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技術 エンジンのアイドル回転学習制御装置

出願人 日産自動車株式会社
発明者 加藤浩志田村英之川崎尚夫柿ざき成章
出願日 1998年1月21日 (21年7ヶ月経過) 出願番号 1998-009571
公開日 1999年8月3日 (20年0ヶ月経過) 公開番号 1999-210529
状態 未査定
技術分野 内燃機関に供給する空気・燃料の電気的制御
主要キーワード 制作誤差 流量面積 経時変化分 学習点 VOM 学習タイミング 学習要求 定常トルク
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1999年8月3日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (10)

課題

車両組み付け完了時からの要求アイドル空気量の特性に制作誤差によるバラツキがあったり、また工場内での初回学習タイミングにバラツキがあっても、学習値に対する修正量を過不足なく与える。

解決手段

実際のアイドル空気量Qaと所定値QAGRNとの比較により要求アイドル空気量が収束する前にあるのかどうかを判定し(S5)、要求アイドル空気量が収束する前にあると判定されたときアイドル空気量Qaと所定値QAGRNの差が大きくなるほど大きくなる値の修正量TASOFS演算し(S6)、この修正量TASOFSで学習値QTASEEP1を減量修正する(S7)。

概要

背景

スロットル部にはEGRによる吹き返しなどに伴う汚れがスロットル部に堆積し、同じだけスロットルを開いても、徐々にではあるがスロットル開口面積が減少してゆくことから、この経時的に堆積した汚れ分に相当するアイドル空気量学習値を導入し、アイドル時に実際の回転数目標アイドル回転数に近づくようにエンジン吸入空気量をフィードバック制御しつつ、所定の学習条件成立したときアイドル空気量フィードバック補正量に基づいて上記のアイドル空気量学習値を更新するようにしたものがある。

概要

車両組み付け完了時からの要求アイドル空気量の特性に制作誤差によるバラツキがあったり、また工場内での初回学習タイミングにバラツキがあっても、学習値に対する修正量を過不足なく与える。

実際のアイドル空気量Qaと所定値QAGRNとの比較により要求アイドル空気量が収束する前にあるのかどうかを判定し(S5)、要求アイドル空気量が収束する前にあると判定されたときアイドル空気量Qaと所定値QAGRNの差が大きくなるほど大きくなる値の修正量TASOFS演算し(S6)、この修正量TASOFSで学習値QTASEEP1を減量修正する(S7)。

目的

そこで本発明は、実際のアイドル空気量(またはアイドル空気量相当値)と所定値との比較により要求アイドル空気量が収束する前にあるかどうかを判定し、要求アイドル空気量が収束する前にあると判断したときアイドル空気量と所定値の差に応じて上記の修正値を設定することにより、車両組み付け完了時からの要求アイドル空気量の特性に制作誤差によるバラツキがあったり、また工場内での初回学習タイミングにバラツキがあっても、学習値に対する修正量を過不足なく与えることを第1の目的とする。

そこで本発明は、外部からの指令により学習値の減量修正を行うかどうかの情報を格納する手段をコントロールユニット内に追加し、その情報に合わせて学習値の減量修正を行わせることにより、市場においてコントロールユニットとエンジンの一方だけを新品交換する場合にも、アイドル回転が不安定になったり、アイドル回転が上昇してしまうことを防止することを第2の目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

この技術が所属する分野

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請求項1

アクチュエータにより駆動されるスロットル弁と、アクセル開度エンジン回転数に応じたエンジントルク定常値が得られるスロットル開度基本値演算する手段と、前記スロットル弁部の開口面積経時変化分に対応する学習値を格納する手段と、アイドル回転数目標アイドル回転数と一致するようにフィードバック補正量を算出する手段と、このフィードバック補正量と前記学習値とで前記スロットル開度基本値を補正してスロットル開度指令値を求める手段と、このスロットル開度指令値を前記アクチュエータに与える手段と、学習許可条件成立したとき前記フィードバック補正量に基づいて前記学習値を更新する手段とを備えるエンジンアイドル回転学習制御装置において、実際のアイドル空気量またはアイドル空気量相当値所定値との比較により要求アイドル空気量収束する前にあるのかどうかを判定する手段と、要求アイドル空気量が収束する前にあると判定されたときアイドル空気量またはアイドル空気量相当値と所定値の差が大きくなるほど大きくなる値の修正量を演算する手段と、この修正量で前記学習値を減量修正する手段とを設けたことを特徴とするエンジンのアイドル回転学習制御装置。

