図面 (/)
課題
解決
概要
背景
例えば図3に示すような従来の3電極面放電型ACPDPでは、アドレス期間においてはガス空間を挟んで対向する第1のアドレス電極8と第2のアドレス電極2で構成するXYマトリクスでまずアドレス放電が起き、AC型電極即ち表面を誘電層で被覆することによりそこに静電容量形成する構造の第2のアドレス電極2に電荷を蓄積する。 これを壁電荷と呼ぶ。 上記アドレス放電が起きない即ち選択されない画素には壁電荷は生じないので、アドレス期間終了後には各画素に選択的に壁電荷が分布した状態になる。
そこで次に上記第2のアドレス電極2と、それに並行して配されるサステイン電極3との間にパルスを印加すれば、上記壁電荷の分布に対応した放電が選択的に発生する。 上記第2のアドレス電極2と、サステイン電極3はAC型電極であるから、この2電極間に継続的なACパルス即ちサステインパルスを印加すれば、メモリー放電表示を行うことができる。 このサステイン放電期間のパルスのタイミングと壁電荷の状態を図2に示す。 図において壁電荷により発生する壁電圧は、破線によって各印加電圧パルス波形に重畳して示す。
ところで上記サステイン放電はアドレス放電によって形成された壁電荷による電圧と上記2電極間に印加されるサステインパルス電圧の和が両電極間の放電開始電圧を上回った場合に起きる。 一方PDPでは駆動電圧ができるだけ低いことが望ましいことはいうまでもないが、PDPの放電開始電圧はあるガス圧のもとでは一般に電極間距離が狭い方が低くなり駆動電圧が下がる。 しかしながらカラーPDPの場合、放電により発生する紫外線により蛍光体を発光させるために、電極間距離を広くとって放電空間を広げたほうが発光効率、輝度共に高くなることが理論、実験両面から確認されている。
例えば図3のような構造の実用的PDPにおける典型的な寸法は、安定な駆動のために第1のアドレス電極8と第2のアドレス電極2の距離を優先的に決定する。 通常これを決める隔壁の高さは0.1mm程度とし、これに合わせてガス圧等を最適化している。 一方第2のアドレス電極2とサステイン電極3間は、前述したように感覚が広い程輝度特性が改善され、これを約1.0mm以上まで広げると、通常のPDPで紫外線発生源として利用している負グローよりもさらに紫外線放射率の高い陽光柱が発生することが知られており、輝度特性の大幅改善が期待できる。 上記の理由から電極間距離は0.1mmよりも大幅に広くしたいところであるが、放電開始電圧の上昇を押さえるために広くすることができなかった。 従って実用PDPでは、第2のアドレス電極2とサステイン電極3を透明電極で形成し、その電極間間隙を0.1mm程度に保ち、第1のアドレス電極8と第2のアドレス電極2の放電開始電圧と同程度の電圧にして駆動している。
しかしこのような短間隙放電では輝度、発光効率ともに高くできない。 そこで構造上の工夫の一つとして、各画素の両電極から触角状の電極を突出させて見かけ上電極間距離を狭くして放電開始電圧を下げ、しかしながら主たる放電部分の電極は互いに離し、その上上記突出部分の面積よりも面積を広くとり、実質的に広い放電間隙で放電を行うようにしたPDPもあるが、この場合上下ガラス基板のアライメントが難しくなるという問題がある。
概要
AC型PDPでサステイン放電を行う電極の放電間隙を広くとると輝度及び発光効率が改善されることがわかっていたが、駆動電圧の上昇という困難な問題が発生するためにこれができなかった。
サステイン放電を行う際に、サステイン電極間の放電に先だって、サステイン電極近傍にある第3の電極との間で補助的な短時間の放電を行うことによって広い放電間隙でも低い電圧で放電するようにした。
目的
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 17件
- 牽制数
- 11件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
アドレス用電極とそれと交差するごとくに配された一対のサステイン電極を有するPDP例えば3電極面放電型のAC型PDPにおいて、アドレス動作すなわち画像に応じた壁電荷の分布をサステイン電極上に形成し、続けてサステイン動作すなわち上記一対のサステイン電極間にAC電圧パルスを継続的に印加し、上記壁電荷の分布をもとに選択的に持続的表示放電を行う動作において、上記AC電圧パルス印加と同時にアドレス電極に正極性の細幅パルスすなわち上記一対のサステイン電極のうち負の壁電荷が形成されている電極との間でごく短い期間の放電を行うが上記負の壁電荷を全て消滅させない程度の細幅パルスを印加し、これをトリガーとして上記一対のサステイン電極間に放電を行うようになしたAC型PDPの駆動方法。
