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技術 熱間潤滑圧延方法

出願人 JFEスチール株式会社
発明者 近藤孝司北浜正法蛭田敏樹関春彦
出願日 1997年11月6日 (23年1ヶ月経過) 出願番号 1997-304081
公開日 1999年5月25日 (21年7ヶ月経過) 公開番号 1999-138206
状態 未査定
技術分野 金属圧延一般 圧延ロール・圧延スタンド・圧延機の駆動 圧延機に特に連結された素材の表面処理装置
主要キーワード そう生 メタル接触 製品全長 スプレーヘッダ スリップ発生率 表面酸化スケール 材料先端 メタルタッチ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1999年5月25日)のものです。
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図面 (7)

課 題

被圧延材全長にわたってR/Mメタルタッチを生じにくくし、作業ロールの面荒れを防止して、熱間圧延後のステンレス鋼板製品表面平滑度を向上させる熱間潤滑圧延方法を提供する。

解決手段

被圧延材の全長にわたって圧延油を供給して熱間圧延する熱間潤滑圧延方法において、被圧延材を圧延する前に濃度0.2 〜1.0体積%の圧延油を供給し、被圧延材の先端部を噛み込み後、圧延油の濃度を3.0 〜5.0 体積%に変更して被圧延材を圧延し、さらに、圧延油の濃度を0.2 〜1.0 体積%に変更して被圧延材尾端部を圧延する。

概要

背景

熱間圧延後の製品表面の平滑度は、圧延時の作業ロール被圧延材間のメタルメタル接触(以下「R/Mメタルタッチ」という)による焼き付きに起因する作業ロール表面の面荒れにより悪化する。この平滑度を向上させる方法として、熱間圧延潤滑剤(以下、「圧延油」という)を使用して、圧延時のR/Mメタルタッチを防止し、焼き付きの発生を防止する方法が有効であった。

圧延油には、鉱油、油脂などをベース油としたものに合成エステルを添加したものや、合成エステルをベースとしたものに、塩素系、硫黄系、リン系などの極圧添加剤や、粘度指数向上剤油性向上剤などの添加剤を添加したものなどが使用される。また、潤滑性付着性高温定性等に優れた圧延油の皮膜を作業ロール表面に生成することにより、R/Mメタルタッチによる焼き付きを防止する方法(例えば、特開昭51−39242 号公報、特開平2−132190号公報)があった。熱間圧延時の作業ロール表面の焼き付きは、それら圧延油を使用しないで製造する場合と比較して軽減した。

一方、熱間圧延の実操業では、粗ミルや仕上ミル前段のように、作業ロールに対する被圧延材の噛み込み角が大きい場合には、圧延油を使用すると、噛み込み不良が生じるおそれがあるため、噛み込み時には、米国特許第3.605.473 号に示されるように、圧延油の使用を停止していた。被圧延材噛み込み前に停止していた圧延油使用を被圧延材噛み込み後に再開する際には、特開昭49−46561 号公報に示されるように、圧延油流量を制御して流量変化による急激な圧延荷重の変化を防止するなどの方法が採られている。

また、次の被圧延材先端の噛み込み時にロール表面の熱間圧延潤滑剤が噛み込み不良を引き起こすことを防止するために、尻抜け時に、被圧延材尾端が通過する前に圧延油の使用を停止し、被圧延材の熱により圧延油を焼き切るという手段は公知である。

概要

被圧延材全長にわたってR/Mメタルタッチを生じにくくし、作業ロールの面荒れを防止して、熱間圧延後のステンレス鋼板製品の表面平滑度を向上させる熱間潤滑圧延方法を提供する。

被圧延材の全長にわたって圧延油を供給して熱間圧延する熱間潤滑圧延方法において、被圧延材を圧延する前に濃度0.2 〜1.0体積%の圧延油を供給し、被圧延材の先端部を噛み込み後、圧延油の濃度を3.0 〜5.0 体積%に変更して被圧延材を圧延し、さらに、圧延油の濃度を0.2 〜1.0 体積%に変更して被圧延材尾端部を圧延する。

