素については、適宜同一の符号を付して詳細な説明を省略する。

0196

図22は偏光変換素子545を含む偏光照明装置の構成を示す説明図である。

0197

リフレクタ534からの略平行光は、インテグレータ541を構成する第1レンズ群542を介して偏光分離素子530に入射するようになっている。偏光分離素子530に入射した光束は、実施の形態2−2で説明したようにS偏光光とP偏光光とで進行方向がわずかに異なるように分離されて、偏光分離素子530から出射する。

0198

偏光分離素子530から出射したS偏光光およびP偏光光は、それぞれ、インテグレータ541を構成する第2レンズ群(第2の蠅の目レンズ)543の各レンズ543aにおける、裏面側に位相差板544が設けられている領域または設けられていない領域に集光される。そこで、前記実施の形態3−1と同様に、S偏光光はそのままS偏光光として出射する一方、P偏光光は、位相差板544を介して偏光方向が90°回転され、S偏光光に変換されて出射する。すなわち、何れの偏光光もS偏光光に揃えられて出射する。

0199

このように構成された偏光変換素子545によっても、実施の形態3−1と同様に光利用効率を向上させることができる。

0200

(実施の形態3−3)前記実施の形態1または実施の形態2−1で示したのと同様のホログラム素子が用いられた、他の偏光変換素子の例を説明する。

0201

図23は偏光変換素子550を含む偏光照明装置の構成を示す説明図である。この偏光照明装置の偏光変換素子550は、前記実施の形態1または実施の形態2−1で示したのと同様のホログラム素子551と全反射ミラー531との間に、1/4波長板である位相差板551が設けられて構成されている。

0202

ランプ533からのP偏光光とS偏光光とを含む光波はホログラム素子551に入射し、P偏光光は、実施の形態1等で説明したように回折光学素子の屈折率分布等に応じて回折され、同図の一点鎖線で示した方向に進路を曲げられて出射する。

0203

一方、S偏光光は、ホログラム素子551をそのまま透過し、位相差板552を介して全反射ミラー531で反射され、再び位相板552を通過する過程で偏光方向が入射時に対して90°変化し、ホログラム素子551にP偏光光として入射することになる。このときの入射方向は全反射ミラー531とリフレクタ534との配置により定まるが、これがホログラム素子551の内部に形成された周期構造に対するブラッグの回折条件からずれた条件となるようにして、ホログラム素子551が入射した光を反射せずに透過させるようになっている。すなわち、前記図19(a)で回折効率の角度依存性について説明したように、ホログラム素子への入射角が所定の角度からある程度ずれると効率がほとんど0となり、回折作用は生じず透過するだけとなる場合があり、上記所定の角度は回折光学素子の形成条件により設定することが可能である。そこで、全反射ミラー531によって反射され、位相差板552によってP偏光光に変換された光束が、回折されずにホログラム素子551をそのまま透過するようにすることができる。なお、回折させて、前記ホログラム素子551で直接回折されたP偏光光の伝搬方向と概ね一致させるようにすることも可能である。

0204

上記のように、ランプ533からの光波はホログラム素子551によってP偏光光が回折され、ホログラム素子551を透過したS偏光光は全反射ミラー531と位相差板552によりP偏光光に変換された後ホログラム素子551を透過して出射することにより、偏光方向が揃った略平行光束を得ることができる。

0205

上記偏光照明装置について、実施の形態3−1と同様にして光利用効率を求めたところ、ホログラム素子551と位相差板552とを用いない場合に比べ1.2〜1.5倍程度の光利用効率を得ることができた。

0206

また、上記のような構成によれば、ホログラム素子と位相差板552と全反射ミラー531との簡易積層構造だけで偏光変換を行わせることができるので、インテグレータ等の光学系との組み合わせなども容易であり、幅広光学系装置使用可能である。特に、例えば2つのダイクロイックプリズムを備えて色分離および色合成を行うカラー画像表示装置などのようにあらかじめ折り返しミラーを備えている装置に適用する場合には、そのミラーに代えてホログラム素子を備えたミラーを用いるだけでよいので、部品点数の増加などを招くことなく光利用効率を向上させることができる。

