図面 (/)

技術 測定容器、ボルタンメトリー測定装置および酸度測定装置

出願人 パナソニック株式会社
発明者 西田毅藪秀文日下部毅
出願日 1997年10月8日 (22年8ヶ月経過) 出願番号 1997-275482
公開日 1999年4月23日 (21年2ヶ月経過) 公開番号 1999-108892
状態 特許登録済
技術分野 電気化学的な材料の調査、分析
主要キーワード RC積分回路 モニタリング回路 酸度測定 熱劣化度 油脂試験法 各電極毎 認証制度 プレピーク
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1999年4月23日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (15)

課題

操作性よく、また洗浄作業を行うことなく連続して、酸度測定を行うことのできる測定容器を提供することを目的とする。

解決手段

電解液10と酸含有の被測定液とが混合された共存電解液が収容される電解液収容部35が形成された容器本体部12aと、電解液収容部35を覆うことができる容器カバー12bと、それぞれが容器カバー12bに取り付けられるとともに共存電解液に浸漬される作用電極8および対極7と、同じく容器カバー12bに取り付けられ、共存電解液に浸漬される比較電極部9とを備え、比較電極部9には、内部に緩衝溶液が収容されるとともに、緩衝溶液と共存電解液とを導通させる液絡部18と、緩衝溶液に浸漬される比較電極とがそれぞれ設けられており、且つ作用電極8と対極7と比較電極のそれぞれの端部は、ボルタンメトリー回路に設けられたコネクタ着脱自在となっている測定容器である。

概要

背景

近年、食品は健康や安全面から一定の水準以上の品質が要求されるようになってきている。中でも食品中に含有された酸は食品の品質に大きな影響を与えるものである。また最近では酸度の低い食品が専ら嗜好される傾向にある。

このように各種食品の酸度は食品の消費に大きな影響を及ぼすが、その影響する程度や測定法は食品によってそれぞれ異なるものである。そこで、以下、こうした食品の代表例として食用油ジュース等の果実飲料ウィスキーや酒、ワイン等のアルコール飲料コーヒーについて、それぞれの酸がどのようなもので従来どのようにして測定されていたのかを説明をする。

先ず、食用油に含まれる酸について説明する。わが国の食生活は急速に変化しつつあるが、その流れをみると、第1にインスタント化という大きな流れがあり、第2に手作り嗜好などに代表される多様化の流れがあるように思われる。特にインスタント指向時代を映し出しているともいえるもので、多くの加工食品増大傾向にある。中でもフライ食品の増加は著しい。というのはフライ食品は嗜好的にも好まれ、比較的腐敗を受けにくいという性質があるからである。

しかし、このフライ食品も、温度や光の影響を受ける環境に長時間さらすと、空気中の酸素により油脂が自動酸化して、変敗臭が生じたり、その他品質の劣化がもたらされる。こうした理由から食用油脂および油脂加工品などの変敗、劣化に関して一般的に関心が高まり、例えば、油揚げの地域食品認証制度が発足したり、あるいは油菓子規制が行われたりしており、また弁当惣菜指導要項などでも油脂の劣化について法規制が検討されている。

ところで、こうした油脂の傷み具合、特に加熱された油脂の劣化度を知る方法としては、酸価過酸化物価、粘度、ヨウ素価などを測定するいくつかの分析方法がある。ここで、上記したように食品の劣化に大きな影響を与えるのが温度や光であることを考慮すると、これらの中で酸度を直接測る酸価の測定が熱劣化の判定を行うために適当であり、また通常これが多く用いられている。

次に、飲料水の酸について説明する。ジュース等の果実飲料は原料果実を搾汁機にかけて得た汁液であるが、果実飲料の多くは、新鮮果実の搾をそのまま用いるよりも、濃縮果汁または冷凍果汁原料として製品を作る場合が多い。例えばオレンジジュースの場合、みかん病害果や未熟果を除去した後に、表皮洗浄し、これを圧搾して果肉と果汁を取り出し、さらに果汁から果皮、じょうのう膜等を取り除いている。そしてこの時点で日本農林規格適合するように糖度や酸度などを調合し、その際に酸度を測定している。また、濃縮果汁や冷凍果汁からオレンジジュースを作る場合は、濃縮果汁や冷凍果汁に水を加えてオレンジジュースを作る際に酸度を測定している。

続いて、アルコール飲料について説明する。ウィスキーや焼酎に代表される蒸留を何度も繰り返してエタノール収率を上げる蒸留酒、あるいは酒やワインに代表される素材そのものを発酵させて濾過することで得られる醸造酒、そしてその他果実酒ビール等の発泡酒等、アルコール飲料には色々と種類があってその製造過程まちまちである。しかし、いずれのアルコール飲料の製造においても、工程の中で製品の品質確保のために酸度の測定を行っている。

最後に、コーヒーの酸について説明する。コーヒーの味を左右する酸味を与える物質は以下に述べるように多種類にわたるが、酸含有量がコーヒーの酸味評価の指標として重要である。コーヒー中に含まれる酸の代表としてはクロロゲン酸類が挙げられる。その含有量はコーヒー豆の焙煎の過程でも変動する。その他にも、コーヒーの酸味に関与する物質は、コーヒー酸キナ酸、更にはクエン酸など多くの化合物がある。そして、それぞれの酸の含有量は微量でありながら、微妙なバランスとその総量が酸味の決め手になっていると考えられる。

このように各種の食品において、その製造工程上でそれぞれの酸度を測定することが行われているが、その測定方法には様々なものがある。

従来の酸測定方法の一例としては、基準油脂分析法、日本農林規格、JIS、日本薬局方油脂試験法衛生試験飲食物試験法上水試験方法などで定められた方法があるが、いずれも測定の基本はフェノールフタレイン指示薬とした中和滴定法である。そこで、この中和滴定方法を説明するため、上水試験方法と基準油脂分析法で規定されている中和滴定法を以下説明する。

上水試験方法での酸度は、試料リットル中に含まれている炭酸カルシウムに酸を換算したときのmg数として定義される。具体的には試験水100mLを採り、これにフェノールフタレイン指示薬を約0.2mL加え、さらに0.02モル/Lの水酸化ナトリウム溶液を加える。そして、密栓して軽く揺り動かし、紅色が消えたならば、さらに微紅色が消えずに残るまで滴定を続けたときを中和終点としその水酸化ナトリウムのmL数aを求める。そのときの酸度は、
酸度(炭酸カルシウム換算mg/L)=a×10
で与えられる。

