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技術 親和性結合に応用するための磁性粒子とその利用方法

出願人 インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
発明者 ロバート・ジョン・ウィルソン
出願日 1998年11月30日 (20年8ヶ月経過) 出願番号 1998-338672
公開日 1999年8月27日 (19年11ヶ月経過) 公開番号 1999-230965
状態 特許登録済
技術分野 生物学的材料の調査,分析 硬質磁性材料 磁性薄膜 微生物、その培養処理
主要キーワード 双二次 垂直軌道 非線形磁気 逆運動 フォトレジスタパターン 試験用粒子 チェッカボード 反結合
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1999年8月27日)のものです。
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図面 (13)

課題

区別可能で、制御可能である磁性を有し、遺伝子物質または他の対象に結合させることができる磁性粒子を得る。

解決手段

強磁性または反強磁性粒子を、溶液中での親和性結合相手選択的分離に使用する。磁性粒子は、大きな磁気モーメントを有しており、異なる強さの磁気モーメントおよび/または異なる磁場依存性を使用していくつかの親和性結合相手の分離を同時に可能にする。

概要

背景

磁性粒子磁性ビーズとも知られる)技術は、バイオテクノロジーのいくつかの分野で貴重なツールとして確立されている。このような技術の効力は、ビーズを、選択的標的認識能力を持つ種々の生化学分子(たとえばタンパク質および核酸)に化学的に付着または接合させ、きわめて複雑な反応混合物(たとえば全血または溶液中のフラグメント化細胞)に付加して、得られる親和性結合複合体磁性体にすることができるという基本的性質から導かれる。分離は、これらの複合体を磁場によって選択的に捕捉したのち、不要な不純物を除去する。また、空間閉じ込めおよび磁気的に誘発される凝集体の形成をはじめとする他の用途が存在する。

核酸の科学的研究における磁性ビーズ技術の使用は、DNAを配列決定し、細胞ライン分化する際に発現したRNAもしくはタンパク質を単離し、特異なc−DNAライブラリを構成し、染色体および巨大DNA分子選別し、DNA結合タンパク質を単離するための精製を含む。現在、骨髄移植および臓器移植耐性生成のような治療のために、全細胞分離に非常に大きな医療努力が払われている。

現在の技術に伴う一つの限界は、一度に一つの標的に基づく磁気分離しか実施することができず、潜在的に多重の分離を困難かつ時間消費的で高価なものにしてしまうことにある。さらには、分離の誤差が加わるおそれがあるため、所与の対象に対する二回目の分離は最適な結果を達成することができない。十分に区別できる磁性粒子を製造し、別種の「認識」分子に結合することができるならば、粒子およびそれらと結合した標的を、結合した磁性粒子のタイプおよび数を反映する異なる群に分離することが可能であるかもしれない。この能力によって提供される利点の一例は、骨髄移植に関する文献に見いだされる。ここでは、単一の細胞表面マーカに基づく分離は磁性ビーズ技術によって通常に達成されているが、複数の細胞表面マーカに基づく分離は、細胞を個別の基準で分析しなければならない蛍光活性細胞選別に頼っているということがわかる。

概要

区別可能で、制御可能である磁性を有し、遺伝子物質または他の対象に結合させることができる磁性粒子を得る。

強磁性または反強磁性粒子を、溶液中での親和性結合相手選択的分離に使用する。磁性粒子は、大きな磁気モーメントを有しており、異なる強さの磁気モーメントおよび/または異なる磁場依存性を使用していくつかの親和性結合相手の分離を同時に可能にする。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
5件

この技術が所属する分野

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請求項1

複数の異なる分子溶液から分離する方法であって、(a)第一の磁気モーメントを有する複数の第一の磁性ビーズを製造する工程と、(b)第二の磁気モーメントを有する複数の第二の磁性ビーズを製造する工程と、(c)第一の受容体分子を前記第一の磁性ビーズに付着する工程と、(d)第二の受容体分子を前記第二の磁性ビーズに付着する工程と、(e)前記第一の磁性ビーズおよび前記第二の磁性ビーズを溶液に入れる工程と、(f)外部磁場を前記溶液に印加する工程と、を含み、前記第一および第二の磁性ビーズが、前記第一および第二の磁気モーメントに比例する速度で前記外部磁場のソース吸引されることを特徴とする方法。

請求項2

前記外部磁場が1000エルステッド未満である請求項1記載の方法。

請求項3

前記第一の受容体分子が、抗体、抗原レクチンホルモンレセプタ特異的結合性タンパク質酵素および核酸からなる群より選択される請求項1記載の方法。

請求項4

前記第二の受容体分子が、抗体、抗原、レクチン、ホルモン、レセプタ、特異的結合性タンパク質、酵素および核酸からなる群より選択される請求項1記載の方法。

請求項5

前記外部磁場はパルスである請求項1記載の方法。

請求項6

(a)少なくとも一つの磁性層および少なくとも一つの反強磁性層を有するコア粒子と、(b)前記コア粒子に結合された被覆と、(c)少なくとも一つのさらなる結合性分子と選択的に結合するための、前記被覆に結合された受容体分子と、を含むことを特徴とする組成物

請求項7

前記選択的結合が共有結合である請求項6記載の組成物。

請求項8

前記選択的結合が非共有結合である請求項6記載の組成物。

請求項9

前記コア粒子が、前記反強磁性層に結合されたスペーサ層をさらに含む請求項6記載の組成物。

請求項10

前記受容体分子が、抗体、抗原、レクチン、ホルモン、レセプタ、特異的結合性タンパク質、酵素および核酸からなる群より選択される請求項6記載の組成物。

請求項11

分子を溶液から分離する方法であって、(a)磁気モーメントを有し、少なくとも一つの磁性層および少なくとも一つの反強磁性層を有する複数の磁性ビーズを製造する工程と、(b)受容体分子を前記磁性ビーズに付着する工程と、(c)前記磁性ビーズを溶液に入れ、外部磁場を前記溶液に印加する工程と、を含み、前記磁性ビーズが前記外部磁場のソースに吸引されることを特徴とする方法。

請求項12

親和性認識分子と特異的に結合する成分を単離および精製する方法であって、(a)磁気モーメントを有し、少なくとも二つの磁性層を有し、前記親和性認識分子をその表面に有する磁性粒子を、親和性認識分子と特異的に結合する成分を懸濁液中に含有する混合物と接触させて、前記成分を前記磁性粒子と結合させる工程と、(b)磁力の印加によって前記磁性粒子を前記懸濁液から分離する工程と、(c)前記成分を前記磁性粒子から溶離させて前記成分を精製する工程と、を含むことを特徴とする方法。

請求項13

前記成分が、タンパク質、抗原、ハプテンウイルス、レセプタ、炭水化物、ホルモン、細胞膜、機能質、細菌細胞、核酸および動物細胞からなる群より選択される請求項12記載の方法。

請求項14

前記成分が動物細胞である請求項12記載の方法。

請求項15

前記成分が、CD34抗原をその表面に有する幹細胞である請求項12記載の方法。

請求項16

幹細胞を殺す治療を以前に受けたことのある患者の免疫系を再生するのに十分な量の幹細胞を精製する請求項15記載の方法。

請求項17

分析対象物を検出または測定するための免疫学的検定を実施する方法であって、(a)(i)磁気モーメントを有し、少なくとも二つの磁性層を有し、抗体をその表面に有する磁性粒子と、(ii)検出される分析対象物と、(iii)標識された抗体および標識された分析対象物もしくは分析対象物類似物からなる群より選択される標識された成分と、を混合して混合物を形成する工程と、(b)磁力の印加によって前記磁性粒子を前記混合物から分離する工程と、(c)前記磁性粒子と会合する標識の存在または量を測定して前記分析対象物を検出または測定する工程と、を含むことを特徴とする方法。

請求項18

前記標識された成分が標識された抗体であり、前記検定サンドイッチ型免疫学的検定である請求項17記載の免疫学的検定法

請求項19

前記標識された成分が標識された分析対象物または分析対象物類似物である請求項18記載の免疫学的検定法。

技術分野

(19)前記標識された成分が標識された分析対象物または分析対象物類似物である上記(18)記載の免疫学的検定法

背景技術

0001

本発明は一般に、磁性粒子に関し、特に、親和性結合に応用するための磁性粒子を製造する方法に関する。

0002

磁性粒子(磁性ビーズとも知られる)技術は、バイオテクノロジーのいくつかの分野で貴重なツールとして確立されている。このような技術の効力は、ビーズを、選択的標的認識能力を持つ種々の生化学分子(たとえばタンパク質および核酸)に化学的に付着または接合させ、きわめて複雑な反応混合物(たとえば全血または溶液中のフラグメント化細胞)に付加して、得られる親和性結合複合体磁性体にすることができるという基本的性質から導かれる。分離は、これらの複合体を磁場によって選択的に捕捉したのち、不要な不純物を除去する。また、空間閉じ込めおよび磁気的に誘発される凝集体の形成をはじめとする他の用途が存在する。

