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課題
解決手段
減速運転時であって、燃料カットと自動変速機のロックアップとが行われているときに、ブレーキペダルの踏圧と車速とに基づいて要求減速度を求める。そして、要求減速度が最も大きいときには、オルタネータの発電量を最大に増大させる一方、スロットル弁を全閉に制御し、かつ、ブレーキを作動させる。一方、発電量を最大にし、スロットル弁を全閉に制御することで、要求減速度が得られるときには、ブレーキを作動させない。また、発電量を最大にし、かつ、スロットル弁を全閉に制御すると、要求減速度よりも大きくなってしまうときには、スロットル弁を開けてポンピングロスを低減させて、要求減速度が得られるようにする。更に要求減速度が低いときには、発電量の増大代を抑制して要求減速度が得られるようにする。
概要
背景
概要
減速燃料カット時に、減速エネルギーを効率良く回収すると共に、運転者の要求に見合った減速度に制御する。
減速運転時であって、燃料カットと自動変速機のロックアップとが行われているときに、ブレーキペダルの踏圧と車速とに基づいて要求減速度を求める。そして、要求減速度が最も大きいときには、オルタネータの発電量を最大に増大させる一方、スロットル弁を全閉に制御し、かつ、ブレーキを作動させる。一方、発電量を最大にし、スロットル弁を全閉に制御することで、要求減速度が得られるときには、ブレーキを作動させない。また、発電量を最大にし、かつ、スロットル弁を全閉に制御すると、要求減速度よりも大きくなってしまうときには、スロットル弁を開けてポンピングロスを低減させて、要求減速度が得られるようにする。更に要求減速度が低いときには、発電量の増大代を抑制して要求減速度が得られるようにする。
目的
本発明は上記問題点に鑑みなれたものであり、減速度が大きくなり過ぎることを抑止しつつ、オルタネータ等の発電装置の発電量を最大限に増大させて、減速ネルギーを効率良く回収できる減速制御装置を提供することを目的とする。
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 2件
- 牽制数
- 12件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
車両駆動トルクを発生するエンジンに対する燃料供給を減速運転時にカットする減速燃料カット手段と、エンジンのスロットル弁を開閉駆動するスロットル駆動手段と、エンジン駆動される発電装置の発電量を制御する発電量制御手段と、前記減速燃料カット手段によりエンジンに対する燃料供給がカットされるときに、前記発電量制御手段により前記発電装置の発電量を増大させる減速エネルギー回収手段と、該減速エネルギー回収手段により前記発電量が増大されるときに、前記スロットル駆動手段によりスロットル弁を開閉駆動させて、車両の減速度を制御する減速度制御手段と、を含んで構成されたことを特徴とする車両の減速制御装置。
請求項2
車両の要求減速度を判定する要求減速度判定手段を備え、前記減速度制御手段が前記要求減速度判定手段により判定された要求減速度に応じた開度にスロットル弁の開度を制御することを特徴とする請求項1記載の車両の減速制御装置。
請求項3
請求項4
請求項5
前記減速エネルギー回収手段による発電量の増大制御及び前記減速度制御手段によるスロットル弁開度の制御によって要求減速度が得られるときには、ブレーキ装置を非作動状態に保持し、要求減速度が得られなくなったときに初めて前記ブレーキ装置を作動させるブレーキ作動制御手段を設けたことを特徴とする請求項4記載の車両の減速制御装置。
請求項6
技術分野
背景技術
0002
従来、減速エネルギーの回収を行う装置としては、特開平7−310566号公報に開示されるような装置があった。このものは、車両の減速時に自動変速機のロックアップを行い、該ロックアップ状態において、燃料カットを行うと共に、オルタネータの発電量を増大させるものである。
0003
このように、減速運転時に発電量を増大させることができれば、該減速時に発電・充電しておいた電力を、走行中,アイドル運転中に使用することができ、以て、走行中,アイドル運転中の発電量を低減できるので、燃費向上を図れることになる。