技術分野
0001
本発明はAC型プラズマディスプレイパネル即ちAC型PDPの駆動法に関わる。
背景技術
0002
例えば図3に示すような従来の3電極面放電型ACPDPでは、アドレス期間においてはガス空間を挟んで対向する第1のアドレス電極8と第2のアドレス電極2で構成するXYマトリクスでまずアドレス放電が起き、AC型電極即ち表面を誘電層で被覆することによりそこに静電容量形成する構造の第2のアドレス電極2に電荷を蓄積する。 これを壁電荷と呼ぶ。 上記アドレス放電が起きない即ち選択されない画素には壁電荷は生じないので、アドレス期間終了後には各画素に選択的に壁電荷が分布した状態になる。
0003
そこで次に上記第2のアドレス電極2と、それに並行して配されるサステイン電極3との間にパルスを印加すれば、上記壁電荷の分布に対応した放電が選択的に発生する。 上記第2のアドレス電極2と、サステイン電極3はAC型電極であるから、この2電極間に継続的なACパルス即ちサステインパルスを印加すれば、メモリー放電表示を行うことができる。 このサステイン放電期間のパルスのタイミングと壁電荷の状態を図2に示す。 図において壁電荷により発生する壁電圧は、破線によって各印加電圧パルス波形に重畳して示す。
0004
ところで上記サステイン放電はアドレス放電によって形成された壁電荷による電圧と上記2電極間に印加されるサステインパルス電圧の和が両電極間の放電開始電圧を上回った場合に起きる。 一方PDPでは駆動電圧ができるだけ低いことが望ましいことはいうまでもないが、PDPの放電開始電圧はあるガス圧のもとでは一般に電極間距離が狭い方が低くなり駆動電圧が下がる。 しかしながらカラーPDPの場合、放電により発生する紫外線により蛍光体を発光させるために、電極間距離を広くとって放電空間を広げたほうが発光効率、輝度共に高くなることが理論、実験両面から確認されている。
0005
例えば図3のような構造の実用的PDPにおける典型的な寸法は、安定な駆動のために第1のアドレス電極8と第2のアドレス電極2の距離を優先的に決定する。 通常これを決める隔壁の高さは0.1mm程度とし、これに合わせてガス圧等を最適化している。 一方第2のアドレス電極2とサステイン電極3間は、前述したように感覚が広い程輝度特性が改善され、これを約1.0mm以上まで広げると、通常のPDPで紫外線発生源として利用している負グローよりもさらに紫外線放射率の高い陽光柱が発生することが知られており、輝度特性の大幅改善が期待できる。 上記の理由から電極間距離は0.1mmよりも大幅に広くしたいところであるが、放電開始電圧の上昇を押さえるために広くすることができなかった。 従って実用PDPでは、第2のアドレス電極2とサステイン電極3を透明電極で形成し、その電極間間隙を0.1mm程度に保ち、第1のアドレス電極8と第2のアドレス電極2の放電開始電圧と同程度の電圧にして駆動している。
0006
しかしこのような短間隙放電では輝度、発光効率ともに高くできない。 そこで構造上の工夫の一つとして、各画素の両電極から触角状の電極を突出させて見かけ上電極間距離を狭くして放電開始電圧を下げ、しかしながら主たる放電部分の電極は互いに離し、その上上記突出部分の面積よりも面積を広くとり、実質的に広い放電間隙で放電を行うようにしたPDPもあるが、この場合上下ガラス基板のアライメントが難しくなるという問題がある。
発明が解決しようとする課題
0007
上記のごとく表示放電であるサステイン放電を、高発光効率、高輝度にするためにサステイン電極間距離を広げるが、それに伴って放電開始電圧が上昇することを回避するため、パネル構造を複雑にすることなく駆動上の工夫のみで解決しようとするものである。
課題を解決するための手段
0008
上記のごとくPDPの放電開始電圧はあるガス圧のもとでは一般に電極間距離が広くなると高くなるが、一方で放電維持電圧は、放電開始後負ク゛ローが形成されると陰極のごく近傍に生じる空間電荷層による電界が放電維持特性を支配するため電極間距離の影響は少ない。 つまり放電がいったん開始してしまえば、電極間距離が広くても低い放電電圧で放電が維持できる。
0009
この性質を利用して本発明では、例えば図3の構造において、サステイン放電を従来のごとく第2のアドレス電極2とサステイン電極3間だけで行うのではなく、各サステインパルス印加時に、まず電極間間隙の狭い第1のアドレス電極8と第2のアドレス電極2、または第1のアドレス電極8とサステイン電極3間で予備放電を行い、続いて電極間間隙の広い第1のアドレス電極8とサステイン電極3間で主放電を行うようにする。 ここで本発明を構成する主要な工夫は、上記予備放電の放電時間を、主放電時間に比してごく短時間に行うようにした点である。
