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課題
解決手段
概要
背景
従来より明室でもコントラストの高い映像が得られる高輝度スクリーンとして、偏光フィルムを用いた偏光スクリーンや再帰反射特性を有するガラスビーズスクリーンが用いられている。しかし偏光スクリーンやガラスビーズスクリーンは高価である、製造工程が多い或いは製造が困難である、視野角が狭いといった欠点がある。これに対し、視野角が広く高輝度の反射スクリーンとして、アルミペーストやパール顔料を含有せしめた反射層を設けた反射スクリーンも提案されている(特開平3−119334号)。
しかし近年、液晶プロジェクターの光量が格段に上がったため、これら高輝度スクリーンを用いなくても、明室でコントラストの高い映像が得られるようになり、反射スクリーンの性能としては、輝度よりも視野角が広いことが要求されるようになっている。
視野角を改善するものとして、アルミニウム顔料やパール顔料のような光輝性顔料を含む反射層に、マイカ粉や酸化ケイ素粉等の光拡散剤と光輝性顔料の沈降を防止するチクソトロピック剤とを添加した映写スクリーン(特開平8-231904号)や、アルミペーストからなる光反射層に特定屈折率の樹脂ビーズを分散させた反射スクリーン(特開平6-148746号)などが提案されている。
概要
投影画像の明部の色再現性に優れ、広視野角且つ高SG値の反射型スクリーンを提供する。
白色プラスチックフィルム等の反射性を有する基材1の上に光拡散剤とパール顔料をバインダー樹脂中に分散させてなる光拡散層2を形成する。パール顔料はマイカ上に二酸化チタンで被覆したもので、照射された光源からの光のうち、青色の光を反射し、その補色を透過する光学特性を有するものを用いる。明部の多いパソコン画像等が投影される場合、明部が黄色味を帯びることなく白色度の高い投影画像が写し出される。パール顔料の含有量は、バインダー樹脂100重量部に対し5〜100重量部、光拡散剤100重量部に対し10〜150重量部とすることが好適である。
目的
従って本発明は、視野角が広く、パソコン画像等の静止画像を明瞭に写し出すことができる反射型スクリーンを提供することを目的とする。特に静止画像の明部の色再現性に優れた反射型スクリーンを提供することを目的とする。
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 2件
- 牽制数
- 13件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
光反射性を有する基材上に光拡散層を設けてなるプロジェクタ用反射型スクリーンにおいて、前記光拡散層は、青色を反射し、青色の補色を透過する光学特性を有するパール顔料と光拡散剤とをバインダー樹脂中に分散させてなることを特徴とするプロジェクタ用反射型スクリーン。
請求項2
請求項3
前記光拡散剤が透明樹脂ビーズであることを特徴とする請求項1又は2記載のプロジェクタ用反射型スクリーン。
請求項4
前記光拡散層は、前記パール顔料を前記バインダー樹脂100重量部に対し5〜100重量部含有することを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載のプロジェクタ用反射型スクリーン。
請求項5
前記光拡散層は、前記光拡散剤を前記バインダー樹脂100重量部に対し10〜100重量部含有することを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載のプロジェクタ用反射型スクリーン。
請求項6
前記光拡散層は、前記パール顔料を前記光拡散剤100重量部に対し10〜150重量部含有することを特徴とする請求項1ないし5いずれか1項記載のプロジェクタ用反射型スクリーン。
請求項7
前記光反射性を有する基材は、白色プラスチックフィルムであることを特徴とする請求項1ないし6いずれか1項記載のプロジェクタ用反射型スクリーン。
請求項8
前記光反射性を有する基材の、前記光拡散層が設けられた面と反対側の面に光遮断層を設けたことを特徴とする請求項1ないし7いずれか1項記載のプロジェクタ用反射型スクリーン。
技術分野
0001
この発明は、OHP、スライド、映写機等のプロジェクタから投影された画像を反射光として写し出すプロジェクタ用反射型スクリーンに関し、特にパーソナルコンピュータ(以下、パソコンという)画像等の静止画像の映写に好適なプロジェクタ用反射型スクリーンに関する。
背景技術
0002