0207

(実施の形態3−4)前記実施の形態1または実施の形態2−1で示したのと同様のホログラム素子が用いられた、さらに他の偏光変換素子の例を説明する。

0208

前記実施の形態1または実施の形態2−1で示したのと同様の2枚のホログラム素子561,562を用いて、図24に示すような偏光変換素子560を含む偏光照明装置を構成した。

0209

ランプ533からのP偏光光とS偏光光とを含む光束はリフレクタ534を介してホログラム素子561に入射し、S偏光光は、そのまま略平行光として透過する。また、P偏光光は、ホログラム素子562により、実施の形態1等で述べた原理により、伝搬方向が概ね90°変化するように回折される。

0210

この光波はさらにホログラム素子562に入射し、ここで同様に回折され伝搬方向が、初期のリフレクタ534から反射された光束の方向と概ね等しくなるように出射する。この後、1/2波長板である位相差板563を透過し、偏光方向が90°回転されてS偏光光波として出射する。すなわち、ランプ533から発せられてホログラム素子561で回折された光波は、回折光学素子562と位相差板563とによって、ホログラム素子561を透過した光波と偏光方向が揃った略平行光束として出射する。

0211

上記のような偏光照明装置のホログラム素子562での光波の再利用率を測定したところ、ホログラム素子562からの光束としては、ホログラム素子561からの光束に対し強度割合が概ね90%程度のS偏光光に変換された光束が得られた。

0212

上記のようにホログラム素子561,562を用いることの利点は、偏光分離を行う場合の分離角を任意に設定することが可能ということである。すなわち、通常のように、偏光ビームスプリッタと全反射ミラーとを組み合わせて偏光分離を行わせようとした場合、伝搬方向を90°曲げるためには反射面を入射光に対して45°傾ける必要がある(図24におけるθに相当)。したがって、奥行き方向にはその反射面の大きさと傾きに相当する分の大きさが必要とされ、その偏光照明装置を用いる装置において厚さ方向での制約条件が大きくなる。

0213

一方、上記のようにホログラム素子を用いた場合は、内部に形成される屈折率分布により偏光分離角を任意に設定することが可能であるため、回折光学素子を入射光に対して垂直な平面に対し、45°以下に傾けて配置することが可能となり、図24におけるθを45°以下の小さな角度で設定することができるとともに、ホログラム素子を互いに平行に対に並べることで偏光変換光学系を構成することができるため、奥行き方向の大きさを大幅に減少させることができる。このため、薄型での構成が可能となり、偏光変換された偏光光が入射されるインテグレータなどの照明光学系との組み合わせにおいて、コンパクトなシステム(照明装置や画像表示装置など)を実現することができる。

0214

(実施の形態3−5)前記実施の形態1または実施の形態2−1で示したのと同様のホログラム素子が用いられ、第1レンズ群と第2レンズ群とを有するインテグレータから出力される光の偏光方向を揃える偏光変換素子の例を説明する。

0215

前記実施の形態1または実施の形態2−1で示したのと同様のホログラム素子571,572を対にして、図25に示すように複数組配置し、偏光変換素子570を含む偏光照明装置を構成した。なお、同図では、画像表示素子577や投射レンズ578等を組み合わせて投射型画像表示装置を構成した例を示す。

0216

インテグレータにおける図示しない第1レンズ群から伝達されたP偏光光とS偏光光を含んだ光波は、第2レンズ群571に入射し光束を絞られて、第2レンズ群571の各レンズ571aに対応するホログラム素子572に入射する。ここでS偏光光はそのまま透過し、P偏光光は回折され隣のホログラム素子572に入射する。そして、ここでさらに回折されて、先のS偏光光と概ね等しい方向に伝搬するし、1/2波長板である位相差板574によって偏光方向が90°回転され、S偏光光に変換されて出射する。