次に基準油脂分析法で規定されている中和滴定法を説明する。基準油脂分析法での酸度の定義は、試料1g中に含まれている遊離脂肪酸を中和するに要する水酸化カリウムのmg数をいう。液体試料の場合、試料をその推定酸度(例えば酸度1以下は20gを採取、酸度1を越えて4以下は10gを採取、酸度が4を越えて15以下は2.5gを採取)に応じて採取して三角フラスコに正しく計り取る。これに中性溶剤100mLを加え、試料が完全に溶けるまで充分に振る。但し、ここでいう中性溶剤とはエチルエーテル、エタノール1:1の混合溶剤100mLにフエノールフタレイン指示薬約0.3mLを加え、使用直前に1/10規定(N)水酸化カリウム−エタノール溶液で中和したものである。

固体試料の場合は水浴上で加温溶融したのち溶剤を加えて溶解する。これを、1/10規定(N)水酸化カリウム−エタノール標準液で滴定し、指示薬の色変化が30秒続いたときを中和の終点と定める。そしてこのときの水酸化カリウムのmg数を計算するものである。

ところで、脂肪酸の測定については、このような中和滴定法によらず、ボルタンメトリーによって酸度を測定する方法がある。

これは特開平5−264503号公報で開示されたもので、遊離脂肪酸とナフトキノン誘導体共存する測定電解液電位規制法によるボルタンメトリーによって測定するものである。ナフトキノン誘導体の還元前置波電流値の大きさが、蟻酸のような低級脂肪酸からオレイン酸リノール酸のような高級脂肪酸まで全ての脂肪酸について、遊離脂肪酸の濃度に比例し、各脂肪酸の電流値を重ね合わせた値が脂肪酸の総濃度に対応することを利用している。すなわち、ナフトキノン誘導体の還元前置波の電流値の大きさを測ることにより酸濃度を測定するものである。

しかしこのボルタンメトリーでは、測定後に作用電極対極および比較電極測定溶液が付着するので、連続して測定を行う場合には、次の測定溶液に前回の測定溶液が混入しないようにするための洗浄が必要になり、測定作業が煩雑になるのみならず、測定に長時間を要するようになる。

ここで、付着溶液を除去するのではなく、作用電極を取り替える技術が提案されている。これは特開昭63−238457号公報で開示されたもので、溶液中の溶解物質電気化学的に測定するフロークーロメト検出器に作用電極を取り付け、作用電極の交換を容易にしたものである。

しかし、これはフロークーロメトリにおいて、対極液を抜きケーシングを外し電極収納体内部液を抜いて作用電極を交換していた煩雑さに対する改良発明である。したがって、作用電極の交換のための作業時間は短縮されるが、バッチ処理した場合に生ずる測定溶液混入のための洗浄の問題を解決するものではない。

概要

操作性よく、また洗浄作業を行うことなく連続して、酸度測定を行うことのできる測定容器を提供することを目的とする。

電解液10と酸含有の被測定液とが混合された共存電解液が収容される電解液収容部35が形成された容器本体部12aと、電解液収容部35を覆うことができる容器カバー12bと、それぞれが容器カバー12bに取り付けられるとともに共存電解液に浸漬される作用電極8および対極7と、同じく容器カバー12bに取り付けられ、共存電解液に浸漬される比較電極部9とを備え、比較電極部9には、内部に緩衝溶液が収容されるとともに、緩衝溶液と共存電解液とを導通させる液絡部18と、緩衝溶液に浸漬される比較電極とがそれぞれ設けられており、且つ作用電極8と対極7と比較電極のそれぞれの端部は、ボルタンメトリー回路に設けられたコネクタ着脱自在となっている測定容器である。

目的

そこで、本発明は、操作性よく酸度測定を行うことのできる測定容器、ボルタンメトリー測定装置および酸度測定装置を提供することを目的とする。

また、本発明は、安価で洗浄作業を行うことなく連続して酸度測定を行うことのできる測定容器、ボルタンメトリー測定装置および酸度測定装置を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

電解液と酸含有の被測定液とが混合された共存電解液が収容される電解液収容部が形成された容器本体部と、前記電解液収容部を覆うことができる容器カバーと、それぞれが前記容器カバーに取り付けられるとともに前記共存電解液に浸漬される作用電極および対極と、同じく前記容器カバーに取り付けられ、前記共存電解液に浸漬される比較電極部とを備え、前記比較電極部には、内部に緩衝溶液が収容されるとともに、前記緩衝溶液と前記共存電解液間とを導通させる液絡部と、前記緩衝溶液に浸漬される比較電極とがそれぞれ設けられており、且つ、前記作用電極と前記対極と前記比較電極のそれぞれの端部は、ボルタンメトリー回路に設けられたコネクタ着脱自在であることを特徴とする測定容器

請求項2

前記比較電極部は、容器カバーに着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の測定容器。

請求項3

前記作用電極と前記対極の何れか、若しくは何れもが前記容器カバーに着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1または2記載の測定容器。

請求項4

前記作用電極と前記対極と前記比較電極のそれぞれの端部を前記コネクタから離脱した後、使い捨てされることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の測定容器。

請求項5

前記容器カバーには電極孔が形成され、前記比較電極部は前記電極孔内に所定寸法だけ挿入することができることを特徴とする請求項2記載の測定容器。

請求項6

前記比較電極部を前記コネクタから離脱後、使い捨てされることを特徴とする請求項2または5記載の測定容器。

請求項7

前記作用電極と前記対極の何れか、若しくは何れもを前記コネクタから離脱後、使い捨てされることを特徴とする請求項3記載の測定容器。

請求項8

前記電極孔の一方端には、破断可能なフィルムが装着されていることを特徴とする請求項5記載の測定容器。

請求項9

前記電極孔の電解液収容部側には、前記共存電解液が前記電極孔内に浸入するのを阻止するとともに、前記比較電極部内の前記緩衝溶液と前記共存電解液間とを導通させる容器側液絡部が設けられていることを特徴とする請求項5記載の測定容器。