従来より明室でもコントラストの高い映像が得られる高輝度スクリーンとして、偏光フィルムを用いた偏光スクリーンや再帰反射特性を有するガラスビーズスクリーンが用いられている。しかし偏光スクリーンやガラスビーズスクリーンは高価である、製造工程が多い或いは製造が困難である、視野角が狭いといった欠点がある。これに対し、視野角が広く高輝度の反射スクリーンとして、アルミペーストやパール顔料を含有せしめた反射層を設けた反射スクリーンも提案されている(特開平3−119334号)。
0003
しかし近年、液晶プロジェクターの光量が格段に上がったため、これら高輝度スクリーンを用いなくても、明室でコントラストの高い映像が得られるようになり、反射スクリーンの性能としては、輝度よりも視野角が広いことが要求されるようになっている。
0004
視野角を改善するものとして、アルミニウム顔料やパール顔料のような光輝性顔料を含む反射層に、マイカ粉や酸化ケイ素粉等の光拡散剤と光輝性顔料の沈降を防止するチクソトロピック剤とを添加した映写スクリーン(特開平8-231904号)や、アルミペーストからなる光反射層に特定屈折率の樹脂ビーズを分散させた反射スクリーン(特開平6-148746号)などが提案されている。
発明が解決しようとする課題
0005
ところで最近では図2に示すように、パソコン30の液晶表示部の画像をそのまま反射スクリーン10上に投影するプロジェクター20が多用されるようになってきている。パソコン画像は一般に文字が暗部として表示され、白地(明部)の多い画像であるため、このような画像を写し出す反射スクリーンでは、暗部が明瞭であること、明部の色合が「白い」ことが要求される。
0006
しかしながら、プロジェクター20は光源として一般にメタルハライドランプを用いているため、上記従来のスクリーンを用いた場合には、明部の色温度が低く黄色或いはオレンジ系の色味を呈したり、スクリーン自体の灰色が見えるなど、色再現性がよくなかった。
0007
従って本発明は、視野角が広く、パソコン画像等の静止画像を明瞭に写し出すことができる反射型スクリーンを提供することを目的とする。特に静止画像の明部の色再現性に優れた反射型スクリーンを提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
0008
上記目的を達成する本発明の反射型スクリーンは、光反射性を有する基材上に光拡散層を設けてなり、光拡散層は、青色を反射し、青色の補色を透過する光学特性を有するパール顔料と光拡散剤とを含有するものであり、光拡散剤及びパール顔料はバインダー樹脂中に分散される。
0009
光拡散層において、パール顔料の含有量は、好適にはバインダー樹脂100重量部に対し5〜100重量部、光拡散剤100重量部に対し10〜150重量部とする。また光拡散剤の含有量は好適にはバインダー樹脂100重量部に対し10〜100重量部とする。
0010
この反射型スクリーンの光拡散層に分散されたパール顔料は、照射された光源からの光のうち、約570〜610nmの光のみを透過し、それ以外の光(青色)を反射する。透過光の一部は反射性を有する基材表面で反射される。その結果、画像の明部は、全体として黄色味が抑えられた白色となり、白色の多いパソコン画像を明瞭に写し出すことができる。しかも光の吸収が少ないため輝度の低下がない。特に光拡散剤とパール顔料を適当な範囲とすることにより、広視野角で且つSG(スクリーンゲイン)値の高い反射型スクリーンが得られる。
発明を実施するための最良の形態
0011
以下、本発明のプロジェクタ用反射型スクリーンの詳細を説明する。
0012
本発明のプロジェクタ用反射型スクリーンは、基本的な構造として図1(a)に示すように光反射性を有する基材1と、基材1上に形成された光拡散層2とを備えている。
0013
光反射性を有する基材1としては、表面の反射率が90%以上のフィルム又はシートが用いられる。このような基材として、プラスチックシート等表面にアルミニウム等金属を蒸着するかアルミニウムペースト等の反射層を形成したものを用いることもできるが、ホットスポットの発生を抑え且つ反射特性を高めるために白色顔料を練り込んだ樹脂シートを用いることが好ましい。樹脂シートとしては、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸エステルの単独若しくは共重合体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等の樹脂シートを使用することができる。
0014
