図面 (/)
課題
解決手段
概要
背景
塗装された板金部分に傷が生じた場合、例えば、移動車両のボディ−に傷が付いたような場合には、ボディ−から該当部分のパネルを取り外すことが行われるが、通常パネルは複数(例えば2枚)の板材をスポット溶接することで構成されている。したがって、スポット溶接されている板材を取り外して、傷が生じている板材の修理を行う。傷が付いている板材の修理が完了した後には、再びスポット溶接を行って元のパネルを形成するわけであるが、スポット溶接は図12に示すような溶接機によって行われ、例えば2枚の板材A、Bを密着重合させ、板材の所望部位を溶接機のア−ムaの先端に対向状に設けたチップ(電極)b、b間に挟むことでスポット溶接を行い、このような溶接を所定ピッチで行うようにしている。
ところが、スポット溶接は塗膜や錆が付着しているとうまく行うことができず、スポット溶接に際しては塗膜や錆を落とす必要がある。この場合において、重合した板材の複数箇所において表裏の位置を合わせることが必要となるが、このような作業は面倒であることから、従来は、スポット溶接を行う部位を含む広範囲にわたって塗膜や錆を落とすことが行われており、したがって、スポット溶接に不必要な部位まで塗膜や錆を剥離することとなっており、作業が煩雑で面倒であった。しかも、スポット溶接に不必要な部位の塗膜を剥離したような場合には、かかる部位においてさらに再塗装や錆止め等の作業が必要となっていた。
概要
スポット溶接において必要な部位に付着している塗装や錆等を落とし、スポット溶接時の電流の通りを良くし、良好にスポット接合を行うための工具を提供する。
一対の挾持ジョ−2、3と該挾持ジョ−2、3に対向状に設けた一対の剥離刃5、6とからなるクランプ部1を有し、該剥離刃間5、6に板材A、Bの所望部位を挾持させた状態で、該剥離刃5、6によって該所望部位を擦って塗膜や錆等を落とすようにした。
目的
本発明は、かかる従来における不具合を解決するべく全く新しい観点に立って創案されたものであって、スポット溶接において必要な部位に付着している塗装や錆を落とし、スポット溶接時の電流の通りを良くし、良好にスポット接合を行うための工具を提供することを目的とするものである。
効果
実績
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請求項1
一対の挾持ジョ−と該挾持ジョ−に対向状に設けた一対の剥離刃とからなるクランプ部を有し、該剥離刃間に板材の所望部位を挾持させた状態で、該剥離刃によって該所望部位を擦って塗膜や錆等を落とすようにしたことを特徴とする塗膜剥離工具。
請求項2
該塗膜剥離工具は、板材を挾持した状態を保持可能であることを特徴とする請求項1に記載の塗膜剥離工具。
請求項3
一の挾持ジョ−は固定ジョ−であると共に、他の挾持ジョ−は可動ジョ−であることを特徴とする請求項1、2いずれかに記載の塗膜剥離工具。
請求項4
該固定ジョ−は把持ハンドルに装着されており、該可動ジョ−は把持ハンドルに固定ジョ−に対して近接・離隔する方向に移動自在に装着されていると共に、該可動ジョ−には把持レバ−が回動自在に装着されており、該把持ハンドルと該把持レバ−の間にはリンクが回動可能に設けてあることを特徴とする請求項3に記載の塗膜剥離工具。
請求項5
該可動ジョ−は、固定ジョ−より離隔する方向に付勢されていることを特徴とする請求項3、4いずれかに記載の塗膜剥離工具。
請求項6
該リンクと該把持ハンドルとの回動支点は位置調節手段によって工具に対して相対的な位置が変更自在であり、該回動支点の位置を変更することで該可動ジョ−を移動させて対向する剥離刃の間隔を調節自在としたことを特徴とする請求項4、5いずれかに記載の塗膜剥離工具。
請求項7
請求項8
該塗膜剥離工具には剥離用ハンドルが工具の長さ方向に回動自在に設けてあり、該剥離用ハンドルを持って、工具を板材の面方向に回すことによって、該剥離刃が塗膜や錆等を擦り落とすようにしたことを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載の塗装剥離工具。
請求項9
技術分野
0001
本発明は、塗装剥離工具に係り、詳しくは、塗装された板金部分に傷が生じた場合に、これを修理し、その後でスポット溶接をする際に、塗装面に付着している塗膜や錆を落とし、スポット溶接時の電流の通りを良くし、良好に接合するための工具に関するものである。