0003

核酸の科学的研究における磁性ビーズ技術の使用は、DNAを配列決定し、細胞ライン分化する際に発現したRNAもしくはタンパク質を単離し、特異なc−DNAライブラリを構成し、染色体および巨大DNA分子選別し、DNA結合タンパク質を単離するための精製を含む。現在、骨髄移植および臓器移植耐性生成のような治療のために、全細胞分離に非常に大きな医療努力が払われている。

発明が解決しようとする課題

0004

現在の技術に伴う一つの限界は、一度に一つの標的に基づく磁気分離しか実施することができず、潜在的に多重の分離を困難かつ時間消費的で高価なものにしてしまうことにある。さらには、分離の誤差が加わるおそれがあるため、所与の対象に対する二回目の分離は最適な結果を達成することができない。十分に区別できる磁性粒子を製造し、別種の「認識」分子に結合することができるならば、粒子およびそれらと結合した標的を、結合した磁性粒子のタイプおよび数を反映する異なる群に分離することが可能であるかもしれない。この能力によって提供される利点の一例は、骨髄移植に関する文献に見いだされる。ここでは、単一の細胞表面マーカに基づく分離は磁性ビーズ技術によって通常に達成されているが、複数の細胞表面マーカに基づく分離は、細胞を個別の基準で分析しなければならない蛍光活性細胞選別に頼っているということがわかる。

課題を解決するための手段

0005

そこで、異なる種類で制御可能である磁性を有し、遺伝子物質または他の対象に付着することができる磁性粒子の必要性があることがわかる。

0006

上記従来技術の欠点を解消し、本明細書を読解することで明白になる他の欠点を解消するため、本発明は、親和性結合用途のための区別できる磁性粒子を製造する方法および装置を開示する。本発明は、生物学的分離への応用に関して詳細に論じるが、この用途に限定されない。本方法は、第一の磁気モーメントを有する複数の第一の磁性ビーズを製造する工程と、第二の磁気モーメントを有する複数の第二の磁性ビーズを製造する工程と、第一の受容体分子を第一の磁性ビーズに付着する工程と、第二の受容体分子を第二の磁性ビーズに付着する工程と、第一の磁性ビーズおよび第二の磁性ビーズを溶液に入れる工程と、外部磁場を溶液に印加する工程とを含み、磁場の印加によって第一および第二の磁性ビーズが異なる速度で動かされる。ビーズの速度は、粘性抵抗力印加磁場および磁場勾配ならびに、磁場にも依存する第一および第二の磁性ビーズの磁気モーメントに依存する。本発明を特徴づける種々の利点および新規な特徴は、本明細書の一部を構成する請求の範囲で具体的に指摘する。しかし、本発明、その利点およびその使用によって得られる目的をより理解するため、本明細書のさらなる部分を構成する図面および本発明の具体例が記されている図面に伴う記述を参照されたい。

0007

好ましい実施態様の以下の記載では、本明細書の一部を構成し、本発明を実施することができる具体的な実施態様が例示されている添付図面を参照する。本発明の範囲を逸することなく、他の実施態様を使用し、構造上の変更を加えてもよいことが理解されよう。

0008

概要
所望のまたは望まない分子、抗原または抗体を人の血液または組織から分離するための磁性粒子または他のマーカの使用には、現在、多大な努力が払われている。現在、ある研究の焦点にある磁性粒子は、磁性酸化鉄を35重量%まで含めることによって超常磁性になる、均一な直径約5ミクロンポリスチレン球である。現在の技術水準での変形は、粒子の不均一なサイズ分布の使用、小さな(<0.1ミクロン)超常磁性粒子の使用、および減磁された強磁性粒子の使用を含む。

0009

完全な細胞を分離するための医療における磁性ビーズ技術の応用は、細胞表面抗原に対するモノクロナール抗体または他の特異的結合相手被覆された磁性ビーズを使用することで望ましい性質を持つ細胞を複合混合物から精製することを可能にする。

0010

一般に、そのような作業は、各マーカを発現させる細胞のタイプを指定するCD(Cluster of Differentiation)命名法(たとえばCD21)によって指定される細胞表面タンパク質マーカを含む。免疫系のリンパ球の種々のクラスをモニタし、単離し、精製することを目的とする磁気的細胞選別機器の広範な商業的開発および市場販売が現在進行中である。

0011

現在、目立った努力は、主として骨髄中に存在する免疫系幹細胞(CD34)を分離し、分割し、分化して、免疫応答関与する細胞のすべてのクラスを形成することを含む。この研究の背後にある動機付けは、幹細胞にとって致死的な用量で放射線治療または化学療法を受けた患者の免疫系を再生するために、そのような細胞を個人またはドナーから単離することである。同様な努力が、細胞毒性T細胞を異質遺伝子型の(ゲノムが異なる)骨髄ドナーから除去することに向けられている。

0012

これらの用途のいくつかでは、2種以上の別種の細胞表面マーカの存在(または不在)に基づいて細胞を分離することが望ましい。このような分離は現在、細胞ごとの基準での蛍光活性化細胞選別を用い、臨床用途で使用されている。残念ながら、現在の技術水準は、1秒あたり細胞数千個の速度が限界であり、細胞密度依存性遠心分離を使用する短い予備精製ののち、約1%豊富であるのに十分な細胞(通常の救命用量(rescue doses)は約2×106個である)を選別するのに約1日の機器および操作者の時間を要する。

0013

現在の磁性ビーズ技術は、個々の細胞それぞれの検査を要さず、したがって、磁性ビーズ−細胞複合体を含有する溶液を、約1時間、磁場勾配の中に配置するだけで分離が達成されるため、機器はより簡単なものでよく、操作者はそれほど注意を払わなくて済む。

0014

本発明と比較した場合の従来技術
従来の磁性ビーズ技術の一つの制限的な特徴は、一度に1種類の細胞マーカしか標的にできないことにある。本発明は、そのような分離をいくつか平行に実行できるような、または、マーカの特定の組み合わせと結合した画分(fractions)を単離することができるような、十分に区別できる特徴を有する磁性粒子を使用する。本発明は、磁気記憶装置用途のセンサにおける磁性領域安定化のために開発された技術を使用して、磁気モーメントが大きさおよび磁場依存性の両方で制御される粒子を構成することにより、この目標を達成する。本発明の主要な特徴は、反強磁性結合または反強磁性交換バイアスの使用によって性質が変化する強磁性材料の多数の層を使用して、粒子の磁気応答多重分離または他の用途のためにあつらえることにある。この特徴は従来技術には見られない。

0015

基本的な物理的考察
溶液中の親和性結合磁性ビーズは、磁場、重力ならびに他の溶液成分および容器壁との衝突および電気相互作用に関連する力を受ける。壁相互作用は一般に十分に理解されているため、ここでは、拡散および粘性抵抗力の点でのみ溶液環境を考察する。イオン性水性媒体中の電気的な力は一般に短い範囲のものであり、コロイド定性および壁相互作用に関して有用であるが、当該技術で十分に公知である。本出願で対象とする磁力は、印加される磁場から生じ、また、磁性ビーズそのものの磁場から生じる。後者の力は、磁性粒子の凝集体およびそれらの複合体の形成につながることがあるため、重要である。

0016

重力によって圧倒されない磁力を加えることによって一つの分離が実施される。このような磁力の印加が、非磁性成分を除くことができるよう、磁場によって決定される領域に磁性ビーズを引き込む。ビーズ−標的の複合体および磁力がすべて同一であり、重力作用、拡散および層流の問題を御することができるならば、複合体は分離カラムに沿ってすべて同じ速度で動く。しかし、一回の分離では、目標は単にすべてのビーズおよび複合体を収集するだけであり、したがって、カラム、均一なビーズまたは磁力の必要性はなく、また、凝集力が、ビーズをそれらの標的との混合および結合または分離のために懸濁させることができるほどの弱いものでしかないならば、凝集力に関する心配もほとんどない。

0017

多数の標的の同時分離を実施するためには、結合したビーズの混合物汎用化された分離カラムの一箇所に配置することにより、二つの磁気的に別個のタイプのビーズを使用する。この場合、ビーズのタイプごとに磁力が異なる。ビーズ−標的複合体が粘力および拡散に関してすべて同一であるならば、二つのタイプのビーズ−標的複合体は、印加される磁場の中を異なる速度で動き、二つのバンドに物理的に分離する。多重分離の場合、別個のタイプのビーズどうしの凝集が完璧な分離を損ねることが明らかである。また、同じタイプのビーズの凝集は、凝集体に対する磁力および粘性抵抗力を変化させ、ひいては、影響を受ける複合体の速度を変化させ、二つのバンドへの分離の理想から逸させるおそれがある。

0018

多重分離の場合の凝集の影響の重大さは、分離に望まれる収率および純度に依存する。収率および純度は、所望のバンドからの複合体の損失および所望のバンドの範囲内での不適切な複合体の出現によって制限される。