0217

これらの過程が複数に配置された各ホログラム素子572,573と位相差板574の組ごとに行われ、第2レンズ群571を通過した光波は、偏光方向が揃えられて出射される。また、インテグレータと組み合わせて光束を絞って用いるため、光源からの光束の幅も大きく変化することなく偏光変換を行うことが可能となる。

0218

上記のようにして偏光方向が揃えられた光束は、フィールドレンズ575と集光レンズ576とにより平行光束として偏光型の液晶表示素子等の画像表示素子578に入射し、各画素毎に輝度変調された後、投写レンズ579によってスクリーン579上に拡大投写される。

0219

上記のような偏光変換素子570によって偏光変換を行った場合と行わない場合について、スクリーン上での輝度を比較したところ、偏光変換を行った場合は30%程度輝度が増大しており、明るい画像を得ることができた。

0220

(実施の形態3−6)前記実施の形態1または実施の形態2−1で示したのと同様のホログラム素子が用いられた、さらに他の偏光変換素子の例を説明する。

0221

図26に示すように、前記実施の形態3−4と同様の1対の偏光変換素子560をリフレクタ534の光軸に対して対象になるように設けて、偏光変換素子590を構成するようにしてもよい。このように構成することにより、リフレクタ534が偏光照明装置の例えば幅方向中央に配置されるため、両側に均等な空間が形成されるので、この偏光照明装置が適用される装置における他の構成要素等の配置が容易になる。

0222

(実施の形態4−1)前記実施の形態2−1(図13)の偏光分離素子510を用いて構成された投射型画像表示装置を構成した例を説明する。上記偏光分離素子510を構成するホログラム素子としては、実施の形態1や実施の形態2−1(図10、18等)で示したものなどを適用することができる。ここで、実施の形態1のホログラム素子が用いられる場合には、ITO間に所定の電圧が印加された状態で用いられる。

0223

投写型画像表示装置600は、図27に示すように、ランプ533、リフレクタ534、偏光分離素子510、およびインテグレータから構成される偏光照明装置601を備え、ランプ533からの出力光束をリフレクタ533で反射し、反射後の出力光束βを偏光分離素子510、インテグレータ541を介して、例えば透過型液晶パネル等の画像表示素子547に入射させ、輝度変調された光束を、投写レンズ602によりスクリーン(不図示)上に拡大投写することで画像を表示するようになっている。

0224

次に、この投写型画像表示装置600に用いる偏光分離素子510およびインテグレータについて説明する。本発明で用いる偏光分離素子510は、実施の形態2−1で説明したように、第1のホログラム素子511、および第2のホログラム素子512からなり、P偏光光を直進させて(出力角0°で)透過させる一方、S偏光光を略−7゜の出力角で出力するものである。

0225

また、第1レンズ群(第1の蠅の目レンズ)542を構成する各第1微小レンズは、それぞれ第2レンズ群(第2の蠅の目レンズ)543を構成する各第2レンズにランプの像を結像させる。その際、P偏光光γと、S偏光光δとを異なる位置に結像する。例えばS偏光光δが結像する部分には、偏波面回転手段としての1/2波長板(λ/2板)である位相差板544が設けられ、この位相差板544を透過したS偏光光δは略P偏光光に変換されて出力される。なお、P偏光光γと、S偏光光δとのうちの何れの偏光成分に対して偏波面を回転させるかは、画像表示素子547が備える偏光板の偏光方向によって決定される。

0226

上記第2レンズ群543は、第1レンズ群542を構成する各微小レンズの像を画像表示素子547における表示画像領域のほぼ全面にわたって結像させることにより、表示画像の明るさの均一性が確保される。

0227

上記のような偏光照明装置601を構成することにより、ランプ533から出力される無偏光光を効率よくP偏光光に変換することができ、高い投写効率を実現することが可能となる。また、上記のような偏光分離素子510は、作製が容易であり安価に構成することができる。また、偏光分離素子510は光軸方向の寸法が小さいので、コンパクトで、かつ高い分離効率を有する偏光分離素子を容易に構成することができる。また、上記のような偏光分離素子を用いることにより、高い光利用効率の投写型画像表示装置を容易に実現することができる。