背景技術
0002
塗装された板金部分に傷が生じた場合、例えば、移動車両のボディ−に傷が付いたような場合には、ボディ−から該当部分のパネルを取り外すことが行われるが、通常パネルは複数(例えば2枚)の板材をスポット溶接することで構成されている。したがって、スポット溶接されている板材を取り外して、傷が生じている板材の修理を行う。傷が付いている板材の修理が完了した後には、再びスポット溶接を行って元のパネルを形成するわけであるが、スポット溶接は図12に示すような溶接機によって行われ、例えば2枚の板材A、Bを密着重合させ、板材の所望部位を溶接機のア−ムaの先端に対向状に設けたチップ(電極)b、b間に挟むことでスポット溶接を行い、このような溶接を所定ピッチで行うようにしている。
0003
ところが、スポット溶接は塗膜や錆が付着しているとうまく行うことができず、スポット溶接に際しては塗膜や錆を落とす必要がある。この場合において、重合した板材の複数箇所において表裏の位置を合わせることが必要となるが、このような作業は面倒であることから、従来は、スポット溶接を行う部位を含む広範囲にわたって塗膜や錆を落とすことが行われており、したがって、スポット溶接に不必要な部位まで塗膜や錆を剥離することとなっており、作業が煩雑で面倒であった。しかも、スポット溶接に不必要な部位の塗膜を剥離したような場合には、かかる部位においてさらに再塗装や錆止め等の作業が必要となっていた。
発明が解決しようとする課題
0004
本発明は、かかる従来における不具合を解決するべく全く新しい観点に立って創案されたものであって、スポット溶接において必要な部位に付着している塗装や錆を落とし、スポット溶接時の電流の通りを良くし、良好にスポット接合を行うための工具を提供することを目的とするものである。
課題を解決するための手段
0005
上記目的を達成するために本発明が採用した塗膜剥離工具は、一対の挾持ジョ−と該挾持ジョ−に対向状に設けた一対の剥離刃とからなるクランプ部を有し、該剥離刃間に板材の所望部位を挾持させた状態で、該剥離刃によって該所望部位を擦って塗膜や錆等を落とすようにしたことを特徴とするものである。
0006
そして、かかる塗装剥離工具を用いたスポット溶接前処理における塗膜剥離法は、先ずスポット溶接を行う板材を用意し、次いで該剥離刃間に該板材の所望部位を挾持させて、該剥離刃を該所望部位に圧接させ、そして該剥離刃を該所望部位に圧接させた状態で該所望部位において回転させ、該剥離刃が該所望部位を擦って塗膜や錆等を落とすようにしたことを特徴とするものである。剥離刃の回転は該工具を該板材の面方向に回動させることで行ってもよく、あるいは剥離刃のみが回転するようにしてもよい。剥離刃のみの回転としては、例えばモ−タやエア−を利用することで行うことができる。
0007
好ましくは、該塗膜剥離工具は板材を挾持した状態を保持可能であるのがよい。こうすることで、作業者の手による把持によって剥離刃の刃面が板材に密着した状態を維持する必要がなく、剥離工具の回動作業が省力化される。
0008
好ましくは、一の挾持ジョ−は固定ジョ−であると共に、他の挾持ジョ−は可動ジョ−であり、該固定ジョ−は把持ハンドルに装着されており、該可動ジョ−は把持ハンドルに固定ジョ−に対して近接・離隔する方向に移動自在に装着されていると共に、該可動ジョ−には把持レバ−が回動自在に装着されており、該把持ハンドルと該把持レバ−の間にはリンクが枢着されていることを特徴とする。さらに、リンクの一端側は位置調節手段によって工具に対して相対的な位置が変更自在であり、リンクの一端側の位置を変更することで対向する剥離刃の間隔を調節自在とするのがよい。
0009
好ましくは、該塗膜剥離工具には剥離用ハンドルが工具の長さ方向に回動自在に設けてあり、該剥離用ハンドルを持って、工具を板材の面方向に回すことによって、該剥離刃が塗膜や錆等を擦り落とすようにするのがよい。剥離用ハンドルを工具の長さ方向に回動自在に設けたことで、任意の位置に剥離用ハンドルを回動させた状態で、工具を板材の面方向に回動操作することができ、操作性が向上する。
発明を実施するための最良の形態
0010