請求項2

アクチュエータにより駆動されるスロットル弁と、アクセル開度とエンジン回転数に応じたエンジントルク定常値が得られるスロットル開度基本値を演算する手段と、前記スロットル弁部の開口面積の経時変化分に対応する学習値を格納する手段と、アイドル回転数が目標アイドル回転数と一致するようにフィードバック補正量を算出する手段と、このフィードバック補正量と前記学習値とで前記スロットル開度基本値を補正してスロットル開度指令値を求める手段と、このスロットル開度指令値を前記アクチュエータに与える手段と、学習許可条件が成立したとき前記フィードバック補正量に基づいて前記学習値を更新する手段とを備えるエンジンのアイドル回転学習制御装置において、外部からの指令に応じて前記学習値を減量修正するかどうかの情報を格納する手段と、その情報に合わせて前記学習値を減量修正する手段とを設けたことを特徴とするエンジンのアイドル回転学習制御装置。

請求項3

前記減量修正量を、アイドル空気量またはアイドル空気量相当値と要求アイドル空気量が収束する前にあるかどうかを判定するための所定値との差が大きくなるほど大きくなる値で演算することを特徴とする請求項2に記載のエンジンのアイドル回転学習制御装置。

技術分野

0001

この発明はエンジンアイドル回転学習制御装置、詳しくはエンジンの吸気開口面積汚れ等によって経時的に変化する分を学習補正するものに関する。

背景技術

0002

スロットル部にはEGRによる吹き返しなどに伴う汚れがスロットル部に堆積し、同じだけスロットルを開いても、徐々にではあるがスロットル開口面積が減少してゆくことから、この経時的に堆積した汚れ分に相当するアイドル空気量学習値を導入し、アイドル時に実際の回転数目標アイドル回転数に近づくようにエンジンの吸入空気量をフィードバック制御しつつ、所定の学習条件成立したときアイドル空気量フィードバック補正量に基づいて上記のアイドル空気量学習値を更新するようにしたものがある。

発明が解決しようとする課題

0003

ところで、工場内で車両が組立ラインを出ると、エンジンが初めて運転された後にアイドル空気量学習値の初回の算出が行われ、その学習値エンジン停止後消失しないように記憶される。そしてこの初回の学習値の状態で工場より出荷される。

0004

この場合に、組み付け完了当初はエンジンの摺動部位がなじんでいない(初期フリクションが大きい)ので、同じアイドル回転を保つのに要求される空気量が大きい。そして、運転を続けるほど(たとえば組み付け完了当初からの回転数積算値DDNEが大きくなるほど)この要求アイドル空気量が急激に落ちてゆき、やがては一定値へと収束する。図2はこの経過を示したもので、同図にも示すように、工場内での学習時は要求アイドル空気量が収束する前であるため、この状態で算出した学習値は学習が進むにつれて小さくなる側へと変化してゆく。

0005

しかしながら、要求アイドル空気量が急激に減少するのに対して、学習値の更新速度はそれほど速くないため、実際のエンジン状態に追いつくのが遅れ、その間で学習値が過度に大きくなり(アイドル空気量が過多となり)、アイドル回転数のフィードバック制御中心がその学習値の誤差の分だけずれてしまう。

0006

これに対処するため、要求アイドル空気量が収束する前であるかどうかを判定し、要求アイドル空気量が収束する前は、要求アイドル空気量の収束前に得たアイドル空気量学習値QTASEEP1を小さくなる側に修正することにより、組み付け完了当初でエンジン摺動部位がなじんでないことに伴って学習値が大きくなりすぎることを回避するようにしたものを提案している(特願平9−351663号参照)。