更に外光を遮断することを目的として、同図(b)に示すように光拡散層2と反対側に光遮断層3を設けることが好ましい。光遮断層3は、樹脂中にカーボンブラック等の黒色顔料を適宜含有せしめた黒色フィルムや黒に着色された紙等が採用でき、基材1の光拡散層2と反対の面にコーティング或いはラミネートすることによって形成できる。
0015
光拡散層2は、バインダー樹脂と、光拡散剤2aと、パール顔料2bを含む。バインダー樹脂としては、酢酸ビニル樹脂、変性酢酸ビニル樹脂、変性酢酸ビニル/アクリル共重合樹脂、エチレン/酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル共重合樹脂、アクリルシリコン系樹脂、セルロース樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、スチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、変性ポリビニルアルコール系樹脂、アクリロニトリルゴム等から選ばれる1種または2種以上を混合して使用することができる。
0016
光拡散剤としては、シリカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機顔料やアクリルビーズ、スチレンビーズ、シリコンビース、ウレタンビーズ等の樹脂ビーズを用いることができ、特に透明樹脂ビーズが好ましい。透明な樹脂ビーズを用いることにより、パール顔料の反射特性を阻害することなく、適当な光拡散性を付与することができる。樹脂ビーズは、粒径2〜25μmのものが好ましく、特に球状形状のものが好適である。粒径がこのような範囲の透明樹脂ビーズを用いることにより、広い視野角及び高いSG値が得られる。
0017
光拡散剤の含有量は、バインダー樹脂100重量部に対し、好適には10〜100重量部、より好適には20〜50重量部とする。10重量部より少ない場合には、SG値は高くなるが十分な視野特性を得ることができない。100重量部以上の場合には、相対的にパール顔料の含有量が少なくなるため、SG値が低下する。
0018
パール顔料2bは、一般にマイカ(薄板状雲母粉)を二酸化チタンで被覆したものであるが、本発明においては、特定の波長範囲(約570〜610nm)の光のみを透過し、残りを反射する光学特性を有する虹彩色タイプ(干渉タイプ)のパール顔料を用いる。このようなパール顔料は二酸化チタン層の厚さ(被覆率)を100〜140nm或いはその奇数倍とすることにより干渉膜として作用し、青色の光を反射する。パール顔料2bの粒径は、5〜200μm、好適には10〜60μmとする。
0019
このようなパール顔料を光拡散層中に含有せしめることにより、光拡散層に入射した光のうち青色光はパール顔料で反射し、パール顔料を透過した黄色或いはオレンジ光はその一部が基材表面で反射する。これにより反射光の光量を殆ど低下させることなく色味を青側にシフトさせることができ、画像の明部を白く、暗部である文字等を明瞭に写し出すことができる。
0020
パール顔料の含有量は、バインダー樹脂100重量部に対し、好適には5〜100重量部、より好適には10〜50重量部とする。5重量部より少ないとSG値及び色温度が低下する。100重量部より多い場合には、SG値及び色温度は高くなるが、基材との接着性が落ちるととも光拡散層表面に傷がつきやすくなる。
0021
また光拡散剤に対するパール顔料の含有量が多い場合には、SG値は高くなるが、視野角が低下する傾向が有り、一方、光拡散剤に対するパール顔料の含有量が少ない場合には、SG値が低下する。従って、パール顔料の含有量は、光拡散剤100重量部に対し、10〜150重量部の範囲とするのが好ましく、より好適には30〜110重量部とする。上述した範囲とすることにより、SG値が高く、しかも広い視野角を得ることができる。
0023
本発明の反射型スクリーンは、上述したバインダー樹脂、光拡散剤、パール顔料及び必要に応じて添加剤を適当な溶剤とともに基材上に塗布・乾燥することにより形成できる。光拡散層の厚さは特に限定されないが、通常3〜20μm程度とする。また基材に光遮断層を設ける場合には、光遮断層を形成するバインダー樹脂及び黒色着色剤を適当な溶剤とともに基材上に塗布・乾燥することにより形成するか、黒色のフィルム或いは紙を光拡散層と反対側にラミネートする。
0024
このように構成される本発明の反射型スクリーンは、白地の多い静止画像の明部を白く見せる効果を有し、それにより全体の画像を美しくし、また文字部分を明瞭に写し出すことができる。
0025
以下、本発明の実施例を示す。
