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技術 放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食予測装置、及び放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食防止装置、並びに放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食予測方法、及び放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食防止方法

出願人 株式会社神戸製鋼所
発明者 小松征彦藤原和雄舛形剛
出願日 1997年10月6日 (23年1ヶ月経過) 出願番号 1997-272706
公開日 1999年4月23日 (21年7ヶ月経過) 公開番号 1999-108876
状態 特許登録済
技術分野 耐候試験、機械的方法による材料調査 電気化学的な材料の調査、分析 燃料及び物質の取扱い並びに実験設備 原子力プラント 汚染除去及び汚染物処理
主要キーワード ウォータシール 腐食防止装置 停止電位 ステンレス鋼試験片 試験水溶液 臨界電位 水あか コンクリート槽
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(1999年4月23日)のものです。
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図面 (9)

課題

解決手段

定常腐食電位測定手段200は、ライニング材120の定常腐食電位(ESP)を測定し、一方すきま腐食再不動態化電位測定手段300は、ライニング材120のすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)を測定する。コントローラ400は、ライニング材120の定常腐食電位(ESP)及びすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)の測定値を比較し、この比較結果に基づいて、ライニング材120にすきま腐食が生じるか否かを予測する。ライニング材120にすきま腐食が生じると予測することを条件として、コントローラ400は、金属片投入手段500を作動させ、放射性廃棄物貯蔵プール100内に、すきま腐食再不動態化電位(ER.crev)よりも卑な電位を示す金属片Mを投入し、この投入した金属片Mをライニング材120に接触させる。

概要

背景

放射性廃棄物のうち、特に、固体廃棄物は、予め定める方法により減容された後、ドラム缶に詰められる。この固体廃棄物が詰め込まれたドラム缶は、原子炉施設内に設置された放射性廃棄物貯蔵プールにて相当期保管される。この際、ドラム缶が内部の固体廃棄物の放射線により発熱するので、放射性廃棄物貯蔵プールには、ドラム缶を十分に冷却するべく、水が溜められている。その後、固体廃棄物の保管期間満了すると、ドラム缶は、安全性を確かめてから、陸地又は海洋に処分される。

上記放射性廃棄物貯蔵プールは、放射線の外部への漏洩を未然に防止するべく、予め定める厚さを有するコンクリート槽と、このコンクリート槽の内壁内張りされたライニング材とを備えており、いわゆる2層ピット構造とされている。かかる放射性廃棄物貯蔵プールのライニング材としては、厚さ数mm程度のSUS304Lステンレス鋼が広く使用されている。

ところで、原子炉施設は、海に近い場所に立地しているのが現状である。加えて、放射性廃棄物貯蔵プールは、完全に密封されていない。そのため、海水に含まれる塩素イオンが放射性廃棄物貯蔵プール内に浸入し、ドラム缶を冷却するための水に塩素イオンが存在することになる。この塩素イオンの存在は、ライニング材としてのステンレス鋼とドラム缶との間、又はライニング材としてのステンレス鋼とこれに付着した水あか等の堆積物との間にすきまが存在する場合には、すきま間の内外において濃淡電池が構成されて生じる、いわゆるすきま腐食の発生を誘発させる。つまり、ステンレス鋼は、塩素イオンの影響を受け、すきま腐食を生じる。このように、ステンレス鋼にすきま腐食が発生すると、放射性廃棄物プール健全性が損なわれる恐れがあり、放射線が外部に漏洩する1つの原因となり得る。したがって、放射性廃棄物貯蔵プールにおいては、ライニング材としてのステンレス鋼にすきま腐食が発生していることをできるだけ早い時期に発見することに努めることが肝要とされている。

そこで、先に、特開昭59−85950号公報にて、金属の腐食の発生を検知し得る方法が提案されている。かかる公開公報に開示さている金属の腐食検知方法は、液体に対して一定の電位を示す電極装置を介して、液体に接触する金属の電位を経時的に測定し、金属の急激な低下を検出することにより、腐食の発生を検知するものである。

概要

放射性廃棄物貯蔵プールのライニング材のすきま腐食の発生を予測・防止すること。

定常腐食電位測定手段200は、ライニング材120の定常腐食電位(ESP)を測定し、一方すきま腐食再不動態化電位測定手段300は、ライニング材120のすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)を測定する。コントローラ400は、ライニング材120の定常腐食電位(ESP)及びすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)の測定値を比較し、この比較結果に基づいて、ライニング材120にすきま腐食が生じるか否かを予測する。ライニング材120にすきま腐食が生じると予測することを条件として、コントローラ400は、金属片投入手段500を作動させ、放射性廃棄物貯蔵プール100内に、すきま腐食再不動態化電位(ER.crev)よりも卑な電位を示す金属片Mを投入し、この投入した金属片Mをライニング材120に接触させる。

目的

本発明は、上記着想に基づきなされたもので、放射性廃棄物貯蔵プールのライニング材のすきま腐食の発生を予測することができる放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食予測装置、及び放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食予測方法を提供することを目的とする。また、本発明は、ライニング材にすきま腐食が発生することが予測された場合には、この予測に基づいて、ライニング材のすきま腐食の発生を防止することができる放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食防止装置、及び放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食防止方法を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

内壁不動態合金製作されたライニング材内張りされており、予め定める処理を施された放射性廃棄物を予め定める素材で製作された容器に詰めた状態で相当期保管し、この際、容器が内部の放射性廃棄物の放射線により発熱するのを防止するべく、容器を冷却するための媒体充填される放射性廃棄物貯蔵プールのライニング材のすきま腐食予測するための装置であって、上記ライニング材の定常腐食電位を測定する定常腐食電位測定手段と、上記ライニング材のすきま腐食再不動態化電位を測定するすきま腐食再不動態化電位測定手段と、上記定常腐食電位測定手段にて測定された定常腐食電位と、上記すきま腐食再不動態化電位測定手段にて測定されたすきま腐食再不動態化電位とを比較し、この比較結果に基づいて、上記ライニング材にすきま腐食が生じるか否かを予測するすきま腐食予測手段とを含むことを特徴とする、放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食予測装置