目的

この発明は、前記従来技術の問題点を解決するべくなされたもので、その目的とするところは、材料先端部に対しては、噛み込み不良の起こりにくい濃度でロール表面に圧延油を噴射し、噛み込み直後にR/Mメタルタッチが生じにくい濃度まで変化させ、材料尾端部にさしかかったときに濃度を変更して、次材の噛み込み不良の起こりにくい濃度にすることで、被圧延材全長にわたってR/Mメタルタッチを生じにくくし、作業ロールの面荒れを防止して、熱間圧延後のステンレス鋼板製品の表面平滑度を向上させる熱間潤滑圧延方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

被圧延材全長にわたって圧延油を供給して熱間圧延する熱間潤滑圧延方法において、被圧延材を圧延する前に濃度0.2 〜1.0体積%の圧延油を供給し、被圧延材の先端部を噛み込み後、圧延油の濃度を3.0 〜5.0 体積%に変更して被圧延材を圧延し、さらに、圧延油の濃度を0.2 〜1.0 体積%に変更して被圧延材尾端部を圧延することを特徴とする熱間潤滑圧延方法。

請求項2

圧延油を供給するパスが、粗圧延の少なくとも終わりの4パスである請求項1記載の方法。

請求項3

圧延油を供給するパスが、連続仕上圧延の少なくとも始めの4パスである請求項1記載の方法。

請求項4

被圧延材がステンレス鋼板である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。

請求項5

被圧延材がフェライト系ステンレス鋼板である請求項4記載の方法。

技術分野

0001

この発明は、熱間潤滑圧延方法に関し、特に、ステンレス鋼板熱間圧延時に発生する、作業ロール被圧延材間の焼き付きに起因するロール面荒れを防止して、製品表面の平滑度を向上する熱間潤滑圧延方法に関する。

背景技術

0002

熱間圧延後の製品表面の平滑度は、圧延時の作業ロール〜被圧延材間のメタルメタル接触(以下「R/Mメタルタッチ」という)による焼き付きに起因する作業ロール表面の面荒れにより悪化する。この平滑度を向上させる方法として、熱間圧延潤滑剤(以下、「圧延油」という)を使用して、圧延時のR/Mメタルタッチを防止し、焼き付きの発生を防止する方法が有効であった。

0003

圧延油には、鉱油、油脂などをベース油としたものに合成エステルを添加したものや、合成エステルをベースとしたものに、塩素系、硫黄系、リン系などの極圧添加剤や、粘度指数向上剤油性向上剤などの添加剤を添加したものなどが使用される。また、潤滑性付着性高温定性等に優れた圧延油の皮膜を作業ロール表面に生成することにより、R/Mメタルタッチによる焼き付きを防止する方法(例えば、特開昭51−39242 号公報、特開平2−132190号公報)があった。熱間圧延時の作業ロール表面の焼き付きは、それら圧延油を使用しないで製造する場合と比較して軽減した。

0004

一方、熱間圧延の実操業では、粗ミルや仕上ミル前段のように、作業ロールに対する被圧延材の噛み込み角が大きい場合には、圧延油を使用すると、噛み込み不良が生じるおそれがあるため、噛み込み時には、米国特許第3.605.473 号に示されるように、圧延油の使用を停止していた。被圧延材噛み込み前に停止していた圧延油使用を被圧延材噛み込み後に再開する際には、特開昭49−46561 号公報に示されるように、圧延油流量を制御して流量変化による急激な圧延荷重の変化を防止するなどの方法が採られている。

0005

また、次の被圧延材先端の噛み込み時にロール表面の熱間圧延潤滑剤が噛み込み不良を引き起こすことを防止するために、尻抜け時に、被圧延材尾端が通過する前に圧延油の使用を停止し、被圧延材の熱により圧延油を焼き切るという手段は公知である。

発明が解決しようとする課題

0006

フェライト系ステンレス鋼板は、鋼板表面に生成するスケールの厚さが、数μmと非常に薄い。このようなステンレス鋼板の圧延において、被圧延材(=材料)の先尾端で、圧延油使用を停止すれば、圧延油のかからない部分でR/Mメタルタッチが生じ、焼き付きが発生するという問題があった。