0019

最後に、2種以上の別種のマーカそれぞれに多数の結合サイトを有する実体(entities)が一つの標的に同時に現れるような分離を実施することができる。そのとき、磁力は、複合体中の磁性ビーズの数およびタイプの両方に依存するので粘性抵抗効果が同一である場合でも多数のバンドが期待される。さらに複雑な態様として、標的−ビーズ複合体がサイズおよび形状において有意な違いを有して、粘性抵抗における有意な差を許容することができるようにしてもよい。ここで、バンドへの分離の概念全体が疑わしくなる。これが、分離が蛍光活性化細胞選別に頼る様式である。この技術は、付着されるビーズのタイプおよび数がそれぞれそれらの光学蛍光スペクトルおよび強さを基準に区別されるよう、同じく特異性認識分子に接合された個々に蛍光標識されたビーズを使用する。この技術は、粘性抵抗係数の違いから生じる強い煩雑化を受けないが、測定および分離を細胞ごとの基準で実施することを要する。

0020

十分に区別できる磁気特性を有するビーズおよび粘性抵抗係数の変化に伴う潜在的問題を解消する方法が利用可能になるならば、この分野への磁性ビーズ技術の拡張の見込みは顕著に改善されるであろう。まず、区別できる磁気特性の側面を考えてみる。

0021

印加される磁場によって磁性ビーズに加わる磁力Fは、次のように示される。

0022

本発明は、複合体中のビーズのタイプをniの値から独立して決定することができるよう、異なる磁気的識別特性(signature)を有する粒子の製造を含む。これらの粒子は、凝集の問題を最小限にするため、多数の強磁性層ゼロ磁場でほぼゼロの正味磁気モーメントを有するように強いられる積層構造である。磁場に対する磁気モーメント依存性は、粒子タイプごとに異なり、容易に得られる数十から数百エルステッドの範囲の磁場において非線形である。区別できる有効磁化率は、蛍光ビーズの場合に個々のスペクトル特性が利用されるように、複合体中のビーズのタイプの独立した測定を可能にする。さらには、非線形磁気特性は、粘性抵抗の変動性に伴う問題を軽減しやすくする分離方式の使用を可能にする。

0023

分離に要する力提案される構造の理解に進む前に精査しなければならない物理的問題および制約がいくつかある。まず、磁性粒子が溶液から沈降する傾向をいうコロイド安定性を考えてみる。安定性の大まかな推定は、1cmの高さ範囲で粒子の重力ポテンシャルエネルギーの差を熱エネルギーkTと比較することによって実施することができる(k=1.38×10-16エルグ/Kはボルツマン定数であり、Tは温度である)。密度ρ0の液体中の半径rおよび密度ρの球体の場合、サイズは次のように限定される。

0024

より厳しい規準は、重力による沈降が磁気分離を圧倒しないよう、磁力が重力に匹敵することである。粒子に対する磁力と重力とを等式で表すと、次のようになる。

0025

粒子の動き磁力はまた、誘発される動きが拡散過程によって妨げられないよう、十分に強いものであるべきである。拡散定数Dは、以下のアインシュタインスモルコスキー(Smoluchowski)方程式によって求められる。

0026

半径rおよび小さな速度vの小さな粒子を粘度η=10-2の水性媒体に入れた場合、レイノルズ数は小さく、そのため、ストークス方程式が当てはまり、fはわずかに形状に依存するのみである。半径1ミクロンの球体の場合、f=6πη2r=4×10-5であり、したがってDは約10-9cm/sec2である。

0027

△x=(2Dt)1/2=0.6ミクロン(t1/2)であるため、そのような粒子の場合、拡散は低速の過程である。

0028

ストークス方程式はまた、力Fの場合の粒子並進速度をv=F/fとして与える。ρ=10の半径1ミクロンの粒子に対する重力は4×10-8ダインであり、よってv=10-3cm/secである。この速度は、分離のための時間を与えるのに妥当な低さである。

0029

ゼロ磁場での磁気凝集
粒子の凝集に関する懸念は、いくつかの文脈ですでに述べた。これらの懸念の根源を理解するため、引きあう双極子間相互作用を熱的攪拌の相互作用と比較してみる。M=1000emu/cm3の磁化および半径rを有する単一磁区強磁性粒子の場合、接点での磁性双極子間相互作用エネルギーM2/(2r)3(M=4/3πr3M)をkTと等しいものとする。この同等性は、r=0.003ミクロンの粒子の場合に満たされるが、これは、真に強磁性の磁性粒子がきわめて小さな寸法であることを要求するであろう。この理由のため、現在の状況で用いられる大部分の粒子は超常磁性である。超常磁気では、内部スピンの磁気配列が熱的攪拌のために変動し、そのため、正味モーメントは、ゼロ印加磁場では消滅するが、通常は数キロエルステッドである飽和磁場では、飽和値まで単調に増大する。本発明では、粒子内の個々の強磁性層の磁気モーメントを空間的に配向させて、正味モーメントはゼロ磁場で消滅するが、飽和磁場をキロエルステッド未満の範囲で好都合に調節できるようにする。

0030

超常磁性と強磁性との比較
飽和未満の磁場における従来技術の超常磁性ビーズの場合、磁化M=χHである(χ=10-2)。すると、直径5ミクロンの超常磁性ビーズの磁気モーメントはおよそM=6×10-13Hemuである。本発明に使用する粒子の場合、完全飽和磁化は、内部強磁性層が磁気的に整列する適度な磁場で得ることができる。本技術に基づく同様なサイズのビーズについて、5ミクロン×5ミクロン×t(ナノメータ)のパーマロイ膜を考えてみる。このとき、Mは約2×10-11t(emu)であり、そのため、厚さ1ナノメータ(nm)の強磁性膜が、100Oe磁場中の直径5ミクロンの超常磁性ビーズに匹敵するモーメントを有する。このように、従来技術に匹敵する磁気モーメントおよび寸法を維持しながらも、さらなる材料を追加して内部強磁性薄膜を操作するかなりの自由度がある。このような追加材料はまた、ポリマー封入剤および生物学的認識分子非共有結合的または共有結合的付着を助ける物質を含むこともできる。生物学的認識分子の付着に適した方法は以下で概説する。また、粒子寸法を調節して、性能を改善したり、費用を減らしたりすることもできる。5ミクロン粒子の場合、膜1cm2から得られる粒子の数はおよそ4×106個/cm2であり、これは一人の人間にとって幹細胞「救命用量」に匹敵する。

0031

磁性粒子の性質および調製
以下の部分は、本発明の磁性粒子の性質および本発明で使用される調製技術を記載する。

0032

粒子の製造および凝集の解消
特定のタイプの磁性ビーズの製造に使用される方法は、ゼロ磁場で正味双極子モーメントを示さない構造における強磁性材料の使用を可能にすることに直接適合される。これらの方法は、非磁性スペーサによって分離された磁性層の反強磁性交換または静磁気結合の使用により、ゼロ磁場で反平行に整列する強磁性層を製造する材料および構造に頼るか、反強磁性層交換結合によって異なる方向にピン止めされた強磁性層に頼るものである。後者のタイプの構造および結合機構の例は、スピンバルブ暗示される。ここでは、反強磁性層への交換結合によってピン止め軸に沿ってピン止めされた強磁性層を有する。

0033

また、非磁性スペーサによってピン止めされた層から磁気的に隔離された「自由な」強磁性層がある。各強磁性層は、磁場が変化するときヒステリシスM(H)ループを示す磁気モーメントを有している。自由層ループは低磁場に中心を有するが、ピン止め層ループの中心は、交換バイアスの使用によって数千エルステッドまでの範囲の磁場値にオフセットされることができる。二つの層の磁気モーメントは異なる磁場でフリップするため、各層のモーメントは、印加磁場の値に依存して異なる方向に整列させることができる。本発明の場合、ゼロ磁場で正味モーメントが小さくなることを保証することによって、磁気凝集を制限することが望ましい。この目標を達成するため、等しいモーメントの二つの層を反対方向にピン止めして、容易軸に沿う磁場がモーメントを反平行のままにするような、調節可能な範囲が得られるようにする。図1は、等しい磁気モーメントならびに反対のピン止め磁場Hp18およびHp29を有する1対の強磁性膜に関して、磁気モーメントを、ピン止め軸に沿って印加される外部磁場の関数として示す。これらの値の間の磁場は正味モーメントを生じさせないが、これらの範囲の外の磁場は、ピン止め層が平行な配列をとるよう誘発する。積層磁性膜の相対的配列を同様に制御する他の形態の磁気結合を同様に利用することができる。

0034

図2は、本発明の磁性粒子を製造するのに使用される典型的な層構造10を示す。剥離層12を有する基材を、全体構造10の上にさらなる層を成長またはスパッタリングするためのベースとして使用する。スペーサ層14を、スパッタリング、真空蒸着または他の付着方法によって剥離層12に被着する。スペーサ層14は、適切な磁性を確立したり、構造に対する被覆の結合を助けるために必要であるかもれしれない。次に、第一の磁性層16をスペーサ層14に結合する。磁性層16の厚さは、所望の双極子モーメントおよびピン止め磁場、付着させる材料ならびに構造10の全モーメントに依存する。磁性層16の典型的な厚さは1〜50ナノメートルである。