請求項2

請求項1に記載の放射性廃棄物貯蔵プールのライニング材にすきま腐食が発生するのを防止するための装置であって、上記すきま腐食予測手段にて上記ライニング材にすきま腐食が生じると予測されたことを条件として、上記ライニング材の定常腐食電位を上記ライニング材のすきま腐食再不動態化電位以下とする定常腐食電位低下手段を含むことを特徴とする、放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食防止装置

請求項3

請求項2に記載の放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食防止装置において、上記定常腐食電位低下手段は、上記放射性廃棄物貯蔵プール内に、上記すきま腐食再不動態化電位よりも卑な電位を示す金属片投入する金属片投入手段、上記放射性廃棄物貯蔵プール内に外部電位を与え、当該放射性廃棄物貯蔵プール内に陰極電流を流す陰極電流発生手段、及び上記放射性廃棄物貯蔵プール内に、非酸化性ガス注入する非酸化性ガス注入手段のうち、少なくとも1つの手段を含むことを特徴とする、放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食防止装置。

請求項4

内壁に不動態合金で製作されたライニング材が内張りされており、予め定める処理を施された放射性廃棄物を予め定める素材で製作された容器に詰めた状態で相当期間保管し、この際、容器が内部の放射性廃棄物の放射線により発熱するのを防止するべく、容器を冷却するための媒体が充填される放射性廃棄物貯蔵プールのライニング材のすきま腐食を予測するための方法であって、上記ライニング材の定常腐食電位を測定する定常腐食電位測定工程と、上記ライニング材のすきま腐食再不動態化電位を測定するすきま腐食再不動態化電位測定工程と、上記定常腐食電位測定工程にて測定された定常腐食電位と、上記すきま腐食再不動態化電位測定工程にて測定されたすきま腐食再不動態化電位とを比較し、この比較結果に基づいて、上記ライニング材にすきま腐食が生じるか否かを予測するすきま腐食予測工程とを含むことを特徴とする、放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食予測方法

請求項5

請求項4に記載の放射性廃棄物貯蔵プールのライニング材にすきま腐食が発生するのを防止するための方法であって、上記すきま腐食予測工程にて上記ライニング材にすきま腐食が生じると予測されたことを条件として、上記ライニング材の定常腐食電位を上記ライニング材のすきま腐食再不動態化電位以下とする定常腐食電位低下工程を含むことを特徴とする、放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食防止方法

請求項6

請求項5に記載の放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食防止方法において、上記定常腐食電位低下工程は、上記放射性廃棄物貯蔵プール内に、上記すきま腐食再不動態化電位よりも卑な電位を示す金属片を投入する金属片投入工程、上記放射性廃棄物貯蔵プール内に外部電位を与え、当該放射性廃棄物貯蔵プール内に陰極電流を流す陰極電流発生工程、及び上記放射性廃棄物貯蔵プール内に、非酸化性ガスを注入する非酸化性ガス注入工程のうち、少なくとも1つの工程を含むことを特徴とする、放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食防止方法。

技術分野

0001

本発明は、放射性廃棄物貯蔵するためのプール健全性を維持するのに好適な、放射性廃棄物貯蔵プールすきま腐食予測装置、及び放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食防止装置、並びに放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食予測方法、及び放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食防止方法に関する。

背景技術

0002

放射性廃棄物のうち、特に、固体廃棄物は、予め定める方法により減容された後、ドラム缶に詰められる。この固体廃棄物が詰め込まれたドラム缶は、原子炉施設内に設置された放射性廃棄物貯蔵プールにて相当期保管される。この際、ドラム缶が内部の固体廃棄物の放射線により発熱するので、放射性廃棄物貯蔵プールには、ドラム缶を十分に冷却するべく、水が溜められている。その後、固体廃棄物の保管期間満了すると、ドラム缶は、安全性を確かめてから、陸地又は海洋に処分される。

0003

上記放射性廃棄物貯蔵プールは、放射線の外部への漏洩を未然に防止するべく、予め定める厚さを有するコンクリート槽と、このコンクリート槽の内壁内張りされたライニング材とを備えており、いわゆる2層ピット構造とされている。かかる放射性廃棄物貯蔵プールのライニング材としては、厚さ数mm程度のSUS304Lステンレス鋼が広く使用されている。

0004

ところで、原子炉施設は、海に近い場所に立地しているのが現状である。加えて、放射性廃棄物貯蔵プールは、完全に密封されていない。そのため、海水に含まれる塩素イオンが放射性廃棄物貯蔵プール内に浸入し、ドラム缶を冷却するための水に塩素イオンが存在することになる。この塩素イオンの存在は、ライニング材としてのステンレス鋼とドラム缶との間、又はライニング材としてのステンレス鋼とこれに付着した水あか等の堆積物との間にすきまが存在する場合には、すきま間の内外において濃淡電池が構成されて生じる、いわゆるすきま腐食の発生を誘発させる。つまり、ステンレス鋼は、塩素イオンの影響を受け、すきま腐食を生じる。このように、ステンレス鋼にすきま腐食が発生すると、放射性廃棄物プールの健全性が損なわれる恐れがあり、放射線が外部に漏洩する1つの原因となり得る。したがって、放射性廃棄物貯蔵プールにおいては、ライニング材としてのステンレス鋼にすきま腐食が発生していることをできるだけ早い時期に発見することに努めることが肝要とされている。

0005

そこで、先に、特開昭59−85950号公報にて、金属の腐食の発生を検知し得る方法が提案されている。かかる公開公報に開示さている金属の腐食検知方法は、液体に対して一定の電位を示す電極装置を介して、液体に接触する金属の電位を経時的に測定し、金属の急激な低下を検出することにより、腐食の発生を検知するものである。

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、上記公開公報にて提案された金属の腐食検知方法は、あくまでも、金属の腐食電位(Ecorr)を計測し、この腐食電位(Ecorr)の低下に基づいて、金属の腐食を検知するにすぎず、将来的に発生するであろう、ライニング材としてのステンレス鋼のすきま腐食を予測することはできない。そのため、いくら金属の腐食を検知できたとしても、その時点では既に金属に腐食が発生しており、ライニング材を張り変えるといった放射性廃棄物貯蔵プールの修理等を余儀なくされている。