発明を実施するための最良の形態
0010
図1は本発明の実施の形態の一つを示すサステインパルスのタイミング図である。 説明のためこれを適用するPDPの構造は図3に示す従来型のいわゆる3電極面放電型PDPである。 しかし本発明の駆動方法は一対のサステイン電極とそれに対向する例えばアドレス電極のような第3の電極があれば、図3以外の構造のパネルにも適用可能であることは言うまでもない。
0011
図1のタイミング図はサステイン期間のみを示しており、これ以前のアドレス期間において第1のアドレス電極8と第2のアドレス電極2間に画像に応じて行われたアドレス放電のために第2のアドレス電極2の表面上には負の壁電荷、またサステイン電極3上には正の壁電荷が形成されている状態からサステイン期間が始まっていることを示している。 またこの壁電荷による壁電圧は破線にて示し、サステインパルス電圧波形に重畳するごとくに示している。 第2のアドレス電極2とサステイン電極3はAC電極構造であるが、第1のアドレス電極8はDC型でもAC型でもよい。 ここでは第1のアドレス電極8はDC型とし、従って動作中壁電荷の蓄積は起きない。
0012
さて負の壁電荷を持つ第2のアドレス電極2にマイナス極性のパルスを印加すると、放電電圧に対し電圧がそれぞれ重畳されたことになるので、電極間には印加電圧よりも高い電圧が生じる。 しかし通常の構造のPDPであれば放電が開始するが、図3において第2のアドレス電極2とサステイン電極3の間を例えば0.6mm程度に広くとると、従来のサステイン電圧では放電が発生しない。つまりアドレス放電による壁電圧が重畳されてもサステイン放電が起きない。
0013
しかしこのときに第1のアドレス電極8に正のパルスを印加すれば、第1のアドレス電極8と第2のアドレス電極2間では放電が起きる。 このときの放電が一定時間以上にわたると第2のアドレス電極2上の負の壁電荷が消去され、さらに時間が経過すると次には逆に正の壁電荷が形成されてしまう。 このようになると第2のアドレス電極2とサステイン電極3の間の電位差は小さくなるので、第2のアドレス電極2とサステイン電極3の間の放電すなわちサステイン放電は起きない。
0014
そこで本発明の駆動方法では、第1のアドレス電極8と第2のアドレス電極2間の放電を非常に短時間即ち第2のアドレス電極2の負の壁電荷の一部が消去されるか、あるいは少なくとも正の壁電荷が蓄積される前にこのパルス印加を終了する。 この時間内ではパルスが停止した時点でまだその放電による空間電荷が放電空間中に残留している状態である。 従って第2のアドレス電極2とサステイン電極3の間の放電開始電圧は非常に低く、放電維持電圧よりも僅かに高い程度で再放電することになる。 いったん放電が開始されれば放電維持電圧は電極間距離に対して鋭敏ではないので、通常のサステイン放電ができる。 このようにしてサステイン放電に対し、補助的に第1のアドレス電極8と第2のアドレス電極2との間の放電をいわばトリガーとして使うことによって、PDPの構造としては電極間距離を広げても駆動電圧が通常と代わりがなく低い電圧で駆動できるので、輝度と発光効率の改善が可能になる。
0015
なお図1のごとく、第1のアドレス電極8に印加する細幅パルスの極性を正にした理由は、第1のアドレス電極側には通常蛍光体が塗布されており、また電極も保護層等の保護対策がなされていないのが普通であるからイオン衝撃をさける必要があるためである。 またアドレス時の電圧印加方法によっては、アドレス期間終了後サステイン電極側が負極性の壁電荷を持つ場合もあるが、この場合には第1のアドレス電極8とサステイン電極3間で補助的放電を行うことになるのは言うまでもない。
発明の効果
0016
本発明の駆動方法によれば、サステイン放電を行う電極間の間隙を広くしても放電開始電圧が高くならず、従って輝度の改善と発光効率の改善がパネル構造の大幅な変更によらず駆動方法の変更にみで可能となり、合わせて駆動電圧の低減効果から駆動回路の消費電力も低減できる。
0017
図面の簡単な説明
0018
図1新しい駆動方法によるサステインパルスタイミング図
A、第2のアドレス電極の印加パルス、破線は壁電圧B、サステイン電極の印加パルス、破線は壁電圧C、第1のアドレス電極の印加パルス
図2従来の駆動方法によるサステインパルスタイミング図
D、第2のアドレス電極の印加パルス、破線は壁電圧E、サステイン電極の印加パルス、破線は壁電圧F、第1のアドレス電極の印加パルス
図33電極面放電型ACPDPの構造
0018
--
0019
1、前面ガラス
2、第2のアドレス電極
3、サステイン電極
4、誘電層
5、保護層
6、隔壁
7、蛍光体
8、第1のアドレス電極