0035

次に、第一の反強磁性層18を第一の磁性層16に結合することができる。反強磁性層18は、磁性層16の双極子モーメントを、所与の方向に沿う配向を優先するようバイアスする。これを、磁性層16の双極子モーメントのピン止めという。反強磁性層18の典型的な厚さは0〜50ナノメートルである。交換バイアスに使用される典型的な反強磁性体は、鉄およびニッケルの特定の酸化物ならびにいくつかのマンガン合金、たとえばFeMn、NiMn、IrMn、PtMnなどを含む。

0036

次に、スペーサ層20を反強磁性層18に付着することができる。スペーサ層20は、反強磁性層18と磁性材料のさらなる層とを分離し、構造10内の後続の層の磁気特性を定義するのに役立つ。このスペーサ層は不要であるかもしれない。たとえば、自発反強磁性結合を使用するならば、反強磁性層18を省き、スペーサ層20の厚さおよび組成を調節して所望の反強磁性結合を得ることもできる。

0037

さらに、構造10は、構造10を構成する強磁性層の正味磁気モーメントの制御を可能にするため、スペーサ層20に結合された第二の磁性層22を有する。凝集の問題を軽減するため、第二の磁性層22の双極子モーメントの配向は通常、第一の磁性層16の配向に対して実質的に反対であるが、双極子モーメントの強さおよび構造10に望まれる全体特性に依存して、第一の磁性層16の双極子モーメントに対して平行な向きを含め、他の角度であってもよい。

0038

次に、第二の反強磁性層24を第二の磁性層22に結合することができる。第二の反強磁性層24は、磁性層22の双極子モーメントを所与の方向に配向させて維持する。これを、磁性層22の双極子モーメントのピン止めという。スペーサ層20の制御または減磁場によって自発反強磁性結合が得られるならば、この第二の反強磁性層は不要であるかもしれない。

0039

そして、スペーサ層26を第二の反強磁性層24に付着する。スペーサ層26は、強磁性層および反強磁性層を保護するために必要であるかもしれず、また構造に対する被覆の結合を支援することができる。

0040

強磁性層16および22の相対的なピン止め方向は異なってもよく、いくつかの方法によって設定することができる。いくつかの反強磁性交換バイアス材料の場合、強磁性層は、構造10の製造中、第二の磁性層22を成長させるとき、印加されるバイアス磁場逆転することによって反対の向きに設定することができる。層はまた、構造を成長させたのち、層18と層24とで異なる高いブロッキング温度を有する反強磁性体を使用することにより、反平行に設定することもできる。この場合、各強磁性層のピン止めは、そのバイアスする反強磁性体のブロッキング温度でサンプルを冷却するときに存在する磁場によって設定される。

0041

図2に示す構造10は、例を示すものに過ぎず、本発明の範囲を限定しようとするものではない。より多数または少数のスペーサ層、様々な磁気強度、様々な方向の双極子モーメントを有する、より多数または少数の磁性層、および異なる数の反強磁性層を使用する他の構造が本発明の範囲内で可能である。

0042

構造10の製造は、スパッタリング、真空蒸着、成長、蒸着およびエピタキシャル成長法を使用して容易に実施することができる。構造10は、膜として成長させたのち、基板からの剥離を可能にする適当な下層または剥離層12を用いるフォトレジストおよびサブトラクティブエッチ法の使用をはじめとする多数の技術を使用して粒子に分離することができる。あるいはまた、適当な射出成形またはフォトレジストで製造したパターン付きテンプレートおよび剥離剤を使用すると、再使用可能テンプレートから簡単に剥離させることができる。予備成形した粒子への付着もまた、もう一つの代替方法である。

0043

ピン止め磁場の値は容易に推定することができる。一例として、厚さ5ナノメートルの80:20NiFe層図2には層16および22として示す)を厚さ10ナノメートルの50:50MnFe(図2には層18および24として示す)によってピン止めした場合、Hpの値(Ta/NiFe/MnFe/Ta層構造中)は約300Oeであり、磁性層の厚さの逆数として増減する。したがって、二つの交換バイアスされた2.5ナノメートルNiFe膜を使用することによって同じモーメントを得ることができるが、それぞれのピン止め磁場は約600Oeに増大するであろう。この厚さ範囲にある膜の場合、膜の磁気モーメントは膜の厚さでは線形になりえないことが周知であるが、そのような逸脱を補正するための物理的厚さの調節は簡単である。同様に、交換結合の値が、付着される物質の構造に依存するということも周知であるが、これは、経験的に決定し、制御することができる。異なる強磁性層16および22の厚さを有する異なる数のそのような層(16および22)を積層することにより、飽和モーメントおよび強磁性飽和が起こる磁場の両方を変化させることができる。いくつかの群の別種の粒子が製造され、各群の構造が別種の生物学的認識分子に接合されるならば、本発明は、各磁性粒子群の移動性の磁場依存性を利用することにより、異なる生物学的マーカ担体を選別する能力を有する。

0044

印加磁場における粒子のエネルギーの計算
図1に示す理想的な磁気挙動は、印加磁場がピン止め磁場を通り抜けて増大すると磁気モーメントが急激にオン切り換わる粒子を提供するように思われる。印加磁場がピン止め軸に沿う場合、上記の簡単な記述は定性的には正しい。しかし、粒子が溶液中で自由であるならば、粒子は、最小限のエネルギー配向を達成するため、そのピン止め軸を容易に回転させて印加磁場の方向から離れることができる。この回転は、トルクM×Hのために生じる。半径rの小さな粒子の場合、このトルクは、典型的な磁場勾配による力に比べて大きい回転力Feff=MH/rに相当する。H/Xが磁場勾配を表すならば、Feffは、勾配によって誘発される力より、X/rの比率だけ増強され、X=1mm、r=1ミクロンの場合、X/rは1000となる。粒子ははじめ、印加磁場方向に対して垂直な磁性薄膜ディメンジョンで整列しているが、今や、rがナノメートル単位のtによって置換されているならば、同様な論法が当てはまる。したがって、印加磁場が強磁性膜の面内にあるよう、非常に強力なトルクが作用して粒子を整列させる。したがって、粒子の配向は、最小限のエネルギー配置で起こるゼロトルク要件によって強く決定される。ピン止め軸に対して角度θで向けられた印加磁場Haにおける、磁気的に反結合され、磁気的に柔らかく、反対にピン止めされた二つのモーメントM1、2のエネルギーは、次のように表すことができる。

0045

Ha<Hp1、2(Hp1、2はピン止め磁場)について平方根の正しい分枝(branch)が選択された。Hp1=Hp2であるとき、sin(θ)cos(θ)=0であるとき、dE/dθである。sin(θ)=0のとき、粒子は、印加磁場に沿ってそのピン止め軸と整列し、ちょうど1モーメント分のエネルギーの増大が他方の減少を相殺する。この最大エネルギー点で、全エネルギーは印加磁場の影響を受けない。cos(θ)=0であるとき、ピン止め軸は印加磁場に対して垂直である。この場合、磁場が印加されてHa/(Ha2+Hp2)1/2の印加磁場に沿った成分を有し、両方のモーメントが回転する。正味磁化は、はじめは線形に増大し、0から2Mまで滑らかに遷移し、磁場Ha>Hpで徐々に飽和する。Hpでの反平行配列から平行配列までの急激な遷移は明らかに失われる。磁場が増大しても、正味モーメントがトルクを生み出さないため、粒子そのものは、そのピン止め軸が磁場に対して垂直な状態で、同じ回転の配向を維持することができる。図3は、本発明の粒子の磁場の直角配列の場合の磁化曲線を示す。

0046

Hp1>Hp2である、より一般的な場合、磁場が増大するにつれ、正味モーメントがはじめはピン止め方向に対して直角に生じるが、M1が回転に対して感度がより低いため、粒子は徐々に回転して、モーメントがピン止め軸とその垂直との間にある角度で整列するということを示すことは易しい。この場合、Ha<Hp1、Hp2の場合でcos(θ)=(Ha/2)(1/Hp2−1/Hp1)であることを示すことは易しい。Hp1>>Hp2の極端な場合、この式は、粒子が、低磁場で好まれる直角の配向から回転して、大きな印加磁場で正味モーメントをピン止め軸に整列するということを示す。このように、飽和磁気モーメントは、Hp1=Hp2の場合よりも、磁場の増大によってより速やかに得られる。上記モデルは、飽和保磁力、異方性反磁場などを無視しているため、完全に定量的であることを意図したものではない。

0047

他の形態の反強磁性結合を用いるとしても、定性的に類似した挙動を予想することができる。そのような形態には、非磁性スペーサを介する反強磁性もしくは双二次結合(biquadratic coupling)またはパターン付けされた構造の表面上の「磁荷」に関連する反強磁性静磁気結合がある。

0048

粒子製造に対する制約
磁性層の厚さおよび積層は、粒子の自己発生磁場が磁化の挙動および粒子凝集の両方に影響するため、いくつかの制約を受ける。これらの磁場は、磁化が表面に対して垂直である膜の縁で起こる等価性の「表面磁荷」から生じる。膜からの反磁場が膜そのものに作用して異方性を生じさせ、隣接する膜と膜との間で作用して層どうしを反平行に配列させる傾向を示す。これらの反磁場はまた、2個の粒子が縦一列の連鎖または横並びの反平行に凝集するとき、磁場の大まかな推定を提供する。