0007

そこで、放射性廃棄物プールの健全性を維持するべく、ライニング材としてのステンレス鋼のすきま腐食の発生を予測して、この予測に基づいて、ステンレス鋼のすきま腐食の発生を防止することが望まれている。周知のように、放射性廃棄物貯蔵プールのライニング材として使用されるステンレス鋼は、いわゆる不動態合金の典型的な例であり、ステンレス鋼のすきま腐食は、不動態合金の局部腐食の1つである。

0008

かかる不動態合金の局部腐食に関し、辻川等によって、既に進展しつつあるすきま腐食の進展停止電位としてのすきま腐食再不動態化電位ER.crev)が、定電位保持法により決定されるすきま腐食発生下限電位(VC.CREV)と一致することが確認されており、すきま腐食再不動態化電位(ER.crev)をもってすきま腐食臨界電位を代表できると報告されている(「Zairyo-to-Kankyo,45.106 〜109(1996) 」参照)。

0009

そこで、本願発明者等は、上記の点に着目し、放射性廃棄物貯蔵プールにおいて、ライニング材としてのステンレス鋼の定常腐食電位(ESP)及びすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)を測定し、これら両者の測定値を比較すれば、この比較結果に基づいて、ステンレス鋼にすきま腐食が生じるか否かを予測できるのではないかと着想した。

0010

また、本願発明者等は、ライニング材としてのステンレス鋼にすきま腐食が生じるか否かの予測を行った結果、ステンレス鋼にすきま腐食が生じると予測された場合には、ステンレス鋼の定常腐食電位(ESP)をステンレス鋼のすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)以下にするようにすれば、ステンレス鋼にすきま腐食が発生するのを防止できるのではないかと着想した。

0011

因みに、上記すきま腐食再不動態化電位(ER.crev)は、すきま試験片往復分極試験から求められる。すなわち、ポテンショスタットを用いて、すきま試験片(試料電極)を自然浸漬状態からアノード方向に適当な電位掃引速度(例えば、30mV/min)で動電位分極し、すきま腐食の発生、進展に対応する腐食電流急増が確認されれば、すきま腐食を定電流的に適当に(例えば、200μAで2時間保持する。)進展させる。その後、逆のカソード方向に十分遅い速度で階段状分極(少なくともすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)では10mV/2hである。)する。この際、すきま腐食の更なる進展に対応する電流の再増が認められたときは、直ちに次の電位に移り、所与の保持時間(少なくとも2時間以上)の間に電流増加が認められなくなる最も貴な電位をもってすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)とする。

0012

本発明は、上記着想に基づきなされたもので、放射性廃棄物貯蔵プールのライニング材のすきま腐食の発生を予測することができる放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食予測装置、及び放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食予測方法を提供することを目的とする。また、本発明は、ライニング材にすきま腐食が発生することが予測された場合には、この予測に基づいて、ライニング材のすきま腐食の発生を防止することができる放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食防止装置、及び放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食防止方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0013

上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明に係る放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食予測装置は、内壁に不動態合金で製作されたライニング材が内張りされており、予め定める処理を施された放射性廃棄物を予め定める素材で製作された容器に詰めた状態で相当期間保管し、この際、容器が内部の放射性廃棄物の放射線により発熱するのを防止するべく、容器を冷却するための媒体充填される放射性廃棄物貯蔵プールのライニング材のすきま腐食を予測するための装置であって、上記ライニング材の定常腐食電位を測定する定常腐食電位測定手段と、上記ライニング材のすきま腐食再不動態化電位を測定するすきま腐食再不動態化電位測定手段と、上記定常腐食電位測定手段にて測定された定常腐食電位と、上記すきま腐食再不動態化電位測定手段にて測定されたすきま腐食再不動態化電位とを比較し、この比較結果に基づいて、上記ライニング材にすきま腐食が生じるか否かを予測するすきま腐食予測手段とを含むことを特徴とするものである。

0014

上記構成において、定常腐食電位測定手段は、ライニング材の定常腐食電位を測定し、一方すきま腐食再不動態化電位測定手段は、ライニング材のすきま腐食再不動態化電位を測定する。そして、すきま腐食予測手段は、定常腐食電位測定手段にて測定された定常腐食電位と、すきま腐食再不動態化電位測定手段にて測定されたすきま腐食再不動態化電位とを比較し、この比較結果に基づいて、ライニング材にすきま腐食が生じるか否かを予測する。したがって、一般に、検査員立ち入ることのできない放射性廃棄物貯蔵プールのライニング材にすきま腐食が発生するか否かを、遠隔操作にて容易且つ経済的に予測することができる。その結果、放射性廃棄物プールの健全性の維持に貢献することができる。

0015

請求項2に記載の発明に係る放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食防止装置は、請求項1に記載の放射性廃棄物貯蔵プールのライニング材にすきま腐食が発生するのを防止するための装置であって、上記すきま腐食予測手段にて上記ライニング材にすきま腐食が生じると予測されたことを条件として、上記ライニング材の定常腐食電位を上記ライニング材のすきま腐食再不動態化電位以下とする定常腐食電位低下手段を含むことを特徴とするものである。

0016

上記構成において、上記すきま腐食予測手段にてライニング材にすきま腐食が生じると予測された場合には、定常腐食電位低下手段は、ライニング材の定常腐食電位をライニング材のすきま腐食再不動態化電位以下とする。したがって、ライニング材のすきま腐食の発生を防止することができる。その結果、放射性廃棄物プールの健全性を維持することができる。

0017

請求項3に記載の発明に係る放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食防止装置は、請求項2に記載の放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食防止装置において、上記定常腐食電位低下手段は、上記放射性廃棄物貯蔵プール内に、上記すきま腐食再不動態化電位よりも卑な電位を示す金属片投入する金属片投入手段、上記放射性廃棄物貯蔵プール内に外部電位を与え、当該放射性廃棄物貯蔵プール内に陰極電流を流す陰極電流発生手段、及び上記放射性廃棄物貯蔵プール内に、非酸化性ガス注入する非酸化性ガス注入手段のうち、少なくとも1つの手段を含むことを特徴とするものである。