発明が解決しようとする課題
0004
ところで、上記従来の技術のように、減速燃料カット時にオルタネータの発電量を増大させると、車両の減速度(エンジンブレーキ)が急激に大きくなって運転者に違和感を与える可能性があり、また、車両の減速度に大きな影響を与えない程度に発電量を増大させたのでは、減速エネルギーを効率良く回収することができないという問題があった。
0005
また、減速燃料カットによるエンジンブレーキの立ち上がりを抑制して、発電量を増大させても、減速度が急激に大きくなることを防止すべく、例えば一部気筒に対する燃料カット後に全気筒に燃料カットを拡大させるようにすると、全気筒燃料カットの頻度が低下し、燃費性能に影響を与えることになってしまうという問題があった。
0006
本発明は上記問題点に鑑みなれたものであり、減速度が大きくなり過ぎることを抑止しつつ、オルタネータ等の発電装置の発電量を最大限に増大させて、減速ネルギーを効率良く回収できる減速制御装置を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
0007
そのため請求項1記載の発明は、図1に示すように構成される。図1において、減速燃料カット手段は、減速運転時にエンジンに対する燃料供給をカットする。スロットル駆動手段はエンジンのスロットル弁を開閉駆動し、発電量制御手段は、エンジン駆動される発電装置の発電量を制御する。
0008
減速エネルギー回収手段は、前記減速燃料カット手段によりエンジンに対する燃料供給がカットされるときに、前記発電量制御手段により前記発電装置の発電量を増大させる。また、減速度制御手段は、減速エネルギー回収手段により前記発電量が増大されるときに、前記スロットル駆動手段によりスロットル弁を開閉駆動させて、車両の減速度を制御する。
0009
かかる構成によると、減速燃料カットが行われるときに、オルタネータ等の発電装置の発電量を増大させることで、減速エネルギーの回収を図る。ここで、燃料カット状態では、スロットル弁の開度を増大させてエンジンのポンピングロスを低減させることができるので、例えば、発電量を増大させる分だけスロットル弁開度を増大させて、減速度の変化を相殺させることが可能であり、逆に、発電量の増大による減速度の増大を積極的に発生させたい場合には、スロットル弁開度の増大量を減少(或いは全閉状態を保持)させれば良いことになり、スロットル弁開度の制御によって発電量の増大に伴う減速度の変化を調整し得ることになる。
0010
請求項2記載の発明では、車両の要求減速度を判定する要求減速度判定手段を備え、前記減速度制御手段が前記要求減速度判定手段により判定された要求減速度に応じた開度にスロットル弁の開度を制御する構成とした。かかる構成によると、例えば、要求減速度が低いときには、発電量を増大させつつスロットル弁を開けてエンジンのポンピングロスを低下させ、発電量の増大による減速度の増大を回避し、また、要求減速度が高いときには、発電量の増大による減速度の増大を積極的に発揮させるべく、スロットル開度の増大量を絞る(開度を増大させない)ようにする。
0011
請求項3記載の発明では、前記減速度制御手段による要求減速度に応じたスロットル弁の開度制御と共に、前記減速エネルギー回収手段が、前記要求減速度に応じて発電量の増大量を変更する構成とした。かかる構成によると、例えばスロットル弁開度を全開にしても、発電量を最大に増大したのでは要求減速度を上回ってしまう場合には、発電量の増大量を減少させて、要求減速度が得られるようにする。
0012
請求項4記載の発明では、前記要求減速度判定手段が、ブレーキペダルの踏力及び/又はストローク量と車速とに基づいて要求減速度を判定する構成とした。かかる構成によると、運転者がブレーキペダルを踏み込む力である踏力や、ブレーキペダルの踏み込み量に相当するストローク量が大きいときには、それだけ要求減速度が高いものと判定でき、更に、同じ踏力,ストローク量のときでも、高車速側ほど要求減速度は高いものと判断できる。
0013
請求項5記載の発明では、前記減速エネルギー回収手段による発電量の増大制御及び前記減速度制御手段によるスロットル弁開度の制御によって要求減速度が得られるときには、ブレーキ装置を非作動状態に保持し、要求減速度が得られなくなったときに初めて前記ブレーキ装置を作動させるブレーキ作動制御手段を設ける構成とした。