0007

しかしながら、このもの(先願装置1)では、まだ改良の余地があることがわかった。というのも、先願装置1では、要求アイドル空気量の収束前に得たアイドル空気量学習値QTASEEP1に対する修正量TASOFSが一定値であることから、学習値の修正精度がよくないのである。

0008

さらに詳述すると、図2に示した要求アイドル空気量の特性に対して修正量を最適に設定したとする。ところが、実際には制作誤差により同じ回転数積算値ADDNEに対して図示のものより要求アイドル空気量が大きなエンジンや、逆に図示のものより要求アイドル空気量が小さなエンジンが存在する。したがって、同じ回転数積算値ADDNEに対して要求アイドル空気量が大きなエンジンになると、上記設定した修正値では小さすぎる結果となり、逆に同じ回転数積算値ADDNEに対して要求アイドル空気量が小さなエンジンでは、上記設定した修正値が大きすぎる結果となるのである。

0009

また、図2において工場内での初回学習が必ず図示の位置で行われるものでなく、車両組み付け完了時からの運転の仕方によっては、図示の位置よりも左側にきたり右側にきたりする。したがって、図示の位置よりも左側の位置で初回学習が行われるとすれば、上記設定した修正値では小さすぎる結果となり、逆に図示の位置よりも右側の位置で初回学習が行われるときは、上記設定した修正値が大きすぎる結果となる。

0010

そこで本発明は、実際のアイドル空気量(またはアイドル空気量相当値)と所定値との比較により要求アイドル空気量が収束する前にあるかどうかを判定し、要求アイドル空気量が収束する前にあると判断したときアイドル空気量と所定値の差に応じて上記の修正値を設定することにより、車両組み付け完了時からの要求アイドル空気量の特性に制作誤差によるバラツキがあったり、また工場内での初回学習タイミングにバラツキがあっても、学習値に対する修正量を過不足なく与えることを第1の目的とする。

0011

一方、先願装置1では、工場からの出荷後(つまり市場)において、コントロールユニットとエンジンの一方だけを新品交換する場合に問題が生じる。

0012

たとえば、サービス工場においてコントロールユニットだけを新品に交換したとき、交換しなかったエンジンは要求アイドル空気量がとっくに収束しているエンジンであるのに、かつ学習値が収束していても、その新品のコントロールユニットでは、エンジンが組み付け完了当初にあると誤判断してエンジン回転数の積算を1から開始し、その回転数積算値が所定値以上となるまで学習値を減量修正することから、学習値が過度に小さくなる。このとき、目標アイドル回転数NSETを得るにはアイドル空気量が足りなくなくて回転落ちが生じ、この回転落ちした状態からアイドル回転数をNSETに戻そうとフィードバック補正量が大きくなるが、フィードバック補正量の計算に用いるフィードバックゲインもそれほど大きくないため、NSETに落ち着くまでに時間がかかり、その間でアイドル回転が不安定になる。

0013

また、サービス工場においてエンジンだけを新品に交換したとき、交換したエンジンは要求アイドル空気量が収束していないエンジンであるのに、交換しなかったコントロールユニットでは、要求アイドル空気量が収束しているエンジンであると誤判断し、学習値を減量修正しないことから、先願装置1が解決しようとした問題(つまり学習値が実際のエンジン状態に追いつくのが遅れ、その間で学習値が過度に大きくなる)が新たに生じる。

0014

そこで本発明は、外部からの指令により学習値の減量修正を行うかどうかの情報を格納する手段をコントロールユニット内に追加し、その情報に合わせて学習値の減量修正を行わせることにより、市場においてコントロールユニットとエンジンの一方だけを新品に交換する場合にも、アイドル回転が不安定になったり、アイドル回転が上昇してしまうことを防止することを第2の目的とする。