本発明の実施の形態について図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明における第一の実施の形態に係る塗膜剥離工具の側面図であって、対向する一対の剥離刃の間隔を狭めた状態、すなわち対向する剥離刃が当接した状態を示している。塗膜剥離工具は、クランプ部1を有し、クランプ部1は、上部ジョ−2と下部ジョ−3とからなる一対の挾持ジョ−と、上部ジョ−2および下部ジョ−3に互いに対向するようにそれぞれ設けられた上部剥離刃5と下部剥離刃6とを有する。
0011
図2は上部ジョ−2を示す図であって、上部ジョ−2は側面視において縦長状の略直角三角形状のプレ−ト状の本体2aを有しており、本体の他の部位より肉厚に形成された垂直辺部2bの上端部位を水平状に延出して剥離刃装着部2cが形成されており、剥離刃装着部2cには上下方向の装着孔2dを設けて、上部剥離刃5を装着するようにしている。斜辺部2eの下端側の角部、換言すれば斜辺部2eと底辺部2fとの会合部には塗装剥離用ハンドル7を装着するボス部2gが形成されている。
0012
さらに、斜辺部2eの下端側の角部を下方に延出することで把持ハンドル装着部2hが形成されており、把持ハンドル装着部2hには把持ハンドル8を装着する穿孔2iが形成されており、リベットによって把持ハンドル8の上端側に装着されている。上部ジョ−2の肉厚の垂直辺部2bは上下方向に延出する柱状部を形成しており、下部ジョ−3が上下動する際のガイド部の役割を有している。
0013
図2(d)は垂直辺部2bの他の実施の形態を示す部分側面図および断面図であって、垂直辺部2bの下半部をガイド部20aとすると共に、上半部を傾斜面20bに形成してあり(断面図参照)、傾斜面20bは挾持される板材に対応する部位に位置しており、板材を挾持した状態における工具の回動範囲を大きく取ることができるようになっている。
0014
図3は下部ジョ−3を示す図であって、下部ジョ−3はプレ−ト状の本体3aと、本体3aの上端部側を立上り状に上方に延出してなる立上り状部3bと、立上り状部3bの上端に水平状に形成した剥離刃装着部3cとからなり、剥離刃装着部3cの一端側の延出部には上下方向の装着孔3dを設けて、下部剥離刃6を装着するようにしており、剥離刃装着部3cの他端側の延出部には上部ジョ−2の垂直辺部2bを受け入れるガイド溝3eが形成されている。
0015
下部ジョ−本体3aにはガイド溝3cを形成した側の端部に近接して縦長状の長溝3fが設けてあり、長溝3f内には設けたリベットによって、把持ハンドル8の上端側が装着されている。下部ジョ−本体の底辺の中央部位には引張コイルスプリング9の一端が固定されており、引張コイルスプリング9の他端は把持ハンドル8に固定されている。したがって、下部ジョ−3は、把持ハンドル8に対して長溝3fの長さ内において上下動自在であり、常時は引張コイルスプリング9によって下方に付勢されている。下部ジョ−本体3aの底辺の把持ハンドル8から離隔する側の角部には把持レバ−10の上端が回動可能に枢着されている。
0016
図4は把持ハンドル8を示す図であって、把持ハンドル8は上下方向に延出する長尺部材からなり、断面視おいて略コ字状あるいはU形状を有しており、こうすることで、把持ハンドル8の一側を開口状として、引張コイルスプリング9およびリンク11が受入れ可能になっている。該開口部の開口幅は長さ方向中間部位において幅広部8dとなっており、幅広部8dの下方側は幅狭部8eとなっている。把持ハンドル8の上端側には穿孔8a、8bが並設してあり、それぞれに上部ジョ−2の穿孔2i、下部ジョ−3の長溝3fを合わせてリベット4a、4bを通すことで、上部ジョ−2、下部ジョ−3の下端側と把持ハンドル2の上端側とを連結するようにしている。把持ハンドル8の内部は空洞であると共に、下端部には後述する調整ボルト12を上下方向に螺進、螺退自在に受け入れる雌螺子部8cが形成されている。
0017
図5は把持レバ−10、図6(A)は解除レバ−13、図6(B)はリンク11を示す図であって、把持レバ−10の上端部には穿孔10aが設けてあり、リベット4cによって下部ジョ−3の下端側に回動自在に枢着するようになっている。把持レバ−10の長さ方向中間部位よりやや上方には穿孔10bが形成してあり、一方、リンク11の一端側には穿孔11aが形成してあり、リベット4dによってリンク11の一端側を把持レバ−10に回動自在に枢着するようになっている。リンク11の他端側は把持ハンドル8の開口部内に延出しており、調整ボルト12の脚部12aの端部に回動自在に載置されている。リンク11の他端の側部には突起11bが形成してあり、把持ハンドル8の開口部の幅狭部8eよりリンク11が抜けることがないようになっている。引張スプリング9の死点越えとリンク機構によって、工具は図1の状態を保持するようになっており、したがって、板材を挾持した状態を保持可能である。