0018

上記構成において、ライニング材の定常腐食電位をライニング材のすきま腐食再不動態化電位以下とするために、金属片投入手段による、放射性廃棄物貯蔵プール内に、すきま腐食再不動態化電位よりも卑な電位を示す金属片を投入する動作、陰極電流発生手段による、放射性廃棄物貯蔵プール内に外部電位を与え、放射性廃棄物貯蔵プール内に陰極電流を流す動作、及び非酸化性ガス注入手段による、放射性廃棄物貯蔵プール内に、非酸化性ガスを注入する動作のうち、少なくとも1つの動作が行われる。その結果、簡単且つ確実に、ライニング材の定常腐食電位をライニング材のすきま腐食再不動態化電位以下とすることができる。

0019

請求項4に記載の発明に係る放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食予測方法は、内壁に不動態合金で製作されたライニング材が内張りされており、予め定める処理を施された放射性廃棄物を予め定める素材で製作された容器に詰めた状態で相当期間保管し、この際、容器が内部の放射性廃棄物の放射線により発熱するのを防止するべく、容器を冷却するための媒体が充填される放射性廃棄物貯蔵プールのライニング材のすきま腐食を予測するための方法であって、上記ライニング材の定常腐食電位を測定する定常腐食電位測定工程と、上記ライニング材のすきま腐食再不動態化電位を測定するすきま腐食再不動態化電位測定工程と、上記定常腐食電位測定工程にて測定された定常腐食電位と、上記すきま腐食再不動態化電位測定工程にて測定されたすきま腐食再不動態化電位とを比較し、この比較結果に基づいて、上記ライニング材にすきま腐食が生じるか否かを予測するすきま腐食予測工程とを含むことを特徴とするものである。

0020

上記構成において、定常腐食電位測定工程では、ライニング材の定常腐食電位を測定し、一方すきま腐食再不動態化電位測定工程では、ライニング材のすきま腐食再不動態化電位を測定する。そして、すきま腐食予測工程では、定常腐食電位測定工程にて測定された定常腐食電位と、すきま腐食再不動態化電位測定工程にて測定されたすきま腐食再不動態化電位とを比較し、この比較結果に基づいて、ライニング材にすきま腐食が生じるか否かを予測する。したがって、一般に、検査員が立ち入ることのできない放射性廃棄物貯蔵プールのライニング材にすきま腐食が発生するか否かを、遠隔操作にて容易且つ経済的に予測することができる。その結果、放射性廃棄物プールの健全性の維持に貢献することができる。

0021

請求項5に記載の発明に係る放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食防止方法は、請求項4に記載の放射性廃棄物貯蔵プールのライニング材にすきま腐食が発生するのを防止するための方法であって、上記すきま腐食予測工程にて上記ライニング材にすきま腐食が生じると予測されたことを条件として、上記ライニング材の定常腐食電位を上記ライニング材のすきま腐食再不動態化電位以下とする定常腐食電位低下工程を含むことを特徴とするものである。

0022

上記構成において、上記すきま腐食予測工程にてライニング材にすきま腐食が生じると予測された場合には、定常腐食電位低下工程では、ライニング材の定常腐食電位をライニング材のすきま腐食再不動態化電位以下とする。したがって、ライニング材のすきま腐食の発生を防止することができる。その結果、放射性廃棄物プールの健全性を維持することができる。

0023

請求項6に記載の発明に係る放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食防止方法は、請求項5に記載の放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食防止方法において、上記定常腐食電位低下工程は、上記放射性廃棄物貯蔵プール内に、上記すきま腐食再不動態化電位よりも卑な電位を示す金属片を投入する金属片投入工程、上記放射性廃棄物貯蔵プール内に外部電位を与え、当該放射性廃棄物貯蔵プール内に陰極電流を流す陰極電流発生工程、及び上記放射性廃棄物貯蔵プール内に、非酸化性ガスを注入する非酸化性ガス注入工程のうち、少なくとも1つの工程を含むことを特徴とするものである。

0024

上記構成において、ライニング材の定常腐食電位をライニング材のすきま腐食再不動態化電位以下とするために、金属片投入工程による、放射性廃棄物貯蔵プール内に、すきま腐食再不動態化電位よりも卑な電位を示す金属片を投入する動作、陰極電流発生工程による、放射性廃棄物貯蔵プール内に外部電位を与え、放射性廃棄物貯蔵プール内に陰極電流を流す動作、及び非酸化性ガス注入工程による、放射性廃棄物貯蔵プール内に、非酸化性ガスを注入する動作のうち、少なくとも1つの動作が行われる。その結果、簡単且つ確実に、ライニング材の定常腐食電位をライニング材のすきま腐食再不動態化電位以下とすることができる。

発明を実施するための最良の形態

0025

以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
(実施の形態の概要)本実施の形態では、図1図4及び図6に示すように、放射性廃棄物をドラム缶Dに詰め込んだ状態で相当期間保管しておくためのものであって、放射線の外部への漏洩を未然に防止するべく、予め定める厚さを有するコンクリート槽110と、このコンクリート槽110の内壁に内張りされており、数mm程度の厚さを有するSUS304Lステンレス鋼製ライニング材120とを備えた、2層ピット構造を有している放射性廃棄物貯蔵プール100を対象としている。なお、ドラム缶Dが内部の発熱性を有する放射性廃棄物の放射線により発熱するので、放射性廃棄物貯蔵プール100には、ドラム缶Dを十分に冷却するべく、水が溜められている。

0026

かかる放射性廃棄物貯蔵プール100は、海に隣接して立地している原子炉施設内に設置されるものの、完全に密封されていない。そのため、海水に含まれる塩素イオンが放射性廃棄物貯蔵プール100内に浸入し、ドラム缶Dを冷却するための水に塩素イオンが存在する。この塩素イオンの存在は、ステンレス鋼製ライニング材120とドラム缶Dとの間、又はステンレス鋼製ライニング材120とこれに付着した水あか等の堆積物との間にすきまが存在する場合には、すきま間の内外において濃淡電池が構成されて生じるすきま腐食の発生を誘発させる。つまり、ステンレス鋼製ライニング材120は、塩素イオンの影響を受け、すきま腐食を生じ、放射性廃棄物貯蔵プール100の健全性を損なう恐れがある。