0007

焼き付きが発生すると、ロール面が荒れる。ロール面荒れが一旦発生すると、この面荒れ性状がロールから材料に転写するため、ステンレス鋼板表面の平滑度は製品全長にわたって悪化する。また、材料尾端部において、再び圧延油使用を停止するため、焼き付きによるロール面荒れがさらに進行し、次材の噛み込み時にはさらなる面荒れのため、R/Mメタルタッチがいっそう生じやすくなり、作業ロール表面の面荒れは加速度的に進行していくという問題点があった。

0008

この発明は、前記従来技術の問題点を解決するべくなされたもので、その目的とするところは、材料先端部に対しては、噛み込み不良の起こりにくい濃度でロール表面に圧延油を噴射し、噛み込み直後にR/Mメタルタッチが生じにくい濃度まで変化させ、材料尾端部にさしかかったときに濃度を変更して、次材の噛み込み不良の起こりにくい濃度にすることで、被圧延材全長にわたってR/Mメタルタッチを生じにくくし、作業ロールの面荒れを防止して、熱間圧延後のステンレス鋼板製品の表面平滑度を向上させる熱間潤滑圧延方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0009

前記目的を達成するためになされた第1の発明は、被圧延材の全長にわたって圧延油を供給して熱間圧延する熱間潤滑圧延方法において、被圧延材を圧延する前に濃度0.2 〜1.0体積%の圧延油を供給し、被圧延材の先端部を噛み込み後、圧延油の濃度を3.0 〜5.0 体積%に変更して被圧延材を圧延し、さらに、圧延油の濃度を0.2 〜1.0 体積%に変更して被圧延材尾端部を圧延することを特徴とする熱間潤滑圧延方法である。

0010

また、第2の発明は、第1の発明において、圧延油を供給するパスが、粗圧延の少なくとも終わりの4パスであることを要旨とする。また、第3の発明は、第1の発明において、連続仕上圧延の少なくとも始めの4パスであることを要旨とする。また、第1〜第3の発明では、被圧延材がステンレス鋼板、なかでも特にフェライト系ステンレス鋼板であることが好ましい。

発明を実施するための最良の形態

0011

第1の発明によれば、作業ロールに噴射する圧延油の濃度を制御することにより、材料全長にわたってR/Mメタルタッチによる焼き付きに起因する作業ロール表面の面荒れを防止することができる。圧延油は、水と混合して作業ロールにスプレーされる。第1の発明において圧延油の「濃度」は、スプレーされる水・圧延油混合液油水エマルジョン)中の圧延油の存在比率を指し、体積%で表す。また、本発明において被圧延材の先端部の長さは作業ロール周長の0〜5倍(0倍は噛み込み直後に濃度を変える)、尾端部の長さは作業ロール周長の1〜10倍とするのがよい。

0012

熱間圧延においては、被圧延材は1000℃前後の高温で作業ロールに接触するため、作業ロール〜被圧延材間にR/Mメタルタッチを防止する物質が存在しない場合には焼き付きが生じる。この物質としては、圧延油と被圧延材表面酸化スケール膜があると考えられている。しかしながら、特に、被圧延材がMo, Ti, Nbを含むフェライト系ステンレス鋼板である場合、その優れた耐食性のゆえに、連続鋳造スラブを加熱した際、当該スラブ表面酸化スケールが数μm程度しか生成せず、R/Mメタルタッチを防止するには不十分であり、また、圧延油の有効な使用方法については未知であった。

0013

これに対し、第1の発明によれば、圧延油の油種に関係なく適切な濃度切り換えによりロール表面の荒れを最小限とすることができる。圧延油の濃度範囲の限定理由は以下の通りである。
部位圧延油濃度限定理由
先端部 0.2 〜1.0体積% 0.2 体積%より小さいと、圧延油の効果が現
れず、被圧延材の表面性状が著しく悪化する
ので、0.2 体積%以上とする。また、1.0 体
積%より大きいと、噛み込み不良の発生する
割合が著しく増加するので、1.0 体積%以下
とする。