0228

なお、ランプ533およびリフレクタ534の配置を異ならせれば、実施の形態3−1〜3−3(図21〜23)に示したような偏光変換素子530等を用いることもできる。

0229

また、上記ランプ533としては、メタルハライドランプや、ハロゲンランプ、キセノンランプ、超高圧水銀ランプ等を使用することができるが、発光領域の大きさが小さいものを用いることが好ましい。

0230

(実施の形態4−2)透過型の3つの画像表示素子と、色分解系および色合成系光学要素を備え、カラー画像を表示し得るいわゆる3板方式投射型の画像表示装置の例を説明する。

0231

この画像表示装置は、図28(a)に示す色分解系要素610の下方に、図28(b)に示す色合成系要素620が設けられて構成されている。

0232

上記色分解系要素610は、前記実施の形態4−1で示したのと同様の偏光変換素子を含む偏光照明装置601と、ダイクロイックプリズム611と、全反射ミラー612〜614とを備えて構成され、偏光照明装置601から出力された光をR(赤)、G(緑)、B(青)の各波長の光に分解するようになっている。一方、色合成系要素620は、全反射ミラー621〜623と、画像表示素子624〜626と、ダイクロイックプリズム625と、投射レンズ628とを備えて構成され、色分解系要素610から導かれた各波長の光が画像表示素子624〜626を通過した後、色合成が行われ、投射レンズ628によってスクリーン629に画像を投射するようになっている。

0233

この画像表示装置では、ランプ533からリフレクタ534を介して出力されたほぼ平行光束が、前記実施の形態4−1で説明したのと同様に、偏光分離素子510およびインテグレータ541によって偏光方向が揃えられるとともに光束の面内での均一性が保たれるようにされた後、ダイクロイックプリズム611に入射する。このダイクロイックプリズム611は、各帯域の波長のフィルタが内部に形成された構成となっていて、偏光照明装置601からの白色光は前記波長フィルタ−に対応して、色の三原色であるR、G、Bの各波長に対応した光に分解され、それぞれ同図中に矢印で示した方向に出射する。ここで、上記ダイクロイックプリズム611は、これは2枚構成のダイクロイックミラーが用いられる場合と同様の機能を有するが、プリズム構成のために、広い空間を使用することなく色の分解が可能であるため、コンパクトな表示装置を構成することができるようになる。

0234

上記ダイクロイックプリズム611から出射した各色の光は、全反射ミラー612〜624により反射されて、下方側の色合成系要素620に導かれる。色分解系要素610から色合成形容素620に導かれた各色の光は、全反射ミラー621〜623を介により進行方向が概ね90°変化して反射され、各色の光に対応する透過型の画像表示素子624〜626によって輝度変調された後、ダイクロイックプリズム627に入射する。このダイクロイックプリズム627は、前記ダイクロイックプリズム611と逆の機能を有し、それぞれR、G、Bの各色の光に分かれて入射した光の色合成を行うもので、合成された光をは、投射レンズ628の方向に向けて出射する。ダイクロイックプリズム627から出射した光は、投写レンズ628によって、スクリーン629上に投射され、拡大された画像として表示される。

0235

上記のようにリフレクタ534から出力された光束の偏光方向を揃える偏光変換素子が設けられることにより、光利用効率を向上させて、明るい画像を表示し得る画像表示装置を構成することができる。

0236

なお、上記のようにカラー画像を表示する画像表示装置等に偏光変換素子等を適用する場合には、ホログラム素子の作製にあたって、赤、緑、および青の光による光の干渉縞で多重露光したり、それぞれの色の光の回折に対して最適化したホログラム素子を積層したりした構造のものを用いるようにしてもよい。