0014
かかる構成によると、ブレーキ操作によって要求される減速度が発電量の増大によって得られるときにはブレーキを作動させず、発電量の増大及びスロットル弁の閉制御によっては要求される減速度が得られないときにのみブレーキを実際に作動させ、要求される減速度が発電量の増大とブレーキ制動とによって得られるようにする。
0015
請求項6記載の発明では、ロックアップ機構付トルクコンバータと変速機とを組み合わせた自動変速機を介してエンジンの発生トルクが駆動輪に伝達される構成であり、減速エネルギー回収手段が、前記減速燃料カット手段によりエンジンに対する燃料供給がカットされていて、かつ、前記ロックアップ機構によってロックアップが行われていることを条件として、前記発電量の増大制御を行う構成とした。
0016
かかる構成によると、ロックアップ機構付きのトルクコンバータと変速機との組み合わせからなる自動変速機を介してエンジンの発生トルクが駆動輪に伝達される構成において、前記ロックアップ機構によるロックアップによって変速機とエンジンとが直結され、駆動輪がエンジンを回転駆動する減速運転時であって、かつ、エンジンへの燃料供給がカットされているときに、発電量の増大制御が行われる。
発明の効果
0017
請求項1記載の発明によると、燃料カットが行われる減速時に、発電装置の発電量を増大させて、減速エネルギーの回収を図れると共に、発電量の増大に対応してスロットル弁開度を制御してエンジンのポンピングロスを調整するので、発電量を増大させることで減速度が大きくなり過ぎることを防止できるという効果がある。
0018
請求項2記載の発明によると、要求減速度に応じてスロットル弁開度を制御することで、減速度が大きくなり過ぎることを回避しつつ、要求減速度が大きいときには、発電量の増大による減速度の増大を有効利用できるという効果がある。請求項3記載の発明によると、要求減速度が比較的低く、スロットル弁開度を増大させてエンジンのポンピングロスを低下させても要求減速度を上回る場合に、発電量の増大代を抑制して、要求減速度を実現できるという効果がある。
0019
請求項4記載の発明によると、ブレーキペダルの踏力及び/又はストローク量と車速とに基づいて要求減速度を判定することで、運転者の要求減速度を正しく判定することができるという効果がある。請求項5記載の発明によると、発電量の増大制御とスロットル弁の開度制御とによって、通常はブレーキ操作によって得られる減速度を実現できるときには、ブレーキ操作に対してブレーキを作動させず、発電量の増大制御によっては要求減速度を得られない場合には、ブレーキ操作に対して実際にブレーキを作動させるので、ブレーキ作動が抑制されてブレーキパッドの摩耗を防げる等、ブレーキの耐久性を向上させることができる。
0020
請求項6記載の発明によると、トルクコンバータ式自動変速機を介してエンジンの発生トルクが駆動輪に伝達される構成の車両において、ロックアップがなされてエンジンブレーキがかかるときに発電量を増大させるので、発電量の増大によってエンジンに加わる負荷が増大してもエンストすることなく、減速エネルギーを有効に回収できるという効果がある。
発明を実施するための最良の形態
0021
以下に本発明の実施の形態を説明する。図2は、実施の形態における車両のシステム構成図であり、エンジン1の発生トルクは、ロックアップ機構付トルクコンバータと変速機とを組み合わせた自動変速機2を介して図示しない駆動輪に伝達される。前記自動変速機2の変速動作及びロックアップは、A/Tコントロールユニット(ATCU)3によって制御される。尚、変速機は、歯車式又は無段式のいずれであっても良い。
0022
一方、エンジン1には、モータ4(スロットル駆動手段)で開閉駆動されるスロットル弁5で計量された空気が吸入されるようになっており、前記モータ4及び図示しない燃料噴射弁によるエンジンへの燃料供給は、エンジンコントロールモジュール(ECM)6によって制御される。オルタネータ7は、プーリとベルトを介してエンジン1で駆動されるものであり、車両の電気負荷に電力を供給すると共に、バッテリ8を充電する発電装置である。該オルタネータ7の発電量を制御すべく、前記ECM6は、オルタネータ7の励磁電流をデューティ制御するようになっている(発電量制御手段)。