請求項10

前記電極孔内には緩衝溶液が充填されていることを特徴とする請求項9記載の測定容器。

請求項11

作用電極の電位を比較電極の電位から所定の電位差の範囲内で掃引して前記作用電極と対極との間を流れる電流を検出するボルタンメトリー回路と、前記ボルタンメトリー回路が検出した電流のプレピーク値を検出し、このプレピーク値から被測定液の酸度を算出する制御部とを備えたことを特徴とするボルタンメトリー測定装置

請求項12

前記ボルタンメトリー回路には、前記作用電極、前記対極および前記比較電極と接続されるコネクタが設けられていることを特徴とする請求項11記載のボルタンメトリー測定装置。

請求項13

請求項1〜10の何れか一項に記載の測定容器と、請求項11または12記載のボルタンメトリー測定装置とを備えたことを特徴とする酸度測定装置。

技術分野

0001

本発明は、食用油に含まれる遊離脂肪酸果実飲料に含まれるリンゴ酸酒石酸アルコール飲料に含まれる酸、あるいはコーヒーの中のコーヒー酸等の酸度を測定するための測定容器ボルタンメトリー測定装置および酸度測定装置に関するものである。

背景技術

0002

近年、食品は健康や安全面から一定の水準以上の品質が要求されるようになってきている。中でも食品中に含有された酸は食品の品質に大きな影響を与えるものである。また最近では酸度の低い食品が専ら嗜好される傾向にある。

0003

このように各種食品の酸度は食品の消費に大きな影響を及ぼすが、その影響する程度や測定法は食品によってそれぞれ異なるものである。そこで、以下、こうした食品の代表例として食用油、ジュース等の果実飲料、ウィスキーや酒、ワイン等のアルコール飲料、コーヒーについて、それぞれの酸がどのようなもので従来どのようにして測定されていたのかを説明をする。

0004

先ず、食用油に含まれる酸について説明する。わが国の食生活は急速に変化しつつあるが、その流れをみると、第1にインスタント化という大きな流れがあり、第2に手作り嗜好などに代表される多様化の流れがあるように思われる。特にインスタント指向時代を映し出しているともいえるもので、多くの加工食品増大傾向にある。中でもフライ食品の増加は著しい。というのはフライ食品は嗜好的にも好まれ、比較的腐敗を受けにくいという性質があるからである。

0005

しかし、このフライ食品も、温度や光の影響を受ける環境に長時間さらすと、空気中の酸素により油脂が自動酸化して、変敗臭が生じたり、その他品質の劣化がもたらされる。こうした理由から食用油脂および油脂加工品などの変敗、劣化に関して一般的に関心が高まり、例えば、油揚げの地域食品認証制度が発足したり、あるいは油菓子規制が行われたりしており、また弁当惣菜指導要項などでも油脂の劣化について法規制が検討されている。

0006

ところで、こうした油脂の傷み具合、特に加熱された油脂の劣化度を知る方法としては、酸価過酸化物価、粘度、ヨウ素価などを測定するいくつかの分析方法がある。ここで、上記したように食品の劣化に大きな影響を与えるのが温度や光であることを考慮すると、これらの中で酸度を直接測る酸価の測定が熱劣化の判定を行うために適当であり、また通常これが多く用いられている。

0007

次に、飲料水の酸について説明する。ジュース等の果実飲料は原料果実を搾汁機にかけて得た汁液であるが、果実飲料の多くは、新鮮果実の搾をそのまま用いるよりも、濃縮果汁または冷凍果汁原料として製品を作る場合が多い。例えばオレンジジュースの場合、みかん病害果や未熟果を除去した後に、表皮洗浄し、これを圧搾して果肉と果汁を取り出し、さらに果汁から果皮、じょうのう膜等を取り除いている。そしてこの時点で日本農林規格適合するように糖度や酸度などを調合し、その際に酸度を測定している。また、濃縮果汁や冷凍果汁からオレンジジュースを作る場合は、濃縮果汁や冷凍果汁に水を加えてオレンジジュースを作る際に酸度を測定している。

0008

続いて、アルコール飲料について説明する。ウィスキーや焼酎に代表される蒸留を何度も繰り返してエタノール収率を上げる蒸留酒、あるいは酒やワインに代表される素材そのものを発酵させて濾過することで得られる醸造酒、そしてその他果実酒ビール等の発泡酒等、アルコール飲料には色々と種類があってその製造過程まちまちである。しかし、いずれのアルコール飲料の製造においても、工程の中で製品の品質確保のために酸度の測定を行っている。

0009

最後に、コーヒーの酸について説明する。コーヒーの味を左右する酸味を与える物質は以下に述べるように多種類にわたるが、酸含有量がコーヒーの酸味評価の指標として重要である。コーヒー中に含まれる酸の代表としてはクロロゲン酸類が挙げられる。その含有量はコーヒー豆の焙煎の過程でも変動する。その他にも、コーヒーの酸味に関与する物質は、コーヒー酸、キナ酸、更にはクエン酸など多くの化合物がある。そして、それぞれの酸の含有量は微量でありながら、微妙なバランスとその総量が酸味の決め手になっていると考えられる。

0010

このように各種の食品において、その製造工程上でそれぞれの酸度を測定することが行われているが、その測定方法には様々なものがある。

0011

従来の酸測定方法の一例としては、基準油脂分析法、日本農林規格、JIS、日本薬局方油脂試験法衛生試験飲食物試験法上水試験方法などで定められた方法があるが、いずれも測定の基本はフェノールフタレイン指示薬とした中和滴定法である。そこで、この中和滴定方法を説明するため、上水試験方法と基準油脂分析法で規定されている中和滴定法を以下説明する。

0012

上水試験方法での酸度は、試料リットル中に含まれている炭酸カルシウムに酸を換算したときのmg数として定義される。具体的には試験水100mLを採り、これにフェノールフタレイン指示薬を約0.2mL加え、さらに0.02モル/Lの水酸化ナトリウム溶液を加える。そして、密栓して軽く揺り動かし、紅色が消えたならば、さらに微紅色が消えずに残るまで滴定を続けたときを中和終点としその水酸化ナトリウムのmL数aを求める。そのときの酸度は、
酸度(炭酸カルシウム換算mg/L)=a×10
で与えられる。