0014

中央部 3.0 〜5.0体積% 3.0 体積%より小さいと、圧延油の効果が小
さいために、被圧延材の表面性状が徐々に悪
化するので、3.0 体積%以上とする。また、
5.0 体積%より大きいと、スリップの発生す
る割合が著しく増加するので、5.0 体積%以
下とする。なお、スリップとは、ロール〜材
料間の摩擦係数が小さすぎて、ロールが空転
して材料を送れなくなる状態をいう。

0015

尾端部 0.2 〜1.0体積% 0.2 体積%より小さいと、圧延油の効果が現
れず、被圧延材の表面性状が著しく悪化する
ので、0.2 体積%以上とする。また、1.0 体
積%より大きいと、次の被圧延材の先端部を
噛み込む際に、噛み込み不良の発生する割合
が著しく増加するので、1.0 体積%以下とす
る。

0016

ところで、熱間圧延は一般に粗圧延、連続仕上圧延の順次工程からなるところ、粗圧延の前半パスでは、加熱炉で生成したスケールが、脱スケール処理しても除去されずに残っているために、R/Mメタルタッチを防止するが、後半パス、特に終わりの4パスでは、スケールが圧延されてより薄くなり、R/Mメタルタッチを防止しにくくなる。そのため、第2の発明で、粗圧延の少なくとも終わりの4パスにこれを適用することとした。

0017

また、連続仕上圧延の後半パスでは、一般に圧下率が低く、圧延速度高速でR/Mメタルタッチ持続時間も短いから、焼き付きが発生しにくいのに対し、前半パス、特に始めの4パスでは、圧下率が高く圧延速度も低いため、焼き付きが発生しやすい。そのため、第3の発明で、連続仕上圧延の少なくとも始めの4パスにこれを適用することとした。

0018

また、第1〜第3の発明は、被圧延材が、焼き付きを生じやすいステンレス鋼板、なかでもフェライト系ステンレス鋼板である場合に適用すれば効果が大きい。

0019

図2に示す加熱炉5,3スタンドの粗ミル列6,7スタンドの仕上ミル列7,コイラ8を順次配置してなる熱間圧延設備を用いて熱間潤滑圧延実験を行った。潤滑対象圧延スタンドでは、図3に示すように、該スタンド入側にスプレーヘッダ11,11を配置し、上下の作業ロール10,10の全幅にわたり油水エマルジョンを噴射する。この油水エマルジョンは、圧延油と水とを機側ミクスチャー装置12に供給しそこで混成される。なお、圧延油は送量調節可能なギアポンプ13で供給され、水は流量調節バルブ15,流量計14を順次通して供給される。

0020

図1は、第1の発明の圧延油濃度制御パターンを従来例と比較して示す線図である。濃度の単位は体積%である。図1において、O点はスタンド入側のセンサが材料先端を検出してトラッキング信号を発した時点、A点は材料噛み込み時点、B点は材料尻抜け時点である。なお、前記センサは第1スタンドの噛み込み位置から作業ロール周長の2倍の距離だけ上流側に配置した。また、第2スタンド以降は、前スタンドの噛み込み信号を用いた。

0021

明パターンでの圧延油濃度制御の手順は以下の通りである。
(1)O点において、それまで停止していた圧延油の供給を開始し、先端部が圧延される前に、濃度C1の圧延油を作業ロール全幅に供給する。
(2) 次いで、先端部が前記スタンドの作業ロールに噛み込まれて、圧延荷重が上昇したその直後に、ギヤポンプの回転速度を変更して、圧延油濃度をC2に上げる。
(3) 該濃度で中央部を圧延し、尾端が前記スタンドの前記センサを通過してトラッキング信号が発せられた時点で、ギヤポンプの回転速度を変更して圧延油濃度をC3に下げ、尾端部を圧延する。
(4) 尾端部を圧延した後、圧延油の供給を停止する。

0022

一方、従来パターンでは、先端が作業ロールに噛み込まれてから後に、濃度CZの圧延油を作業ロール全幅に供給し、尾端が作業ロールを抜ける時点より前に圧延油の供給を停止し、かかる供給停止の状態で該停止点から尾端にかけての高温の尾端部を圧延することによって、作業ロールの圧延油を焼き切り、次材の先端部を、無潤滑状態の作業ロールで圧延するようにしている。