0023
前記ECM6には、前記ATCU3からのロックアップ信号(L/U信号)が入力されると共に、前記自動変速機2の出力軸から回転信号を取り出す車速センサ9からの車速信号が入力される。また、車両には、油圧式のブレーキ装置10が備えられている。前記ブレーキ装置10には、図示しない油圧発生源からの油圧が油圧コントロールバルブ11によって調整されて供給される構成となっており、前記油圧コントロールバルブ11は、ブレーキコントロールユニット12によって制御される。
0024
前記ブレーキコントロールユニット12には、図示しないブレーキペダルの踏力を検出する踏力センサ13(又はブレーキペダルのストローク量を検出するストロークセンサ)からの検出信号が入力され、該検出信号に基づいて前記油圧コントロールバルブ11を制御する。また、前記踏力センサ13(又はストロークセンサ)の検出信号は、前記ECM6にも入力されるようになっている。
0025
前記ECM6は、前記ブレーキコントロールユニット12に対してエンジンブレーキ量を示す信号を出力し、ブレーキコントロールユニット12は、後述するように、運転者のブレーキ操作に対する実際のブレーキ作動を前記エンジンブレーキ量を示す信号に基づいて制御する。図3は、上記システム構成図における制御関係を示す制御ブロック図である。
0026
上記構成において、車両の減速運転時には、図4及び図5のフローチャートに示すようにして、前記ECM6がエンジン1への燃料供給,オルタネータ7の発電量,スロットル弁5の開度を制御する。図4及び図5のフローチャートにおいて、ステップ1(図中にはS1と記してある。以下同様)では、車両が減速運転中であるか否かをアクセル開度,車速等に基づいて判別し、減速運転中であればステップ2へ進む。
0027
ステップ2では、エンジン回転数(rpm)が所定回転数a(例えば2500rpm)以上であるか否かを判別し、エンジン回転数が所定回転数a以上であれば、ステップ3へ進む。ステップ3では、車両の減速開始から所定時間b(例えば0.1 〜0.5 秒程度)以内であるか否かを判別する。
0028
減速開始から所定時間b以内であるときには、燃料カットを実行するステップ4へ進まないことにより、燃料カットのディレー処理(カットインディレー)が行われる(図6参照)。尚、前記燃料カットのディレー中においては、エンジンの吹け上がり防止のために、走行中よりもスロットル弁開度TVOを低く保つようにすると良い。
0029
減速開始から所定時間b(カットインディレー)が経過すると、ステップ3からステップ4へ進み、エンジン1への燃料供給を停止させる所謂減速燃料カットを実行させる(減速燃料カット手段)。ステップ4で減速燃料カットを実行すると、ステップ5へ進み、自動変速機のトルクコンバータに備えられたロックアップ機構によってロックアップが行われている状態であるか否かを判別する。
0030
ロックアップ中でないときには、ステップ20へジャンプして進み、燃料供給を再開すべきか否かの判断を行わせるが、ロックアップ中であれば、ステップ6へ進む。ステップ6では、減速燃料カット開始から所定時間c(例えば0.1 〜0.5 秒程度)以内であるか否かを判別する。
0031
減速燃料カット開始から所定時間c以内であるときには、ステップ7へ進み、スロットル弁開度TVOを予め設定された中間開度まで増大させる(図6参照)。これにより、燃料カット(全気筒燃料カット)を行わせつつ、燃料カット時の急激なエンジンブレーキの立ち上がりを防止することができる。一方、減速燃料カット開始から所定時間cが経過すると、ステップ8へ進み、前記踏力センサ13で検出されるブレーキペダルの踏力(又はストロークセンサで検出されるストローク量)と車速とに基づいて、要求減速度を算出する。
0032
尚、要求減速度は、マイナスの値として算出され、その絶対値が大きいときほど、より急激な減速を要求する状態を示すものとする。ステップ8で要求減速度を算出すると、ステップ9以降では、前記要求減速度を複数レベルに判別し、該判別結果に応じてスロットル弁開度TVO,オルタネータ7の発電量の統合制御を実行する。
0033