0013

次に基準油脂分析法で規定されている中和滴定法を説明する。基準油脂分析法での酸度の定義は、試料1g中に含まれている遊離脂肪酸を中和するに要する水酸化カリウムのmg数をいう。液体試料の場合、試料をその推定酸度(例えば酸度1以下は20gを採取、酸度1を越えて4以下は10gを採取、酸度が4を越えて15以下は2.5gを採取)に応じて採取して三角フラスコに正しく計り取る。これに中性溶剤100mLを加え、試料が完全に溶けるまで充分に振る。但し、ここでいう中性溶剤とはエチルエーテル、エタノール1:1の混合溶剤100mLにフエノールフタレイン指示薬約0.3mLを加え、使用直前に1/10規定(N)水酸化カリウム−エタノール溶液で中和したものである。

0014

固体試料の場合は水浴上で加温溶融したのち溶剤を加えて溶解する。これを、1/10規定(N)水酸化カリウム−エタノール標準液で滴定し、指示薬の色変化が30秒続いたときを中和の終点と定める。そしてこのときの水酸化カリウムのmg数を計算するものである。

0015

ところで、脂肪酸の測定については、このような中和滴定法によらず、ボルタンメトリーによって酸度を測定する方法がある。

0016

これは特開平5−264503号公報で開示されたもので、遊離脂肪酸とナフトキノン誘導体共存する測定電解液電位規制法によるボルタンメトリーによって測定するものである。ナフトキノン誘導体の還元前置波電流値の大きさが、蟻酸のような低級脂肪酸からオレイン酸リノール酸のような高級脂肪酸まで全ての脂肪酸について、遊離脂肪酸の濃度に比例し、各脂肪酸の電流値を重ね合わせた値が脂肪酸の総濃度に対応することを利用している。すなわち、ナフトキノン誘導体の還元前置波の電流値の大きさを測ることにより酸濃度を測定するものである。

0017

しかしこのボルタンメトリーでは、測定後に作用電極対極および比較電極測定溶液が付着するので、連続して測定を行う場合には、次の測定溶液に前回の測定溶液が混入しないようにするための洗浄が必要になり、測定作業が煩雑になるのみならず、測定に長時間を要するようになる。

0018

ここで、付着溶液を除去するのではなく、作用電極を取り替える技術が提案されている。これは特開昭63−238457号公報で開示されたもので、溶液中の溶解物質電気化学的に測定するフロークーロメト検出器に作用電極を取り付け、作用電極の交換を容易にしたものである。

0019

しかし、これはフロークーロメトリにおいて、対極液を抜きケーシングを外し電極収納体内部液を抜いて作用電極を交換していた煩雑さに対する改良発明である。したがって、作用電極の交換のための作業時間は短縮されるが、バッチ処理した場合に生ずる測定溶液混入のための洗浄の問題を解決するものではない。

発明が解決しようとする課題

0020

中和滴定法による酸度測定装置では、ビーカービューレットおよびこれを支える台、メスフラスコホールピペットなどの器具を用い、エーテルとエタノールの混合溶液等の中性溶剤と、指示薬としてのフェノールフタレインを使用して測定を行うために、操作性が悪いという問題があった。

0021

また、前述のように、特開平5−264503号公報で開示された技術では、溶液受け部や電極表面に測定液が付着するため、同一の電極で連続して測定する場合には、後の測定液に前の付着液が混入して測定値バラツキが発生しないように煩雑で時間のかかる洗浄作業が必要であった。

0022

そのほかにも、試料等を調整する手間がかかり、測定に時間がかかるといった問題や、電極、特に比較電極は洗浄しないで使い捨てするには高価すぎるといった問題があった。

0023

そこで、本発明は、操作性よく酸度測定を行うことのできる測定容器、ボルタンメトリー測定装置および酸度測定装置を提供することを目的とする。

0024

また、本発明は、安価で洗浄作業を行うことなく連続して酸度測定を行うことのできる測定容器、ボルタンメトリー測定装置および酸度測定装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0025

この課題を解決するために、本発明の測定容器は、電解液と酸含有の被測定液とが混合された共存電解液が収容される電解液収容部が形成された容器本体部と、電解液収容部を覆うことができる容器カバーと、それぞれが容器カバーに取り付けられるとともに共存電解液に浸漬される作用電極および対極と、同じく容器カバーに取り付けられ、共存電解液に浸漬される比較電極部とを備え、比較電極部には、内部に緩衝溶液が収容されるとともに、緩衝溶液と共存電解液とを導通させる液絡部と、緩衝溶液に浸漬される比較電極とがそれぞれ設けられており、且つ作用電極と対極と比較電極のそれぞれの端部は、ボルタンメトリー回路に設けられたコネクタ着脱自在となっているものである。

0026

これにより、酸度測定のための大掛かりな設備は不要になるので、操作性よく被測定液の酸度測定を行うことが可能になる。

0027

また、測定容器がボルタンメトリー測定装置に対して着脱自在に設けられているので、測定容器だけを使い捨てにし、新たな測定容器をボルタンメトリー測定装置にセットして順次酸度測定を行うことができ、付着した溶液の洗浄作業をすることなく連続して酸度測定を行うことが可能になる。

発明を実施するための最良の形態

0028

本発明の請求項1に記載の発明は、電解液と酸含有の被測定液とが混合された共存電解液が収容される電解液収容部が形成された容器本体部と、電解液収容部を覆うことができる容器カバーと、それぞれが容器カバーに取り付けられるとともに共存電解液に浸漬される作用電極および対極と、同じく容器カバーに取り付けられ、共存電解液に浸漬される比較電極部とを備え、比較電極部には、内部に緩衝溶液が収容されるとともに、緩衝溶液と共存電解液とを導通させる液絡部と、緩衝溶液に浸漬される比較電極とがそれぞれ設けられており、且つ作用電極と対極と比較電極のそれぞれの端部は、ボルタンメトリー回路に設けられたコネクタに着脱自在である測定容器であり操作性よく被測定液の酸度測定を行うことが可能になるという作用を有する。

0029

また、測定容器だけを使い捨てにすることができ、付着した溶液の洗浄作業をすることなく連続して酸度測定を行うことが可能になるという作用を有する。

0030

本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、比較電極部が容器カバーに着脱自在に取り付けられている測定容器であり、比較電極部を継続使用することができるという作用を有する。

0031

本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、作用電極と対極の何れか、若しくは何れもが容器カバーに着脱自在に取り付けられてい測定容器であり、作用電極や対極を継続使用することができるという作用を有する。

0032

本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の発明において、作用電極と対極と比較電極のそれぞれの端部をコネクタから離脱した後に使い捨てされる測定容器であり、測定準備時間が短縮されるという作用を有する。