0237

また、上記偏光分離素子510および位相差板544に代えて、前記実施の形態3−4〜3−6(図24〜26)に示したような偏光変換素子560等を用いるようにしても、同様に高い光利用効率を得ることができる。

0238

また、上記のような偏光変換素子550等は、インテグレータ541とダイクロイックプリズム611との間に配置しても、同様の効果を得ることができる。また、偏光変換素子550等をダイクロイックプリズム611と画像表示素子624〜626との間、すなわち色分離された後の各色の光に対応させた3つの偏光変換素子(およびインテグレータ)を設けるようにしてもよい。この場合には、各色の光に対応させて個別に偏光変換素子を設けるので、ホログラム素子として、それぞれの色の波長に合わせて波長分散の影響を低減させ得るように最適化したもの、すなわち各波長に対応した周期構造が形成されたもの?》などを用いることができ、一層光利用効率を向上させることができる。また、同様にインテグレータもダイクロイックプリズム611よりも後に設けるようにしてもよい。

0239

また、ランプ533およびリフレクタ534の配置を異ならせれば、実施の形態3−1〜3−3(図21〜23)に示したような偏光変換素子540等を用いることもできる。

0240

また、図28と同じ配置でリフレクタを設ける場合であっても、偏光変換素子をダイクロイックプリズム611と画像表示素子624〜626との間、すなわち色分離された後の各色の光に対応させた3つの偏光変換素子(およびインテグレータ)を設ける場合には、上記のような偏光変換素子を適用することができ、この場合には、各色の光を色分解系要素610から色合成形容素620に導くための全反射ミラー612等を偏光変換素子の全反射ミラー531として兼用することができる。しかも、前記のように、ホログラム素子としてそれぞれの色の波長に合わせたものなどを用いることもできる。

0241

なお、実際に色分離した後の各経路中に偏光変換素子を設けた場合にカラー合成された画像のスクリーン上での明るさは、偏光変換素子を用いない場合に比べて、30%程度増加させることができた。これは、上記のような透過型も、後述する反射型も概ね同様であった。このように、回折光学素子を用いた偏光変換はカラー表示に対しても有効である。

0242

また、図23で示す構成において位相板の入射角度による偏光特性の依存性を補正するため、面内での位相板の厚さを変化するといった手段を用いることも可能である。

0243

(実施の形態4−3)前記実施の形態4−2と類似した構成で、反射型の画像表示素子を用いてカラー画像を表示し得る3板方式の投射型の画像表示装置の例を説明する。

0244

この画像表示装置は、図29(a)に示す色分解系要素610の下方に、図29(b)に示す色合成系要素630が設けられて構成されている。

0245

上記色分解系要素610は、前記実施の形態4−2で示したのと同じものが用いられている。一方、色合成系要素630は、実施の形態4−2と比べて、全反射ミラー621〜623に代えて偏光ビームスプリッタ631〜633が設けられている点と、透過型の画像表示素子624〜626に代えて、反射型の画像表示素子634〜636が設けられている点が異なる。

0246

上記偏光ビームスプリッタ631〜633は、所定の偏光方向の光だけを反射するようになっているが、実際に色分解系要素610から導かれる光は、偏光変換素子によって偏光方向が揃えられた光なので、概ね全ての光が反射されて画像表示素子634〜636に入射する。画像表示素子634〜636に入射した光は各色の表示画像に応じて偏光方向が変調されて反射され、再度偏光ビームスプリッタ631〜633に入射し、所定の偏光方向の光だけが透過することにより、上記偏光方向の変調が輝度変調に変換されて可視化される。その後、実施の形態4−2と同様にダイクロイックミラー637で色合成が行われ、投射レンズ628によってスクリーン629に画像が投射される。

0247

上記のような反射型の画像表示素子においても、やはりリフレクタ534から出力された光束の偏光方向を揃える偏光変換素子が設けられることにより、光利用効率を向上させて、明るい画像を表示し得る画像表示装置を構成することができる。