0018
把持レバ−10に設けた穿孔10bの下方に位置して穿孔10cが設けてあり、ピン14aを介して解除レバ−13の上端部が回動自在に装着されている。ピン14aにはねじりスプリング15が設けてあり、解除レバ−13を把持ハンドル8から離隔する方向に付勢している。解除レバ−13は把持レバ−10に内側から当接重合するようになっており、解除レバ−13を介して把持レバ−10を把持ハンドル8から離隔する方向に付勢している。したがって、図1のような上部ジョ−2、下部ジョ−3が閉じた状態において、解除レバ−13に把持ハンドル8から離隔する方向に軽い力を加えることで簡単に把持レバ−10を拡開方向に回動させることができ、上部ジョ−2と下部ジョ−3に設けた剥離刃5、6間の間隔を広くする。
0019
図7(A)は上部剥離刃5を示しており、上部剥離刃5は断面視円形状の短円柱状の部材であり、下端面には側面視ぎざぎざ状の刃面5aが形成されている。図7(B)は下部剥離刃6を示しており、下部剥離刃6は断面視円形状の円柱状の部材であり、上端面には刃面6aが形成されている。上部剥離刃5の下端の刃面5aと下部剥離刃6の上端の刃面6aとは対向しており、両刃面間に板材を挟持するようになっている。実施の形態のものでは、刃面5aの面積が刃面6aの面積よりも大きくなっている。刃面5a、6aの形状は図示のもに限定されるものではないが、ぎざぎざ状の刃面の場合には、これが板面に圧接された状態で回転するので、良好に塗装等を剥離することができる。また、刃面5a、6aの面積はスポット溶接に要求される板材の露出面積に対応するような大きさを有することが望ましい。剥離刃5、6はジョ−2、3を一体で形成してもよい。あるいは剥離刃5、6をジョ−2、3に対して回動自在に設け、モ−タやエア−を利用して剥離刃5、6のみが回転するようにしてもよい。
0020
図8は剥離用ハンドル7を示しており、剥離用ハンドル7は断面視円形状の丸ハンドルであり、略U形状を有している。剥離用ハンドル7は開口側の端部7aにおいて、上部ジョ−2のボス部2gにピン14bによって回動自在に装着されている。剥離用ハンドル7の開口部7bは剥離用ハンドル7を上下方向に回動させた時に、工具を受け入れることで回動の妨げにならないような寸法を有し(図1では長さ方向の途中部位を省略しているが)、剥離用ハンドル7は上部ジョ−2のボス部2gを回動支点として一回転できるようになっている。尚、剥離用ハンドル7を設ける部位は上部ジョ−2に限定されるものではなく、また剥離用ハンドル7を工具本体に対して着脱自在に設けてもよい。
0021
図9(A)は塗装剥離工具の通常の状態を示しており、剥離刃5、6同士が離れて、刃面5a、6a間に間隔が存する状態を示しており、図9(B)は図9(A)の状態から把持ハンドル8と把持レバ−10との間隔を狭めた状態を示しており、図1に対応するものである。尚、図9、図10に示した塗装剥離工具のジョ−2、3、剥離刃5、6の形状は図1に示したものとは若干異なっており、また塗膜剥離用ハンドルを有していない。
0022
このように構成された塗膜剥離工具の動き・作用について説明する。把持ハンドル8と把持レバ−10を把持して、把持レバ−10を把持ハンドル8側に近付けると、引張コイルスプリング9の付勢力に抗して、リンク機構を介して、下部ジョ−3が上方に向かって移動する。より詳しく言うと、リンク11によってレバ−10を介して下部ジョ−3が上方に押し上げられ、下部ジョ−3は長溝3fに沿って上昇し、この時、下部ジョ−3のガイド溝3fが上部ジョ−2のガイド部に沿って上昇する。
0023
下部ジョ−3が上方に移動することによって、下部ジョ−3に設けた下部剥離刃6の上端の刃面6aが上部ジョ−2に設けた上部剥離刃5の下端の刃面5aに向かって近接して行く。そして、スプリング9が死点越えすることで、工具は図9(B)の状態を保持するようになっている。調節ボルト12の脚部12aの端部、すなわち上端部はリンク11の他端側に下方から当接しており、つまみ部を形成するボルト頭部12bを介して調節ボルト12を上下方向に螺進、螺退させることで把持ハンドル8に対するリンク11の相対的位置を変更することができ、もって下部ジョ−3の移動距離、すなわち上部剥離刃5の刃面5aと下部剥離刃6の刃面6aとの間隔を調節することができる。