0033

本発明の請求項5に記載の発明は、請求項2記載の発明において、容器カバーには電極孔が形成され、比較電極部は電極孔内に所定寸法だけ挿入することができる測定容器であり、挿入量が一定化できるので再現性のある安定した測定が可能になるという作用を有する。

0034

本発明の請求項6に記載の発明は、請求項2または5記載の発明において、比較電極部をコネクタから離脱後、使い捨てされる測定容器であり、測定準備時間が短縮されるという作用を有する。

0035

本発明の請求項7に記載の発明は、請求項3記載の発明において、作用電極と対極の何れか、若しくは何れもをコネクタから離脱後、使い捨てされる測定容器であり、測定準備時間が短縮されるという作用を有する。

0036

本発明の請求項8に記載の発明は、請求項5記載の発明において、電極孔の一方端に破断可能なフィルムが装着されている測定容器であり、測定容器内の電解液が流出しないという作用を有する。

0037

本発明の請求項9に記載の発明は、請求項5記載の発明において、電極孔の電解液収容部側に、共存電解液が電極孔内に浸入するのを阻止するとともに、比較電極部内の緩衝溶液と共存電解液間とを導通させる容器側液絡部が設けられている測定容器であり、比較電極部を洗浄することなくそのまま継続使用することができるという作用を有する。

0038

本発明の請求項10に記載の発明は、請求項9記載の発明において、電極孔内には緩衝溶液が充填されている測定容器であり、比較電極部の緩衝溶液と電解液との間の電子イオンの行き来がスムーズに行われて安定した導通をとることができるので、より高精度の酸度測定が可能になるという作用を有する。

0039

本発明の請求項11に記載の発明は、作用電極の電位を比較電極の電位から所定の電位差の範囲内で掃引して作用電極と対極との間を流れる電流を検出するボルタンメトリー回路と、ボルタンメトリー回路が検出した電流のプレピーク値を検出し、このプレピーク値から被測定液の酸度を算出する制御部とを備えたボルタンメトリー測定装置である。

0040

本発明の請求項12に記載の発明は、請求項11記載の発明において、ボルタンメトリー回路には、作用電極、対極および比較電極と接続されるコネクタが設けられているボルタンメトリー測定装置である。

0041

本発明の請求項13に記載の発明は、請求項1〜10の何れか一項に記載の測定容器と、請求項11または12記載のボルタンメトリー測定装置とを備えた酸度測定装置であり、安価且つ迅速に高精度の酸度測定を行うことができるという作用を有する。

0042

以下、本発明の実施の形態について、図1から図14を用いて説明する。なお、これらの図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。

0043

(実施の形態1)図1は本発明の一実施の形態である測定容器を示す斜視図、図2図1の測定容器を示す断面図、図3図1の測定容器に取り付けられた比較電極部を示す概略図、図4図1の測定容器に取り付けられた作用電極を示す斜視図、図5図4の作用電極の電極面積還元電流との関係を示すグラフ図6図4の作用電極を流れる還元電流と酸価度との関係を示すグラフ、図7オルトベンゾキノン誘導体を混合した酸含有の共存電解液のボルタンメトリーによる酸度測定の電流−電位の関係を示すグラフ、図8は本発明の実施の形態1におけるボルタンメトリー測定装置を示す外観斜視図、図9図8のボルタンメトリー測定装置に測定容器が取り付けられた酸度測定装置を示す外観斜視図、図10は本発明の実施の形態1におけるボルタンメトリー測定装置の制御系を示すブロック図、図11は本発明の実施の形態1におけるボルタンメトリー測定装置のボルタンメトリー回路のオペアンプからの出力電圧を示すグラフ、図12は本発明の実施の形態1におけるボルタンメトリー測定装置のボルタンメトリー回路の積分回路からの出力電圧を示すグラフである。

0044

図1および図2に示す測定容器12は、酸含有の被測定液の酸度を測定する酸度測定装置の一部をなすもので、容器本体部12aと、この容器本体に取り付けられた容器カバー12bとから構成されている。

0045

容器カバー12bには、対極7、作用電極8および比較電極部9が取り付けられている。また、容器本体部12aには電解液収容部35が設けられており、この電解液収容部35には、キノン誘導体有機溶媒電解質を混合した電解液10がたとえば10mL収容されている。このキノン誘導体としては、オルトベンゾキノン誘導体、パラベンゾキノン誘導体またはナフトキノン誘導体などが適当である。これらのキノン誘導体、特にオルトベンゾキノン誘導体およびパラベンゾキノン誘導体は、還元電流波形溶存酸素還元波形からシフトして出現するので、除酸素しなくても正確に酸度を測定することができる。

0046

対極7、作用電極8、比較電極部9の一方端は外部に突出され、他方端は電解液10に浸漬されており、比較電極部9の電極の一方端は外部に突出され、他方端は緩衝溶液22に浸漬されている。

0047

ここで、対極7の材料としては電解液10および被測定液中でも腐食せず化学的に安定な白金黒鉛、金が望ましいが、腐食しないステンレスアルミニウム及び白金含有合金等であってもよい。

0048

また、作用電極8の材料としては、炭素もしくはグラッシーカーボンと呼ばれるガラス状炭素や、PFCと呼ばれるプラスチックフォームを1000℃〜2000℃で焼結した炭素が適当である。

0049

比較電極部9は、図3に示すように、ガラス容器9a内に突出された比較電極21と、ガラス容器9a内に収容された緩衝溶液22と、ガラス容器9aの端面を形成する液絡部18とから構成されている。

0050

比較電極21の材料としては銀−塩化銀が望ましいが、飽和カロメル飽和塩化カロメル、銀−銀イオン、水銀−飽和硫酸水銀、銅−飽和硫酸銅でもよい。なお、例えば銀−塩化銀などの表示は、銀からなる比較電極18の表面を塩化銀で被覆していることを示す。緩衝溶液22の材料としては、塩化銀、塩化ナトリウム塩化リチウム等の塩素化合物、その他の比較電極21の酸化還元反応において緩衝作用を示す溶液が適当である。また、液絡部18は緩衝溶液19と電解液10との間に位置され、被測定液を含むこれらの溶液は通過させないが電子もしくはイオンは通過させる作用を有するものであり、多孔質セラミックスや多孔質のバイコールガラス等から構成されている。