0049

反強磁性交換バイアスの具体的な場合には、これらの磁場は、ピン止め磁場および粒子を制御するために使用される印加磁場に比較して無視することができるよう、小さな値に保持することができる。反磁場は、膜の端部で誘発される「表面磁荷」から推定することができる。長さl、幅wおよび厚さtの場合、幅沿いの線磁荷密度はMltである。すると、中心の磁場はおよそMwt/l2である。t<w<lであり、Mがwに沿って配向した強磁性NiFe膜のよりよい推定値は、以下によって求められる。

0050

縦横比t/lは、Hdを数十エルステッド未満に維持するために制限することができ、Hdは、Hpに比べてさらに小さく維持することもできる。他の形状、たとえば円盤を使用して、異方性ならびに反磁場の大きさおよび空間構造を変化させることもできる。

0051

反平行モーメントを有する積層強磁性層を含む粒子が外部磁場を発生させるということを実現することが重要である。平行モーメント配列の場合、正味モーメントは2Mwtlであり、外部磁場を容易に推定することができる双極子ソースとして働く。外部磁場は、正味モーメントがないため、反平行の配向でははるかに弱い。この状態で、二つの反平行層の所与の端部における「磁荷」は反対の符号を有する。したがって、sによって離間される反平行層の場合、粒子の各端部には、互いに反対向きの双極子がある。これらの双極子は、およそMwts=10〜15wts(wはミクロン単位、tおよびsはnm単位)であるモーメントを有し、これらのモーメントは、平行配列に対し、l/s=103の大きな値だけ大きさを減らされる。端部双極子どうしが反対向きであるため、大きな距離における外部磁場はさらに四重極性になる。

0052

また、粒子の自発凝集の可能性にも対処しなければならない。一つの規準は、吸引相互作用エネルギーと熱エネルギーkTとの比である。5ミクロン×5ミクロン×5nmの寸法および1000emuの磁化の単一の磁性層の場合、磁場H(MH=kT)は、H=4×10-4Oeである。反磁場が数十エルステッド未満と推定されるならば、強磁性層が磁場によって整列される粒子に関して凝集が予想される。反平行配向では、外部磁場の大きさは3けた減少し、熱エネルギーは、粒子間相作用エネルギーとはそれほど異ならない。反平行状態における外部磁場のさらなる減少は、多数の磁性層を積み重ねて双極子を除き、四極子などで代えることによって得ることができる。しかし、重力によって密な集まりに沈降した粒子は、低磁場での穏やかな攪拌により、分離した粒子として容易に再懸濁させられるため、反磁化状態における凝集が問題とはならないことがわかる。

0053

粒子は究極的には磁気的に固まり、おそらくは、分けることが望まれる別個の種どうしを連結させるため、凝集の問題は平行配列状態で重大である。粒子認識分子の付着および標的実体との複合体形成のすべての段階を実施し、非凝集複合体分離装置に配置したのち、磁場をオンにすると仮定する。粒子間の磁力が粒子どうしを引き寄せるまでに経過する時間を推定するため、ある水溶液の場合、磁気モーメントMの、2個の粒子の双極子粒子間磁力を使用して、ストークス方程式によって求められる溶液速度を考える。非常に大まかであるが、以下を見いだすことができる。

0054

評価用粒子の製造
付着ソースとしてイオンビームスパッタリングを使用することにより、試験用構造を製造した。まず、Siウェーハ洗浄し、有機剥離層の付着を促進するため、5nmのタンタル(Ta)膜をプレコートした。この層は、アニソール中の予備硬化されたポリイミドの1.4ミクロン膜をスピンコートすることによってキャストされたのち、110℃で30分間ベーキングした。そして、金属被覆を被着して、いくつかの異なる磁性構造の例を製造した。S1と指定する一つのサンプルは、以下の構造を有するものであった。

0055

基板/5Ta/5Py/9FeMn/3Ta/5Py/9FeMn/3Ta/5Py/9FeMn/*revH*/3Ta/5Py/9FeMn/3Ta/5Py/9FeMn/3Ta/5Py/9FeMn/5Ta

0056

ここでは、材料の厚さをナノメートル単位で記したのち、元素組成を記している。Pyとは、強磁性材料を構成する約80:20Ni:Fe組成パーマロイをいう。FeMnは、約50:50の組成であり、ピン止め反強磁性体として使用した。Taスペーサは、磁性材料どうしを分離して、交換バイアスに有利な結晶質組織を設定するため、また、保護キャップとして使用した。表記*revH*は、数十エルステッドの磁場を印加して成長中のピン止め方向をセットし、最初の組の磁性層を完成させたのち、方向を逆転させた事実をいう。振動サンプル磁束計を使用してこのサンプルの磁化ループを記録した。ピン止め軸に対して平行な磁場および垂直な磁場をそれぞれ図4および5に示す。S3と指定する第二の構造は、以下の構造に成長させた。

0057

基板/3Ta/20Cu/5Ta/15Py/9FeMn/*revH*/3Ta/15Py/9FeMn/3Ta/20Cu/5Ta

0058

全Py厚さは、S3の場合、S1の場合と同じであるが、FeMn交換結合は、個々のPy層がより厚いため、S3の場合の方が弱いと予想される。S3におけるCu層は、S1とほぼ同じ厚さを維持するために使用したが、異なる色を付けるためにも使用した。図6および7は、S3の場合の対応する磁気挙動を示す。異なるピン止め磁場41〜44および飽和磁場45、46の達成ならびにゼロ磁場における低い磁化の達成が明白である。予想されるピン止め磁場の値および磁気モーメントにおいて小さな偏差があるが、これらは、膜厚の経験的修正によって容易に補正することができる。

0059

そして、ウェーハを、1.3ミクロンの化学増幅したポリイミドレジストでスピンコートし、95℃で5分間ベーキングした。次に、ウェーハを、5ミクロンのチェッカボードマスク(1cm2)と接触させ、50ミリジュールUV線で約1秒間露光した。95℃で2分間、暴露後ベーキングを実施し、アルカリ性現像剤に約30秒間浸漬することによってパターン現像した。イオンミリングを使用して、金属層のうち、現像されたフォトレジスタパターンによって覆われていない領域を除去することにより、フォトレジストパターンを金属被覆に転写した。攪拌することによって剥離下層を温かいn−メチルピリリジノンに溶解し、基板を溶媒から取り出した。粒子を含む溶媒を試験管に移し、小さな500Oeの磁石を使用して磁性粒子を収集し、それにより、有機溶媒を抽出し、水で交換できるようにした。最後に、別種の粒子を、4×106個/cm3の推定密度で、水約1ccを含む異なる試験管にそれぞれ入れた。

0060

溶液中の粒子の分離
本明細書に開示する所望の構造の磁性に対するこの洞察を用いて、そのような粒子に独自の物理的分離機構の一つを論じることが適切である。本記述に関し、磁場が、図8に示す二つの異なる水平成分からなるものとみなす。第一の磁場は、時間的にパルス動させることができる比較的空間的に均一な磁場Hh、51である。第二の磁場Hg、52は、比較的大きな勾配を有しているが、対象領域における値は小さく、一時的にパルス動させることもできる。説明に際し、磁場の不在において粒子が重力の影響で溶液中に垂直に落下するものと考えてみる。均一磁場Hhは、懸濁した粒子に磁気モーメントを誘発するのに使用されるが、勾配磁場Hgは、磁化粒子の動きを誘発するのに使用される。Hhが一定に保持されるとき勾配磁場が交互に反対の方向に対称にパルス動されるならば、磁性粒子の動きの横方向もまた交互に立ち代わり、その結果、磁場による正味の横方向変位は誘発されなくなる。しかし、図9に示すように、HhがHg、55および56の交代と同期的に、二つの異なる値53および54の間で変化するならば、磁気モーメントがHhの値に依存する結果として正味の横方向変位が生じる。したがって、Hhが一つのタイプの粒子の飽和磁場よりも高く保持されるならば、このタイプの粒子の場合に正味の横方向変位は生じない。Hhが第二のタイプの粒子の飽和磁場よりも十分に低く保持され、したがってそのモーメントがHhでほぼ線形であるならば、横方向変位が生じる。

0061

パルスの構造が非対称になるならば、交互分離方式を容易に達成することができる。図10に示すように、HhがH1と2H1、57との間で切り換えられ、その間、HgがH2と−H2/2、58との間で同期的に切り換えられると考えてみる。ここで、モーメントがHhで線形である粒子は、飽和したままである粒子とは対照的に、横方向変位を生じない。実際には、飽和したままの粒子は、逆磁場サイクルの間には、横方向に半分の速度でしか移動せず、したがって水平方向に半分の距離しか移動せず、その結果、実質的な水平方向変位が生じる。異なる符号のHgのパルス幅、すなわちHhの符号の変化が可能になるならば、同様な操作が可能であることは明らかである。さらに、種々のパラメータにおける調節を実施して実際の磁気特性を補正することができるため、これらの分離方式が正確な線形性または全飽和を要しないことも明らかである。最後に、磁場の方向を重力に対して再配向させるか、他の力をこれらの分離方式に組み入れるかして、たとえば、いくつかの種は沈降させるが、他のものは浮遊させる系を達成することも容易である。