0024
このように構成された塗膜剥離工具を用いてスポット溶接に必要な部位の塗膜を剥離する方法について図10に基づいて説明する。板材A、Bを密着重合させた状態においてスポット溶接を行う部位を予め決定し、かかる部位を上部ジョ−2と下部ジョ−3とからなる一対の挾持ジョ−によって両面側から挾持する。この時、挾持が弱い場合には、調節ボルト12を締めてボルト12を上方に螺進させることで強固に板材A、Bを挾持させ、上部剥離刃5の刃面5aおよび下部剥離刃6の刃面6aを板材A、Bの所望部位に圧接させる。
0025
この状態で、剥離工具を板材A、Bの面方向内に左右に回すことで、板材A、Bの塗膜部に圧接された刃面5a、6aが圧接された状態で回転して塗膜を剥離する。この剥離作業は、剥離用ハンドル7を持って行うことでより容易に行うことができる。特に、剥離用ハンドル7は剥離工具に対して上下方向に回動自在であるので、使い勝手がよい位置に回動して、その位置で剥離用ハンドル7を左右に回す、あるいは振ることができる。尚、図10では二枚の板を密着重合させる場合について示したが、板の枚数はこれに限定されるものではなく、三枚でも四枚でもよい。
0026
図1乃至図10に示した塗膜剥離工具は、把持ハンドル8と把持レバ−10の間隔を広狭させることで対向する一対の剥離刃5、6を接離させるものにおいて、剥離刃5、6の接離方向は把持ハンドル8の延出方向と略一致している。こうすることで、塗装剥離工具を立姿状に把持した状態で板材を挟持することができ、例えばフロントフェンダとインナ−フェンダのようなL字形状の部位をスポット溶接するような複雑な形状の部位の挟持作業が楽であると同時に、工具の回転操作を容易に行うことができる。
0027
図11は第二の実施の形態に係る塗膜剥離工具を示しており、基本的な構成は第一の実施の形態のものと同様である。塗膜剥離工具は、一対の挾持ジョ−2、3と挾持ジョ−2、3の先端側に対向状に設けた一対の剥離刃5、6とからなるクランプ部1を有している。一の挾持ジョ−2は固定ジョ−であると共に、他の挾持ジョ−3は可動ジョ−であり、それぞれ略C形状を有している。固定ジョ−の基端側は把持ハンドル8に溶接によって一体化されており、可動ジョ−の基端側は把持ハンドル8に対して回動可能に枢着されている。可動ジョ−には把持レバ−10が回動自在に枢着されており、把持ハンドル8と把持レバ−10の間にはリンク11が回動可能に設けてある。可動ジョ−と把持ハンドル8との間にはスプリング9が設けてあり、可動ジョ−を拡開方向に付勢している。把持ハンドル8の下端部には調節ボルト12が螺装されており、ボルト軸部の先端がリンク11の端部に当接するように構成されている。
発明の効果
0028
本発明によれば、スポット溶接において必要な部位のみに付着している塗膜や錆を落とし、スポット溶接時の電流の通りを良くし、良好にスポット接合を行うことができる。
図面の簡単な説明
0029
図1本発明に係る塗膜剥離工具を示す図である。
図2(a)、(b)、(c)は図1における上部ジョ−の正面図、側面図、平面図であり、(d)は他の実施の形態に係る上部ジョ−を示す図である。
図3(a)、(b)、(c)は図1における下部ジョ−の平面図、正面図、側面図ある。
図4(a)、(b)、(c)は図1における把持ハンドルの側面図、平面図、正面図である。
図5図1における把持レバ−を示す図である。
図6(A)図1における解除レバ−を示す図である。
(B)図1におけるリンクを示す図である。
図7(A)図1における上部剥離刃を示す図である。
(B)図1における下部剥離刃を示す図である。
図8図1における剥離用ハンドルを示す図である。
図9(A)はクランプ部が開放状態を示す図であり、(B)はクランプ部が閉じられた状態を示す図である。
図10本発明に係る塗膜剥離工具の使用状態を示す図である。
図11本発明の他の実施の形態に係る塗膜剥離工具を示す図である。
図12(a)はスポット溶接を行う溶接機の斜視図であり、(b)はスポット溶接部を拡大して示す図である。
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0030
1クランプ部
2 上部ジョ−
3 下部ジョ−
5 上部剥離刃
6 下部剥離刃
7塗膜剥離用ハンドル
8把持ハンドル
10把持レバ−
A板材
B 板材