0051

続いて、電解液収容部35に収容される電解液10について説明する。本実施の形態では、電解質として過塩素酸リチウムが使用されている。本実施の形態の電解液10は、溶媒としてエタノール65%にイソオクタン35%を混合して10mLとし、オルトベンゾキノン10mモル/L、過塩素酸リチウム50mモル/Lを溶融したもので、この溶媒に被測定液を混合して測定を行う。エタノールは電解質を容易に溶融することができ、同時に電極表面を洗浄する作用効果も合わせもっている。また、イソオクタンは熱劣化した油であっても溶融させることができ、エタノールとの溶解性相性がよいものである。但し、熱劣化した油はイソオクタンの含有率が35%以上でないと溶融しないため、イソオクタンを最低でも35%混合することが必要である。そして、油の熱劣化度が大きくなった場合には、これに対応してイソオクタンの含有率を増加させる必要がある。このようにイソオクタンを35%以上混合しているので、プロトン性の有機溶媒であるエタノールに劣化油を溶融させることができ、酸度の測定が可能になる。

0052

図1および図2に示すように、容器カバー12bには、酸含有の被測定液を電解液10に投入するための試料注入口11が形成されている。この試料注入口11には、内部の電解液10が輸送中や保管中に試料注入口11を通じて外部へ流出しないように、破断可能な断絶フィルム13が貼着されている。したがって、被測定液は断絶フィルム13を突き破って試料注入口11から注入される。なお、断絶フィルム13は電解液10に侵されない材質で、且つ簡単に突き破ることの可能な厚さのものであれば種々の材質のものを用いることができる。但し、電解液10に溶け出して測定に支障を及ぼすアルミ箔などの金属箔は好ましくない。

0053

容器カバー12bには、電解液10まで延びた電極孔36が形成されている。この電極孔36の底部には破断可能な断絶フィルム17が貼着されている。そして、前記した比較電極部9はこの電極孔36に挿入されている。

0054

図2に示すように、電極孔36の内壁には、その長さ方向の中間位置に突起15が、電解液10寄り位置にはストッパ16が形成されている。また、比較電極部9の外周の一箇所に突起14が形成されている。そして、比較電極部9を電極孔36に挿入すると、比較電極部9に形成された突起14と電極孔36に形成された突起15が当接して接触する。これにより、比較電極部9の液絡部18と断絶フィルム17との間に空隙ができて両者は非接触に保たれ、断絶フィルム17は破断されない。

0055

これは、比較電極部9を挿入したときに、直ちに断絶フィルム17がこの比較電極部9により破断されると、容器本体部12a内の電解液10が液絡部18に接触し、この液絡部18を通して比較電極部9の内部にまで浸透してしまうからである。また、比較電極部9の緩衝溶液が液絡部18を通して電解液10に浸透してしまうからである。

0056

したがって、測定に際しては、突起15に当接している比較電極部9を押し下げる。すると、突起14は突起15を乗り越えてストッパ16で止まるとともに、その動作中に比較電極部9により断絶フィルム17が破断されて液絡部18が電解液10に浸漬される。これにより、酸度測定が可能となる。なお、測定後は測定容器12内の溶液を排出後、エタノールや蒸留水などで洗浄して使い回してもよい。または、そのまま使い捨てとしてもよい。

0057

さて、油の酸価度に関しては2.5近辺が劣化の目安となるため、少なくとも0.1程度の測定精度が確保できる。なお:1gの油を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数を酸価度と称し、この酸価度がこの場合の酸度である。ここで、図4に示す作用電極8の電極面積Sと還元電流Iとの関係を図5に、還元電流Iと酸価度Aとの関係を図6に、それぞれ示す。また、電極面積と還元電流との関係を介して得られる電極直径と酸価度との関係を(表1)に示す。

0058

0059

なお、図5より、電極面積Sと還元電流Iとの関係は、
I=3.1×S−0.6
で与えられる。

0060

また、図6より、還元電流Iと酸価度Aとの関係は、
A=0.2×I−1.3
で与えられる。

0061

そして、(表1)は、これらの式に所定の値を代入して数値化したものである。

0062

(表1)に示すように、作用電極8の直径が3mmの場合における直径公差±0.01mmの誤差に対する酸価度の変化量は、±0.031であった。したがって、作用電極8の直径が3mm以下の場合、その精度を±0.01mm以下にすることによって酸価度の測定精度を±0.03以下にすることが可能となる。但し、測定においてはその他の誤差も考慮されるので、作用電極の直径の精度を±0.01mm以下にすることによって、酸価度の測定精度を±0.05という高い精度を確保することができる。

0063

作用電極8の直径の精度が±0.01mmを確保することができない場合には、酸価度が既知の標準液を2つ以上用意し、予め各電極毎に測定して校正を行い、精度バラツキ分を修正しなければならない。しかし、電解液等の測定溶液や温度,各電極等の構造を一定にするとともに、作用電極8の直径公差を±0.01mm以下にすれば、このような校正を行う必要がない。

0064

ここで、前述のように、本実施の形態では、電解液10にはオルトベンゾキノン誘導体もしくはパラベンゾキノン誘導体、またはナフトキノン誘導体等が混合されいる。そこで、キノン誘導体もしくはパラベンゾキノン誘導体を混合した電解液10を用いて酸度を測定する場合について説明する。

0065

図7において、横軸は比較電極に銀−塩化銀、作用電極にφ2のプラスチックフォームドカーボンを用いたときの比較電極に対する作用電極の電位であり、縦軸はこのとき対極に流れる電流値である。但し、電流値は作用電極の表面積の大きさや酸の濃度といった条件によって変わるものである。これに対して横軸の電位の値は酸の濃度によって若干変動はあるものの無視できる程度のものである。

0066

さて、このような測定容器12は図8および図9に示すボルタンメトリー測定装置38に取り付けられ、ボルタンメトリー測定装置38と電気的に接続される。つまり、測定容器12はボルタンメトリー測定装置38に着脱自在になっており、測定時にボルタンメトリー測定装置38に取り付けられる。

0067

図8および図9に示すように、酸度測定装置のボルタンメトリー測定装置38には、測定容器12のセットされる内部空間を覆う上蓋1が取り付けられている。また、ボルタンメトリー測定装置38には、上蓋1のロック開放するための開放ボタン2が設けられている。さらに、測定酸度を表示する表示手段であるLCD3、酸度の大きさによって測定領域を切り替えるための切り替えボタン37、測定を開始するためのスタートストップタン5および本装置電源をON、OFFする電源ボタン6が配列されている。そして、装着された測定容器12の対極7、作用電極8および比較電極部9(図1図2)と嵌合して測定容器12とボルタンメトリー測定装置38とを電気的に接続するコネクタ4が設けられている。