0027

そこで、本実施の形態では、ステンレス鋼製ライニング材120のすきま腐食の発生を予測・防止することにより、放射性廃棄物貯蔵プール100の健全性を維持するようにしている。具体的には、本実施の形態の特徴は、ステンレス鋼製ライニング材120の定常腐食電位(ESP)及びすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)を測定し、これら両者の測定値を比較した結果、定常腐食電位(ESP)がすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)よりも大きい(ESP>ER.crev)ことを条件として、ステンレス鋼製ライニング材120にすきま腐食が発生する可能性があると判定し、一方定常腐食電位(ESP)がすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)よりも小さい(ESP<ER.crev)ことを条件として、ステンレス鋼製ライニング材120にすきま腐食が発生する可能性がないと判定する点、及びステンレス鋼製ライニング材120にすきま腐食が発生する可能性があると判定された場合には、ステンレス鋼製ライニング材120の定常腐食電位(ESP)をステンレス鋼製ライニング材120のすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)以下とする対策(以下、「防食対策」という。)を講じる点にある。

0028

因みに、防食対策としては、放射性廃棄物貯蔵プール100内に、すきま腐食再不動態化電位(ER.crev)よりも卑な電位を示すZn、Al等の金属片を投入し、この投入した金属片をステンレス鋼製ライニング材120に接触させること、放射性廃棄物貯蔵プール100内に、外部電源と接続され且つPt等の導電性素材から製作された対極(+側)を入れておいて、この対極により放射性廃棄物貯蔵プール内100に外部電位を与えて陰極電流を流すこと、放射性廃棄物貯蔵プール内100に、Ar、N2 等の非酸化性ガスを注入すること、及び上記の対策のうち、少なくとも2つの対策を組み合わせること等が考えられる。

0029

そして、本願発明者等は、本実施の形態の特徴による効果を確認するために、実際の放射性廃棄物貯蔵プール100において、ステンレス鋼製ライニング材120の定常腐食電位(ESP)及びすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)の測定状況を想定して、図8にて模式的に示す測定装置実験室的に製作し、以下の実験を行った。

0030

ここで、図8に示す測定装置の構成について説明する。図8を参照して、本測定装置は、試験水溶液NaCl水溶液)を貯留するフラスコ1と、このフラスコ1に溜められている試験水溶液を予め定める試験温度まで加熱するマントルヒータ2と、フラスコ1に接続されており、水を通過させて、フラスコ1内の試験水溶液が蒸発するのを防止し、試験水溶液の濃度を一定に保つための凝縮器3と、ガラス管4aを介して凝縮器3に接続されており、フラスコ1内の試験水溶液が外部に漏れるのを防止するウォータシール4と、フラスコ1内に溜められた試験水溶液中に浸漬されている試験電極5及び対極(Pt)6と、参照水溶液(KCl水溶液)を貯留するビーカ7と、このビーカ7内に溜められた参照水溶液中に浸漬されている参照電極8と、電解質溶液等を用いて、フラスコ1内の試験水溶液とビーカ7内の参照水溶液とを混合させないで両者を電気的に連結するための塩橋9と、試験電極5、対極6及び参照電極8に接続されているポテンショスタット10とを備えている。

0031

1.定常腐食電位(ESP)及びすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)の測定
80℃の試験温度下で、試験電極(試験材)として、SUS304Lステンレス鋼試験片同士を組み合わせたものを用いて、各種塩化物水溶液中における定常腐食電位(ESP)及びすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)を測定した。この結果をまとめたものが表1である。表1から明らかなように、当該実験条件下では、定常腐食電位(ESP)は、すきま腐食再不動態化電位(ER.crev)より貴であり、いずれの条件下においても、すきま腐食を起こし得ることが判明した。

0032

0033

2.防食対策を施した場合の定常腐食電位(ESP)の測定
上述の結果より、表1に示した浸漬条件では、すきま腐食が発生する可能性がある。そこで、すきま腐食の発生を未然に防止するため、80℃の試験温度下で、上記による各種の防食対策を想定した処理を施し、それぞれの場合のステンレス鋼試験片の定常腐食電位(ESP)を測定した。この結果をまとめたものが表2である。表2から明らかなように、上記による各種の防食対策を想定した処理を施した場合には、いずれの条件下においても、定常腐食電位(ESP)は、同一条件下でのすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)以下に低下しており、すきま腐食が発生しないことが判明した。

0034

0035

ここで、上述した本実施の形態の概要を踏まえた上で、具体的な実施の形態について説明する。
(実施の形態1)図1は本発明の実施の形態1に係る放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食予測装置及びすきま腐食防止装置の構成を簡略化して示す図である。

0036

図1を参照して、本実施の形態1の装置は、放射線廃棄物貯蔵プール100のステンレス鋼製ライニング材120の定常腐食電位(ESP)を測定する定常腐食電位測定手段200と、ステンレス鋼製ライニング材120のすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)を測定するすきま腐食再不動態化電位測定手段300と、定常腐食電位測定手段200にて測定された定常腐食電位(ESP)と、すきま腐食再不動態化電位測定手段300にて測定されたすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)とを比較し、この比較結果に基づいて、ステンレス鋼製ライニング材120にすきま腐食が生じるか否かを予測するすきま腐食予測手段としてのコントローラ400と、このコントローラ400にてステンレス鋼製ライニング材120にすきま腐食が生じると予測されたことを条件として、放射性廃棄物貯蔵プール100内に、すきま腐食再不動態化電位(ER.crev)よりも卑な電位を示すZn、Al等の金属片Mを投入し、この投入した金属片Mをステンレス鋼製ライニング材120に接触させる金属片投入手段500とを備えている。

0037

定常腐食電位測定手段200は、放射線廃棄物貯蔵プール100内に溜められている水に浸漬されている参照電極210と、一方の入力端子が参照電極210に接続されており、ステンレス鋼製ライニング材120の定常腐食電位(ESP)を検出するポテンショメータ220とを備えている。参照電極210は、先端がステンレス鋼製ライニング材120に対して可及的に近接するように、横方向に沿って配置されている。ポテンショメータ220の他方の入力端子は、ステンレス鋼製ライニング材120に接続されており、出力端子は、コントローラ400に接続されている。