0248

また、この画像表示装置においても、前記実施の形態4−2で説明したような種々の変形が同様に可能である。

0249

(実施の形態5−1)ホログラム素子を備えた画像表示装置の例を説明する。

0250

画像表示装置は、図30に示すように、液晶素子701の両面に回折光学素子であるホログラム素子702,703が設けられ、これらの背面側に、ランプ704aとリフレクタ704bとを有する光源704が設けられて構成されている。

0251

ここで、以下の説明において、図面の紙面に平行な方向に偏光方向を有する光をP偏光光、紙面に垂直な方向に偏光方向を有する光をS偏光光とする。

0252

上記光源704のランプ704aとしては、例えば蛍光ランプや、キセノンランプ、メタルハライドランプ、水銀ランプ、LED、FED、レーザ光、無機または有機EL素子等が利用できる。ランプ704aから発せられた光は、リフレクタ704bにより略平行光として出射するようになっている。この光源光は、P偏光光とS偏光光とが含まれている。

0253

上記液晶素子701としては、例えば光の入射面側と出射面側とで液晶分子の方向が90°ねじれて構成されているツイストネマティック液晶が用いられる。この液晶素子701には、所定のパターンで形成された透明電極(不図示)が設けられており、各画素毎に、液晶に電圧を印加することができるようになっている。そこで、液晶に所定の十分な電圧(液晶を完全にスイッチングできるだけの電圧)が印加されている画素(ON)では、液晶分子のねじれが解け、光の入射面に対して液晶分子が等方的に立った状態(ホメオトロピック)になる。このため、その画素にP偏光光が入射すると、偏光方向が変調を受けることなく、その偏光状態を維持したまま液晶素子701を通過する。一方、液晶に電圧が印加されていない画素(OFF)では、液晶分子は入射面から出射面までの厚さ方向において液晶分子の向きが90°がねじれた状態となっている。そこで、その画素にP偏光光が入射すると、そのP偏光光は液晶素子701を入射面から出射面までを通過する間に液晶のねじれに起因するツイストネマティック効果によりその偏波面を90°回転させる。したがって、OFF画素を通過した後、S偏光光となって出射することになる。

0254

また、上記ホログラム素子702,703としては、例えば前記実施の形態1または実施の形態2−1で示したのと同様のホログラム素子が用いられる。ここで、実施の形態1のホログラム素子が用いられる場合には、ITO間に所定の電圧が印加された状態で用いられる。このホログラム素子702,703は、前記のように偏光方向によって回折作用が異なり、また回折特性としては、所定の1方向に高い回折効率を示す特性を有している。

0255

具体的には、例えばホログラム素子702,703に入射した光のうち、S偏光光は異常光成分として働くため、ホログラム素子702,703内に形成された周期構造の屈折率分布により変調され、図30における上方に進行方向が曲げられて出射する。一方、P偏光光は、ホログラム素子702,703に対して常光成分として作用するため、ホログラム素子702,703の周期構造からなる屈折率分布の影響を受けず、等方的な均一な屈折率の媒体を通過する場合と同様の挙動を示す。このため、P偏光光はホログラム素子702,703をそのまま通過することになる。

0256

そこで、光源704からのP偏光光とS偏光光とを含む光がホログラム素子702に入射すると、S偏光光は、上記のように回折されて液晶素子701にはほとんど入射せず、P偏光光だけがホログラム素子702を透過して液晶素子701に入射する。液晶素子701に入射したP偏光光は、上記のように、ON画素ではP偏光光のまま出射する一方、OFF画素ではS偏光光に変換されて出射する。すなわち、液晶素子701から出射する光は、その通過位置の画素のON、OFFに応じて異なる偏光光になる。