課題を解決するための手段

0015

第1の発明は、図8に示すように、アクチュエータ22により駆動されるスロットル弁21と、アクセル開度とエンジン回転数に応じたエンジントルク定常値が得られるスロットル開度基本値演算する手段23と、前記スロットル弁部の開口面積経時変化分に対応する学習値を格納する手段24と、アイドル回転数が目標アイドル回転数と一致するようにフィードバック補正量を算出する手段25と、このフィードバック補正量と前記学習値とで前記スロットル開度基本値を補正してスロットル開度指令値を求める手段26と、このスロットル開度指令値を前記アクチュエータ22に与える手段27と、学習許可条件が成立したとき前記フィードバック補正量に基づいて前記学習値を更新する手段28とを備えるエンジンのアイドル回転学習制御装置において、実際のアイドル空気量またはアイドル空気量相当値(たとえば基本噴射パルス幅TP)と所定値との比較により要求アイドル空気量が収束する前にあるのかどうかを判定する手段29と、要求アイドル空気量が収束する前にあると判定されたときアイドル空気量またはアイドル空気量相当値と所定値の差が大きくなるほど大きくなる値の修正量を演算する手段30と、この修正量で前記学習値を減量修正する手段31とを設けた。

0016

第2の発明は、図9に示すように、アクチュエータ22により駆動されるスロットル弁21と、アクセル開度とエンジン回転数に応じたエンジントルク定常値が得られるスロットル開度基本値を演算する手段23と、前記スロットル弁部の開口面積の経時変化分に対応する学習値を格納する手段24と、アイドル回転数が目標アイドル回転数と一致するようにフィードバック補正量を算出する手段25と、このフィードバック補正量と前記学習値とで前記スロットル開度基本値を補正してスロットル開度指令値を求める手段26と、このスロットル開度指令値を前記アクチュエータ22に与える手段27と、学習許可条件が成立したとき前記フィードバック補正量に基づいて前記学習値を更新する手段28とを備えるエンジンのアイドル回転学習制御装置において、外部からの指令に応じて前記学習値を減量修正するかどうかの情報を格納する手段41と、その情報に合わせて前記学習値を減量修正する手段42とを設けた。

0017

第3の発明では、第2の発明において前記減量修正量を、アイドル空気量またはアイドル空気量相当値と要求アイドル空気量が収束する前にあるかどうかを判定するための所定値との差が大きくなるほど大きくなる値で演算する。

発明の効果

0018

第1の発明では、実際のアイドル空気量またはアイドル空気量相当値と所定値との比較により要求アイドル空気量が収束する前にあるかどうかを判定し、要求アイドル空気量が収束する前にあると判定されたとき、アイドル空気量と所定値の差が大きくなるほど大きくなる値の修正量を演算し、この修正量で学習値を減量修正するので、車両組み付け完了時からの要求アイドル空気量の特性に制作誤差によるバラツキがあったり、また工場内での初回学習タイミングにバラツキがあっても、学習値に対する修正量を過不足なく与えることができる。

0019

第2の発明では、外部からの指令に応じて学習値を減量修正するかどうかの情報を格納する手段を設けており、その情報に合わせて学習値の減量修正を行うことから、たとえば市場においてエンジンのアイドル回転学習制御機能を備えるコントロールユニットだけを新品に交換したとき、その交換後にエンジンを始動する前に、新品のコントロールユニットに対して外部からの指令によりコントロールユニット内に学習値の減量修正を行わないむねの情報を格納することで、この情報格納後にエンジンを始動したとき、新品のコントロールユニットでは、1から学習を開始するものの学習値の減量修正を行うことがない。つまり、新品のコントロールユニットであっても、要求アイドル空気量がとっくに収束しているエンジンに対して学習値の減量修正を行うことがないので、要求アイドル空気量がとっくに収束しているエンジンに対して学習値の減量修正を行うことによるアイドル回転の不安定を回避することができる。

0020

また、市場においてエンジンだけを新品に交換したとき、その交換後にエンジンを始動する前に、交換しなかったコントロールユニットに対して外部からの指令によりコントロールユニット内に学習値の減量修正を行うむねの情報を格納することで、この情報格納後に新品のエンジンを始動したとき、コントロールユニットでは、学習を開始するとともに再び学習値の減量修正を行う。つまり、要求アイドル空気量が収束していない新品のエンジンに対して学習値の減量修正を行うので、要求アイドル空気量が収束前のエンジンに対して学習値の減量修正を行わないことによるアイドル回転の上昇を回避できる。