0062

図11は、空間的に離れた静磁場を使用して本発明の磁性粒子を分離するための一つの可能な実施態様を示す。

0063

入口66が、所与の溶液、おそらくは磁性ビーズと人の血液との複合体を、磁場の影響にさらされる領域68に入れる。単に説明のために、磁場を均一成分Hhと勾配成分Hgとに分け、まず1個の粒子80を領域68中に示す。

0064

所与の磁性粒子80の磁気モーメントが、分散領域84で方向82への磁性粒子80の速度を誘発する。同様に、再集束領域86が粒子80を方向88に偏向させる。種々のモーメントの粒子を異なる横方向距離だけ偏向させて、入口66からの重力による沈降に伴う垂直軌道から離すことができる。

0065

粒子80が分散領域84を通過するとき、粒子80は、水平磁場Hh1および勾配磁場Hg1の影響を受ける。分散領域84は、粒子80を、粒子80の磁気モーメントの強さおよび印加される磁場Hgの強さに比例する方向82に偏向させる。垂直方向の力は一定であるため、粒子80の軌道90は、全体の磁場における不均一性に対応する曲線92を描くことができる。細胞サイズ、密度、粘性抵抗力および結合する粒子80の数に差があると、種々の粒子80の曲線は分散する。

0066

再集束領域86では、磁場Hh2または勾配磁場Hg2が逆転する。たとえばHh1=Hh2かつHg1=−Hg2であるならば、分散および粒子間相互作用が無視できるため、軌道90は粒子80を再集束させることができる。均一な磁場が分散領域と集束領域とで異なり、ビーズがHhに対するMの非線形依存性を有するように設計されるならば、この再集束作用は正しく働かない。

0067

たとえば、Hh2=2Hh1かつHg2=−1/2Hg1であるならば、粒子80の磁気モーメントが値2Hh1未満のHで線形である条件で、再集束が起こる。これが当てはまるならば、磁場が粒子80を、粒子80が方向82に分散したのと同じだけ方向88に引き寄せるため、粒子80は出口94に入る。

0068

MがHh1でほぼ飽和しているならば、方向88における再集束偏向は、方向82における分散偏向の半分しかない。したがって、今や「集束した細胞」である飽和粒子80を、2Hh1未満の磁場で飽和した粒子として出口96で収集することができる。2Hh1未満の磁場では飽和しなかった、出口94からの粒子は、出口94を、上述したものに類似した、異なる値の磁場強度を有する別の磁場の組み合わせへの入口として使用することにより、より高い磁場での飽和に関してさらに試験することができる。代替態様が明らかに可能である。たとえば、Hh2=Hh1/2かつHg2=−Hg1を選択して、Hh1/2を超える磁場値で飽和した粒子を出口94で収集することもできる。

0069

別個の選別装置直列論理要素として接続して、単一のビーズタイプまたはビーズタイプの組み合わせを区別することによって所与のタイプのマーカを分離することができる方式を考案することは簡単である。たとえば、マーカM1およびM2の存在が望まれ、M3を選択的に除く場合を考えてみる。50、150および450Oeで飽和する別種のビーズが利用できると仮定する。まず、非磁性種をとるに足らないものとして除くことができる。複合体を含むM3を除くためには、M3ビーズを450Oeビーズとして選択することができ、Hh1=900およびHh2=450およびHg2=−Hg1を使用して、M3を含む複合体を除き、かつ、M1および/またはM2を含む複合体を出口94に再集束させることができる。M2を求めるには、150Oeビーズに対応するようにM2を選択し、Hh1=50およびHh2=100をHg2=Hg1/2で使用する。すると、M2のみを含む複合体が第二の選別装置の出口94で再集束し、それを捨てることができる。M1のみまたはM1およびM2を含有するビーズを出口96で収集し、それを、Hh1=25およびHh2=50をHg2=Hg1/2で使用することにより、さらに分別することができる。この段の出口94で再集束したビーズはM1のみを含み、その結果、所望のM1およびM2画分がこの段の出口96に現れる。出口94で現れる画分は、粘性抵抗係数の値の差に影響されることなくそれらの初期横方向位置に戻るように意図されているため、正または負の選択のためにここで使用する再集束作用が明示的に述べられる。

0070

現在使用されている超常磁性ビーズを使用すると、現在使用されている粒子は非常に高い飽和磁場を有するため、この粒子の分別を好都合な磁場で得ることはできない。小さな、無作為に配向した、または反磁化された強磁性粒子の混成物は、同様な問題ならびに粒子形状、飽和磁場、飽和保磁力または不可逆性磁化の不十分な制御に関連する他の問題を抱えるであろう。

0071

印加磁場における試験用粒子観測
粒子は容易に検出されたが、正反射光を使用して、肉眼では解像できなかった。顕著な沈降が数十分のうちに起こったが、粒子は振とうによって容易に分散した。管の外壁に接触させた直径1インチ、厚さ1/2インチのアルニコ磁石の磁場における粒子の動きが容易に観測され、速度は1cm/secのオーダであった。分散した粒子の反射率における顕著な増強が見られた。1Oeと測定される弱い磁場を、積層膜の面の磁場で粒子が磁場誘発配列する方向に印加すると、光源および観測者の位置に依存して、正反射の増強が観測された。すでに述べたように、印加磁場が磁性膜の面にくるように粒子を配向させるには非常に弱い磁場で十分である。顕微鏡を使用して、反射光および透過光の両方を使用して粒子を観測した。いくつかの観測は、図8に示すように、パルス式電流源によって駆動される2個の水冷電磁石を使用した装置の印加磁場中で実施した。第一の電磁石は、印加される磁場が約50Oe/アンペアの比較的均一な磁場を与える配置に接続された直径6インチのコイル2個を4インチの間隔で有していた。第二の電磁石は、中心でゼロ正味磁場を得るが、約40Oe/cm−Ampの磁場勾配を得るように反平行に2インチの間隔で接続された2個の直径2インチのコイルからなるものであった。定性的な光学的観測によって、粒子速度は、予想された区別できる飽和特性を、均一磁場と、勾配磁場の大きさにおける予想される線形変動との関数として示すことが確認された。種々のパルス方式を試験して、磁場勾配の逆転または均一磁場の逆転とともに起こる粒子動の逆転を確認した。これらの観測は、粒子が予想どおりに挙動することを定性的に立証した。

0072

また、沈降したビーズを一度か二度、手で振ったのち、上記の比較的高い濃度で幾十分かの間、強い磁場に付すと、鎖様の凝集体の形成が見られた。これらの鎖様物は、均一磁場の逆転の際に予想される鎖回転および近い鎖どうしの相対的位置および配向の関数としての鎖間の力の符号の予想される変化の容易な視覚化を可能にした。また、ビーズおよび鎖様物と容器壁との相互作用が、分離の際に壁を利用するいくつかの簡単な方法を示唆した。たとえば、容器を重力による垂直軌道に対して意図的に傾けると、充填された容器の上部から導入された特定のタイプのビーズの軌道が壁と交わるよう、磁場および勾配を調節することは簡単であった。壁と交わった種は劇的に減速し、接点で停止したが、他のビーズは、傾いた壁と平行に下向きに移動し続けることができた。横方向の動きが周期的に逆転するパルスモードでは、これは、壁と交わるビーズがサイクルの逆運動部分での動きに束縛されず、その結果、それら自体の下向き運動故意遅延される状況を招いた。また、磁場回転は、「ウォーキング」と記述してもよいタイプの動きを誘発するのに効果的であることが見いだされた。ここで、壁に対して平行な磁場の場合に水平な配向で面と接触するビーズは、磁場を90°回転させると上を向き、磁場を180°回転させると平坦な配向に戻る。その過程中、面と接触するビーズ端部が静止したままであるため、ビーズの中心は、ビーズの横方向寸法だけ移動した。壁に関連する現象の観測において、壁との相互作用には、粒子間および/または壁の領域の間でいくらかのばらつきがあったが、用意された容器壁を処理または洗浄することはあえてしなかった。

0073

図12は、本発明を実施するのに使用される工程を示す。

0074

ブロック70は、第一の磁気モーメントを有し、少なくとも一つの磁性層および少なくとも一つの反強磁性層を有する複数の第一の磁性ビーズを製造する工程を示す。

0075

ブロック72は、第一の受容体分子を第一の磁性ビーズに付着する工程を示す。

0076

ブロック74は、第一の磁性ビーズを溶液に入れる工程を示す。ブロック76は、外部磁場を溶液に印加する工程を示し、それにより、第一の磁性ビーズが磁場のソースに吸引される。