まず、ステップ9では、前記ステップ8で算出した要求減速度と、基準減速度(3) とを比較する。本実施の形態では、要求減速度を基準減速度(1) 〜(3) と比較することで6段階に判別するようになっており、マイナスの値である前記基準減速度(1) 〜(3) は、基準減速度(1) >基準減速度(2) >基準減速度(3) であり、基準減速度(3) が最も急激な減速状態を示す値であるから、前記要求減速度の値自体が前記基準減速度(3) の値自体よりも小さいときに最も急激な減速が要求されていることになる(要求減速度判定手段)。
0034
ステップ9で、上記の要求減速度<基準減速度(3) であると判別されたときには、ステップ10へ進み、スロットル弁開度を全閉にし、かつ、オルタネータ7の発電量を最大量まで増大させ(減速エネルギー回収手段)、かつ、ブレーキを作動させる(ブレーキ作動制御手段)。即ち、スロットル弁開度を全閉にし、かつ、オルタネータ7の発電量を最大にすれば、エンジン1のポンピングロスが大きく、然も、オルタネータ7の駆動負荷が加わることで、強いエンジンブレーキがかかることになるが、これでも要求減速度が得られないので、ブレーキを作動させて、要求減速度が得られるようにする。
0035
スロットル弁開度を全閉にし、かつ、オルタネータ7の発電量を最大にしたときに得られる減速度が要求減速度に略一致する場合には、オルタネータ7の発電量を最大にしたことがブレーキ作動の代わりになって、要求減速度が得られることなるので、たとえブレーキ操作が行われていても、実際にブレーキを作動させる必要はない。しかし、要求減速度<基準減速度(3) であるときには、スロットル弁開度を全閉にし、かつ、オルタネータ7の発電量を最大にしても要求減速度にならないので、実際にブレーキを作動させて要求減速度が得られるようにするものである。換言すれば、スロットル弁開度を全閉にし、かつ、オルタネータ7の発電量を最大にしても要求減速度にならない領域を、前記基準減速度(3) で判別させている。
0036
一方、ステップ9で、要求減速度≧基準減速度(3) であると判別されると、ステップ11へ進み、要求減速度=基準減速度(3) であるか否かを判別する。要求減速度=基準減速度(3) であれば、ステップ12へ進み、スロットル弁開度を全閉にし、かつ、オルタネータ7の発電量を最大にする(減速エネルギー回収手段)。即ち、要求減速度=基準減速度(3) であれば、ブレーキ操作に対してブレーキを実際に作動させなくても、スロットル弁開度を全閉にし、かつ、オルタネータ7の発電量を最大にすることで、要求減速度が得られるので、ステップ12では、たとえブレーキ操作状態であってもブレーキ作動は行わせない(ブレーキ作動制御手段)。従って、基準減速度(3) ≦要求減速度であれば、ブレーキは作動させずに、スロットル弁開度の制御と発電量の制御とによって要求減速度が得られるようにすることになり、ブレーキ作動が抑制されてブレーキパッドの摩耗等、ブレーキ性能の経時劣化を抑制できる。
0037
また、ステップ11で、要求減速度>基準減速度(3) であると判別されると、ステップ13へ進み、要求減速度<基準減速度(2) であるか否かを判別する。要求減速度<基準減速度(2) であれば、ステップ14へ進み、スロットル弁開度を中間開度にし(減速度制御手段)、かつ、オルタネータ7の発電量を最大にする(減速エネルギー回収手段)。即ち、基準減速度(3) <要求減速度<基準減速度(2) のときには、スロットル弁開度を全閉にし、かつ、オルタネータ7の発電量を最大にすると、要求よりも実際の減速が急激になってしまうので、スロットル弁を開けてポンピングロスを減少させるか、オルタネータ7の発電量を抑制する必要があるが、ここでは、減速エネルギーの効率の良い回収を行わせるべく、スロットル弁を開けてポンピングロスを減少させる方を選択する。また、基準減速度(3) <要求減速度<基準減速度(2) のときにも、ブレーキ作動無しに要求減速度を実現できるので、ブレーキは作動させない。
0038
ステップ13で、要求減速度≧基準減速度(2) であると判別されたときには、ステップ15へ進み、要求減速度=基準減速度(2) であるか否かを判別する。要求減速度=基準減速度(2) であれば、ステップ16へ進み、図6に示すように、スロットル弁開度を全開にし(減速度制御手段)、かつ、オルタネータ7の発電量を最大にする(減速エネルギー回収手段)。即ち、基準減速度(2) =要求減速度のときには、要求減速度<基準減速度(2) であるときよりも、更に、エンジンのポンピングロスを減少させて、最大発電量のままで要求減速度が得られるようにするものである。