発明を実施するための最良の形態

0021

図1において、1はエンジン本体、2は吸気管、3はコントロールユニット11からの信号により駆動される電子制御スロットル装置(主にスロットル弁3Aとこれを駆動するステップモータ3Bからなる)である。なお、ステップモータ3Bに代えてDCモータを用いてもかまわない。

0022

コントロールユニット11では、アクセル開度センサ(図示しない)からの信号をアクセル開度相当値換算し、この値とそのときの回転数(エンジン回転数センサ12により検出)に応じたエンジントルク定常値を、所定のマップ検索することなどにより求め、この定常トルクが得られるスロットル開度基本値を演算し、このスロットル開度基本値をスロットル装置3のアクチュエータであるステップモータ3Bに与える。

0023

なお、スロットル弁3Aをバイパスする通路は設けられていないので、後述するアイドル回転数のフィードバック制御は、スロットル弁3Aを用いて実行することになる。

0024

こうしたスロットル装置3のほか、各気筒シリンダに直接的に臨んで設けられる燃料噴射弁4、頂面に点火プラグ5位置を考慮したキャビティの形成されるピストン6、スワールコントロールバルブ(図示しない)などから構成される筒内直接燃料噴射式火花点火エンジンでは、アイドル時を含む低回転、低負荷領域などにおいて燃料圧縮行程の後半に噴射し、これにより圧縮上死点付近において、点火プラグ5近傍のキャビティに可燃混合気を形成し、点火プラグ5による点火に伴い燃料を成層燃焼させ、全体としては40を超える空燃比による超希薄燃焼を行う。

0025

また、エンジンの高負荷域では燃料を吸気行程で噴射し、燃料と空気の混合を早め、燃焼室全域均質的な混合気で満たし、理論空燃比付近の混合気による均質燃焼均質ストイキ燃焼)を行う。さらに、成層燃焼域と均質ストイキ燃焼域との間の中間負荷域において、成層燃焼よりも空燃比としては濃いが、理論空燃比よりは薄い希薄燃焼均質リーン燃焼)を行い、この均質リーン燃焼時には吸気行程と圧縮行程の2回に分けて燃料を噴射する。

0026

なお、12はクランク角センサ、13はエアフローメータ、14は水温センサ、15はO2センサ、16はスロットルセンサである。

0027

ところで、スロットル部にはEGRによる吹き返しなどに伴う汚れが堆積し、同じだけスロットルを開いても、徐々にではあるがスロットル開口面積が減少してゆくことから、この経時的に堆積した汚れ分に相当するアイドル空気量学習値を導入し、このアイドル空気量学習値を上記のスロットル開度基本値に加算した値をスロットル開度指令値とする一方で、アイドル時に実際の回転数が目標アイドル回転数に近づくようにエンジンの吸入空気量をフィードバック制御しつつ、所定の学習許可条件が成立したときアイドル空気量のフィードバック補正量に基づいて上記のアイドル空気量学習値を更新するものがある。

0028

こうした従来のアイドル空気量の学習制御をそのまま上記の筒内直接燃料噴射式火花点火エンジンに適用したとき、成層燃焼の状態でアイドル空気量学習値が更新されることになる。

0029

しかしながら、成層燃焼時は、均質ストイキ燃焼時に比べてエンジンの要求空気量が多く、したがって全体の吸入空気量に対して汚れによるアイドル空気量のげ減少分が占める割合が小さくなるため、成層燃焼時にアイドル空気量学習値を更新したのでは、学習値の精度が低下する。

0030

このため先願装置2(特願平9−179681号参照)では、学習許可条件が成立したとき成層燃焼より均質ストイキ燃焼に強制的に切換えた状態で学習を行わせている。先願装置2によれば、均質ストイキ燃焼に切換えた状態では、汚れによる吸入空気量の低下分が、全体の吸入空気量に占める割合が従来と同様に大きくなり、これによって学習値の精度を落とすことが避けられるのである。