0077

磁性粒子に結合した親和性認識分子の付着および使用
以下の部分は、本発明の磁性粒子に結合される親和性分子の核としての上記の磁性粒子の使用を論じる。上述したように、本発明の磁性粒子は、少なくとも1個の親和性認識分子に付着される。本明細書に使用する「親和性認識分子」とは、抗体とその対応する抗原との結合または酵素とその基質との結合に匹敵しうる結合の親和性および特異性を生じさせる特定の三次元相互作用によって別の分子を認識し、それに結合する分子をいう。通常、結合は非共有的であるが、結合はまた、共有的であってもよいし、相互作用の過程で共有的になってもよい。非共有結合は通常、疎水性相互作用水素結合またはイオン結合によって起こる。親和性認識分子と、その分子が結合する分子との組み合わせを総称的に「特異的結合対」と呼ぶ。特異的結合対のいずれのメンバを親和性認識分子と指定してもよい。指定は、相互作用で作られた使用目的の便宜上である。特異的結合対の一方または両方のメンバは、より大きな構造、たとえばビリオン(virion)、完全な細胞、細胞膜、またはたとえばミトコンドリアもしくは葉緑体のような細胞下単位の機能質の一部であることができる。

0078

生物学における親和性認識分子の例は、抗体、酵素、特異的結合性タンパク質核酸分子およびレセプタを含む。レセプタの例は、ウイルスレセプタおよびホルモンレセプタを含む。特異的結合対の例は、抗原−抗体、抗体−ハプテン、核酸分子−相補性核酸分子、レセプタ−ホルモン、レクチン炭水化物基、酵素基質、酵素−阻害剤ビオチンアビジンおよびウイルス細胞レセプタを含む。特に重要な種類の抗原の一つは、造血起源の細胞、特に白血球ならびに他の細胞で見られるCD(Cluster of Differentiation)抗原である。これらの抗原は、免疫系の活性および調節において重要である。特に重要なCD抗原の一つは、幹細胞で見られるCD34である。これらは、白血球、赤血球および血小板をはじめとする造血起源の細胞のすべてを再生することができる全能細胞芽細胞)である。

0079

本明細書に使用する「抗体」とは、適切な特異性の完全な抗体分子および抗体フラグメントFab、F(ab′)、FvおよびF(ab′)2フラグメント)ならびに化学的に修飾された完全な抗体分子および抗体フラグメント、たとえば、サブユニットの試験管内(in vitro)再会合によってアセンブルされたハイブリッド抗体を含むFvフラグメントを含む。この語はまた、ポリクロナール抗体およびモノクロナール抗体をも包含する。同じく含まれるものは、遺伝子操作された抗体分子、たとえば一般にsFvと呼ばれる単鎖抗体分子である。「抗体」はまた、修飾された抗体または抗体の結合能力を妨害もしくは変化しない標識もしくは他の分子に接合された抗体を含む。

0080

本発明に使用する「核酸分子」、「核酸セグメント」または「核酸配列」は、別段指定しない限り、DNAおよびRNAの両方を含み、別段指定しない限り、2本鎖核酸および1本鎖核酸の両方を含む。同じく含まれるものは、ハイブリッド、たとえばDNA−RNAハイブリッドである。特に、DNAをいうときは、DNA中のチミンに対するRNA中のウラシルの置換を除いて等しい塩基配列を有するか、チミンに対するウラシルの置換を除いて相補的な塩基配列を有するRNAを含む。このとき、相補性は、ワトソンクリック塩基対規則にしたがって決定される。核酸をいうときもまた、修飾が、核酸によるリガンド(たとえばタンパク質)の結合またはワトソン−クリック塩基対合を有意に妨害しない限り、修飾された塩基または主鎖を含むことができる。

0081

生物学的認識分子を、本発明の磁性粒子を含む固相面に共有結合的に付着するための方法は当該技術で周知であり、生物学的認識分子および固相面上で利用できる官能基にしたがって選択することができる。

0082

タンパク質および非タンパク質化合物における多くの反応性基が接合に利用できる。

0083

たとえば、カルボキシル基を含むか、カルボキシル化することができる有機基を、混合無水物法、ジシクロヘキシルカルボジイミドを使用するカルボジイミド法およびN−ヒドロキシスクシンイミドエステル法により、タンパク質に接合することができる。

0084

有機基がアミノ基または還元性ニトロ基を含むか、これらの基で置換されることができるならば、接合は、いくつかの技術のいずれかによって達成することができる。芳香族アミンは、亜硝酸をゆっくりと加えたのち、pHが約9のタンパク質と反応させることにより、ジアゾニウム塩に変換することができる。有機基が脂肪族アミンを含むならば、そのような基は、カルボジイミド、トリレン−2,4−ジイソシアネートまたはマレミド化合物、特にマレミド誘導体のN−ヒドロキシスクシンイミドエステルを含む種々の方法により、タンパク質に接合することができる。そのような化合物の例は、4(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボン酸である。もう一つの例は、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステルである。使用することができるさらに別の試薬は、N−スクシンイミジル−3(2−ピリジルジチオプロピオネートである。また、二官能性エステル、たとえばジメチルピメリミデート、ジメチルアジピミデートまたはジメチルスベリミデートを使用して、アミノ基含有基をタンパク質に結合することもできる。

0085

さらには、脂肪族アミンを、p−ニトロベンゾイルクロリドと反応させたのち、p−アミノベンゾイルアミド還元することによって芳香族アミンに変換することもでき、それをジアゾ化したのちタンパク質に結合することができる。

0086

ヒドロキシル基を含有する有機基は、多数の間接的手法によって架橋することができる。たとえば、アルコール基コハク酸半エステルヘミスクシネート)に変換すると、接合に利用できるカルボキシル基が加えられる。二官能性試薬セバコイルジクロリドアルコール酸塩化物に変換し、それがpH8.5でタンパク質と容易に反応する。ヒドロキシル含有有機基はまた、等モル量のホスゲンを用いて調製される反応性の高いクロロカーボネートを介して接合することもできる。

0087

ケトンまたはアルデヒドを含有する有機基の場合、そのようなカルボニル含有基は、O−(カルボキシメチルオキシムの形成によってカルボキシル基に誘導体化することができる。ケトン基はまた、p−ヒドラジノ安息香酸で誘導体化して、上述した特異的結合相手に接合することができるカルボキシル基を生成することができる。アルデヒド基を含有する有機基は、シッフ塩基の形成によって直接的に接合したのち、水素化ホウ素ナトリウムでの還元によって安定化することができる。

0088

ヒドロキシル含有有機基にとって特に有用な架橋剤の一つは、感光性非開裂性のヘテロ二官能性架橋剤スルホスクシンイミジル6−[4′−アジド−2′−ニトロフェニルアミノヘキサノエートである。他の同様な試薬は、S.S.Wongの「Chemistry of Protein Conjugation and Crosslinking」(CRCPress,Inc.,Boca Raton,FL1993)に記載されている。また、他の架橋方法が、P.Tijssenの「Practice and Theory of Enzyme Immunoassays」(Elsevier,Amsterdam,1985)のpp.221-295に記載されている。

0089

有機基と生物学的認識分子との間にスペーサを導入する他の架橋試薬を使用することができる。スペーサの長さは、特異性を増強したり、架橋反応の存在を抑制したりすることが望まれるときに、特異的結合対のメンバの間の反応性を維持または増強する、あるいは、逆に、そのような反応性を制限するように選択することができる。

0090

通常、生物学的認識分子は磁性粒子に共有結合的に付着するが、代わりに、非共有結合的付着を使用することもできる。生物学的認識分子を磁性粒子に非共有結合的に付着する方法は当該技術で周知であり、ここでさらに説明する必要はない。

0091

生物学的認識分子の磁性粒子への接合は、いずれも引用例として本明細書に含めるUllmanらへの米国特許第4,935,147号明細書およびCoxらへの米国特許第5,145,784号明細書に記載されている。

0092

本発明の磁性粒子の応用
本発明の磁性粒子は、分析および分取の両方で、多くの用途に使用することができる。分析用途の中には、特異的結合検定、たとえば免疫学的検定(immunoassays)がある。抗体または他の生物学的認識分子を付着された本発明の磁性粒子は、多くのタイプの免疫学的検定法に使用することができる。そのような免疫学的検定法を実施するためのプロトコルは当該技術で周知であり、ここでさらに詳細に説明する必要はない。しかし、免疫学的検定法には、二つの一般的なタイプ、サンドイッチ型競合型がある。通常、サンドイッチ型免疫学的検定法では、標識された抗体を使用し、検出されるものは、一般には固相上で固定化される未標識抗体と、抗原と、その抗原に結合する標識された抗体との三元複合体である。本発明の磁性ビーズを用いてサンドイッチ型免疫学的検定法を実施するためには、未標識抗体を磁性ビーズに付着し、標識された抗体を使用する。標識される抗体は、酵素標識、蛍光標識、化学発光性標識、生発光性標識、放射性標識染料標識、コロイド金属標識または当該技術に公知である他の標識で標識することができる。通常、競合型免疫学的検定法では、検定される抗原またはハプテンを、固形支持体上の抗体および一定量の標識された分析対象物もしくは分析対象物類似物と混合する。サンプル中の未標識抗原またはハプテンが、固形支持体上の抗体への結合を求めて、標識された抗原またはハプテンと競合する。本発明の磁性粒子は、抗体が結合する固形支持体として使用することができる。次に、磁力の印加により、磁性粒子を、抗体、粒子および標識された成分の混合物から分離させ、磁性粒子と会合する標識の存在または量を測定して、分析対象物を検出または測定する。種々の従来の洗浄工程を手順に含めて、バックグラウンドを減らし、免疫学的検定法の再現性を改善することもできる。