実施例1
厚さ100μmのポリエステルフィルム(ルミラーE20:東レ社)の一方の面に、下記処方の光拡散層用塗布液をバーコーターにより塗布・乾燥して光拡散層を形成し、反射型スクリーンを得た。
0026
ポリエステル樹脂100重量部
(ハ゛イロン300:東洋紡績社)
スチレンビーズ(6μm) 30重量部
(SBX-6:積水化学工業社)
パール顔料15重量部
(イオリシ゛ン225、二酸化チタン被覆率52%:メルク・シ゛ャハ゜ン社)
酢酸エチル200重量部
酢酸ブチル200重量部
0027
この反射型スクリーンについてSG値及び視野角を測定した。SG値は、スクリーン面の輝度及び光源の照度から、式SG=(B/E)×π(式中、Bはスクリーン面の輝度(cd/m2=nit)、Eは照度(lm/m2=lux)である)により求めた。視野角は、輝度計を固定し、スクリーン面を0゜〜50゜まで10゜毎に角度を変えて輝度を測定し、正面(0゜)輝度を100としたとき輝度50となる角度(半値角)を求めた。
0029
実施例2〜6、比較例1
パール顔料の含有量を表1に示すように変えた以外は実施例1と同様にして、反射型スクリーンを製造した。これらの反射型スクリーンについても、実施例1と同様にSG値、半値角及び色温度を測定した。結果を併せて、表1に示す。
0030
比較例2
パール顔料として二酸化チタンの被覆率の異なるもの(イオリシ゛ン215、二酸化チタン被覆率47%:メルク・シ゛ャハ゜ン社)を用い、その他は実施例1と同様にして、反射型スクリーンを製造した。これらの反射型スクリーンについても、実施例1と同様にSG値、半値角及び色温度を測定した。結果を併せて、表1に示す。
0031
比較例3、4
パール顔料の代りにアルミペースト(5501EA:昭和アルミパウダー社、比較例3)或いは青色顔料(Milori Blue671:大日精化工業社、比較例4)を用い、その他は実施例1と同様にして、反射型スクリーンを製造した。これらの反射型スクリーンについても、実施例1と同様にSG値、半値角及び色温度を測定した。結果を併せて、表1に示す。
0032
実施例7
光拡散剤としてスチレン樹脂粒子の代りにシリコーン樹脂粒子(トルパール130:東芝シリコーン社)を用い、その他は実施例1と同様にして、反射型スクリーンを製造した。これらの反射型スクリーンについても、実施例1と同様にSG値、半値角及び色温度を測定した。結果を併せて、表1に示す。
0033
実施例8
光拡散剤としてスチレン樹脂粒子30重量部の代りに二酸化チタン(無機顔料)20重量部を用い、その他は実施例1と同様にして、反射型スクリーンを製造した。これらの反射型スクリーンについても、実施例1と同様にSG値、半値角及び色温度を測定した。結果を併せて、表1に示す。
0034
0035
表1の結果から分るように、光拡散層にパール顔料を含有せしめることにより、色温度が向上した。但し、樹脂ビーズに対するパール顔料の含有量が多い場合には(実施例3、6)、視野角が低下する傾向が見られた。また樹脂ビーズに対しパール顔料の含有量が少ない場合には(実施例4、5)、高いSG値が得られなかった。樹脂ビーズに対するパール顔料が適当な範囲にあるときには(実施例1、2、7)視野角が広く、高いSG値を有するスクリーンが得られた。また樹脂ビーズの代りに無機顔料を用いた場合にも(実施例8)、同様の特性のスクリーンが得られた。
0036
一方、光拡散層にパール顔料を含まないスクリーン(比較例1)では、色温度が低く、画像明部においてプロジェクタ光源の黄色味が目立った。パール顔料として二酸化チタン被覆率の異なるものを用いた場合には(比較例2)、さらに色温度が低下し、白色映像が赤色になってしまった。
0037
またパール顔料の代りにアルミニウムペーストを用いたものでは(比較例3)、アルミニウムに起因して灰色を呈し色温度が低下した。またパール顔料の代りに青色顔料を用いた場合には(比較例4)、色温度が高すぎて白色画像が青色を呈し、またSG値も極めて低く、全体として画像が不明瞭となった。
発明の効果
0038
以上の実施例からも明らかなように、本発明の反射型スクリーンは光拡散層に特定の光学特性を有するパール顔料を含有せしめることにより、実用的なSG値と広い視野角を有し、明部において高い色温度の画像を写し出すことができる。従って発明によりパソコン画像のように白色部の多い静止画像に特に好適な反射型スクリーンを提供することができる。
図面の簡単な説明
--
0040
1・・・・・・基材
2・・・・・・光拡散層
2a・・・・透明樹脂ビーズ
2b・・・・パール顔料
3・・・・・・光遮蔽層