0031

さて、工場内で車両が組立ラインを出ると、エンジンが初めて運転された後に初回のアイドル空気量学習値の算出が行われ、その学習値がエンジン停止後も消失しないように記憶される。そしてこの初回の学習値の状態で工場より出荷される。

0032

この場合に、組み付け完了当初はエンジンの摺動部位がなじんでいない(初期フリクションが大きい)ので、同じアイドル回転を保つのに要求される空気量が大きく、運転を続けるほどに(たとえば組み付け完了当初からの回転数積算値ADDNEが大きくなるほど)、この要求アイドル空気量が急激に落ちてゆき、やがては一定値へと収束するのであるが(図2参照)、要求アイドル空気量が急激に減少するのに対して、学習値の更新速度はそれほど速くないため、実際のエンジン状態に追いつくのが遅れ、その間で学習値が過度に大きくなり(アイドル空気量が過多となり)、アイドル回転数のフィードバック制御中心がその学習値の誤差の分だけずれてしまう。

0033

これに対処するため先願装置1では、組み付け完了当初からの回転数(または車速)の積算値が所定値未満の場合に要求アイドル空気量が収束前にあると判断し、要求アイドル空気量の収束前に得ているアイドル空気量学習値を小さくなる側に修正する。

0034

しかしながら、この先願装置1では、要求アイドル空気量の収束前に得たアイドル空気量学習値QTASEEP1に対する修正量TASOFSが一定値であることから、車両組み付け完了時からの要求アイドル空気量の特性に制作誤差によるバラツキがあったり、工場内での初回学習タイミングにバラツキがあると、学習値に対する修正量として過不足を生じる(つまり修正量が適切でなくなる)。

0035

これに対処するため本発明の第1実施形態では、実際のアイドル空気量(またはアイドル空気量相当値)と所定値との比較により要求アイドル空気量が収束する前にあるかどうかを判定し、要求アイドル空気量が収束する前にあると判断したときアイドル空気量と所定値の差が大きくなるほど大きくなる値の修正量を設定する。

0036

コントロールユニット11で実行されるこの制御内容図3にしたがって説明する。

0037

図3はアイドル回転学習開度TDTVOを算出するためのもので、一定時間毎(たとえば10ms毎)に実行する。

0038

テップ1では学習要求があるかどうかをみる。次の条件、〈1〉アイドル状態であること、〈2〉車速がゼロであること、〈3〉変速機ニュートラル位置にあること、〈4〉〈1〉 〜 〈3〉 を同時に満たしてから所定時間が経過していることの全てを満たすとき、学習要求があると判断し、ステップ2に進み、均質ストイキ燃焼要求フラグを “1” にセットする(つまり均質ストイキ燃焼を要求する)。

0039

ここで、学習値を更新するに際して均質ストイキ燃焼に切換える点は先願装置2によりすでに提案している(詳しくは特願平9−179681号参照)。

0040

ステップ3では学習許可条件が成立しているかどうかみる。ここで、学習許可条件には、〈4〉アイドル状態であること、〈5〉車速がゼロであること、〈6〉変速機がニュートラル位置にあること、〈7〉ヒータファンスイッチエアコンスイッチ電気負荷スイッチがすべてOFFであることなどがあり、これらの全てを満たすときが学習許可条件の成立時である。

0041

学習許可条件の成立時は、ステップ4に進み、アイドル空気量学習値QTASEEP1を算出する。詳細には、アイドル回転数のフィードバック制御により、実際の回転数NEと目標アイドル回転数NSETとの差分に応じてアイドル空気量のフィードバック補正量を求めているが、このアイドル空気量のフィードバック補正量を所定数サンプリングしたタイミングで、それら所定数のフィードバック補正量の平均値を計算し、その平均値と、その平均値を計算したタイミングでのアイドル空気量学習値との加重平均値を新たなアイドル空気量学習値として更新する。このアイドル空気量学習値QTASEEP1は、たとえばエンジン停止時にメモリ(たとえばフラッシュメモリ)に保存する。