0038

すきま腐食再不動態化電位測定手段300は、放射線廃棄物貯蔵プール100内に溜められている水に浸漬されている試験電極310、参照電極320及び対極330と、入力端子が試験電極310、参照電極320及び対極330に接続されており、ステンレス鋼製ライニング材120のすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)を検出するポテンショスタット340とを備えている。参照電極320は、先端がドラム缶Dに対して可及的に近接するように、縦方向に沿って配置されている。対極330の材料としては、例えば、Pt等が適用される。ポテンショスタット340の出力端子は、コントローラ400に接続されている。なお、試験電極310の詳細な構成については後述する。

0039

図2は試験電極の構成を示す断面図である。図2を参照して、試験電極310は、SUS304Lステンレス鋼試験片311,312同士を組み合わせ、この両者をボルト320及びナット330で結合したものである。ステンレス鋼試験片311,312の各ボルト挿通孔311a,312aとボルト320の軸部321との間には、筒状のスペーサ342が介在されている。一方のステンレス鋼試験片311の外面とボルト320の頭部322との間には、環状のスペーサ343が介在されている。他方のステンレス鋼試験片312の外面とナット330との間には、環状のスペーサ344が介在されている。これらスペーサ342,343,344としては、例えば、テフロン等の絶縁材料が適用されている。

0040

再び、図1を参照して、金属片投入手段500は、ロボット510を備えている。このロボット510は、従来公知の構造を有しており、具体的には、前腕及び上腕を含むロボットハンド511と、このロボットハンド511の前腕の先端に取り付けられており、金属片Mを把持するクランプ512と、ロボットハンド511を予め定める態様で作動させるアクチュエータ513とを備えている。アクチュエータ513は、コントローラ400に接続されている。なお、ロボット510は、具体的に図示していないが、放射線廃棄物貯蔵プール100の周囲において、予め定める間隔をあけて予め定める台数が配置されている。このように、ロボット510を複数設けるのは、後述するように、ステンレス鋼製ライニング材120にすきま腐食が発生する可能性があると判定された場合に、一のロボット510を駆動させて、金属片Mを投入してステンレス鋼製ライニング材120の定常腐食電位(ESP)をステンレス鋼製ライニング材120のすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)以下とした後、再び定常腐食電位(ESP)がすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)よりも大きく(ESP>ER.crev)なって、ステンレス鋼製ライニング材120にすきま腐食が発生する可能性があると判定された場合に、他のロボット510を駆動させて、金属片Mを投入してステンレス鋼製ライニング材120の定常腐食電位(ESP)をステンレス鋼製ライニング材120のすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)以下とするためである。

0041

コントローラ400は、マイクロコンピュータを備えている。このマイクロコンピュータは、CPU、データRAM及びプログラムROMを含み、予めROMに記憶されているプログラムに従って制御を行うものである。具体的には、コントローラ400には、定常腐食電位測定手段200の構成要素の1つであるポテンショメータ220の出力(ESP)、及びすきま腐食再不動態化電位測定手段300の構成要素の1つであるポテンショスタット340の出力(ER.crev)が、それぞれ、与えられており、これらポテンショメータ220の出力(ESP)、及びポテンショスタット340の出力(ER.crev)に基づいて、コントローラ400は、金属片投入手段500としてのロボットハンド510のアクチュエータ513の駆動を制御する。

0042

図3は放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食予測動作及びすきま腐食防止動作の流れを示すフローチャートである。図3を参照して、電源が投入されると、定常腐食電位測定手段200は、ステンレス鋼製ライニング材120の定常腐食電位(ESP)を測定し、一方すきま腐食再不動態化電位測定手段300は、ステンレス鋼製ライニング材120のすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)を測定する(ステップS1)。そうすると、コントローラ400は、定常腐食電位測定手段200の構成要素の1つであるポテンショメータ220の出力(ESP)、及びすきま腐食再不動態化電位測定手段300の構成要素の1つであるポテンショスタット340の出力(ER.crev)に基づいて、ステンレス鋼製ライニング材120の定常腐食電位(ESP)及びすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)を比較し、この比較結果に基づいて、ステンレス鋼製ライニング材120にすきま腐食が生じるか否かを予測する(ステップS2)。ここで、定常腐食電位(ESP)がすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)よりも小さい(ESP<ER.crev)ときには、コントローラ400は、ステンレス鋼製ライニング材120にすきま腐食が発生する可能性がないと判定し、ステップS1に戻り、ステンレス鋼製ライニング材120の定常腐食電位(ESP)及びすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)の測定が継続される。一方、定常腐食電位(ESP)がすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)よりも大きい(ESP>ER.crev)ときには、コントローラ400は、ステンレス鋼製ライニング材120にすきま腐食が発生する可能性があると判定し、金属片投入手段500を作動させ、放射線廃棄物貯蔵プール100内に、すきま腐食再不動態化電位(ER.crev)よりも卑な電位を示す金属片Mを投入する(ステップS3)。具体的には、コントローラ400は、金属片投入手段500としてのロボット510のアクチュエータ513の駆動をさせる。これにより、ロボットハンド511は、予め定める態様で作動し、放射性廃棄物貯蔵プール100内に金属片Mを投入し、この投入した金属片Mをステンレス鋼製ライニング材120に接触させる。そうすると、ステンレス鋼製ライニング材120の定常腐食電位(ESP)は、ステンレス鋼製ライニング材120のすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)以下となる。その後、ステップS1に戻り、ステンレス鋼製ライニング材120の定常腐食電位(ESP)及びすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)の測定が継続される。

0043

すなわち、本実施の形態1では、ステンレス鋼製ライニング材120の定常腐食電位(ESP)及びすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)を測定し、これら両者の測定値を比較し、この比較結果に基づいて、ステンレス鋼製ライニング材120にすきま腐食が生じるか否かを予測するようになっている。したがって、一般に、検査員が立ち入ることのできない放射性廃棄物貯蔵プール100のステンレス鋼製ライニング材120にすきま腐食が発生するか否かを、遠隔操作にて容易且つ経済的に予測することができる。その結果、放射性廃棄物プールの健全性の維持に貢献することができる。