0039
ステップ15で、要求減速度>基準減速度(2) であると判別されたときには、ステップ17へ進み、要求減速度<基準減速度(1) であるか否かを判別する。要求減速度<基準減速度(1) であれば、ステップ18へ進み、スロットル弁開度を全開にし(減速度制御手段)、かつ、オルタネータ7の発電量を最大量ではないが通常よりも多いレベルにまで増大させる(減速エネルギー回収手段)。即ち、基準減速度(2) <要求減速度<基準減速度(1) のときには、スロットル弁開度を全開にし、かつ、オルタネータ7の発電量を最大にした状態では、要求減速度よりも実際の減速が急激になってしまい、然も、スロットル弁開度の制御によっては更なる減速度の緩和は行えないので、発電量の増大代を抑制することで、要求減速度が得られるようにする。
0040
ステップ17で、要求減速度≧基準減速度(1) であると判別されたときには、ステップ19へ進み、発電量を通常値に保持したまま、スロットル弁開度を全開にして、最も緩やかな減速を実現させる(減速度制御手段)。尚、ステップ11及びステップ15において、「要求減速度≒基準減速度」の条件式として、道路勾配等の諸条件を考慮して幅をもたせた減速度の判定方法としても良い。
0041
以上の要求減速度に応じたスロットル弁開度,発電量,ブレーキ作動の制御特性をまとめると、図7に示すようになり、発電量をなるべく最大量に増大するようにして(減速エネルギー回収手段)、要求減速度に対する過不足分を、スロットル弁開度制御,ブレーキ作動制御によって補償する特性となっている(減速度制御手段,ブレーキ作動制御手段)。
0042
減速燃料カット中であってかつロックアップ状態であるときに、上記のようにして、要求減速度に応じたスロットル弁開度,発電量の統合制御を行うと、ステップ20へ進み、燃料供給を再開させるべきであるか否かを、エンジン回転数に基づいて判別する。エンジン回転数が所定回転数d(例えば1100 rpm) 以上であるときには、燃料カット状態を継続できるものと判断してステップ5へ戻るが、エンジン回転数が所定回転数d未満になった場合には、ステップ21へ進んで、エンジンへの燃料供給を再開させると共に、オルタネータ7の発電量を元に戻し、スロットル制御,ブレーキ制御を通常状態に復帰させる。
0043
尚、上記実施の形態では、自動変速機を備えた車両を例としたが、手動式の変速機を備える車両であっても良い。また、エンジンとモータとで車輪を駆動する所謂パラレル・ハイブリッド方式の車両において、減速時にエンジンを変速機から切り離せない(切り離さない)場合には、スロットル弁が閉じられることによるポンピングロスの増大により減速エネルギーの回収が十分に行えないことになるが、このような場合でも、上記実施の形態と同様にして減速時にスロットル弁開度を調整してポンピングロスを制御することで、モータを発電機として用いて減速エネルギー回収率を上げることができる。
図面の簡単な説明
0044
図1請求項1記載の発明に係る減速制御装置の基本構成を示すブロック図。
図2実施の形態における車両のシステム構成図。
図3図2に示されるシステムにおける制御ブロック図。
図4上記実施の形態における減速時のスロットル,発電量の統合制御の様子を示すフローチャート。
図5上記実施の形態における減速時のスロットル,発電量の統合制御の様子を示すフローチャート。
図6上記実施の形態の制御特性を示すタイムチャート。
図7上記実施の形態における要求減速度に対するスロットル開度,発電量,ブレーキ作動制御の特性を示す図。
--
0045
1エンジン
2自動変速機
3 A/Tコントロールユニット(ATCU)
4モータ
5スロットル弁
6エンジンコントロールモジュール(ECM)
7オルタネータ
8バッテリ
9車速センサ
10ブレーキ装置
11油圧コントロールバルブ
12ブレーキコントロールユニット
13 踏力センサ
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