0042

ステップ5ではそのときの吸入空気量(つまりアイドル空気量)Qaと所定値QAGRNを比較する。Qa ≧ QAGRNであるときはステップ6に進み、アイドル空気量Qaから図4を内容とするテーブルを検索してオフセット量(修正量)TASOFSを求め、ステップ7においてアイドル空気量学習値QTASEEP1からこのオフセット量TASOFSを差し引いた値を改めてアイドル空気量学習値QTASEEPとすることによりアイドル空気量学習値を修正する。Qa < QAGRNであるときは、ステップ5よりステップ8に進み、アイドル空気量学習値の修正を行わない(QTASEEP1=QTASEEP1)。

0043

ここで、所定値QAGRNは図2に示したように、要求アイドル空気量が収束した後のアイドル空気量Q0よりも少し大きな値であり(QAGRNとQ0との差が許容値)、Qa ≧ QAGRNであるときは組み付け完了当初でエンジンの摺動部位がなじんでおらず、したがって要求アイドル空気量が収束前にあると、またQa < QAGRNになると、エンジンの摺動部位がなじんだ(要求アイドル空気量が収束した)と判断するのである。

0044

要求アイドル空気量が収束したかどうかの判定に用いるパラメータは、アイドル空気量Qaに限られるものでなく、基本噴射パルス幅TP(=K×Qa/NE、ただしKは定数)のアイドル時の値を、要求アイドル空気量が収束したかどうかの判定に用いることもできる。このときは、TPと所定値TPGRNを比較することになるが、この所定値TPGRNは上記のQAGRNとの間にTPGRN=K×QAGRN/NSETなる関係を持つ。

0045

オフセット量TASOFSは、図4に示したように、アイドル空気量Qaと所定値QAGRNの差に比例して大きくなる値である。同じエンジンであればQa−QAGRNが大きいほど組み付け完了当初に近いことを、同じ回転数積算値であれば、Qa−QAGRNが大きいほど要求アイドル空気量の大きいエンジンであることを表すので、それだけオフセット量を大きくするのである。なお、オフセット量の特性は直線に限られるものでない。

0046

このようにしてアイドル空気量学習値を修正した後は、この修正後のアイドル空気量学習値QTASEEPに対して、ステップ9において流量面積変換係数CCONVA#を乗算することによりスロットル開口面積学習値ATASLNへと変換する。

0047

さらにステップ10ではこのスロットル開口面積学習値ATASLNを所定のテーブルを用いてスロットル開度に換算する。

0048

このスロットル開度への換算方法についてはすでに本提案した先願装置3(特願平9−351662号参照)により開示している。本願発明とは直接関係しないので、図5を参照して簡単に説明しておくと、図5において、図示の曲線初期状態での流量特性である。

0049

学習値の更新時のスロットル開度をTVOMとすると、このTVOMから垂直に立ち上げた直線と曲線との交点のスロットル開口面積(つまり学習値更新時のスロットル開口面積)AAMを得る。

0050

学習値更新時のスロットル開口面積AAMからATASLNだけ差し引いた値を初期相当開口面積AAIとして求める。

0051

この初期相当開口面積AAIより水平に引いた直線と曲線との交点のスロットル開度を初期相当スロットル開度TVOIとして求める。

0052

TVOMからTVOIを差し引いた値がスロットル開口面積学習値ATASLNに対応するスロットル開度であり、これをアイドル回転学習開度TASDTVOとして求める。

0053

このようにして求めたアイドル回転学習開度TDTVOは、アクセル開度と回転数に応じて定まる上記のスロットル開度基本値に加算することで、最終的なスロットル開度指令値を得る。

0054

従来装置における学習値による補正方法図6中段のように破線特性を上方に平行移動させるものであったのに対して、先願装置3における学習値による補正方法は、図6下段に示したように、破線特性を左方向に平行移動させるものである。言い換えると、従来装置が空気量(つまり開口面積)を補正する方式であるのに対して、先願装置3の発明はスロットル開度を補正する方式となる。従来装置と先願装置3を比較すれば、先願装置3のほうが、A点(学習点)より離れても、初期状態での流量からのズレが小さく抑えられているのがわかる。