0093

前記記述は、網羅的なものではなく、例示的なものであり、これらの検定フォーマットに対する多くの変形が存在する。磁性粒子を使用する免疫学的検定法は、Ullmanらへの米国特許第4,935,147号明細書および米国特許第5,145,784号明細書に記載されている。生物学的マーカをそれらの表面に有する本発明の磁性粒子はまた、分取目的、すなわち、生物学的認識分子と特異的に結合する成分の単離および精製に使用することもできる。通常、分取手順は、以下の工程、すなわち、(1)磁性粒子を、成分を懸濁液中に含有する混合物と接触させて、その成分が磁性粒子と結合するようにする工程と、(2)磁力の印加によって磁性粒子を懸濁液から分離する工程と、(3)磁性粒子から成分を溶離させて成分を精製する工程と、を含む。

0094

通常、成分は、成分と磁性粒子上の生物学的認識分子との非共有結合を分断する方法により、磁性粒子から溶離させる。これらの方法は、pHの変化、塩の添加またはカオトロピック試薬、たとえば塩化グアニジウムもしくはドデシル硫酸ナトリウムの添加を含むが、これらに限定はされない。これらの方法は当該技術で周知であり、ここでさらに詳細に説明する必要はない。

0095

単離される成分は、タンパク質、抗原、ハプテン、ウイルス、レセプタ、炭水化物、ホルモン、細胞膜、機能質、細菌細胞動物細胞または生物学的認識分子と特異的に結合するいかなる分子もしくは分子アセンブリであってもよい。単離される特に有意な成分の一つは、免疫系幹細胞である。これらは、CD34として知られる抗原をその表面に有し、その抗原に特異性を示す抗体によって選択し、単離することができる。免疫系幹細胞は、長期的な化学療法または放射線治療ののち患者の免疫系を再生する手段として選択され、単離されることができる。細胞は、処理の前に単離し、処理ののちに再び患者に注入する。好ましくは、患者の幹細胞を殺す治療を以前に受けた患者の免疫系を再生するのに十分な量の免疫系幹細胞が精製される。

0096

結論
本発明の磁性粒子は、異なる成分、たとえば異なるCD抗原を有する細胞の多重分離および精製を同時に実行するために使用することができる。同時分離が平行に実施される。異例で制御可能な磁気特性を利用する他の用途もまた可能である。

0097

本発明の例示的な実施態様の前記記述は、説明のために提示したものである。これは、網羅的なものでもないし、本発明を開示したとおりの形態に限定しようとするものでもない。上記教示を鑑みると、多くの変形および変更が可能である。本発明の範囲は、この詳細な説明によって限定されるものではなく、請求の範囲によって限定されるものである。

図面の簡単な説明

0098

まとめとして、本発明の構成に関して以下の事項を開示する。
(1)複数の異なる分子を溶液から分離する方法であって、(a)第一の磁気モーメントを有する複数の第一の磁性ビーズを製造する工程と、(b)第二の磁気モーメントを有する複数の第二の磁性ビーズを製造する工程と、(c)第一の受容体分子を前記第一の磁性ビーズに付着する工程と、(d)第二の受容体分子を前記第二の磁性ビーズに付着する工程と、(e)前記第一の磁性ビーズおよび前記第二の磁性ビーズを溶液に入れる工程と、(f)外部磁場を前記溶液に印加する工程と、を含み、前記第一および第二の磁性ビーズが、前記第一および第二の磁気モーメントに比例する速度で前記外部磁場のソースに吸引されることを特徴とする方法。
(2)前記外部磁場が1000エルステッド未満である上記(1)記載の方法。
(3)前記第一の受容体分子が、抗体、抗原、レクチン、ホルモン、レセプタ、特異的結合性タンパク質、酵素および核酸からなる群より選択される上記(1)記載の方法。
(4)前記第二の受容体分子が、抗体、抗原、レクチン、ホルモン、レセプタ、特異的結合性タンパク質、酵素および核酸からなる群より選択される上記(1)記載の方法。
(5)前記外部磁場はパルスである上記(1)記載の方法。
(6)(a)少なくとも一つの磁性層および少なくとも一つの反強磁性層を有するコア粒子と、(b)前記コア粒子に結合された被覆と、(c)少なくとも一つのさらなる結合性分子と選択的に結合するための、前記被覆に結合された受容体分子と、を含むことを特徴とする組成物
(7)前記選択的結合が共有結合である上記(6)記載の組成物。
(8)前記選択的結合が非共有結合である上記(6)記載の組成物。
(9)前記コア粒子が、前記反強磁性層に結合されたスペーサ層をさらに含む上記(6)記載の組成物。
(10)前記受容体分子が、抗体、抗原、レクチン、ホルモン、レセプタ、特異的結合性タンパク質、酵素および核酸からなる群より選択される上記(6)記載の組成物。
(11)分子を溶液から分離する方法であって、(a)磁気モーメントを有し、少なくとも一つの磁性層および少なくとも一つの反強磁性層を有する複数の磁性ビーズを製造する工程と、(b)受容体分子を前記磁性ビーズに付着する工程と、(c)前記磁性ビーズを溶液に入れ、外部磁場を前記溶液に印加する工程と、を含み、前記磁性ビーズが前記外部磁場のソースに吸引されることを特徴とする方法。
(12)親和性認識分子と特異的に結合する成分を単離および精製する方法であって、(a)磁気モーメントを有し、少なくとも二つの磁性層を有し、前記親和性認識分子をその表面に有する磁性粒子を、親和性認識分子と特異的に結合する成分を懸濁液中に含有する混合物と接触させて、前記成分を前記磁性粒子と結合させる工程と、(b)磁力の印加によって前記磁性粒子を前記懸濁液から分離する工程と、(c)前記成分を前記磁性粒子から溶離させて前記成分を精製する工程と、を含むことを特徴とする方法。
(13)前記成分が、タンパク質、抗原、ハプテン、ウイルス、レセプタ、炭水化物、ホルモン、細胞膜、機能質、細菌細胞、核酸および動物細胞からなる群より選択される上記(12)記載の方法。
(14)前記成分が動物細胞である上記(12)記載の方法。
(15)前記成分が、CD34抗原をその表面に有する幹細胞である上記(12)記載の方法。
(16)幹細胞を殺す治療を以前に受けたことのある患者の免疫系を再生するのに十分な量の幹細胞を精製する上記(15)記載の方法。
(17)分析対象物を検出または測定するための免疫学的検定を実施する方法であって、(a)(i)磁気モーメントを有し、少なくとも二つの磁性層を有し、抗体をその表面に有する磁性粒子と、(ii)検出される分析対象物と、(iii)標識された抗体および標識された分析対象物もしくは分析対象物類似物からなる群より選択される標識された成分と、を混合して混合物を形成する工程と、(b)磁力の印加によって前記磁性粒子を前記混合物から分離する工程と、(c)前記磁性粒子と会合する標識の存在または量を測定して前記分析対象物を検出または測定する工程と、を含むことを特徴とする方法。
(18)前記標識された成分が標識された抗体であり、前記検定がサンドイッチ型免疫学的検定である上記(17)記載の免疫学的検定法。

--

0099

図1磁化容易軸とも呼ばれる磁性ピン止め軸に沿って印加された磁場の存在における本発明の典型的な構造の磁気モーメントの挙動を示す図である。
図2本発明の磁性粒子を製造するのに使用される典型的な層構造を示す図である。
図3本発明に関して、印加磁場と粒子ピン止め軸とが直角に整列する場合の磁化曲線を示す図である。
図4磁場がそのピン止め軸に対して平行である、ある構造(S1)の粒子の磁化曲線を示す図である。
図5磁場がそのピン止め軸に対して垂直である、ある構造(S1)粒子の磁化曲線を示す図である。
図6磁場がそのピン止め軸に対して平行である、別の構造(S3)粒子の磁化曲線を示す図である。
図7磁場がそのピン止め軸に対して垂直である、別の構造(S3)粒子の磁化曲線を示す図である。
図8本発明の磁性粒子を分離するための一つの可能な実施態様における時間依存性磁場を示す図である。
図9本発明の磁性粒子を分離するための一つの可能な実施態様における時間依存性磁場を示す図である。
図10本発明の磁性粒子を分離するための一つの可能な実施態様における時間依存性磁場を示す図である。
図11本発明の粒子を分離するために空間依存性および静磁場を用いる代替態様を示す図である。
図12本発明を実施するために使用される工程を示す図である。

0100

66 入口
80磁性粒子
84分散領域
86 再集束領域
94出口
96 出口

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