0044

また、ステンレス鋼製ライニング材120にすきま腐食120が生じると予測された場合には、放射性廃棄物貯蔵プール100内に、すきま腐食再不動態化電位(ER.crev)よりも卑な電位を示す金属片Mを投入し、この投入した金属片Mをステンレス鋼製ライニング材120に接触させるようになっている。そのため、ステンレス鋼製ライニング材120の定常腐食電位(ESP)は、ステンレス鋼製ライニング材120のすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)以下となることになる。したがって、ステンレス鋼製ライニング材120のすきま腐食の発生を防止することができる。その結果、放射性廃棄物プール100の健全性を維持することができる。

0045

なお、本実施の形態1において、ステンレス鋼製ライニング材120にすきま腐食が生じると予測されたことを条件として、放射性廃棄物貯蔵プール100内に、すきま腐食再不動態化電位(ER.crev)よりも卑な電位を示す金属片Mを投入し、この投入した金属片Mをステンレス鋼製ライニング材120に接触させる構成としたが、単に、放射性廃棄物貯蔵プール100内に、すきま腐食再不動態化電位(ER.crev)よりも卑な電位を示す金属片Mを投入する構成としても構わない。

0046

(実施の形態2)図4は本発明の実施の形態2に係る放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食予測装置及びすきま腐食防止装置の構成を簡略化して示す図である。図4を参照して、本実施の形態2の装置の特徴は、コントローラ400にてステンレス鋼製ライニング材120にすきま腐食が生じると予測されたことを条件として、金属片投入手段500に代えて、放射性廃棄物貯蔵プール100内に外部電位を与え、放射性廃棄物貯蔵プール100内に陰極電流を流す陰極電流発生手段600を備えている点にあり、その他の実施の形態1と同様である。

0047

陰極電流発生手段600は、外部電源610と、この外部電源610と常開接点620を介して接続されており、放射性廃棄物貯蔵プール100内に溜められている水に浸漬されている対極(+側)630とを備えている。常開接点620の接触子621は、コントローラ400に接続されている。対極630は、Pt等の導電性素材から製作されている。つまり、陰極電流発生手段600は、予め放射性廃棄物貯蔵プール100内に、外部電源610と常開接点620を介して接続され且つPt等の導電性素材から製作された対極630を入れておいて、この対極630により放射性廃棄物貯蔵プール内100に外部電位を与えて陰極電流を流すようになっている。

0048

図5は放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食予測動作及びすきま腐食防止動作の流れを示すフローチャートである。図5を参照して、ステップS2において、コントローラ400により、定常腐食電位測定手段200の構成要素の1つであるポテンショメータ220の出力(ESP)、及びすきま腐食再不動態化電位測定手段300の構成要素の1つであるポテンショスタット340の出力(ER.crev)に基づいて、ステンレス鋼製ライニング材120の定常腐食電位(ESP)及びすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)を比較し、この比較結果に基づいて、ステンレス鋼製ライニング材120にすきま腐食が生じるか否かが予測される。このとき、定常腐食電位(ESP)がすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)よりも大きい(ESP>ER.crev)ときには、コントローラ400は、ステンレス鋼製ライニング材120にすきま腐食が発生する可能性があると判定し、陰極電流発生手段600を作動させ、放射線貯蔵プール100内に外部電位を与え、放射性廃棄物貯蔵プール100内に陰極電流を流す(ステップS4)。具体的には、コントローラ400は、陰極電流発生手段600の構成要素の1つである常開接点620の接触子621に制御信号を与え、常開接点620を閉成状態とする。これにより、放射性廃棄物貯蔵プール100内には、対極630により外部電位が与えられ、その結果放射性廃棄物貯蔵プール100内に陰極電流が流れる。そうすると、ステンレス鋼製ライニング材120の定常腐食電位(ESP)は、ステンレス鋼製ライニング材120のすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)以下となる。その後、ステップS1に戻り、ステンレス鋼製ライニング材120の定常腐食電位(ESP)及びすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)の測定が継続される。

0049

すなわち、本実施の形態2では、予め放射性廃棄物貯蔵プール100内に、外部電源610と常開接点620を介して接続され且つ導電性素材から製作された対極630を入れておいて、ステンレス鋼製ライニング材120にすきま腐食120が生じると予測された場合には、常開接点620を閉成状態として、対極630により放射性廃棄物貯蔵プール内100に外部電位を与えて陰極電流を流すようになっている。そのため、ステンレス鋼製ライニング材120の定常腐食電位(ESP)は、ステンレス鋼製ライニング材120のすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)以下となることになる。したがって、ステンレス鋼製ライニング材120のすきま腐食の発生を防止することができる。その結果、放射性廃棄物プール100の健全性を維持することができる。

0050

なお、本実施の形態1においては、予め放射性廃棄物貯蔵プール100内に、外部電源610と常開接点620を介して接続され且つ導電性素材から製作された対極630を入れておいて、ステンレス鋼製ライニング材にすきま腐食120が生じると予測されたことを条件として、常開接点620を閉成状態として、対極630により放射性廃棄物貯蔵プール100内に外部電位を与えて陰極電流を流す構成としたが、ステンレス鋼製ライニング材120にすきま腐食が生じると予測されたことを条件として、放射性廃棄物貯蔵プール100内に、外部電源610と接続され且つ導電性素材から製作された対極630を投入して、放射性廃棄物貯蔵プール100内に陰極電流を流す構成としても構わない。

0051

(実施の形態3)図6は本発明の実施の形態3に係る放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食予測装置及びすきま腐食防止装置の構成を簡略化して示す図である。図6を参照して、本実施の形態3の装置の特徴は、コントローラ400にてステンレス鋼製ライニング材120にすきま腐食が生じると予測されたことを条件として、金属片投入手段500に代えて、放射性廃棄物貯蔵プール100内に、Ar、N2 等の非酸化性ガスを注入する非酸化性ガス注入手段700を備えている点にあり、その他の構成は実施の形態1と同様である。