0068

これにより、開放ボタン2を押して上蓋1を開放し、測定容器12を装着してコネクタ4を対極7、作用電極8および比較電極部9に嵌合すると、酸度測定装置が測定可能な状態になる。このように、本実施の形態によれば、酸度測定のための大掛かりな設備は不要になるので、操作性よく被測定液の酸度測定を行うことが可能になる。

0069

また、測定容器12がボルタンメトリー測定装置38に対して着脱自在に設けられているので、一回の酸度測定毎に測定容器12だけを使い捨てにし、順次、新たな測定容器12をボルタンメトリー測定装置38にセットして酸度測定を行うことができるので、付着した溶液の洗浄作業を行うことなく連続して酸度測定を行うことが可能になる。

0070

さて、本実施の形態における酸度測定装置による酸度測定について、劣化油を例にとって説明する。

0071

先ず、被測定液である劣化油を試料注入口11より測定容器12内へ注入する。そして、測定容器12をよく振って電解液10と劣化油とを攪拌混合し、共存電解液とする。このとき劣化油はたとえば0.5g、電解液10はたとえば10mLである。

0072

次に、測定容器12をボルタンメトリー測定装置38の所定の場所にセットして、コネクタ4を測定容器12に取り付ける。そして、上蓋1を閉じて測定可能な状態となる。

0073

電源ボタン6とスタート・ストップボタン5とを押して測定開始すると、後記する制御部23が、作用電極8の電位を銀−塩化銀電極である比較電極21の電位に対して+500mV〜−300mV(vs Ag/AgCl)の範囲で3〜20mV/sの掃引速度で掃引するように、作用電極8と対極7の間に電圧印加する。この+500mV〜−300mV(vs Ag/AgCl)の範囲というのは、プレピーク値を正確に測定できる領域である。そして、掃引速度3〜20mV/s(vs Ag/AgCl)で所定の電位差を掃引すると、図7に示すような安定したボルタンメトリー電流波形を得ることができる。

0074

このような掃引を行うことで、酸の還元電流のピークが0mV付近の電位で出現する。これがプレピークであり、この電位は酸の濃度が上がると負側へシフトしていく。しかしシフトがあっても+500mV〜−300mV(vs Ag/AgCl)の範囲に設定しておけば、どのような濃度の酸度であっても測定することができる。

0075

次に、本実施の形態のボルタンメトリー測定装置の制御系について説明する。図10に示すように、スタート・ストップボタン5によって動作するスタート・ストップスイッチ5’および電源ボタン6を押すと動作する電源スイッチ6’が接続され、マイクロコンピュータ等から構成される制御部23には、所定のデータをやり取りして被測定液の酸度を算出する酸度算出手段33、および算出された酸度を表示するLCD3が接続されている。また、所定の周期発振する発振子24、この発振子24の信号からクロックを生成する分周回路25、分周回路25のクロックで計時を行うタイマー(計時手段)26が接続されている。さらに、制御部23の出力側から入力側に向かって、D/Aコンバータ27、オペアンプ28、モニタリング回路29、抵抗器30、差動アンプ31、A/Dコンバータ32からなるボルタンメトリー回路が順次電気的に接続されている。

0076

このような制御系によれば、電源ボタン6(図8図9)を押すとLCD3が動作可能となる。次にスタート・ストップボタン5を押すと、制御部23は発振子24により発生される信号を基に分周回路25によって内部でクロックを作り、そのクロックをカウントしてタイマー26が計時を開始する。このタイマー26は1秒単位で計時を行う。

0077

タイマー26に同期して制御部23はD/Aコンバータ27へ所定の電圧のデジタル信号パルス)を送る。D/Aコンバータ27ではそのデジタル信号をアナログ信号に変換し、オペアンプ28へ出力する。

0078

図11に示すように、横軸に時間、縦軸に電圧をとった場合、時間が1秒、2秒、3秒、・・・と計時される毎に、電圧が5mV、10mV、15mV、・・・段階的に変化して行く。そしてオペアンプ28から出力されるこのような信号はRC積分回路を通ることにより積分され、図12に示したアナログ信号となり、モニタリング回路29に入力される。

0079

モニタリング回路29においては、モニタリング回路29を構成するオペアンプのイマジナリショートを利用して、出力端側の対極7の電圧をアナログ信号に従って制御し、マイナス入力端側の比較電極21の電圧Rがアナログ信号と同じになるようにする。これにより比較電極21と作用電極8との間の電位差は所定の値+500mV〜−300mV(vs Ag/AgCl)の範囲となる。一方、対極7に流れる電流は、抵抗器30の両端の電圧を差動アンプ31を通すことにより電圧へ変換され、A/Dコンバータ32を介してアナログ信号からディジタル信号へ変換されて制御部23へ入力される。

0080

ここで、制御部23は、このようなボルタンメトリー回路で所定の掃引速度で掃引される電圧に対して入力された電流をそれぞれ比較することにより(図12)、図7のAで表したプレピークを与える電流値を検出する。ここで、本実施の形態においてはオルトベンゾキノンを混合した電解液が用いられている。そこで、この電流のプレピーク値を基に酸度算出手段33で被測定液の酸度を計算し、その値をLCD3で表示する。

0081

制御部23は作用電極8と比較電極21との間の電位差をモニタリングしながら、作用電極8と対極7の間に電圧を印加する。

0082

そして測定値を酸度に変換するためには、予め酸度が分かっている標準試薬を作成し、例えば酸度1、2、3に対する電流は何μAで、このとき比例常数Kはいくら、切片Nはいくらといった具合に酸度算出手段33中のメモリに比例常数K、切片Nを記憶設定しておけばよい。

0083

このように比例常数K、切片Nを記憶しておけば、任意の酸度を測定したい場合、マイクロコンピュータから構成される酸度算出手段33によって測定電流値Iを酸度θに変換することができる。