0257

上記液晶素子701から出射した光がホログラム素子703に入射すると、ホログラム素子702と同様に、S偏光光は回折され、P偏光光だけがそのまま直進する。すなわち、液晶素子701の各画素を通過した光は、画素のON、OFFに応じてホログラム素子703から出射する方向が異なることになる。それゆえ、画像表示装置を表示面のほぼ法線方向から視認する観察者からは、OFF画素を通過した光はホログラム素子703の回折作用により視野域の外側に出射するので視認されない一方、ON画素を通過した光は、ホログラム素子703をそのまま直進して観察者の視野領域内に入り明パターンとして視認される。

0258

次に、実際に作製した画像表示装置の例について説明する。

0259

この画像表示装置では、光源704としては、蛍光ランプにグリーンのフィルタを通したものを用い、0.55μm程度の波長の光を出射するようにした。液晶素子701としては、3インチ程度のVGA(640x480)の分解能を有するものを使用した。これに画像信号を入力し、表示画面のほぼ法線方向(正面)から観察したところ、液晶素子701に入力される画像信号に応じた画像を正しく視認することができた。コントラストは10:1程度であった。また、ホログラム素子703を通過したS偏光光が回折する方向(図30における上方)に観察位置を移動させたところ、先の画像に対し明暗が反転した画像が視認された。以上のように屈折率異方性を有する光学媒体から構成された屈折率分布型のホログラム素子702,703を液晶素子701を組み合わせて構成することにより、OFF画素に対応して入射した光を遮断(吸収)することなく、観察者の視野領域外に出射させることによって、画像の表示を行うことができ、視認性のよい画像表示装置を作製できる。しかも、偏光板を用いる場合のように光の吸収による発熱が生じることはない。

0260

なお、各画素に印加する電圧を制御することにより、その電圧に応じて液晶を通過する光の偏光方向を上記P偏光光とS偏光光との中間の状態、つまり楕円偏光のように設定することができる。このとき、ホログラム素子703に入射する光は各画素の印加電圧に応じて直進する成分と回折される成分とに分割されるため、中間調の表示も可能となる。

0261

また、上記の例では、液晶素子701として、ツイストネマティックタイプのものについて説明を行ったが、入射光に対してその偏光方向を変調する作用を有するものであれば、いずれのタイプのものでもよい。また、90°以上のねじれの角度を有するスーパーツイステッドネマティック(STN)液晶も同様に利用可能である。また、液晶分子がその厚さ方向に対して一様にホモジニアス配向しており、電界の印加に対してホメオトロピック配向になるものや、または、ホメオトロピック配向からホモジニアス配向へと変化するものなどのようなVA(Vertical Aligne)モードの液晶を使用しても同様の効果を得ることができる。

0262

さらに、電界の極性により液晶分子の配列の方向が異なる強誘電性液晶や反強誘電液晶等の利用も可能である。

0263

上記のような液晶素子701は、通常、液晶ディスプレイとして用いられている液晶パネルと同様のものである。従って、液晶素子に使用されている前後面の偏光板を本発明のホログラム素子702,703と置き換えるだけで上記のような画像表示装置を構成でき、他の照明系や駆動系等はそのままの状態で適用することができるため非常に汎用性に優れている。

0264

(実施の形態5−2)前記実施の形態5−1と同様のホログラム素子702,703を用いて、図31に示すような画像表示装置を構成した。すなわち、光源704の配置をホログラム素子702の下側付近に配置し、斜め側方から光を照射するいわゆるサイドライトの構成とした。なお、光源704は実施の形態5−1と同様に蛍光ランプにグリーンのフィルタを設けたものを用いた。他の構成については実施の形態5−1と同様のものとした。

0265

この画像表示装置では、光源704から出射した光のうち、P偏光光はホログラム素子702をそのまま透過し、液晶素子701には入射しない。また、S偏光光はホログラム素子702で表示画面に対して概ね90°に曲げられて液晶素子701に入射する。液晶素子701を通過する光は画素の印加信号に対応して偏光方向が変調されもう1つのホログラム素子703に入射する。ここで、S偏光光は同図における上方に回折されて観察者の視域外へと出射される。P偏光光はホログラム素子703をそのまま通過し、観察者によって視認されることになる。観察者の位置からホログラム素子703方向表示画面の法線方向からを観察した場合、入力される画像信号に応じた画像が正しく視認された。また、観察者付近の位置からホログラム素子702,703を通して外界の風景を観察することも可能であった。以上のように、上記のように構成した画像表示装置は、画像表示と外界の風景とを同時にまたは切り換えて視認することが可能であり、いわゆるシースルータイプのディスプレイとして利用可能である。