0052

非酸化性ガス注入手段700は、非酸化性ガスが充填された非酸化性ガスボンベ710と、このガスボンベ710とガス管720を介して接続されており、先端部が放射性廃棄物貯蔵プール内100内に溜められた水に浸漬されている非酸化性ガス噴射ノズル730と、ガス管720の途中部に設けられ且つコントローラ400に接続されており、開閉動作がコントローラ400により制御される電磁バルブ740とを備えている。

0053

図7は放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食予測動作及びすきま腐食防止動作の流れを示すフローチャートである。図7を参照して、ステップS2において、コントローラ400により、定常腐食電位測定手段200の構成要素の1つであるポテンショメータ220の出力(ESP)、及びすきま腐食再不動態化電位測定手段300の構成要素の1つであるポテンショスタット340の出力(ER.crev)に基づいて、ステンレス鋼製ライニング材120の定常腐食電位(ESP)及びすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)を比較し、この比較結果に基づいて、ステンレス鋼製ライニング材120にすきま腐食が生じるか否かが予測される。このとき、定常腐食電位(ESP)がすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)よりも大きい(ESP>ER.crev)ときには、コントローラ400は、ステンレス鋼製ライニング材120にすきま腐食が発生する可能性があると判定し、非酸化性ガス注入手段700を作動させ、放射性廃棄物貯蔵プール100内に非酸化性ガスを注入する(ステップS5)。具体的には、コントローラ400は、非酸化性ガス注入手段700の構成要素の1つである電磁バルブ740に制御信号を与え、電磁バルブ740を励磁させて開放状態とする。これにより、放射性廃棄物貯蔵プール100内には、非酸化性ガス噴射ノズル730より非酸化性ガスが噴射され、その結果放射性廃棄物貯蔵プール100内に非酸化性ガスが注入される。そうすると、ステンレス鋼製ライニング材120の定常腐食電位(ESP)は、ステンレス鋼製ライニング材120のすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)以下となる。その後、ステップS1に戻り、ステンレス鋼製ライニング材120の定常腐食電位(ESP)及びすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)の測定が継続される。

0054

すなわち、本実施の形態3では、ステンレス鋼製ライニング材120にすきま腐食120が生じると予測された場合には、放射性廃棄物貯蔵プール100内に、非酸化性ガスを注入するようになっている。そのため、ステンレス鋼製ライニング材120の定常腐食電位(ESP)は、ステンレス鋼製ライニング材120のすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)以下となることになる。したがって、ステンレス鋼製ライニング材120のすきま腐食の発生を防止することができる。その結果、放射性廃棄物プール100の健全性を維持することができる。

0055

なお、本発明は上記各実施の形態に限定されるものではない。例えば、ステンレス鋼製ライニング材120にすきま腐食が生じると予測されたことを条件として、ステンレス鋼製ライニング材120の定常腐食電位(ESP)をステンレス鋼製ライニング材120のすきま腐食再不動態化電位(ER.crev)以下とするために、金属片投入動作、陰極電流発生動作、及び非酸化性ガス注入動作のうち、少なくとも2つ以上の動作を組み合わせてもよい。その他、本発明の請求の範囲内での種々の設計変更及び修正を加え得ることは勿論である。

発明の効果

0056

以上の説明から明らかな通り、請求項1及び請求項4に記載の発明によると、ライニング材の定常腐食電位及びすきま腐食再不動態化電位を測定し、これら両者の測定値を比較し、この比較結果に基づいて、ライニング材にすきま腐食が生じるか否かを予測するようになっているので、一般に、検査員が立ち入ることのできない放射性廃棄物貯蔵プールのライニング材にすきま腐食が発生するか否かを、遠隔操作にて容易且つ経済的に予測することができる結果、放射性廃棄物プールの健全性の維持に貢献することができる。

0057

請求項2及び請求項5に記載の発明によると、ライニング材にすきま腐食が生じると予測された場合には、ライニング材の定常腐食電位をライニング材のすきま腐食再不動態化電位以下とするようになっているので、ライニング材のすきま腐食の発生を防止することができる結果、放射性廃棄物プールの健全性を維持することができる。

0058

請求項3及び請求項6に記載の発明によると、ライニング材の定常腐食電位をライニング材のすきま腐食再不動態化電位以下とするために、放射性廃棄物貯蔵プール内に、すきま腐食再不動態化電位よりも卑な電位を示す金属片を投入する動作、放射性廃棄物貯蔵プール内に外部電位を与え、放射性廃棄物貯蔵プール内に陰極電流を流す動作、及び放射性廃棄物貯蔵プール内に、非酸化性ガスを注入する動作のうち、少なくとも1つの動作が行われる結果、簡単且つ確実に、ライニング材の定常腐食電位をライニング材のすきま腐食再不動態化電位以下とすることができる。

図面の簡単な説明

0059

図1本発明の実施の形態1に係る放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食予測装置及びすきま腐食防止装置の構成を簡略化して示す図である。
図2試験電極の構成を示す断面図である。
図3放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食予測動作及びすきま腐食防止動作の流れを示すフローチャートである。
図4本発明の実施の形態2に係る放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食予測装置及びすきま腐食防止装置の構成を簡略化して示す図である。
図5放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食予測動作及びすきま腐食防止動作の流れを示すフローチャートである。
図6本発明の実施の形態3に係る放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食予測装置及びすきま腐食防止装置の構成を簡略化して示す図である。
図7放射性廃棄物貯蔵プールのすきま腐食予測動作及びすきま腐食防止動作の流れを示すフローチャートである。
図8測定装置の構成を模式的に示す図である。

--

0060

Dドラム缶
100放射性廃棄物貯蔵プール
110コンクリート槽
120ステンレス鋼製ライニング材
200定常腐食電位測定手段
210参照電極
220ポテンショメータ
300すきま腐食再不動態化電位測定手段
310試験電極
320 参照電極
330対極
340ポテンショスタット
400コントローラ
500金属片投入手段
M 金属片
510ロボット
511ロボットハンド
512クランプ
513アクチュエータ
600陰極電流発生手段
610外部電源
620常開接点
630 対極
700非酸化性ガス注入手段
710 非酸化性ガスボンベ
720ガス管
730 非酸化性ガス噴射ノズル
740 電磁バルブ

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