0084

(実施の形態2)図13は本発明の実施の形態2における測定容器を示す断面図である。

0085

図示する測定容器12においては、電極孔36の底部には、溶液および被測定液は通過させないが、共存電解液の電子ならびにイオンを通過させることで溶液と緩衝溶液との導通を図る容器側液絡部19が取り付けられている。この容器側液絡部19は、実施の形態1の断絶フィルム17のように破断可能なものではない。したがって、電極孔36に挿入された比較電極部9は、液絡部18がこの容器側液絡部19に当接した状態で酸度測定が実行される。

0086

このように、容器側液絡部19を設けることにより、共存電解液中および緩衝溶液22中の電子およびイオンは、比較電極部9の液絡部18と測定容器12の容器側液絡部19とを通して行き来が可能になる。

0087

これにより、比較電極部9の液絡部18が直接電解液10に浸されることなく酸度測定ができるので、使い捨てとなる測定容器12にあっても、比較電極部9は洗浄することなくそのまま継続使用することが可能になる。

0088

(実施の形態3)図14は本発明の実施の形態3における測定容器を示す断面図である。

0089

図示する測定容器12にあっては、実施の形態2において説明した測定容器12に対して、電極孔36内に緩衝溶液20が充填されたものである。

0090

なお、本実施の形態においては、緩衝溶液20が輸送中や保管中に流出しないように、電極孔36の表面には断絶フィルム34が貼着されている。したがって、比較電極部9は、この断絶フィルム34を突き破って電極孔36にセットされる。

0091

このように、電極孔36に緩衝溶液20を充填することにより、比較電極部9の緩衝溶液22と電解液10との間の電子とイオンの行き来がよりスムーズに行われて比較電極部9と溶液と間に安定した導通をとることができ、より高精度の酸度測定が可能になる。また、本実施の形態においても、比較電極部9の液絡部18が直接電解液10に浸されることなく酸度測定ができるので、比較電極部9は洗浄することなくそのまま継続使用することが可能になる。

発明の効果

0092

以上のように、本発明によれば、酸度測定のための大掛かりな設備は不要になるので、操作性よく被測定液の酸度測定を行うことが可能になるという有効な効果が得られる。

0093

また、本発明によれば、測定容器がボルタンメトリー測定装置に対して着脱自在に設けられているので、測定容器だけを使い捨てにし、新たな測定容器をボルタンメトリー測定装置にセットして順次酸度測定を行うことができ、付着した溶液の洗浄作業をすることなく連続して酸度測定を行うことが可能になるという有効な効果が得られる。

0094

作用電極、対極、比較電極部を容器カバーに着脱自在に取り付けることにより、これらの電極を継続使用することができるという有効な効果が得られる。

0095

作用電極、対極、比較電極をコネクタから離脱した後に使い捨てするようにすることにより、測定準備時間が短縮されるという有効な効果が得られる。

0096

比較電極部を容器カバーの電極孔内に所定寸法だけ挿入するようにすることにより、挿入量が一定化できるので再現性のある安定した測定が可能になるという有効な効果が得られる。

0097

電極孔の一方端に破断可能なフィルムを装着することにより、測定容器内の電解液が流出しないという有効な効果が得られる。

0098

電極孔の電解液収容部側に、共存電解液が電極孔内に浸入するのを阻止するとともに、比較電極部内の緩衝溶液と共存電解液間とを導通させる容器側液絡部を設けることにより、比較電極部をそのまま洗浄することなく継続使用することができるという有効な効果が得られる。

0099

電極孔内に緩衝溶液を充填することにより、比較電極部の緩衝溶液と電解液との間の電子とイオンの行き来がスムーズに行われて安定した導通をとることができるので、より高精度の酸度測定が可能になるという有効な効果が得られる。

0100

そして、このような測定容器が用いられた酸度測定装置によれば、安価且つ迅速に高精度の酸度測定を行うことができるという有効な効果が得られる。

図面の簡単な説明

0101

図1本発明の実施の形態1による測定容器を示す斜視図
図2図1の測定容器を示す断面図
図3図1の測定容器に取り付けられた比較電極部を示す概略図
図4図1の測定容器に取り付けられた作用電極を示す斜視図
図5図4の作用電極の電極面積と還元電流との関係を示すグラフ
図6図4の作用電極を流れる還元電流と酸価度との関係を示すグラフ
図7オルトベンゾキノン誘導体を混合した酸含有の共存電解液のボルタンメトリーによる酸度測定の電流−電位の関係を示すグラフ
図8本発明の実施の形態1におけるボルタンメトリー測定装置を示す外観斜視図
図9図8のボルタンメトリー測定装置に測定容器が取り付けられた酸度測定装置を示す外観斜視図
図10本発明の実施の形態1におけるボルタンメトリー測定装置の制御系を示すブロック図
図11本発明の実施の形態1におけるボルタンメトリー測定装置のボルタンメトリー回路のオペアンプからの出力電圧を示すグラフ
図12本発明の実施の形態1におけるボルタンメトリー測定装置のボルタンメトリー回路の積分回路からの出力電圧を示すグラフ
図13本発明の実施の形態2における測定容器を示す断面図
図14本発明の実施の形態3における測定容器を示す断面図

--

0102

4コネクタ
7対極
8作用電極
9比較電極部
10電解液
12測定容器
12a容器本体部
12b容器カバー
18液絡部
19 容器側液絡部
20緩衝溶液
21 比較電極
22 緩衝溶液
35 電解液収容部
36電極孔
38ボルタンメトリー測定装置

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 株式会社SOKENの「 ガスセンサ」が 公開されました。( 2020/04/09)

    【課題】被毒による電極の劣化を抑制しつつ、検出対象ガス中の特定ガス成分の検出精度及び検出の応答性を高く維持することができるガスセンサを提供する。【解決手段】ガスセンサ1は、検出対象ガスGに晒される検知... 詳細

  • 島根県の「 味覚センサ」が 公開されました。( 2020/04/09)

    【課題】より高濃度の旨味成分を含む試料の測定を可能にする、味覚センサを提供する。【解決手段】高分子基質と、可塑剤と、脂肪酸と、オニウム塩と、を含む脂質膜を備えた電極を含む味覚センサの提供。... 詳細

  • ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社の「 防着剤自動供給装置および防着液の濃度管理方法」が 公開されました。( 2020/04/09)

    【課題】ディップ槽の防着液濃度管理を自動化することにより、作業員の労力や人件費を抑制するだけでなく、ストックタンクでの濃度変化を適正な範囲にコントロールすることや、スマート工場化を進めることを可能にす... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