0023

なお、発明パターンで、被圧延材中央部を圧延する際の圧延油濃度を従来例より高くしている(C2>CZ)のは、圧延油を低濃度とした先端部圧延で荒れた作業ロールの表面を、圧延油を高濃度とした中央部圧延中に修復する(注:良好な潤滑圧延がなされると、荒れ過ぎない程度に荒れていたロール表面が修復される)ためである。

0024

はじめに、Moを1.9 %含有したフェライト系ステンレス鋼スラブスラブ厚260mm)を、図2の加熱炉5にて1120℃に加熱し、粗ミル列6で計9パスの粗圧延を行ってシートバー(シートバー厚(=仕上入側板厚)35.4mm)となし、これを仕上ミル列7にて仕上入側温度1030℃として連続仕上圧延し仕上出側板厚3.0mmの鋼板に仕上げた後コイラ8で巻き取ってコイルにする圧延条件下で、F2でC1 〜C3を種々変更して潤滑圧延する実験を行った。なお、「Fn≡仕上ミル列の第nスタンド」と定義する。粗ミル列、仕上ミル列の作業ロール径はそれぞれ1200mm、700mm であり、、使用した圧延油は、鉱油ベースの圧延油であり、F2での入側板厚は20.7mm、出側板厚は13.1mm、圧下率は36.67 %である。

0025

図4は、F2でのC1と噛み込み不良発生率との関係を示すグラフである。C1各値での圧延本数は30コイルである。このときC2は4.0体積%とし、C3はC1と同じ値に変更した。図4より、噛み込み不良を発生させないためには、C1≦1.0 体積%とする必要がある。図5は、F2でのC2と被圧延材中央部の焼き付き発生率とのとの関係を示すグラフである。C2各値での圧延本数は30コイルである。このときC1,C3は0.5 体積%とした。図5より、被圧延材中央部に焼き付きを発生させないためには、C2≧3.0 体積%とする必要がある。

0026

図6は、F2でのC2と被圧延材中央部のスリップ発生率とのとの関係を示すグラフである。C2各値での圧延本数は30コイルである。このときC1,C3は0.5体積%とした。スリップの有無は、F1〜F2間およびF2〜F3間のスタンド間張力の変化で判定した。図6より、被圧延材中央部にスリップを発生させないためには、C2≦5.0 体積%とする必要がある。

0027

さらにこれらの潤滑条件を組み合わせて圧延を行い、仕上圧延後の鋼板表面の肌荒れをF2作業ロールの表面粗さによって評価した結果を表1に示す。表1に示すように、第1の発明に従って圧延油濃度を、先端噛み込み時にはC1=0.2 〜1.0体積%に設定し、噛み込み直後にC2=3.0 〜5.0 体積%に変更し、尾端端通過直前にC3=0.2 〜1.0 体積%に変化させ、抜け後に圧延油の供給を停止し、次材の噛み込み前に再びC1=0.2 〜1.0 体積%に設定して圧延油の供給を開始した実施例では、F2作業ロールの表面粗さが3.0 μmRa以下に抑えられ、噛み込み不良やスリップを発生することなく、ほぼコイル全長にわたって平滑度の高いステンレス鋼板を製造することができた。

0028

なお、被圧延材先端では圧延油濃度が低いため、噛み込み不良のない代わりに軽度の焼き付きが発生する場合があったが、噛み込み直後に焼き付き防止に十分な量の圧延油を供給することにより、面荒れの程度はごく軽度ですみ、その後の圧延により徐々にその平滑度を取り戻し、ほぼコイル全長にわたって平滑度の高いステンレス鋼板を製造することができた。

0029

次に、前記ステンレス鋼スラブを表4のパススケジュールAで圧延する際に、粗ミル列にて圧延油供給パスを種々変えた潤滑圧延実験を行い、粗ミル列出側での鋼板表面の肌荒れの度合いを目視で調べた結果を表2に示す。表2の○印を付したパスでC1=C3=0.5体積%、C3=4.0 体積%として潤滑圧延を行った。なお、スラブ加熱温度は1160℃、F7出側温度は850 ℃である。