0266

(実施の形態5−3)前記実施の形態5−1と同様の1枚のホログラム素子702を用いて、図32で示すような画像表示装置を構成した。すなわち、画像表示装置の内部に光源を持たず、自然光や室内光のような外部光を利用して画像を表示する構成とした。また、液晶素子701は実施の形態1と同様のものを使用した。

0267

以下に、この画像表示装置の表示原理について説明する。

0268

まず、P偏光光およびS偏光光を含んだ外部光710がホログラム素子702に入射すると、P偏光光成分はホログラム素子702で変調されることなくそのまま透過し、液晶素子701にはほとんど入射しない。一方、S偏光光はホログラム素子702で回折されて、概ね全ての光が液晶素子701に入射する。液晶素子701に入射した光は、各画素の領域を通過し、ミラー711により反射される。このミラー711は金属から構成されたものや誘電体多層膜から構成されたもの等が利用できる。実際に制作したものには、ガラス基板にアルミニウム蒸着したものを用いた。

0269

ミラー711により反射された光は再び液晶素子701の各画素の領域を通過し、各画素に印加された電圧に応じて偏光方向が変調されて、ホログラム素子702に入射する。ホログラム素子702に入射したS偏光光は、同図における上方に回折され、観察者の視野域の外に出射される。また、P偏光光はホログラム素子702をそのまま透過するため観察者によって視認されることになり、液晶素子の各画素に印加された信号電圧に応じて画像が視認される。

0270

実際に作製した上記のようなミラーを用いた反射型の画像表示装置を室内光の照明のもので観察したところ、明暗のパターンからなる画像が視認された。コントラストは10:1程度であった。室内光である白色光源を用いたが、色の滲み等による画質の劣化はほとんどなかった。これは、復路においてホログラム素子703で回折されるS偏光光は波長により回折方向が異なることになるが、回折角を観察者の視域に比べて大きく設定すれば、認識領域外となり、波長による回折角の影響はほとんど問題とならないためと考えられる。

0271

したがって、上記のように構成した外部光を用いる反射型の画像表示装置において明瞭に画像を認識することが可能であり、しかも内部のバックライトを必要としないため、低消費電力化および小型化に適している。

0272

(実施の形態5−4)図33に示すように、実施の形態5−1と同様のホログラム素子702,703を用いて構成した外部光および内部光源の併用タイプの画像表示装置について説明する。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

新着 最近 公開された関連が強い 技術

  • 三菱電機株式会社の「 情報提示システム」が 公開されました。( 2018/10/11)

    【課題・解決手段】本発明は情報提示システムに関する。車両は、車両の状態、サーバの状態およびネットワークの状態に基づいて、車両およびサーバにデータ処理を割り当てる負荷分散計画を立てるデータ処理委譲部と、... 詳細

  • 株式会社半導体エネルギー研究所の「 液晶表示装置」が 公開されました。( 2018/09/27)

    【課題】量産性の高い液晶表示装置を提供する。【解決手段】対向基板601と、遮光膜632と、第1のカラーフィルタ634と、第2のカラーフィルタ636と、第3のカラーフィルタ638と、対向電極640と、ス... 詳細

  • ヤフー株式会社の「 決定装置、決定方法、及び決定プログラム」が 公開されました。( 2018/09/27)

    【課題】ユーザに対してユーザの移動の妨害に応じた適切な広告配信を可能にする。【解決手段】本願に係る決定装置は、取得部と、決定部とを有する。取得部は、ユーザの位置情報と、ユーザが位置するエリアにおいて発... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する挑戦したい社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