0055

ここで本実施形態の作用効果を説明すると、本実施形態では、実際のアイドル空気量Qa(またはアイドル空気量相当値)と所定値QAGRNとの比較により要求アイドル空気量が収束する前にあるかどうかを判定し、要求アイドル空気量が収束する前にあると判断したときアイドル空気量Qaと所定値QAGRNの差に応じて上記の修正値TASOFSを設定するので、車両組み付け完了時からの要求アイドル空気量の特性に制作誤差によるバラツキがあったり、また工場内での初回学習タイミングにバラツキがあっても、学習値に対する修正量を過不足なく与えることができる。

0056

図7フローチャートは第2実施形態で、図3に対応する。図3と同一部分には同一のステップ番号を付けている。

0057

この実施形態は、工場からの出荷後(市場)において、コントロールユニット(アイドル回転学習制御を行う)とエンジンの一方だけを新品に交換する場合に対処するものである。

0058

図3相違する部分を主に説明すると、ステップ21では学習値修正要求フラグFRQGRNをみる。

0059

ここで、フラグFRQGRNは、外部ツールからの指令によりセットする(つまり “1” とする)こととリセット(つまり “0” とする)することとが可能なフラグ(つまり外部からの指令に応じて学習値を減量修正するかどうかの情報を格納する手段)で、バックアップRAMに記憶させている。

0060

このフラグFRQGRN=1のときはステップ6、7の操作を実行し、FRQGRN=0のときステップ8の操作を実行する。

0061

ここで、この実施形態の作用を説明する。

0062

市場(たとえばサービス工場)においてコントロールユニットだけを新品に交換したとき、その交換後にエンジンを始動する前に、新品のコントロールユニットに対して外部ツールを接続し、コントロールユニット内の学習値修正要求フラグFRQGRNをリセット(FRQGRN=0)する。

0063

これにより、このフラグリセット後にエンジンを始動したとき、新品のコントロールユニットでは、1から学習を開始するものの学習値の減量修正を行うことがない。つまり、新品のコントロールユニットであっても、要求アイドル空気量がとっくに収束しているエンジンに対して学習値の減量修正を行うことがないので、要求アイドル空気量が収束しているエンジンに対して学習値の減量修正を行うことによるアイドル回転の不安定を回避することができる。

0064

また、サービス工場においてエンジンだけを新品に交換したとき、その交換後にエンジンを始動する前に、交換しなかったコントロールユニットに対して外部ツールを接続し、コントロールユニット内の修正要求フラグFRQGRNをセット(FRQGRN=1)する。

0065

これにより、このフラグセット後に新品のエンジンを始動したとき、コントロールユニットでは、学習を開始するとともに再び学習値の減量修正を行う。つまり、要求アイドル空気量が収束していない新品のエンジンに対して学習値の減量修正を行うので、要求アイドル空気量が収束前のエンジンに対して学習値の減量修正を行わないことによるアイドル回転の上昇を回避できる。

0066

このように第2実施形態では、外部ツールからの指令により学習値の修正を行うかどうかの情報を持つフラグをコントロールユニット内に追加し、そのフラグ情報に合わせて学習値の修正を行わせるので、市場においてコントロールユニットとエンジンの一方だけを新品に交換する場合への対処が可能になった。

0067

図3においてステップ5、6、7、8の部分、図7においてステップ21、6、7、8の部分は、従来装置に対してもそのまま適用できることはいうまでもない。

図面の簡単な説明

0068

図1第1実施形態の制御システム図である。
図2先願装置1の回転数積算値ADDNEに対する要求アイドル空気量の特性図である。
図3アイドル回転学習開度TDTVOの演算を説明するためのフローチャートである。
図4アイドル空気量に対するQaに対するオフセット量TASOFSの特性図である。
図5スロットル開口面積学習値ATASLNをスロットル開度へと換算する手順を説明するための特性図である。
図6スロットル開度に対する流量特性の変化を示す特性図である。
図7第2実施形態のアイドル回転学習開度TDTVO2の演算を説明するためのフローチャートである。
図8第1の発明のクレーム対応図である。
図9第2の発明のクレーム対応図である。

--

0069

3スロットル装置
4燃料噴射弁
11 コントロールユニット

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