0030

表2より、第2の発明を逸脱し、粗圧延パスの前段で潤滑圧延を行っても後段で潤滑圧延を行わなかった比較例では鋼板表面に肌荒れが発生した。逆に、前段で潤滑圧延を行わなくても、第2の発明に則って少なくとも後段の4パスで潤滑圧延を行った実施例では、鋼板表面の肌荒れが防げた。また、表4のパススケジュールBのとき粗圧延の最終4パスに対し圧延油濃度をこの発明の下限であるC1=C3=0.2体積%、C2=3.0 体積%として潤滑圧延する条件と、表4のパススケジュールCのとき粗圧延の最終4パスに対し圧延油濃度をこの発明の上限であるC1=C3=1.0 体積%、C2=5.0 体積%として潤滑圧延する条件とについても実験したが、表2の実施例同様、鋼板表面の肌荒れが防止できた。

0031

次に、前記ステンレス鋼スラブを表4のパススケジュールAで圧延する際に、仕上ミル列にて圧延油供給パスを種々変えた潤滑圧延実験を行い、仕上ミル列出側での鋼板表面粗さ(中心線平均粗さRa)を測定すると共に、酸洗後の鋼板表面のスケール残りの度合いを目視で調べた結果を表3に示す。表3の○印を付したパスでC1=C3=0.5体積%、C3=4.0 体積%として潤滑圧延を行った。なお、スラブ加熱温度は1160℃、F7出側温度は850 ℃である。

0032

表3より、第3の発明に則って少なくとも前段の4スタンドで潤滑圧延を行った実施例では、後段での潤滑の有無にかかわらず鋼板の表面粗さが3.0 μmRa以下に抑えられ、鋼板表面の肌荒れが防げた。しかし、第3の発明を逸脱し、後段で潤滑圧延を行っても前段で潤滑圧延を行わなかった比較例では鋼板表面に肌荒れが発生した。

0033

また、表4のパススケジュールBのときF1〜F4での圧延油濃度をこの発明の下限であるC1=C3=0.2体積%、C2=3.0 体積%として潤滑圧延する条件と、表4のパススケジュールCのときF1〜F4での圧延油濃度をこの発明の上限であるC1=C3=1.0 体積%、C2=5.0 体積%として潤滑圧延する条件とについても実験したが、表3の実施例同様、鋼板表面の肌荒れが防止できた。

0034

なお、仕上ミル列前段で潤滑圧延を行わなかった場合、仕上圧延後の鋼板表面では肌荒れが発生していないように見えても酸洗後にスケール残りが発生して表面性状不良となることが多かった。これは、無潤滑の前段スタンドで作業ロール〜鋼板間に焼き付きが発生し、作業ロール表面に面荒れが発生して、鋼板表面に凹凸をつくり、次スタンドの作業ロールでこの凹凸が平滑化される際に、該作業ロールに鋼板表面上のスケールが噛み込むことによるものであった。

0035

また、上記実施例では、1本の被圧延材に対するC1〜C3をそれぞれ一定としたが、C1〜C3の値は、同じ被圧延材の圧延中にこの発明の範囲内で自由に変更することもできる。

0036

0037

0038

0039

発明の効果

0040

かくしてこの発明によれば、粗ミルおよび/または仕上ミルの作業ロールに対し、圧延油を適切なタイミングで適切な量だけ供給して潤滑圧延するので、材料先尾端を圧延する際に発生していたロール面荒れを有効に防止でき、製品表面の平滑度の高いステンレス鋼板を製造できるようになるという優れた効果を奏する。

図面の簡単な説明

0041

図1第1の発明の圧延油濃度制御パターンを従来例と比較して示す線図である。
図2実験に用いた熱間圧延設備を示す模式図である。
図3圧延油供給系を示す(a)はスタンド入側正面図、(b)は(a)のAA矢視図である。
図4F2でのC1と噛み込み不良発生率との関係を示すグラフである。
図5F2でのC2と焼き付き発生率とのとの関係を示すグラフである。
図6F2でのC2とスリップ発生率とのとの関係を示すグラフである。

--

0042

5加熱炉
6 粗ミル列
7 仕上ミル列
10作業ロール
11スプレーヘッダ
12 機側ミクスチャー装置
13ギアポンプ
14流量計
15 流量調節バルブ

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